JP3689878B2 - 吐水用スタンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗面化粧台、洗髪台、浴室ユニット等の天板に取付けられて、シャワーヘッドや吐水管の吐水口等の高さや方向調整を可能としながら、シャワーヘッド等の支持を行うために使用される吐水用スタンドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この吐水用スタンドとしては、例えば実公平3−40940号公報にて提案されている「洗面台用シャワーヘッドの高さ調節装置」がある。この装置は、図10にも示すように、
「洗面台の天板Gに取付けた基部筒体1と緊締筒体7とを同軸上に連結すると共に、これらの基部筒体1及び緊締筒体7に設けた共通の挿孔3,3aに、支持管部16及び該支持管部16の内腔と通じる通し孔14を有した可動筒体2を上下の摺動と高さの位置決め自在に支承し、前記緊締筒体7の緊締部10に設けた環状溝11に環状した引張スプリング12を巻装し、前記通し孔14にシャワーヘッドシャワーヘッド200と連結したホース13を収出自在に挿通させた」
ものであり、支持管部を片手で上下させることにより高さ調整が自在に行える利点を有するものである。
【0003】
しかしながら、このような調節装置では、片手で自由に高さ調整ができるということは、シャワースタンドからシャワー散水を行うと、その水の勢いの反力によってシャワーノズルが回転してしまう、という問題を有していることになる。すなわち、この種のシャワーノズルは、これを支持管部に対して回動させることにより、その散水方向を真下だけでなく、横からも行えるようにしてあるのであるが、その場合に、シャワーノズルは横方向へ回動する力を散水によって得ることになり、散水があらぬ方向になされてしまうということになるのである。
【0004】
このような散水による反力に対して、シャワーノズルが簡単には回動しないようにすると、今度は上下方向の高さ調整が片手では行えなくなってしまうものである。それなら、支持管部等を多角形のものにしたり、あるいは円管であっても縦方向に溝や凸状を形成したりすれば、反力による回転を阻止することができるように考えられるが、今度は、支持部管が円形ではない異形断面のものであるため、シールがしにくいといった問題が生じてくるのである。つまり、この種のシャワーヘッドは、洗面化粧台や浴室ユニット等の取付天板に対して取付けられるものであり、シャワーヘッドから天板下へ水が洩れないようにシールを施さなければならないのであるが、このシールをすべき部分が円形以外の異形断面であると、簡単にはシールすることができないのである。
【0005】
換言すれば、洗面化粧台等の天板に対してシャワーヘッドを出入自在に取付けるためのシャワースタンドについては、次のような諸点を同時に解決する必要がある。
▲1▼シャワーヘッドに接続されている可撓管(湯水を通す管)を自在に通しながら、シャワーヘッドを天板に対してしっかりと支持すること。
▲2▼シャワーヘッドの高さや方向調整が簡単に行えること。
▲3▼散水時の反力によっては、シャワーヘッドが回動しないようにして、その位置が変化しないようにすること。
▲4▼水が天板下に流れ込まないように、確実にシールすること。
【0006】
以上のことは、吐水管の吐水口を、その位置及び方向が自由に変えられるように支持するスタンドにおいても同様に言えることである。すなわち、シャワーヘッドの代わりに吐水管の吐水口が適用された場合においても、上記▲1▼〜▲4▼の諸点を吐水口について解決しなければならないのである。
【0007】
本発明者等は、この種のシャワースタンドや吐水管を位置調整自在に支持するスタンド(本発明ではこれらを総称して吐水用スタンドという)について、以上の▲1▼〜▲4▼を同時に満足させるにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、吐水用スタンドとして必要な機能を十分なものとすることにある。
【0009】
すなわち、まず請求項1に係る発明の目的とするところは、シャワーヘッドや吐水口の高さや方向調整を自由に行えることは勿論のこと、散水時の反力による影響を受けない安定したものとすることができ、しかも天板下に対するシールを簡単に行うことのできる吐水用スタンドを提供することにある。
【0010】
また、請求項2に係る発明の目的とするところは、請求項1の発明と同様な目的を達成することができ、しかも簡単な構成によって提供することができて、製造・組付を容易に行うことのできる吐水用スタンドを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、まず請求項1に係る発明の採った手段は、以下の実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「可撓管210に接続されるシャワーヘッド200等を先端に支持するスタンドベース10と、このスタンドベース10の他端に一体化される継手管20と、この継手管20を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板220に対して取り付けられるホルダー30とからなる吐水用スタンド100において、
ホルダー30の先端側に形成した収納部31内に収納されて、内面が継手管20の外周面に弾発的に摺接するフリクションスリーブ40と、このフリクションスリーブ40の外面側に設けられて、一部が当該フリクションスリーブ40の外周面から突出するストッパ50と、このストッパ50の係止を行うべくホルダー30の内面に形成した係合部34と、ホルダー30の先端部に取り付けられて、継手管20に対するシール61を有したシール部材60とを備えたことを特徴とする吐水用スタンド100」
である。
【0012】
すなわち、この吐水用スタンド100は、これによって支持すべきものをシャワーヘッド200とした場合を例に採ってみると、図1に示すように、洗面化粧台等の天板220に取付けられて、そのスタンドベース10の先端にシャワーヘッド200を支持するとともに、このシャワーヘッド200に接続された可撓管210を、その軸心内に出入自在に収納するものである。そして、この吐水用スタンド100は、図1及び図2に示すように、主として、可撓管210に接続されるシャワーヘッド200を先端に支持するスタンドベース10と、このスタンドベース10の他端に一体化される継手管20と、この継手管20を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板220に対して取り付けられるホルダー30とからなり、それぞれの軸心を通して可撓管210を出入自在に収納するものである。
【0013】
なお、この吐水用スタンド100においては、図1〜図3に示すように、そのスタンドベース10の先端に取付部11が突出形成してあり、この取付部11にシャワーヘッド200を差し込むことにより、シャワーヘッド200を図9に示すように支持するようにしてある。特に、実施形態のスタンドベース10においては、その取付部11の表面に軸方向のセレーションが形成してあって、これによりシャワーヘッド200の角度を変えて支持できるようにしてある。換言すれば、この吐水用スタンド100においては、これによって支持しているシャワーヘッド200の高さ及び角度調整を図9に示した範囲内で行えるようにしていることは当然として、シャワーヘッド200による湯水の散水を直下以外の斜め方向にもできるようにしてある。また、湯水が供給されてくる可撓管210の他端は、図1に示したように、湯水混合水栓230に接続されたものであることは言うまでもない。
【0014】
ここで、この吐水用スタンド100における継手管20とホルダー30の、何等の操作もしない自然のままにしておかれたときの関係を説明してみると、次の通りである。シャワーヘッド200は、スタンドベース10に対してその取付部11に支持されていることから、その重力はこのスタンドベース10を介して継手管20側に掛ることになるが、継手管20はホルダー30に対して次のように保持されてするから、シャワーヘッド200等の重力によって簡単に下がることはない。
【0015】
すなわち、この継手管20は、ホルダー30に対してその軸心に単に挿通されているだけであるが、その外径とホルダー30の内径とは非常に近接したものとしてあることから、両者間に重力に抗するある程度の摩擦力が生ずる。また、ホルダー30の先端に螺着されることになるシール部材60の継手管20が通る部分には、これに対する摩擦力を生じさせるシール61が介装してある。
【0016】
以上のことから、このホルダー30に単に挿通されているだけの継手管20については、天板220側に固定されるホルダー30側に対して、後述するフリクションスリーブ40の継手管20表面に接する摩擦力も含めて、種々な摩擦力が生ずるのであり、シャワーヘッド200等の重力がこの継手管20に掛ったとしても、この継手管20は簡単には可動しないのである。勿論、この継手管20に生ずる摩擦力は、重力に抗するものであっても、人の手で上下させる場合の力に対しては対抗することができないものであり、継手管20の手による上下動は簡単に行えるものである。
【0017】
なお、継手管20の外周には、図3にも示したように、円環状の位置決め凹溝22が複数形成してあり、この位置決め凹溝22内にホルダー30の下端内面に形成した係合突条等が係合することにより、継手管20のホルダー30に対するある程度の位置決めがなされるようになっていて、これによっても、継手管20の上下動はある程度の節度感をもってなされるようになっている。勿論、各位置決め凹溝22は、ホルダー30側の係合突状等を係合させるものであるから、文字通りの凹溝ではなくて、継手管20の外周に一体的に形成した円環突状であってもよい。
【0018】
さて、この吐水用スタンド100においては、図9に示したように、スタンドベース10と一体的な継手管20を、天板220に固定されているホルダー30に対して出入したり回動したりして、スタンドベース10にて支持しているシャワーヘッド200の高さ及び角度調整を行うものであるが、その場合の作用を本発明の各構成部材との関係で述べてみると、次の通りである。
【0019】
まず、スタンドベース10の角度、つまりこれによって支持されたシャワーヘッド200の天板220に対する水平角度の角度調整を行う場合であるが、これを行うには、シャワーヘッド200またはスタンドベース10の先端に手を掛けて、図9中の矢印にて示したように、スタンドベース10及びこれと一体的な継手管20を回動させるのである。
【0020】
継手管20のホルダー30内における部分にては、図4に示すように、フリクションスリーブ40が収納してあって、このフリクションスリーブ40の内面は継手管20の表面に弾発的に摺接しており、また、フリクションスリーブ40のストッパ収納部41内には、その一部がフリクションスリーブ40の表面から突出するストッパ50が収納してあって、このストッパ50の一部が、例えば図6に示したように、ホルダー30側の係合部34に係合している。これらの、フリクションスリーブ40の継手管20に対する弾発的摺接、及びストッパ50によるフリクションスリーブ40のホルダー30に対する回動阻止作用は、あくまでも、散水中のシャワーヘッド200における反力に抗するものであり、今行おうとしている手の回動力に対しては抗しきれないものである。すなわち、シャワーヘッド200またはスタンドベース10に手を掛けて回動すれば継手管20側に種々な摩擦力等があったとしても、この継手管20等の回動を容易に行うことができて、シャワーヘッド200の天板220に対する水平方向の角度調整は簡単に行えるのである。
【0021】
このシャワーヘッド200またはスタンドベース10の回動は、フリクションスリーブ40の継手管20に対する弾発的摺接と、ストッパ50によるフリクションスリーブ40のホルダー30に対する回動ホルダー30に対する回動阻止作用の存在下でなされるのであるから、節度感をもってなされる。すなわち、まずフリクションスリーブ40の継手管20に対する弾発的摺接によってオーバーラン、つまり回動のし過ぎになることはまずないのであり、回動を止めようと思って手の力を弱めれば、継手管20の回動は直ちに停止される。
【0022】
また、各ストッパ50は、後述するように弾力的なものだから、継手管20にある程度上の回動力が加えられれば、ホルダー30の収納部31内に複数突出している各係合部34を乗り越えるのであり、一旦乗り越えて暫くは継手管20の回動を軽く行えるようにしている。従って、継手管20を回動する場合には、各ストッパ50が各係合部34に次々に係合していくことになって、節度感をもって回動操作することができるのであり、当該シャワースタンド100は使用勝手のよいものとなっているのである。
【0023】
換言すれば、継手管20は円筒であるため、本来ならばホルダー30内にて自由に回動し得るものなのであるが、天板220に対して固定的なホルダー30と継手管20との間にフリクションスリーブ40が介在しており、このフリクションスリーブ40と一体的なストッパ50がホルダー30の収納部31内にある係合部34に順次弾発的に係合していることから、ある程度以上の力(具体的にはシャワーヘッド200からの散水による反力よりも大きい力)を加えることによって、節度感をもって回動されることになるのである。これを逆に述べれば、シャワーヘッド200からの散水による反力程度では、継手管20を回動させることができないということであり、シャワーヘッド200から散水を行っているときに、継手管20すなわちスタンドベース10及びこれに支持したシャワーヘッド200があらぬ方向に回動することはないのである。
【0024】
今度はスタンドベース10の高さ、つまりこれによって支持されたシャワーヘッド200の天板220に対する高さ調整を行う場合であるが、この場合には、スタンドベース10または継手管20を手に持って上下させればよいのである。この場合には、ホルダー30の収納部31内に収納されているフリクションスリーブ40の継手管20に対する弾発的摺接作用しか働いていない、つまり継手管20とホルダー30、及び継手管20とシール部材60とシール61との間の摩擦力しか作用しないため、継手管20の上下動は容易に行えるのである。
【0025】
なお、以下で詳述する実施形態の吐水用スタンド100では、スタンドベース10の下端に緩衝材12が取り付けてあるため、継手管20最下端まで押し下げたとき、その操作が急激であったとしても、この緩衝材12がシール61上に当接することになるから、異音が生じないだけでなくそのときの衝撃を柔げてスタンドベース10やシール61を保護することになる。一方、この継手管20の下端にもOリング21aを有する終端ストッパ21が形成してあるため、終端ストッパ21によって継手管20のホルダー30から抜け止めがなされているとともに、Oリング21aがホルダー30側の下端に対する緩衝材となっているため、継手管20を勢いよく引き出したときの異音の発生を抑えているだけでなく、ホルダー30の下端や終端ストッパ21の保護を行っていることになる。
【0026】
勿論、この吐水用スタンド100においては、上述した継手管20とホルダー30との間には、ホルダー30の上端に取付けられるシール部材60のシール61が常に介在しているから、継手管20を伝ってきた水が天板220下に入ろうとしても、その侵入はこのシール部材60側のシール61によって阻止されることになる。この阻止は、継手管20がホルダー30に対してどのような位置にあろうとなされたものであり、しかも常に安定的になされる。このようなシール61は、吐水用スタンド100を構成している継手管20やホルダー30を円筒状のものに形成できることから、簡単な構成のもの、具体的には円環状のものにより形成できるのであり、そのシール効果を確実に行うことができるのである。
【0027】
以上課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1の吐水用スタンド100について、フリクションスリーブ40と継手管20との弾発的摺接は、フリクションスリーブ40に、その少なくとも一端に軸方向の切欠き42aを形成することにより複数の弾性片42を形成しておき、これらの弾性片42の外周に弾性縮径リング43を嵌合することによって、各弾性片42が内方に付勢されるようにしたことである。
【0028】
すなわち、この請求項2に係るシャワースタンド100においても、シャワーヘッド200での散水に基づく反力による継手管20の回動力に抗することができるとともに、継手管20の手による回動を節度感をもって確実に行うことができ、かつ簡単な構造とすることができて製造・組付を容易に行うことができるのである。
【0029】
以上の各発明の作用は、以下の実施形態において示す吐水用スタンド100が可撓管210をその軸心内に挿通するものである場合を中心に説明しているが、これらの作用は、可撓管210が吐水用スタンド100の外側に配置されるものである場合についても同様に言えることである。また、以上のことは、吐水用スタンド100が吐水管の吐水口を、その位置及び方向が自由に変えられるように支持するものである場合にも同様に言えることである。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、以上のように構成した各発明を、図面に示した実施の形態である吐水用スタンド100について説明すると、図1〜図7には請求項1及び請求項2の発明を実質的に含む吐水用スタンド100が示してある。また、この吐水用スタンド100によっては、シャワーヘッド200だけでなく吐水管の吐水口を支持することもできるのであるが、以下ではシャワーヘッド200を支持する場合を中心にして説明することとする。
【0031】
図1には、本発明に係る吐水用スタンド100を洗面化粧台等を構成している天板220に取付けた状態が示してあるが、この吐水用スタンド100の軸心内には、洗面や洗髪に使用される湯水を通すため継手管20が出入自在に収納されるのであり、この継手管20の先端にはシャワーヘッド200が接続してある。そして、このシャワーヘッド200は、吐水用スタンド100を構成しているスタンドベース10の先端(図1では図示左端)に、軸方向のセレーションを有するものとして突出形成した取付部11に、角度(散水方向)調整自在に抜差されるものであり、洗髪時等における散水を行うものである。なお、可撓管210の他端は、図1に示したように、天板220等に別途取付けられる湯水混合水栓230に接続されるものであり、本実施形態のものでは、天板220上に配置される操作レバー231によって、当該可撓管210側への供給や温度調整が行えるようになっている。
【0032】
本発明に係る吐水用スタンド100は、図2及び図3にも示したように、天板220に形成した取付穴の上方から挿入されるホルダー30と、このホルダー30の軸心穴内に下方から挿通されて上端にスタンドベース10が取付けられる継手管20と、ホルダー30の上端部に取付けられるシール部材60とを有していて、ホルダー30はシール材34aやスリップ板34bを介して固定ナット35により天板220に固定されるものである。このホルダー30の天板220より上方になる部分は、図4にも示したように、天板220の取付穴より大径となるようにしてあり、これにより、天板220に対する抜け止めを行い、内部に収納部31が形成できるようにしてある。
【0033】
スタンドベース10は、図1〜図3に示したように、略L字状のものであり、その軸心には、その下端に連結される継手管20と同様に、可撓管210を出入自在に収納するための挿通口が形成してある。また、このスタンドベース10の先端には、これによって支持すべきシャワーヘッド200の後部が挿入されて所定角度にて支持できるように、軸方向のセレーションを刻設した取付部11が一体的に形成してある。つまり、この取付部11は、シャワーヘッド200を図9に示したような所謂下向きにして支持することもできるものであるし、シャワーヘッド200の角度を横向きにしても支持できるようにしてあり、このシャワーヘッド200の取付角度は使用者の好みに合わせてセレーションにより自由に設定できるようにしたものである。
【0034】
継手管20は、特に図3に示したように、その上端にて上記スタンドベース10と一体化されるものであり、その下端にはホルダー30の内径より大径の終端ストッパ21が一体的に形成してある。その終端ストッパ21の上面にはOリング21aが取付けてあり、このOリング21aと同様な緩衝材12が、当該継手管20とスタンドベース10との境界部分にも取付けてある。なお、この継手管20の、特に下部外周には、後述するホルダー30側の係合突条等を係合することのできる位置決め凹溝22が複数形成してある。
【0035】
本実施形態における継手管20は、図3及び図4に示したように、可撓管210が直接摺接することになる金属内管20aを内側としておき、この金属内管20aの外側に合成樹脂によって一体的に形成したものである。この金属内管20aを一体化することにより、継手管20全体として必要な剛性を十分確保するとともに、上述した位置決め凹溝22あるいはこれに代わる円環突状の一体成形を容易にしているのである。
【0036】
すなわち、この継手管20自体を金属内管20aそのものによって構成することも可能ではあるが、その金属管の集面に、位置決め凹溝22やこれに代わる円環突状を直接形成することは一般に困難であり、これらの位置決め凹溝22やこれに代わる円環突状は、剛性樹脂を材料とする型成形によって形成することが非常に容易だからである。しかも、継手管20の内側を金属内管20aとすることにより、可撓管210を摺接させながら出入するものとしての十分な耐久性・剛性を確保するとともに、その外側を剛性樹脂に寄って包み込むことにより、金属内管20aについて使用水によるサビの発生を防止することもできるのである。
【0037】
ところで、天板220に取り付けられるべきホルダー30は、図5にも示した構成を有しているものである。すなわち、このホルダー30は、図5の(ロ)に示したように、「ジョウゴ」状のものであり、その大部分を上記継手管20を抜差自在に支持する程度の径を有する支持穴としてある。また、このホルダー30の図示上部内は収納部31としてあり、この収納部31の下端面を構成している段部32は、後述するフリクションスリーブ40の下端面が当接されるものとしてある。そして、この収納部31内には、フリクションスリーブ40側に組付けられる各ストッパ50が係合することになる係合部34が、例えば図6に示すように複数形成してある。
【0038】
図6の実施形態に係る各係合部34は、断面円弧状のストッパ50を収納して係合させるものであるため、このストッパ50の形状に合わせた円弧状溝状のものとしてあるが、これに限られるものではない。例えば、ストッパ50側に、図8の(イ)及び(ロ)に示したような係合突起51が一体的に形成してあれば、この係合突起51が係止されるものとしての突起として係合部34を形成して実施してもよいのである。なお、ホルダー30の外側外周には、後述するシール部材60や固定ナット35を螺着するための螺着部33が形成してある。
【0039】
なお、このホルダー30の下端に、下端に向けて軸方向に位置する切込みを複数形成して、これらの切込みの間を弾性腕として実施してよいものである。各弾性腕の下端に、前述した継手管20側の位置決め凹溝22内に係合する係合突条を一体的に形成しておいて、これら各係合突条が形成する内径を継手管20の外径より僅かに小径となるようにしておくとよい。これにより、これら各係合突条は、これが継手管20側の位置決め凹溝22内に係合していないときには継手管20の表面にある程度の付勢力を有した状態で当接することになるものであり、継手管20を弾発的に支持することになるものだからである。
【0040】
フリクションスリーブ40は、特に図4及び図8の(ハ)に示したように、継手管20の外周に単に嵌合される略円筒状のものであり、図4に示したように、ホルダー30の収納部31内径よりも僅かに小径のものとしたものである。換言すれば、このフリクションスリーブ40は、ホルダー30側の収納部31内にその下端以外では摺接することなく収納されるものであり、継手管20に対してはある程度の摺接抵抗を有したものであってもよいとされるものである。
【0041】
本実施形態のフリクションスリーブ40においては、図7の(イ)に示したように、その上下両端部に軸方向の切欠き42aを複数形成することにより、これら切欠き42aの間に弾性片42が形成してある。これら各弾性片42の外周面には、フリクションスリーブ40の半径方向の円環状溝となる弾性リング収納部43aが形成してあり、この弾性リング収納部43a内には、図4及び図7の(イ)に示したように、弾性縮径リング43が嵌合されるようになっている。各弾性縮径リング43は、各弾性片42に内方へ撓む付勢力を与えるものであり、図示したような所謂Cリングであってもよく、また上記の弾性リング収納部43a内に巻回されることになる引張りコイルスプリングであってもよい。以上の弾性縮径リング43が嵌合された各弾性片42は、その内側に挿通されることになる継手管20の表面に弾発的に当接することになるものである。
【0042】
そして、このフリクションスリーブ40においては、図7の(ロ)及び図8の(ロ)に詳記したように、その略中央部外周面にストッパ収納部41が形成してあり、このストッパ収納部41内に後述のストッパ50を収納し得るようにしてある。このストッパ収納部41は、ストッパ50の形状によってその形状を変えて実施すればよいものであるが、ストッパ50が円弧状のものである場合に、その両端部を確実に収納しなければならないものとなるから、図7の(ロ)に示した実施形態のストッパ収納部41では、その両側にストッパ50の端部を収納しておくための深溝が形成してある。このストッパ収納部41のその他の部分は、平らに撓んだストッパ50を収納する部分となっている。
【0043】
このようなストッパ収納部41内に組付・収納されるべきストッパ50は、例えば図8の(イ)に示したような円弧状のものとするのが最も簡単である。すなわち、このストッパ50は、フリクションスリーブ40側に対して移動しないように組付けられなければならないものであるとともに、その一部がホルダー30側の係合部34に対して係合しなければならないものであるため、図8の(イ)の図示左側にある膨らみ部分を係合部34に対する係合部とし得、図示右側の両端部をフリクションスリーブ40のストッパ収納部41に対する組付脚とし得ることから、円弧状のものが最も簡単でよい。
【0044】
なお、図8の(イ)及び(ロ)の仮想線にて示した係合突起51を、当該ストッパ50の外面側に一体的に形成しておいて、この係合突起51をホルダー30側の係合部34に対する係止部として実施してもよい。この係合突起51を形成すれば、前述したように、ホルダー30側の係合部34を単なる突起として形成することができるから有利である。以上のようなストッパ50を組付けたフリクションスリーブ40を収納部31内に収納したホルダー30に対しては、図4にも示したように、その外周に形成してあった螺着部33にシール部材60が螺着されるのである。このシール部材60の図示上部には円環状のシール61が組付けてあるものであり、このシール61によって当該シール部材60と継手管20とのシールを行うようにしているものである。なお、このシール部材60をホルダー30に螺着するに際しては、フリクションスリーブ40等の保持のために、押え板62が介装されることもある。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した通り、まず請求項1に係る発明においては、上記実施の形態において示した如く、
「可撓管210に接続されるシャワーヘッド200等を先端に支持するスタンドベース10と、このスタンドベース10の他端に一体化される継手管20と、この継手管20を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板220に対して取り付けられるホルダー30とからなる吐水用スタンド100において、
ホルダー30の先端側に形成した収納部31内に収納されて、内面が継手管20の外周面に弾発的に摺接するフリクションスリーブ40と、このフリクションスリーブ40の外面側に設けられて、一部が当該フリクションスリーブ40の外周面から突出するストッパ50と、このストッパ50の係止を行うべくホルダー30の内面に形成した係合部34と、ホルダー30の先端部に取り付けられて、継手管20に対するシール61を有したシール部材60とを備えたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、シャワーヘッド等の高さや方向調整を自由に行えることは勿論のこと、散水時の反力による影響を受けない安定したものとすることができ、しかも天板下に対するシールを簡単に行うことができ吐水用スタンド100を提供することができるのである。
【0046】
また、請求項2に係る発明においては、上記請求項1に係る吐水用スタンド100について、フリクションスリーブ40と継手管20との弾発的摺接は、フリクションスリーブ40に、その少なくとも一端に軸方向の切欠き42aを形成することにより複数の弾性片42を形成しておき、これらの弾性片42の外周に弾性縮径リング43を嵌合することによって、各弾性片42が内方に付勢されるようにした係合させるようにしたことに構成上の特徴があり、これにより、請求項1の吐水用スタンド100と同様な効果を発揮することができる他、製造や組付作業を簡単に行うことのできる吐水用スタンド100を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吐水用スタンドによってシャワーヘッドを天板上に支持する状態を示した部分破断斜視図である。
【図2】同吐水用スタンドを天板に組付ける前状態を示した斜視図である。
【図3】同吐水用スタンドの縦断面図である。
【図4】同吐水用スタンドのホルダーにおける収納部内を示した部分拡大縦断面図である。
【図5】 同シャワースタンドを構成しているホルダーの部分破断拡大正面図である。
【図6】 同ホルダーの横断面図である。
【図7】 同シャワースタンドを構成しているフリクションスリーブを示すもので、(イ)は一部破断拡大正面図、(ロ)は(イ)中の1−1線に沿ってみた横断面図である。
【図8】 同フリクションスリーブとストッパとの関係を示すもので、(イ)はストッパそのものの拡大斜視図、(ロ)はこのストッパを組付けたフリクションスリーブの斜視図、(ハ)はこのフリクションスリーブと継手管との関係を示す部分斜視図である。
【図9】本発明に係る吐水用スタンドによってシャワーヘッドを上下させている状態を示す斜視図である。
【図10】従来の技術を示す側面図である。
【符号の説明】
100 吐水用スタンド
10 スタンドベース
11 取付部
20 継手管
30 ホルダー
31 収納部
32 凹所
33 螺着部
34 係合部
35 固定ナット
40 フリクションスリーブ
41 ストッパ収納部
42 弾性片
43 弾性縮径リング
43a 弾性リング収納部
50 ストッパ
51 係合突起
60 シール部材
61 シール
200 シャワーヘッド
210 可撓管
220 天板
230 湯水混合水栓
Claims (2)
- 可撓管に接続されるシャワーヘッド等を先端に支持するスタンドベースと、このスタンドベースの他端に一体化される継手管と、この継手管を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板に対して取り付けられるホルダーとからなる吐水用スタンドにおいて、
前記ホルダーの先端側に形成した収納部内に収納されて、内面が前記継手管の外周面に弾発的に摺接するフリクションスリーブと、このフリクションスリーブの外面側に設けられて、一部が当該フリクションスリーブの外周面から突出するストッパと、このストッパの係止を行うべく前記ホルダーの内面に形成した係合部と、前記ホルダーの先端部に取り付けられて、前記継手管に対するシールを有したシール部材とを備えたことを特徴とする吐水用スタンド。 - 前記フリクションスリーブと継手管との弾発的摺接は、前記フリクションスリーブに、その少なくとも一端に軸方向の切欠きを形成することにより複数の弾性片を形成しておき、これらの弾性片の外周に弾性縮径リングを嵌合することによって、各弾性片が内方に付勢されるようにしたことにより行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の吐水用スタンド。
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