JP3677641B2 - 吐水用スタンド - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗面化粧台、洗髪台、浴室ユニット等の天板に取付けられて、シャワーヘッドや吐水管の吐水口等の高さや方向調整を可能としながら、シャワーヘッド等の支持を行うために使用される吐水用スタンドに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
この吐水用スタンドとしては、例えば実公平３−４０９４０号公報にて提案されている「洗面台用シャワーヘッドの高さ調節装置」がある。この装置は、図１０にも示すように、
「洗面台の天板Ｇに取付けた基部筒体１と緊締筒体７とを同軸上に連結すると共に、これらの基部筒体１及び緊締筒体７に設けた共通の挿孔３，３ａに、支持管部１６及び該支持管部１６の内腔と通じる通し孔１４を有した可動筒体２を上下の摺動と高さの位置決め自在に支承し、前記緊締筒体７の緊締部１０に設けた環状溝１１に環状した引張スプリング１２を巻装し、前記通し孔１４にシャワーヘッドシャワーヘッド２００と連結したホース１３を収出自在に挿通させた」
ものであり、支持管部を片手で上下させることにより高さ調整が自在に行える利点を有するものである。
【０００３】
しかしながら、このような調節装置では、片手で自由に高さ調整ができるということは、シャワースタンドからシャワー散水を行うと、その水の勢いの反力によってシャワーノズルが回転してしまう、という問題を有していることになる。すなわち、この種のシャワーノズルは、これを支持管部に対して回動させることにより、その散水方向を真下だけでなく、横からも行えるようにしてあるのであるが、その場合に、シャワーノズルは横方向へ回動する力を散水によって得ることになり、散水があらぬ方向になされてしまうということになるのである。
【０００４】
このような散水による反力に対して、シャワーノズルが簡単には回動しないようにすると、今度は上下方向の高さ調整が片手では行えなくなってしまうものである。それなら、支持管部等を多角形のものにしたり、あるいは円管であっても縦方向に溝や凸状を形成したりすれば、反力による回転を阻止することができるように考えられるが、今度は、支持部管が円形ではない異形断面のものであるため、シールがしにくいといった問題が生じてくるのである。つまり、この種のシャワーヘッドは、洗面化粧台や浴室ユニット等の取付天板に対して取付けられるものであり、シャワーヘッドから天板下へ水が洩れないようにシールを施さなければならないのであるが、このシールをすべき部分が円形以外の異形断面であると、簡単にはシールすることができないのである。
【０００５】
換言すれば、洗面化粧台等の天板に対してシャワーヘッドを出入自在に取付けるためのシャワースタンドについては、次のような諸点を同時に解決する必要がある。
▲１▼シャワーヘッドに接続されている可撓管（湯水を通す管）を自在に通しながら、シャワーヘッドを天板に対してしっかりと支持すること。
▲２▼シャワーヘッドの高さや方向調整が簡単に行えること。
▲３▼散水時の反力によっては、シャワーヘッドが回動しないようにして、その位置が変化しないようにすること。
▲４▼水が天板下に流れ込まないように、確実にシールすること。
【０００６】
以上のことは、吐水管の吐水口を、その位置及び方向が自由に変えられるように支持するスタンドにおいても同様に言えることである。すなわち、シャワーヘッドの代わりに吐水管の吐水口が適用された場合においても、上記▲１▼〜▲４▼の諸点を吐水口について解決しなければならないのである。
【０００７】
本発明者等は、この種のシャワースタンドや吐水管を位置調整自在に支持するスタンド（本発明ではこれらを総称して吐水用スタンドという）について、以上の▲１▼〜▲４▼を同時に満足させるにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、吐水用スタンドとして必要な機能を十分なものとすることにある。
【０００９】
すなわち、まず請求項１に係る発明の目的とするところは、シャワーヘッドや吐水口の高さや方向調整を自由に行えることは勿論のこと、散水時の反力による影響を受けない安定したものとすることができ、しかも天板下に対するシールを簡単に行うことのできる吐水用スタンドを提供することにある。
【００１０】
また、請求項２に係る発明の目的とするところは、請求項１の発明と同様な目的を達成することができて、しかも散水による反力に十分対抗しながらシャワーヘッドや吐水口の回動操作を容易に行うことのできる吐水用スタンドを簡単な構成によって提供することにある。そして、請求項３に係る発明の目的とするところは、請求項１または２に係る発明と同様な目的を達成することができて、製造・組付を容易に行うことのできる吐水用スタンドを提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、まず請求項１に係る発明の採った手段は、以下の実施形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「可撓管２１０に接続されるシャワーヘッド２００等を先端に支持するスタンドベース１０と、このスタンドベース１０の他端に一体化される継手管２０と、この継手管２０を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板２２０に対して取り付けられるホルダー３０とからなる吐水用スタンド１００において、
ホルダー３０の先端側に形成した収納部３１内に収納されて、当該ホルダー３０に弾発的に係止するストッパリング４０と、このストッパリング４０と継手管２０との間に介装されて、端部５２・５２が当該継手管２０の外周に当接しながら巻回されることになる巻回スプリング５０と、この巻回スプリング５０の一部に形成されて、ストッパリング４０との係合を行う係合部５１と、ホルダー３０の先端部に取り付けられて、継手管２０に対するシール６１を有したシール部材６０とを備えたことを特徴とする吐水用スタンド１００」
である。
【００１２】
すなわち、この吐水用スタンド１００は、これによって支持すべきものをシャワーヘッド２００とした場合を例に採ってみると、図１に示すように、洗面化粧台等の天板２２０に取付けられて、そのスタンドベース１０の先端にシャワーヘッド２００を支持するとともに、このシャワーヘッド２００に接続された可撓管２１０を、その軸心内に出入自在に収納するものである。そして、この吐水用スタンド１００は、図１及び図２に示すように、主として、可撓管２１０に接続されるシャワーヘッド２００を先端に支持するスタンドベース１０と、このスタンドベース１０の他端に一体化される継手管２０と、この継手管２０を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板２２０に対して取り付けられるホルダー３０とからなり、それぞれの軸心を通して可撓管２１０を出入自在に収納するものである。
【００１３】
なお、この吐水用スタンド１００においては、図１〜図３に示すように、そのスタンドベース１０の先端に取付部１１が突出形成してあり、この取付部１１にシャワーヘッド２００を差し込むことにより、シャワーヘッド２００を図９に示すように支持するようにしてある。特に、実施形態のスタンドベース１０においては、その取付部１１の表面に軸方向のセレーションが形成してあって、これによりシャワーヘッド２００の角度を変えて支持できるようにしてある。換言すれば、この吐水用スタンド１００においては、これによって支持しているシャワーヘッド２００の高さ及び角度調整を図９に示した範囲内で行えるようにしていることは当然として、シャワーヘッド２００による湯水の散水を直下以外の斜め方向にもできるようにしてある。また、湯水が供給されてくる可撓管２１０の他端は、図１に示したように、湯水混合水栓２３０に接続されたものであることは言うまでもない。
【００１４】
ここで、この吐水用スタンド１００における継手管２０とホルダー３０の、何等の操作もしない自然のままにしておかれたときの関係を説明してみると、次の通りである。シャワーヘッド２００は、スタンドベース１０に対してその取付部１１に支持されていることから、その重力はこのスタンドベース１０を介して継手管２０側に掛ることになるが、継手管２０はホルダー３０に対して次のように保持されてするから、シャワーヘッド２００等の重力によって簡単に下がることはない。
【００１５】
すなわち、この継手管２０は、ホルダー３０に対してその軸心に単に挿通されているだけであるが、その外径とホルダー３０の内径とは非常に近接したものとしてあることから、両者間に重力に抗するある程度の摩擦力が生ずる。また、ホルダー３０の下端には、図３に示すように、継手管２０の外径より僅かに小径の内径を有する係合突条３７が一体的に形成してあり、この係合突条３７はホルダー３０の下端を構成している弾性腕３６に一体的に形成してある。勿論、各弾性腕３６は、ホルダー３０の下端に軸方向の切込み３６ａを形成することにより、これ自身が文字通りの弾性を有したものとしてある。さらには、ホルダー３０の先端に螺着されることになるシール部材６０の継手管２０が通る部分には、これに対する摩擦力を生じさせるシール６１が介装してある。
【００１６】
以上のことから、このホルダー３０に単に挿通されているだけの継手管２０については、天板２２０側に固定されるホルダー３０側に対して、種々な摩擦力が生ずるのであり、シャワーヘッド２００等の重力がこの継手管２０に掛ったとしても、この継手管２０は簡単には可動しないのである。勿論、この継手管２０に生ずる摩擦力は、重力に抗するものであっても、人の手で上下させる場合の力に対しては対抗することができないものであり、継手管２０の手による上下動は簡単に行えるものである。
【００１７】
なお、継手管２０の外周には、図３にも示したように、円環状の位置決め凹溝２２が複数形成してあり、この位置決め凹溝２２内にホルダー３０側の弾性腕３６に形成した各係合突条３７が係合することにより、継手管２０のホルダー３０に対するある程度の位置決めが成されるようになっている。すなわち、継手管２０のホルダー３０に対する位置決めは、継手管２０側の位置決め凹溝２２とホルダー３０側の係合突条３７とにより行われるのであり、これにより、継手管２０の上下動はある程度の節度感をもってなされるようになっている。勿論、各位置決め凹溝２２は、ホルダー３０側の係合突状３７を係合させるものであるから、文字通りの凹溝ではなくて、継手管２０の外周に一体的に形成した円環突状であってもよい。
【００１８】
さて、この吐水用スタンド１００においては、図９に示したように、スタンドベース１０と一体的な継手管２０を、天板２２０に固定されているホルダー３０に対して出入したり回動したりして、スタンドベース１０にて支持しているシャワーヘッド２００の高さ及び角度調整を行うものであるが、その場合の作用を本発明の各構成部材との関係で述べてみると、次の通りである。
【００１９】
まず、スタンドベース１０の角度、つまりこれによって支持されたシャワーヘッド２００の天板２２０に対する水平角度の角度調整を行う場合であるが、これを行うには、シャワーヘッド２００またはスタンドベース１０の先端に手を掛けて、図９中の矢印にて示したように、スタンドベース１０及びこれと一体的な継手管２０を回動させるのである。
【００２０】
継手管２０のホルダー３０内における部分にては、図４に示すように、図７にも示す巻回スプリング５０が文字通り巻回されており、その各端部５２は、例えば図８の（イ）にも示すように継手管２０の表面に当接している。従って、継手管２０が回動されたときには、巻回スプリング５０のいずれかの端部５２が継手管２０により一層からみ付くことになり、この巻回スプリング５０と継手管２０とは一体のものとなる。ところが、巻回スプリング５０には係合部５１が形成してあって、この係合部５１はホルダー３０の収納部３１内に収納されているストッパリング４０の係合部４３に係合しているから、継手管２０の回動によって巻回スプリング５０及びストッパリング４０も回動されようとすることになる。
【００２１】
ストッパリング４０は、その一部に設けたストッパ４１（図４に示した例では金属ボールである）がスプリング４２によってホルダー３０側のいずれか一つの凹所３２内に弾発的に係合していることによって、シャワーヘッド２００からの散水による反力ではホルダー３０に対して回動することがないのであるが、今の場合は継手管２０を手で回動させている、つまりシャワーヘッド２００からの散水による反力よりも大きい力によって回動されようとしているため、ストッパリング４０は、そのスプリング４２の付勢力に抗してホルダー３０の収納部３１内にて回動されることになるのである。実施形態のホルダー３０においては、各凹所３２が図５の（イ）にも示すように円周上に多数形成してあるから、ストッパリング４０が継手管２０とともに回動していくと、ストッパ４１は弾発的に各凹所３２内に係合していくことになる。従って、継手管２０の回動は、結果的に節度感をもってなされることになり、使用勝手が良いのである。
【００２２】
換言すれば、継手管２０は円筒であるため、本来ならばホルダー３０内にて自由に回動し得るものなのであるが、ストッパリング４０側のストッパ４１がスプリング４２の付勢力によってホルダー３０側のいずれか一つの凹所３２内に弾発的に係合していることから、ある程度以上の力（具体的にはシャワーヘッド２００からの散水による反力よりも大きい力）を加えることによって、節度感をもって回動されることになるのである。これを逆に述べれば、シャワーヘッド２００からの散水による反力程度では、継手管２０を回動させることができないということであり、シャワーヘッド２００から散水を行っているときに、継手管２０すなわちスタンドベース１０及びこれに支持したシャワーヘッド２００があらぬ方向に回動することはないのである。
【００２３】
今度はスタンドベース１０の高さ、つまりこれによって支持されたシャワーヘッド２００の天板２２０に対する高さ調整を行う場合であるが、この場合には、スタンドベース１０または継手管２０を手に持って上下させればよいのである。この場合には、ホルダー３０の収納部３１内に収納されている巻回スプリング５０は全く何等の作用もしない、つまり継手管２０とホルダー３０、及び継手管２０とシール部材６０とシール６１との間の摩擦力しか作用しないため、継手管２０の上下動は容易に行えるのである。
【００２４】
なお、以下で詳述する実施形態の吐水用スタンド１００では、スタンドベース１０の下端に緩衝材１２が取り付けてあるため、継手管２０最下端まで押し下げたとき、その操作が急激であったとしても、この緩衝材１２がシール６１上に当接することになるから、異音が生じないだけでなくそのときの衝撃を柔げてスタンドベース１０やシール６１を保護することになる。一方、この継手管２０の下端にもＯリング２１ａを有する終端ストッパ２１が形成してあるため、終端ストッパ２１によって継手管２０のホルダー３０から抜け止めがなされているとともに、Ｏリング２１ａがホルダー３０側の下端に対する緩衝材となっているため、継手管２０を勢いよく引き出したときの異音の発生を抑えているだけでなく、ホルダー３０の下端や終端ストッパ２１の保護を行っていることになる。
【００２５】
勿論、この吐水用スタンド１００においては、上述した継手管２０とホルダー３０との間には、ホルダー３０の上端に取付けられるシール部材６０のシール６１が常に介在しているから、継手管２０を伝ってきた水が天板２２０下に入ろうとしても、その侵入はこのシール部材６０側のシール６１によって阻止されることになる。この阻止は、継手管２０がホルダー３０に対してどのような位置にあろうとなされたものであり、しかも常に安定的になされる。このようなシール６１は、吐水用スタンド１００を構成している継手管２０やホルダー３０を円筒状のものに形成できることから、簡単な構成のもの、具体的には円環状のものにより形成できるのであり、そのシール効果を確実に行うことができるのである。
【００２６】
以上課題を解決するために、請求項２に係る発明の採った手段は、上記請求項１の吐水用スタンド１００について、ストッパリング４０のホルダー３０に対する弾発的係止を、ストッパリング４０またはホルダー３０側に出入自在に組付けられてスプリング４２により弾発的に支持されるストッパ４１を、ホルダー３０またはストッパリング４０に対向する面に形成した複数の凹所３２の内のいずれかに係合させることにより行うようにしたことである。
【００２７】
すなわち、この請求項２係る吐水用スタンド１００では、例えばストッパリング４０に一つ形成した収納溝４１ａ内にスプリング４２とストッパ４１とを収納しておき、一方ホルダー３０の収納部３１内に複数の凹所３２を円周上に形成しておいて、ストッパリング４０側の１つのストッパ４１が、ホルダー３０側のいずれか１つの凹所３２内に弾発的に係合させたものである。これにより、シャワーヘッド２００での散水による反力による継手管２０の回動力に抗することができるとともに、継手管２０の手による回動を節度感をもって確実に行うことができるのである。
【００２８】
そして、上記課題を解決するために、請求項３に係る発明の採った手段は、上記請求項１または２に係る吐水用スタンド１００について、その巻回スプリング５０を上側巻回スプリング５０ａと下側巻回スプリング５０ｂの２つにし、例えば図７に示したようなものを上下逆にして、図４に示したように、継手管２０とストッパリング４０との間に介装させることにより、必要な巻回スプリング５０とすることができるのであり、吐水用スタンド１００全体の製造を容易にすることができることは勿論、その組付け作業をも簡単に行うことができるのである。
【００２９】
以上の各発明の作用は、以下の実施形態において示す吐水用スタンド１００が可撓管２１０をその軸心内に挿通するものである場合を中心に説明しているが、これらの作用は、可撓管２１０が吐水用スタンド１００の外側に配置されるものである場合についても同様に言えることである。また、以上のことは、吐水用スタンド１００が吐水管の吐水口を、その位置及び方向が自由に変えられるように支持するものである場合にも同様に言えることである。
【００３０】
【発明の実施の形態】
次に、以上のように構成した各発明を、図面に示した実施の形態である吐水用スタンド１００について説明する。図１〜図７には請求項１〜３の発明を実質的に含む吐水用スタンド１００が示してあり、これを実施例１とする。また、図８には、請求項１及び２の発明を実質的に含む吐水用スタンド１００の概略図が示してあり、これを実施例２とする。そして、この吐水用スタンド１００によっては、シャワーヘッド２００だけでなく吐水管の吐水口を支持することもできるのであるが、以下ではシャワーヘッド２００を支持する場合を中心にして説明することとする。
【００３１】
（実施例１）
図１には、本発明に係る吐水用スタンド１００を洗面化粧台等を構成している天板２２０に取付けた状態が示してあるが、この吐水用スタンド１００の軸心内には、洗面や洗髪に使用される湯水を通すため継手管２０が出入自在に収納されるのであり、この継手管２０の先端にはシャワーヘッド２００が接続してある。そして、このシャワーヘッド２００は、吐水用スタンド１００を構成しているスタンドベース１０の先端（図１では図示左端）に、軸方向のセレーションを有するものとして突出形成した取付部１１に、角度（散水方向）調整自在に抜差されるものであり、洗髪時等における散水を行うものである。なお、可撓管２１０の他端は、図１に示したように、天板２２０等に別途取付けられる湯水混合水栓２３０に接続されるものであり、本実施形態のものでは、天板２２０上に配置される操作レバー２３１によって、当該可撓管２１０側への供給や温度調整が行えるようになっている。
【００３２】
本発明に係る吐水用スタンド１００は、図２及び図３にも示したように、天板２２０に形成した取付穴の上方から挿入されるホルダー３０と、このホルダー３０の軸心穴内に下方から挿通されて上端にスタンドベース１０が取付けられる継手管２０と、ホルダー３０の上端部に取付けられるシール部材６０とを有していて、ホルダー３０はシール材３４ａやスリップ板３４ｂを介して固定ナット３４により天板２２０に固定されるものである。このホルダー３０の天板２２０より上方になる部分は、図４にも示したように、天板２２０の取付穴より大径となるようにしてあり、これにより、天板２２０に対する抜け止めと、内部に後述するストッパリング４０や巻回スプリング５０を収納して組付けるための収納部３１が形成してある。
【００３３】
スタンドベース１０は、図１〜図３に示したように、略Ｌ字状のものであり、その軸心には、その下端に連結される継手管２０と同様に、可撓管２１０を出入自在に収納するための挿通口が形成してある。また、このスタンドベース１０の先端には、これによって支持すべきシャワーヘッド２００の後部が挿入されて所定角度にて支持できるように、軸方向のセレーションを刻設した取付部１１が一体的に形成してある。つまり、この取付部１１は、シャワーヘッド２００を図９に示したような所謂下向きにして支持することもできるものであるし、シャワーヘッド２００の角度を横向きにしても支持できるようにしてあり、このシャワーヘッド２００の取付角度は使用者の好みに合わせてセレーションにより自由に設定できるようにしたものである。
【００３４】
継手管２０は、特に図３に示したように、その上端にて上記スタンドベース１０と一体化されるものであり、その下端にはホルダー３０の内径より大径の終端ストッパ２１が一体的に形成してある。その終端ストッパ２１の上面にはＯリング２１ａが取付けてあり、このＯリング２１ａと同様な緩衝材１２が、当該継手管２０とスタンドベース１０との境界部分にも取付けてある。また、この継手管２０の、特に下部外周には、後述するホルダー３０側の係合突条３７が係合する位置決め凹溝２２が複数（本実施形態では図示したように合計３本）形成してある。
【００３５】
本実施形態における継手管２０は、図３及び図４に示したように、可撓管２１０が直接摺接することになる金属内管２０ａを内側としておき、この金属内管２０ａの外側に合成樹脂によって一体的に形成したものである。この金属内管２０ａを一体化することにより、継手管２０全体として必要な剛性を十分確保するとともに、上述した位置決め凹溝２２あるいはこれに代わる円環突状の一体成形を容易にしているのである。
【００３６】
すなわち、この継手管２０自体を金属内管２０ａそのものによって構成することも可能ではあるが、その金属管の集面に、位置決め凹溝２２やこれに代わる円環突状を直接形成することは一般に困難であり、これらの位置決め凹溝２２やこれに代わる円環突状は、剛性樹脂を材料とする型成形によって形成することが非常に容易だからである。しかも、継手管２０の内側を金属内管２０ａとすることにより、可撓管２１０を摺接させながら出入するものとしての十分な耐久性・剛性を確保するとともに、その外側を剛性樹脂に寄って包み込むことにより、金属内管２０ａについて使用水によるサビの発生を防止することもできるのである。
【００３７】
天板２２０に取り付けられるべきホルダー３０は、図５にも示した構成を有しているものである。すなわち、このホルダー３０は、図５の（ロ）に示したように、「ジョウゴ」状のものであり、その大部分を上記継手管２０を抜差自在に支持する程度の径を有する支持穴としてある。また、このホルダー３０の図示上部内は収納部３１としてあり、この収納部３１の下端面を構成している段部内面には、図５の（イ）に示したように、複数の凹所３２が円周上に並ぶように形成してある。この収納部３１の直下には、後述する収納部３１を収納するためのスプリング収納部３５としてあり、当該収納部３１の外側外周には、後述するシール部材６０を螺着するための螺着部３３が形成してある。
【００３８】
また、このホルダー３０の下端には、図５の（ロ）及び（ハ）に示すように、下端に向けて軸方向に位置する切込み３６ａが複数形成してあり、これらの切込み３６ａの間が弾性腕３６である。各弾性腕３６の下端には、前述した継手管２０側の位置決め凹溝２２内に係合する係合突条３７が一体的に形成してあり、これら各係合突条３７が形成する内径は継手管２０の外径より僅かに小径となるようにしてある。換言すれば、これら各係合突条３７は、これが継手管２０側の位置決め凹溝２２内に係合していないときには継手管２０の表面にある程度の付勢力を有した状態で当接することになるものであり、継手管２０を弾発的に支持することになるものである。
【００３９】
ストッパリング４０は、図４に示したように、上記ホルダー３０の収納部３１内に収納されるものであり、図６に示したようにした構成を有しているものである。すなわち、このストッパリング４０は、これと前述した継手管２０との間に巻回スプリング５０を介装することにより、継手管２０からの回転力を巻回スプリング５０を介して受けるものであり、その外周のある部分には、特に、図６の（イ）〜（ハ）に示したように、巻回スプリング５０の係合部５１を係止するための係合部４３が一体的に形成してある。また、このストッパリング４０は、継手管２０の回転に対して節度感を与えるために、特に図６の（ニ）に示したように、図示上下方向で下端にのみ開口する収納溝４１ａが形成してあり、この収納溝４１ａ内には、図４に示したように、スプリング４２と係合部４３とが挿入してある。
【００４０】
このストッパリング４０をホルダー３０の収納部３１内に組付けたときには、図４に示したようになるのである。すなわち、ストッパリング４０側の金属ボールであるストッパ４１は、その下方に位置しているいずれかの凹所３２内に係合しているのであり、この凹所３２から他の凹所３２にストッパ４１が移動するためには、スプリング４２を圧縮しなければならないことになるものであり、このことによってストッパリング４０のホルダー３０に対する回動をある程度阻止するとともに、継手管２０の手による回動時の節度感を出すようにしている。
【００４１】
以上のようなストッパリング４０と継手管２０との間には、特に図４において詳細に示したように、巻回スプリング５０が介装してある。本実施形態の巻回スプリング５０では、図４及び図６の（ニ）に示したように、巻回スプリング５０を上側巻回スプリング５０ａと下側巻回スプリング５０ｂとの２つのものに分割してある。これらの上側巻回スプリング５０ａまたは下側巻回スプリング５０ｂは、図７に示したように一本の線材から構成したものであり、その一端をストッパリング４０の係合部４３に係止されるべき係合部５１としてあって、この係合部５１とは反対側の端部５２を継手管２０の外周に巻き付くものとしてある。
【００４２】
この巻回スプリング５０は、継手管２０の上下方向の挿通を自由に行えるようにしながら、継手管２０が一旦回動されようとした場合には、その各端部５２・５２がこの継手管２０側に絡み付かなければならないものである。その作用を効果的に行えるように本実施形態の巻回スプリング５０では、その中央部の内径を継手管２０の直径より僅かに大きくするとともに、各端部５２側の内径を継手管２０の直径より僅かに小さくしてある。これにより、各端部５２は、継手管２０が回動されたときにのみ、これに直ちに絡み付くのである。
【００４３】
なお、図７に示したものを上側巻回スプリング５０ａとすれば、これの上下を逆にしたものが下側巻回スプリング５０ｂとなるものであり、両者は全く同じ形状を有したものである。また、下側巻回スプリング５０ｂは、前述したホルダー３０側の、図５の（ロ）にも示したスプリング収納部３５内に収納されることになるものであり、上側巻回スプリング５０ａは、図４及び図６の（ニ）に示したように、ストッパリング４０の内側に収納されることになるものである。
【００４４】
これらの上側巻回スプリング５０ａ及び下側巻回スプリング５０ｂと、上記のストッパリング４０とを収納部３１内に収納したホルダー３０に対しては、図４にも示したように、その外周に形成してあった螺着部３３にシール部材６０が螺着されるのである。このシール部材６０の図示上部には円環状のシール６１が組付けてあるものであり、このシール６１によって当該シール部材６０と継手管２０とのシールを行うようにしているものである。なお、このシール部材６０をホルダー３０に螺着するに際しては、ストッパリング４０等の保持のために、押え板６２が介装されることもある。
【００４５】
（実施例２）
図８には、本発明の第２実施例に係る吐水用スタンド１００の概略斜視図が示してある。この吐水用スタンド１００の、上記第１実施例におけるそれと異なる点は、主として次の二点である。
【００４６】
まず、第一は、巻回スプリング５０としては二本に分割しないで１本の線材により一体的なものとして形成したものを採用している点である。そして、ストッパリング４０の内周面側に、図８の（イ）に示したように、縦方向（軸方向）の係合部４３を形成しておき、一方一本の巻回スプリング５０の中央部に外方へ突出する係合部５１を形成しておいて、この係合部５１を係合部４３内に係合させてこれらを組付けることにより、巻回スプリング５０とストッパリング４０との一体化を図るようにしているのである。これにより、係合部４３の形成や、これに対する係合部５１の係合を継手管２０の軸方向で行えるようにして、いずれも簡単に行えるようにしているのである。
【００４７】
この第２実施例における第１実施例と異なる第二の点は、ストッパリング４０とホルダー３０との弾発的な係合を行うストッパ４１が、図８の（ロ）に特に詳示したように、ストッパリング４０の半径方向に付勢されたものとしたことである。勿論、このストッパ４１が係合すべきホルダー３０側の凹所３２は、図８の（イ）に示したように、ホルダー３０の収納部３１を構成しているフランジの内周面に複数形成してある。
【００４８】
【発明の効果】
以上詳述した通り、まず請求項１に係る発明においては、上記実施の形態において示した如く、
「可撓管２１０に接続されるシャワーヘッド２００等を先端に支持するスタンドベース１０と、このスタンドベース１０の他端に一体化される継手管２０と、この継手管２０を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板２２０に対して取り付けられるホルダー３０とからなる吐水用スタンド１００において、
ホルダー３０の先端側に形成した収納部３１内に収納されて、当該ホルダー３０に弾発的に係止するストッパリング４０と、このストッパリング４０と継手管２０との間に介装されて、端部５２・５２が当該継手管２０の外周に当接しながら巻回されることになる巻回スプリング５０と、この巻回スプリング５０の一部に形成されて、ストッパリング４０との係合を行う係合部５１と、ホルダー３０の先端部に取り付けられて、継手管２０に対するシール６１を有したシール部材６０とを備えたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、シャワーヘッド等の高さや方向調整を自由に行えることは勿論のこと、散水時の反力による影響を受けない安定したものとすることができ、しかも天板下に対するシールを簡単に行うことができ吐水用スタンド１００を提供することができるのである。
【００４９】
また、請求項２に係る発明においては、上記請求項１に係る吐水用スタンド１００について、ストッパリング４０のホルダー３０に対する弾発的係止を、ストッパリング４０またはホルダー３０側に出入自在に組付けられてスプリング４２により弾発的に支持されるストッパ４１を、ホルダー３０またはストッパリング４０に対向する面に形成した複数の凹所３２の内のいずれかに係合させることにより行うようにしたことに構成上の特徴があり、これにより、請求項１の吐水用スタンド１００と同様な効果を発揮することができる他、散水による反力に十分対抗しながらシャワーヘッド等の回動操作を容易に行うことのできる吐水用スタンドを簡単な構成によって提供することができるのである。
【００５０】
さらに、請求項３に係る吐水用スタンド１００は、上側巻回スプリング５０ａと収納部３１とのように、互いに別体で一対の同形状のものとし、かつ上下を逆にして継手管２０に巻回した巻回スプリング５０としたことに特徴を有するものであり、これにより、請求項１または２の吐水用スタンド１００と同様な効果を発揮することができる他、特に巻回スプリング５０の製造や組付作業を簡単に行うことのできる吐水用スタンド１００することができるのである。
【００５１】
そして、以上のような各請求項に係る発明の効果は、当該吐水用スタンド１００によって支持されるものが、シャワーヘッド２００ではなくて吐水管の吐水口であっても同様に言えることである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の吐水用スタンドによってシャワーヘッドを天板上に支持する状態を示した部分破断斜視図である。
【図２】同吐水用スタンドを天板に組付ける前状態を示した斜視図である。
【図３】同吐水用スタンドの縦断面図である。
【図４】同吐水用スタンドのホルダーにおける収納部内を示した部分拡大縦断面図である。
【図５】同吐水用スタンドを構成しているホルダーを示すもので、（イ）は平面図、（ロ）は縦断面図、（ハ）は底面図である。
【図６】同吐水用スタンドを構成しているストッパリングを示すもので、（イ）は背面図、（ロ）は平面図、（ハ）は正面図、（ニ）は上側巻回スプリング及び天板との関係をも示した縦断面図である。
【図７】同吐水用スタンドを構成している巻回スプリングの一例を示すもので（イ）は上側巻回スプリングの正面図、（ロ）は上側巻回スプリングの平面図である。
【図８】本発明の第２実施例に係る吐水用スタンドを示すもので、（イ）はその部分分解斜視図、（ロ）は（イ）中の１−１線に沿ってみた部分拡大断面図である。
【図９】本発明に係る吐水用スタンドによってシャワーヘッドを上下させている状態を示す斜視図である。
【図１０】従来の技術を示す側面図である。
【符号の説明】
１００ 吐水用スタンド
１０ スタンドベース
１１ 取付部
２０ 継手管
２１ 終端ストッパ
２１ａ Ｏリング
２２ 位置決め凹溝
３０ ホルダー
３１ 収納部
３２ 凹所
３３ 螺着部
３４ 固定ナット
３５ スプリング収納部
３６ 弾性腕
３７ 係合突条
４０ ストッパリング
４１ ストッパ
４１ａ 収納溝
４２ スプリング
４３ 係合部
５０ 巻回スプリング
５０ａ 上側巻回スプリング
５０ｂ 下側巻回スプリング
５１ 係合部
５２ 端部
６０ シール部材
６１ シール
２００ シャワーヘッド
２１０ 可撓管
２２０ 天板
２３０ 湯水混合水栓

Claims (3)

1. 可撓管に接続されるシャワーヘッド等を先端に支持するスタンドベースと、このスタンドベースの他端に一体化される継手管と、この継手管を抜差自在でかつ回転自在に支持するとともに、洗面化粧台等の天板に対して取り付けられるホルダーとからなる吐水用スタンドにおいて、
   前記ホルダーの先端側に形成した収納部内に収納されて、当該ホルダーに弾発的に係止するストッパリングと、このストッパリングと前記継手管との間に介装されて、 端部が当該継手管の外周に当接しながら巻回されることになる巻回スプリングと、この巻回スプリングの一部に形成されて、前記ストッパリングとの係合を行う係合部と、前記ホルダーの先端部に取り付けられて、前記継手管に対するシールを有したシール部材とを備えたことを特徴とする吐水用スタンド。
2. 前記ストッパリングの前記ホルダーに対する弾発的係止は、前記ストッパリングまたはホルダー側に出入自在に組付けられてスプリングにより弾発的に支持されるストッパを、前記ホルダーまたはストッパリングに対向する面に形成した複数の凹所の内のいずれかに係合させることにより行うようにしたことを特徴とする請求項１に記載の吐水用スタンド。
3. 前記巻回スプリングは、互いに別体で一対の同形状のものとし、かつ上下を逆にして前記継手管に巻回したことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の吐水用スタンド。

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