JP3186789B2 - 亜酸化チタンの製造方法 - Google Patents

亜酸化チタンの製造方法

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    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G23/00Compounds of titanium
    • C01G23/04Oxides; Hydroxides
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有色顔料、導電性フィ
ラー、蒸着材等に用いる亜酸化チタン製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、亜酸化チタンは、二酸化チタ
ンとは異なり、還元反応によって茶褐色、灰色、黒紫色
あるいは黒色など多様の色調を現出するうえに、良好な
導電性を有するため、有色顔料や各種材料の導電性フィ
ラーとして汎用されているが、近時、光学系、オプトエ
レクトロニクス等の分野で基材面に二酸化チタンの薄膜
を形成するための蒸着材料として利用が図られている。
【0003】従来、亜酸化チタンを製造する手段には、
二酸化チタンを水素またはアンモニア等のガスで高温還
元する方法(特公昭59‐50604 号公報、特開昭57‐2053
22号公報)、二酸化チタンと金属チタンの混合物を真空
中または還元雰囲気中で加熱する方法(特開昭49‐5432
号公報)が典型的な技術としてしられている。これらの
方法は固相−気相系あるいは固相−固相系の原料組成に
よる還元反応を利用するもので、得られる亜酸化チタン
は一般に TiO、Ti2 3 、Ti3 5 、Ti4
7 、Ti5 9 の組成を有し、いずれも焼結体である。
【0004】亜酸化チタン蒸着材による二酸化チタンの
被膜は、抵抗加熱、電子ビーム加熱等で溶解したのち基
材面に真空蒸着する方法で形成されるが、この際、前記
のTiOやTi2 3 はガス吸着作用を起こし. またT
4 7 やTi5 9 は逆にガス発生作用を起こして真
空槽内の雰囲気を一定に保ち得ない。その点、Ti3
5 は減圧、高温雰囲気下で極めて安定であるが、前記の
従来技術で製造されたTi3 5 で表される亜酸化チタ
焼結体(以下、単に亜酸化チタンという。)を蒸着材
とした場合には、真空加熱状態でのスプラッシュ現象が
著しく多発する。スプラッシュ現象が多く発生すると、
基材面への均一な蒸着が著しく阻害されるばかりでな
く、蒸着装置に蒸着物が付着したり、電子銃フィラメン
トが酸化変質する等のトラブルを招く。この現象を避け
るために、スプラッシュが鎮静化してから膜付け操作を
行うこともできるが、この場合には時間のロスが大きく
なる。従って、二酸化チタン形成薄膜材料に求められる
要件は、ガス発生やガス吸収を起こさず、かつスプラッ
シュ現象を生起せず、不純物の少ないものが好ましいと
されている。
【0005】このような問題を解消するために有効な亜
酸化チタンの製造方法として、粒度80μm 以下の水素
化チタン粉末と二酸化チタンとの混合物を 700〜1600℃
の温度域において真空または不活性ガス雰囲気下で加熱
焼成する技術が、本出願人によって開発されている(特
開平1 ‐290529号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】該先行技術によれば、
製造される亜酸化チタンが蒸着に好適な粒子状態を呈し
ており、またガス成分や不純物の含有量を効果的に低減
化されているため、スプフッシュやアウトガスの発生は
従来技術に比べてかなり減少させることが可能となる。
しかしながら、この製法で得られる亜酸化チタンは不純
物も少なくガス発生もないが、スプラシュ現象に対す
る防止効果については十分とはいえない。
【0007】本発明は、二酸化チタンを還元・焼結して
亜酸化チタンを得るというこれまでの製造技術とは全く
異なるプロセによって蒸着材用亜酸化チタンを製造す
る方法を対象とするもので、その目的は蒸着時の真空加
熱段階におけるスプラッシュ現象を効果的に低減化し得
る蒸着用亜酸化チタンの製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による蒸着用のTi 3 5 の組成を有する
酸化チタンの製造方法は、二酸化チタンと金属チタン粉
末および/または水素化チタン粉末とを、重量比で8〜
9:1の割合で混合することによって得られる混合粉末
を、1Torr以下の真空状態に保持し1800℃以上で2
000℃を超えない温度に加熱することを構成上の特徴
とするものである。
【0009】本発明の原料となる二酸化チタンは、硫酸
法、塩素法のいずれの方法で製造されたものでもよく、
また結晶型はアナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型の
いずれであっても差し支えない。該二酸化チタンは粉末
として使用されるが、その粒度には特に制約はない。た
だし、二酸化チタンとしての純度が可能な限り高いもの
が好ましい。二酸化チタンと共用する他方の原料となる
金属チタンおよび/または水素化チタンも粉末として使
用されるが、該金属粉末は通常市販のものを適宜選択し
て用いることができる。
【0010】上記の原料は、ボールミルまたは振動ミル
等によって均一に混合された混合粉末を形成したのち溶
解工程にかけられる。金属チタン粉末および/または水
素化チタン粉末と二酸化チタン粉末とを混合して原料と
する際には、配合割合を重量比で1 :8 〜9 の範囲に設
定し、上記の機械的手段で乾式もしくは湿式法によって
混合する。
【0011】溶解工程は、原料の混合粉末を真空雰囲気
に保持された加熱装置、好ましくは電気炉に移し、二酸
化チタンが溶解する温度以上に加熱することによって行
われる。好適な溶解条件は、加熱時の雰囲気を1 Torr
以下の真空状態に保ち、温度を1800℃以上の範囲に設定
することである。この真空度において、加熱温度を1800
℃未満にすると二酸化チタンの溶解が円滑に進行せず、
他方、2000℃を超えると生成した亜酸化チタンが蒸発し
て収率が低下する。
【0012】溶解後は、真空または不活性ガス雰囲気中
で炉冷し、生成したTi 3 5 の組成を有する亜酸化チ
タンを製品として取り出す。
【0013】
【作用】本発明によれば、原料となる二醗化チタン粉末
と金属チタン粉末および/または水素化チタン粉末との
混合粉末を単に真空雰囲気下で溶解することにより、T
3 5 を主体とする低次酸化形態の亜酸化チタンに転
化する。この際、溶解工程が真空雰囲気下で行われるか
ら、原料の二酸化チタン粉末、金属チタン粉末および水
素化チタン粉末中に含まれている不純物成分は効果的に
揮散除去される。
【0014】このような作用を介して、蒸着時の真空加
熱段階でスプラッシュ現象を生じない高品質のTi 3
5 の組成を有する亜酸化チタンを製造することが可能と
なる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を、比較例と対比して
説明する。 実施例1 二酸化チタン粉末と金属チタン粉末とを9 :1 の重量比
で配合し、ボールミルを用いて12時間乾式混合して混合
粉末とした。ついで、この混合粉末を耐熱ルツボに入れ
て電気炉に移し、炉内を1Torr以下の真空に保持しなが
ら1850℃の温度で20分間加熱して溶解し、そのまま炉冷
した。
【0016】得られた生成物は赤紫色を呈しており、そ
の化合物組成を粉末X線回折法で測定した結果、Ti3
5 であることが確認された。この亜酸化チタンをEB溶
解炉で溶解し、真空下でスプラッシュの状況を観察した
ところ、スプラッシュ現象は認められなかった。
【0017】実施例2 水素化チタン粉末と二酸化チタン粉末とを重量比で1 :
9 の割合で配合し、ボールミルにより12時間乾式混合処
理を施した。この混合粉末を耐熱ルツボに入れて電気炉
に移し、炉内を1Torr以下の真空雰囲気に保持しながら
1850℃の温度で15分間加熱して溶解し、そのまま炉冷し
た。
【0018】得られた生成物は赤紫色を呈しており、そ
の化合物組成を粉末X線回折法で測定した結果、Ti3
5 であることが確認された。この亜酸化チタンをEB溶
解炉で溶解し、真空下でスプラッシュの状況を観察した
ところ、スプラッシュ現象は認められなかった。
【0019】比較例1 水素化チタン粉末555gと二酸化チタン粉末4445g を配合
し、乾式混合機で12時間混合したのち、機械式成形プレ
スを用いて直径10mm、厚さ4 mmの錠剤形べレットに成形
した。ついで、このべレットを真空雰囲気炉に入れ、12
20℃の温度で8時間加熱して還元焼成した。得られた焼
結体は黒紫色を呈しており、その化合物組成を粉末X線
回折法で測した結果、Ti3 5 であることが確認さ
れた。この亜酸化チタンをEB溶解炉で溶解し、真空下で
スプラッシュの状況を観察したところ、スプラッシュ現
象が多く発生した。
【0020】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば従来の還
元焼結法とは異なり、二酸化チタン粉末と、金属チタン
粉末および/ または水素化チタン粉末とを、重量比で8
〜9:1の割合で混合することによって得られる混合粉
末を単に真空雰囲気下で溶解処理することにより蒸着時
の真空加熱過程で発生するスプラッシュ現象を効果的に
低減化することができるTi 3 5 の組成を有する亜酸
化チタンを製造することができる。したがって、常に円
滑で高品質のチタン系蒸着薄膜を形成するための蒸着材
を安価に生産供給することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−290529(JP,A) 特開 昭62−203659(JP,A) 特開 昭63−277506(JP,A) 特開 平4−224113(JP,A) 特開 平4−325416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 23/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化チタン粉末と、金属チタン粉末お
    よび/または水素化チタン粉末とを重量比で8〜9:1
    の割合で混合して得られる混合粉末を、1Torr以下の
    状態に保持し1800℃以上で2000℃を超えない
    温度に加熱することを特徴とするTi 3 5 の組成を有
    する亜酸化チタンの製造方法。
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