JP3160309B2 - 薄膜形成方法 - Google Patents
薄膜形成方法Info
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Description
タンタル膜を形成する薄膜形成方法に関する。
材料を電子銃や抵抗加熱によって完全に溶融して蒸着さ
せ、これにより対象物面に蒸着膜を形成するものであ
る。蒸着用材料として五酸化二タンタルを用いて形成し
た五酸化二タンタル蒸着膜は屈折率が高く、また硬度が
高いため、従来からフィルター・ダイクロイックミラー
等の多層膜の高屈折物質として使用されている。
酸化二タンタル粉末をプレス成形し燒結体としたペレッ
トやターゲットが用いられる。
は、溶解時に分解して酸素の放出が著しいため、チャン
バー内が蒸着可能な真空度に達するまで時間かかかるう
え、その加熱時間の長さは大量の輻射熱を発生させ、熱
に弱いプラスチック表面に蒸着を行なう場合には、基板
に変形などの悪影響を与えることがある。また、蒸着材
料の完全な溶融が起きないと蒸発が起こらず、部分的に
溶融した状態では、その部分から溶けて流れだした材料
が冷却された容器で急激に冷やされ、あたかも突沸現象
のような状態を起こす等の問題がある。
で、その目的とする所は電子ビームの照射による溶融の
際の酸素の発生量が少なく、従って溶融時間を短縮し
得、更にあたかも突沸のような現象を生じることなく五
酸化二タンタルからなる薄膜を形成する薄膜形成方法を
提供することにある。
二タンタルと金属タンタルを所定の割合で混合し、その
混合物を不活性雰囲気中で、少なくとも燒結できる程度
の高温で加熱処理してペレット状等の各種形状にして得
られる蒸着材料によって達成される。即ち、本発明は五
酸化二タンタルと、前記五酸化二タンタルに対して4〜
55重量%の割合の金属タンタルとを燒結してなる蒸着
用材料に関するものである。
及び金属タンタルは特に制限はなく、いずれのものでも
使用できるが、燒結し易いように適度の粒度の粉末状の
ものが好ましい。これらの平均粒径としては五酸化二タ
ンタルは0.5〜1μm程度で、金属タンタルとしては
10〜50μm程度であることが好ましい。
及び金属タンタルを燒結するものであるが、燒結前に予
め両者を混合することが望ましい。混合方法としてはボ
ールミルを用いる方法等がある。
合割合は、五酸化二タンタルに対して4〜55重量%と
するものである。この場合、金属タンタルの量が4重量
%以下であると、加熱溶融時における酸素の放出防止に
対する効果があまり無い。55重量%以上であると金属
タンタル自体の突沸現象が逆に激しくなり、また金属タ
ンタルの影響により形成した蒸着膜の光透過性が悪くな
り、光吸収が多くなるので好ましくない。
結して本発明に用いる蒸着用材料とするものである。
このため真空中又はN2 やAr等の不活性ガス中で加熱
することが好ましい。加熱温度は金属タンタルの配合割
合によっても異なるが、1450〜1600℃とするこ
とが好ましい。加熱時間は2〜6時間程度である。上記
燒結を行なう装置としては、例えば真空電気炉等があ
る。
は、ペレット状、顆粒状、その他の形状にすることがで
きる。
銃を使用した場合その溶け始める温度が2100℃、蒸
発する温度が2500℃なのに対して、上記のようにし
て製造した本発明に用いる蒸着用材料は、溶け始める温
度が2300℃、蒸発する温度が2500℃で、溶ける
温度と蒸発する温度の差が小さい。そのために溶解が始
まるとすぐ蒸発を起こさせることができ、蒸着に際し基
板に対する輻射熱の影響を少なくする。また、溶融温度
と蒸発温度の差が少ないため粘性が大きく、材料が流れ
出すのを防ぐことができる。
明する。実施例 1 五酸化二タンタル(平均粒径0.7μm)と金属タンタ
ル(平均粒径45μm)を87:13の重量比で混合し
プレス成形した後、真空中で約4時間1500℃で燒結
を行なって蒸着用ペレットを得た。次いで真空槽(チャ
ンバー)中に配置された電子ビーム蒸着用ハースにその
ペレットをセットし、装置内を1×10-5Torrになるま
で排気した後、電子ビームによってこれを溶解し、光学
的膜厚nd=375nmになるように蒸着した。ペレット
の溶解時の真空槽の全圧の経時変化を図1に、また酸素
の分圧を図2に示した。比較例として測定した五酸化二
タンタル単体においての蒸発時の全圧変化(図3)及び
酸素分圧(図4)に比べ、本発明のペレットは明らかに
分解ガスが少なかった。通常、五酸化二タンタルを蒸着
用材料として用いて蒸着を行なう際には、生成する蒸着
膜の光吸収防止のため1×10-4Torrの酸素雰囲気下で
蒸着する。本実施例による蒸着用材料も同様に1×10
-4Torrの酸素雰囲気下で、300℃に保ったガラス基板
上に光学的膜厚nd=125nmとなるように蒸着した結
果、屈折率は2.10であり、通常の五酸化二タンタル
を蒸着した場合となんら変わりはなかった。この場合、
材料から発生する酸素量が少ないため溶融時間は従来の
10%と少ないものであった。また、材料は図5の様に
溶けるため、流れ出すことなく、突沸に類似した現象も
起こらなかった。
料は、金属タンタルと五酸化二タンタルの混合焼結体で
あるが、両者の間での反応はほとんど進んでいない。し
かし、焼結条件によって多少の酸素含有量の異なるタン
タル酸化物が生成することがあるが、これは本発明の蒸
着用ペレットになんら影響を与えるものではない。 実施例 2 五酸化二タンタル(平均粒径0.7μm)と金属タンタ
ル(平均粒径45μm)を95:5の重量比で混合し、
実施例1と同様に真空雰囲気中において1500℃で4
時間加熱して蒸着用ペレットを作成し、同様な蒸着を行
なったところ、蒸着時に放出ガスが発生したが、五酸化
二タンタル単体蒸着ペレットの場合の放出ガスの約50
%で、はるかに少なかった。 実施例 3 五酸化二タンタル(平均粒径0.7μm)と金属タンタ
ル(平均粒径45μ、)を50:50の重量比で混合
し、蒸着ペレットを作成した。焼結は真空雰囲気中にお
いて1500℃で4時間の加熱であった。実施例1と同
様に蒸着を行なったところ、実施例1と同様に蒸着でき
たが、金属タンタルの影響によりわずかな突沸のような
現象がみられた。
法によれば、酸素の放出量が減少し、また蒸着し易くな
ったために蒸着時間の短縮、及び基板への熱的影響の減
少、突沸のような現象の防止が可能となった。
の全圧力の経時変化を示すグラフである。
の分圧の経時変化を示すマススペクトルである。
比較例におけるチャンバー内の全圧力の経時変化を示す
グラフである。
比較例におけるチャンバー内の分圧の経時変化を示すマ
ススペクトルである。
発明に用いた材料(Ta2O5+Ta)の蒸着残渣を示す概略
図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 五酸化二タンタルと、前記五酸化二タン
タルに対して4〜55重量%の割合の金属タンタルとを
焼結してなる蒸着用材料を、真空中で電子ビームの照射
によって溶解及び蒸発させ、その蒸気を基材上に堆積さ
せることによって五酸化二タンタルからなる薄膜を形成
する薄膜形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12175191A JP3160309B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | 薄膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12175191A JP3160309B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | 薄膜形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04325669A JPH04325669A (ja) | 1992-11-16 |
JP3160309B2 true JP3160309B2 (ja) | 2001-04-25 |
Family
ID=14818987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12175191A Expired - Lifetime JP3160309B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | 薄膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3160309B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102004049996A1 (de) | 2004-10-14 | 2006-04-20 | Merck Patent Gmbh | Aufdampfmaterial zur Herstellung hochbrechender Schichten |
JP5284822B2 (ja) * | 2008-03-03 | 2013-09-11 | 東邦チタニウム株式会社 | 酸化タンタル蒸着材、その製造方法、および酸化タンタル蒸着膜の製造方法 |
JP5426136B2 (ja) * | 2008-10-16 | 2014-02-26 | 東邦チタニウム株式会社 | 酸化タンタル蒸着材、その製造方法、および酸化タンタル蒸着膜の製造方法 |
-
1991
- 1991-04-25 JP JP12175191A patent/JP3160309B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04325669A (ja) | 1992-11-16 |
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