JP3184707U - ピンチロール及びラッパーロール - Google Patents

Abstract

【課題】ピンチロールに局部面圧が加わることを防止するピンチロール及びラッパーロールを提供する。
【解決手段】クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部６と、前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、を有することを特徴とする熱延工場に設置されるピンチロール。前記ロール胴部の胴部表面には、肉盛溶接層が形成されており、前記溶射層は、前記肉盛溶接層の上に形成されている。クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部６と、前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、を有することを特徴とする熱延工場に設置されるラッパーロール。
【選択図】図１

Description

本考案は、熱延工場に配置されるピンチロール、ラッパーロールに関する。

図４は、熱延工場巻取り設備のロール構成を示す図である。
熱延工場巻取り設備は、仕上げ圧延機にて定寸に圧延された４００〜９００℃の高温鋼板１０を巻き取る複数のコイラー３および各コイラー３の前段に位置する上、下ピンチロール１、２を備える。これら複数のコイラー３および上、下ピンチロール１、２は、同一の圧延ラインに設けられる。

上、下ピンチロール１、２は、仕上げ圧延機から搬送される鋼板１０を、斜め下方のコイラー３側に方向転換させて該コイラー３に巻き取らせるか、そのまま水平に搬送して下流側のコイラー３に巻き取らせる。上、下ピンチロール１、２は、コイラー３が鋼板１０を安定して巻き取れるように鋼板１０に後方への張力を付与する機能も有する。

コイラー３は、鋼板１０を巻き取るマンドレル４、およびマンドレル４の周囲に配置されて鋼板１０をマンドレル４に押し付ける複数のラッパーロール５を備える。ラッパーロール５は、鋼板１０と接触する胴部と、胴部と一体の軸部とを備える。

上ピンチロール１、下ピンチロール２及びラッパーロール５は、従来、硬化肉盛材によってロール表面が肉盛されていたが、摩耗量が大きいため、ロールクラウン量を大きくすることにより、グリップ力を強化していた。

特開２００８−２９１３００号公報

ロール表面（最外層）を硬化肉盛層ではなく溶射皮膜で形成する場合、溶射皮膜は、硬化溶接層よりも耐摩耗性に優れるため、ロールクラウン量を硬化肉盛の場合と同じにすると、長期間大きな局部面圧が加わり、溶射皮膜の劣化による肌荒れが問題となっていた。

そこで、本願発明は、ピンチロール、ラッパーロールなどの熱延工場ロールに局部面圧が加わることを軽減することを目的とする。

本考案のピンチロールは、（１）クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部と、前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、を有することを特徴とする熱延工場に設置されるピンチロール。

（２）前記ロール胴部の胴部表面には、肉盛溶接層が形成されており、前記溶射層は、前記肉盛溶接層の上に形成されていることを特徴とする（１）に記載のピンチロール

本考案のラッパーロールは、（３）クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部と、前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、を有することを特徴とする熱延工場に設置されるラッパーロール。

前記ロール胴部の胴部表面には、肉盛溶接層が形成されており、前記溶射層は、前記肉盛溶接層の上に形成されていることを特徴とする（３）に記載のラッパーロール。

ラッパーロールの概略断面図である。 胴部の表層部の拡大断面図である。 ラッパーロールの概略断面図である（変形例）。 熱延工場巻取り設備のロール構成を示す図である。

以下、本考案の実施形態について図面を参照しながら説明する。図１は、ラッパーロール１００の概略断面図である。二点破線は、ラッパーロール１００の中心軸を示している。ラッパーロール１００は、鋼板を巻き取るマンドレル（図４のマンドレル４参照）の周囲に複数配置され、マンドレルに鋼板を押し付けるものである。ラッパーロール１００は、胴部６及び軸部７を備える。

胴部６は、鋼板と接触して鋼板をマンドレルに押し付ける。胴部６は、機械構造用炭素鋼（ＳＣ）からなり、円柱状かつ中実である。胴部６表面は、中心軸方向端部側から中心軸方向中心側に向かって円弧上に盛り上がるクラウン形状に形成されている。胴部６のロールクラウン量Ｓ１は３ｍｍ以下に設定されている。ここで、ロールクラウン量Ｓ１とは、胴部６における最大半径Ｒ１と最小内径Ｒ２との差分、つまり、内径差のことであり、最大半径Ｒ１は胴部６の中心軸方向中心部での内径であり、最小半径Ｒ２は胴部６の中心軸方向端部での内径である。すなわち、本実施形態のロールクラウン量Ｓ１は、ロール表面に硬化肉盛材のみを肉盛した従来のロールよりも、小さい値に設定されている。

図２は、胴部６の表面の一部における拡大図である。胴部６の表面には、硬化肉盛層６４及び溶射層６５からなる被膜層が形成されている。硬化肉盛層６０は、胴部６の表面に肉盛材料を肉盛溶接することにより構成されている。肉盛材料は、組織をマルテンサイト化するための高Ｃｒ、Ｍｏ、Ｖ等を含有した材料を用いることができる。

溶射層６５は、硬化肉盛層６４の上に溶射材料を溶射してフュージングすることにより形成されている。溶射材料には、例えば、Ｎｉ基、Ｎｉ−Ｃｒ基又はＣｏ基の合金にＢとＳｉを１％〜数％程度添加して材料を用いることができる。フュージング処理を行うことにより、硬化肉盛層６４との密着力が高く、緻密で耐食性に優れる溶射皮膜を形成することができる。

上述の構成によれば、胴部６の最外層に溶射層６５が形成されているため、胴部６表面を硬化肉盛層のみで構成した場合よりも、鋼板通板時の摩耗量を少なくすることができる。
すなわち、鋼板のグリップ力に影響する胴部６表面の形状を長期間維持できるため、巻き取り形状を良好に維持することができる。

また、ロールクラウン量Ｓ１が３ｍｍ以下に制限されているため、鋼板の通板時に溶射層６５に加わる負荷が分散され、溶射層６５の肌荒れを防止することができる。

（変形例１）
上述の実施形態では、ラッパーロール１００のロールクラウン量Ｓ１を３ｍｍ以下に制限する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ピンチロールにも適用することができる。すなわち、本願発明は、仕上げ圧延機から搬送される鋼板を、コイラー側に方向転換させて、コイラーに巻き取らせる、上ピンチロール、下ピンチロールにも適用することができる。これらの上ピンチロール及び下ピンチロールについては、説明を繰り返さない。

（変形例２）
上述の実施形態では、ラッパーロール１００の胴部６表面が円弧状に形成された場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。図３は、図１に対応しており、変形例２のラッパーロール１００´の断面図である。ラッパーロール１００´の胴部６´表面は、中心軸方向両端部から中心軸方向中央側に向かって一定の比率で盛り上がる一対の傾斜部６１´と、これらの傾斜部６１´に連設し、中心軸方向中央部を含んで中心軸方向に延びる水平部６２´とから構成されるクラウン形状に形成されている。ロールクラウン量Ｓ１´は、３ｍｍ以下に設定されている。このように、本願発明はロール表面が台形形状に盛り上がったラッパーロール１００´にも適用することができる。また、本願発明は、ロール表面が台形形状に盛り上がったピンチロールにも適用することができる。

４…マンドレル、６…胴部、７…軸部、１０…鋼板、６４…硬化肉盛層、６５…溶射層、１００ １００´…ラッパーロール。

Claims (4)

1. クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部と、
   前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、
   を有することを特徴とする熱延工場に設置されるピンチロール。
2. 前記ロール胴部の胴部表面には、肉盛溶接層が形成されており、
   前記溶射層は、前記肉盛溶接層の上に形成されていることを特徴とする請求項１に記載のピンチロール
3. クラウン量が３ｍｍ以下のロール胴部と、
   前記ロール胴部の表面に形成される被膜であって、最外層に位置する溶射層と、
   を有することを特徴とする熱延工場に設置されるラッパーロール。
4. 前記ロール胴部の胴部表面には、肉盛溶接層が形成されており、
   前記溶射層は、前記肉盛溶接層の上に形成されていることを特徴とする請求項３に記載のラッパーロール。
   
   
   
   

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