JP3182559B1 - 釣 糸 - Google Patents

釣 糸

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JP3182559B1
JP3182559B1 JP2000225783A JP2000225783A JP3182559B1 JP 3182559 B1 JP3182559 B1 JP 3182559B1 JP 2000225783 A JP2000225783 A JP 2000225783A JP 2000225783 A JP2000225783 A JP 2000225783A JP 3182559 B1 JP3182559 B1 JP 3182559B1
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Abstract

【要約】 【課題】 高強度、高引張り弾性率、低破断伸度等の卓
越した力学的性能に加え、優秀な耐海水性、耐候性、撚
セット能と摩擦特性を有する釣糸を提供する。 【解決手段】 引張り強度4.5GPa以上、引張り弾
性率180GPa以上、破断伸度4%以下の物性値を有
するPBO繊維又は引張り強度2.0GPa以上、引張
り弾性率100GPa以上、破断伸度5%以下の物性値
を有するパラ系アラミド繊維のフィラメント糸表面に、
3〜10重量%の微細粒TiO2 顔料或いは微細粒複
合酸化物系顔料を配合した弗素系樹脂をコーティングし
た釣糸を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた釣糸に求め
られる必須の要求機能である、高強度、高引張り弾性
率、低破断伸度等の卓越した力学的性能に加え、耐候性
と撚セット能をも改良した釣糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に釣糸は、リール巻或いは竿先から
ハリス迄の比較的太い道糸と、道糸から釣り針までのハ
リスとから構成され、これ等釣糸に共通して要求される
必須の要求機能として、 (イ)引張り強度が大きいこと (ロ)引張り弾性率が大きいこと (ハ)引っ掛け強度が大きいこと (ニ)結節強度が大きいこと (ホ)破断伸度が小さいこと (ヘ)吸湿による(湿潤時)物性変化が少ないこと 等の力学的性能に優れているることと、 (ト)吸湿、吸水性が低く、膨潤せず湿潤により物性低
下しないこと (チ)適度な(1.0以上で余り大きくない)比重を有
すること (リ)耐候性(耐光性)が優秀で物性低下しないこと (ヌ)動摩擦係数が小さく耐摩耗性優秀なこと (ル)青〜緑系の魚が警戒しない色に着色できること 等の諸要求物性を満足することが要求される。
【0003】そしてハリスに比し太く、通常4つ打ちな
いし8つ打ち程度の組紐を編組されて使用される道糸に
おいては、上記物性に加え、 (オ)組紐編組及び撚りのセット能があること (ワ)弾性回復性、弾発性が優秀でクリープを起こさな
いこと 等が要求される。
【0004】即ち、上記諸物性の釣糸に要求される性能
における実用的意義は、 (a)要求機能の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、
(ワ)は、文字通り強い釣糸をもたらすための要求機能
であり、この性能が優秀なほど細い釣糸で(所謂ハリス
切れなく)大物を釣り上げることが可能で、魚に関知さ
れ警戒心を与えることが少なくなるゆえ、釣りの成果が
上がり、又道糸においては、この性能が優秀なほど目的
に対し、より細い道糸が使用できるため、潮流に対する
抵抗が減じ潮流で流され難くなり、魚信関知能にも優れ
た性能を提供できるのである。更に、目的に対し、より
細い釣糸が使用可能であるというメリットは、リールへ
の巻取り長が増し、重量も軽く極めて有利であるのみな
らず、高弾性率の釣糸素材適用時においても、剛性が高
くなり過ぎるために生じる様々な障害抑制に役立ち極め
て有意義で効果的である。
【0005】(b)要求機能(ロ)、(ホ)、(ワ)
は、伸び難い釣糸を提供し、魚信関知能に優れた釣糸を
提供するために必須の要求機能であり、又魚信を受けた
際の合わせの”釣糸−釣り針−魚”間への優秀な反応能
付与のために必須の、極めて重要な要求機能でもある。 (c)要求機能(ヘ)、(ト)は、釣糸が水中で使用さ
れることを考えれば、乾燥時に幾ら優秀でも水中で或い
は湿潤時に物性低下しては元も子もなくなる故、釣糸の
機能を維持するために必然的に要求される必須の要求機
能である。又、同様に釣糸が水中で使用されることを考
えれば、要求機能(チ)も釣糸が水中に沈まなけねばな
らない故、必然的に要求される必須の要求機能である。
【0006】(e)要求機能(リ)は、釣りは強い太陽
光や風雨に曝されながら行われるものであり、光や風雨
に対する暴露による釣糸の物性劣化は、最小限度に留め
ねばならない故、必須の極めて重要な要求機能である。 (f)要求機能(ヌ)も、釣糸はリール、釣竿等の各種
ガイドと絶えず高負荷の動的摩擦を受けて使用されるも
のであり、又、魚の釣り上げ時に岩礁や船縁ほかとも擦
られながら釣り上げられるものであるため、優れた耐摩
耗性が要求され、又優れた遠投性を維持するためには動
摩擦係数が低いことが必須で、これ又必須の極めて重要
な要求機能である。
【0007】(g)更に実用面で弾性回復性、弾発性、
即ち要求機能(ワ)は、リールへの巻きぐせ等を残さな
いためにも必要な機能であり、要求機能(ル)は魚に警
戒心を起こさせない色に着色する必要があるために必要
な機能である。 (h)又セット性能に関する要求機能(オ)は、撚をか
け複数本打ちの組紐を編組して構成させる道糸の製造
上、撚ならびに組紐を編組するために必須の極めて重要
な要求機能である。
【0008】従って、釣糸の改善、開発はこれ等の要求
特性をより満足せしめ得る素材と構成を探り、選び、改
良を試みて発展して来たのであり、従来提案された発明
を見ても、かかる要求機能を満足せしめるために、その
時点時点で存在する最適の素材と構成を選択、選定し開
発して来たことを、その発展の歴史が如実に物語ってい
るのである。
【0009】即ち、釣糸開発初期段階においては、先ず
力学的性能[(イ)〜(ホ)、(ワ)]のより高い釣糸
を提供するために、当時市販される繊維中で力学的性能
に優れる高強力ナイロンフィラメント糸が選定され用い
られたが、該釣糸は一応の力学的性能は有するものの、
要求機能(ヘ)、(ト)が満足できず吸湿性があり、湿
潤時(吸水による)物性低下が大きく、又引張り弾性率
が比較的低く、特に湿潤時は、引張り弾性率低下が大き
いため負荷時の伸張量が比較的大きく、それに替わる要
求機能(ヘ)、(ト)を満足する吸湿性が低く、湿潤時
の物性低下が少ない引張り弾性率もより高い釣糸素材の
開発が望まれ、ポリビニリデンクロライドの高強力フィ
ラメント糸や、高強力ポリエステルフィラメント糸の釣
糸が開発され使用されるに至った。
【0010】しかしながら、これらポリビニリデンクロ
ライド及びポリエステルの高強力フィラメント糸の釣糸
は、要求機能(ヌ)を満足できず、耐摩耗性と滑り性に
劣り、摩耗損傷が大きく滑り性も充分でなく、遠投性能
に欠け、衝撃強力に欠ける難点があり必ずしも目的を充
分に満足できなかった。
【0011】そこで、前述の如く高強力ナイロンフィラ
メントの釣糸は、湿潤時の物性低下が大きく要求機能
(ヘ)、(ト)を満足できず、釣糸として充分満足でき
る機能を持たないため、これらの欠陥を解消させるため
に、高強力ナイロンフィラメント糸をベースとし、特開
昭63−175179号公報及び特開平2−26987
7号公報に見られるような、高強力ナイロンフィラメン
ト糸に弗素系樹脂或いは有機ケイ素系樹脂のコーティン
グを施し、ナイロンフィラメントの吸湿による物性低下
を解消せしめた釣糸の開発がなされるに至ったのであ
る。
【0012】この弗素系樹脂或いは有機ケイ素系樹脂の
コーティングによる湿潤時ならびに吸水膨潤による物性
低下解消法[要求機能(ヘ)、(ト)の付与]と、摩擦
特性における欠陥の解消法[要求機能(ヌ)の付与]
は、その後各種釣糸の該性能改善手段として広く応用さ
れるに至った。
【0013】即ち、その一例を挙げると、特開平9−2
62046号公報に開示されているように、釣糸として
耐衝撃強度が不充分であった、ポリエチレンテレフタレ
ートフィラメント(PET)釣糸の耐衝撃強度改善のた
め開発された、ポリプロピレンテレフタレートフィラメ
ント(PPT)、ポリブチレンテレフタレートフィラメ
ント(PBT)釣糸にも、摩擦特性改善のためにも弗素
系樹脂或いは有機ケイ素系樹脂のコーティング法が適用
されているのである。以上が汎用の高強力フィラメント
ヤーンを用いた釣糸開発技術の発展経過概要である。
【0014】要求機能[(イ)〜(ホ)、(ワ)]をよ
り高く満足する強い釣糸を望む要望と、アラミド繊維、
高分子量ポリエチレン繊維、ポリベンザゾール(PB
Z)繊維などの、従来の汎用高強力繊維の力学的物性に
比し(例えば引張り強度)格段に強い超高強力繊維の出
現が、これらの繊維を釣糸に適用しようとする試みを盛
んにし、多くの改良発明が提案されるに至った。
【0015】先ず最も早く市販されたパラ系アラミド繊
維の釣糸開発が試みられ使用されるようになったが、パ
ラ系アラミド繊維は、抜群の力学的性能を誇り、引っ掛
け強度、結節強度も汎用高強力繊維並の性能を有する
が、吸水性が比較的大きく耐海水性に劣り、耐候性に劣
るという欠陥があり、更に繊維自体が淡褐黄色に着色し
ており、任意色に着色することが困難であり、魚に警戒
心を抱かせないといわれる淡青乃至淡緑色に着色するこ
とができない欠点があった。
【0016】次いで超高分子量ポリエチレン繊維が市販
されるに至り、この繊維の釣糸が開発され、抜群の力学
的性能を誇り、パラ系アラミド繊維で欠点となった耐候
性も耐海水性も着色性も解消され、優秀な釣糸の提供に
成功したが、唯一の難点は比重が低すぎ海水に浮くこと
であり、その問題点解消のために、特開平4−7554
9号公報に開示される如く、弗素系樹脂或いは有機ケイ
素系樹脂のコーティングを施すことにより、比重を増
し、問題点解消にほぼ成功した釣糸の提供に成功した。
【0017】更に、現在最強の力学的物性[要求機能
(イ)〜(ホ)、(ワ)]を有するポリベンザゾール繊
維(PBZ)即ち、パラフェニーレンベンゾビスチアゾ
ール(PBT)、パラフェニーレンベンゾビスオキサゾ
ール(PBO)繊維の出現は、必然的により強い釣糸を
目指し、それの釣糸への展開を望む要求に従い、特開平
6−245676号公報に見られる如き高強力釣糸を提
供した。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】PBZ(PBI,PB
O)のフィラメント糸よりなる釣糸は、超高分子量ポリ
エチレンフィラメント糸よりなる釣糸のように、比重が
軽く、比重改善措置を施しても、海水中で揺らぎをうけ
易く魚信感度が悪いなどの難点がなく、引張り強度、引
張り弾性率のほか、力学的特性及び耐熱性においても極
めて優秀であり、最高レベルの力学的特性を有する釣糸
を提供できるのであるが、耐摩耗性に欠け、耐候性や海
水性及び着色性に欠けるという欠陥と、耐熱性と形態安
定性が優秀なるであるために、道糸製造時における撚糸
時の撚のセット能及び組紐を編組時の形態セット能がな
いという欠点があり、この問題点の解消が、超協力タイ
プの釣糸の市場供給のための必須且つ緊急の解決課題で
あった。
【0019】即ち、この課題を解消することができれ
ば、POB繊維からなる釣糸は高いが、従来の強力釣糸
に比較して抜群の強さを有する最高の力学的特性を有す
る釣糸の市場の供給が可能であり、また、パラ系アラミ
ド繊維からなる釣糸も耐候性においてPOB繊維ほど連
続使用耐熱温度は高くないが、230℃の連続使用耐熱
温度を融資、且つ短時間であれば315〜370℃と充
分高い、弗素樹脂焼付けコート加工に充分な耐熱温度を
有し、力学的特性も若干POB繊維の釣糸より劣る強さ
を有し、且つ同じ超強力繊維であるPBO繊維に比較し
てコスト的にも安く、PBO繊維釣糸とほぼ同様の力学
的特性を有する普及汎用品として最強の釣り糸提供を可
能にするので、超強力タイプの釣糸普及品の市場提供の
ために、問題点の解消が必須且つ緊急の解決課題であっ
たのである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は以下に記載した
通り、(1)引張り強度4.5GPa以上、引張り弾性
率180GPa以上、破断伸度4%以下の物性値を有す
るポリパラフェニーレンベンゾビスオキサゾール(PB
O)フィラメント糸表面に、また、引張り強度2.0G
Pa以上、引張り弾性率100GPa以上、破断伸度5
%以下の物性値を有するパラ系アラミド繊維のフィラメ
ント糸表面に、(2)3〜10重量%の微細粒TiO
顔料或いは微細粒複合酸化物系顔料(Ti-Zn-Co-Ni,Co-A
l-Cr-Ti,Co-AL等の酸化物顔料)を配合した弗素系樹脂
を、PBO繊維又はパラ系アラミド繊維重量に対して2
0〜40重量%の膜厚でコーティングする手段を講じた
PBO繊維又はパラ系アラミド繊維からなる釣糸を構成
せしめることにより、従来の課題であったPBO繊維又
はパラ系アラミド繊維の耐摩耗性や耐海水性、耐候性及
び着色性と、形態セット能における欠点を改善し、充分
な耐摩耗性や耐海水性、耐候性及び着色性と、形態セッ
ト能を付与し、又所望の着色をも施すことができる釣糸
を得ることに成功したのある。
【0021】本発明におけるハリスは、上記構成のモノ
フィラメント自体、又必要に応じ上記構成の小数本の加
撚マルチフィラメントとして提供することができ、道糸
用の釣糸としては、(3)該PBO繊維又はパラ系アラ
ミド繊維のマルチフィラメント糸を1本撚、2本撚或い
は、3本撚に撚糸し、或いは(4)該PBO繊維又はパ
ラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸を用いて構成
される、無撚又は1本撚からなる4つ打ち〜8つ打ちの
組紐を編組して製造し提供できるのである。
【0022】即ち本発明は、最強の繊維であるPBO繊
維又はパラ系アラミド繊維のフィラメント糸により釣糸
本体を構成せしめ、該繊維のフィラメント糸の欠点であ
る耐摩耗性や耐海水性、耐候性を、微細粒TiO
料或いは微細粒状複合酸化物顔料(Ti-Zn-Co-Ni,Co-Al-C
r-Ti,Co-AL等の酸化物顔料)を3〜10重量%含有させ
た弗素系樹脂で、PBO繊維又はパラ系アラミド繊維の
フィラメント糸重量の20〜40重量%に相当する膜厚
のコーティングを施し、該コーティング膜でPBO繊維
又はパラ系アラミド繊維のフィラメント糸を被覆するこ
とにより、該繊維のフィラメント糸の摩擦特性(滑り性
能等)及び耐摩耗性や遠投性を改善し、紫外線を遮蔽
し、直接海水と触れることを防御し、PBO繊維又はパ
ラ系アラミド繊維の海水による劣化や耐候劣化を防止す
ると共に該釣糸に加撚した撚りや組紐編組時の形態のセ
ット能の付与せしめることを可能ならしめたのである。
【0023】又当然のことながら、該弗素系樹脂のコー
ティング層は、繰り出した道糸の長さを表示するための
表示着色も可能であり、また魚の警戒を解く青乃至緑色
に着色することも可能にするのである。
【0024】以下、本発明の釣糸の構成内容を更に詳細
に説明すると、 1.釣糸本体を、引張り強度4.5GPa以上、引張り弾
性率180GPa以上、破断伸度4%以下の卓越した力
学特性を有し、優秀な耐クリープ性、耐摩耗性を有し、
又、極めてしなやかで低吸湿性で吸湿時の物性低下が極
めて少ない産業資材用ポリパラフェニーレンベンゾビス
オキサゾール(PBO)繊維のフィラメント糸、又は釣
糸本体を引張り強度2.0GPa以上、引張り弾性率1
00GPa以上、破断伸度5%以下の物性値を有し、優
秀な耐クリープ性、耐摩耗性を有志、また極めてしなや
かな産業資材用パラ系アラミド繊維のフィラメント糸で
構成せしめ、
【0025】2.微細粒TiO 顔料或いは微細粒複合
酸化物顔料(Ti-Zn-Co-Ni,Co-Al-Cr-Ti,Co-AL等の酸化
物顔料)を3〜10重量%含有させた弗素系樹脂溶液或
いはエマルジョンに、該PBO繊維又はパラ系アラミド
繊維のフィラメント糸を浸漬−乾燥−焼結する操作を繰
り返し、該PBO繊維又はパラ系アラミド繊維のフィラ
メント糸上に所定厚みの(該繊維のフィラメント糸重量
に対して20〜40重量%の)コーティング層を形成せ
しめることにより、該釣糸構成繊維であるPBO又はパ
ラ系アラミド繊維のフィラメント糸に耐海水性及び耐候
性を改善し、形態セット能を付与し、摩擦特性及び耐摩
耗性をも改善した釣糸を構成せしめるのである。
【0026】更に、該コーティング層を形成する構成要
素に付き詳細に説明を加えると、(2−a)該コーティ
ング層を形成する弗素系樹脂とは、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオロライド(P
VDF)等、一連の所謂テフロン系樹脂及び弗素ウレタ
ンポリマー、ポリアクリル酸フルオロアルキルエステ
ル、ポリメタアクリル酸フルオロアルキルエステル、弗
素変性シリコン樹脂などの市販の弗素系樹脂をいう。
【0027】なお、PBO繊維又はパラ系アラミド繊維
は、耐熱性が優秀な繊維であるため、従来不可能であっ
た弗素樹脂(テフロン)の繊維へのコーティング−高温
焼付けによる強固な皮膜形成が可能となり、極めて耐久
性の高い強固なコーティング層形成を可能とするのであ
る。
【0028】(2−b)PBO繊維又はパラ系アラミド
繊維の耐候性と耐海水性を改善するために、弗素系樹脂
に分散させる微細粒状複合酸化物顔料は、微細粒TiO
2 顔料或いは又、微細粒Ti-Sb-Ni,Ti-Sb-Cr,Zn-Fe,Zn-
Fe-Cr,Ti-Zn-Co-Ni,Co-Al-Cr-Ti,Co-AL,Cu-Cr-Mn等の黄
色〜黒色までの各色の金属の酸化物複合体顔料であり、
粒子径0.5〜1.0μレベルの通常の微粒子状複合酸化
物顔料の使用も可能であるが、更にその1/10〜1/20の粒
径の超微粒子状複合酸化物顔料の適用が、より優れた耐
候性付与に特に有効である。
【0029】本発明によれば、PBO繊維又はパラ系ア
ラミド繊維自体を改質しなくとも市販のPBO繊維又は
パラ系アラミド繊維に本発明の微粒子状複合酸化物顔料
を分散させた弗素系樹脂のコーティング層を設けるのみ
で、充分な耐候性付与効果が発揮できるのである。
【0030】実際の釣糸製作は次記の如く行う。即ち、
ハリスは、上記方法に従い所定デニールのPBO繊維又
はパラ系アラミド繊維のモノフィラメントに、該微粒子
状複合酸化物顔料分散弗素系樹脂のコーティングを行い
作製すれば良いが、必要に応じ所定デニールの小数本の
PBO繊維又はパラ系アラミド繊維のマルチフィラメン
トに該コーティングを施し、加撚して撚をセットして作
製することも可能である。道糸用釣糸の作製は、該微粒
子状複合酸化物顔料分散弗素系樹脂のコーティングを施
したPBO繊維又はパラ系アラミド繊維の無撚又は1本
撚からなるマルチフィラメントにブレード角20度前
後、4つ打ち〜8つ打ちの組紐を編組して作製する。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施態様を示し、
より具体的且つ詳細に発明の内容を開示する。 (実施例1〜3)東洋紡(株)製産業資材用PBO(Z
ylon、登録商標)マルチフィラメント糸を、大日精
化工業(株)製超微粒子状複合酸化物顔料ダイピロサイ
ド(登録商標)Green#3320を4,5,6重量
%包含するテフロンエマルジョンに含浸、乾燥、焼結操
作を繰り返し、該PBOマルチフィラメント糸上に、表
1に示すような構成の超微粒子状複合酸化物顔料ダイピ
ロサイド(登録商標)Green#3320を包含した
弗素系樹脂のコーティング膜を形成した釣糸原糸を作製
した。
【0032】この釣糸原糸を加撚し、次いでブレード角
20度で8つ打ち組紐を編組して表1に示す総デニール
2719〜2884d.の釣り用の道糸を作製した。得
られた製品の物性は、表1に示す通りであり、PBO繊
維本来の優秀な力学的特性を示すと共に、PBO繊維の
欠陥であった耐摩耗性能と海水浸漬や光暴露による強力
低下(所謂耐候性)が著しく改善でき、従来にない優秀
な釣糸が提供できる。又、テフロン樹脂コーティングに
より動摩擦抵抗が低いため、遠投性能が優秀で、形態安
定性が付与されたため、組紐編組の形態が安定した釣糸
が得られた。
【0033】(比較例1)実施例1〜3において用いた
と同じPBO繊維のマルチフィラメント糸を用い、超微
粒子状複合酸化物顔料を含む弗素系樹脂コーティングを
施さずに、他は同様にして釣糸用の道糸を作製した。こ
の釣糸は、PBO繊維のみからなるので、8つ打ち組紐
編組の形態が不安定で形態が安定した釣糸用道糸が得ら
れず、又力学的性能も光暴露前は実施例1〜3と同様
(以上に)優れた性能を示すが、耐候性が著しく悪く、
光暴露により著しい性能低下を示し、超強力PBO繊維
使用の面影なく実用性が認められなかった。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例4〜6)実施例1〜3における釣
糸原糸を構成するPBO繊維からなるマルチフィラメン
ト糸に代え、釣糸原糸を、パラ系アラミド繊維のマルチ
フィラメント糸に変更し、他は実施例1〜3と全く同様
に、パラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸を大日
精化工業(株)製超微粒子状複合酸化物顔料ダイピロサ
イド(登録商標)Green#3320を4,5,6重
量%包含するテフロンエマルジョンに含浸、乾燥、焼結
操作を繰り返し、該パラ系アラミド繊維のマルチフィラ
メント糸上に、表2に示すような構成の超微粒子状複合
酸化物顔料ダイピロサイド(登録商標)Green#3
320を包含した弗素系樹脂のコーティング膜を形成し
た釣糸原糸を作製した。
【0036】この釣糸原糸を加撚し、次いでブレード角
20度で8つ打ち組紐を編組して表2に示す総デニール
2719〜2884d.の釣り用の道糸を作製した。得
られた製品の物性は、表2に示す通りであり、パラ系ア
ラミド繊維本来の優秀な力学的特性を示すと共に、パラ
系アラミド繊維の欠陥であった耐摩耗性能と海水浸漬や
光暴露による強力低下(所謂耐候性)が著しく改善で
き、従来にない優秀な釣糸が提供できることが判明し
た。又、テフロン樹脂コーティングにより動摩擦抵抗が
低いため、遠投性能が優秀で、形態安定性が付与された
ため、組紐編組の形態が安定した釣糸が得られた。
【0037】(比較例2)実施例4〜6において用いた
と同じパラ系アラミド繊維のマルチフィラメント糸を用
い、超微粒子状複合酸化物顔料を含む弗素系樹脂コーテ
ィングを施さずに、他は同様にして釣糸用の道糸を作製
した。この釣糸は、パラ系アラミド繊維のみからなるの
で、8つ打ち組紐編組の形態が不安定で、形態が安定し
た釣糸用道糸が得られず、又力学的性能も光暴露前は実
施例4〜6と同様(以上に)優れた性能を示すが、耐候
性が著しく悪く、光暴露により著しい性能低下を示し、
超強力パラ系アラミド繊維使用の面影なく実用性が認め
られなかった。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明は、 1.釣糸本体が卓越した力学特性を有し、優秀な耐クリ
ープ性、耐摩耗性を有するPBO繊維、又はパラ系アラ
ミド繊維のフィラメント糸で構成せしめ、 1.該PBO繊維、又はパラ系アラミド繊維上に超微粒
子状複合酸化物顔料を分散させた弗素系樹脂よりなるコ
ーティング層を形成させることにより、PBO繊維又は
パラ系アラミド繊維の欠陥である吸湿による物性の低下
や耐摩耗性及び耐海水性と耐候性を改善し、形態セット
能の欠如を解消せしめることができ、従来にない卓越し
た力学物性を有した、また吸湿による物性低下がなく耐
海水性、耐候性、形態安定性、耐摩擦特性に優れた耐久
性の優秀な釣糸を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 11/46 D06M 15/256 15/256 15/277 15/277 11/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張り強度4.5GPa以上、引張り弾
    性率180GPa以上、破断伸度4%以下の物性値を有
    するポリパラフェニーレンベンゾビスオキサゾール(P
    BO)繊維のフィラメント糸表面に、3〜10重量%の
    微細粒TiO 顔料又は微細粒複合酸化物系顔料を配
    合した弗素系樹脂をコーティングしたことを特徴とする
    釣糸。
  2. 【請求項2】 引張り強度2.0GPa以上、引張り弾
    性率100GPa以上、破断伸度5%以下の物性値を有
    するパラ系アラミド繊維のフィラメント糸表面に、3〜
    10重量%の微細粒TiO 顔料又は微細粒複合酸化
    物系顔料を配合した弗素系樹脂をコーティングしたこと
    を特徴とする釣糸。
  3. 【請求項3】マルチフィラメント糸を1本撚、2本撚或
    いは3本撚に撚糸してなる請求項1又は請求項2に記載
    の釣糸。
  4. 【請求項4】 マルチフィラメント糸を用いて構成され
    る、無撚又は1本撚からなる4つ打ちないし8つ打ちの
    組紐を編組してなる請求項1又は請求項2に記載の釣
    糸。
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