JP6353132B1 - 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸 - Google Patents

釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸 Download PDF

Info

Publication number
JP6353132B1
JP6353132B1 JP2017132285A JP2017132285A JP6353132B1 JP 6353132 B1 JP6353132 B1 JP 6353132B1 JP 2017132285 A JP2017132285 A JP 2017132285A JP 2017132285 A JP2017132285 A JP 2017132285A JP 6353132 B1 JP6353132 B1 JP 6353132B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fishing line
fishing
core
copolymer
side portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017132285A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019013175A (ja
Inventor
多可夫 星屋
多可夫 星屋
一史 長谷
一史 長谷
Original Assignee
日本ミニチュアロープ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本ミニチュアロープ株式会社 filed Critical 日本ミニチュアロープ株式会社
Priority to JP2017132285A priority Critical patent/JP6353132B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6353132B1 publication Critical patent/JP6353132B1/ja
Publication of JP2019013175A publication Critical patent/JP2019013175A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

【課題】細径化と耐摩耗性と結節のし易さを備えながら、機械的強度の向上と釣糸の表面滑性と撥水性と耐候性の向上させた釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸の提供。【解決手段】機械的高強特性を有するマルチフィラメント糸である芯部2と金属素線側部31との複合糸から成る芯線体41の外周に、被覆部5を備える。被覆部5に官能基を有するフッ素化合物を含む樹脂組成物を用いることにより、細径化と耐摩耗性と結節のし易さを備えながら、釣糸の表面滑性と撥水性と耐候性等を向上させる。【選択図】図2

Description

この発明は、魚釣用として用いられる釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸に関する。
釣糸は、従来から釣り対象の魚種に応じて、金属線のみ、又は、モノフィラメントのみから成る釣糸、並びに、金属線と合成繊維とを組み合せて複合糸を形成し、複合糸の外周に合成樹脂等を被覆して成る釣糸が開発されてきた。
釣糸は、魚から釣糸を見えにくくする為の細径化と、岩場での擦れによる釣糸の破断を防ぐ為の耐摩耗特性と、釣糸どうしを結節する結節性のし易さが求められている。
そして、細径化と耐摩耗性と結節のし易さを備えながら機械的強度特性の向上と表面滑性と撥水性と耐候性の向上が求められるようになってきた。
さらに近年では、特に、金属線と合成繊維とを組み合わせた複合糸から成る釣糸は、その構造の複雑さから、釣糸の太さを表す号柄と実際の釣糸との太さの不一致が発生しており、号柄に対する太さ標準規格との一致化が求められるようになってきた。
特許文献1には、表面に金属又は金属酸化物の薄膜を形成した釣糸が記載されている。
特許文献2には、金属線の芯部の外周に、合成樹脂で被覆された釣糸が記載されている。
特開2000−217483号公報 特開2002−335836号公報
特許文献1に記載の釣糸は、合成樹脂糸の表面に金属又は金属酸化物の薄膜を形成し、柔軟性と結節のし易さと水からの抵抗を軽減させる技術である。
特許文献2に記載の釣糸は、金属線から成る芯線の外周に合成樹脂の被覆を設け、潮流や風の影響を受け難くさせる技術である。
本発明は、芯部の外周に側部を長手方向へ巻回した芯線体と、芯線体の外周に被覆部を備えた釣糸であって、芯部を高強力合成繊維のフィラメント糸を用い、側部は高強度の金属素線又は高強力合成繊維のマルチフィラメント糸を用いる。
芯部と側部とを有する芯線体の外周に、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物の被覆部を備えることにより、釣糸の細径化と耐摩耗特性と結節のし易さを備えながら、釣糸の機械的強度特性の向上と、釣糸の表面滑性と撥水性と耐候性とを向上させたことを特徴とする技術思想の釣糸である。
さらに、本発明の釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸の技術思想については、前記特許文献1、2のいずれについても記載されていない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、釣糸の細径化と耐摩耗特性と結節のし易さを備えながら釣糸の機械的強度特性の向上と、釣糸の表面滑性と撥水性と耐候性とを向上させた釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為、芯部の外周に、側部を長手方向へ巻回し、芯部と側部とを有する芯線体を備え、芯線体の外周に被覆部を備える。
芯部は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸用いる。
側部は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の、少なくとも1本の金属素線、又は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸の、いずれか一方、又は、双方を用いる。
被覆部は、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物で、主剤が、官能基を含有するフッ素化合物を含み、官能基が活性水素含有基で、フッ素化合物がフルオロオレフィン系共重合体で、硬化剤が、アミノプラス系化合物、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネート化合物の変性体、無黄変性芳香族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする。
側部は、第1側部と第2側部から成り、前記芯部の外周に第1側部と第2側部とを平行して同一長手方向へ巻回し、第1側部がマルチフィラメント糸で、第2側部が少なくとも1本の金属素線から成る
化剤の多価イソシアネート化合物多価イソシアネート化合物の変性体が、脂肪族多価イソシアネート、脂環族多価イソシアネート、ウレタン変性体、ポリオール変性体から選ばれる少なくとも一種を用いて成る。
芯部と、側部又は第1側部のマルチフィラメント糸が、全芳香族ポリエステル繊維で、側部又は第2側部の金属素線が、オーステナイト系ステンレス鋼線又はドープタングステン線である
ルオロオレフィン系共重合体が、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等から成る群から選ばれる少なくとも一種から成る
鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸であって、釣糸を、天上糸とハナカン回り糸とを結節する水中糸として用いる鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸である。
本発明の釣糸は、芯部の外周に、側部を長手方向へ巻回し、芯部と側部とを有する芯線体を備え、芯線体の外周に被覆部を備える。
芯部は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸用いる。側部は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の、少なくとも1本の金属素線、又は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸の、いずれか一方、又は、双方を用いる。
被覆部は、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物で、主剤が、官能基を含有するフッ素化合物を含み、官能基が活性水素含有基で、フッ素化合物がフルオロオレフィン系共重合体で、硬化剤が、アミノプラスト系化合物、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネート化合物の変性体、無黄変性芳香族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする。
この理由は、釣糸の細径化と耐摩耗特性と結節のし易さを備えながら、釣糸の機械的強度特性を向上させる為である。
さらに、芯線体の外周に官能基と硬化剤とを反応させて強靭な被覆部を形成することにより、表面滑性と撥水性と耐候性とを兼備した釣糸を得る為である。
側部は、第1側部と第2側部から成る。芯部の外周に第1側部と第2側部とを平行して同一長手方向へ巻回し、第1側部がマルチフィラメント糸で、第2側部が少なくとも1本の金属素線から成る
化剤の多価イソシアネート化合物と多価イソシアネート化合物の変性体が、脂肪族多価イソシアネ−ト、脂環族イソシアネート、ウレタン変性体、ポリオール変性体から選ばれる少なくとも一種を用いて成る。
この理由は、釣糸の外径の径大化を防いで、外径の標準規格との一致化を図りながら、かつ、引張破断強度を向上させる為である。
さらに、官能基を有するフッ素化合物が硬化剤と反応して架橋構造を形成することにより、表面滑性と撥水性と耐候性とを有する強靭な被覆部を備えた釣糸を得る為である。
芯部と、側部又は第1側部のマルチフィラメント糸が、全芳香族ポリエステル繊維で、側部又は第2側部の金属素線が、オーステナイト系ステンレス鋼線又はドープタングステン線である
ルオロオレフィン系共重合体が、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等から成る群から選ばれる少なくとも一種からなる
の理由は、芯線体の外周にフッ素化合物を含む被覆部を備えることにより、全芳香族ポリエステル繊維を有する芯線体の、紫外線による経時変化での変色(黄変)防止と、芯線体の機械的高強度特性の劣化を防ぐ為である。
さらに、前記官能基が活性水素含有基で、前記硬化剤を用いることにより、硬化剤との架橋反応を迅速化して被覆部を形成し、表面滑性と撥水性と耐候性とを備えながら、より耐候性に優れた釣糸を得る為である。
鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸であって、釣糸を、天上糸とハナカン回り糸とを結節する水中糸として用いる鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸である。
これにより、フッ素化合物を含む被覆部の表面滑性と撥水性により、釣糸へ加わる水流からの圧力抵抗を軽減することができると同時に、釣人の衣服又は釣道具(竿等)への釣糸の絡みつきを低減させることができる。又、囮鮎の水中での位置を把握する為の、目印の移動調整を容易にすることができる。
さらに、釣糸の撥水性により、釣糸から伝わり落ちる水滴量を軽減させることができ、水中糸(仕掛け糸)の交換作業の迅速化を図ると共に、釣り上げた鮎の鉤からの取り外し及び囮鮎の交換作業の迅速化を図ることができる。
本発明の第1実施形態の釣糸を示し、図1(イ)は釣糸全体の一部切り欠き側面図、図1(ロ)は図1(イ)の符号X−Xの横断面図を示す。 本発明の第2実施形態の釣糸を示し、図2(イ)は釣糸全体の一部切り欠き側面図、図2(ロ)は図2(イ)の符号Y−Yの横断面図を示す。 本発明の変形例の釣糸の横断面図を示す。 本発明の釣糸を、鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸の説明図である。 本発明の変形例の釣糸の横断面図を示す。
本発明の釣糸及び鮎釣り用仕掛けに用いる釣糸の実施形態について、以下説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の釣糸1を示し、図1(イ)は、釣糸1の全体の一部切欠き側面図を示し、図1(ロ)は、図1(イ)の釣糸1の符号X−X断面図を示す。
釣糸1は、芯部2と側部3とを有する芯線体4と、被覆部5を備える。芯部2の外周に、側部3を長手方向へ一定のピッチPで巻回して成る芯線体4を備える。芯線体4の外周に被覆部5を備える。尚、本発明の釣糸1は、長さに比較して線直径が小さく、縦横の縮尺率を同じにすると所定の範囲に図示することが困難なため、一部を拡張し又省略して図示している。
芯部2は、後述する一定の繊度を有する合成繊維のマルチフィラメント糸を用いる。芯部2の外周に側部3を巻回する場合には、芯部2に長手方向へ一定の引張力を加えて直線状にさせながら、その外周に側部3を長手方向へ一定の引張力を加えて、芯部2に対してラジアル方向へ回転させて巻回する。
芯部2は、繊度が8dtex以上280dtex以下、引張強度が18cN/dtex以上で、かつ、引張弾性率が442cN/dtex以上の合成繊維のマルチフィラメント糸を用いる。
この理由は、細径でありながら引張強度が高く、水中において引張強度の変化が少なく、
軽くて柔軟性に富み、引張破断力の高い釣糸1を得る為である。
合成繊維のマルチフィラメント糸としては、液晶紡糸により得られるパラ系アラミド繊維の商品名ケブラー(デュポン社)、商品名テクノーラ(帝人(株))、全芳香族ポリエステル繊維の商品名ベクトラン(クラレ(株))、ヘテロ環含有のPBO繊維の商品名ザイロン(東洋紡(株))、ゲル紡糸により得られるポリエチレン繊維の商品名ダイニーマ(東洋紡(株))、PAN炭素繊維の商品名トレカ(東レ(株))、商品名ベスファイト(東洋レーヨン(株))等である。
本発明の第1実施形態の釣糸1は、芯部2に繊度が8dtex、引張強度が22.9cN/dtex、引張弾性率が530cN/dtex、平衡水分率(20℃で湿度65%、24時間浸漬)が0.2%以下の全芳香族ポリエステル繊維で、5本のフィラメントから成るマルチフィラメント糸を、芯部2に用いる。又、芯部2の外径Dは、0.020mmである。
マルチフィラメント糸に全芳香族ポリエルテル繊維を用いる理由は、溶融状態で液晶を形成し、液晶ポリマーを溶融紡糸することにより、液晶ポリマーの分子鎖を繊維の長手方向へ高度に配向させ、機械的強度を大幅に向上させる為である。
側部3は、引張強さが1500N/mm以上4200N/mm以下で、線直径0.008mm以上0.100mm以下の金属素線を少なくとも1本用いる(第1実施形態では線直径d、d01の2本)。好ましくは、12本以内である。金属素線の材質としては、タングステン線、ステンレス鋼線、NiTi合金線等を用いる。
本発明の第1実施形態の釣糸1は、芯部2の外周に、隣接する2本の金属素線を平行して同一長手方向へ一定の撚りピッチPで巻回する側部3を備える。
撚りピッチPは、横断面の外径(D+d)の1.20倍以上50倍以下(第1実施形態では30倍)である。好ましくは、1.20倍以上40倍以下である。
側部3に用いる金属素線は、引張強さが3000N/mm以上4200N/mm以下で、K、Al、Siのうち少なくとも1種類を5ppm以上180ppm以下添加し、線直径d、d01が0.012mmの電解研磨したドープタングステン線を用いる。
ドープタングステン線を用いる理由は、例えば線直径d、d01が0.012mmのような細線の縮径伸線加工時に、純タングステン線を用いた場合には粒界滑りを起こして脆くなり易い。ドープ剤(前記K、Al、Si等)を添加することにより、粒界滑りを起こし難くさせ、機械的強度を向上させる為である。
ドープ剤の含有量を前記範囲としたのは、前記範囲を下回れば、長大結晶による粒界滑りを起こし難くさせる効果は低減し、前記範囲を超えれば、縮径伸線加工時に割れが発生し易くなり、機械的強度の向上効果は得られ難くなるからである。
好ましくは、電解研磨した金属素線を用いることである。この理由は、金属素線の表面には、縮径伸線加工時に用いる潤滑剤の残留、及び、酸化被膜層の形成等により脆化を招き易く、この脆化を防いで機械的強度を向上させる為である。
そして又、側部3に用いる金属素線は、引張強さが2000N/mm以上3500N/mm以下のSUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いてもよい。この理由は、縮径伸線加工により、容易に引張強さを向上させることができるからである。
芯線体4の外周に被覆する被覆部5は、膜厚tが0.001mm以上0.008mm以下(第1実施形態では膜厚tが0.003mm)の、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物である。主剤と硬化剤とを含む溶液中に芯線体4を浸漬する浸漬工程を経た後に、加熱する乾燥工程を経て、被覆部5を形成する。
本発明の被覆部5の樹脂組成物に用いる主剤は、官能基を含有するフッ素化合物を含み、硬化剤が、アミノプラスト系化合物又はイソシアネート系化合物を用いる。
この理由は、官能基を硬化剤と反応させて芯線体4の外周に強靭な被覆部5を形成する為である。これにより、合成繊維と金属素線とを用いた複合糸から成る芯線体4の機械的高強度特性を有しながら、表面滑性と撥水性と耐候性とを兼備した釣糸を得る為である。
本発明の主剤の官能基を含有するフッ素化合物とは、フルオロオレフィン及びフルオロオレフィンと共重合可能な単量体を共重合して得られる化合物(以下、フルオロオレフィン系共重合体という)のことをいう。
フルオロオレフィンとしては、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等があげられる。
フルオロオレフィン系共重合体としては、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・パ−フルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン・ビニルエ−テル共重合体(FEVE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられ、少なくとも一種のフルオロオレフィン系共重合体が含まれる。
フルオロオレフィン系共重合可能な単量体としては、エチルビニルエ−テル、ブチルビニルエ−テル等のビニルエ−テル類、酪酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアリルエ−テル類、プロピオン酸アリル、酢酸アリル等のアリルエステル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類が挙げられる。好ましくは、ビニルエ−テル類、ビニルエステル類、アリルエ−テル類、アリルエステル類である。この理由は、フルオロオレフィンとの共重合体の生成効率が高く、又、作業の容易性等からである。
これらを用いることにより、フルオロオレフィン系共重合体を生成することができる。
官能基としては、活性水素含有基が好ましく、活性水素含有基としては、水酸基、アミド基、アミノ基、カルボキシル基等である。この理由は、アミノプラスト系化合物、又は、イソシアネート系化合物の硬化剤と架橋反応して、強靭な被覆部5を形成することができるからである。
フッ素化合物への官能基の導入方法としては、官能基を有する単量体を用いて共重合させる方法があり、前記官能基を有する単量体としては、ヒドロキシブチルビニルエ−テル、グリシジルビニルエ−テル、ヒドロキシブチルアリルエ−テル等を用いて共重合させる。
又、共重合体を変性させて官能基を導入する方法があり、水酸基、又は、エポキシ基に多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入する。
そして又、二重結合を導入する方法があり、イソシアネ−トアルキルメタクリレ−ト等を反応させる。
このような方法により、フッ素化合物へ官能基を導入することができる。
本発明の被覆部5の樹脂組成物に用いる硬化剤は、アミノプラスト系化合物、イソシアネート系化合物、多塩基酸、又は、その酸無水物等から選ばれる少なくとも一種を使用する。好ましくは、アミノプラスト系化合物、又は、イソシアネート系化合物である。
この理由は、官能基における反応性部位が活性水素含有基の場合には、その反応性が高く、迅速に架橋反応して被覆部5を形成することができるからである。
アミノプラスト系化合物としては、ブチル化メチロールメラミン、エポキシ変性メチロールメラミン等のメチロールメラミン類、メチル化メチロール尿素、アルキル化メチロール尿素等のメチロール尿素類である。
イソシアネート系化合物としては、多価イソシアネート化合物、無黄変性芳香族イソシアネート化合物、多価イソシアネート化合物の変性体や多量体等が用いられる。
多価イソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト等の脂肪族多価イソシアネート化合物、
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の脂環族多価イソシアネート化合物である。
無黄変性芳香族イソシアネ−ト化合物としては、m−キシレンジイソシアネ−ト、p−キシレンジイソシアネ−ト等である。
多価イソシアネート化合物の変性体や多量体としては、ウレタン変性体、ポリオ−ル変性体、ビューレット変性体、3量体であるイソシアヌレ−ト変性体等である。
特に、ウレタン変性体、及び、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのポリオ−ル変性体が好ましい。この理由は、比較的硬質の被覆を形成する多価イソシアネート化合物と柔軟性を付与するヘキサメチレンジイソシアネートとのポリオ−ル変性体とを加えることにより、適度な柔軟性を有する被覆部5を備えた釣糸1を得ることができるからである。
本発明の被覆部5の樹脂組成物に用いる主剤、及び、硬化剤には、前記各成分を溶剤中に溶解又は分散させることで構成し、前記各成分の他に、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、充填剤等の各種の添加剤を配合してもよい。
溶剤としては、エタノール、イソプロパノ−ル等のアルコ−ル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、エーテル系溶剤等の少なくとも一種用いる。
添加剤の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリシレ−ト系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレ−ト系化合物等の有機系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤等が挙げられる。
本発明の芯部2、又は、後述する第2実施形態の釣糸10の第1側部311に用いるマルチフィラメント糸は、全芳香族ポリエステル繊維で日光により黄変し易く、かつ、経時変化によって機械的強度が劣化し易い。
そして、全芳香族ポリエステル繊維は、多くのC−H結合で形成されていて、酸素の存在下でこの結合が切れると過酸化物をつくって酸化劣化(機械的強度劣化)や変色(黄変)が進行する。
本発明の被覆部5は、官能基を含有するフッ素化合物を含み、フッ素化合物のC−F結合エネルギー(波長250nmで116kcal/mol)が、C−H結合エネルギ−よりも大きく、かつ、紫外線のエネルギー(波長250nmで約110kcal/mol)を超えている為、耐候性に優れている。
そして、前記紫外線吸収剤とを併用することにより、紫外線による経時的変化での変色(黄変)防止と機械的強度劣化の防止とを補完することができる。尚、紫外線吸収剤は、紫外線吸収係数の高い、2−(5−メチル−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
補足すれば、主剤中に配合させる他の成分として、水酸基を含有したシリコ−ン樹脂を用いてもよい。この理由は、多価イソシアネート化合物とウレタン結合を生成し、水酸基を含有したシリコ−ン樹脂が、成形された被覆部の膜の中に取り込まれて、フッ素化合物と共に芯線体4の外周に安定した表面滑性と撥水性とを有する被覆部5を備えた釣糸1を得ることができるからである。
次に、被覆部5の樹脂組成分のみ異なる本発明の釣糸1の実施例Aと比較例(A、B)とを対比した評価試験結果について、以下説明する。
本発明の釣糸1の、実施例Aの被覆部5に用いる樹脂組成分は、官能基(水酸基)含有テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)とケトン類とエステル類との混合溶液の主剤100質量部{官能基(水酸基)含有テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)を10質量部以上70質量部以下を含む}に対して、多価イソシアネート化合物とエステル類との混合溶液の硬化剤80質量部と、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、充填剤等の添加剤20質量部から成る。
この混合溶液内に、第1実施形態の芯線体4を浸漬して浸漬工程を経た後に、加熱して乾燥工程を経て、被覆部5を形成した本発明の第1実施形態の釣糸1を用いた。
比較例Aは、被覆部に硬化型塗料を用いる。硬化型塗料は、エポキシ樹脂100質量部に対して、芳香族炭化水素の溶剤150質量部と、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、充填剤等の添加剤15質量部から成る。
釣糸は、第1実施形態の釣糸1と同一構成の芯線体4を用いて、芯線体4の外周に前記硬化型塗料から成る被覆部を形成し、形成方法については、前記実施例Aと同様である。
比較例Bは、水溶性塗料を用いる。水溶性塗料は、メラミン樹脂100質量部に対して、エタノールの溶剤と水から成る溶液120質量部と、紫外線吸収剤、顔料、光安定剤、充填剤等の添加剤15質量部から成る。
釣糸は、第1実施形態の釣糸1と同一構成の芯線体4を用いて、芯線体4の外周に被覆部を形成し、形成方法については、前記実施例Aと同様である。
釣糸の評価項目として、釣糸の、単体での評価項目と実際の釣場での評価項目とに区分した。釣糸の、単体での評価項目として、外径寸法の安定性、日釣工線径基準との一致性、水切り特性、耐候性を調査した。
水切り特性は、一定の流速を発生させた水槽内に釣糸を吊るし、水流から受ける釣糸の撓み量を測定して評価した。耐候性は、各試験品の釣糸を5か月間屋外暴露し、引張強さの低下の有無と外観(変色)の変化を評価した。評価結果は、良い評価から順に、◎、〇、△、×印とした。
実際の釣場での評価項目として、目印の移動性、仕掛け製作の容易性、仕掛け交換の容易性、衣服、道具等への低・付着性について、5人のテスターの5段階評価の平均値を示した。その結果を表1に示す。
本発明の釣糸1の機械的強度特性について、前記釣糸の評価試験結果と併せて、以下説明する。芯部2は、繊度が28dtex、引張強度が22.9cN/dtexのマルチフィラメント糸である為、芯部2の引張破断力は641.2cN(28×22.9)である。
側部3は、2本のドープタングステン線から構成され、1本のドープタングステン線の線直径(d、d01)が0.012mm、引張強さが3800N/mmであることから、側部3の2本のドープタングステン線の引張破断力は約85.8cN(約42.9×2)である。
釣糸1に引張力を加えた場合、引張破断するメカニズムは、合成繊維と比較して伸びが小さく、引張破断力の低い側部3が引張破断した後に、引張破断力の高い芯部2が引張破断する。そして、芯部2の引張破断に伴って被覆部5が引張破断する。
この為、芯部2の引張破断力の大きさが芯線体4の引張破断力となって、その引張破断力は641.2cNとなる。又、被覆部5が芯線体4の引張破断力の約2.0%を補完している為、釣糸1の引張破断力は、約654.0cNとなる。
本発明の釣糸1は、芯部2の外径Dが0.020mm、側部3の金属素線の線直径(d、d1)が0.012mm、被覆部5の膜厚tが0.003mmであることから、釣糸1の最大外径dは0.038mm(0.020+0.012+0.003×2)であり、これは、日釣工線径基準号柄0.01号に相当する。
本発明の釣糸1の被覆部5は、主剤と硬化剤とを用いて成るフッ素化合物を含む樹脂組成物である。
釣糸1と同一の構造で、被覆部にエポキシ樹脂等の硬化型塗料(前記比較例A参照)を用いた場合には、硬度が高く、経時変化により黄変し、釣糸としての柔軟性が不足する。又、塗膜の厚さ(釣糸1の膜厚tに相当)が不安定となり、外径(釣糸1の横断面の最大外径dに相当)が0.036mmから0.047mmの凸凹状となる。これは、日釣工線径基準の号柄0.01号から0.03号へ変動する箇所を有する釣糸となってしまう。
このことは、後述する鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸(水中糸)として用いた場合には、水流による釣糸(水中糸)への圧力抵抗の増大により、囮鮎を疲れさせること等となって釣果が低下する。
又、釣糸1と同一構造で被覆部に、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の水性樹脂塗料(比較例B)を用いた場合には、比較例Aの釣糸のような前記外径が径大化して、号柄が0.01号から0.03号に変動することはないが、水溶性の為に水に触れると被覆部に含まれる顔料等の色落ちが起こり、又、薄膜化が発生する。そして、機械的強度劣化、及び、耐候性の劣化が進む。又、後述する鮎釣り用仕掛けに用いる釣糸(水中糸)として用いる場合に、仕掛け製作時に糸どうしの結節性を高める為に水等で釣糸を少し湿らせる場合がある。かかる場合に、被覆部が水溶性塗料の為、被覆部に含まれる顔料等の色落ち等が発生して作業性が低下すると共に、釣り場での水の影響を受けて、仕掛け糸等の交換作業が遅速することとなる。
これに対して、本発明の釣糸1の被覆部5は、フッ素化合物を含む樹脂組成物である為、フッ素化合物による表面の滑性作用が高く、かつ、撥水作用を備えている。
この為、水中において水流からの釣糸への圧力抵抗を軽減させることができる。
例えば鮎の友釣りの場合には、囮鮎の疲れを軽減させることができる。又、魚を釣り上げようとして竿を立てた場合に、釣糸から滴り落ちる水滴量を軽減させて釣人の衣服等への釣糸の絡みつきを低減させることができる。
これにより、例えば、魚の鉤からの取り外し作業、仕掛け糸の交換作業、及び、囮鮎の交換作業等の迅速化を補完することができる。
さらに又、C−F結合の高い結合エネルギーにより、紫外線による釣糸の変色、及び、機械的高強度の劣化を防ぐことができる。
図2は、本発明の第2実施形態の釣糸10を示し、図2(イ)は、釣糸10の全体の一部切欠き側面図を示し、図2(ロ)は、図2(イ)の釣糸10の符号Y−Y断面図を示す。
釣糸10は、第1実施形態の釣糸1に対して、側部31が異なる。
第2実施形態の釣糸10は、芯部2と側部31から成る芯線体41と、芯線体41の外周に被覆部5とを備える。
側部31は、第1側部311と第2側部312から成る。
第2側部312は、第2A金属線側部312Aと第2B金属線側部312Bから成り、芯部2と第1側部311とが接触する凹部の符号C、Cの両側に、それぞれ第2A金属線側部312Aと第2B金属線側部312Bとを配置する。
芯部2の外周に、第1側部311と、第2A金属線側部312Aと第2B金属線側部312Bから成る第2側部312とを平行して同一長手方向へ一定のピッチPで巻回する。
側部31の第1側部311は、第1実施形態の芯部2と同一の合成繊維のマルチフィラメント糸を用いる。又、側部31の第2側部312の、第2A金属線側部312Aと第2B金属線側部312Bとは、第1実施形態の側部3と同一の金属素線を用いる。
そして、芯線体41の外周の被覆部5は、第1実施形態と同一の主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物を用いる。
芯部2の外周に、第1側部311と第2側部312とを巻回する場合、芯部2を長手方向へ一定の引張力を加えて直線状にさせながら、その外周に第1側部311と第2側部312とを長手方向へ一定の引張力を加えて、芯部2に対してラジアル方向へ回転させて巻回する。
マルチフィラメント糸の第1側部311は、巻回時に加えられる長手方向への一定の引張力と前記引張力に伴う径方向(外側から内側へ)への圧縮力、並びに、第1側部311の両側に配置した金属素線から成る第2側部312(第2A金属線側部312Aと第2B金属線側部312B)からの巻回による圧縮力等の相互作用を受けて、図2(ロ)で示すように、符号aの自然状態から符号bの巻回後の状態へ偏平状に圧縮変形する。
この第1側部311が圧縮変形する理由は、第1側部311は第2側部312の金属素線に比べて比重が1/5以下で軽く、かつ、繊維間に空隙が多く存在するマルチフィラメント糸であり、特に、巻回時に加えられる長手方向への引張力と、引張力に伴う圧縮力、並びに、第2側部312の金属線からの巻回による圧縮力等の相互作用の影響を受け易く、変形し易いことによると考えられる。
本発明の第2実施形態の釣糸10の機械的強度特性について、以下説明する。
芯部2の引張破断力は、前記第1実施形態の釣糸1と同じ641.2cNである。
側部31の引張破断力は、第1側部311の引張破断力と第2側部312の引張破断力との合計である。
第1側部311は、第1実施形態の芯部2(第2実施形態の芯部2と同じ)と同一の為、引張破断力は、641.2cNである。
第2側部312は、第1実施形態の側部3と同一の金属素線を用い、金属素線の本数が同じであることから、引張破断力は約85.8cNである。
釣糸10に引張力を加えた場合、引張破断するメカニズムは、前記同様に合成繊維と比較して伸びが小さく、引張破断力の低い第2側部312が引張破断した後に、引張破断力の高い芯線2と第1側部311とが引張破断する。そして、芯線2と第1側部311との引張破断に伴って被覆部5が引張破断する。
この為、芯部2と第1側部311との引張破断力の大きさが、芯線体41の引張破断力となって、その引張破断力は1282.4(28×22.9×2)cNとなる。又、被覆部5が第1実施形態の釣糸1と同様に、約12.8cN引張破断力を補完している為、釣糸2の引張破断力は、約1295.2(1282.4+12.8)cNである。
本発明の第2実施形態の釣糸10において、芯部2の外径D11が0.020mmであり、第1側部311は、2本の金属素線から成る第2側部312との巻回により偏平状となり、厚さTは、第2側部312の金属素線の線直径D、dと同一となり、第2側部312の金属素線の線直径D、dは共に、0.012mmで、被覆部5の膜厚tが0.003mmであることから、釣糸10の横断面の最大外径d01は0.038mmで、第1実施形態の釣糸1の横断面の最大外径dと同じである。
従って、本発明の第2実施形態の釣糸10は、横断面の最大外径d01が第1実施形態の釣糸1と同一でありながら、引張破断力を釣糸1よりも約2倍向上させることができる。
そしてこのことは、本発明の釣糸10は、日釣工線径基準号柄0.01号に相当し、号柄が0.01号の細径でありながら、第1実施形態の釣糸1と比較して、引張破断力を約2倍向上させた機械的高強度を有する釣糸10といえる。
又、被覆部5は、第1実施形態の釣糸1と同一である為、第1実施形態の釣糸1と同様に、第2実施形態の釣糸10は、表面の滑性作用と撥水作用とを有し、水流からの釣糸への圧力抵抗を軽減させることができ、例えば鮎の友釣りに場合には、囮鮎の疲れを軽減させることができる。又、魚を釣り上げようとして竿を立てた場合に、釣糸から滴り落ちる水滴量を軽減させて釣人の衣服等への釣糸の絡みつきを低減させることができる。
これにより、例えば、魚の鉤からの取り外し作業、仕掛け糸の交換作業、及び、囮鮎の交換作業等の迅速化を補完することができる。
さらに、耐候性の向上により、釣糸10の紫外線からの釣糸の変色、及び、機械的高強度特性の劣化を防止することができる。
尚、ここでいう合成繊維のマルチフィラメント糸と金属素線とを用いた複合糸から成る釣糸は、モノフィラメント糸のみから成る釣糸と比較して、形状が複雑で太さが極めて細い為、太さの測定に際して接触型測定機を用いた場合には、釣糸への接触圧力により太さが変動し易い。これを防ぐ為、非接触型のレーザー測定機を用いて、釣糸の横断面の最大外径を釣糸の太さとして、太さ標準規格と対比して述べた。この為、接触型測定機を用いた場合とは、その値は異なる。
図3は、本発明の変形例の釣糸20、30を示す。図3(イ)は変形例1の釣糸20を示し、芯部2と、側部32から成る芯線体42と、芯線体42の外周に被覆部5を備える。
本発明の第1実施形態の釣糸1と異なるところは、側部32が4本の金属素線から成り、他は第1実施形態の釣糸1と同様である。
図3(ロ)は変形例2の釣糸30を示し、芯部2と、第1側部331と第2側部332との側部33から成る芯線体43と、芯線体43の外周に被覆部5を備える。
本発明の第2実施形態の釣糸10と異なるところは、第1側部331の両側に2本の金属素線から成る第2A金属線側部332Aと2本の金属素線から成る第2B金属線側部332Bとを備え、他は第2実施形態の釣糸10と同様である。
変形例1の釣糸20は、水中での沈み性が高く、変形例2の釣糸30は、水中での高い沈み性に加えて、引張破断力が高く、後述する「引き釣り手法」の鮎釣り用の釣糸として好適であり、金属素線の本数を増減させることにより、水中での沈み性を調整することができる。
そして、第1、2実施形態の釣糸1、10と同一の被覆部5を備えている為、釣糸20、30の釣糸表面の滑性作用と撥水作用とを有し、水流からの釣糸20、30への圧力抵抗を軽減させ、魚を釣り上げようとする一連の動作(釣った魚の鉤からの取り外し作業、仕掛け糸の交換作業等)を迅速化させることができる。
さらに、耐候性の向上により、釣糸20、30の紫外線からの釣糸の変色、及び、機械的高強度特性の劣化を防止することができる。
図4は、第1、2実施形態の釣糸1、10及び変形例1、2の釣糸20、30を、鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸(水中糸)の説明図である。
鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸は、主に天上糸101と水中糸102とハナカン回り糸103から成り、水中糸102の一方の端部を天上糸と結節し、他方の端部をハナカン回り糸103と結節する。囮鮎の水中での動きを目視により把握する為、細くて短い合成繊維束から成る目印104を一定の間隔で4個、上下動し、かつ、任意の位置で止めることができるように水中糸102に係止する。又、囮鮎を取り付けるハナカン105と釣り上げようとする鮎を掛ける掛けバリ106等を用いる。尚、符号100は竿である。
鮎の友釣りの場合、水流の方向と釣糸の長手方向とが平行になるようにして所望の位置へ囮鮎を誘導させる「引き釣り技法」と、釣糸を撓ませて釣糸に加わる水流からの圧力抵抗を利用して所望の位置へ囮鮎を誘導させる「泳がせ釣り技法」とがあり、それぞれの釣り場の状況に応じて、これらの釣り技法を組み合わせている。
いずれの釣り技法においても、釣糸、特に水中糸102へ加わる水流からの圧力抵抗が大きいと囮鮎の負担が多くなって動きが鈍り、釣果が減少する。又、竿100を上げて鮎、又は、釣糸等を把持しようとした場合に、釣人の衣服、及び、道具等へ釣糸(特に水中糸102)が絡みついてくる。
かかる場合に、本発明の釣糸は、被覆部5がフッ素化合物を含んでいる為、被覆部5の表面の滑性作用と撥水作用により、釣人の衣服、及び、道具等へ釣糸の絡みつきを低減させることができる。
そして、釣糸を伝わって流れ落ちてくる水量を軽減させることができ、水中糸102の交換作業の迅速化を図ることができると共に、釣り上げた鮎の鉤からの取り外し作業、及び、囮鮎の交換作業の迅速化を図ることができる。
図5は、本発明の変形例3の釣糸40と変形例4の釣糸50を示す。
図5(イ)は釣糸40と釣糸50の全体の一部切欠き側面図を示し、図5(ロ)は、図5(イ)の釣糸40と釣糸50の符号Z−Z断面図を示す。
釣糸40は、芯部2Aと側部34から成る芯線体44Aと、芯線体44Aの外周に被覆部5を備える。
本発明の第1実施形態の釣糸1と異なるところは、芯部2Aに外径D12が0.020mmの金属素線を用いることと、側部34に8本の金属素線を用いることである。
芯部2Aは、外径D12が0.020mmで、第1実施形態の釣糸1の側部3と同一材質の金属素線を用いる。
側部34は、線直径dが0.012mmで、第1実施形態の釣糸1の側部3と同一外径で同一材質の金属素線を用いる。側部34は、芯部2Aの外周に8本の金属素線を平行して同一長手方向へ巻回して芯線体44Aを形成し、芯線体44Aの外周に被覆部5を備える。
被覆部5は、第1実施形態の釣糸1の被覆部5と同一材質で、同一の膜厚(t)である。
釣糸40の外径D02は、0.050mm(0.020+0.012×2+0.003×2)で、日釣工線径基準号柄の0.04号に相当する。
この構成により、特に側部34に、8本の金属素線を平行して同一長手方向へ巻回している為、耐摩耗性を向上させることができると同時に、水中での高い沈み性を備え、前記「引き釣り手法」に好適である。
さらに、被覆部5を備えていることにより、表面の滑性作用と撥水作用とを有し、かつ、水流からの圧力抵抗を軽減させ、魚を釣り上げようとする一連の動作を迅速化させ、さらに、耐候性の向上により紫外線からの劣化を防止することができる。
釣糸50は、芯部2Bと側部34から成る芯線体44Bと、芯線体44Bの外周に被覆部5を備える。本発明の第1実施形態の釣糸1と異なるところは、側部34に8本の金属素線を用いることである。
芯部2Bは、外径D12が0.020mmで、第1実施形態の釣糸1の芯部2と同一外径で同一材質を用いる。
側部34は、線直径dが0.012mmで、第1実施形態の釣糸1の側部3と同一外径で同一材質の金属素線を用いる。側部34は、芯部2Bの外周に8本の金属素線を平行して同一長手方向へ巻回して芯線体44Bを形成し、芯線体44Bの外周に被覆部5を備える。
被覆部5は、第1実施形態の釣糸1の被覆部5と同一材質で同一の膜厚(t)である。
釣糸50の外径D02は、0.050mmで、日釣工線径基準号柄の0.04号に相当する。
この構成により、特に側部34に8本の金属素線を平行して同一長手方向へ巻回している為、耐摩耗性を向上させることができると同時に、マルチフィラメント糸から成る芯部2Bとの併用により、引張破断力をより向上させることができる。又、水中での沈み性を備える。
さらに、被覆部5を備えていることにより、表面の滑性作用と撥水作用とを有し、かつ、水流からの圧力抵抗を軽減させ、魚を釣り上げようとする一連の動作を迅速化させ、耐候性の向上効果等については、前記釣糸40と同様である。
補足すれば、釣糸40、50に用いる側部34の金属素線の本数は、7本から12本が望ましい。
変形例3、4は、図5で示すように、図1〜3とは異なり、側部34の複数本の金属素線によって芯部2A、2Bの全周を覆っている構造である。かかる場合の釣糸の内容を、以下に記載する。尚、主な構成部材の符号を括弧内に付記した。
前記変形例3の場合、
芯部(2A)の外周に側部(34)を有し、前記芯部(2A)と前記側部(34)とを有する芯線体(44A)を備え、
前記芯線体(44A)の外周に被覆部(5)を備えた釣糸(40)であって、
前記芯部(2A)は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の1本の金属素線を用い、
前記側部(34)は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の複数本の金属素線を用い、 前記芯部(2A)の外周に金属素線どうしを平行して同一長手方向へ巻回し、
前記被覆部は、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物で、
前記主剤が、官能基を含有するフッ素化合物を含み、前記硬化剤が、アミノプラスト系化合物又はイソシアネート系化合物であることを特徴とする釣糸(40)である。
前記変形例4の場合、
芯部(2B)の外周に側部(34)を有し、前記芯部(2B)と前記側部(34)とを有する芯線体(44B)を備え、
前記芯線体(44B)の外周に被覆部(5)を備えた釣糸(50)であって、
前記芯部(2B)は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸を用い、
前記側部(34)は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の複数本の金属素線を用い、 前記芯部(2B)の外周に金属素線どうしを平行して同一長手方向へ巻回し、
前記被覆部は、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物で、
前記主剤が、官能基を含有するフッ素化合物を含み、前記硬化剤が、アミノプラスト系化合物又はイソシアネート系化合物であることを特徴とする釣糸(50)である。
そして、変形例3の釣糸(40)と変形例4の釣糸(50)との共通事項は、以下である。
前記主剤の、前記官能基を有するフッ素化合物が、フルオロオレフィン系共重合体で、
前記硬化剤のイソシアネート系化合物が、多価イソシアネート化合物又は多価イソシアネート化合物の変性体であることを特徴とする釣糸である。
又、前記主剤の前記官能基が活性水素含有基で、前記フルオロオレフィン系共重合体が、
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等から成る群から選ばれる少なくとも一種から成り、
前記硬化剤の前記多価イソシアネ−ト化合物が、脂肪族多価イソシアネ−ト又はポリオール変性体の少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする釣糸である。
そして、変形例3と変形例4に用いる釣糸(40、50)が、鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸(40、50)であって、前記釣糸(40、50)を、天上糸とハナカン回り糸とを結節する水中糸(102)として用いたことを特徴とする釣糸(40、50)である。
1 釣糸(第1実施形態)
2 芯部
3 側部
4 芯線体(第1実施形態)
5 被覆部
10 釣糸(第2実施形態)
20 釣糸(変形例1)
30 釣糸(変形例2)
40 釣糸(変形例3)
41 芯線体(第2実施形態)
42 芯線体(変形例1)
43 芯線体(変形例2)
50 釣糸 (変形例4)
102 水中糸

Claims (4)

  1. 芯部の外周に、側部を長手方向へ巻回し、前記芯部と前記側部とを有する芯線体を備え、前記芯線体の外周に被覆部を備えた釣糸であって、
    前記芯部は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸を用い、
    前記側部は、線直径が0.008mm以上0.100mm以下の、少なくとも1本の金属素線、又は、繊度が8dtex以上280dtex以下のマルチフィラメント糸の、いずれか一方、又は、双方を用い、
    前記被覆部は、主剤と硬化剤とを用いて成る樹脂組成物で、前記主剤が、官能基を含有するフッ素化合物を含み、前記官能基が活性水素含有基で、前記フッ素化合物がフルオロオレフィン系共重合体で、前記硬化剤が、アミノプラスト系化合物、多価イソシアネート化合物、多価イソシアネート化合物の変性体、無黄変性芳香族イソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする釣糸。
  2. 請求項1記載の釣糸であって、
    前記側部は、第1側部と第2側部から成り、前記芯部の外周に前記第1側部と前記第2側部とを平行して同一長手方向へ巻回し、
    前記第1側部が前記マルチフィラメント糸で、前記第2側部が少なくとも1本の前記金属素線から成り、前記硬化剤の前記多価イソシアネート化合物と前記多価イソシアネート化合物の変性体が、脂肪族多価イソシアネ−ト、脂環族多価イソシアネート、ウレタン変性体、ポリオール変性体から選ばれる少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする釣糸。
  3. 請求項1または2のいずれか一つに記載の釣糸であって、
    前記芯部と、前記側部又は前記第1側部のマルチフィラメント糸が、全芳香族ポリエステル繊維で、前記側部又は前記第2側部の前記金属素線が、オーステナイト系ステンレス鋼線又はドープタングステン線で、前記フルオロオレフィン系共重合体が、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パ−フルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ビニルエ−テル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン−パ−フルオロ(アルキルビニルエ−テル)共重合体から成る群から選ばれる少なくとも一種を用いて成ることを特徴とする釣糸。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の釣糸が、鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸であって、
    前記釣糸を、天上糸とハナカン回り糸とを結節する水中糸として用いることを特徴とする鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸。
JP2017132285A 2017-07-05 2017-07-05 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸 Active JP6353132B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017132285A JP6353132B1 (ja) 2017-07-05 2017-07-05 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017132285A JP6353132B1 (ja) 2017-07-05 2017-07-05 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6353132B1 true JP6353132B1 (ja) 2018-07-04
JP2019013175A JP2019013175A (ja) 2019-01-31

Family

ID=62779962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017132285A Active JP6353132B1 (ja) 2017-07-05 2017-07-05 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6353132B1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH074064A (ja) * 1993-06-16 1995-01-10 Kyowa Kk 建築工事用養生シート
JP2017055725A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 日本ミニチュアロープ株式会社 釣糸

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH074064A (ja) * 1993-06-16 1995-01-10 Kyowa Kk 建築工事用養生シート
JP2017055725A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 日本ミニチュアロープ株式会社 釣糸

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019013175A (ja) 2019-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5031890B2 (ja) 短繊維を含む芯鞘構造の釣糸
EP1335046B1 (en) A rope comprising high strength polyethylene fibers
EP2544527B1 (en) Fluoropolymer fiber composite bundle
EP1991733B1 (en) Ropes having improved cyclic bend over sheave performance
US20070202331A1 (en) Ropes having improved cyclic bend over sheave performance
EP2423357A2 (en) Fluoropolymer fiber composite bundle
US20150247269A1 (en) Braid
JP4054736B2 (ja) 自己融着糸条の製造方法
US20140202393A1 (en) Aquatic-predator resistant net
JP6353132B1 (ja) 釣糸及び鮎釣り用の仕掛けに用いる釣糸
JP2017055725A (ja) 釣糸
JP4097004B2 (ja) 繊維ロープ
JP2009254245A (ja) 糸条と該糸条からなる釣糸
JP4463844B2 (ja) 自己融着糸条
JP2010168700A (ja) 糸条
JPH06158568A (ja) 合成樹脂で被覆した高強度ポリエチレン繊維製のロー プ、紐またはネット
JP3518617B2 (ja) 係船索
JP6366551B2 (ja) 耐摩耗性と屈曲性に優れたコード糸
JP2021070898A (ja) 水産資材用複合モノフィラメントおよびその製造方法
JP2022034119A (ja) 水産資材用複合モノフィラメント
JP2007330264A (ja) 比重調整可能な低伸度耐磨耗性糸条
JP3182559B1 (ja) 釣 糸
JP2500011B2 (ja) 釣糸及びその製造方法
JP2009219360A (ja) 釣り糸
WO2024008591A1 (en) Mooring system for mooring a floating object

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6353132

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250