JP3181635B2 - 蛍光体用青色顔料の製造方法及び顔料付青色発光蛍光体 - Google Patents

蛍光体用青色顔料の製造方法及び顔料付青色発光蛍光体

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーブラウン管等の
蛍光体膜に適した顔料付青色発光蛍光体及びその青色発
光蛍光体に適した青色顔料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管や蛍光表示管等の画像
のコントラストを向上させるために蛍光面における外光
の反射を吸収するフィルターを蛍光体表面に付着するこ
とは知られている。青色発光蛍光体においては、その発
光ピークである450nm付近における吸収ができるだ
け少なく、それ以外の波長領域における吸収ができるだ
け多い顔料を使用することが要求される。
【0003】この種の青色顔料として、特開昭54─2
8784号公報に群青(3NaAl・SiO2 ・Na2
2 )、紺青(Fe4 Fe( CN) 6 3 ・nH
2O)、アルミン酸コバルト(CoO・nAl2 3 )
、セルリアンブルー(CoO・nSnO2 ) 、硫化銅
(CuS)等が提案されている。
【0004】しかし、一般に実用されているアルミン酸
コバルトは、体色が青色蛍光体の発光スペクトルと一致
せず、特に、490nm付近の反射率が高いためにコン
トラストの向上を目的とするときには有効でない。ま
た、一部に実用されている群青は、アルミン酸コバルト
に比べて優れた特性を有するものの、化学的安定性が極
めて乏しいために、蛍光体への付着工程やブラウン管へ
の塗布工程において退色する欠点を有している。特に、
ブラウン管を作製した後、電子線照射によって顕著にそ
の体色を変化させ、蛍光面の発光スペクトルのピークを
シフトさせるという欠点がある。
【0005】一方、先に提案した特許第2721287
号明細書記載のCoO・ZnO・SiO2 系青色顔料
は、顔料付蛍光体における色調、堅牢性の点でアルミン
酸コバルトや群青より優れている。しかし、この種の無
機酸化物顔料は、従来、酸化物或いは炭酸塩、塩化物な
どの原料を乾式で混合し、900℃以上の温度で焼成
し、冷却後粉砕する方法で製造されていたが、CoO・
ZnO・SiO2 系青色顔料をこの方法で製造すると、
十分な色調を保持したまま1ミクロン以下の粒子径の顔
料を得ることは困難であった。そして、これらの比較的
粒子径の大きなCoO・ZnO・SiO2 系青色顔料
は、蛍光体に対する付着力及び着色力が必ずしも十分で
なく、これを補うためには多量の顔料を付着する必要が
あった。しかし、顔料を多量に付着すると、輝度が低下
するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の問題を解消し、蛍光体への付着力及び着色力に優
れ、輝度低下を招くことのないCoO・ZnO・SiO
2 系青色顔料の製造方法並びにその顔料を付着した青色
発光蛍光体を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、青色発光蛍光
体の表面に付着するための、CoO・ZnO・SiO2
系青色顔料の製造方法において、コバルトと亜鉛を含む
水溶液にアルカリ水溶液を添加し、コバルトと亜鉛を水
酸化物として共沈させ、有機溶媒で水を置換した後、
素原料溶液を添加して上記沈殿物表面に珪素化合物を付
着し、次いで焼成することを特徴とする蛍光体用青色顔
料の製造方法である。
【0008】ここで、コバルトと亜鉛を含む水溶液とし
ては、塩化物、フッ化物、ヨウ化物、臭化物、硫酸塩、
硝酸塩等を使用することができ、水置換用の有機溶媒と
しては、エタノール、メタノール等を使用することがで
き、珪素原料としては、珪酸アルコキシド等を使用する
ことができる。
【0009】なお、上記の顔料の焼成時に必要に応じて
各種の融剤やその他の元素を含有させることができる。
具体的には、Li,Na,K,Ca,Mg,Ba,F
e,Ni,Cu,Mn,Ti,V,Al,Sn,Sb,
Cr及びPrの群から選択される少なくとも1種を含有
させてもよい。これらの元素は約5重量%以下の範囲で
添加することができる。これを超えると、青色顔料とし
て好ましい色調を得ることができなくなる。
【0010】また、加水分解に際してはアンモニア水を
適量加えて攪拌しながら30〜40℃に加温することが
好ましく、さらに、沈殿は、遠心分離した後、空気中で
800〜900℃で焼成することが好ましい。この方法
により、平均粒子径が0.5ミクロン以下のCoO・Z
nO・SiO2 系青色顔料を容易に製造することができ
る。
【0011】本発明は、このようにして得た、0.5ミ
クロン以下のCoO・ZnO・SiO2 系青色顔料を青
色発光蛍光体の表面に付着した顔料付青色発光蛍光体で
ある。なお、青色顔料の好ましい平均粒子径は、0.1
〜0.3ミクロンの範囲である。
【0012】
【作用】本発明者等は、CoO・ZnO・SiO 2
色顔料について、その平均粒子径と付着力の関係を調べ
たところ、図1のような関係を得た。ここで、付着力と
は、界面活性剤を0.1%加えた水中で顔料付蛍光体を
振り混ぜた後、2時間放置し、上澄みの600nmにお
ける透過率を測定したものである。数値が小さい場合
は、顔料が水中で剥離され、透過率を低下させたもので
あり、顔料の付着力が弱いことを示している。図1から
明らかなように、顔料の平均粒子径が0.5ミクロン
超えると付着力が弱く、実用上問題があることが分か
る。
【0013】本発明者等は、CoO・ZnO・SiO2
系青色顔料付青色発光蛍光体を種々検討する過程で、平
均粒子径が0.5ミクロン以下の顔料を用いると、蛍光
体への付着力と着色力が向上することを見出し、同時
に、かかる平均粒子径の顔料の製造方法も確立すること
に成功した。図2は、下記実施例で得た平均粒子径0.
3ミクロンのCoO・ZnO・SiO2 青色顔料のSE
M写真である。この写真から明らかなように、本発明の
方法で得たCoO・ZnO・SiO2 系青色顔料は、表
面が滑らかで独特の形状を有し、かつ、極めてシャープ
な粒度分布を有していることが分かる。このような形態
が、本発明の特徴である蛍光体への付着力や着色力、さ
らにはコントラストの向上に寄与しているものと考えら
れる。
【0014】なお、本発明で使用することのできる青色
発光蛍光体としては、380〜500nmの範囲内に発
光スペクトルの主要部を有するもので、具体的には銀付
活硫化亜鉛系蛍光体〔ZnS:Ag,X(Xはハロゲン
又はAl)、ZnS:Ag,M,X(MはGa,In
等、Xはハロゲン又はAl)〕、Y2 SiO5 :Ce、
Ca2 5 9 Cl:Eu、(Bax Mg1-x ) O・n
Al23 :Eu(0≦x≦1,7≦n≦8)、SrS
3 8 Cl4 :Eu、CaWO4 、CaWO4 :P
b、BaFCl:Eu、Gd2 2 S:Tb、ZnS:
Zn等を挙げることができる。上記の青色顔料の付着量
は、0.3〜30重量%の範囲が好ましい。付着量が下
限値を下回るとフィルター効果が小さすぎ、また、上限
値を越えると、発光輝度が十分でなくなる場合がある。
【0015】
【実施例】
(実施例)塩化コバルト(6水和物)4.7部と塩化亜
鉛5.5部を脱塩水100部に溶解した。これを攪拌し
ながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加えて
pHを9とした。静置して上澄みを切った後、同じ体積
のエタノールを加え、再び静置して上澄みをエタノール
と置換した。これに28%アンモニア水溶液24部を加
えた。さらに、エタノール20部にテトラエトキシシラ
ン20部を溶解した溶液を加えて攪拌しながら40℃に
加温し2時間保持した。反応終了後、遠心分離して得た
固形物を風乾してエタノールを除き、800℃で2時間
焼成して平均粒子径0.3ミクロンのxCoO・yZn
O・zSiO2 顔料(x=0.3,y=0.6,z=
1.0)を得た。図2は、この顔料のSEM写真であ
る。
【0016】次いで、銀付活硫化亜鉛青色発光蛍光体1
00部に対し、蒸留水100部を加えてスラリーとし、
これに、上記の青色顔料3部を加えて45℃に加温しな
がら、バインダーとしてゼラチン0.36部及びアラビ
アゴム0.3部を水溶液にしたものを加え、酢酸によっ
てpHを4.1に調整してから室温まで放冷し、その
後、50%のグルタルアルデヒド水溶液7.5部を加え
てバインダーを硬化させた。
【0017】(比較例) 酸化コバルト1.7部、酸化亜鉛2.6部、酸化珪素
5.8部を乾式で混合し、空気中で1300℃で2時間
焼成し、粉砕して平均粒子径0.9ミクロンのxCoO
・yZnO・zSiO2 顔料(x=0.36,y=0.
6,z=1.0)を得た。図3は、この顔料のSEM写
真である。この青色顔料を実施例と同様の条件で銀付活
硫化亜鉛青色発光蛍光体に付着した。
【0018】(フィルター効果の比較)実施例及び比較
例で得た顔料付蛍光体の拡散反射率を測定して図4に示
した。顔料を同量付着したものであるが、小粒子顔料を
付着した実施例の方が、600nm付近の反射率が低く
フィルター効果が優れていることが分かる。
【0019】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、蛍光体への付着力及び着色力の優れた平均粒子径
0.5ミクロン以下のxCoO・yZnO・zSiO2
系顔料を提供することができ、また、青色発光蛍光体に
該顔料を付着することにより、高輝度を保持しながら、
コントラストの向上を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】青色顔料の平均粒子径と付着力の関係を示した
グラフである。
【図2】実施例で得た平均粒子径0.3ミクロンのxC
oO・yZnO・zSiO2 顔料(x=0.3,y=
0.6,z=1.0)の粒子構造を示したSEM写真で
ある。
【図3】比較例で得た平均粒子径0.9ミクロンのxC
oO・yZnO・zSiO2 顔料(x=0.36,y=
0.6,z=1.0)の粒子構造を示したSEM写真で
ある。
【図4】実施例及び比較例で得た顔料付蛍光体の拡散反
射率を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 11/08 C01G 51/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 青色発光蛍光体の表面に付着するため
    の、CoO・ZnO・SiO2 系青色顔料の製造方法に
    おいて、コバルトと亜鉛を含む水溶液にアルカリ水溶液
    を添加し、コバルトと亜鉛を水酸化物として共沈させ、
    有機溶媒で水を置換した後、珪素原料溶液を添加して上
    記沈殿物表面に珪素化合物を付着し、次いで焼成するこ
    とを特徴とする蛍光体用青色顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記珪素原料として珪酸アルコキシドを
    用いることを特徴とする請求項1記載の蛍光体用青色顔
    料の製造方法。
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