JP3172526B2 - 夜具地 - Google Patents

夜具地

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JP3172526B2 JP25827090A JP25827090A JP3172526B2 JP 3172526 B2 JP3172526 B2 JP 3172526B2 JP 25827090 A JP25827090 A JP 25827090A JP 25827090 A JP25827090 A JP 25827090A JP 3172526 B2 JP3172526 B2 JP 3172526B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は繰り返し洗濯後でも吸水性が低下せず、耐久
性に優れた吸水性、吸汗性を有する新規な共重合ポリエ
ステル繊維による夜具地に関するものである。
<従来の技術> 従来、布団側地、布団カバー、シーツ、寝間着、パジ
ヤマなどの夜具用の生地は吸汗性、吸水性の点から綿や
再生セルロース繊維などを主体とした繊維の織布、編布
などの布帛が広く使用されている。
<発明が解決しようとする課題> 従来の夜具地は、セルロース系繊維を主体とした繊維
の布帛であつたが、ねたきり老人用、病人用あるいは小
児用等の用途において、あるいは、多汗性の人の使用に
あつては黴の発生、汗などによる湿り感など使用上の問
題があつた。このような問題に対して、従来の合成繊維
製の夜具地は十分な吸汗性、吸水性を有しないため衛生
上好ましくないものであつた。
また、染色した製品を作る場合、セルロース系繊維の
布帛では染色堅牢度、特に洗濯堅牢度、耐光堅牢度の高
い製品を作るのに問題があつた。
本発明は吸水性、吸汗性が高く、繰り返し洗濯に対し
ても吸水性効果の低下がなく、保温性の高い、そして鮮
明な染色ができ、かつ染色堅牢度に優れたポリエステル
繊維を主体とした繊維を用いた夜具地を提供するにあ
る。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、耐久性に優れた吸水性ポリエステル繊
維からなる夜具地を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、
該繊維を構成するポリエステル分子内に組込まれた親水
化剤の疎水性基と親水性基のバランスが共重合ポリエス
テルの表面濡れ性、および繊維になした際に、特に夜具
地用布帛のごとき集合体の形態での表面濡れ性および吸
水性を左右する重要な要素であることを見出し、本発明
に到達した。すなわち本発明は、主としてジカルボン酸
単位、ジオール単位および一般式 [式中、xおよびyはそれぞれ0または1を表し、Zは
式 −O−(R2−O)−R1 (II) (式中、R1は炭素数3〜18の炭化水素基を表し、R2はア
ルキレン基を表し、nは平均重合度を表す15〜29の数で
ある) で示され、かつ一般式 で示される化合物におけるデービス法により求められた
H.L.B.価が5.0以上の数となる1価の基を表す] で示される構造単位からなり、一般式(I)で示される
構造単位の含有率が1〜50重量%であり、かつフエノー
ルとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中の30℃にお
ける極限粘度が0.5〜1.5dl/gである共重合ポリエステル
からなる繊維を主体繊維とした夜具地である。
本発明を構成する繊維は前述したように特定の共重合
ポリエステルからなるが、この共重合ポリエステルの必
須の構造単位の1つであるジカルボン酸単位は、ジカル
ボン酸から2個のカルボキシル基中の水酸基を除いた形
の構造単位であり、一般式 (式中、R3は2価の有機基または単結合を表す)で示さ
れる。R3で表される2価の有機基としては、例えばp−
フエニレン基、m−フエニレン基、ナフタレンジイル
基、(ビフエニル)ジイル基などの2価の芳香族炭化水
素基;オクタメチレン基、テトラメチレン基などの2価
の脂肪族炭化水素基;1,4−シクロヘキシレン基などの2
価の脂環式炭化水素基などの2価の炭化水素基などが挙
げられる。本発明において共重合ポリエステル中に含ま
れるジカルボン酸単位は、1種のみであつても、また2
種以上であつてもよいが、繊維用途において要求される
優れた機械的性能を有する共重合ポリエステルが得られ
る点から、ジカルボン酸単位の70モル%以上はテレフタ
ロイル基であることが望ましい。
本発明に用いられる繊維を構成する共重合ポリエステ
ルの必須の構造単位の1つであるジオール単位は、ジオ
ールから2個の水酸基中の2個の水素原子を除いた形の
構造単位であり、一般式 −O−R4−O− (式中、R4は2価の有機基を表す) で示される。R4で示される2価の有機基としては、例え
ばエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペ
ンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2−ジメチルト
リメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ノナメチ
レン基、2−メチルオクタメチレン基などの2価の脂肪
族炭化水素基;ジメチルシクロヘキサン−α,α′−ジ
イル基などの2価の脂環式炭化水素基;2,2−ジフエニル
プロパン−4′,4″−ジイル基、ジフエニルスルホン−
4,4′−ジイル基などの2価の芳香族基などが挙げられ
る。共重合ポリエステル中に含まれるジオール単位は1
種のみであっても、また2種以上であつてもよいが、繊
維用途において要求される優れた機械的性能を有する共
重合ポリエステルが得られる点から、ジオール単位の70
モル%以上は、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオ
キシ基、テトラメチレンジオキシ基、ペンタメチレンジ
オキシ基、およびヘキサメチレンジオキシ基のごとき、
炭素数2〜6の直鎖状アルキレングリコールから2個の
水酸基中の2個の水素原子を除いた形の2価の構造単位
であることが望ましい。
共重合ポリエステルの必須の構造単位である一般式
(I)で示される構造単位は、一般式 (式中、Zは前記定義のとおりである) で示される構造単位、一般式 (式中、Zは前記定義のとおりである) で示される構造単位、一般式 (式中、Zは前記定義のとおりである) で示される構造単位などを包含する。一般式(I)で示
される構造単位は通常、それら同士または前記ジカルボ
ン酸単位もしくはジオール単位との間で、エステル結合 またはエーテル結合(−O−)を形成して本発明を構成
する共重合ポリエステルの主鎖中に組み込まれている。
式(II)中のR1が表す炭素数3〜18の炭化水素基として
は、例えばn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、
イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチ
ル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシ
ル、n−ステアリルなどの炭素数3〜18のアルキル基;
シクロヘキシルなどの炭素数3〜18のシクロアルキル
基;フエニル、ノニルフエニルなどの炭素数6〜18のア
リール基などが好ましい。炭化水素基R1の炭素数が2以
下または19以上である場合には、表面漏れ易さに優れ、
吸水性および保水性に優れる繊維集合体を与える共重合
ポリエステルが得られない。また式(II)中のR2が表す
アルキレン基としては、得られる共重合ポリエステルの
表面漏れ易さならびにそれから得られる繊維集合体の吸
水性および保水性の高さの点から、エチレン基、プロピ
レン基などの炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、
エチレン基がより好ましい。R2として2種以上のアルキ
レン基が同一の基Z中に共存してもよい。式(II)中の
nはポリオキシアルキレン部分の平均重合度を表す数で
あり、15〜29の範囲内の数である。nが15未満の数であ
る場合には表面漏れ易さに優れ、吸水性および保水性に
優れる繊維集合体を与える共重合ポリエステルが得られ
ない。またnが29を超える数である場合には、nが15〜
29の範囲内の数である場合に達成される効果以上の効果
はもはや達成されない。表面漏れ易さにとくに優れ、吸
水性および保水性とくに優れる繊維集合体を与える共重
合ポリエステルが着色などの不都合を極力抑制して取得
されることから、nの値は20〜25の範囲内の数であるこ
とが望ましい。一般式(I)中の1価の基Zは式(II)
で示される構造を有することのみならず、一般式(II
I)で示される化合物におけるデービス法により求めら
れたH.L.B.価を5.0以上の数とする構造上の条件を満足
することが必須である。本発明におけるデービス(Davi
es)法によるH.L.B価は、例えば、ジエー・テイ・デー
ビス(J.T.Davies)、イー・ケー・リデアル(E.K.Ride
al)共著「インターフエーシヤル・フエノナメ(Interf
acial Phenomena)第2版」(1963年アカデミツク・プ
レス(Academic Press(アメリカ)発行]第372〜374
頁;西、今井、笠井共編「界面活性剤便覧」(昭和35年
7月5日産業図書株式会社発行)第313頁;日本油化学
協会編「油脂化学便覧改定二版」(昭和46年11月30日丸
善株式会社発行)第710頁などに記載されているよう
に、式 (H.L.B.価)=7+(親水基の基数の総和)+(親油基
の基数の総和) に従つて導出される。ここで、親水基および親油基の代
表例における基数を示すと次のとおりである。
一般式(I)中のZが、一般式(III)で示される化
合物におけるデービス法により求められたH.L.B.価を5.
0未満の数とする場合には、得られる共重合ポリエステ
ルの表面漏れ易さが高くなく、それを用いて得られる繊
維集合体が十分な吸水性および保水性を発揮しえない。
得られる共重合ポリエステルにおける表面漏れ易さ、な
らびにそれを用いて得られる繊維集合体における吸水性
おける保水性がそれぞれ特に高められる点から、Zが一
般式(III)で示される化合物におけるデービス法によ
り求められたH.L.B.価を7.0〜15.0の範囲内の数とする
ことが望ましく、8.0〜13.5の範囲内の数とすることが
より好ましい。
共重合ポリエステルに含まれる一般式(I)で示され
る構造単位は1種のみであつても、また2種以上であつ
てもよいが、該構造単位の含有率は共重合ポリエステル
に対して1〜50重量%の範囲内であり、2〜40重量%の
範囲内が好ましく、なかでも3〜30重量%の範囲内が特
に好ましい。含有率1重量%未満の場合には得られる共
重量合ポリエステルの表面漏れ性が不十分であり、また
50重量%を超える場合には得られる共重合ポリエステル
の強度などの機械的性能が低下するおそれがある。
本発明に用いられる繊維を構成する共重合ポリエステ
ルは、上記のごときジカルボン酸単位、ジオール単位お
よび一般式 (I)で示される構造単位から主としてなるが、他の構
造単位を、本発明の作用・効果が失われない程度の少量
で有していてもよい。かかる任意に有してもよい構造単
位としては、式 で示されるp−オキシ安息香酸単位、式 で示されるp−(β−オキシエトキシ)安息香酸単位な
どの、ヒドロキシカルボン酸からカルボキシル基中の水
酸基およびフエノール性またはアルコール性の水酸基中
の水素原子を除いた2価の構造単位であるヒドロキシカ
ルボン酸単位;式 で示されるグリセリン単位、式 で示されるトリメチロールプロパン単位などの、トリオ
ールから3個の水酸基中の3個の水素原子を除いた形の
3価の構造単位であるトリオール単位;式 で示されるペンタエリスリトール単位などの、テトラオ
ールから4個の水酸基中の4個の水素原子を除いた形の
4価の構造単位であるテトラオール単位;式 で示されるトリメリツト酸単位、式 で示されるトリメシン酸単位などの、トリカルボン酸か
ら3個のカルボキシル基中の3個の水酸基を除いた形の
3価の構造単位であるトリカルボン酸単位;式 で示されるピロメリツト酸単位などの、テトラカルボン
酸から4個のカルボキシル基中の4個の水酸基を除いた
形の4価の構造単位であるテトラカルボン酸単位などが
例示される。
本発明に用いられる繊維を構成する共重合ポリエステ
ルにおいては、フエノールとテトラクロロエタンの等重
量混合溶媒中、30℃で測定した極限粘度が0.5〜1.5dl/g
の範囲内である。極限粘度が0.5dl/g未満の共重合ポリ
エステルでは、強度などの機械的性能が不十分となり、
また溶融紡糸に付した場合における断糸が著しくなる。
一方、極限粘度が1.5dl/gを超える共重合ポリエステル
では、溶融粘度が大きくなり過ぎて紡糸性が不良となる
おそれがある。機械的性能が特に良好となり、また繊維
化工程上のトラブルを少なくしうる点から、共重合ポリ
エステルの極限粘度は0.6〜1.0dl/gの範囲内であること
が好ましい。
本発明に用いられる繊維を構成する共重合ポリエステ
ルは、例えば特公昭43−19037号公報、特開平1−23442
0号公報、特開平1−236236号公報などに記載されてい
る公知の方法に準じて製造される。例えば、テレフタル
酸などの所望のジカルボン酸単位に対応するジカルボン
酸とエチレングリコールなどの所望のジオール単位に対
応するジオールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸ジメチルなどのテレフタル酸の低級アルキルエ
ステルのごとき所望のジカルボン酸単位に対応するジカ
ルボン酸のエステル形成性誘導体と所望のジオールに対
応するジオールとをエステル交換反応させるか、または
所望のジカルボン酸単位に対応するジカルボン酸とエチ
レンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを反応させ
ることからなる、ジカルボン酸とジオールとのエステル
またはその低重合体を生成させる第一段の反応と、次い
でかかる生成物を減圧下に加熱して所望の重合度になる
まで重縮合させることからなる第二段の反応とにおい
て、これらの一連の製造工程の任意の段階で一般式 Z−A (IV) (式中、Aはエステル形成性官能基を有する有機基を表
し、Zは前記定義のとおりである) で示されるコモノマーの所望量を反応系に添加すること
によつて製造される。一般式(IV)中のAで表されるエ
ステル形成性官能基を有する有機基の好ましい例として
次のような構造の有機基が挙げられる。
かかる一般式(IV)で示されるコモノマーとしては、
例えば、ポリオキシエチレングリコール−n−プロピル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−n−プロピル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−t−ブチル−グリ
シジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−t−
ブチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオ
キシエチレングリコール−n−オクチル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−オクチル
−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエ
チレングリコール−2−エチルヘキシル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−2−エチルヘ
キシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオ
キシエチレングリコール−n−ドテシル−グリシジルエ
ーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−ドデシル
−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエ
チレングリコール−n−ステアリル−グリシジルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−ステアリル−
2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチ
レングリコール−フエニル−グリシジルエーテル、ポリ
オキシエチレングリコールフエニル−2,3−ジヒドロキ
シプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
ノニルフエニル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチ
レングリコール−ノニルフエニル−2,3−ジヒドロキシ
プロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−シ
クロヘキシル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレ
ングリコール−シクロヘキシル−2,3−ジヒドロキシプ
ロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−ポリ
オキシプロピレングリコール共重合体のオクチル−グリ
シジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール/ポリ
オキシプロピレングリコール共重合体のオクチル−2,3
−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレン
グリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重合体
のn−ドデシル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチ
レングリコール/ポリオキシプロピレングリコール共重
合体のn−ドデシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエー
テルなどから1種または2種以上を選択して使用するこ
とができる。また、上記の一連の製造工程の任意の段階
で、ジヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体、トリオール、テトラオール、トリカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体、テトラカルボン酸また
はそのエステル形成性誘導体などの、本発明の共重合ポ
リエステルが任意に有しても良い構造単位を与えるコモ
ノマーを少量、反応系に加えてもよい。
本発明を構成する共重合ポリエステル繊維には、必要
に応じて任意の添加剤、例えば触媒、着色防止剤、耐熱
剤、蛍光漂白剤、難撚剤、酸化防止剤、艶消剤、着色
剤、無機微粒子などが含まれていてもよい。特にポリオ
キシアルキレン鎖部分が溶融紡糸条件下のような高温条
件下において酸化されて重合度低下や着色といつた不都
合を生じる多少のおそれがあるため、酸化防止剤または
蛍光漂白剤の添加が好ましい結果を与える場合がある。
本発明を構成する共重合ポリエステル繊維がすぐれた
吸水性が発揮される理由については現時点では明確に説
明できないが、前述したように(IV)式単量体を共重合
した場合、側鎖基としてぶらさがるポリオキシアルキレ
ン鎖が有効に効果を発揮しているためと思われる。本発
明で検討している過程で側鎖部の適切なHLB値と長さ
(n=15〜29)を設定することにより、より有効な吸水
性効果と良好な繊維化工程性を維持できる共重合ポリエ
ステルが初めて見い出されたものである。
また、直鎖状のポリアルキレングリコールの如き成分
を共重合した場合は、目的の吸水性能レベルを得るため
には、共重合量をかなり多くしなければらないと同時
に、ポリマー物性が結晶性が著しく低下するとともに耐
熱性も極端に低下してくるために、紡糸時の耐熱性が不
良となり紡糸性が著しく悪化するとともに、得られた繊
維物性も劣るものしか得られないのに対して、(IV)式
の如き、側鎖型ポリアルキレングリコールを共重合した
場合の方が少ない共重合量で、しかも繊維化工程性も良
好でかつ繊維物性も良好なものが得られることが見い出
されたわけである。しかも(II)式で示すようにn=15
〜29、HLB5以上のもが総合的に更にベストであることを
見い出したわけである。(II)式中のnが多くなると紡
糸時の耐熱性が不良となり紡糸性が低下してくるととも
に、(IV)式単量体を共重合させる場合の共重合性が不
十分となつてくるので好ましくなくn=29以下にするの
がベストであるという結論に至つた。
また、本発明において、繊維断面形状は、丸断面以外
の異形断面でもよい。例えば、紡糸時の異形断面ノズル
により3葉形、T形、4葉形、5葉形、6葉形、7葉
形、8葉形等多葉形や各種の断面形状てなつても要は今
迄説明してきたポリマー組織と単繊維デニールの要件を
満たせば良好な吸水性能を有したポリエステル糸繊維を
得ることができる。異形断面形状の中で凹部を有する断
面形状は、その凹部にすみやかに水分を吸引する一種の
毛管現象が発現され、更にすぐれた吸水性を付加させる
ことになり、より好ましい。
また、更にはいわゆる芯鞘構造や、背腹構造の複合繊
維とすることもできるが、この場合は、前述した共重合
ポリエステル成分が繊維断面占有面積で好ましくは40%
以上、更に好ましくは繊維表面の50%以上が該共重合体
であるならば十分に本発明の効果は発現される。
また、前述した共重合ポリエステル繊維による夜具地
に於ける吸水性能は、単糸デニール5デニール以下にす
ることにより一段と優れた吸水性能が発揮されることが
わかり、好ましくは5デニール以下にする方が良い。
吸水性能の評価方法については後で詳細に説明する
が、夜具地の洗濯後水分拡散面積が単糸デニールが5デ
ニール以上になると対照の通常のポリエステル繊維と比
較して5デニール以下の場合程ドラスチツクに顕著な性
能が認められなくなることがわかつた。理由について
は、現時点では明確に断定できないが、繊維集合体にお
ける、ポリマー自身の親水性能と集合体の形状でのキヤ
ピラリー効果との相互作用によるものと思われる。
本発明においては、上記の如き吸水性(共重合)ポリ
エステル繊維に、必要に応じて、例えば綿、麻、再生セ
ルロース系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリオレ
フイン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アク
リル系繊維などの他の繊維を混綿又は混繊して、紡績糸
やフイラメント糸として、これらを用いて通常の方法で
各種の織物、編物等の布帛とし、これを夜具地とするも
のである。また、不織布とする場合においても、例えば
吸水性ポリエステル繊維をステープル繊維とし、必要に
応じて吸水性の効果を妨げない範囲で、例えば、熱バイ
ンダー繊維、熱収縮性繊維およびその他の綿、麻、再生
セルロース系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ
アミド系繊維、ポリオレフイン系繊維、ポリエステル系
繊維、アクリル系繊維などの繊維と混綿し、通常の乾式
法あるいは湿式法によつて製造できるものである。
本発明の夜具地は、これらの織物、編物、不織布等の
布帛から構成されるものであるが、吸水性ポリエステル
繊維はこれら布帛を構成する繊維の少なくとも60重量%
以上使用されることが吸水性能の面から望まれる。
また、本発明の夜具地には、必要に応じて、抗菌剤、
消臭剤、芳香剤、カチオン活性剤、柔軟剤などの処理剤
を付与して仕上げることも好ましい。また、繊維の製造
時に前述したように無機微粒子、たとえば金属酸化物、
セラミツクス、例えば、二酸化チタン、シリカ、アルミ
ナ、マグネシア、ムライト、ジルコニア、ジルコンサン
ド、スピネル、フエライト、コージライトなどの遠赤外
線放射性物質や炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウムと
カーボンの混合物、ホトンセラミツクス#101、#102
(ホトンセラミツクス社製)等の近・中赤外線をよく放
射する近・中赤外線放射性物質を単独又は混合して20重
量%以下、好ましくは3〜20重量%付与しておくことは
保温性の面で特に好ましい。更に、夜具地用布帛には浸
染色あるいは捺染、その他の仕上げ処理加工を施して製
品とする。
本発明の夜具地は吸水性、吸汗性が高く、繰り返し洗
濯に対しても吸水性効果の低下がなく、鮮明な染色がで
き、かつ染色堅牢度に優れたポリエステル繊維を主体と
した繊維の布帛であり、布団側地、布団カバー、シー
ツ、寝間着、パジヤマ、毛布などの夜具用の生地に好適
である。
なお、本発明の夜具地を構成する吸水性ポリエステル
繊維の吸水性は一つは、水分拡散面積を測定することに
行なつた。具体的には水分拡散面積は、各例において得
られた原綿を用いて密度0.02g/cm3のウエツブとし、標
準状態(20℃、65%RH)で赤インク水液を0.35ml滴下し
10分後の溶液の広がり面積である。又、洗濯10回後と
は、JIS L 0217−103法に従つて実施したものであり、
夜温40℃の水1に2gの割合で衣料用合成洗剤を添加溶
解し、洗濯液とし、この洗濯液に溶比が1対30になるよ
うに試料及び必要に応じて負荷布を投入して洗濯を開始
する。そして、5分間処理した後、運転を止め、試料及
び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を常温の新しい
水に替え、上記と同じ浴比で2分間すすぎ洗いをした後
脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い風乾させる。以上
の操作を10回繰り返し10回後の測定サンプルとした。
もう一つの評価方法は、吸水速度を測定することによ
つて行なつた。吸水速度は、測定する布帛について、一
辺が5cmの試験片とし、それを水面上に置き、水が全面
に広がるまでの時間、すなわち、吸水速度を測定した。
<実施例> 次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は断りのない限り、重量に
関するものである。また、極限粘度は、フエノール/テ
トラクロルエタンの等量混合溶液中30℃で測定して求め
られたものである。
[実施例1〜3] テレフタル酸1000g、エチレングリコール750gをエス
テル化反応器に仕込み、230℃で2.5kg/cm2の圧力下で2
時間エステル化反応を行つた。次いでこの反応生成物を
あらかじめ230℃に加熱してある重縮合器に移し、この
系に下記式(III−1)で示される化合物を表1に示さ
れる量だけ添加し、さらにヒンダードフエノール系の酸
化防止剤を式(III−1)化合物の5重量%、三酸化ア
ンチモン0.4gおよび亜リン酸0.12gを添加して重縮合反
応系を調製した。重縮合反応系の温度を230℃〜280℃ま
で45分かけて昇温しつつ、徐々に0.1mmHgまで減圧に
し、以後280℃で系の溶融粘度が所定の値に達するまで
縮重合反応を行つた。
得られた[η]0.68のポリマーを溶融押出し、紡糸温
度285℃で紡糸して未延伸繊維を得た。この繊維を75℃
の温水中で3.5倍に延伸し、リン酸エステルのエチレン
オキサイド付加物を主成分とする繊維油剤を付与し、機
械捲縮を掛けて熱固定処理と乾燥を行つた後、単糸繊度
2デニールの吸水性ポリエステル繊維を得た。この繊維
を繊維長51mmに切断してステープル繊維にした後、紡績
糸とし、常法にて製織して平織布を作つた。
その結果、第1表に示すように実施例の布帛は吸水性
能が極めて良好であつた。
また、実施例で得た布帛を寝間着に縫製して使用した
ところ、多汗性の人でも吸汗性がよく、しかも湿り感が
なく、肌触りの良いものであつた。
[実施例4] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−2)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーをその他は実施例1と同様でテスト
した。良好な吸水性と良好な感触を有する織物が得られ
た。
[実施例5] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−3)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーを実施例1と同様の方法によりテス
トした。良好な吸水性と良好な感触を有する織物が得ら
れた。
[実施例6] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−4)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーを実施例1と同様の方法によりテス
トした。良好な吸水性と良好な感触を有する織物が得ら
れた。
この織物に繊維結合型殺菌剤処理して病人用布団側地
および小児用布団側地として使用したところ、木綿様の
風合いと触感を有し、吸汗性がよく、木綿のような汗に
よる湿り気がない、耐黴性の布団側地であつた。また、
水洗濯して繰り返し使用しても吸水性能の低下は殆どな
かつた。
[実施例7] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−5)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーを実施例1と同様の方法によりテス
トした。良好な吸水性と良好な感触を有する織物が得ら
れた。
この織物に繊維結合型殺菌剤処理して病人用シーツ、
小児用シーツとして使用したところ、木綿様の風合いと
触感を有し、吸汗性がよく、木綿のように湿り気がな
い、耐黴性のシーツであつた。また、水洗濯して繰り返
し使用しても吸水性能の低下は殆どなかつた。
[実施例8,9] 実施例8はU型ノズル、実施例9はT型ノズルを用い
て紡糸を行なつた他は実施例1と同様の方法により実施
した。いずれも繊維化工程性良好で、しかも良好な吸水
性と良好な感触を有する織物が得られた。
[実施例10] 実施例1と同様の共重合ポリエステルを鞘とし、
[η]0.67のポリエステルテレフタレートを芯として、
芯/鞘=50/50重量比で丸断面の芯鞘複合紡糸を行なつ
た。紡糸ヘツド温度290℃で押し出し1000m/分で捲き取
つた。捲取つた紡糸原糸を水浴中75℃で4.2倍に延伸
し、続いて水浴中95℃で8%収縮させ単繊維デニール2.
0の繊維を得た。その後、実施例1と同様の方法で実施
した。良好な吸水性と良好な感触を有する織物が得られ
た。得た織布を染色として夜具地とした。この夜具地を
布団の側地および布団カバーに縫製して使用したとこ
ろ、保温性、吸汗性が高く、湿り気のないものであり、
使用感の良いものであり、洗濯を繰り返して使用しても
吸水性能の低下はなく、染色の変化も通常のポリエステ
ル繊維と同様に優れたものであつた。
[実施例11,12] 実施例11は単糸デニールを1.3dr、実施例12は単糸デ
ニールを3.0drとした以外は実施例1と同様に実施し
た。良好な吸水性と良好な感触を有する布帛が得られ
た。
[比較例1] 通常のポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実
施例1と同様に実施した。吸水性は非常に劣るものであ
つた。
[比較例2] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−6)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーを実施例1と同一の方法によりテス
トしたが、紡糸時の耐熱性がやや悪く、紡糸性不良であ
つた。また、得られた繊維を水中に浸漬し、溶出性をTO
Cメーターで測定したところ、VII式のモノマーと思われ
る物が繊維中よりかなり溶出し、共重合性が不十分であ
ることがわかつた。繊維中よりの溶出物が多いため、商
品としての用いるのは不適当であり夜具地としての評価
までいたらなかつた。
[比較例3] 実施例1において、式(III−1)で示される化合物
の代わりに式(III−7)で示される化合物を表1に示
される量だけ添加した以外は同様にしてポリエステルを
得た。
得られたポリマーを実施例1と同様の方法にてテスト
したが、吸水性は劣るレベルであつた。
[比較例4] 実施例1で用いた化合物単位を60重量%共重合させた
ポリエステルを実施例1におけると同様にして得た。こ
のポリマーの繊維化を行つたところ、紡糸時の単糸切
れ、断糸が頻発した。さらに延伸性も不良であつたので
不織布としての評価まで至らなかった。
<発明の効果> 本発明で規定する吸水性ポリエステル繊維を使用して
作つた夜具地は吸水性、吸汗性が高く、繰り返し洗濯に
対しても吸水性効果の低下がなく、鮮明な染色ができ、
かつ染色堅牢度に優れたポリエステル繊維を主体とした
繊維の布帛であり、更に、保温性があり、布団側地、布
団カバー、寝間着、パジヤマ、シーツ、毛布などの夜具
用の生地に好適である。
フロントページの続き 合議体 審判長 藤井 彰 審判官 石井 克彦 審判官 喜納 稔 (56)参考文献 特開 平1−236236(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として、ジカルボン酸単位、ジオール単
    位および一般式 〔式中、xおよびyはそれぞれ0または1を表し、Zは
    式 −O−(R2−O)n−R1 (II) (式中、R1は炭素数3〜18の炭化水素基を表し、R2はア
    ルキレン基を表し、nは平均重合度を表す15〜29の数で
    ある) で示され、かつ一般式 で示される化合物におけるデービス法により求められた
    H.L.B.価が5.0以上の数となる1価の基を表す〕 で示される構造単位からなり、一般式(I)で示される
    構造単位の含有率が1〜50重量%であり、かつフェノー
    ルとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中の30℃にお
    ける極限粘度が0.5〜1.5dl/gである共重合ポリエステル
    からなる繊維を主体構成繊維とした夜具地。
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