JP3172308U - 掃除用具用不織布およびそれを用いた掃除用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体感に優れるとともに、使用時の力により不織布に押圧力が掛かったときに繊維間に開きが発生することを防止でき、このため自動車、家具、人体等の被掃除物の表面に存在する塵埃等を良好に拭き取ることができる掃除用具用不織布を得る。【解決手段】ワイパーなどの掃除用具として用いられる不織布である。熱可塑性樹脂にて形成された不織布構成長繊維同士が散点状の熱圧着点により接合されて不織布化されている。この不織布11は、波形の多数の凹凸形状12が付与されている。【選択図】図1

Description

本考案は、ワイパーなどの掃除用具として用いられる掃除用具用不織布およびそれを用いた掃除用具に関する。
この種の掃除用不織布は、たとえば特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された掃除用不織布は、綿繊維を主体として構成され、高圧水流の作用によって綿繊維相互間が緊密に交絡されて凸部が形成され、隣接する凸部間を繋ぐ綿繊維にて凹部が形成されたものである。
特開2003−183968号公報
しかしながら、その凸部は、上述のように高圧水流の作用によって綿繊維相互間が緊密に交絡されて形成されただけのものであるため、圧縮したときに厚みが変化しにくく、ある一定の固さがある。よって、その不織布は、汚れ等を掻きとることには優れるものの、不織布内における空隙は大きくないため、立体感(ボリューム感)に富むものではない。
そこで、不織布の端部に切れ目を入れて立体感(ボリューム感)を持たせた掃除用具が考案されている。ところが、まだ満足できるものではなく、望まれる立体感を出すには綿繊維の質量をある程度以上とする必要がある。
また、一般に短繊維によって構成される掃除用不織布では、短繊維である綿繊維の反り返りの問題が存在する。すなわち、使用時の圧力で綿が押しつぶされて、綿間が開きやすくなり、これにより被掃除面と接する綿量が少なくなるため、拭き取り性能の低下となる。
そこで本考案は、立体感に優れるとともに、使用時の力により不織布に押圧力が掛かったときに繊維間に開きが発生することを防止でき、このため自動車、家具、人体等の被掃除物の表面に存在する塵埃等を良好に拭き取ることができる掃除用具用不織布を得ることを目的とする。
この目的を達成するため、本考案の、ワイパーなどの掃除用具として用いられる不織布は、熱可塑性樹脂にて形成された不織布構成長繊維同士が散点状の熱圧着点により接合されて不織布化されており、前記不織布は波形の多数の凹凸形状が付与されていることを特徴とする。
本考案の掃除用具用不織布は、熱可塑性樹脂にて形成された不織布構成長繊維同士が散点状の熱圧着点により接合されて不織布化されたものであるため、熱成形によって容易に所要の凹凸を付与することができて、ワイパーなどの掃除用具に必要な立体感を発現することができる。しかも不織布が長繊維によって構成されているため、使用時の圧力によって繊維間に開きが発生することを防止できる。よって本考案の掃除用具用不織布によれば、自動車、家具、人体等の被掃除物の表面に存在する塵埃等を良好に拭き取ることができる。
本考案の実施の形態の掃除用具用不織布の立体図である。 同不織布における散点状の熱圧着点を強調して描いた立体図である。 散点状の熱圧着点を詳細に描いた図である。 同不織布の構成長繊維の断面図である。 同不織布の断面図である。 図5に示される部分の要部の拡大図である。 本考案の実施の形態の掃除用具の立体図である。 同掃除用具の断面図である。
本考案の掃除用具用不織布は、図1に示すように、シート状の不織布11に波形の多数の凹凸形状12が付与されたものである。13はその凸部、14はその凹部であり、図示の例では凸部13が千鳥状に配置されている。
不織布11は、熱可塑性樹脂にて形成された長繊維によって構成されており、凹凸形状12は、不織布11を熱成形することによって付与されている。
詳細には、図2に示すように、不織布11は、熱可塑性樹脂にて形成された不織布構成長繊維同士が散点状の熱圧着点15により接合されて不織布化されたものである。図3において、16は不織布の構成長繊維を示すが、図示のように、熱圧着点15においては、複数の構成長繊維16、16同士が互いに熱圧着されて一体化されている。これに対し、熱圧着点15以外の部分では、構成長繊維16、16同士は一体化されずに互いに自由に独立して存在している。このような構成であると、不織布11にて掃除用具を構成した場合において、外部からの力が加わったときに、熱圧着点15以外の部分では構成長繊維16が自由に動くことが可能となって、掃除用具に所要の柔軟性を付与することが可能である。また熱圧着点15以外の部分では、繊維間での埃やゴミの捕捉効果を良好に発揮することができる。
凹凸形状12を付与する前の長繊維不織布において、各熱圧着点15の面積の合計は、不織布の全面積に対して5〜25%の範囲であることが望ましい。25%以上であると、圧着点15以外の部分での繊維16の自由度が低下するため、繊維間での埃やゴミの捕捉効果が発揮しにくくなる。一方、5%以下であると、不織布の剛性が過剰に低下してしまう。
構成長繊維16は、熱融着成分のみによって形成することも可能であるが、図示の不織布11では、各構成長繊維16は、繊維形成成分と、この繊維形成成分よりも低融点の熱融着成分とを有した複合長繊維によって構成されている。このような複合長繊維として、芯鞘型複合長繊維、サイドバイサイド型複合長繊維などが好適に用いられる。なかでも、図4に示すように、繊維形成成分17が芯部に配されるとともに繊維形成成分17よりも低融点の熱融着成分18が鞘部に配された芯鞘複合長繊維を、好適に用いることができる。繊維形成成分17としてはポリエステルを好適に用いることができ、その場合の熱融着成分18としてはポリオレフィンを好適に用いることができる。
このような複合長繊維を用いることで、熱圧着点15では、この熱圧着点15の形成時すなわち熱圧着時に、熱融着成分18のみが溶融し繊維形成成分17は溶融せずに繊維形態を保った状態とすることができる。つまり、熱圧着後の熱圧着点15において、熱融着成分18は繊維形態を喪失しても、繊維形成成分17は、繊維形態を維持しているため、溶融による強度低下を防止することができる。このため、熱圧着点15の強度低下を防止することができる。
芯部の繊維形成成分17を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートを好適に例示することができる。または、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルであって、酸成分としてイソフタル酸、アジピン酸等のカルボン酸等を含み、ジオール成分としてテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等を含む共重合ポリエステルを用いることもできる。共重合ポリエステルを用いる場合、エチレンテレフタレート単位が80モル%以上であることが、重合体素材自体の耐熱性や得られた不織布の強力の点から、好ましい。またポリエステルとして、極限粘度が0.5以上、好ましくは0.6以上のものが、製糸性や得られる長繊維の強力の点から、好ましい。
鞘部の熱融着成分18を形成するポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを好適に用いることができる。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等が挙げられる。オレフィン自体はソフトなプラチックに分類される為、熱融着成分18のみが熱溶融し繊維間が結合されることで、繊維に損傷を与えることが少ないまま柔軟性と剛性とを付与することが可能である。
鞘部の熱融着成分18を形成するポリエチレンは、JIS K6922に記載の方法に準じて測定したメルトフローレイトが10〜40g/10分であることが好ましい。この好適な溶融粘度範囲の上限超えると、溶融粘度が低過ぎるために繊維の均斉度が劣ることとなり、しかも得られる長繊維不織布にムラが生じ易くなる。逆に、好適な溶融粘度範囲の下限未満であると、溶融粘度が高過ぎるために高速製糸性に劣る結果となり、好ましくない。
芯部の繊維形成成分17と鞘部の熱融着成分18との複合比は、用途に応じて適宜決定すればよいが、鞘部が少な過ぎると十分な不織布強力及び伸度が得られない。したがって、通常は、芯部に対する鞘部の質量比が0.5〜3.0の範囲であることが好ましい。
構成長繊維16の単糸繊度は、1.0〜10dtexの範囲で選択するのが好ましい。単糸繊度が1.0dtex未満であると、製糸時に糸切れが多く、紡糸操業性に劣ることとなる。しかも、凹凸不織布にしたときに、繊維と埃やゴミとの絡みが低下し、また、シート全体の剛性が低下するため好ましくない。逆に、単糸繊度が10dtexを超えると、繊維間距離が大きくなることから、絡めた状態で保持した埃やゴミが脱落しやすくなる。また単糸繊度が10dtexを超えると繊維の剛性が高くなり過ぎて、本考案の凹凸形状12が付与された不織布を掃除用具として床面に押圧したときに、その凸部13が潰れにくくなってしまう。すると、平坦な被掃除面に一様に接する機能が低下して、被掃除面から部分的に離間することになる傾向が増大してしまう。
構成長繊維16において、芯部の繊維形成成分17を形成するポリエステルおよび/または鞘部の熱融着成分18を形成するポリエチレンには、必要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、結晶核剤、耐候剤、難燃剤あるいは酸化防止剤等の各種添加剤が、本考案の効果を損なわない範囲であれば添加されていてもよい。
凹凸形状12を形成する前の不織布は、いわゆるスパンボンド法によって効率良く製造することができる。たとえば、鞘成分としてポリエチレン、芯成分としてポリエステルを、芯鞘型複合断面となる紡糸口金装置を用いて溶融紡糸し、得られた紡出糸条を従来公知の横型吹付けや環状吹付け等の冷却装置を用いて冷却した後、目的繊度となるようにエアーサッカー等の牽引装置を用いて牽引細化して引取り、公知の開繊装置を用いて開繊維した後、スクリーンからなる移動堆積装置上に堆積させてウエブとし、加熱されたエンボスロールとフラットロールとからなる熱圧接装置を用いて部分的に熱圧接することによって、構成長繊維同士が散点状の熱圧着点により接合されて不織布化された、芯鞘型複合長繊維からなる不織布11を得ることができる。
本考案の掃除用具用不織布においては、上述のように熱可塑性樹脂にて形成された長繊維を構成繊維とする不織布に凹凸形状12が付与されているが、その凹凸形状12は、熱エンボス加工によって好適に付与することができる。凹凸形状12は、図1、2、5、6に示すように、不織布11の表面の凸部13が裏面の凹部14に対応し、表面の凹部14が裏面の凸部13に対応した構造を呈している。
凹部14はその内部に塵埃を捕捉することができるが、その捕捉性を考慮すると、凹部14の形状は、ドット状、または清掃用モップの摺動(拭き取り)方向に直交するストライプ状であることが好ましい。このような形状であると、凹部14を形成する繊維による凹部14内への埃やゴミの捕捉効果を良好に発揮できる。ドットの形状は、丸型、楕円型、菱型、三角型、正方形型又は長方形などが挙げられる。しかし、これらに限られるものではなく、その他例えば半円状のものなど任意の形状であって良い。
凹凸形状12の形成密度は、シート状の不織布11の単位面積当たりに形成される凸部13の個数で表すと、20〜200個/100cmであるのが好ましく、さらに好ましくは40〜160個/100cmである。凸部の個数が40個/100cm未満であると、シート状の不織布形態を維持するために必然的に凹凸の深さが浅くなることから、表面が平坦な状態となり、凹凸形状12を付与することによる効果を得難くなる。逆に、160個/100cmを超えると、却って平坦な状態となって満足な凹凸形状を達成できなくなり、その場合も塵埃等の拭き取り性能が低下する。
図示のように凸部13が千鳥状に配置されていることで、掃除用具の正規の摺動(拭き取り)方向のみならず、それに垂直な方向に摺動させた場合にも、被掃除面に存在する異なる埃やゴミを、凹部14を構成する繊維で捕捉することができる。
凹凸形状12を有する不織布11の厚み、すなわち不織布11の表面側の凸部13の頂部から裏面側の凸部13の頂部までの距離に対応した凹凸形状の高さは、任意であるが、1〜10mm程度が好ましい。厚みが1mm未満であることは、不織布11の凹凸状態が不十分であることを意味する。反対に厚みが10mmを超えると、凸部13の高さ、及び凹部14の深さが著しく大きいため、凹凸形状12を付与するためのエンボス加工時にシート状の不織布が追従しにくく、時には破れが生じることもある。また、シート状の不織布からそのような著しい凹凸変化をつけるためには、エンボス加工時に熱を過剰に与えることが必要になるため、どうしても硬く仕上がってしまうことになる。
凹凸形状12を付与する方法は、特に限定されるものではない。たとえば、凹凸構造を与えるための型が表面に彫刻された金属ロール、特に噛み合わせギアのように凹凸がはっきりしており、かつ、金属部全面で抑えない方式により、不織布の上下両方から型押しすることで凹凸を形成する熱凹凸エンボス加工方法が好ましい。この方法は、いわゆる深絞り加工となるものであって、加工部にその周囲から素材である繊維が流入することによって非常に深く成型されることが特徴である。
このような方法によって凹凸形状12を付与するための装置としては、外周に凹凸を設けた円形板を多数重ねてローラーを構成し、一対のローラーのうちの一方のローラー表面の凹凸と対向するローラー表面の凸凹との間に不織布を通すことにより、不織布に凹凸形状を付与することができる装置を挙げることができる。さらに詳しくは、外周に凹凸を設けた円形板に、または外周に凹凸を設けた円形板同士の間に、スペーサのように機能する間隔保持機構を設けることで、凹凸付与装置を構成可能である。不織布11の凸部13と凹部14の具体的な形状は、金属ロールの表面に彫刻される型の模様によって適宜設計することができる。
凹凸形状12を付与するときの加工温度、すなわち金属ロールの温度は、加工速度にもよるが、不織布の構成長繊維を形成する各重合体融点のうちの最も低い融点をTmとしたときに、(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃とすることが好ましい。加工温度が(Tm−50)℃未満であると、得られる不織布に、厚み(深さ)のある明瞭な凹凸を発現できなくなる。逆に、加工温度が(Tm−10)℃を超えると、熱圧接装置に重合体が固着し、このため不織布製造時の操業性を損なうばかりか、得られる不織布は硬直化して柔軟性が低下したものとなり、また、繊維全体が熱融着気味になることから、埃やゴミとの絡みが低下し拭き取り性を損なうこととなる。
すなわち、本考案の不織布は、構成長繊維が熱可塑性樹脂にて形成されているため、第一段階において熱圧着点の形成により不織布化されたシート状体が、第二段階において再度、凹凸付与装置の熱を帯びた凹凸によって上下から押圧されることで、押さえられた部位において、その部位の周囲からの素材の流入によって非常に深い成型が可能である。つまり、いわゆる深絞り加工をされた状態となっていることが特徴である。
凹凸形状12が付与された不織布の目付は15g/m以上かつ30g/m以下であることが好ましい。この範囲内であると、適度に柔軟で且つ剛性の強い、掃除用具に適した不織布を構成することができる。目付が15g/mを下回ると、凹凸形状12を付与するためのエンボス加工を施しても、凹凸がはっきりせず明瞭な輪郭が出にくい。一方、目付が30g/mを超えると、凹凸形状12の部分の硬さが過剰に出てしまい、やわらかさ、ふんわり感が低下する。また、その場合は、後述する凹凸の潰れが少なく、不織布の変形が少なくなるため、平坦な被掃除面から離間することが多くなって、拭き取り効率が悪くなる。
多数の凸部13を有している不織布11を掃除用具として用いるために平坦な床面に押圧したときには、その凸部13がある程度潰れないと、不織布11の汚れ拭き取り面が平坦にならない。凸部13が潰れにくく、したがってその拭き取り面が平坦になりにくいと、被掃除面としてのたとえば平坦な床面に一様に接することが少なく、部分的に床面から離間することになるから、平坦な床面を掃除するためには、必ずしも好適であるとはいい難い。
そこで本考案の不織布においては、凹凸形状12を熱成形する際に、凸部13の頂部と凹部14の底部とを除いた他の部分は、これら凸部13の頂部および凹部14の底部に比べて、熱硬化の程度が低くなるようにすることが好ましい。すなわち、図6に示すように、凸部13の頂部と凹部14の底部とは、凹凸形状12を維持するための熱硬化部19を構成するが、それ以外の部分(山あいの部分)は、熱硬化部19よりも熱硬化の程度が低くなるようにすることが好ましい。
これに対して凸部13および凹部14の全域を加熱押圧して熱成型すると、全体が硬くなって、上述のように凸部13が潰れにくくなる。すなわち、本考案の不織布においては、凸部13のトップの部分と凹部14のボトムの部分のみ熱成形装置の熱源に触れさせて熱成型し、それ以外の山あいの部分は、熱源からの熱の供給を抑えて、トップやボトムに比べて軟化されることが少なく、したがってその後に硬くならない状態であることが望ましい。また山あいの部分では、熱硬化の程度が低く不織布構成長繊維同士が非拘束であることで、その自由度が高いことが望ましい。そうすることで、平坦な被掃除面を掃除するための押圧力を受けたときに、凸部13が潰れやすくなる。また、全面を熱溶着させたときよりも、やわらかさ、ふんわり感が増すために、埃やゴミとの絡み合いも増し、その捕捉効果が発揮しやすくなる。
一方、上述のように凸部13と凹部14との山あいに存在する繊維の自由度が低下し、硬くなると、埃やゴミとの絡み合いが少なくなり、良好な捕捉効果が発揮できなくなる。また、捕捉した埃やゴミが脱落しやすくもなる。
これに対し、山あいの部分が柔軟であると、不織布を押圧しないときは比較的大きなごみに対する収容部すなわちエンボスの凹部を有しており、しかも押圧したときには、エンボスの凸部が潰れることで、床面などの平坦な被掃除面に対して汚れ拭き取り面が一様に接しやすくなる。
凹凸形状が付与された不織布を製造するための熱成形装置においては、位置を固定して設置された回転自在構造の一方のローラーに、対向ローラーを自重または押し付け機構によって押し付けて、一方のローラーの凹凸と対向ローラーの凸凹とが相互に噛み合うような機構を用いることで、上記のように凹凸の山あいが柔らかい不織布を製造することができる。
図1に示す不織布11のように凸部13が千鳥状に配置されていると、被掃除面とのなじみ感が向上する。さらに、このような千鳥状の配置と、上述の凹凸の山あいにおける自由度のある繊維との相乗作用によって、拭き取り性を向上させることができる。
本考案の不織布においては、圧力負荷をかけたときの厚みと、無荷重時の厚みとの差が、以下のとおりであることが好ましい。ここで、本考案の凹凸形状12が付与された不織布11の厚みとは、不織布の表面側の凸部13の頂部から裏面側の凸部13の頂部までの距離で表されるものである。詳細には、無荷重時すなわち圧力負荷が掛かっていないときの凹凸不織布の厚みをX(mm)とし、一方、圧力9.80kPa(100gf/cm)印加時における凹凸不織布の厚みをY(mm)とする。この厚みYは、平坦な不織布に凹凸エンボスを加工する前の厚みに近いものである。
なお、厚みの測定は、厚み測定器(たとえば大栄科学精機製作所社製)を用いて、所定の圧力を印加して、行うことができる。
そして、〔Y/X〕という式で算出した値が0.1以下であることが好ましい。これによって、エンボスの凸部を掃除時の押圧力によって十分に潰すことが可能である。反対にこの値が0.1以下でないと、押圧前の状態において凸部13が十分に現れていないことになり、見た目にも凹凸の明瞭さが乏しい状態となる。つまり、〔Y/X〕の値が0.1以下であることで、本考案の不織布は、その凹凸による起伏が明瞭であり、しかも拭き取り性が良好となる。
不織布の剛性を示す指標として、45度カンチレバー法(JIS−L1096)がある。その方法で求められた値が小さすぎると、不織布に発生する反りかえりを抑えきれなくなる。反対にその値が大きすぎると、凹凸形状を有する不織布がシート変形しにくいものとなり、平坦な被掃除面と離間してしまい、被掃除面への追従性が低下する。その値についての良好な範囲としては、不織布のタテ方向では30〜70mm、ヨコ方向では20〜60mmである。
また本考案の掃除用具用不織布の構成長繊維の表面には、ホコリ等を吸着しやすくするために油剤を含有させることが好ましい。油剤としては、パラフィン等の鉱物油、ポリオレフィン等の合成油、シリコーン油、界面活性剤などが挙げられる。油剤以外に、消臭剤、保湿剤、抗菌剤等の物質も好ましく用いることができる。
図7、図8は、本考案の掃除用具を示す。この掃除用具21は、上述の凹凸形状12を有する不織布11を複数枚用い、これらを立体的に重ねて、各不織布11、11、・・・同士が互いに離散しないように束ねたものである。
詳細には、図示のように複数枚の不織布11、11、・・・にさらにトップシート22が重ねられている。このトップシート22は、不織布11よりも剛性の高い材料、すなわち柔軟な不織布11に比べてハリのある材料にて形成されている。そして、これら不織布11、11、・・・とトップシート22とは、それらの中央部において熱接着されて互いに一体化されることで、立体的に束ねられた状態とされている。23はその熱接着部である。
掃除用具21は、このように複数の不織布11、11、・・・が立体的に重ねられることで、適度のボリュームとなり、例えば手に持って掃除を行なうのに好都合の形態となる。その場合は、トップシート22側を掌に収め、その反対側を被掃除面に接触させればよい。
あるいは、掃除用具21は、図示のようにグリップ24に取り付けて使用できるように構成することもできる。このために、掃除用具21には、グリップ24の装着部25を通したうえで装着部25に掃除用具21を保持させるための孔部26を形成することができる。
上記においては、埃やゴミを捕捉するための手段として複数の不織布11、11、・・・のみを用いた掃除用具21について説明した。しかし、これに代えて、不織布11のほかに短繊維綿にて形成されたシートをも用いて掃除用具を構成することもできる。すなわち、不織布11と短繊維綿にて形成されたシートとを混用することもできる。
この場合に、短繊維綿にて形成されたシートは不織布11のような熱接着性を有しないため、立体的に束ねて一体化するために、たとえばホットメルト型接着剤などを利用することができる。あるいは、短繊維綿と、熱溶着可能な熱可塑性樹脂繊維とを混合してシートを形成することで、そのシートに熱接着性を付与するようにしてもよい。その場合の熱可塑性樹脂繊維としては、不織布11を構成する繊維と同様または類似のものを用いることができる。不織布11を構成する繊維と同じ繊維を用いると、条件を変えずに熱接着できるので好都合である。またこのとき、上述した不織布11を構成する繊維と同様に、繊維形成成分が芯部に配されるとともに繊維形成成分よりも低融点の熱融着成分が鞘部に配された芯鞘型複合繊維を用いると、熱接着したときに完全な溶融が防止されて、熱接着部が所要の柔軟性を有する構成とすることができる。
次に、実施例に基づき本考案を具体的に説明する。
[実施例1]
鞘成分が融点130℃のポリエチレン重合体にて構成されるとともに、芯成分が融点258℃のポリエチレンテレフタレートにて構成され、芯鞘構成比が質量比で50/50であり、繊度が3.3dtexである芯鞘型複合長繊維を用いて、スパンボンド法により目付20g/m(厚み0.16mm)の不織シートを製造した。この不織シートは、長繊維同士が散点状の熱圧着点により一体化されたものであった。
次に、このスパンボンド不織シートに熱エンボス加工を施した。
熱エンボス加工としては、外周に凹凸を設けた円形板を多数重ねてローラー表面を形成し、その円形板の間に間隔保持機構(スペーサ)を持たせており、一方のローラー表面の凸部が対向ローラー表面の凹部に深く入り込むような状態で、その間に不織シートを通すことにより不織シートに千鳥状に凹凸の成型を行った。その時、ローラー表面の凸部のみが不織シートに接触しており、接触していない箇所は熱の影響を比較的受けない状態とした。加工温度は110℃として、不織シートを両ロール間に通して加工した。
このように加工して得られた不織布では、円形板の各凸部による深絞り加工された状態、すなわち、加工部の周囲からの素材の流入によって非常に深く凹部が成型された状態であった。不織布の厚みすなわち凹凸の高さは8mm、凸部の形成密度は、不織布の片面の凸部のみを数えて53.8個/100cm、凹凸の形成ピッチは、凸部間の距離を測定して、タテが15.5mm、ヨコが12.0mmであった。換言すると、非常に凹凸が明瞭な不織布であった。一方、円形板の凸部と接触した部分以外は、構成繊維の熱融着がなされていないため自由度の大きい繊維が多く、柔らかい状態となっていた。このため、得られた凹凸不織布を10名のパネラーが手にとって官能検査を行なったところ、同不織布は、軟らかさ、ふんわり感とも、満足できると言えるものであった。
同不織布について、〔Y/X=(荷重時の厚み)/(無荷重時の厚み)〕という式で算出した値は、0.16mm/8mm=0.02であり、掃除時に凹凸を十分に押しつぶして平坦な被掃除面を掃除することが可能であった。
JIS L1096のカンチレバー法で測定した剛性は、乾燥状態で、不織布のタテ方向では46[mm/25mm幅]、そのヨコ方向では43[mm/25mm幅]であり、使用時の圧力によって、不織布の反りかえりが生じにくく、また、短繊維である綿繊維を併用した場合でも綿繊維間の開きが少なく抑えられ、十分使用に耐えられる硬さであると評価することができる不織布であった。
[実施例2]
実施例1に比べ、不織布の厚みすなわち凹凸の高さは4mm、凸部の形成密度は147.1個/100cm、凹凸の形成ピッチはタテが8.5mm、ヨコが8.0mmであった。すなわち、実施例1に比べて、凹凸深さを浅くし、かつ凹凸の形成密度を高くした。それ以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
得られた凹凸不織布を10名のパネラーが手にとって官能検査を行なったところ、同不織布は、軟らかさ、ふんわり感とも、満足できるものであった。
同不織布について、〔Y/X=(荷重時の厚み)/(無荷重時の厚み)〕という式で算出した値は、0.16mm/4mm=0.04であり、掃除時に凹凸を十分に押しつぶして平坦な被掃除面を掃除することが可能であった。
JIS L1096のカンチレバー法で測定した剛性は、乾燥状態で、不織布のタテ方向では48[mm/25mm幅]、そのヨコ方向では40[mm/25mm幅]であり、使用時の圧力によって、不織布の反りかえりが生じにくく、また、短繊維である綿繊維を併用した場合でも綿繊維間の開きが少なく抑えられ、十分使用に耐えられる硬さであると評価することができる不織布であった。
実施例1に比べ凹凸が若干不明瞭であったが、使用には十分問題ないレベルのものであった。
[実施例3]
実施例1に比べ、不織布の厚みすなわち凹凸の高さは5mm、凸部の形成密度は53.8個/100cm、凹凸の形成ピッチはタテが15.5mm、ヨコが12.0mmであった。すなわち、実施例1と同様に、凹凸深さを大きく、かつ凹凸の形成密度を低くした。また不織布の目付けを15g/m(厚み0.12mm)とした。それ以外は実施例1と同様にして、不織布を得た。
得られた凹凸不織布を10名のパネラーが手にとって官能検査を行なったところ、同不織布は、軟らかさ、ふんわり感とも、満足できるものであった。
同不織布について、〔Y/X=(荷重時の厚み)/(無荷重時の厚み)〕という式で算出した値は、0.12mm/5mm=0.024であり、掃除時に凹凸を十分に押しつぶして平坦な被掃除面を掃除することが可能であった。
JIS L1096のカンチレバー法で測定した剛性は、乾燥状態で、不織布のタテ方向では41[mm/25mm幅]、そのヨコ方向では31[mm/25mm幅]であり、使用時の圧力によって、不織布の反りかえりが生じにくく、また、短繊維である綿繊維を併用した場合でも綿繊維間の開きが少なく抑えられ、十分使用に耐えられる硬さであると評価することができる不織布であった。
実施例1に比べ凹凸が若干不明瞭であったが、使用には十分問題ないレベルのものであった。
[比較例1]
実施例1に比べ、凹凸の形成を行なわずに不織布を得た。すなわち、長繊維同士が散点状の熱圧着点により一体化されただけの不織シートによって、不織布を構成した。
得られた不織布は、まったく凹凸が形成されていなかったため、使用時の圧力によって、不織布が反りかえるという不都合があった。
[掃除用具]
実施例1〜実施例3の不織布を部材に用いて、ハンディモップ式の掃除用シートを得た。この掃除用シートでは、短繊維綿の上方への反り返りが少なく、その抑制効果があった。また、平坦な床面に押圧されたときに凸部が潰れやすいことから、床面に対して一様に接しやすい傾向になり、不織布の凹部を構成する繊維と埃やゴミとの絡み合いも良好で、十分な捕捉効果を発揮できた。
11 不織布
12 凹凸形状
13 凸部
14 凹部
15 熱圧着点
16 構成長繊維
21 掃除用具

Claims (12)

  1. ワイパーなどの掃除用具として用いられる不織布であって、熱可塑性樹脂にて形成された不織布構成長繊維同士が散点状の熱圧着点により接合されて不織布化されており、前記不織布は波形の多数の凹凸形状が付与されていることを特徴とする掃除用具用不織布。
  2. 不織布構成長繊維は、繊維形成成分が芯部に配されるとともに繊維形成成分よりも低融点の熱融着成分が鞘部に配された芯鞘型複合長繊維であることを特徴とする請求項1記載の掃除用具用不織布。
  3. 芯部がポリエステルにて形成され、鞘部がポリオレフィンにて形成されていることを特徴とする請求項2記載の掃除用具用不織布。
  4. 波形の多数の凹凸形状は熱成形により付与されており、凹凸の凸部の頂部と凹部の底部を除いたそれ以外の部分は、前記凸部の頂部および凹部の底部に比べて、熱硬化の程度が低く柔軟であるとともに、熱硬化の程度が低く不織布構成長繊維同士が非拘束であることによる自由度が高いことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  5. 凹凸の形成密度が、不織布の単位面積あたりに形成された凸部の数で表して、40〜160個/100cmであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  6. 不織布の表面側の凸部の頂部から裏面側の凸部の頂部までの距離に対応した凹凸形状の高さで表される不織布の厚みが、1〜10mmであることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  7. 目付が15〜30g/mであることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  8. 不織布の表面側の凸部の頂部から裏面側の凸部の頂部までの距離で表される無荷重時の不織布の厚みをXとし、不織布の厚み方向に9.80kPaの荷重をかけたときのその厚みをYとして、Y/Xが0.1以下であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  9. JIS L1096のカンチレバー法で測定した剛性が、乾燥状態で、不織布のタテ方向では30[mm/25mm幅]以上かつ70[mm/25mm幅]以下であり、そのヨコ方向では20[mm/25mm幅]以上かつ60[mm/25mm幅]以下であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載の掃除用具用不織布。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の掃除用具用不織布を複数枚重ねて、各不織布同士が互いに離散しないように束ねたものであることを特徴とする掃除用具。
  11. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の単数または複数の掃除用具用不織布と、短繊維綿とを、互いに離散しないように束ねたものであることを特徴とする掃除用具。
  12. 手持ち用のグリップに取り付け可能であることを特徴とする請求項10または11記載の掃除用具。
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