以下、本考案の一実施の形態に係るトイレ1について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、図1〜6図および図8〜図11に示す矢示X1方向を「前」、矢示X2方向を「後(後ろ)」、X1方向とX2方向の両方向に対し水平方向で直交する方向となる矢示Y1方向を「左」、矢示Y2方向を「右」、XY平面と直交する矢示Z1方向を「上」および矢示Z2方向を「下」とそれぞれ規定する。
図1は、本考案の一実施の形態に係るトイレ1の構成を示す斜視図であり、蓋体2が閉じた状態を示す図である。図2は、本考案の一実施の形態に係るトイレ1の構成を示す斜視図であり、蓋体2が開いた状態を示す図である。図3は、図2中のトイレ1から収集袋5を取り除いた便器台4の構成を示す斜視図である。
図1および図2に示すトイレ1は、たとえば、避難所や野外に設置され、または、近くに公衆トイレが無い場合等の緊急時の際に用いることができる組み立て式の簡易トイレである。トイレ1は、段ボールから形成されているため、軽量でありかつ組み立て易く、持ち運びにも便利である。
図1および図2等に示すように、トイレ1は、開閉可能な蓋体2と、開口部3を有する便器台4と、便器台4の開口部3の内部に配置される収集袋5と、を備えている。図3に示すように、蓋体2は便座6の後側において回動可能に軸支されることで上下方向に開閉可能とされている。収集袋5は尿や大便が収容される使いきりの、たとえばビニル製の袋である。該収集袋5は、便座6を覆いつつ便器台4の開口部3の下側に形成される収納空間7(図4参照)内に配置される。
使用者は、図2に示す収集袋5によって被覆された便座6の上に座り、尿や大便を排泄する。排泄された尿や大便は、収納空間7内に配置される収集袋5の内部に収容される。尿や大便が一定量以上に溜まった場合、あるいは1回の使用毎に収集袋5を新しいものに取り換えることで、トイレ1の繰り返しの使用が可能となる。
図4は、図3中の便器台4から便座6を取り除いた状態を示す平面図である。図5は、図3中の便器台4から便座6を取り除いた状態を示す斜視図である。図6は、図5に示す便座6を除いた便器台4の構成を示す分解斜視図である。図7は段ボールの種類を説明するための図であり、上段は両面段ボールの断面図であり、中段は複両面段ボールの断面図であり、下段は複々両面段ボールの断面図である。
図1から図6に示すように、トイレ1は、上下が開口した筒型の便器本体8と、便器本体8の下側の開口部を塞ぐ底板10と、便器本体8の筒内に配置される内枠11と、便器本体8の上方に配置される便座6と、便座6を覆う形態で収納空間7内に配置される収集袋5と、便器台4(便座6)に形成される開口部3を開閉する蓋体2と、を有する。
図6等に示すように、便器本体8は、8角形の断面を有する筒形状を呈している。該筒形状は前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きな寸法を有するように形成されている。また、図6に示すように、便器本体8はその前後左右に4つの略平板状の幅広板13A〜13Dを有しており、各幅広板13A〜13Dの上端における長手方向の略中央には上方に向かって突出する嵌込部14A〜14Dが設けられている。各幅広板13A〜13Dの間には、幅広板13A〜13Dと比較して幅が狭い4つの幅狭板18が介在され便器本体8を8角形の筒形状に形成している。幅狭板18は、幅狭板18の両側に配置される幅広板13A〜13Dに対して斜めに配置されている。
ここで、左右に位置する幅広板13C,13Dは前後に位置する幅広板13A,13Bよりも大きな幅寸法を有する。嵌込部14A〜14Dは矩形状の形態を有しており、左右の幅広板13C,13Dに形成される嵌込部14C,14Dは、前後の幅広板13A,13Bに形成される嵌込部14A,14Bよりも若干大きな幅寸法を有する。また、図6等に示すように、幅広板13Aとその左右に配置される幅狭板18との境界部19A,19Bには、その上端部から下方に向かって切り欠かれた2つの切り欠き13E,13Eが形成されている。さらに、幅広板13Bとその左右に配置される幅狭板18との境界部19C,19Dにも、その上端部から下方に向かって切り欠かれた2つの切り欠き13F,13Fが形成されている。また、便器本体8における、幅広板13Cの前後にも幅狭板18との間に境界部19E,19Fが形成されるとともに、幅広板13Dの前後にも幅狭板18との間に境界部19G,19Hが形成されている。各切り欠き13E,13Fの上方の開口部における左右両側には、左右方向外側に向かってテーパ状に切り欠かれたテーパ部13Gが形成されている。
便器本体8は、段ボールから形成されており、その中芯9a(図7参照)は上下方向に沿って該段ボールを貫通するように配置されている。このため、便器本体8の上下方向に対する強度が高いものとなっている。また、便器本体8を8角形の筒形状とすることで、たとえば、便器本体8を四角型の筒形状とする場合に比べて便器台4の強度を高めることができる。また、前側の左右に幅狭板18が設けられることで、使用者がトイレ1に座ったときに、足が便器本体8に当たり難くなり使用者の座り心地を良くすることができる。便器本体8を形成する段ボールの種類としては、たとえば、図7上段に示す、断面が波状の中芯9aの両面に平面状のライナー9b,9bが貼り合わされた両面段ボール、図7中段に示す、ライナー9bを介して中芯9aを2層に積層させた複両面段ボール、および、図7下段に示す、2つのライナー9bを介して中芯9aを3層に積層させた複々両面段ボールを挙げることができる。便器本体8は、図7上段に示す両面段ボールにより構成されている。しかしながら、便器本体8を図7中段および下段に示す複両面段ボールや複々両面段ボールにより構成するようにしても良い。このように構成することで、便器本体8の強度を向上させることができる。
また、図6等に示すように、便器本体8の下側には底板10が配置される。該底板10は、便器本体8の開口部に対応する大きさに形成されており、略矩形状の形態を有している。具体的には、底板10は、略矩形状の矩形部15と、該矩形部15の前後の端面における長手方向中央から上方に向かって突出する短嵌り部16,16と、該矩形部15の左右の端面における長手方向中央から上方に向かって突出する長嵌り部17,17と、を有する。短嵌り部16,16と比較して長嵌り部の方が幅広に形成されているが、長嵌り部17,17と短嵌り部16,16との高さ寸法は同じに形成されている。具体的には、短嵌り部16,16および長嵌り部17,17は、トイレ1の組み立て前においては、矩形部15から横方向に向かって突出するように該矩形部15と一体となって平面状に形成されており、該短嵌り部16,16および長嵌り部17,17を内側に向かって谷折りすることによって、短嵌り部16,16および長嵌り部17,17が上方に向かって突出する形状に形成される。
図4から図6に示すように、底板10は、短嵌り部16,16および長嵌り部17,17が便器本体8の内側に嵌まり込む形態で、該便器本体8の下側の開口部に配置される。このため、底板10を便器本体8の下側に配置することによって、便器本体8は上方のみが開口した箱体となる。ここで、短嵌り部16,16の幅寸法と、前後の幅広板13A,13Bの幅寸法は略同一に形成されている。また、長嵌り部17,17の幅寸法と、左右の幅広板13C,13Dの幅寸法は略同一に形成されている。図1から図5に示すように、便器本体8と底板10とを組み合わせた状態では、底板10の四つ角10Aは、8角形の筒形状を呈する便器本体8から幅狭板18の外側に向かって露出する。つまり、便器本体8は、底板10の上面に載置されている。角10Aが幅狭板18の外側に向かって露出することで、便器本体8を底板10の上面に確実に載置することができる。なお、底板10は、両面段ボールにより構成されているが、複両面段ボールや複々両面段ボールにより構成するようにしても良い。このように構成することで、底板10の強度を向上させることができる。
図8は、蓋体2が開いた状態での内枠11の構成を示す斜視図である。図9は、図6中の内枠11の分解斜視図である。
図4から図6に示すように、内枠11は上から見て井形状の格子形状を呈している。具体的には、内枠11は、平板を前後および左右に交差するように配置させた形態を有している。このような構成により、内枠11は、前方に向かって対向するように延出する2つの前鍔11a,11aと、後方に向かって対向するように延出する2つの後鍔11b,11bを有する。また、内枠11は、左方に向かって対向するように延出する2つの左鍔11c,11cと、右方に向かって対向するように延出する2つの右鍔11d,11dを有する。図4に示すように、内枠11は上方に向かって格子が開口する形態で便器本体8の内部に配置される。内枠11のうち中央の四角形に囲まれた開口部は収集袋5が配置される収納空間7となる。そして、内枠11における当該収納空間7は、尿や大便が収容されるスペースとして使用される。
この内枠11は、板体となる2枚の横板20と2枚の縦板21とから構成されている。図8および図9等に示すように、横板20は、左右方向に対して平行に前後に2枚並べられている。また、縦板21は、前後方向に対して平行に左右に2枚並べられている。図9に示すように、横板20は略矩形状の平板であり、その下方には2つの切り込み20aが形成されている。切り込み20aは、横板20の下端面において左右両側から所定の寸法を隔てた位置から上方に向かって2つ設けられている。該切り込み20aは、横板20の上下方向略中央に至るまで切り込まれている。また、切り込み20aの下方の開口部における左右両側には、左右方向外側に向かってテーパ状に切り欠かれたテーパ部20bが形成されている。
縦板21は略矩形状の平板であり、縦板21によって形成される後鍔11b,11bの上部には蓋体2を軸支するための支持部22が設けられている。支持部22は、後鍔11b,11bの上部から後方に膨らみながら上方に向かって延出している。該支持部22の前端側には下方に向かって略逆L字状に切り欠かれた切欠部22aが形成されている。そして、支持部22における切欠部22aの下側には、該支持部22を左右方向に貫通する円孔22bが設けられている。また、縦板21の上方には2つの切り込み21aが形成されている。該切り込み21aは、縦板21の上端面において前後両側から所定の寸法を隔てた位置から下方に向かって2つ設けられている。該切り込み21aは、縦板21の上下方向略中央に至るまで切り込まれている。また、切り込み21aの上方の開口部における前後両側には、前後方向外側に向かってテーパ状に切り欠かれたテーパ部21bが形成されている。
横板20と縦板21は、それらを前後および左右に交差するように配置させ、切り込み20aおよび切り込み21aを介して、互いに嵌め合わされる。具体的には、前後に並べられた各横板20の2つの切り込み20aと左右に並べられた2つの縦板21の対向する一対の切り込み21aとを介して、横板20と縦板21とが互いに嵌め合わされる。横板20と縦板21とが互いに嵌め合わされた状態では、切り込み20aの上端部と切り込み21aの下端部とが当接している。また、切り込み20aには、縦板21において切り込み21aよりも下方に位置する平板部分21cが嵌り込むとともに、切り込み21aには、横板20において切り込み20aよりも上方に位置する平板部分20cが嵌まり込む。また、切り込み20aおよび切り込み21aは、それぞれ横板20および縦板21の略中央部分に至るように形成されているため、横板20と縦板21を嵌め合わせて形成された枠体11を構成する横板20と縦板21の上端面および下端面は略面一となる。
上述したように、内枠11は便器本体8の内部に配置される。この際、支持部22の下方部分は便器本体8に設けられる後方の2つの切り欠き13F,13Fに嵌まり込んだ状態となる。図4および図5に示すように、支持部22は、切り欠き13F,13Fに嵌まり込むことで、便器本体8から後方かつ上方に向かって突出した状態が維持される。また、支持部22は、切り欠き13F,13Fに嵌まり込むことで、左右方向へ強度が向上させられる。
また、内枠11を便器本体8の内部に配置した状態では、前方に配置される横板20の左右の端面はそれぞれ境界部19E,19Gの内側面と当接するとともに、後方に配置される横板20の左右の端面はそれぞれ境界部19F,19Hの内側面と当接する。また、左方に配置される縦板21の前後の端面はそれぞれ境界部19B,19Dの内側面と当接するとともに、右方に配置される縦板21の前後の端面はそれぞれ境界部19A,19Cの内側面と当接する。このように、内枠11の各鍔11a〜11dが便器本体8の各境界部19A〜19Hの内側面に当接するような構成とされているため、便器本体8が8角形の状態を確実に維持できることとなる。すなわち、便器本体8の強度の向上が図られる。
上述のように各鍔11a〜11dが境界部19A〜19Hの内側面に当接するような構成により、底板10を便器本体8の下側に配置した状態では、図4および図5に示すように、短嵌り部16,16は、前鍔11a,11aおよび後鍔11b,11bの間にそれぞれ嵌まり込む。すなわち、短嵌り部16,16は、前鍔11a,11aにおける前端部および後鍔11b,11bにおける後端部によって狭持された状態となる。長嵌り部17,17は、左鍔11c,11cおよび右鍔11d,11dの間にそれぞれ嵌まり込む。すなわち、長嵌り部17,17は、左鍔11c,11cにおける左端部および右鍔11d,11dにおける右端部によって狭持された状態となる。このため、底板10を、便器本体8に対してより大きな強度で固定することが可能となる。
また、前鍔11aと前鍔11aとの間に短嵌り部16が嵌り込むことで、前鍔11aと前鍔11aとが互いに近づく方向に変形することを防止できる。後鍔11b,11b、左鍔11c,11cおよび右鍔11d,11dも同様に互いに近づく方向に変形することを防止できる。つまり、内枠11の強度を向上させることができる。なお、底板10を複両面段ボールや複々両面段ボールにより構成した場合には、底板10を両面段ボールで構成した場合に比べて短嵌り部16,16および長嵌り部17,17の強度が向上する。つまり、前鍔11a,11a、後鍔11b,11b、左鍔11c,11cおよび右鍔11d,11dが互いに近づく方向に変形することをより強固に防止でき、内枠11の強度の向上を図ることができる。
なお、横板20および縦板21のそれぞれは、中芯9aが上下方向に沿って貫通するように配置された複両面段ボールにより構成されている。このため、両面段ボールを使用する場合と比較して、内枠11の上下方向に対する強度を向上させることができる。なお、横板20および縦板21を複々両面段ボールにより構成するようにしても良い。内枠11の強度をより向上させることができる。
図10は、便座6の構成を示す平面図である。便座6は、便座構成板6a,6bとを有する。上段は中芯9aが縦方向に沿って貫通するように配置されている便座構成板6aを示す図であり、下段は中芯9aが横方向に沿って貫通するように配置されている便座構成板6bを示す図である。便座構成板6a,6bの外形形状は同一の形状に形成されている。
図3に示すように、便座6は、便器本体8の上方の開口部を塞ぐように配置される。具体的には、図4および図5に示すように、便器本体8の内側に内枠11が設置された状態で、便器本体8および内枠11の上方に便座6が配置される。図10に示すように、便座6は外形が略8角形の円環状の形態を有している。この便座6の略8角形の外形形状は便器本体8の形状と対応するように形成されている。図10に示すように、便座6の中央には楕円状の楕円孔24が設けられている。該楕円孔24により便器台4の開口部3が形成される。便座6の前端部と後端部の左右方向略中央には内側に向かって矩形状に切り欠かれた短凹段部25,25が形成されている。この短凹段部25,25は、便器本体8の幅広板13A,13Bに形成される嵌込部14A,14Bと対応するような寸法に形成されている。すなわち、便座6を便器本体8の上方に配置すると、短凹段部25,25には、嵌込部14A,14Bが嵌まり込むような構成となっている。一方、便座6の左端部と右端部の前後方向略中央には内側に向かって矩形状に切り欠かれた長凹段部26,26が形成されている。この長凹段部26,26は、便器本体8の幅広板13B,13Cに形成される嵌込部14C,14Dと対応するような寸法に形成されている。すなわち、便座6を便器本体8の上方に配置すると、長凹段部26,26には、嵌込部14C,14Dが嵌まり込むような構成となっている。長凹段部26,26は、短凹段部25,25よりも若干大きな幅寸法を有する。
また、便座6の後端部の左右両側には前方に向かって溝状に切り欠かれた2つの溝部27,27が設けられている。該溝部27,27は、内枠11の支持部22,22と対応する位置に形成されている。すなわち、便座6を便器本体8の上方に配置すると、この溝部27,27には、支持部22,22の一部が嵌まり込むような構成となっている。便座構成板6a,6bのうち一方の便座構成板6aには、図10上段に示すように、段ボールの中芯9aが縦方向に沿って貫通するように配置されている。また、他方の便座構成板6bには、図10下段に示すように、段ボールの中芯9aが横方向に沿って貫通するように配置されている。このため、便座6を便器本体8の上方に重ねて配置した状態では、2枚の便座構成板6a,6bの中芯9aの貫通方向は互いに交差することになる。その結果、便座6の面に対して上下方向に直交する方向の強度を高くすることができる。
上述したように、便器本体8の上方には便座6が重ねて配置される。この際、短凹段部25,25に嵌込部14A,14Bが嵌まり込むとともに、長凹段部26,26に嵌込部14C,14Dが嵌まり込む。このように、短凹段部25,25に嵌込部14A,14Bが嵌まり込み、長凹段部26,26に嵌込部14C,14Dが嵌まり込むことで、便座6の便器本体8に対する横方向および前後方向への位置ずれが防止される。また、溝部27,27にも、支持部22,22の一部が嵌り込むため、便座6をより安定した状態で便器本体8の上方に配置することができる。便座構成板6a,6bは、複両面段ボールにより構成されている。このため、両面段ボールを使用する場合と比較して、便座6の強度を向上させることができる。なお、便座構成板6a,6bを複々両面段ボールにより構成するようにしても良い。便座6の強度をより向上させることができる。
図11は、蓋体2の構成を示す平面図である。
蓋体2は略8角形の平板状の形態を有している。具体的には、便器台4に形成される開口部3を塞ぐ部分となる平板状の塞ぎ部30と、塞ぎ部30から後方に向かって略矩形状に突出する取付部31と、取付部31から左右両側に向かって凸状に突出する軸部32,32とを有する。塞ぎ部30の形状は、便器本体8の形状と一致するように形成されている。具体的には、塞ぎ部30は、該塞ぎ部30の前方に位置する前端面30aの幅寸法と幅広板13Aの幅寸法とが同一の寸法を有するように形成されている。また、塞ぎ部30の左右の端面30b,30bの幅寸法と幅広板13C,13Dの幅寸法とが同一の寸法を有するように形成されている。また、塞ぎ部30の前方における左右においてテーパ状に設けられる傾斜面30c,30cは、便器本体8の前方の2つの幅狭板18と対応するように形成されている。
軸部32,32は、左右方向に向かって対向して突出しており、該軸部32,32が内枠11を構成する支持部22の円孔22b,22bに挿入される。このような構成により、蓋体2は円孔22bの中心軸線を中心として内枠11に対して相対的に回動可能となる。蓋体2は、2枚の複両面段ボールを積層して構成されている。このため、蓋体2はある程度大きな強度を有するような構成とされている。なお、蓋体2の構成は当該構成に限定されるものではなく、たとえば、2枚の両面段ボールや複々両面段ボールを積層させて構成しても良いし、これらの段ボールを3枚以上積層させて構成するようにしても良い。また、1枚の複々両面段ボールから構成するようにしても良い。
次に、トイレ1の組み立て方法について説明する。
まず、図9に示すように、切り込み20aおよび切り込み21aを介して横板20と縦板21とを嵌め合わせて内枠11を形成する。次に、図6に示すように、便器本体8の上方から内枠11を該便器本体8の内側に挿入させて、該内枠11を便器本体8の内側に配置させる。
次に、短嵌り部16,16および長嵌り部17,17が便器本体8の内側に嵌まり込む形態で、底板10を便器本体8の下側に配置させる。具体的には、短嵌り部16,16が、前鍔11a,11aおよび後鍔11b,11bの間に嵌まり込むとともに、長嵌り部17,17が、左鍔11c,11cおよび右鍔11d,11dの間に嵌まり込むように、底板10を便器本体8の下方に配置させる。
次に、短凹段部25,25に嵌込部14A,14Bが嵌り込むとともに、長凹段部26,26に嵌込部14C,14Dが嵌まり込むような形態で、便座6を便器本体8の上方に配置させる。この際、溝部27,27に、支持部22,22の一部が嵌まり込むようにする。次に、軸部32,32を円孔22b,22bに挿入させて、蓋体2を内枠11に対して回動可能に取り付ける。さらに、図2に示すように、収集袋5を便座6の表面を覆うように、収納空間7の内側に配置させる。以上のようにして、トイレ1の組み立てが完了する。
以上のように構成されたトイレ1では、内枠は、格子状に組まれている。このため、内枠11の上下方向の強度を高くすることができる。その結果、トイレ1の便座6に使用者が座り、下方に向かって荷重がかかった場合でも、トイレ1は該荷重に耐えることができる。
また、トイレ1では、内枠11に形成される格子が上方に向かって開口するように構成されている。このため、内枠11の開口部を収納空間7として使用することが可能となり、内枠11内に尿や大便の収容場所を確保することが可能となる。更に、収納空間7の外側には、内枠11と便器本体8との間に空間33(図4参照)が形成されている。したがって、この空間33を予備の収納袋5等の備品を収納するための物品収納用の空間として利用することができる。
また、トイレ1では、内枠11は、中芯9aが上下方向に沿って貫通するような構成とされている。このため、内枠11の上下方向に対する強度を高くすることができる。また、内枠11を構成する横板20および縦板21は、複両面段ボールにより形成されている。このため、両面段ボールを使用する場合と比較して、内枠11の上下方向に対する強度を向上させることができる。また、内枠11には、使用者の体重が掛かる割合が高くなるため、内枠11を複両面段ボールにより形成することで、トイレ1の強度を効果的に高めることが可能となる。また、本実施の形態では、便器本体8は両面段ボールから形成されているため、内枠11に比べて使用者の体重が掛かる割合が低い便器本体8を両面段ボールにより形成することで、コストを抑えつつ、効果的にトイレ1の強度を向上させることができる。
また、トイレ1では、2枚の便座構成板6a,6bのうち一方の便座構成板6aは、段ボールの中芯9aが縦方向に沿って貫通するように構成され、他方の便座構成板6bは、段ボールの中芯9aが横方向に沿って貫通するように構成されている。このため、2枚の便座構成板6a,6bの中芯9aの貫通方向は互いに交差するような構成となる。したがって、便座6の面に対して上下方向に直交する方向の強度を高くすることができる。また、便座構成板6a,6bは、複両面段ボールにより構成されているため、両面段ボールを使用する場合と比較して、便座6の強度を向上させることができる。
また、トイレ1では、蓋体2は2枚の段ボールを積層して構成されている。このため、蓋体2の強度を高めることができる。また、2枚の段ボールを重ねることにより蓋体2の重さを大きくすることができるため、蓋体2を便座6に重ねて配置させ、便器台4(便座6)の開口部3を閉じたときに、便座6との密閉性を高めることができる。
また、トイレ1では、便器本体8を8角形の筒形状に構成されている。このため、便器台4の安定性を高めることができるとともに、使用者のトイレ1への座り心地を良くすることができる。
また、トイレ1では、便座6の短凹段部25,25に便器本体8の嵌込部14A,14Bが嵌り込むとともに、長凹段部26,26に嵌込部14C,14Dが嵌まり込むような構成とされている。このため、便座6を便器本体8の上に配置した状態において、便座6の便器本体8に対する横方向の位置ずれを防止することができる。
また、トイレ1では、内枠11を便器本体8の内側に配置した際、内枠11の各鍔11a〜11dが便器本体8の各境界部19A〜19Hの内側面に当接するような構成とされている。このため、便器本体8を8角形の状態に確実に維持させることが可能となる。
また、トイレ1では、底板10を便器本体8の下側に配置した状態では、短嵌り部16,16が、前鍔11a,11aおよび後鍔11b,11bの間にそれぞれ嵌まり込むとともに、長嵌り部17,17が、左鍔11c,11cおよび右鍔11d,11dの間にそれぞれ嵌まり込む。このため、底板10を、便器本体8に対してより大きな強度で固定することが可能となる。
また、トイレ1では、蓋体2を支持する支持部22は、内枠11を構成する縦板21に設けられている。このため、蓋体2を支持する支持部22を別体として設ける必要がなくなり、トイレ1をより簡易な構造とすることができる。
また、便器本体8は、底板10の上面に載置されている。すなわち、トイレ1を設置する床面等と便器本体8の下端縁との間には底板10が介在する。底板10が介在することで、床面等の水分が便器本体8に付着し難くなる。便器本体8は段ボールであるため、水分が吸収されると強度が著しく低下する。しかしながら、便器本体8が底板10の上面に載置され、床面等の水分が便器本体8に付着することが防止されることで、便器本体8の強度を維持することができる。また、内枠11も底板10の上面に載置されている。このため、床面等の水分が内枠11に付着し難くなり、内枠11の強度を維持することができる。なお、底板10の四つ角10Aが幅狭板18の外側に向かって露出していることで、便器本体8を底板10の上面に確実に載置することができる。
以上、本考案の各実施の形態について説明したが、本考案は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
上述の実施の形態では、内枠11は井形状の格子形状に形成されているが、内枠11の形状は井形状に限定されるものではない。たとえば、収納空間7が3角形、4角形、5角形、6角形等の形状となるように内枠11を構成する板体を構成しおよび組み合わせてもよい。また、横板20の前後(横板20と幅広板13Aとの間、および横板20と幅広板13Bとの間)にさらに横板を配置したり、あるいは縦板21の左右(縦板21と幅広板13Cとの間、および縦板21と幅広板13Dとの間)にさらに縦板を配置してもよい。このように構成することで、さらに内枠11の強度を向上させることができる。
また、上述の実施の形態では、便器本体8は、8角形の断面を有する筒形状を呈しているが、便器本体8の断面形状を他の多角形や楕円形等他の形状としても良い。
また、上述の実施の形態では、トイレ1は段ボールにより形成されているが、トイレ1を板紙等の他の材料により形成するようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、底板10は四角形の形状に形成されているが、底板10の形状は当該形状に限定されるものではなく、便器本体8の形状に対応するような8角形の形状に形成するようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、横板20に下方から上方に向かう切り込み20aを形成するとともに、縦板21に上方から下方に向かう切り込み20bを形成することで、内枠11を組み立て可能な構成としているが、このような構成に限定されず、横板20に上方から下方に向かう切り込み20aを形成するとともに、縦板21に下方から上方に向かう切り込み20bを形成して内枠11を構成しても良い。
また、上述の実施の形態では、便座6は2枚の便座構成板6a,6bを重ねて配置させることにより構成されているが、このような構成に限定されるものではなく、1枚の便座構成板から構成しても良いし、3枚以上の便座構成板を重ねて配置させて構成するようにしても良い。3枚以上の便座6を配置する構成とする場合、少なくとも1対となる2枚の便座構成板の中芯9aの貫通方向を交差させるようにすることが好ましい。