JP3171092B2 - 建物の制振構造 - Google Patents

建物の制振構造

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JP3171092B2 JP02811596A JP2811596A JP3171092B2 JP 3171092 B2 JP3171092 B2 JP 3171092B2 JP 02811596 A JP02811596 A JP 02811596A JP 2811596 A JP2811596 A JP 2811596A JP 3171092 B2 JP3171092 B2 JP 3171092B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば建物の制振
構造に関し、より詳細には、上下方向の吹き抜け部を有
する建物に適用されて、地震の振動エネルギを吸収し揺
れを減少させる制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建物の制振構造として代表的なも
のとしては、Y形ブレース(特公昭50−32539号
公報参照)や制振間柱(特開昭5−287933号公報
参照)などがある。図5に示されるY形ブレース101
は、上下の梁部材103,103間に配設され、下方の
梁部材103上に設けられる山形筋違105の頂部と上
方の梁部材103の中央部との間を比較的多量の歪を許
容し得るリンク部材107で結んだものである。一方、
図6に示される制振間柱109は、上下の梁部材10
3,103間に配設され、上下の梁103,103に接
合された一対の本体111,111間に該本体より耐力
の低い小耐力部材113を組み込んでなるものである。
【0003】いずれも、地震の発生時に、リンク部材1
07または小耐力部材113を早期に降伏させることに
より、地震による振動エネルギをこれらの部材の塑性エ
ネルギに変換することで振動応答を抑え、建物に制振効
果を付与するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
Y形ブレース及び間柱は、上下の梁部材間に組み込まれ
るものであるため、出入口や通路などの開口部の平面計
画と、Y形ブレースまたは間柱の配置計画とを両立させ
ることができないという課題がある。加えて、間柱は、
建物架構全体の剛性に比べてその剛性が著しく低く、通
常の建物で大きな制振効果を期待するためには、多数の
間柱を組み込む必要があった。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、上下の梁部材間に組み込まれるものではな
く、従って、開口部の平面計画及び制振構造の配置計画
を容易に行うことができる建物の制振構造を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明のうち請求項1に記載の発明は、上下方向の
吹き抜け部を構成する梁部材の全長または長さ方向の一
部を低降伏要素によって形成したことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、前記吹き抜け部
が、平面的にみて建物のねじれの中心点を中心として対
置された4カ所に設けられていることを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、前記吹き抜け部
が、建物の四隅部または建物の内周部に設けられている
ことを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の発明は、前記低降伏要素
は、低降伏点鋼からなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、基本的に、上下方向の
吹き抜け部を構成する梁部材の全長または長さ方向の一
部を低降伏要素によって形成したものである(請求項
1)。地震が発生すると、建物架構の変形に伴い、梁部
材が変形して応力が発生する。この応力が低降伏要素
(リンク)の降伏耐力を上回ったときから、低降伏要素
に弾塑性挙動による履歴減衰性能が生じ、制振効果が発
揮される。
【0011】このような低降伏要素は、梁部材の全長ま
たは長さ方向の一部に形成することができる。「梁部材
の長さ方向の一部を低降伏要素によって形成」とは、梁
部材の中央部のみまたはいずれかの端部のみを低降伏要
素によって形成すること、並びに、梁部材の中央部とい
ずれかの端部を低降伏要素によって形成することを含む
概念である。
【0012】低降伏要素は、吹き抜け部を構成する梁部
材に形成されているので、これが損傷したときには交換
することができ、しかもこの交換は床スラブがない部分
で行われるので作業が容易である。建物の規模は、低層
のものから超高層までいずれにも適合できる。
【0013】また、本発明では、前記吹き抜け部は、平
面的にみて建物の外周部または内側のいずれに形成され
るものであってもよいが、建物のねじれの中心点を中心
として対置された4の倍数カ所に設けられていることが
好ましい(請求項2)。これにより、地震時に建物にね
じれが発生することを防止することができる。低降伏要
素が組み込まれた梁部材は、建物のすべての階に設定す
ることなく、隔階であってもよいが、同一平面内では低
降伏要素が相互に直交している必要がある。ただし、低
降伏要素は、それぞれの吹き抜け部を構成するすべての
梁部材に組み込まれている必要はない。例えば、建物の
四隅に矩形状断面の吹き抜け部がある場合、それぞれの
吹き抜け部の外側に面する二つの梁部材にのみ低降伏要
素を組み込み、内側に位置する二つの梁部材にはこれを
組み込まなくてもよいし、逆に、内側に位置する二つの
梁部材にのみ低降伏要素を組み込んでもよい。
【0014】吹き抜け部が、建物の四隅部または建物の
内周部に設けられていれば(請求項3)、低降伏要素が
損傷したときの交換作業がさらに容易となるし、このよ
うな構造は、既存の建物にも付加することができるとい
った効果を有するだけでなく、建物の外観が見栄えの良
いものとなるといった効果も奏する。吹き抜け部は、建
物の外部あるいは内部のいずれにあるものでもよく、平
面計画上適宜位置に設定することができる。建物の内周
部とは、口字型あるいは日字型など内側にアトリウムを
有する建物のアトリウムの四隅部やこれに面する部分を
含む。
【0015】低降伏要素が、低降伏点鋼からなるもので
あれば(請求項4)、より安定した履歴減衰性能が得ら
れる。低降伏点鋼としては、例えばBT−LYP100
またはBT−LYP235(ともに、新日本製鐵株式会
社製の商品名)及びこれらの同等品を採用することがで
きる。前者の降伏応力σyは1.0t/cm2 、破断応力σ
uは2.4t/cm2 であり、後者の降伏応力σyは2.4
t/cm2 、破断応力σuは3.5t/cm2 である。
【0016】なお、低降伏要素の材料としては、上記低
降伏点鋼以外に、普通鋼材、アルミニウムなどの金属を
使用することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例につき、添付図
面を参照して詳細に説明する。図1(a),(b)及び
図2は本発明にかかる制振構造を備えた建物を示してい
る。
【0018】同図に示す高層の建物1は、複数の柱3,
3、及び梁5,5によりほぼ直方体状の建物架構が形成
されてなるとともに、その四隅部に、上下方向に貫通す
るチューブ状の吹き抜け部7,7を有している。それぞ
れの吹き抜け部7は、4本の柱9,9と、対向する2本
の柱9,9間を水平方向に連結し各階の床スラブと同レ
ベルに配置された梁13,13によって形成されてい
る。
【0019】吹き抜け部7を構成する梁13は、対向す
る2本の柱9,9から水平方向に一体化された梁本体1
5,15と、対向する梁本体15,15の端部間に接合
されて梁13の長さ方向ほぼ中間部に位置する低降伏要
素たるリンク部材17とからなっている。梁13は、例
えば図3(a),(b)に示すように、H型鋼からな
り、リンク部材17は断面“王”字型となっていて両者
が一体に接合されたものである。この結果、吹き抜け部
7においては、柱9−梁13(梁本体15−リンク部材
17−梁本体15)−柱9が直列に接合された状態とな
る。4つのリンク部材17は、水平面内において相互に
直交して配置されているので、あらゆる方向の地震入力
に備える。
【0020】リンク部材17は、例えばBT−LYP1
00(新日本製鐵株式会社製の商品名)の同等品からな
り、吹き抜け部7を構成しない他の建物架構に用いられ
る柱3,3及び梁5,5の構造材よりも降伏点が低くな
っている。リンク部材17の材質、形状などは、当該建
物1の規模その他の設計条件に対応させて種々のものを
採用することができる。
【0021】上記特徴を有する本実施例に係る発明は、
次のように作用する。
【0022】建物1の四隅部には、上下方向に貫通する
チューブ状の吹き抜け部7,7が形成されているので、
建物の外観が見栄えのよいものとなる。また、建物架構
全体を構成する柱3,3や梁5,5の強度を増して耐震
性能を高めることにより、小規模な地震に耐え、また本
発明の制振効果と相俟って優れた耐震(制振)効果が得
られる。
【0023】地震(特に、中規模以上の地震)が発生す
ると、建物架構の変形に伴い、吹き抜け部7を構成する
対向した2本の柱9,9が相対変形する。柱9,9が相
対変形すると、それぞれに接合された梁本体15,15
が相対変形して応力が発生する。この応力がリンク部材
17の降伏耐力を上回ったときから、低降伏要素に弾塑
性挙動による履歴減衰性能が生じ、制振効果が発揮され
る。
【0024】このようなリンク部材17が設けられてい
ない梁が柱間に架設されていた場合には、図4(a)に
示すように、地震により梁の全体が変形する結果、地震
エネルギを吸収する能力が低いとともに、柱と梁との接
合部が破損するおそれがある(実際に、阪神大震災では
このような例が多数みられた)。
【0025】ところが、本発明によれば、図4(b)に
示すように、リンク部材17が変形して地震エネルギを
吸収することにより、吹き抜け部7における柱9と梁本
体15との接合部にかかる応力、並びに、一般部におけ
る各階の柱3と梁5との接合部にかかる応力を低減する
ことができるので、柱9と梁本体15との接合部、柱3
と梁5との接合部が破損することを防止できる。また、
リンク部材17を備えた吹き抜け部7は、建物1の四隅
部に形成されており、建物1のねじれの中心点を中心と
して対置されているので、地震時に建物1にねじれが発
生することを防止することができる。
【0026】建物1の地震入力を低減することができる
ので、架構全体の柱3,9、梁5,13の断面を縮小す
ることができ、もってコストダウンを図ることもでき
る。
【0027】地震後は、リンク部材17が建物1の四隅
部に配置された吹き抜け部7に設けられているので、変
形したリンク部材17を新たなリンク部材17と交換す
ることができ、しかもこの交換は床スラブがない部分で
行われるので作業が容易である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、地震発生時に梁部材が変形して発生した応力が
低降伏要素の降伏耐力を上回ったときから、低降伏要素
に弾塑性挙動による履歴減衰性能が生じ、建物に制振効
果を付与する。低降伏要素は、吹き抜け部を構成する梁
部材に形成されているので、これが損傷したときには交
換することができ、しかもこの交換は床スラブがない部
分で行われるので作業が容易である。
【0029】また、請求項2の発明によれば、地震時に
建物にねじれが発生することを防止することができる。
【0030】さらに、請求項3の発明によれば、低降伏
要素が損傷したときの交換作業がさらに容易となるし、
このような構造は、既存の建物にも付加することができ
るといった効果を有するだけでなく、建物の外観が見栄
えの良いものとなるといった効果も奏する。
【0031】さらにまた、請求項4の発明によれば、よ
り安定した履歴減衰性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明にかかる制振構造を備えた建物
の好適な一例を示す梁伏図である。(b)は同軸組図で
ある。
【図2】図1の要部を拡大した模式的な斜視図である。
【図3】(a)は図2の要部側面図である。(b)は図
3(a)のb−b線縦断面図である。
【図4】(a)は従来の作用説明図である。(b)は本
発明の作用説明図である。
【図5】従来の制振構造としてY形ブレースを示す図で
ある。
【図6】従来の制振構造として制振間柱を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 建物 3 柱 5 梁 7 吹き抜け部 9 柱 13 梁 15 梁本体 17 リンク部材
フロントページの続き (72)発明者 品部 祐児 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株 式会社大林組技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 1/34 E04B 1/24 E04H 9/02 301 F16F 7/12 F16F 15/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向の吹き抜け部を構成する梁部材
    の全長または長さ方向の一部を低降伏要素によって形成
    したことを特徴とする建物の制振構造。
  2. 【請求項2】 前記吹き抜け部が、平面的にみて建物の
    ねじれの中心点を中心として対置された4の倍数カ所に
    設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物
    の制振構造。
  3. 【請求項3】 前記吹き抜け部が、建物の四隅部または
    建物の内周部に設けられていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の建物の制振構造。
  4. 【請求項4】 前記低降伏要素は、低降伏点鋼からなる
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    建物の制振構造。
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