JP3358512B2 - 高ダンピング特性を有する鋼製構造部材 - Google Patents

高ダンピング特性を有する鋼製構造部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主要骨組に構造部
材として組み込まれ、構造物に大きな振動が生じる際に
塑性変形することにより振動エネルギーを吸収し、主要
骨組みの揺れを減衰させる高ダンピング特性を有する鋼
製構造部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、構造物は耐震設計法に基づき設計
されてきた。耐震設計法は、頻繁に発生する中地震に対
しては構造の各部は弾性範囲で変形させ、数十年に一度
の大地震に対しては、構造物のある程度の塑性変形を許
容している。耐震設計法では人命保護を最優先し、構造
物に十分な変形能力をもたせ、構造物の崩壊や圧懐を防
止することを主眼とし、大地震による構造物のある程度
の被害は仕方がないとされる。このような構造物が一
度、大地震に見舞われた場合、構造物に大きな塑性変形
が残り、修復に莫大な費用がかかり、継続使用は困難な
状態になる場合が多い。
【0003】これに対し、近年、特に阪神大震災以降、
大地震後も主要構造材を大きく損傷させない設計方法へ
の要求が強くなってきた。
【0004】これに応える方法として、下記の3種の方
法が提案されている。1つは基礎部と上部構造物との間
に免震部材を採用し、構造物への地震波の入力を低減す
る方法である(特開平8−158697号公報等)。こ
の方法は、大変形後も上部構造物を支持する能力が損な
われない変形が容易な部材、すなわち免震部材を建築構
造物と基礎部分との間に介挿させ、短周期の卓越する地
震波を絶縁し、構造物に入力される地震波を長周期部分
に限定する。さらに、各種ダンパーを組み合わせて、短
周期の地震波も含めて長周期の地震波の振動エネルギー
を低減させる。この免震部材としては、通常、薄いシー
ト状のゴムと鋼板が積層された積層ゴムが用いられる。
【0005】2番目の方法は、地震のエネルギーをある
部材に集中させ、その部材を降伏させ塑性変形を生じさ
せ、その荷重−歪サイクルの履歴曲線が囲む面積を地震
の振動1周期あたりに吸収されるエネルギーとして構造
物の振動を低減させる制震方法である(特開平6−57
820号公報等)。上記文献においては、この地震のエ
ネルギーを集中させる部材として降伏型ブレースを用
い、柱と梁の骨組内に降伏型ブレースを組み込んだ例が
提示されている。降伏型ブレースは早期の座屈が拘束さ
れる構造とし、心材には極低降伏点鋼が用いられ、一
方、この降伏型ブレースが組み込まれる柱材と梁材には
高降伏点鋼が使用される。この結果、地震エネルギーは
降伏型ブレースに集中し、振動エネルギーは降伏型ブレ
ースに吸収され、柱および梁の塑性化が防止される。
【0006】3番目の方法は平板等の鋼材をせん断降伏
させる制震ダンパーを用いる方法である(特開平2−3
00475号公報)。この方法では、スリットを設けた
鋼板と粘弾性ダンパーを、上下一対の梁の一方と他方の
梁に固定された壁等の間に配置している。振動の小さい
範囲では粘弾性ダンパーで振動を吸収させ、さらに振動
の振幅が増し、粘弾性ダンパーだけでは振動の吸収がで
きなくなった場合は、前記鋼板の塑性変形により振動エ
ネルギーを吸収する。
【0007】上記の3つの方法はいずれも地震の際、構
造物の振動を減少させ構造物自体に大きな塑性変形を発
生させない効果を発揮することが期待される。しかしな
がら、上記の方法においては、制震ダンパー自体が高価
であったり、構造物に大きな重量増をもたらしたり、ま
たは取り付け部に大きな剛性が要求される等の制約が付
く。したがって、都市部の構造物のように上記の制約を
回避する必要がある場合には適用が困難であり、より簡
便で汎用的な技術が要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、あら
ゆる構造物に汎用的に適用可能で、安価かつコンパクト
に設置でき、安定して振動エネルギーを吸収できる高ダ
ンピング特性を有する鋼製構造部材を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、地震時等
に高い制震効果を有する汎用性のある鋼製構造部材を各
種検討した結果、下記の事項を確認することができた。
【0010】(a)H形鋼のウェブ同士がほぼ直交する
ように一方のH形鋼のウェブに他方のH形鋼のウェブを
接合した形状とした場合、少なくとも1つのH形鋼のウ
ェブに複数の開口を設けると大きな震動が加わった場
合、その開口周縁に塑性変形が生じダンピング効果が生
じる。以後、ウェブに開口を設けたH形鋼を「塑性変形
部」、塑性変形部と組み合わされたそれ以外のH形鋼を
「弾性変形部」、またこれら複合体の全体を「鋼製構造
部材」と記す。
【0011】(b)塑性変形部と弾性変形部を直角に配
置することにより、弾性変形部の端部の回転を拘束する
ので、弾性変形部の耐座屈特性が高まり、かつ、塑性変
形部がねじれて面外に変形することを防止する効果が得
られる。
【0012】本発明は上記の事項を基に完成されたもの
で、その要旨は下記の高ダンピング特性を有する鋼製構
造部材にある。
【0013】『主要骨組にブレースまたは頬杖として
み込まれ、主要骨組の揺れを減衰させる鋼製構造部材で
あって、断面においてウェブがほぼ直交するH形鋼の組
み合わせであり、かつH形鋼のウェブのうちの少なくと
も1つのウェブに複数の開口部を備え、開口部周辺の鋼
が塑性変形することで震動エネルギーを吸収するH形鋼
の複合体であることを特徴とする高ダンピング特性を有
する鋼製構造部材。』さらに、この鋼製構造部材は、H
形鋼の片側または両側の端部に複合体が形成されるよう
に、またはウェブに開口を設けたH形鋼が、他のH形鋼
の中央部に取り付けられるようにすることができる。
記の発明において、「ほぼ直交する」とは、ウェブ同士
がほぼ直交することをさし、断面においてウェブがなす
角度は厳密に直角である必要はない。また、開口部を有
するH形鋼のウェブは2枚以上で、通常のH形鋼のウェ
ブは1枚の組み合わせであってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本構造部材は、図1に示す如くウ
ェブに複数個の開口部1dを設けた塑性変形部1aと、
開口部を設けない弾性変形部1Aとをそれぞれのウェブ
1b、1Bが直交するように接合した構成となってい
る。図1(a)では塑性変形部が弾性変形部の両端に、
図1(b)では塑性変形部が弾性変形部の中央部に、ま
た、図1(c)では塑性変形部が弾性変形部の片端のみ
に取り付けられている。図1(d)は(a)、(b)、
(c)の断面x−xにおける断面図である。
【0015】地震等により大きな変動荷重を受けたとき
に塑性変形するのは塑性変形部1aの開口周縁部であ
り、他の部分は概ね弾性内に留まる。塑性変形部と弾性
変形部との接合方法は、通常は溶接によるが、ボルトナ
ット等で接合してもよい。
【0016】塑性変形部と弾性変形部のウェブ同士をほ
ぼ直角にする理由は、本発明の鋼製構造部材の断面の剛
性を高めて、構造部材にねじれ等が容易に生じないよう
にするためである。また、製造が容易であることも塑性
変形部と弾性変形部のウェブ同士をほぼ直交させる理由
の1つに挙げられる。
【0017】塑性変形部に使用する鋼種は普通鋼でも良
いが、塑性変形部の開口周縁部が弾性変形部よりも先に
降伏して震動エネルギーを吸収するためには、塑性変形
部には極低降伏点鋼の使用が好ましい。一般的な本構造
部材の製作方法としては、まずH形鋼のウェブ部へ開口
を設けて塑性変形部とし、次いで、断面においてウェブ
同士をほぼ直交させながら、その塑性変形部を端部にス
リットを設けた弾性変形部に挿入し両者を溶接する方法
がとられる。
【0018】塑性変形部については、鋳造により開口を
設けたH形鋼を製造することも可能である。図1では開
口部の形状は角部を丸くてアールをつけた矩形である
が、効率よくエネルギー吸収を行えるのであれば、円
形、台形、菱形、三角形等いかなる形状でも良い。
【0019】図2は構造部材に軸方向に圧縮荷重が負荷
され、したがって塑性変形部の軸方向に圧縮の変形が生
じる場合を示す図である。このとき塑性変形部のウェブ
の開口周縁部には曲げせん断塑性変形を生ずる。
【0020】図3は、1枚の弾性変形部に2枚の塑性変
形部が取り付けられた本発明の構造部材を示す図であ
る。本図に示すように、構造部材が受ける応力や変形に
応じて、塑性変形部のウェブの数を複数個設置してもよ
い。本発明の構造部材を柱と梁等の構造物の骨組みに組
み込む場合の接合方法は、溶接またはボルト接合によ
る。
【0021】
【実施例】図4は、柱と梁からなる主要骨組みに本発明
の構造部材をK型ブレースとして組み込んだ例を示す図
である。通常のH形鋼ブレースとの相違はつぎの点にあ
る。本発明の鋼製構造部材を用いたH形鋼ブレースで
は、弾性変形部の全体座屈荷重よりも低い荷重レベルで
塑性変形部の開口周縁部に降伏が生じるように設計する
ことにより、圧縮変形においても引張変形と同様の安定
した大きな面積を囲む履歴曲線が得られる。したがっ
て、通常のH形鋼ブレースと異なり、圧縮と引張の変形
が交互に繰り返された場合、両者が加算された大きな制
振効果が得られる。
【0022】図5は、主要骨組みである柱梁接合部近傍
に頬杖として本発明の構造部材を組み込んだ例を示す図
である。
【0023】
【発明の効果】本発明の構造部材は、塑性変形部の開口
周縁の塑性変形によるダンピング効果によりダンピング
特性が高い。また、ダンピング特性を高める塑性変形部
も弾性変形部とともに負荷を分担し、とくに断面の剛性
が大きいためにねじれ等の変形に耐えることができる。
塑性変形部のウェブの開口の個数、大きさ、配置等を変
化させることにより、任意の耐力および剛性を得られ設
計の自由度を増すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】塑性変形部と弾性変形部からなる本発明にかか
る鋼製構造部材を例示する図である。
【図2】塑性変形部のダンピング効果の作動メカニズム
を示す説明図である。
【図3】弾性変形部1枚および塑性変形部2枚からなる
本発明の鋼製構造部材を例示する図である。
【図4】本発明の鋼製構造部材をK型ブレースとして柱
梁構造物に組み込んだ例を示す図である。
【図5】本発明の鋼製構造部材を柱梁構造物に頬杖とし
て組み込んだ例を示す図である。
【符号の説明】
1:本発明の鋼製構造部材 1a:塑性変形部であるH形鋼 1b:塑性変形部のウェブ 1c:塑性変形部のフランジ 1d:塑性変形部の開口部 1e:塑性変形部の開口周縁部 1A:弾性変形部であるH形鋼 1B:弾性変形部のウェブ 1C:弾性変形部のフランジ 2:梁 3:柱 4:ブレース 5:頬杖
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 311 E04B 1/24,1/58 E04C 3/08 F16F 15/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主要骨組にブレースまたは頬杖として組み
    込まれ、主要骨組の揺れを減衰させる鋼製構造部材であ
    って、断面においてウェブがほぼ直交するH形鋼の組み
    合わせであり、かつH形鋼のウェブのうちの少なくとも
    1つのウェブに複数の開口部を備え、開口部周辺の鋼が
    塑性変形することで震動エネルギーを吸収するH形鋼の
    複合体であることを特徴とする高ダンピング特性を有す
    る鋼製構造部材。
  2. 【請求項2】H形鋼の片側または両側の端部に前記複合
    体が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    鋼製構造部材。
  3. 【請求項3】ウェブに開口を設けたH形鋼が、他のH形
    鋼の中央部に取り付けられていることを特徴とする請求
    項1に記載の鋼製構造部材。
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