JP3171027B2 - アルミニウム酸化皮膜およびその製造法 - Google Patents

アルミニウム酸化皮膜およびその製造法

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眞守 曽我
伸司 尾崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム表面に形成
するアルミニウム酸化皮膜、およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質アルマイト基材を高温蒸気
下に放置あるいは高温熱水下に浸漬することで、アルマ
イト表面をベーマイト化し表面を膨潤させることでアル
マイトの封孔を行い、アルミニウムの耐食性を向上させ
る方法が利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の封孔法は、高温
での処理が必要であったこと、また生成したベーマイト
層が疑ベーマイト化することでアルマイト表面から脱落
し耐食性が低下する等の問題があった。また、それを補
うためにベーマイト上に塗装する方法が用いられている
が、高温での焼成、基材感の損失、塗膜の剥離等の問題
があった。
【0004】本発明はこれらの問題を解決するものであ
り、多孔質のアルマイト層内に室温で化学吸着膜を設け
ることで簡単に封孔を行い、アルミニウムの耐食性を向
上させることを可能にするとともに、基材感を損なわな
いアルミニウム酸化皮膜を提供することを第1の目的と
する。
【0005】本発明の第2の目的は、このようなアルミ
ニウム酸化皮膜の簡単な製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成するた
めの本発明の第1の手段は、アルミニウム表面に形成し
た多孔質のアルマイト層内にハロゲン基を有するシロキ
サン化合物からなる化学吸着膜を設けることで封孔を行
ったアルミニウム酸化皮膜を提供することである。
【0007】第2の目的を達成するための本発明の第2
の手段は、アルミニウム表面に形成したアルマイト層内
に化学吸着膜を設けるためのハロゲン基を有するシロキ
サン化合物を化学吸着させる工程を特長とするアルミニ
ウム酸化皮膜の製造法を提供することである。
【0008】
【作用】アルミニウム基材を陽極にして、硫酸溶液中で
電気分解することで基材上に多孔質アルマイト層を形成
する。この基材を室温程度の温度の窒素雰囲気下でハロ
ゲン基を有するシロキサン化合物を含有する非水系溶媒
に浸漬させると、シロキサン化合物とアルマイト層に吸
着した水酸基もしくは水と反応し、シロキサン化合物が
アルマイト層に化学吸着する。この後、この基材を室温
程度の温度で水に浸漬させると、化学吸着したシロキサ
ン化合物上に水酸基もしくは水が吸着する。この一連の
吸着操作を繰り返し、シロキサン化合物を重合させると
化学吸着膜が成長し、最終的には多孔質アルマイト層が
封孔される。この結果、アルミニウムの耐食性を向上さ
せたアルミニウム酸化皮膜が形成される。
【0009】この状態は、アルマイト上に塗膜が付着し
ている場合と違い、アルマイト層内にシロキサン結合と
いう化学結合でもって化学吸着膜を形成するため、表面
を繰り返し洗浄しても、化学吸着膜が剥離することがな
く、長期にわたり、アルミニウムの耐食性が維持され
る。また、この化学吸着膜によって基材感を損なうこと
もない。
【0010】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明のアルミニウム酸化皮膜とそ
の製造方法の具体的実施例を図1を用いて説明する。ア
ルミニウム基材としてA1100を用い、これをJIS
−H−9500に基づいて基材上に多孔質アルマイト層
1(膜厚8μm)を形成する。この基材を室温程度の温
度の窒素雰囲気下でシロキサン化合物2としてヘキサジ
クロロシロキサン、その非水系溶媒としてクロロホルム
を用いた濃度10-2mol/l溶液に浸漬させると、シ
ロキサン化合物2と多孔質アルマイト層1に吸着した水
酸基3もしくは水4とが反応し、シロキサン化合物2が
多孔質アルマイト層1に化学吸着する。この後、この基
材を水4に浸漬させると、化学吸着したシロキサン化合
物上に水酸基3もしくは水4が吸着する。これら一連の
吸着操作を繰り返し、シロキサン化合物を重合させると
化学吸着膜5が成長し、最終的には多孔質アルマイト層
が封孔される化学吸着膜5が形成される。
【0011】本発明に供されるアルミニウム基材として
は、例えば、純アルミニウムのA1000をはじめ、M
n含有アルミニウムのA3000系など一般のアルミニ
ウム基材の何れでもよい。シロキサン化合物としては、
吸着密度を高めるために一般式 X-(SiX2O)n-SiX3(n=1,
2,3・・・・:なおn=0はシラン化合物であるが言うまでもな
くよい。:X=ハロケ゛ン基 )に示した直鎖状化合物が好まし
い。また、非水系溶媒として上記シロキサン化合物と反
応する活性水素を持たない有機溶媒であればよく、例え
ば上記シロキサン化合物 X-(SiX2O)n-SiX3 に対して
は、CHmX4-m(m=0,1,2,3)が好ましい。
【0012】(実施例2)実施例1と同様にアルマイト
処理、および吸着処理を行い、実施例1の吸着処理回数
を変えた基材と比較品として、アルマイト処理品(膜厚
8μm、未吸着処理品)とその蒸気封孔品(3気圧,5
分間)について、耐食試験として沸騰水浸漬試験を行
い、その結果を(表1)に示す。
【0013】
【表1】
【0014】耐食性については、吸着回数が多いものほ
ど優れ、5回以上ではほとんど変わらない。そのレベル
は未吸着処理品に比べ大幅に向上し、蒸気封孔品同等あ
るいはそれ以上である。これらの結果は、本発明に目的
を満たすものである。
【0015】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、上記
の第1の手段によれば、アルミニウム基材を多孔質アル
マイト層を基材上に形成した後、この基材を室温程度の
温度の窒素雰囲気下でハロゲン基を有するシロキサン化
合物を含有する非水系溶媒に浸漬させることでシロキサ
ン化合物を化学吸着させ、これを繰り返し重合させて化
学吸着膜を設けることで封孔を行い、アルミニウムの耐
食性を向上させたアルミニウム酸化皮膜から構成され
る。この状態は、多孔質アルマイト上に塗膜が付着して
いる場合と違い、多孔質アルマイト層内にシロキサン結
合という化学結合でもって化学吸着膜を形成するため、
表面を繰り返し洗浄しても、化学吸着膜が剥離すること
がなく、長期にわたり、アルミニウムの耐食性が維持さ
れる。また、この化学吸着膜によって基材感を損なうこ
ともない。
【0016】また、第2の手段によれば、多孔質アルマ
イト層内に化学吸着膜を設けるためのハロゲン基を有す
シロキサン化合物を化学吸着させる工程を特長とする
アルミニウム酸化皮膜の製造法を提供することにより、
上記第1の手段のアルミニウム酸化皮膜を簡単に製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質アルマイト層中に形成された化学吸着膜
とその製造法
【符号の説明】
1 多孔質アルマイト層 2 シロキサン化合物 3 水酸基 4 水 5 化学吸着膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽我 眞守 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 尾崎 伸司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−188983(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム表面に形成した多孔質アル
    マイト層内に、ハロゲン基を有するシロキサン化合物を
    有する化学吸着膜を設けたアルミニウム酸化皮膜。
  2. 【請求項2】 アルミニウム表面に形成した多孔質アル
    マイト層内に、化学吸着膜を設けるためのハロゲン基を
    有するシロキサン化合物を化学吸着させる工程を特
    するアルミニウム酸化皮膜の製造法。
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DE10014035B4 (de) * 2000-03-22 2006-07-13 Electro Chemical Engineering Gmbh Gefärbte Konversionsschicht, eine Lösung zu ihrer Herstellung sowie ihre Verwendung
JP5642640B2 (ja) * 2011-09-12 2014-12-17 トヨタ自動車株式会社 内燃機関とその製造方法
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