JP3170943B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP3170943B2
JP3170943B2 JP8654593A JP8654593A JP3170943B2 JP 3170943 B2 JP3170943 B2 JP 3170943B2 JP 8654593 A JP8654593 A JP 8654593A JP 8654593 A JP8654593 A JP 8654593A JP 3170943 B2 JP3170943 B2 JP 3170943B2
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聡 細野
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気信号によって圧力
発生素子が変形し、この変形によって圧力室の容積を変
化させてノズルからインク滴を飛翔させ、記録紙等の記
録媒体上にインク像を形成するプリンタ等の、インクジ
ェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式による記録装置は、
低騒音であり、装置コスト、ランニングコストが比較的
安価であるので、コンピュータ等の文字や画像の記録装
置として広く使用されている。しかしながら、インクジ
ェット方式による記録装置は、比較的印字速度が遅いも
のが多く、高速印字を要求される場合は高価で大型な電
子写真方式の記録装置に頼らざるを得ない。
【0003】インクジェット記録装置の印字速度を電子
写真方式の記録装置と同等以上に速くする為には、イン
ク吐出の繰り返し応答周期を向上させること、ノズル数
を増やすことが考えられるが、後者は、ノズル数の増加
に伴うコストアップが必須であり、且つノズル高密度化
に伴う多くの課題(隣接ノズル間における相互干渉の現
象等)の解決が必要である。よって、本質的に印字速度
を向上させるためには前者の実現が最も重要な課題であ
る。
【0004】図7は、第1の従来の技術を説明する特公
平3−31141号公報に記載の、圧電板と弾性板から
成る圧力板の撓みを用いたインクジェットヘッドの構成
概略図である。
【0005】圧電板11と弾性板12を貼り合わせてな
る圧力板13は、圧電板11の厚さ方向に電圧が印加さ
れると、圧電板11が長手方向に収縮し、凹状に撓み変
形を発生する。このインクジェット記録装置は、圧力板
の撓み変形によって、圧力室4内部の圧力を高め、ノズ
ル1からインクを吐出することを特徴とするドロップオ
ンデマンド型インクジェットヘッドである。こうした構
成によるインクジェットヘッドの特徴は、主に以下の4
点である。
【0006】(1)圧力板の変位が大きいので、インク
吐出量を多くできる。
【0007】(2)圧力板の剛性が低いので、発生力が
小さく、高粘度インクに不向きである。
【0008】(3)圧力板の固有振動数が遅いので、応
答周期を速くできない。
【0009】(4)構造が簡単であり、低コスト化が可
能。
【0010】図8は、第2の従来の技術を説明する特開
平1−115638号公報に記載の、ノズルに対向して
積層圧電素子を配設し、この縦振動を用いたインクジェ
ットヘッドの構成概略図である。
【0011】このインクジェットヘッドは、圧力発生素
子10として、圧電材料と導電材料を交互に積層して成
る積層圧電素子を有し、積層圧電子の振動面を圧力壁3
とベース部材8によって挾持し、積層圧電素子に電圧を
印加することによって発生する変位(縦振動)を用い
て、圧力室4の容積を縮小し、ノズル1からインクを吐
出することを特徴とするドロップオンデマンド型インク
ジェットヘッドである。
【0012】こうした構成によるインクジェットヘッド
の特徴は、主に以下4点である。
【0013】(1)圧力発生素子の変位が小さいので、
インク吐出量を多くすることが困難。
【0014】(2)発生力が大きいので、高粘度インク
に対応できる。
【0015】(3)圧力発生素子の固有振動周期が速い
ので、応答周期を速くでる。
【0016】(4)圧力発生素子のコストが高い。
【0017】理想的には、インクジェットヘッドの印字
速度を速くするために、応答周期が速く、インク物性に
作用されない程の発生力を有し、十分なインク吐出量を
確保でき、且つ低コストであることが望ましい。つまり
は、第1の従来の技術と、第2の従来の技術の長所を合
わせ持ったインクジェットヘッドを構成することによっ
て、電子写真方式による記録装置に対して同等以上の性
能を有するインクジェット方式による記録装置を実現す
ることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、応答周期が速く、大きな発生力を
有し、十分なインク吐出量を確保でき、且つ低コストで
ある優れたインクジェットヘッドを実現することであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明においては、インクを吐出するノズル
と、これに連通する圧力室と、この圧力室にインクを供
給する供給路と、圧力室の一部に設けられた圧力室の容
積を変化させる圧力壁と、圧力壁に機械的に接合され、
電圧が印加されることによって形状を変える圧力発生素
子と、圧力発生素子を支持するベース部材とを備え、圧
力室の容積を変位させてノズルからインクを吐出するイ
ンクジェットヘッドに於て、圧力壁と、圧力発生素子と
の間に、所定の間隔を形成する様に2ヶ所以上で接合し
た機械的接合部を有し、該機械的接合部の間隔が圧力発
生素子に電圧が印加されることによって収縮、または拡
張することを特徴とする。
【0020】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、圧力発生素子との機械的接合部に対向する圧力壁の
厚さをtc、この機械的接合部の間隔に対向する圧力壁
の厚さをtbとするとき、tb≦tcであることを特徴と
する。
【0021】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、圧力壁と圧力発生素子の機械的接合部の間隔に、圧
力壁より弾性率が低い部材が挾持されることを特徴とす
る。
【0022】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、圧力壁と圧力発生素子の機械的接合部の間隔をw、
前記圧力発生素子に電圧が印加されることによって収
縮、及び拡張する変位をΔwとするとき、w≧2×Δw
であることを特徴とする。
【0023】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、圧力発生素子と、ベース部材との間に、所定の間隔
を形成する様に2ヶ所以上で接合した機械的接合部を有
し、該機械的接合部の間隔が圧力発生素子に電圧が印加
されることによって収縮、または拡張することを特徴と
する。
【0024】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、電圧が印加されることによって収縮、拡張する圧力
発生素子が圧電材料と導電材料を交互に積層して成る積
層圧電素子であることを特徴とする。
【0025】また、係るインクジェットヘッドにおい
て、積層圧電素子の歪を生じない不活性部に、圧力壁と
の機械的接合がなされることを特徴とする。
【0026】
【作用】電圧が印加されることによって、変形する圧力
発生素子の微小な変位を、圧力発生素子とある間隔を有
し、2箇所以上で支持した、(梁状(アーチ状)に構成
した)圧力壁によって、拡大し、小型(低コスト)の圧
力発生素子で十分な変位量を確保する。また、圧力壁の
梁部の厚さを比較的厚くすることができるので、発生力
と応答周期も十分な特性を確保することができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例の詳細を図面を参照し
て説明する。
【0028】図1は、本発明の実施例によるインクジェ
ットヘッドの構造説明図である。
【0029】ノズル形成基板2には、複数のノズル1が
形成されている。ノズル1の開口面積とノズル形成基板
2の厚さは、インク吐出速度やインク吐出量に大きな影
響を及ぼすため、ステンレスを用いた精密プレス法、ニ
ッケルの電鋳法、または、シリコンウェハのエッチング
加工等により高精度加工を実現している。このノズル形
成基板2と貼り合わされるスペーサ9は、各ノズルに対
応したスリットを形成して成る部材である。このスペー
サ9には、圧力壁3と流路部材6が接合される。スペー
サ9との接合に際しては、アーチ状断面部5を有する圧
力壁3を、あらかじめ、供給路7を形成した流路部材6
に接合した後に行なっている。このように、ノズル形成
基板2とスペーサ9と圧力壁3によって、各ノズルに対
応した圧力室を構成している。この圧力室には、供給路
7からインクが供給され、圧力壁3が変形することによ
って、容積を収縮、及び拡大、あるいは、拡大、及び収
縮し、インクに圧力変化を伝達し、ノズルからインクを
吐出させる機能を有している。
【0030】圧力壁3のアーチ状断面部5と機械的に接
合される圧力発生素子10は、セグメント電極14とコ
モン電極15を備えたベース部材8に接合された後、ダ
イシング加工によって所定の大きさに分断したものであ
る。こうして構成した複数の圧力発生素子10を備えた
ベース部材8は、流路部材6の溝で固定される。駆動回
路16からの電気信号は、ベース部材8に形成されたセ
グメント電極14とコモン電極15によって、それぞれ
の圧力発生素子10に選択的に印加することができる。
【0031】本実施例によるインクジェットヘッドは、
供給路7の容量が比較的大きいので、圧力室へのインク
供給効率が高く、高応答周期、高粘度インクに対応して
いる。
【0032】高応答周期は、印字速度を向上させ、高粘
度インクに対応することは、印字品質の向上に寄与して
いる。
【0033】本発明のインクジェットヘッドの特徴は、
選択的に圧力発生素子を変形させ、この変形を圧力壁に
て拡大し、圧力室に伝達することである。
【0034】図2は、本発明の第1の実施例によるイン
クジェットヘッドにおける主要部の動作説明図である。
【0035】積層圧電素子からなる圧力発生素子10
は、セグメント電極14とコモン電極15によって電圧
が印加されると、矢印Aの方向に拡張し、矢印Bの方向
に収縮する。こうした変位は、圧力発生素子10に機械
的に接合されている圧力壁3のアーチ状断面部5によっ
て矢印Cのように拡大され圧力室4に大きな容積変化を
与えることができる。図8に示した第2の従来の技術例
のように矢印Aの変位だけで、圧力室4の容積変化を行
なっていたインクジェットヘッドに比べ、駆動電圧の低
下、または、圧力発生素子10の小型化が可能であり、
同様な性能のインクジェットヘッドの飛躍的な低コスト
化が可能である。よって、従来、48〜64のノズルを有し
ていたインクジェットヘッドのノズル数も、コストアッ
プをせずに増やすことが可能である。つまりは、飛躍的
に印字速度を向上させることができるので、電子写真方
式による記録装置と同等以上の性能を有したインクジェ
ット方式による記録装置を、安価な価格で実現すること
ができる。
【0036】図3(a)(b)(c)は、本発明のイン
クジェットヘッドにおける圧力壁と圧力発生素子の機械
的接合と、この圧力壁の断面形状についての説明図であ
る。
【0037】図3(a)に示す圧力壁3は、均一な厚さ
を有した弾性板である。圧力発生素子20とは機械的接
合部20で接合されている。圧力発生素子10に電圧が
印加されることによって矢印bに示す変位が発生する
と、圧力壁3の断面には矢印b’に示すような変位分布
が発生し、矢印cに示すような変位を発生させる。しか
しながら、こうした構成にしたとき機械的接合部20
は、流動性を有した接着剤にて構成されるので、この接
合面積を均一に維持し、機械的接合部20の間隔wのバ
ラツキを抑制し、矢印cに示す変位を安定的に管理する
ことが困難である。
【0038】図3(b)に示す圧力壁3は、機械的接合
部20の面積と、この間隔wを安定的に管理する為、ブ
リッジ状断面を有している。動作原理は図3(a)で説
明したものと同様であるが、圧力発生素子10との機械
的接合部20に対向する圧力壁3の厚さtcよりも、機
械的接合部20の間隔に対向する圧力壁の厚さtbの方
が薄く構成されている。こうした構成によって圧力壁3
の剛性が低下し、矢印cに示す変位をより大きくするこ
とができるが、tbが薄くなった分だけ圧力壁3の発生
力は小さくなってしまう。
【0039】図3(c)に示す圧力壁3は、機械的接合
部20の面積と、この間隔wを安定的に管理し、さら
に、圧力壁3の撓み方向の剛性を強化して発生力を高め
るアーチ状断面を有している。さらには、圧力壁3と圧
力発生素子10の機械的接合部20の間隔に圧力壁より
弾性率が低い低弾性部材30を挾持している。具体的に
は圧力壁3にステンレス(弾性率は、2.1e11(N/m∧2))
を用い、低弾性部材30には、機械的接合部20に用い
る接着剤(弾性率は、約1.0e9(N/m∧2))か、より弾性
率が低いシリコン樹脂(弾性率は、約1.0e6(N/m∧2))
を用いることによって、矢印cの変位が振動する現象を
効果的に減衰し、高印字品質を確保することに寄与す
る。
【0040】以下に、具体的なディメンジョンを仮定
し、圧力壁3の拡大機能を説明する。
【0041】図2に示す矢印A方向の変位量δaは、次
式のように示される。
【0042】
【数1】
【0043】また、図2に示す矢印B方向の変位量δb
は、次式のように示される。
【0044】
【数2】
【0045】d33、及びd31は、圧電定数であり、本実
施例による圧力発生素子の場合、d33=400e-12(m/V)、
d31=200e-12(m/V)である。また、hは、圧力発生素子
の高さであり、1.0(mm)とする。そして、圧電材料層厚
さtを、0.02(mm)、印加電圧Vを30(V)とすれば、矢印
A方向の変位δaは、0.6(μm)、矢印B方向の変位δb
は、0.3(μm)になる。
【0046】これに対して、図2の矢印Cに示す圧力壁
3の変位δは、簡易的に次式の様に求められる。
【0047】
【数3】
【0048】ここで、Wは、圧力壁3のアーチ状断面部
5の間隔、ΔWは、矢印Bに示す変位、Δhは、矢印A
に示す変位、αは、圧力発生素子の発生力とアーチ状断
面部5が撓むことによる反力の比率である。
【0049】図4は、圧力壁と圧力発生素子の機械的接
合部の間隔wと圧力発生素子の変位Δwの比率であるw
/Δwと、圧力壁3の変位δと圧力発生素子の変位Δw
の比率であるδ/Δwの関係を示す特性曲線である。
【0050】図4の特性曲線が示すように、圧力壁と圧
力発生素子の機械的接合部の間隔wが、圧力発生素子に
電圧が印加されることによって収縮、及び拡張する変位
Δwの2倍以上でなければ、圧力壁による変位拡大機構
が意味をなさないことがわかる。よって、本発明では、
w≧2×Δwであることを特徴とする。
【0051】具体的には、圧力壁と圧力発生素子の機械
的接合部の間隔(図2に示す圧力壁3のアーチ状断面部
5の間隔)Wを1(mm)にするとき、矢印Bに示す変位Δ
Wは、0.3(μm)になるので、w/Δwは3000以上であ
る。αを0.9であるとすれば、図2の矢印Cに示す圧力
壁3の変位δは、約11(μm)になる。よって、矢印Bに
示す変位は、本発明による圧力壁3のアーチ状断面部5
によって、36倍程度拡大することができる。
【0052】図8に示した第2の従来の技術のように、
矢印Aの変位だけで圧力室4の容積変化を行なうインク
ジェットヘッドと同等な性能を、1/18の電界強度で
達成することができるので、5(V)の駆動電圧、60(μm)
の圧電材料層の厚さを実現することができ、従来の駆動
電圧源(30V)を削除することができる。このように、
本発明のさらなる効果として、インクジェットヘッドを
駆動する回路コストの削減と、圧力発生素子の信頼性の
向上を実現することができる。
【0053】また、図2に示すように、圧力壁3のアー
チ状断面部5の圧力発生素子10との接合面が、変位を
発生しない不活性部であることによって、この接合面に
架かる応力を緩和することもできる。
【0054】図5は、本発明の第2の実施例によるイン
クジェットヘッドにおける主要部の動作説明図である。
【0055】本発明の第1の実施例に対し、さらに、圧
力発生素子10のベース部材8側にもアーチ状断面構造
を有するセグメント電極14を構成することを特徴とし
ている。積層圧電素子からなる圧力発生素子10には、
本発明の第2の実施例によるアーチ状断面構造を有した
セグメント電極14と、本発明の第1の実施例によるア
ーチ状断面構造を有した圧力壁3がコモン電極の機能を
備えることによって、電圧が印加され、矢印Dの方向に
拡張し、変位を発生する。この変位は、図2に示した矢
印Cの変位の約2倍を得ることができるので、さらに飛
躍的な駆動電圧の低下、または、圧力発生素子10の小
型化が可能であり、低コスト化をより促進することが可
能である。
【0056】図6は、本発明の第3の実施例によるイン
クジェットヘッドにおける主要部の動作説明図である。
【0057】本実施例は、電圧が印加されることによっ
て、圧力発生素子が拡張する変位(d33効果)を用い
て、圧力壁3が有するアーチ状断面部5を撓ませること
を特徴とするものである。
【0058】矢印A方向(d33効果)の発生圧力Pa
は、次式のように示される。
【0059】
【数4】
【0060】矢印B方向(d31効果)の発生圧力Pb
は、次式のように示される。
【0061】
【数5】
【0062】d33、及びd31は、圧電定数であり、本実
施例による圧力発生素子の場合、d33=400e-12(m/V)、
d31=200e-12(m/V)である。また、Eは圧力発生素子の
ヤング率であり、約7e10(N/m∧2)である。そして、圧電
材料層の厚さを、0.02(mm)、印加電圧Vを30(V)とすれ
ば、矢印A方向(d33効果)の発生圧力Paは、4.2e7(P
a)、矢印B方向(d31効果)の発生圧力Pbは、2.1e7(P
a)になる。
【0063】よって、本発明の第3の実施例によれば、
本発明の第1、第2の実施例に対して、2倍の力で圧力
壁3に備わるアーチ状断面部5を撓ませることができ、
より効率よく圧力室4の容積変化量を得ることができ
る。
【0064】インクジェット記録装置の印字速度を高速
化するためには周波数応答性を確保することが重要であ
る。このため、圧力壁3の固有振動数が十分速いことが
必要である(具体的には、100(kHz)程度の固有振動数が
必要である)。
【0065】アーチ状断面部5を有する圧力壁3の固有
振動数fは、次式のように示される。
【0066】
【数6】
【0067】ここで、Wは、圧力壁3のアーチ状断面部
5の間隔、Eは、圧力壁3のヤング率、Iは圧力壁3の
断面二次モーメント、ρは、圧力壁3の比重、Sは、圧
力壁3の断面積、そして、λは振動係数である。
【0068】圧力壁3の断面が長方形である場合、固有
振動数fは、さらに次式のようにしめされる。
【0069】
【数7】
【0070】本発明において、圧力壁3のアーチ状断面
部5の間隔Wを1(mm)、圧力壁3のヤング率Eを7e10(N
/m∧2)、圧力壁3に備わるアーチ状断面部5の厚さtb
を0.05(mm)、圧力壁3の比重ρを7.8e3(kg/m∧3)、そし
て、振動係数λは4.73(横振動の1次モードとする)で
あるので、固有振動数fは、154(kHz)を確保できる。
【0071】さらに、本発明の第3の実施例の様に、d
33効果を用いた場合は、圧力壁3に備わるアーチ状断面
部5の厚さtbを、0.1(mm)にできるので、固有振動数f
は、300(kHz)を確保できる。
【0072】以上のように、本発明によれば、以下のよ
うな特徴を有したインクジェットヘッドを実現すること
ができる。
【0073】(1)圧力板の変位が大きいので、インク
吐出量を多くできる。
【0074】(2)圧力板の剛性を高くので、発生力が
大きく、高粘度インクに対応できる。
【0075】(3)圧力板の固有振動数が速いので、応
答周期を速くできる。
【0076】(4)圧力発生素子(積層圧電素子)の低
コスト化が可能。
【0077】また、さらなる効果として以下の2点を実
現することもできる。
【0078】(1)駆動電圧源はコストから削除するこ
とがでる(回路電源と共通化)。
【0079】(2)圧力発生素子(積層圧電素子)の信
頼性向上(低電界強度化)。
【0080】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、応答周期
が速く、大きな発生力を有し、十分なインク吐出量を確
保でき、且つ低コストである、優れたインクジェットヘ
ッドを実現し、電子写真方式による記録装置に対して同
等以上の性能を有するインクジェット方式による記録装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるインクジェットヘッドの
構造説明図。
【図2】本発明の第1の実施例によるインクジェットヘ
ッドにおける主要部の動作説明図。
【図3】本発明のインクジェットヘッドにおける、圧力
壁と圧力発生素子の機械的接合と、この圧力壁の断面形
状についての説明図。
【図4】本発明のインクジェットヘッドにおける、圧力
壁と圧力発生素子の機械的接合部の間隔wと圧力発生素
子の変位Δwの比率であるw/Δwと、圧力壁3の変位
δと圧力発生素子の変位Δwの比率であるδ/Δwの関
係を示す特性曲線図。
【図5】本発明の第2の実施例によるインクジェットヘ
ッドにおける主要部の動作説明図。
【図6】本発明の第3の実施例によるインクジェットヘ
ッドにおける主要部の動作説明図。
【図7】従来の技術を説明する特公平3−31141号
公報に記載の、圧電板と弾性板から成る圧力板の撓みを
用いたインクジェットヘッドの構成概略図。
【図8】従来の技術を説明する特開平1−115638
号公報に記載の、ノズルに対抗して積層圧電素子を配設
し、この縦振動を用いたインクジェットヘッドの構成概
略図。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ノズル形成基板 3 圧力壁 4 圧力室 5 アーチ状断面部 8 ベース部材 10 圧力発生素子 20 機械的接合部

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するノズルと、これに連通
    する圧力室と、この圧力室にインクを供給する供給路
    と、前記圧力室の一部に設けられた圧力室の容積を変化
    させる圧力壁と、前記圧力壁に機械的に接合され、電圧
    が印加されることによって形状を変える圧力発生素子
    と、前記圧力発生素子を支持するベース部材とを備え、
    前記圧力室の容積を変位させて前記ノズルからインクを
    吐出するインクジェットヘッドに於て、 前記圧力壁と、前記圧力発生素子との間に、所定の間隔
    を形成する様に2ヶ所以上で接合した機械的接合部を有
    し、該機械的接合部の間隔が前記圧力発生素子に電圧が
    印加されることによって収縮、または拡張することを特
    徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記圧力発生素子との機械的接合部に対
    向する前記圧力壁の厚さをtc、この機械的接合部の間
    隔に対向する前記圧力壁の厚さをtbとするとき、tb≦
    tcであることを特徴とする請求項1記載のインクジェ
    ットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記圧力壁と前記圧力発生素子の機械的
    接合部の間隔に、前記圧力壁より弾性率が低い部材が挾
    持されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    インクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記圧力壁と前記圧力発生素子の機械的
    接合部の間隔をw、前記圧力発生素子に電圧が印加され
    ることによって収縮、及び拡張する変位をΔwとすると
    き、w≧2×Δwであることを特徴とする請求項1、2
    又は3記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記圧力発生素子と、前記ベース部材と
    の間に、所定の間隔を形成する様に2ヶ所以上で接合し
    た機械的接合部を有し、該機械的接合部の間隔が前記圧
    力発生素子に電圧が印加されることによって収縮、また
    は拡張することを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 電圧が印加されることによって収縮、拡
    張する前記圧力発生素子が圧電材料と導電材料を交互に
    積層して成る積層圧電素子であることを特徴とする請求
    項1、2、3、4又は5記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記積層圧電素子の歪を生じない不活性
    部に、前記圧力壁との機械的接合がなされることを特徴
    とする請求項6記載のインクジェットヘッド。
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