JP3167913B2 - 微粒化装置及び微粒化方法 - Google Patents
微粒化装置及び微粒化方法Info
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Description
るための装置及び方法に関し、より詳しくは、素材を懸
濁した液体を超高圧で衝突させることにより、瞬間的に
乳化、分散または微粉砕を行う微粒化装置及び微粒化方
法に関するものである。
えば特開平2 −261525号に記載の乳化装置が知られてい
る。この乳化装置は、図7に示すように、混合液流路を
硬質のプレート材からなる2枚のライナー部材50,5
1によって閉塞し、流入側に配置した第1のライナー部
材50には、2つの貫通孔50a,50bを形成すると
ともに各貫通孔出口を連通する第1の溝状通路50cを
形成し、また、その第1のライナー部材50に密着して
下流側に配置した第2のライナー部材51は、第1の溝
状通路50cと直交する方向に第2の溝状通路51cを
配置するとともに、その両端には混合液を排出するため
の貫通孔51a,51bが形成されている。これら第1
及び第2のライナー部材50,51内に高圧の混合液を
通過させることにより、混合液の流れを強制的に対向流
とするとともに加速させ、衝突させて乳化を行うように
なっている。
乳化装置では、ライナー部材に焼結ダイヤ,人工サファ
イヤ等の耐摩耗性材料を使用してはいるものの、混合液
が最大流速で衝突する溝状通路50c,51cの中心部
では摩耗が著しく、連続して使用すると微粒化の性能低
下が避けられない。従って、乳化の性能を維持するため
には、高価なライナー部材を定期的に交換しなければな
らないことから、ライナー部材の長寿命化が要望されて
いる。
化効果を得るためには混合液の加圧ポンプ及びその動力
を小さくすることができないため、装置を小型化して省
エネを図ることができないという問題もある。
ける課題を考慮してなされたものであり、ライナー部材
における流体衝突部分で発生する摩耗を軽減して、長期
にわたり安定して微粒化作用を発揮することができ、且
つ微粒化効果を高めて省エネを図ることのできる微粒化
装置及び微粒化方法を提供するものである。
微粒化すべき流体を通過させることのできる貫通孔を形
成したブロックを、貫通方向が流体の流れ方向に沿うよ
うに複数個実質的に密着配設した微粒化装置において、
流体導入側ブロックに貫通孔を2本、中間ブロックに1
本、流体排出側ブロックに2本それぞれ形成し、導入側
ブロックと中間ブロックの対向面のいずれかのブロック
表面に、隣接する各ブロックの貫通孔と連通され、流体
を対向流に変えるとともに旋回力を付与する溝状通路を
形成し、中間ブロックと排出側ブロックの対向面におけ
るいずれかのブロック表面に、隣接する各ブロックの貫
通孔と連通され、中間ブロックの貫通孔を通過した流体
の流れをブロック表面に沿う方向に変えるとともに旋回
力を減衰させる溝状通路を形成したことを要旨とする。
形状は丸溝またはU字溝に構成することが好ましい。ま
た、上記各ブロックは、セラミックス、超硬合金、ダイ
ヤモンド等の耐摩耗性部材から構成することができる。
本発明における流体とは、液体または粉体からなる素材
を含む液状流体を示し、素材として液体を選択する場合
は乳化が行われ、粉体を選択する場合は分散,微粉砕が
行われる。乳化においては、各種疎水物の水中での微小
液滴化、各種親水物の油中での微小液滴化等が示され、
分散においては微粒子の金属酸化物,その他無機顔料,
有機顔料等の液中での凝集解砕が示され、微粉砕におい
ては金属酸化物,その他無機顔料,有機顔料等の液中で
の単粒子の微小化が示される。また、流体を超高速で衝
突させるには、微粒化装置に導入する流体を例えば高圧
ポンプを用いて100 〜3000kg/cm2に加圧することが好ま
しい。
ける貫通孔は、ブロックに少なくとも2個形成されてい
ればよいが、それ以上であってもよい。なお、貫通孔を
3個以上形成する場合は、ブロックの中心から放射状に
延びる溝状通路で連通させることが好ましい。
ックの溝状通路は、例えば、2個の貫通孔の中心部に配
置される有底円筒状凹部と、その有底筒状凹部の縁部か
ら反対向きに湾曲して延設され2個の貫通孔をS字状に
連通する溝状通路とによって構成することができる。ま
た、排出側ブロックの溝状通路については、対向面を基
準として上記溝状通路と対称に配置された溝状通路で構
成することができる。要するに、導入側ブロックと排出
側ブロックにおける溝状通路は、対向流に旋回力を付与
することができ、また、与えた旋回力を減衰させるもの
であれば、任意の形状の通路を利用することができる。
き流体の流路に沿って貫通孔を有し実質的に密着して配
設された3個のブロックに流体を導入し、高速で衝突さ
せることにより微粒化を行う微粒化方法であって、流体
導入側ブロックの貫通孔から導入した流体を対向流に変
えるとともに旋回力を付与して衝突させ、中間ブロック
の貫通孔にて流体の旋回状態を維持しつつその流れを流
路方向に変え、排出側ブロックにて中間ブロックを通過
した流体の流れを流路と直交する方向に変えつつ旋回力
を減衰させ、貫通孔から排出することを要旨とする。
ロックの対向面のいずれかの面に形成された溝状通路内
に案内された流体は、加速されて対向流にされるととも
に旋回力が付与された状態で衝突し、渦巻流が生成され
る。渦巻流となった流体は、上記溝状通路の断面積より
も大きな断面積にて構成されている中間ブロックの貫通
孔に案内されることにより、衝突エネルギーが低減さ
れ、且つその渦巻状態が維持される。次いで排出側ブロ
ックの対向面と衝突して再度微粒化が行われ、さらにそ
の流体は、溝状通路によってその流れが流路と直交する
方向に変えられ、旋回力が減衰されつつ貫通孔から排出
される。このように、本発明は衝突による微粒化に加
え、流体に旋回力を与えて乱流状態を加速し、次に旋回
力を減衰させることにより、さらなる微粒化効果を得る
ものである。
いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の微粒化
方法に適用される微粒化装置及びその周辺設備を含む微
粒化システムの概略構成を示したものであり、その構成
は、水系流体と油系流体をそれぞれ別に引き込んで合流
させることにより混合液(微粒化すべき流体)とし、そ
の混合液を高圧ポンプを用いて微粒化装置に圧送し、そ
の微粒化装置内で乳化、分散または微粉砕を行うように
なっている。以下、各部の構成について説明する。
体を貯留するための容器2と油系流体を貯留するための
容器3とを備えており、これらの容器2,3内の各流体
は、弁4,5にてそれぞれ流量が調節され、配管6で合
流され、高圧ポンプ7の吸入口に供給されるようになっ
ている。高圧ポンプ7は、混合液を1000〜1500kg/cm2に
加圧して超高速流を形成した後、微粒化装置8に導入す
るようになっている。本発明の特徴部分である微粒化装
置8は、図2に示すように、流体導入側ブロックとして
の円盤状のディスク10及び中間ブロックとしての円盤
状のディスク11及び流体排出側ブロックとしてのディ
スク12を、流路に沿って直列に、且つ上記記載順に円
筒状容器9内に密着させて配置したものである。なお、
同図では、説明を容易にするためディスク10及び11
を離した状態で示し、ディスク12については対向面に
形成した溝状通路の形状が分かるように展開している。
また、以下の説明では、各ディスクにおける上流側の面
を表面、下流側の面を裏面と呼ぶ。
らなるセラミックス、超硬合金,ダイヤモンド等の耐摩
耗性部材から構成されている。このディスク10には同
心円上の2箇所に直径0.5mmの導入貫通孔10a,1
0bが形成されている。このディスク10の裏面10c
中心部には、深さ0.05mmの有底筒状凹部からなる渦
巻室10dが形成されている。
渦巻室10d及び導入貫通孔10bの出口部10b´
は、幅0.1mm,深さ0.05mmの溝状導入通路10
e,10fによってS字状に連通されている。詳しく
は、溝状導入通路10eは、渦巻室10dの縁部からそ
の接線方向に延びて湾曲するように形成されており、溝
状導入通路10fも同様に、渦巻室10dの上記縁部に
対して直径方向に対向する位置を始点として湾曲して形
成されている。このような構成により、渦巻室10dに
向かって流れる対向流A´,B´が形成される。
同じ厚さ、同じ材質からなり、渦巻室10dと対応する
位置に、溝状導入通路10eの断面積より大きい断面積
を有する直径0.14mmの中間貫通孔11aが形成され
ている。
径、同じ厚さ、同じ材質からなり、同心円上の2箇所に
直径0.6mmの排出貫通孔12a,12bが形成されて
おり、その中心部には有底筒状凹部からなる貯留室12
dが形成されている。これら排出貫通孔12aの入口部
12a´と貯留室12dと排出貫通孔12bの入口部1
2b´は、溝状排出通路12e,12fによってS字状
に連通されている。この溝状排出通路12e,12fは
渦巻方向に対して正方向、すなわち逆S字状(流体下流
側から見て)に形成されており、それにより、渦巻流C
の流れをディスク12の外周に向けて変えるとともに、
旋回力を減衰させるようになっている。
貫通孔11aの径を調節すれば、ディスク10における
溝状導入通路10e,10f内を流れる流速を所望の値
に設定することができる。
渦巻方向に対して逆方向、すなわちS字状(流体下流側
から見て)に形成したものであり、この構成によれば、
図2に示したディスク12に比べ、旋回力の減衰効果が
高められる。
実施例の動作について説明する。高圧ポンプ7によって
加圧され超高速流体とされた流体が微粒化装置8に導入
されると、まず、円筒状容9内にて流れAと流れBに分
岐され、導入貫通孔10aと10bを通過してディスク
11の対向面と衝突した後、溝状導入通路10e,10
f内に案内されディスク10の中心に向けて強制的に方
向が変えられ、対向流となる。次いで流体は加速され、
渦巻室10dに対しその接線方向から対向して渦巻室1
0d内に進入し、それにより流体A´と流体B´は渦巻
室10d内で合流して衝突し、微粒化され、渦巻流Cを
発生する。次いで、渦巻室10d内にて微粒化された流
体は、渦巻状態を維持したまま中間貫通孔11aを通過
してディスク12へ送出される。このとき、貫通孔11
aの断面積は溝状通路10e,10fのそれよりも大き
く形成されているため、衝突エネルギーが貫通孔11a
にて開放され、ディスク10における流体衝突部分、す
なわち渦巻室10dで発生する摩耗は低減される。渦巻
状態にて送出された流体は、さらにディスク12の貯留
室12dに衝突して再度微粒化が行われる。そして溝状
通路12e及び12fに分割され、その流れが流路と直
交する方向に変えられるとともに渦巻状態が減衰され、
排出貫通孔12a,12bから排出される。
散、粉砕を行った結果を以下に示す。なお、マイクロ
フルイダイザー社(以下M社と呼ぶ)製装置 M-110Y 及
びナノマイザー社(以下N社と呼ぶ)製装置 LA-33を用
い、同じ条件にて実験した結果を比較例として示す。 測定装置:島津製作所( 株) 製レーザー回折式粒度分布
測定装置 SALD-2000A 評価手順:測定装置の撹拌槽に精製水を200cc 投入し、
循環させる。回折/散乱光強度グラフのピークが40%
になるまで実験サンプルを少量ずつ加える。超音波スイ
ッチをONにして、1分間後に測定開始キーを押下す
る。 評価方法:測定結果の項目のうち、メジアン径の大小で
評価を行う。
によれば、乳化、分散、微粉砕実験のいずれにおいても
従来装置より微粒化効果を高めることができることが確
認された。また、乳化実験については連続して乳化を行
い、所定時間経過後に微粒化装置を分解して各ディスク
における摩耗を検査したが、いずれのディスクについて
も顕著な摩耗は検出されず、従って微粒化を安定して実
施することができることが確認された。
実施例を示したものである。なお、図2と同じ構成要素
については同一符号を付してその説明を省略する。図4
に示すディスク13は、同心円周上2箇所に貫通孔13
a,13bを有し、その裏面13cには、有底筒状凹部
からなる渦巻室13dが形成されている。この渦巻室1
3dからは、互いに逆向きで接線方向に延びる溝状直線
通路13e,13fが形成され、各貫通孔13a及び1
3bの出口部と連通している。このような構成において
も前述した実施例と同様に渦巻流を形成することができ
る。なお、ディスク11の下流側に配設されるディスク
14は排出貫通孔14a,14bを有し、図2に示した
ディスク12と同様に、溝状直線通路13e,13fと
対称の位置に、溝状直線通路14e,14fが形成され
ている。なお、図中の符号14dは貯留室である。
の溝状通路を、渦巻方向に対して逆方向に形成したもの
であり、この構成によれば、図4に示したディスク14
に比べ、旋回力の減衰効果が高められる。なお、本実施
例ではブロックを円盤状のディスクで構成したが、ブロ
ックの形状はこれに限らず、四角,六角等の多角形で構
成することもできる。
10,12,13,14に形成される溝状通路の断面形
状は、図6(a)に示すように、溝の隅部をR加工する
か、または同図(b)に示すように、溝を半円状に加工
することが好ましい。このような断面形状の溝状通路に
よれば、流量係数を大きくすることができる。
の厚さを同じに構成したが、これに限らず、例えばディ
スク11の厚さを増減させて、すなわち、中間貫通孔の
長さを調節して微粒化効果を調節することもできる。ま
た、本実施例では、ディスク10の裏面とディスク12
の表面にそれぞれ溝状通路を形成したが、これに限ら
ず、ディスク11の表面に溝状通路及び渦巻室を形成
し、その裏面に溝状通路及び貯留室を形成することもで
きる。
を行う食品分野に、脂肪乳剤の調整,細胞破砕等を行う
医薬品分野に、乳液の調整,顔料の分散等を行う化粧品
分野に、各種乳化重合製品の製造,有機顔料の粉砕等を
行う化学品分野、或いはその他の新素材開発研究分野に
それぞれ適用することができる。
本発明によれば、ライナー部材における流体衝突部分の
摩耗を解消して、長期にわたり安定した微粒化作用を発
揮することができ、且つ微粒化効果が高められるという
長所を有する。また、微粒化効果が高められる分、高圧
ポンプ及びその動力を小さくすることができ、それによ
り省エネを図ることができる。
貫通孔からなる中間ブロックを複数個用意し、いずれか
一つを選択して導入側ブロックと排出側ブロックの間に
配置するだけで衝突に供する対向流の流量を簡単に変更
することができる。本発明の微粒化装置によれば、流体
衝突部分の摩耗を大幅に低減させることができるため、
従来のライナー部材のような高度な耐摩耗性を要求しな
い。従って、微粒化装置の製造コストを大幅に低下させ
ることができる。
ックと排出側ブロックを離間配置させる構成のため、各
ブロック対向面における溝状通路については従来のよう
に密着させ且つ直交させる必要がない。従って、各ブロ
ックを直交する方向に位置決めする手間が省けるととも
に、位置決めのための加工工程を省略することができる
という長所がある。
である。
2相当図である。
4相当図である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 微粒化すべき流体を通過させることので
きる貫通孔を形成したブロックを、貫通方向が前記流体
の流れ方向に沿うように複数個実質的に密着配設した微
粒化装置において、 流体導入側ブロックに前記貫通孔を2本、中間ブロック
に1本、流体排出側ブロックに2本それぞれ形成し、前
記導入側ブロックと前記中間ブロックの対向面のいずれ
かのブロック表面に、前記隣接する各ブロックの貫通孔
と連通され、前記流体を対向流に変えるとともに旋回力
を付与する溝状通路を形成し、前記中間ブロックと前記
排出側ブロックの対向面におけるいずれかのブロック表
面に、隣接する各ブロックの貫通孔と連通され、前記中
間ブロックの貫通孔を通過した流体の流れを前記ブロッ
ク表面に沿う方向に変えるとともに前記旋回力を減衰さ
せる溝状通路を形成したことを特徴とする微粒化装置。 - 【請求項2】 前記溝状通路の断面形状が丸溝またはU
字溝である請求項1に記載の微粒化装置。 - 【請求項3】 微粒化すべき流体の流路に沿って貫通孔
を有し実質的に密着して配設された3個のブロックに流
体を導入し、高速で衝突させることにより微粒化を行う
微粒化方法であって、 流体導入側ブロックの前記貫通孔から導入した前記流体
を対向流に変えるとともに旋回力を付与して衝突させ、 中間ブロックの前記貫通孔にて前記流体の旋回状態を維
持しつつその流れを前記流路方向に変え、 排出側ブロックにて前記中間ブロックを通過した前記流
体の流れを前記流路と直交する方向に変えつつ旋回力を
減衰させ、前記貫通孔から排出することを特徴とする微
粒化方法。
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