JP3164413B2 - アルミ製熱交換器部品の接合用材料とその接合方法 - Google Patents

アルミ製熱交換器部品の接合用材料とその接合方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミ製熱交換器部品
の接合材料とその接合方法に関するもので、特にろう付
け工程における接合温度を低くし、長期にわたる信頼性
を確保すると共に、コスト低減を計ったものである。
【0002】
【従来の技術】Al又はAl合金製の熱交換器は構造が
複雑であるため、一般的にはAl−Si系合金ろう材を
クラッドしたブレージングシートを組立品の構成部品の
一部に使用し、心材の融点直下である約600℃に昇温
し、ノコロックろう付け法、真空ろう付け法による炉中
ろう付けにより、構成部品間を接合することにより組立
てられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般にアルミ製熱交換
器は、ブレージングシートの形でAl−Si系合金ろう
材を用いてろう付けされるため、接合温度が約600℃
と高く、ろう材以外の材料の融点に接近しているため、
厳密な温度制御が不可欠であり、また真空あるいは不活
性ガス雰囲気に保持する必要があることから、設備費、
ランニングコストが高いという問題がある。また皮材に
使用されているろう材の融点により、心材に使用される
材料も制約を受けている。更にクラッド材を使用するた
め、これらの屑の再利用が実質的にできないという問題
がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこれに鑑み種々
検討の結果、アルミ製熱交換器部品の接合をより低温で
行え、コスト低減と長期にわたる信頼性を確保できるア
ルミ製熱交換器部品の接合材料とその接合方法を開発し
たものである。
【0005】即ち本発明接合用材料の一つは、Al0.
5〜5.0wt%、Sn1.5〜10.0wt%を含有し、
又は更にCu5wt%以下、Ti0.5wt%以下のうち1
種又は2種を含有し、残部Znからなることを特徴とす
るものである。
【0006】また本発明接合方法の一つは、Al0.5
〜5.0wt%、Sn1.5〜10.0wt%を含有し、又
は更にCu5wt%以下、Ti0.5wt%以下のうち1種
又は2種を含有し、残部Znからなる接合用材料を用
い、Al又はAl合金からなる接合部品の一部又は全体
を440〜510℃に加熱して接合することを特徴とす
る。
【0007】さらに本発明接合方法の他の一つは、Al
0.5〜5.0wt%、Sn1.5〜10.0wt%を含有
し、又は更にCu5wt%以下、Ti0.5wt%以下のう
ち1種又は2種を含有し、残部Znからなる接合用材料
を、Al又はAl合金からなる接合部品の少なくとも一
部に被覆した後、接合部品の一部又は全体を440〜5
10℃に加熱して接合することを特徴とするものであ
る。
【0008】
【作用】本発明は上記の如く、Al又はAl合金からな
る熱交換器部品の接合において、半田又はろう材を用い
て熱的に接合する必要のある部位の少なくとも一部を、
Al0.5〜5.0wt%、Sn1.5〜10.0wt%を
含有し、又は更にCu5wt%以下、Ti0.5wt%以下
のうち1種又は2種を含有し、残部Znからなる接合用
材料を用いて接合することにより、ブレージングシート
を必要とせず、より低温での接合が可能となるため、J
IS5000系合金(Al−Mg系合金)のように比較
的低い液相点を持つ高強度材料の使用も可能であり、接
合部品の薄肉化も可能となる。
【0009】また熱交換器部品を接合時の形状に成形加
工した後に上記接合用材料を被覆して接合することもで
きるため、ブレージングシートのような合せ材を使用し
ていた時の様な屑転回が困難で、実質的にできないとい
う問題も解消され、薄肉化ともあいまってコストの低減
も計れる。接合部品へのZn基合金である接合用材料の
被覆法は、フラックスを用いる溶融めっき、或いは超音
波を併用する溶融めっき等が経済的にも有利である。ま
た被処理材をジンケート処理した後、溶融めっきしても
良い。
【0010】本発明接合用材料のAlの添加は、溶融Z
nの酸化を防止し、融点を下げ、溶融めっき及び接合作
業を容易にすると共に、結晶粒の微細化による強度改
善、接合強度の向上のためであり、Alの添加量を0.
5〜5.0wt%と限定したのは、0.5wt%未満ではこ
れらの効果が不十分であり、5.0wt%を超えると溶融
Znの酸化防止及び強度向上の点では良好なるも、融点
が上昇してZn基合金の広がり性を劣化させ、接合作業
性を悪くするためである。
【0011】Snの添加は、接合用材料としてのZn基
合金の融点を下げ、広がり性、溶融めっき性及び接合性
を改善するためであり、Snの添加量を1.5〜10.
0wt%と限定したのは、1.5wt%未満ではこれらの効
果が不十分であり、10.0wt%を越えると前記特性に
優れるも、強度が弱くなってしまうためである。
【0012】Cuの添加は、接合用材料であるZn基合
金とAl又はAl合金材との濡れ性を改善し、強度を向
上するためであり、Cuの添加量を5wt%以下と限定し
たのは、5wt%を越えると融点が上りすぎ、接合作業性
を悪くするためである。
【0013】Tiの添加は、接合用材料であるZn基合
金の酸化防止、Al又はAl合金材との濡れ性改善及び
色合いの変化を防止するためであり、Tiの添加量を
0.5wt%以下と限定したのは、0.5wt%を越えると
融点が上がりすぎ接合作業性を悪くするためである。
【0014】また本発明接合方法において、接合温度を
440〜510℃としたのは次の理由によるものであ
る。接合用材料であるZn基合金の融点は概ね410℃
以下であるが、440℃未満ではZn基合金の広がり
性、濡れ性が確保できず、健全な接合ができにくいため
である。また510℃を越えると、オーバーヒートとな
り、接合部にブローホール等の欠陥ができ易くなると共
に、必要以上の加熱はエネルギーコスト的にも不利とな
るためである。尚Zn基合金の融点(液相点)は360
〜430℃の範囲であることが望ましい。
【0015】
【実施例】以下本発明を実施例について説明する。JI
S1100(Al−0.12wt%Cu)合金を用いて熱
間押出しにより多穴チューブを形成した後、超音波を併
用して表1に示す組成を持つZn基合金を、該チューブ
の外側に約30〜40μmの厚さに被覆し、蛇行状に曲
げ、その間にコルゲート加工を施したJIS3003
(Al−0.15wt%Cu−1.1wt%Mn)合金から
なるフィン材を挟み、表1に示す温度で接合し、図1に
示すサーペンタイン型コンデンサを組立てた。図におい
て(1)はチューブ、(2)はフィンを示す。次に比較
としてフィンにブレージングシート(皮材はJIS40
45(Al−10wt%Si)合金ろう材)を使用した従
来法により、同様のサーペンタイン型コンデンサーを組
立て健全な接合部が得られる接合温度を上記本発明例と
比較した。尚これら押出チューブへのZn基合金の被覆
温度は接合温度と同じ温度で行った。
【0016】
【表1】
【0017】本発明例によれば、Al−Si系合金ろう
材を用いる従来例によるろう付けに比し、約100〜1
50℃低い温度で接合することができる。またコンデン
サ形成後、チューブとフィンの接合部の健全性を調べた
結果、接合不良等欠陥のない接合が得られていることが
確認された。
【0018】以上コンデンサを例に説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、プレートとチューブ
の根付け、ラジエータコアのフィンとチューブ等アルミ
製熱交換器部品一般の接合に適合できるものであること
は言うまでもない。
【0019】
【発明の効果】このように本発明によれば、アルミ製熱
交換器の接合温度を低くすることができ、部品の薄肉化
が可能となり、特に接合用材料であるZn基合金がチュ
ーブ材に比し電気化学的に卑であるところからチューブ
材に対して犠牲作用を有するため、チューブ材の穴あき
腐食に対する長期信頼性を確保することができる等工業
上顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】サーペンタイン型コンデンサーを示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 チューブ 2 フィン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/28 C22C 18/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al0.5〜5.0wt%、Sn1.5〜
    10.0wt%を含有し、又は更にCu5wt%以下、Ti
    0.5wt%以下のうち1種又は2種を含有し、残部Zn
    からなることを特徴とするアルミ製熱交換器部品の接合
    用材料。
  2. 【請求項2】 Al0.5〜5.0wt%、Sn1.5〜
    10.0wt%を含有し、又は更にCu5wt%以下、Ti
    0.5wt%以下のうち1種又は2種を含有し、残部Zn
    からなる接合用材料を用い、Al又はAl合金からなる
    接合部品の一部又は全体を440〜510℃に加熱して
    接合することを特徴とするアルミ製熱交換器部品の接合
    方法。
  3. 【請求項3】 Al0.5〜5.0wt%、Sn1.5〜
    10.0wt%を含有し、又は更にCu5wt%以下、Ti
    0.5wt%以下のうち1種又は2種を含有し、残部Zn
    からなる接合用材料を、Al又はAl合金からなる接合
    部品の少なくとも一部に被覆した後、接合部品の一部又
    は全体を440〜510℃に加熱して接合することを特
    徴とするアルミ製熱交換器部品の接合方法。
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