JP3161079B2 - 人体局部洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この出願の発明は、人体局部
洗浄装置に関し、特に洗浄ノズルが水圧と戻しバネとに
より洗浄位置と収納位置との間を往復変位される人体局
部洗浄装置における洗浄終了時のシリンダ内洗浄水の排
水構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の従来技術としては、例えば、特
開昭６３−２４１２３１号公報に開示されたものがあ
る。この人体局部洗浄装置においては、洗浄時は３ポー
ト２位置切換弁よりシリンダの入口と温水タンクとを連
通させると共に、シリンダの入口とドレンポートとを遮
断し、シリンダ内の洗浄ノズルは水圧により戻しバネに
抗して作用位置へ変位され、洗浄水が洗浄ノズルから噴
出する。

【０００３】洗浄終了時は切換弁により温水タンクへの
流路を閉じると共に、シリンダの入口とドレンホースと
を連通し、洗浄ノズルは戻しバネによりシリンダ内の残
留洗浄水をドレンホースへ押し流しながら収納位置へ戻
る。ドレンホースは上記残留洗浄水を便器内へ導く。

【０００４】また、上記公報には記載されていないが、
切換弁内やシリンダへの流路内の冷えた残留水は、洗浄
時に洗浄ノズルが洗浄位置へ変位するまでの行程にて排
出通路から便器内へ排出するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ドレンホース
は一般的に小径のものであり、上記切換弁の配置等の影
響により一般的に屈曲した状態に配置される。そのた
め、ドレンホースの末端開口から内部に空気が入り難
く、洗浄終了時にドレンホース内の残留水が完全に排出
されるまでに時間がかかり、便器内の汚物を流出させた
後にドレンホースから残留水が便器内へ滴るため、この
滴音が使用者に不快感を与えると言う問題があった。

【０００６】また、切換弁内やシリンダへの流路内の冷
えた残留水は、洗浄時に洗浄ノズルが洗浄位置へ変位す
るまでの行程にて排出通路から便器内へ排出するため、
ノズルの前進速度が遅くなり、シリンダへの洗浄水の供
給開始時点から洗浄ノズルが洗浄位置に到達するまでの
ロス時間となる。よって使用者の洗浄開始操作に対する
応答性が悪いと言う問題があった。

【０００７】本出願は上記の問題を解決することを技術
的課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るため、請求項１の発明は、給水源と、該給水源からの
洗浄水を貯蔵する温水タンクと、該温水タンクへの洗浄
水の供給を制御する開閉弁と、洗浄位置と収納位置との
間で変位可能に支持され、温水タンクから供給される洗
浄水を噴出する洗浄ノズルと、前記温水タンクから前記
洗浄ノズルへ洗 浄水を導く流路に設けられ、洗浄ノズル
と連通する流路を前記温水タンクとドレンポートとに択
一的に切換える切換弁と、前記切換弁の前記ドレンポー
トから流出する洗浄水を便器内へ導く樋部材と、前記ド
レンポートと前記樋部材の間が大気開放であることを特
徴とする。

【０００９】

【作用】請求項１の発明では、切換弁のドレンポートか
ら流出する残留水を、ドレンポートと前記樋部材の間が
大気開放された樋部材により便器内に導くもので、ドレ
ンポート、樋部材への空気の侵入が自由であるため、残
留水は便器内の汚物の排出が完了するまでの間に速やか
に便器内へ放出されるので、不快な滴音は解消する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付した図面に基
づいて詳細に説明する。

【００１１】図１において、人体局部洗浄装置１０は、
便器１１の後方上端面に配設されるケーシング１２を備
えており、ケーシング１２には便座１３および便蓋１４
の後端部が回動可能に配設されている。

【００１２】人体局部洗浄装置１０は、適温の洗浄水を
噴出して肛門もしくはビデ洗浄を行う洗浄装置１５、温
風を噴き出して洗浄後の局部を乾燥させる温風乾燥装置
（図示省略）、便座１３を所望の温度に温める暖房便座
装置等が配設されている。ケーシング１２内の制御装置
（図示省略）は、トイレ壁面（図示省略）に備えるリモ
コン装置（図示省略）を有するようになっている。また
リモコン装置からの光信号を受ける受光部を有し、受光
した光信号に応じて洗浄装置１５等を作動させる。図
２、図３を参照すると、給水源２０には流路２１を介し
て肛門洗浄用ノズル３１、ビデ洗浄用ノズル３２が連結
されている。流路２１上には上流側（給水源側）より図
示しない止水弁等が配設され、開閉弁２２、流量調整弁
２３、温水タンク２４、切換弁２５が配設されている。

【００１３】温水タンク２４内には、図示しないヒータ
が内設されている。加熱された洗浄水の温度を図示しな
いサーモセンサにより検知し、検知された洗浄水の温度
を電気信号として、図示しない制御装置に伝達する。制
御装置は、サーモセンサからの信号に応じて、適宜、ヒ
ータへの通電を断続して、サーモセンサにより検知され
た洗浄水の温度を一定に保つようになっている。また、
温水タンク２４の上方には一体的に給水口（図示省略）
と流入管（図示省略）および弁２７ａ（図５）からなる
バキュームブレーカ２７（図５）が配設されている。

【００１４】図５のバキュームブレーカ２７の上には排
水通路２８が設けてあり、その排水通路２８はネジにて
取り付けられている。排水通路２８の先端には穴２８ａ
が形成され、バキュームブレーカ２７の弁２７ａから流
出した洗浄水は、切換弁２５に形成された穴２５ｃへ流
入する。切換弁２５は、２つの電磁弁２６ｃ、２６ｃ１
より構成される。その電磁弁２６ｃ、２６ｃ１は、３ポ
ート２位置切換弁の電磁弁（以下、三方向電磁弁）から
なっており、肛門洗浄用の洗浄ポート２６ａおよびドレ
ンポート２６ｂと、ビデ洗浄用の洗浄ポート２６ａ１お
よびドレンポート２６ｂ１とから構成されている。

【００１５】洗浄用ポート２６ａ，２６ａ１は、流路２
１ａ、２１ａ１を介して肛門洗浄用ノズル３１、ビデ洗
浄用ノズル３２と連通している。ドレンポート２６ｂ、
２６ｂ１は、後述する樋部材３３を介して樋部材４０へ
残留水が流動するように設けられている。 樋部材３３
は、図４に示す如く溝状水路３３ａ、３３ａ１、および
ポート３３ｂ、３３ｂ１から構成される。ドレンポート
２６ｂ、２６ｂ１と樋部材３３の間は大気開放されてい
て、肛門洗浄用ノズル３１、ビデ洗浄用ノズル３２およ
び三方向電磁弁２６ｃ、２６ｃ１に残った残留水は、樋
部材３３の溝状水路３３ａ、ポート３３ｂ、又は溝状水
路３３ａ１、ポート３３ｂ１を流動し、樋部材４０に 誘
導される。肛門洗浄用ノズル３１またはビデ洗浄用ノズ
ル３２は、各々のシリンダ３０内に洗浄位置と収納位置
との間に変位可能に支持されており、水圧と戻しバネ
（図示省略）とにより往復変位するように配設されてい
る。 各々のシリンダ３０には、図２に示す如く樋部材４
０が設けられている。樋部材４０は、樋部材３３のポー
ト３３ｂ、又は３３ｂ１から残留水を受ける位置に設け
られる。樋部材４０の溝の深さは約１０ｍｍに形成され
ている。

【００１６】図２には肛門洗浄用ノズル３１だけでビデ
洗浄用ノズル３２を記載していないが、ビデ洗浄用ノズ
ル３２を支持したシリンダ３０側にも同様に樋部材４０
が形成されている。肛門洗浄用ノズル３１またはビデ洗
浄用ノズル３２は水圧駆動に限定されず、電気モーター
駆動等であっても良い。次に本実施例の作動を詳細に説
明する。

【００１７】人体局部洗浄装置１０の使用時に図示しな
い操作スイッチがオンされると制御装置により開閉弁２
２および流量調整弁２３が開かれて給水源２０から吐出
された洗浄水が、圧力調整弁により所定の圧力まで減圧
された後、流路２１を通って温水タンク２４に圧送され
るとともに温水タンク２４内に流入される水圧により弁
２７ａが上昇してバキュームブレーカ２７内を密にす
る。温水タンク２４に水圧が圧送された時、この水圧
は、図示しないヒータにより温められた洗浄水を押し出
す。

【００１８】肛門洗浄時は、肛門洗浄用ノズル３１用の
三方向電磁弁２６ｃの洗浄ポート２６ａと温水タンク２
４とが連通となり、流路２１ａを通じてケーシング１２
内に延在している肛門洗浄用ノズル３１を経て洗浄水が
噴出する。 使用後に操作スイッチがオフされると開閉弁
２２が閉じられ、温水タンク２４内の給水圧はなくな
る。それに伴ってバキュームブレーカ２７の弁２７ａは
自重により下降する。三方向電磁弁２６ｃは洗浄ポート
２６ａとドレンポート２６ｂとが連通状態となる。更に
肛門洗浄用ノズル３１は戻しバネによりシリンダ３０ 内
に収納される。 この時、肛門洗浄用ノズル３１により押
し戻される残留水は、シリンダ３０と肛門洗浄用ノズル
３１との隙間から少量排出されると共に、ドレンポート
２６ｂを通じて樋部材３３の溝状水路３３ａ、ポート３
３ｂを流動し、樋部材４０へ誘導されて速やかに便器１
１内に排出される。 また肛門洗浄用ノズル３１収納後
は、ドレンポート２６ｂから空気が自由に侵入する為、
ドレンポート２６ｂからシリンダ３０までの流路２１ａ
に残った残留水は、シリンダ３０の先端から速やかに便
器１１内に排出される。 切換弁２５がビデ洗浄時には、
三方向電磁弁２６ｃ１の洗浄ポート２６ａ１が開とな
り、流路２１ａ１を通じてケーシング１２内に延在して
いるビデ洗浄用ノズル３２を経て噴出する。

【００１９】使用後は開閉弁２２が閉じられ、温水タン
ク２４内の給水圧はなくなり、それに伴ってバキューム
ブレーカ２７の弁２７ａは自重により下降し、三方向電
磁弁２６ｃ１は洗浄ポート２６ａ１とドレンポート２６
ｂ１とが連通状態となる。更にビデ洗浄用ノズル３２は
戻しバネによりシリンダ３０内に収納される。 この時、
ビデ洗浄用ノズル３２により押し戻される残留水はシリ
ンダ３０とビデ洗浄用ノズル３２との隙間から少量排出
されると共に、ドレンポート２６ｂ１を通じてビデ洗浄
側の樋部材３３の溝状水路３３ａ１、ポート３３ｂ１か
ら樋４０へ流動して速やかに便器１１内に排出される。
ビデ洗浄用ノズル３２収納後は、ドレンポート２６ｂ１
から空気が自由に侵入する為、ドレンポート２６ｂ１か
らシリンダ３０までの流路２１ａ１に残った残留水は、
シリンダ３０の先端から速やかに便器１１内に排出され
る。 また、温水タンク１１内で温水沸き上り時に体積膨
張した水は、バキュームブレーカ２７の弁２７ａより流
出し、排水通路２８を通り三方向電磁２５の穴２５ｃを
通じて樋部材３３、樋部材４０を介して、便器１１内に
排出される。

【００２０】

【発明の効果】以上述べたように、請求項１の発明で
は、切換弁のドレンポートから流出する残留水をドレン
ポートと樋部材の間が大気開放大気開放された樋部材に
より便器内へ導くもので、ドレンポート、樋部材への空
気の侵入が自由であるため、ドレンポートからの流出残
留水は便器内の汚物の流出が完了するまでの間に速やか
に便器内へ排出される。よって不快な滴音は解消され、
使用者の洗浄開始操作に対する応答性が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる人体局部洗浄装置の外観斜視図
である。

【図２】本発明に適用された排出手段の部分詳細図であ
る。

【図３】本発明に係わる一実施例のシステム図である。

【図４】本発明に係わる樋部材の正面図である。

【図５】本発明に係わるバキュームブレーカの排水通路
の上面図である。

【符号の説明】

１０ 人体局部洗浄装置 １１ 便器 １２ ケーシング １３ 便座 １４ 便蓋 １５ 洗浄装置 ２０ 給水源 ２１ 流路 ２１ａ 流路 ２１ａ１ 流路 ２２ 開閉弁 ２３ 流量調整弁 ２４ 温水タンク ２５ 切換弁２５ｃ 穴 ２６ａ 洗浄ポート ２６ａ１ 洗浄ポート ２６ｂ ドレンポート ２６ｂ１ ドレンポート ２６ｃ 三方向電磁弁 ２６ｃ１ 三方向電磁弁 ２７ バキュームブレーカ ２７ａ 弁 ２８ 排水通路 ２８ａ 穴 ３０ シリンダ ３１ 肛門洗浄用ノズル（洗浄ノズル） ３２ ビデ洗浄用ノズル（洗浄ノズル） ３３ 樋部材３３ａ 溝状水路 ３３ａ１ 溝状水路 ３３ｂ ポート ３３ｂ１ ポート ４０ 樋部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−87044（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−315532（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03D 9/08

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給水源と、 該給水源からの洗浄水を貯蔵する温水タンクと、該温水タンクへの洗浄水の供給を制御する開閉弁と、 洗浄位置と収納位置との間で変位可能に支持され、温水
   タンクから供給される洗浄水を噴出する洗浄ノズルと、 前記温水タンクから前記洗浄ノズルへ洗浄水を導く流路
   に設けられ、洗浄ノズルと連通する流路を前記温水タン
   クとドレンポートとに択一的に切換える切換弁と、 前記切換弁の前記ドレンポートから流出する洗浄水を便
   器内へ導く樋部材と、 前記ドレンポートと前記樋部材の間が大気開放であるこ
   と を特徴とする人体局部洗浄装置。