JP3156124B2 - 豆乳の製造方法 - Google Patents

豆乳の製造方法

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JP3156124B2 JP1615397A JP1615397A JP3156124B2 JP 3156124 B2 JP3156124 B2 JP 3156124B2 JP 1615397 A JP1615397 A JP 1615397A JP 1615397 A JP1615397 A JP 1615397A JP 3156124 B2 JP3156124 B2 JP 3156124B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は豆乳の製造方法に関
し、より詳しくは、アルコールを用いた豆乳の製造方
法、あるいは、アルコールを用いた減圧蒸留によって濃
縮された豆乳の製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】豆乳は、大豆等の豆を
原料として作られ、飲料、豆腐、あるいはその他の製品
の生産に広く用いられている。通常の製品生産に直接利
用される豆乳は、水分含量が多く、豆から抽出された各
種栄養分を豊富に含むため、腐敗しやすい。従って、豆
乳の保管あるいは運搬は困難である。さらに豆乳製造ま
での工程においては各種の廃棄物が発生し、その処理に
ついては、汚染排水の処理の問題とともに豆腐等製造工
場などの製品生産場の負担となっている。
【0003】従来、通常の製品製造に直接用いられる豆
乳より固形分の含有量の高い豆乳を作る方法が、保管あ
るいは運搬に容易な豆乳を製造する方法としていくつか
提案されている。
【0004】固形分の含有量の高い豆乳は、常法により
作った豆乳を減圧蒸留、フラッシュ乾燥、あるいは逆浸
透膜の使用等々によって濃縮して製造することができ
る。フラッシュ乾燥や浸透膜の使用等の方法は濃縮コス
トが大きくて好ましくない。減圧蒸留は固形分の含有量
の高い豆乳を工業的につくる場合、コスト面では望まし
い方法である。
【0005】しかしながら、従来の減圧蒸留法によれば
次の問題があった。すなわち、蒸留初期における発泡お
よび蒸留時における雑菌増加の問題である。蒸留初期に
おける激しい発泡により、蒸留機の出口が塞がれ、気液
の分離が困難となって蒸留を進めることが出来なくな
る。また、蒸留中に増加する雑菌は豆乳を腐敗させて変
質させるため、後工程において殺菌処理を行っても、も
はやその豆乳を元の風味に戻すことは出来ないのであ
る。
【0006】本発明の目的は、腐敗しにくく、長期保管
あるいは運搬によっても良好な品質を保つ豆乳を製造す
ることである。このような豆乳の製造が可能となれば、
豆乳の供給業者が一括して豆乳を豆腐等製造工場などの
製品生産場に納入して、所望の時に所望の量を用いて、
製品の迅速な生産ができるようになる。
【0007】本発明の別の目的は、豆乳製造までの工程
で発生する、各種の廃棄物や汚染排水の処理について、
豆腐等製造工場などの製品生産場の負担をなくすこと、
および供給する豆乳の品質を豆乳供給業者が管理するこ
とにより、豆腐等の豆乳を原料として生産される製品の
品質の安定化に寄与することを目的とする。
【0008】本発明のさらに別の目的は、豆乳製造まで
に発生する廃棄物の量を減らし、効率よく豆乳を製造す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、腐
敗しにくい豆乳の製造および廃棄物の発生の少ない効率
のよい豆乳の製造に関し検討を重ねた。さらに、発泡が
少なく雑菌の増加を抑制する豆乳の減圧蒸留法に関し、
鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】本発明の豆乳の製造方法は、呉にアルコー
ルを添加する工程、及び得られた混合物を濾過しておか
らを分離除去する工程を含む。
【0017】又、本発明の豆乳の製造方法は、豆を磨砕
して呉を得る工程、該呉を濾過しておからを分離除去し
て豆乳の液を得る工程、及び該豆乳の液を減圧蒸留によ
り濃縮する工程を含み、製造のいずれかの工程におい
て、該豆あるいは該豆を含む混合物にアルコールを添加
することを特徴とする。ここで、「豆あるいは豆を含む
混合物」とは、そのままの乾燥豆、その粉砕物、磨砕前
の豆と水との混合物、呉、および豆乳あるいはそれらの
等価物を含む用語である。本発明の「呉」は、乾燥豆の
粉砕物に水を加えた液状物、乾燥豆あるいは水に浸漬し
た豆を磨砕して得られる液状物、あるいはそれらの等価
物を含む。
【0018】別の好ましい態様では、本発明の豆乳の製
造方法は、豆をアルコールの存在下で磨砕して呉を得る
工程、得られた混合物を濾過しておからを分離除去する
工程、および得られた液体を減圧蒸留により濃縮する工
程を含む。
【0019】
【0020】さらに別の好ましい態様では、本発明の豆
乳の製造方法は、豆を磨砕して得られる呉に、あるいは
豆を粉砕して得られる大豆加工物から調製される呉にア
ルコールを添加する工程、得られた混合物を濾過してお
からを分離除去する工程、および得られた液体を減圧蒸
留により濃縮する工程を含む。
【0021】
【0022】さらに別の好ましい態様では、本発明の豆
乳の製造方法は、呉を濾過しておからを分離除去する工
程、得られた液体にアルコールを添加する工程、および
得られた液体とアルコールの混合液を減圧蒸留により濃
縮する工程を含む。
【0023】別の好ましい態様では、本発明の豆乳の製
造方法は、呉を濾過しておからを分離除去する工程、得
られた液体を加熱処理する工程、および加熱処理液にア
ルコールを添加する工程、および得られた混合液を減圧
蒸留により濃縮する工程を含む。あるいは加熱処理はア
ルコールを添加してから行なってもよいし、濾過までの
いずれかの工程で行なってもよい。
【0024】好ましくは、上記アルコールはエチルアル
コールである。
【0025】好ましくは、上記アルコールの添加量は3
乃至30重量%である。
【0026】本発明の用語「豆乳」は、原料の豆を磨砕
して得られる呉を例えば濾布などで濾過して、おからを
分離除去した後の液状物をいう。本発明の豆乳には、加
熱処理されたもの、加熱処理されていないもの、および
アルコール分を含有するもののいずれもが含まれる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に用いるアルコールは、食
品添加物の形で添加される。特にエチルアルコールが好
ましく用いられる。食品添加用エチルアルコールとして
市販されている物、あるいは、アルコール製剤として市
販されている物等々を用いることが出来る。添加される
量は、呉あるいは豆乳などの豆を含む混合物に、アルコ
ールとして、約3%以上、特に3%から30%が好まし
く、10%から20%がさらに好ましい範囲である。3
%より少なければ腐敗を防ぐ効果あるいは減圧蒸留の際
に発泡や雑菌の増加を抑制する効果が小さい。さらに、
呉の段階でアルコールが含まれていれば、得られる豆乳
の収量も増加する。アルコールの添加量に特に上限はな
いが、約20%を越えると腐敗菌は死滅し、また約30
%を越えると一般生菌数はあまり減少しないことから、
それ以上添加する意味がなくなり、その一方で、アルコ
ールの添加量が増えるとアルコールのコストが高くなり
過ぎる等の問題が生ずる。
【0028】アルコールは、豆磨砕後の呉に添加される
のが好ましいが、豆磨砕前に添加されてもよい。アルコ
ールの添加によっておからの量が減少し、豆乳の収量が
増加する。さらに市販の粉砕豆や脱脂粉砕豆に添加して
もよい。
【0029】アルコールはおからを分離除去した豆乳に
添加されてもよい。この豆乳は、熱処理をしていない生
しぼり豆乳であっても熱処理後の加熱処理豆乳であって
もよい。さらに粉末状の豆乳の乾燥物などを用いて得ら
れた豆乳であってもよい。
【0030】アルコールの添加は、一括して行われても
よいし、豆乳を製造する様々な段階で少量ずつ加えら
れ、最終的に3%から30%の範囲内になってもよい。
アルコールを含有するこれらの豆乳は、雑菌の増加が抑
えられて腐敗しにくいため、長期の保存あるいは運搬を
行っても、良好な品質を保持する。
【0031】アルコールは、減圧蒸留後に回収され、ふ
たたび豆を含む混合物、呉あるいは豆乳に加えることも
可能である。
【0032】本発明で用いる豆は、様々な種類の豆であ
り得る。例えば、グリンピース、小豆、枝豆、えんどう
豆、あるいは大豆等が含まれる。本発明で用いる豆は、
好ましくは大豆である。さらに豆を粉砕した乾燥品、あ
るいは粉末状にしたものなども好ましく用いられる。
【0033】呉は通常の工程で製造されてもよいし、ア
ルコールの存在下において製造されてもよい。すなわ
ち、豆を粉砕した加工物に水を加えて呉を得られうる。
あるいは、原料となる豆を精選し、水に浸漬し、磨砕し
て呉を得ることもでき、アルコールの存在下で磨砕して
呉を得ることもできる。得られた呉にアルコールが存在
すれば、おからと分離した後、効率的に豆乳が製造され
る。
【0034】本発明のアルコールを含む豆乳は、上記の
ようにして得られうる。さらに、本発明のアルコールを
含む豆乳は、粉末状の豆乳加工品に水およびアルコール
を加えることによっても得られるし、アルコールが存在
しない状態で製造された豆乳にアルコールを添加するこ
とによっても得られうる。豆乳は、生しぼり豆乳でも加
熱変性豆乳でもよい。加熱変性は、豆乳として得られた
液を加熱することによっても可能であるし、豆乳製造の
いずれかの過程において加熱工程をいれることによって
も達成される。アルコールを含む豆乳は、腐敗しにくい
ため、そのままでも保存および運搬に耐えうる。従っ
て、従来の豆乳製造に必須の工程であった殺菌工程は、
省略され得る。
【0035】本発明のアルコールを含む豆乳は、凍結し
て保存あるいは運搬を行ってもよい。この場合、凍結前
の加熱変性処理は省略することが好ましい。加熱変性に
より、豆乳の解凍後に均一な液状となりにくく、固体が
分離しうるからである。
【0036】本発明のアルコールを含む豆乳は、さらに
減圧蒸留によって濃縮され、固形分含有量の高い豆乳が
製造されうる。
【0037】加熱変性豆乳にアルコールを添加すれば、
減圧蒸留の初期における激しい発泡を抑止出来るので、
減圧蒸留をスムーズに進行させることが出来るし、雑菌
の増加程度も減少させることができる。加熱変性によっ
て豆乳中の蛋白質が変性し、ゲルが生じやすくなって減
圧蒸留を妨げるので、出来るだけゲルが発生しないよう
に、加熱変性条件を設定しなければならない。
【0038】生しぼり豆乳にアルコールを添加して減圧
蒸留すれば、特に顕著な効果を得ることが出来る。すな
わち、減圧蒸留の初期における激しい発泡を抑止し、雑
菌の増加を減少させることが出来る。雑菌の増加は、加
熱変性豆乳を用いた時と同程度にまで抑えることが出来
る。さらに加熱変性豆乳と比べて、ゲルが発生しにくい
ため減圧蒸留がやり易いし、濃縮した豆乳を凍結して再
び解凍した時も均一な液状に戻るという利点がある。
【0039】本発明でいう生しぼり豆乳とは、乾燥豆ま
たは水を吸った豆を適切な量の水と共に粉砕して得られ
る乳ダク状物から、適当な濾過を行っておからを分離除
去したあとの液状物を意味する。殺菌及び蛋白質変性の
ための熱処理は行われていない。
【0040】豆磨砕前あるいは豆磨砕時にアルコールを
添加するか豆磨砕後の呉の状態の時にアルコールを添加
して、濾過した後、おからを分離除去して得た豆乳を減
圧蒸留すれば、さらに顕著な効果を得ることが出来る。
すなわち、蒸留の初期における発泡は抑制され、雑菌の
増加も抑えられる。
【0041】濾過の方法は特に限定されない。好ましく
は、濾布を用いて呉を搾り、豆乳を得る。その他の方法
もアルコールを含んだ状態で濾過する場合などにその条
件に耐えれば、採用され得る。
【0042】減圧蒸留の条件は特に限定されないが、2
0〜50℃、30〜200mmHgの条件で行うのが好
ましく、30〜40℃、50〜100mmHgで行うの
が特に好ましい。減圧蒸留によって、容積を1/2から
1/5に濃縮すれば、固形分が10%から50%までの
濃縮された豆乳を得ることが出来る。ここで、固形分と
は、食品分析あるいは品質評価にあたって、多水分食品
中の水分を蒸発除去した残留物をいう。固形分(%)
は、100−水分(%)により求められ得る。水分
(%)は、例えば、赤外線水分計FD−230〔ket
t〕により、加熱温度を105℃前後として測定されう
る。
【0043】濃縮された豆乳は加熱変性された後、用途
に合わせて希釈されて使用される。例えば、固形分が2
0%の豆乳を2.5倍に希釈して固形分を8%に調節し
てから、通常の方法で豆腐を製造することが出来る。あ
るいは、高濃度の醤油を製造する場合には、希釈をしな
いで20%固形分のままで用いることが出来る。この
他、味噌等の大豆醸造食品や飲料等々、各種の用途に対
しても、適当な倍率の希釈を行って使用することができ
る。
【0044】本発明の固形分含有量の高い豆乳は凍結し
て保存されてもよい。凍結された豆乳は長期の保存が可
能となり、所望の時に所望の量を用い得るため、迅速な
製品製造に寄与しうる。すなわち、凍結された豆乳を解
凍し、用途に合わせた倍率に希釈することによって、従
来の豆乳を用いたのと同じ品質の製品を迅速に製造する
ことができるのである。生しぼり豆乳を原料とした豆乳
は、凍結および解凍の工程での変質が特に少ないので、
特に好ましく用いられる。製品生産に用いる前の加熱変
性は、豆乳の解凍後に行うのが好ましい。
【0045】減圧蒸留によって得られた豆乳の容積は、
通常生産に用いられる豆乳に比べ、1/2から1/5に
減少しているので、その保存や運搬が非常に楽になる。
凍結された豆乳の場合には、凍結の状態で使用者へ運
び、使用者が解凍して使用するようにするのが、雑菌の
繁殖を防止できるので好ましい使用方法である。冷凍倉
庫から冷凍車によって使用者に届けるのである。
【0046】代表的な豆乳の用途は、大豆を用いた豆腐
製造の原料である。例えば、凍結された豆乳が、必要に
応じて迅速に豆腐製造工場に配付されるようになれば、
豆腐製造者は至急の豆腐注文に対応できるようになる。
従来は、大豆から豆腐までの一貫した工程を豆腐製造者
が行っていたため、至急の注文に対応することが困難で
あった。さらに、豆乳の形で原料を入手できるようにな
れば、豆乳製造までの工程で発生する、おから等の廃棄
物や洗浄水等の汚染水の処理が不要となり、豆腐製造者
の負担は大幅に軽減されるようになる。さらに、廃棄物
あるいは汚水処理の工程が省かれることで、工場全体の
衛生状態が向上することになる。さらにまた、豆乳の原
料となる大豆は、豆乳の製造者が一括して品質を管理す
ることが出来るから、豆腐製造者は常に良品質の原料を
安定に入手することが出来るので、豆腐の品質も安定し
て向上することになる。しかも、豆腐は水質によっても
品質(旨み等)が左右されることから、良質の水源地に
濃縮豆乳の製造工場を設置することにより、豆腐の品質
も安定して向上することになる。
【0047】本発明において添加するアルコールは、減
圧蒸留において水と共沸して、水分の蒸留を促進する。
得られる濃縮豆乳の品質は良好である。アルコールの添
加によって、蛋白質等の溶解状態が変化し、粘性や表面
張力等の溶液物性が変化して、蒸留初期における発泡を
抑止する効果が得られるものと考えられる。なお、エチ
ルアルコールが残存する間は、その殺菌作用が作用して
雑菌の増加を防ぐことが出来る。
【0048】本発明の豆乳およびその製造方法では大豆
を用いた実施例を示すが、グリーンピース、小豆、枝
豆、えんどう等を用いて豆乳を製造することも可能であ
り、いずれも本発明の範囲に入るものである。また、法
律の改正等により、食品に添加することができるアルコ
ールの種類が追加された場合、追加されたアルコールあ
るいはその均等物は、本発明の範囲に入る。更に、本発
明の豆乳を用いて豆を主成分とする菓子を製造すること
も可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内
で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を
加えた態様で実施し得るものである。
【0049】
【実施例】次に、本発明に係る豆乳の製造方法について
の実施例及び比較例を説明する。なお、%は特に指定が
ない限り重量%を表わす。
【0050】実施例1、比較例1 豆磨砕後の呉の状態の時にアルコールを加えて、濾過を
行って得られるおからおよび豆乳の量を以下に示す。さ
らにその豆乳について細菌検査を行った結果を示す。比
較のため、アルコールを添加しない場合の豆乳の収量お
よび細菌検査の結果も示す。
【0051】まず、丸大豆を水洗いし、10〜15℃で
12〜16時間水に漬け、大豆100グラムに対し、水
700グラムになるように水を加えながら、磨砕し、呉
を得た。得られた呉をそのまま濾過しておからと豆乳と
に分離したものを比較例として得た。さらに、呉にエタ
ノール95(信和アルコール産業株式会社製)をエタノ
ール量を9.1%、13.0%、16.7%、および2
3.1%になるように添加した。その後濾布を用いて濾
過を行い、おからと豆乳とを分離した。得られたおから
と豆乳の量およびそれらの水分含有量等について表1に
示す。なお豆乳中の固形分測定および水分量測定は、赤
外線水分計FD−230〔kett〕を使用し、105
℃前後に加熱して行った。得られた豆乳の性状等につい
て、調べた。
【0052】さらに豆乳中に含まれる一般生菌数を調べ
た。調査方法は、検体10gに希釈水90mlを加え、
滅菌ストマッカー袋に入れてストマッカーで潰して、希
釈試料を調整した。そして、滅菌ピペットで各希釈液1
mlずつを採取して、同一希釈について2枚ずつ、滅菌
シャーレに分け入れた。次に、標準寒天培地を15〜2
0ml加えてよく混釈し、培地が固まるまで静置した。
その後、培地が固まった後、滅菌シャーレを倒置し、3
5℃の孵卵器にて48時間培養した。得られた標準寒天
培地について、30〜300個の範囲の寒天平板の集落
数を計測し、希釈倍数を乗じて検体1g当たりの一般生
菌数を算定した。
【0053】豆乳中に含まれる、デソキシコレート培地
で出現し生育する大腸菌群数も調べた。調査方法は、ま
ず、一般生菌数検査で調製した試料原液またはその10
倍段階希釈試料液をそのまま検査用試料液とした。これ
らのうちから1mlをそれぞれ2枚の滅菌シャーレにと
り、あらかじめ加温溶解して50℃に保温しておいたデ
ソキシコレート寒天培地15から20mlを注ぎ、十分
に混合した。培地が固まったら、その上に同培地を薄く
重層し、凝固後滅菌シャーレを倒置して孵卵器中、35
℃で24時間培養した。得られたデソキシコレート寒天
培地中に出現した赤色集落を一般生菌数の要領に従って
計測して大腸菌群数を算定した。
【0054】デソキシコレート培地で出現し生育する他
の細菌の数を調べた。まず、培地をデソキシコレート寒
天とし、培養時間を24時間とする他は、一般生菌の条
件と同じにして測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】実施例2および比較例2 丸大豆90グラムを水洗いし、13℃で15時間水に漬
け、水から引き上げた丸大豆に脱脂大豆10gを加え、
全体が800gになるまで水を加え、磨砕して呉を得
た。得られた呉に、あらかじめ中和し、pH7.5とし
たメイオール89(メルシャン株式会社)を重量で13
%になるように添加した。その後、濾布によって濾過を
行い、おからと豆乳とを分離した。
【0058】得られた豆乳775.2gのうち、575
gをナス型フラスコにとり、35℃にて100mmHg
で行った。減圧蒸留は発泡が少なかったため、スムーズ
に102.1gまで濃縮でき、固形分39.5%の濃縮
豆乳を得た。比較のため、エタノールを添加しないで濾
過を行い、得られた豆乳を減圧蒸留した。蒸留初期にお
ける発泡が激しく蒸留に時間がかかったが、固形分3
9.1%まで濃縮をした。蒸留のし易さと生成した濃縮
豆乳に対する官能評価結果と細菌の増加を抑制する効果
を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】実施例3、比較例3 生しぼり豆乳(固形分19%)1020gに食品添加物
のエタノール95を、エタノール成分として15%にな
るように添加して減圧蒸留を行った。減圧蒸留は35
℃、100mmHgで行ったが、発泡が少なかったの
で、約1/2の容量にまでスムーズに濃縮できた。比較
のため、エタノールを添加しないで同様の減圧蒸留を行
ったところ、蒸留初期の発泡が激しくて、豆乳が蒸留物
と共に冷却部まで出てくるので、減圧蒸留が非常にやり
にくかった。このため、減圧度を200mmHgまで下
げて発泡を抑える方法でゆっくり濃縮を行った。
【0061】本実施例3及び比較例3の比較を表4にま
とめた。各評価項目の測定方法は次の通りである。
【0062】菌1として、一般生菌数を調べた。調査方
法は、検体10gに希釈水90mlを加え、滅菌ストマ
ッカー袋に入れてストマッカーで潰して、希釈試料を調
整した。そして、滅菌ピペットで各希釈液1mlずつを
採取して、同一希釈について2枚ずつ、滅菌シャーレに
分け入れた。次に、標準寒天培地を15〜20ml加え
てよく希釈し、培地が固まるまで静置した。その後、培
地が固まった後、滅菌シャーレを倒置し、35℃の孵卵
器にて48時間培養した。得られた標準寒天培地につい
て、30〜300個の範囲の寒天平板の集落数を計測
し、希釈倍数を乗じて検体1g当たりの一般生菌数を算
定した。
【0063】菌2として、デソキシコレート培地で出現
し生育する他の細菌の数を調べた。まず、培地をデソキ
シコレート寒天とし、培養時間を24時間とする他は、
菌1の条件と同じにして測定した。
【0064】また、粘度はTOKIMEC VISCO
METERを使用して測定した。蒸留のし易さは目視判
断によった。評価基準として、蒸留しやすいを○、蒸留
しにくいを×、少し蒸留しにくいを△で表した。また、
香り、色、その他の品質については、官能評価によっ
た。豆腐の品質については、凍結濃縮豆乳を解凍して固
形分が11%になるように希釈し、凝固剤グルコノデル
タラクトン0.3%を加えて豆腐を作り、官能評価を行
った。
【0065】
【表4】
【0066】表4から明らかなように、エタノールを添
加することによって減圧蒸留が容易になるだけではな
く、蒸留前及び減圧蒸留時の、雑菌の増加を大幅に抑制
することが出来た。その結果として、濃縮豆乳の品質が
維持され、凍結保存されていた凍結濃縮豆乳を豆腐の原
料に用いることが出来ることも確認出来た。
【0067】実施例4、比較例4 固形分14%の生しぼり豆乳3000gに、エタノール
95をエタノール成分として18.7%になるように添
加し、35℃にて100mmHgの条件で、減圧蒸留に
よって固形分39%の豆乳を得た。本例の豆乳を希釈し
て固形分10%とし、121℃、10分間の加熱処理を
行った後、試飲評価を行った。固形分10%に調整され
た生しぼり豆乳との比較を行った結果、味、香り、色等
に変化が認められなかった。また、本例の豆乳を原料に
して豆腐を製造し試食を行ったところ、味、香り、色等
が良好で、生しぼり豆乳を原料とする豆腐と同等の品質
であった。
【0068】さらに、減圧蒸留によって得られた固形分
39%の濃縮豆乳を、−20℃で冷凍保存し、一週間後
に解凍して、固形分を10%になるように希釈した。こ
の後、121℃で10分間の加熱処理を行い、試飲評価
を行った。固形分10%に調整された生しぼり豆乳との
比較を行った結果、味、色、香り等に変化が見られなか
った。また、解凍後希釈した豆乳を原料として豆腐を製
造し試食を行ったところ、味、香り、色等が良好で、生
しぼり豆乳を原料とする豆腐と同等の品質であった。
【0069】実施例5〜12、比較例5 エチルアルコールの添加量を2.5%〜35%の範囲内
で変化させ、実施例3と同様の条件下において実験を行
った。その結果を表5に示す。エチルアルコールの添加
量が5%〜30%の範囲で、減圧蒸留がし易くなり、特
に、10%〜20%の範囲で良好であった。また、エチ
ルアルコールの添加量を5%以上とすれば、雑菌の増加
が大幅に抑えられることが、蒸留前豆乳においても濃縮
した豆乳においても確認することが出来た。エチルアル
コール無添加の比較例5と比較すれば明らかである。
【0070】
【表5】
【0071】実施例13、比較例6 蛋白質を変性するために熱処理された熱変性豆乳を用い
た実施例を説明する。固形分9%の豆乳を90℃、2時
間熱処理し、エチルアルコール15%を添加した試料お
よびアルコール無添加の試料を調整して、実施例3と同
様の条件下において減圧蒸留を行った。蒸留のし易さと
生成した濃縮豆乳に対する評価結果を表6に示す。生し
ぼり豆乳と同様に、熱変性豆乳でも発泡が抑えられて減
圧蒸留が容易になることが確認された。また、生成した
濃縮豆乳の香り、色、その他の品質は、従来の豆乳と同
等の品質であった。
【0072】
【表6】
【0073】実施例14 呉を得る前に、試料にアルコールを加えて、豆乳を得た
実施例を説明する。まず、丸大豆300gに水2550
gを加え、カッターミキサーで荒くつぶす。この破砕懸
濁液に89%エタノールを450g加え、豆乳製造用グ
ラインダーですりつぶし、呉を得た。
【0074】その後、濾布によって濾過を行い、おから
と豆乳とを分離した。得られた豆乳2370gを、ナス
型フラスコにとり、減圧蒸留を行った。427gまで濃
縮して固形分36.6%の濃縮豆乳を得た。蒸留は、発
泡もなく、スムーズに行われた。
【0075】さらに、この豆乳を希釈して、固形分10
%に調整し、90℃達温の加熱処理を行った後、豆腐を
製造し試食したところ、味、香り、色等が良好であっ
た。
【0076】実施例15 市販の脱脂大豆(吉原製油株式会社製)80gに全体が
800gになるまで水を加え、磨砕して呉にし、濾布で
濾過を行い、おからと豆乳とを分離した。得られた豆乳
にエタノール95を13%になるように加えた。このう
ち、575gをナス型フラスコにとり、35℃、100
mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留は発泡が少なくス
ムーズに行われ、94.6gまでに濃縮でき、固形分5
0%の濃縮豆乳を得た。この豆乳を希釈して、固形分1
0%とし、90℃にて加熱処理を行った後、豆腐を製造
し、試食したところ、味、香り、および色等が良好であ
った。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、豆乳の製造の際にアル
コールを添加することによって豆乳の収量を増やし、お
からの発生量を減少させることが可能となる。さらに、
アルコールを含む豆乳は、雑菌の増加が抑制され、腐敗
しにくいため、保存や運搬に都合がよい。
【0078】さらに減圧蒸留により固形分の含量の高い
豆乳の製造によって、少ない容積の豆乳で保存あるいは
運搬を行って、所望の時に所望の量を用いて、製品を迅
速に生産することが可能となる。
【0079】豆乳製造の工程のいずれかの段階において
アルコールを添加することによって、減圧蒸留の初期に
おける激しい発泡を抑えることができるので豆乳の濃縮
をスムーズに行うことが出来る。さらに、減圧蒸留中の
雑菌の増加を抑止することが出来るので、豆乳の腐敗を
防ぎ、風味を維持することが出来る。その結果、品質の
よい豆乳を製造することが出来るようになる。
【0080】さらに、製品を生産する工場においては、
豆乳製造までの工程で発生する各種の廃棄物や汚染排水
の処理が不要になるため、製品生産の負担が大幅に軽減
される。またさらに、品質の管理された豆乳の供給を受
けることにより、豆腐、醤油、あるいはその他の豆乳を
原料とする最終製品の品質が安定化する効果がある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−114050(JP,A) 特開 昭58−162253(JP,A) 特開 昭50−116657(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/20 A23C 11/10 C12G 3/04

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 呉にアルコールを添加する工程、及び得
    られた混合物を濾過しておからを分離除去する工程を含
    むことを特徴とする豆乳の製造方法。
  2. 【請求項2】 豆を磨砕して呉を得る工程、該呉を濾過
    しておからを分離除去して豆乳の液を得る工程、及び該
    豆乳の液を減圧蒸留により濃縮する工程を含み、製造の
    いずれかの工程において、該豆あるいは該豆を含む混合
    物にアルコールを添加することを特徴とする豆乳の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記豆をアルコールの存在下で磨砕する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の豆乳の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記呉にアルコールを添加する工程を含
    むことを特徴とする請求項2又は3に記載の豆乳の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記呉を濾過して前記おからを分離除去
    して得られた前記豆乳の液にアルコールを添加すること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の豆乳の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項1から5までに記載のいずれ
    かの豆乳の製造方法であって、製造のいずれかの工程に
    おいて、加熱処理工程を含むことを特徴とする豆乳の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記アルコールがエチルアルコールであ
    ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の
    豆乳の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記アルコールの添加量が3乃至30重
    量%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか
    に記載の豆乳の製造方法。
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