JP3155739B2 - 前輪舵取り車両の前輪変速操作装置 - Google Patents
前輪舵取り車両の前輪変速操作装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前輪舵取り車両の前輪
駆動変速操作装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、前輪舵取り車両(例えば、トラク
タ−)は、ミッションケ−ス内の駆動機構からフロント
アクスルケ−ス側に動力伝達する前輪駆動系に増速切換
機構を設け、その増速切換機構を、前輪操舵機構及び前
記駆動機構の変速操作機構に連係させて、前輪操舵機構
が直進状態から設定角度以上に操向操作されると、前記
駆動機構が低速駆動状態のもとで増速切換機構が増速駆
動側に切換え作動されるように構成することにより、旋
回半径小の急旋回が行えて旋回性が優れるものにするこ
とが行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前輪
舵取り車両において前輪操舵機構が直進状態から設定角
度以上に操向操作されると、ミッションケ−ス側の駆動
機構が低速駆動状態のもとで増速切換機構が増速駆動側
に切換え作動されるように構成する為の、増速切換機構
の操作機構と前輪操舵機構と変速操作機構との連係構成
を、簡潔コンパクトでメンテナンスが容易であり、ま
た、安全性の高いものにすることである。 【0004】 【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成
するため、ミッションケ−ス内の駆動機構からフロント
アクスルケ−ス側に動力伝達する前輪駆動系に増速切換
機構を設け、この増速切換機構の伝動体勢切換具を操作
機構によって前輪操舵機構に連係させて、前輪操舵機構
が直進状態から設定角度以上に操向操作されると増速切
換機構が増速駆動側に切り換え作動されるように構成す
る前輪舵取り車両の前輪変速操作装置において、前記増
速切換機構をフロントアクスルケ−スから後方に延出す
る筒状ケ−シング内に設置し、その増速切換機構の伝動
体勢切換具である揺動ホ−クの支持軸を筒状ケ−シング
の後方寄り部位に配設する一方で、前輪操舵機構のピッ
トマンア−ム支持軸を筒状ケ−シングの後方位に配設
し、ピットマンア−ム支持軸と前記揺動ホ−クの支持軸
との間を、ピットマンア−ム支持軸の軸芯に沿う方向の
掛け外し動作で連係状態と非連係状態とに切り換えられ
る操作機構によって連係し、操作機構の前記掛け外し動
作を、駆動機構を低速駆動状態・高速駆動状態に切り換
える高低速切換レバ−及び増速切換機構を強制的に
「入」「切」する強制切換レバ−の切換動作に連動させ
て、増速切換機構の増速駆動が前記駆動機構の低速駆動
状態のもとで行われ、かつ、駆動機構が低速駆動状態に
あっても強制切換レバ−の切換により増速切換機構の増
速駆動解除が強制的に行われるようにしている。 【0005】また、上述の構成を備える前輪舵取り車両
の前輪変速操作装置において、前記操作機構に衝撃吸収
機構を設けることによって、増速切換機構の破損を防止
するようにしている。 【0006】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て具体的に説明する。図1において、トラクタ−(20
0)は、その前部に前輪(1)を、後部に後輪(2)を備
え、前輪(1)及び後輪(2)が共に以下に説明する駆動機
構によって駆動されるようになっている。 【0007】すなわち、図2に示す駆動系統図におい
て、(3)はエンジン、(4)は主クラッチ、(5)は主変速
装置、(6)は副変速装置、(7)は後輪デフ装置であり、
後輪デフ装置(7)のデフヨ−ク軸(8)は最終減速装置
(9)を介して各後輪(2)に連動連結される。なお、(1
0)は各デフヨ−ク軸(8)の外端部に設けられた後輪ブ
レ−キである。また、上記構成において、主変速装置
(5)、副変速装置(6)は、ミッションケ−ス(84a)内
に内蔵されている。 【0008】また、(11)は前輪駆動系を示し、この前
輪駆動系(11)は、ミッションケ−ス(84a)内の駆動
機構における副変速装置(6)に歯車列(12)および自在
継手(13)を介して連結した前輪駆動軸(14)と、フロ
ントアクスルケ−ス(21)に内蔵される前輪デフ装置
(15)と、前輪駆動軸(14)と前輪デフ装置(15)との
間に組み入れられる増速切換機構(201)とからなり、
前輪デフ装置(15)の各デフヨ−ク軸(16)は、歯車列
(17)を介して前輪(1)に連結され、また、前輪(1)は
キングピン廻りに操向動作可能となっている。 【0009】図3及び図4を参照して増速切換機構(2
01)の構成を詳細に説明すると、前輪デフ装置(15)
を内蔵し、かつ、ケ−ス揺動支持部(21a)によって左
右に揺動自在に支持されたフロントアクスルケ−ス(2
1)は、その後部に、後方に向けて延出した筒状ケ−シ
ング(20)の基端を突設しており、その筒状ケ−シング
(20)の中途部が、上端を機枠(22)に固定した軸受
(24)によって支持されている。 【0010】なお、機枠(22)の底部には、クラッチハ
ウジング(49、図7参照)と図示しないオイルパンとが
設けられており、筒状ケ−シング(20)は、これらに接
触しないように配設される。また、筒状ケ−シング(2
0)の内部には、前輪デフ装置(15)の受動歯車に噛合
するベベルギヤ(27)を前端に具備するピニオン軸(2
9)と、後端を自在継手(13)によって前輪駆動軸(1
4)と連動連結した増速切換機構の入力軸(30)とを前
後直列に同芯に配設している。 【0011】そして、増速切換機構の入力軸(30)に相
対回転自在に中間回転筒(31)が被嵌装着され、さら
に、中間回転筒(31)の後端側には、ピニオン軸(29)
に対して軸線方向に摺動自在だがスプラインによって中
間回転筒(31)と一体回転する摺動カム体(32)が外嵌
され、この摺動カム体(32)は、ドッグクラッチ(33)
によってフランジ(34)に接合離脱自在に係合される。
なお、フランジ(34)は、増速切換機構の入力軸(30)
の後端側にスプライン結合され、外径側に嵌着する軸受
を介して筒状ケ−シング(20)の内径部に支承される。 【0012】なお、摺動カム体(32)は、ホ−ク支持軸
(35)によって揺動自在に枢支した揺動ホ−ク(36)に
より軸線方向に移動されるもので、この揺動ホ−ク(3
6)は後述する前輪操舵機構(203)と、操作機構(20
2)によって連動連結されており、その揺動によって、
ドッグクラッチ(33)の係合離脱を行うことができると
共に、以下に述べる多板クラッチ(37)を作動すること
ができる。 【0013】即ち、(37)は中間回転筒(31)の中途で
あって、摺動カム体(32)に隣接した位置に取付けた多
板クラッチであり、この多板クラッチ(37)は、前記揺
動ホ−ク(36)の揺動に起因する摺動カム体(32)の軸
線方向移動によってスプリング(38)を圧縮し、中間回
転筒(31)を筒状ケ−シング(20)に固定して、その回
転を停止することができる。 【0014】また、(40)はピニオン軸(29)の前端に
設けた増速用デフ機構であり、該デフ機構(40)は、以
下のように構成されている。ピニオン軸(29)の後部と
中間回転筒(31)の前部に跨って両者(29)(31)に対
して回転自在に外装される回転ハウジング(41)を、前
後2個の軸受によって筒状ケ−シング(20)の内部に回
転自在に支承し、回転ハウジング(41)の内部における
前記中間回転筒(31)の前端部に前記中間回転筒(31)
及びピニオン軸(29)の軸線と直交する方向の枢軸を支
承して、その枢軸の両端部を回転ハウジング(41)に貫
挿固定するとともに、該枢軸の回転ハウジング内部分に
相対向する一対のベベルギヤ(42)(42)を設け、両ベ
ベルギヤ(42)(42)をそれぞれピニオン軸(29)の後
端に嵌着固定したベベルギヤ(43)と中間回転筒(31)
の前端に一体的に形成したベベルギヤ(44)に常時噛合
させている。 【0015】次に、上記構成を有する増速切換機構(2
01)の作用について説明する。エンジン(3)を始動
し、主クラッチ(4)を接続すると、エンジン(3)の動力
は主クラッチ(4)、主変速装置(5)、副変速装置(6)、
後輪デフ装置(7)及び最終減速装置(9)を介して各後輪
(2)へと伝達される。 【0016】一方、副変速装置(6)から前輪駆動軸(1
4)、増速切換機構(201)、前輪デフ装置(15)を介
して前輪(1)へそれぞれ伝達されるので、トラクタ−
(200)は、この前輪(1)及び後輪(2)を駆動輪として
走行することになる。 【0017】しかして、直進走行時には、前輪(1)と後
輪(2)とが同じ速度で駆動されることになるが、これを
図2に示す駆動系統説明図を参照して説明すると、以下
の如くなる。 【0018】即ち、後述する前輪操舵機構(203)が揺
動ホ−ク(36)を作動する程度には操舵されていない場
合、多板クラッチ(37)は作動しておらず、したがっ
て、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング(20)に固定さ
れていない。一方、ドッグクラッチ(33)によって増速
切換機構の入力軸(30)は中間回転筒(31)と一体的に
連結された状態にある。 【0019】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構の入力軸(30)から回転ハウジング(41)及
び中間回転筒(31)に伝達され、ベベルギヤ(42)、ベ
ベルギヤ(43)、ピニオン軸(29)、ベベルギヤ(4
4)、中間回転筒(31)を、前輪駆動軸(14)と同一速
度で回転し、その後、前輪デフ装置(15)及びデフヨ−
ク軸(16)を介して前輪(1)に伝達されることになる。 【0020】一方、前輪操舵機構(203)が前出の揺動
ホ−ク(36)を作動する程度に操舵されると、揺動ホ−
ク(36)は摺動カム体(32)を介して多板クラッチ(3
7)を押圧し、これによって、中間回転筒(31)を筒状
ケ−シング(20)に固定するとともに、ドッグクラッチ
(33)の離脱によって、増速切換機構の入力軸(30)と
中間回転筒(31)との連結を解除する。 【0021】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構の入力軸(30)から回転ハウジング(41)に
伝達されるが、ベベルギヤ(42)→ベベルギヤ(43)→
ピニオン軸(29)→フロントアクスルケ−ス(21)の伝
動経路のみが活きており、この伝動経路の差動歯車機構
としての差動伝動によって、ピニオン軸(29)とベベル
ギヤ(27)とは、前輪駆動軸(14)の2倍の速度で回転
し、その後、前輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸(1
6)を介して前輪(1)に伝達されることになる。従っ
て、トラクタ−(200)は、小旋回半径でスリップを生
じることなく、旋回することができる。 【0022】なお、上記増速作用において、本実施例に
係る増速用切換機構(201)は、多板クラッチ(37)と
差動歯車装置からなる増速用デフ機構(40)を具備する
ものであるため、漸次に無段階的に増速することがで
き、かつ、多板クラッチ(37)が負荷を吸収するので、
圃場を傷めることがない。 【0023】次に、図5から図7を参照して、後述する
前輪操舵機構(203)の操舵に連動して増速切換機構
(201)を操作する為の操作機構(202)の構成につい
て説明する。 【0024】図5〜図7において、(50)は、クラッチ
ハウジング(49)に回転自在に横架したピットマンア−
ム支点軸であり、このピットマンア−ム支点軸(50)
は、後述する前輪操舵機構(203)の略直下に配設され
ている。 【0025】そして、ピットマンア−ム支点軸(50)
は、以下に説明する経路を介して前述の揺動ホ−ク(3
6)を固着したホ−ク支持軸(35)と連動連結されてい
る。即ち、ピットマンア−ム支点軸(50)は、図6及び
図7に示すように、軸線方向に移動自在で、かつ、ピッ
トマンア−ム支点軸(50)と一体的に回転する移動スリ
−ブ(51)は、その一端側に、頂点を前方に向けた2等
辺三角形状の押圧ロ−ラ−取付板(52)を固着してい
る。そして、押圧ロ−ラ−取付板(52)の後部上下端の
側面には、上下押圧ロ−ラ−(53)が回転自在に枢支さ
れている。 【0026】また、図6及び図7において、(54)は、
上記上下押圧ロ−ラ−(53)と対応する位置において、
その後部に設けた矩形切欠開口(55)内に位置自在にピ
ットマンア−ム支点軸(50)を嵌入した増速切換操作板
である。また、かかる増速切換操作板(54)は、押圧ロ
−ラ−取付板(52)と同様に、頂点を前方に向けた二等
辺三角形状を有している。 【0027】そして、かかる構成において、移動スリ−
ブ(51)の移動と共に上下押圧ロ−ラ−(53)が実線で
示す位置に移動した状態で、後述する前輪操舵機構(2
03)によりピットマンア−ム支点軸(50)を回転する
と、上下押圧ロ−ラ−(53)(53)が押圧ロ−ラ−取付
板(52)と共に揺動して増速切換操作板(54)に当接か
つ押圧すると、増速切換操作板(54)は前方に移動する
ことになる。 【0028】また、(56)は、基端を増速切換操作板
(54)の前部に固着し、先端を増速切換機構(201)に
向けて延出した連結ロッドであり、連結ロッド(56)の
先端は、基端を前述したホ−ク支持軸(35)に固着した
揺動レバ−(57)の先端に連結されている。 【0029】かかる構成によって、増速切換操作板(5
4)の前進移動は、揺動レバ−(57)及びそれと一体を
なすホ−ク支持軸(35)及び揺動ホ−ク(36)を揺動さ
せることになり、この揺動によって、多板クラッチ(3
7)が入り、増速切換機構(201)は増速モ−ドに切り
変えられることになる。なお、連結ロッド(56)には増
速切換操作板(54)側が故障した場合等に、増速切換機
構(201)を破壊するのを防止するための衝撃吸収機構
(204)が取付けられている。 【0030】前記衝撃吸収機構(204)は、本実施例で
は、図6及び図7に示すように、揺動レバ−(57)の先
端に連結ロッド(56)の先端を揺動自在に挿入する貫通
孔を有する駒片(60)を設け、連結ロッド(56)の中途
にストッパ−ナット(61)を固着し、ストッパ−ナット
(61)と駒片(60)との間において、連結ロッド(56)
に同心円的にスリ−ブ(62)を軸線方向に移動自在に装
着し、そのスリ−ブ(62)の先端にスリ−ブ(62)内に
配設したスプリング(63)によって前方向に付勢された
当接筒(64)を設け、当接筒(64)の先端によって駒片
(60)を押圧し、揺動レバ−(57)を揺動可能とするこ
とによって構成している。 【0031】次に、上記操作機構(202)を操作するた
めの操舵機構(203)について、図8〜図10を参照し
て説明する。 【0032】図中、(70)は、運転席において傾斜状態
に設けた操舵ロッドであり、操舵ロッド(70)は、その
上端に操舵ハンドル(71)を取付けると共に、基端をギ
アボックスステイ(72)に取付けたギアボックス(73)
の入力軸に連結している。 【0033】そして、ギアボックス(73)の出力軸に
は、操舵ハンドル(71)の回転に連動して上下揺動する
揺動レバ−(74)の基端が連結されて、揺動レバ−(7
4)の先端は、操舵ハンドル(71)の略直下に配設した
ピットマンア−ム支点軸(50)に固着した揺動レバ−
(75)とドラッグロッド(76)によって連結されてい
る。 【0034】さらに、ピットマンア−ム支持軸(50)に
は、ピットマンア−ム(77)の基端が固着されており、
そのピットマンア−ム(77)の先端は、左側前輪(1)に
取付けた舵取りア−ム(78)とドラッグロッド(79)に
よって連結されている。また、左右前輪(1)に取付けた
舵取りア−ム(78)(78)はタイロッド(80)によって
連結されている。 【0035】かかる構成により、操舵ハンドル(71)を
回転すると、ドラッグロッド(76)と、ピットマンア−
ム(77)、ドラッグロッド(79)、舵取りア−ム(7
8)、タイロッド(80)を介して左右前輪(1)(1)を旋
回操作することができる。 【0036】そして、上記操舵作用において、ピットマ
ンア−ム支持軸(50)も必然的に回転することになり、
その回転により、上記の如く操作機構(202)が作動し
て、増速切換機構(201)を作動させることになる。 【0037】かかる構成において、前記増速切換機構
(201)を、増速切換作動が可能な低速側位置と増速切
換作動が不可の高速側位置とに選択的に切換可能な高低
速切換レバ−(205)に連動連結すると共に、高低速切
換レバ−(205)と増速切換機構(201)との間には、
高低速切換レバ−(205)のレバ−位置にかかわらず増
速切換機構(201)の増速切換作動の入・切を制御する
強制切換リンク機構(207)を介設して、強制切換リン
ク機構(207)が入り状態で、かつ、高低速切換レバ−
(205)が低速側に位置する場合にのみ増速切換機構
(201)が増速作動を行うようにすると共に、高低速切
換レバ−(205)が低速側に位置する場合においても、
強制切換リンク機構(207)を切り状態とすることによ
り、増速切換機構(201)の増速解除を強制的に行える
ようにしている。 【0038】以下、その具体的な構成を、図6、図7、
図11〜図13に基づいて詳述すると、(90)(90)
は、移動スリ−ブ(51)上に軸線方向に間隔を開けて取
付けた規制プレ−トである。 【0039】そして、これらの規制プレ−ト(90)(9
0)の間には、中央部を支軸(91)によって揺動自在に
枢支した揺動レバ−(92)の前端が挿入されており、一
方、揺動レバ−(92)の後端には、一端を座席(95)の
左側方に配置した高低速切換レバ−(205、図1参照)
に結着した切換ワイヤ(93)の他端が結着されている。 【0040】そして、(96)は揺動レバ−(92)とクラ
ッチハウジング(49)との間に介設した付勢スプリング
であり、この付勢スプリング(96)の付勢力によって常
時は移動スリ−ブ(51)及び押圧ロ−ラ−(53)が共に
実線で示す位置に移動し、押圧ロ−ラ−(53)が増速切
換操作板(54)と対応する連係位置にあるので、操舵ハ
ンドル(71)を切ると、それに連動して押圧ロ−ラ−
(53)も揺動し、操作板(54)を押圧して移動すること
ができ、増速切換機構(201)を作動させることができ
るように構成している(以下この状態を「入」の状態と
いう)。従って、低速時には前輪(1)を倍速によって旋
回することができ、急旋回させることができる。 【0041】また、高低速切換レバ−(205、図1参
照)を付勢スプリング(96)の付勢に抗して高速側へ切
換え作動させると、切換ワイヤ(93)を介して揺動レバ
−(92)が揺動し、その揺動によって、移動スリ−ブ
(51)が実線位置から仮想線位置まで移動し、その移動
に伴って、上下押圧ロ−ラ−(53)も増速切換操作板
(54)に連係し得る位置(実線位置)から、連係解除位
置(仮想線位置)に移動することになる(以下この状態
を「切」の状態という)。 【0042】従って、高速時には、ピットマンア−ム支
持軸(50)が回動しても、押圧ロ−ラ−(53)は、増速
切換操作板(54)に対して連係しない位置にあるので、
操作板(54)を押圧してそれを前方へ移動させることは
できず、従って、増速切換機構(201)は働かず、前輪
(1)は、道路上での旋回において誤って倍速旋回するこ
とがなく、安全な走行を確保できる。 【0043】しかも、図11〜図13に示しているよう
に、高低速切換レバ−(205)と切換ワイヤ(93)の基
端との間に強制切換リンク機構(207)を介設して、低
速時においても増速切換機構(201)の増速解除が強制
的に行えるようにしている。すなわち、強制切換リンク
機構(207)は、高低速切換レバ−(205)に連動連結
した第1リンク機構(81)と、切換ワイヤ(93)に直接
連動連結した第2リンク機構(82)と、第2リンク機構
(82)に連動連結した強制切換レバ−(206)とからな
る。 【0044】そして、第1、第2リンク機構(81)(8
2)は、ミッションケ−ス(84a)の左側面より突出し
たレバ−支軸(83)と副変速シフタ軸(84)との間に、
左右平行させて介設しており、第1リンク機構(81)
は、高低速切換レバ−(205)にレバ−リンク(85)を
介して連動連結している。なお、前記レバ−リンク(8
5)は、高低速切換レバ−(205)と共に回動するア−
ム(205a)の先端部に一端を枢着し他方の端部を副変
速シフタ軸(84)に取付けられているア−ム(208)の
先端部に回動自在に枢着した第1リンク板(85a)と、
第1リンク板(85a)の他方端部と同軸で前記ア−ム
(208)に一端部を枢着し、他方の端部をレバ−支軸
(83)に枢着されているア−ム(209)の中途部に枢着
した第2リンク板(85b)とからなる。 【0045】しかも、第1リンク機構(81)は、レバ−
支軸(83)に枢支されたア−ム(209)に基端を枢着す
る第1伸縮リンク(81a)の先端部と、基端を副変速シ
フタ軸(84)に枢支した第1ア−ム(81b)の中途部と
を屈曲自在に連結し、第1伸縮リンク(81a)の先端部
に長手方向に長孔(81c)を設けて、その長孔(81c)
に、第1ア−ム(81b)の中途部に取付けた連結ピン
(81d)を係合させて構成されており、また、これと同
様に、第2リンク機構(82)も、レバ−支軸(83)に枢
支されたア−ムに基端を枢着する第2伸縮リンク(82
a)の先端部と、基端を副変速シフタ軸(84)に枢支し
た第2ア−ム(82b)の中途部とを屈曲自在に連結し
て、第2伸縮リンク(82a)の先端部に長手方向に長孔
(82c)を設け、その長孔(82c)に、第2ア−ム(8
2b)の中途部に取付けた連結ピン(82d)を係合させ
て構成されている。 【0046】さらに、第1ア−ム(81b)の先端には、
後端側が切欠された係止部(81e)を設け、その係止部
(81e)が第2ア−ム(82b)の先端部に設けたワイヤ
連結ピン(86)の伸延端に係わり合うように構成してい
る。 【0047】従って、かかる強制切換リンク機構(20
7)は、以下のように作用する。強制切換レバ−(20
6)を上方(図11の「入」方向)へ回動すると、第2
リンク機構(82)の第2伸縮リンク(82a)が中折れ状
態に伸縮作動し、第2伸縮リンク(82a)の先端に連結
した第2ア−ム(82b)が前方へ回動され、第2ア−ム
(82b)の先端部に連結された切換ワイヤ(93)が前方
へ摺動されて、操作機構(202)の押圧ロ−ラ(53)が
増速切換操作板(54)と対応する連係位置に位置され、
また、高低速切換レバ−(205)は低速側に位置させら
れる。故に、この場合に、操舵ハンドル(71)が切られ
ると、それに連動して押圧ロ−ラ−(53)も揺動し、操
作板(54)を押圧して移動して増速切換機構(201)を
作動させることができるのであり、低速状態で前輪(1)
を倍速駆動して旋回することができる。 【0048】また、強制切換レバ−(206)を下方(図
11の「切」方向)へ回動すると、上記とは反対に、第
2伸縮リンク(82a)が直状に伸長作動すると共に、第
2ア−ム(82b)を後方へ回動させ、第2ア−ム(82
b)の先端部に連結された切換ワイヤ(93)が付勢スプ
リング(96)の付勢力に抗して後方へ引張摺動されて、
操作機構(202)の押圧ロ−ラ−(53)が増速切換操作
板(54)に対応しない非連係位置に移動されるので、こ
の場合には、操舵ハンドル(71)が舵取り操作されても
増速切換機構(201)は「切」状態に保たれ、前後輪
(1)(2)が略等速状態、すなわち、標準状態での機体の
旋回が行われる。 【0049】そして、上記強制切換レバ−(206)を
「入」の状態にすると、上記第2ア−ム(82b)の先端
部に設けたワイヤ連結ピン(86)の伸延端が第1ア−ム
(81b)の係止部(81c)に係止して、第1ア−ム(8
1b)も前方へ回動作動させ、第1ア−ム(81b)に連
動連結した第1伸縮リンク(81a)及びレバ−リンク
(85)を介して高低速切換レバ−(205)を低速切換位
置に前方回動させるものである。 【0050】かかる状態から、高低速切換レバ−(20
5)を高速切換位置に後方回動作動させると、レバ−リ
ンク(85)を介して第1伸縮リンク(81a)が伸長作動
して第1ア−ム(81b)を後方へ回動作動させるととも
に、その第1ア−ム(81b)の係止部(81e)を介して
第2ア−ム(82b)も一緒に後方へ回動させて、増速切
換機構(201)を「切」の状態とするものである。 【0051】次に、強制切換レバ−(206)を「切」の
状態にしておくと、高低速切換レバ−(205)を低速側
又は高速側へ切換操作しても、第1リンク(81a)の伸
縮作動及び第1ア−ム(81b)の前後回動も、何ら第2
ア−ム(82b)と連動することがなく、増速切換機構
(201)は「切」の状態に保たれるのである。 【0052】また、図11中の(87)は警報ランプ又は
警報ブザ−等の警報手段、(88)は強制切換レバ−(2
06)の入り位置を検出する接点スイッチ等の検出手
段、(89)は作動ア−ムであり、強制切換レバ−(20
6)を「入」の状態にすると作動ア−ム(89)が連動し
て検出手段(88)を接続状態とし、警報手段(87)を点
燈させてオペレ−タに注意を喚起するものである。な
お、検出手段(88)は、増速切換操作板(54)の作動に
連動して接続し、警報手段(87)が点燈するようにして
もよい。 【0053】このように、増速切換機構(201)が低速
時に「入」の状態となる場合には、警報手段(87)であ
る警報ランプ、又は警報ブザ−によりオペレ−タ−の注
意を喚起して、操作上の安全を保つことができるように
するとよい。 【0054】 【発明の効果】本発明によれば、道路上等で旋回を行う
場合に、高速走行中であれば、増速切換機構は働かない
ので、前輪は倍速旋回することがなく安全走行を確保で
き、また、強制切換リンク機構を操作して、低速切換時
のみ増速切換機構が増速するようにしておけば、高低速
切換レバ−を操作して低速切換えを行うと共に、旋回操
作を行うと、増速切換機構が増速作動して、本機を急旋
回させることちができる。 【0055】また、傾斜地等においては、強制切換リン
ク機構を操作して、低速切換時にも増速切換機構が増速
作動しないようにしておけば、高低速切換レバ−による
低速切換操作と共に旋回操作を行っても、増速切換機構
が増速作動しないため、本機は急旋回せず、同本機が傾
斜地等にあっても転倒する危険がなくなる。 【0056】しかして、本発明においては、増速切換機
構をフロントアクスルケ−スから後方に延出する筒状ケ
−シング内に設置し、その増速切換機構の伝動体勢切換
具である揺動ホ−クの支持軸を筒状ケ−シングの後方寄
り部位に配設する一方で、前輪操舵機構のピットマンア
−ム支持軸を筒状ケ−シングの後方位に配設し、ピット
マンア−ム支持軸と前記揺動ホ−クの支持軸との間を、
ピットマンア−ム支持軸の軸芯に沿う方向の掛け外し動
作で連係状態と非連係状態とに切り換えられる操作機構
によって連係し、操作機構の前記掛け外し動作を、駆動
機構を低速駆動状態・高速駆動状態に切り換える高低速
切換レバ−及び増速切換機構を強制的に「入」「切」す
る強制切換レバ−の切換動作に連動させて、増速切換機
構の増速駆動が前記駆動機構の低速駆動状態のもとで行
われ、かつ、駆動機構が低速駆動状態にあっても強制切
換レバ−の切換により増速切換機構の増速駆動解除が強
制的に行われるようにしているから、増速切換機構の切
換動作部を作動する操作機構と前輪操舵機構との連係が
簡潔になって機枠の下腹部にコンパクトに纏まり、増速
切換機構とその操作機構との連係部などのメンテナンス
が容易になるとともに、連係部と前記駆動機構の変速操
作機構との連係も容易になる。 【0057】また、上述の連係部と、増速切換機構の切
換動作部との間を連繋する前記操作機構に衝撃吸収機構
を設けることによって、連係部側の故障などに起因し増
速切換機構に無理な力がかかって同機構が損壊するよう
な事態になることが未然に回避される。
駆動変速操作装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、前輪舵取り車両(例えば、トラク
タ−)は、ミッションケ−ス内の駆動機構からフロント
アクスルケ−ス側に動力伝達する前輪駆動系に増速切換
機構を設け、その増速切換機構を、前輪操舵機構及び前
記駆動機構の変速操作機構に連係させて、前輪操舵機構
が直進状態から設定角度以上に操向操作されると、前記
駆動機構が低速駆動状態のもとで増速切換機構が増速駆
動側に切換え作動されるように構成することにより、旋
回半径小の急旋回が行えて旋回性が優れるものにするこ
とが行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前輪
舵取り車両において前輪操舵機構が直進状態から設定角
度以上に操向操作されると、ミッションケ−ス側の駆動
機構が低速駆動状態のもとで増速切換機構が増速駆動側
に切換え作動されるように構成する為の、増速切換機構
の操作機構と前輪操舵機構と変速操作機構との連係構成
を、簡潔コンパクトでメンテナンスが容易であり、ま
た、安全性の高いものにすることである。 【0004】 【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成
するため、ミッションケ−ス内の駆動機構からフロント
アクスルケ−ス側に動力伝達する前輪駆動系に増速切換
機構を設け、この増速切換機構の伝動体勢切換具を操作
機構によって前輪操舵機構に連係させて、前輪操舵機構
が直進状態から設定角度以上に操向操作されると増速切
換機構が増速駆動側に切り換え作動されるように構成す
る前輪舵取り車両の前輪変速操作装置において、前記増
速切換機構をフロントアクスルケ−スから後方に延出す
る筒状ケ−シング内に設置し、その増速切換機構の伝動
体勢切換具である揺動ホ−クの支持軸を筒状ケ−シング
の後方寄り部位に配設する一方で、前輪操舵機構のピッ
トマンア−ム支持軸を筒状ケ−シングの後方位に配設
し、ピットマンア−ム支持軸と前記揺動ホ−クの支持軸
との間を、ピットマンア−ム支持軸の軸芯に沿う方向の
掛け外し動作で連係状態と非連係状態とに切り換えられ
る操作機構によって連係し、操作機構の前記掛け外し動
作を、駆動機構を低速駆動状態・高速駆動状態に切り換
える高低速切換レバ−及び増速切換機構を強制的に
「入」「切」する強制切換レバ−の切換動作に連動させ
て、増速切換機構の増速駆動が前記駆動機構の低速駆動
状態のもとで行われ、かつ、駆動機構が低速駆動状態に
あっても強制切換レバ−の切換により増速切換機構の増
速駆動解除が強制的に行われるようにしている。 【0005】また、上述の構成を備える前輪舵取り車両
の前輪変速操作装置において、前記操作機構に衝撃吸収
機構を設けることによって、増速切換機構の破損を防止
するようにしている。 【0006】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て具体的に説明する。図1において、トラクタ−(20
0)は、その前部に前輪(1)を、後部に後輪(2)を備
え、前輪(1)及び後輪(2)が共に以下に説明する駆動機
構によって駆動されるようになっている。 【0007】すなわち、図2に示す駆動系統図におい
て、(3)はエンジン、(4)は主クラッチ、(5)は主変速
装置、(6)は副変速装置、(7)は後輪デフ装置であり、
後輪デフ装置(7)のデフヨ−ク軸(8)は最終減速装置
(9)を介して各後輪(2)に連動連結される。なお、(1
0)は各デフヨ−ク軸(8)の外端部に設けられた後輪ブ
レ−キである。また、上記構成において、主変速装置
(5)、副変速装置(6)は、ミッションケ−ス(84a)内
に内蔵されている。 【0008】また、(11)は前輪駆動系を示し、この前
輪駆動系(11)は、ミッションケ−ス(84a)内の駆動
機構における副変速装置(6)に歯車列(12)および自在
継手(13)を介して連結した前輪駆動軸(14)と、フロ
ントアクスルケ−ス(21)に内蔵される前輪デフ装置
(15)と、前輪駆動軸(14)と前輪デフ装置(15)との
間に組み入れられる増速切換機構(201)とからなり、
前輪デフ装置(15)の各デフヨ−ク軸(16)は、歯車列
(17)を介して前輪(1)に連結され、また、前輪(1)は
キングピン廻りに操向動作可能となっている。 【0009】図3及び図4を参照して増速切換機構(2
01)の構成を詳細に説明すると、前輪デフ装置(15)
を内蔵し、かつ、ケ−ス揺動支持部(21a)によって左
右に揺動自在に支持されたフロントアクスルケ−ス(2
1)は、その後部に、後方に向けて延出した筒状ケ−シ
ング(20)の基端を突設しており、その筒状ケ−シング
(20)の中途部が、上端を機枠(22)に固定した軸受
(24)によって支持されている。 【0010】なお、機枠(22)の底部には、クラッチハ
ウジング(49、図7参照)と図示しないオイルパンとが
設けられており、筒状ケ−シング(20)は、これらに接
触しないように配設される。また、筒状ケ−シング(2
0)の内部には、前輪デフ装置(15)の受動歯車に噛合
するベベルギヤ(27)を前端に具備するピニオン軸(2
9)と、後端を自在継手(13)によって前輪駆動軸(1
4)と連動連結した増速切換機構の入力軸(30)とを前
後直列に同芯に配設している。 【0011】そして、増速切換機構の入力軸(30)に相
対回転自在に中間回転筒(31)が被嵌装着され、さら
に、中間回転筒(31)の後端側には、ピニオン軸(29)
に対して軸線方向に摺動自在だがスプラインによって中
間回転筒(31)と一体回転する摺動カム体(32)が外嵌
され、この摺動カム体(32)は、ドッグクラッチ(33)
によってフランジ(34)に接合離脱自在に係合される。
なお、フランジ(34)は、増速切換機構の入力軸(30)
の後端側にスプライン結合され、外径側に嵌着する軸受
を介して筒状ケ−シング(20)の内径部に支承される。 【0012】なお、摺動カム体(32)は、ホ−ク支持軸
(35)によって揺動自在に枢支した揺動ホ−ク(36)に
より軸線方向に移動されるもので、この揺動ホ−ク(3
6)は後述する前輪操舵機構(203)と、操作機構(20
2)によって連動連結されており、その揺動によって、
ドッグクラッチ(33)の係合離脱を行うことができると
共に、以下に述べる多板クラッチ(37)を作動すること
ができる。 【0013】即ち、(37)は中間回転筒(31)の中途で
あって、摺動カム体(32)に隣接した位置に取付けた多
板クラッチであり、この多板クラッチ(37)は、前記揺
動ホ−ク(36)の揺動に起因する摺動カム体(32)の軸
線方向移動によってスプリング(38)を圧縮し、中間回
転筒(31)を筒状ケ−シング(20)に固定して、その回
転を停止することができる。 【0014】また、(40)はピニオン軸(29)の前端に
設けた増速用デフ機構であり、該デフ機構(40)は、以
下のように構成されている。ピニオン軸(29)の後部と
中間回転筒(31)の前部に跨って両者(29)(31)に対
して回転自在に外装される回転ハウジング(41)を、前
後2個の軸受によって筒状ケ−シング(20)の内部に回
転自在に支承し、回転ハウジング(41)の内部における
前記中間回転筒(31)の前端部に前記中間回転筒(31)
及びピニオン軸(29)の軸線と直交する方向の枢軸を支
承して、その枢軸の両端部を回転ハウジング(41)に貫
挿固定するとともに、該枢軸の回転ハウジング内部分に
相対向する一対のベベルギヤ(42)(42)を設け、両ベ
ベルギヤ(42)(42)をそれぞれピニオン軸(29)の後
端に嵌着固定したベベルギヤ(43)と中間回転筒(31)
の前端に一体的に形成したベベルギヤ(44)に常時噛合
させている。 【0015】次に、上記構成を有する増速切換機構(2
01)の作用について説明する。エンジン(3)を始動
し、主クラッチ(4)を接続すると、エンジン(3)の動力
は主クラッチ(4)、主変速装置(5)、副変速装置(6)、
後輪デフ装置(7)及び最終減速装置(9)を介して各後輪
(2)へと伝達される。 【0016】一方、副変速装置(6)から前輪駆動軸(1
4)、増速切換機構(201)、前輪デフ装置(15)を介
して前輪(1)へそれぞれ伝達されるので、トラクタ−
(200)は、この前輪(1)及び後輪(2)を駆動輪として
走行することになる。 【0017】しかして、直進走行時には、前輪(1)と後
輪(2)とが同じ速度で駆動されることになるが、これを
図2に示す駆動系統説明図を参照して説明すると、以下
の如くなる。 【0018】即ち、後述する前輪操舵機構(203)が揺
動ホ−ク(36)を作動する程度には操舵されていない場
合、多板クラッチ(37)は作動しておらず、したがっ
て、中間回転筒(31)は筒状ケ−シング(20)に固定さ
れていない。一方、ドッグクラッチ(33)によって増速
切換機構の入力軸(30)は中間回転筒(31)と一体的に
連結された状態にある。 【0019】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構の入力軸(30)から回転ハウジング(41)及
び中間回転筒(31)に伝達され、ベベルギヤ(42)、ベ
ベルギヤ(43)、ピニオン軸(29)、ベベルギヤ(4
4)、中間回転筒(31)を、前輪駆動軸(14)と同一速
度で回転し、その後、前輪デフ装置(15)及びデフヨ−
ク軸(16)を介して前輪(1)に伝達されることになる。 【0020】一方、前輪操舵機構(203)が前出の揺動
ホ−ク(36)を作動する程度に操舵されると、揺動ホ−
ク(36)は摺動カム体(32)を介して多板クラッチ(3
7)を押圧し、これによって、中間回転筒(31)を筒状
ケ−シング(20)に固定するとともに、ドッグクラッチ
(33)の離脱によって、増速切換機構の入力軸(30)と
中間回転筒(31)との連結を解除する。 【0021】そのため、前輪駆動軸(14)の回転は、増
速切換機構の入力軸(30)から回転ハウジング(41)に
伝達されるが、ベベルギヤ(42)→ベベルギヤ(43)→
ピニオン軸(29)→フロントアクスルケ−ス(21)の伝
動経路のみが活きており、この伝動経路の差動歯車機構
としての差動伝動によって、ピニオン軸(29)とベベル
ギヤ(27)とは、前輪駆動軸(14)の2倍の速度で回転
し、その後、前輪デフ装置(15)及び前輪ヨ−ク軸(1
6)を介して前輪(1)に伝達されることになる。従っ
て、トラクタ−(200)は、小旋回半径でスリップを生
じることなく、旋回することができる。 【0022】なお、上記増速作用において、本実施例に
係る増速用切換機構(201)は、多板クラッチ(37)と
差動歯車装置からなる増速用デフ機構(40)を具備する
ものであるため、漸次に無段階的に増速することがで
き、かつ、多板クラッチ(37)が負荷を吸収するので、
圃場を傷めることがない。 【0023】次に、図5から図7を参照して、後述する
前輪操舵機構(203)の操舵に連動して増速切換機構
(201)を操作する為の操作機構(202)の構成につい
て説明する。 【0024】図5〜図7において、(50)は、クラッチ
ハウジング(49)に回転自在に横架したピットマンア−
ム支点軸であり、このピットマンア−ム支点軸(50)
は、後述する前輪操舵機構(203)の略直下に配設され
ている。 【0025】そして、ピットマンア−ム支点軸(50)
は、以下に説明する経路を介して前述の揺動ホ−ク(3
6)を固着したホ−ク支持軸(35)と連動連結されてい
る。即ち、ピットマンア−ム支点軸(50)は、図6及び
図7に示すように、軸線方向に移動自在で、かつ、ピッ
トマンア−ム支点軸(50)と一体的に回転する移動スリ
−ブ(51)は、その一端側に、頂点を前方に向けた2等
辺三角形状の押圧ロ−ラ−取付板(52)を固着してい
る。そして、押圧ロ−ラ−取付板(52)の後部上下端の
側面には、上下押圧ロ−ラ−(53)が回転自在に枢支さ
れている。 【0026】また、図6及び図7において、(54)は、
上記上下押圧ロ−ラ−(53)と対応する位置において、
その後部に設けた矩形切欠開口(55)内に位置自在にピ
ットマンア−ム支点軸(50)を嵌入した増速切換操作板
である。また、かかる増速切換操作板(54)は、押圧ロ
−ラ−取付板(52)と同様に、頂点を前方に向けた二等
辺三角形状を有している。 【0027】そして、かかる構成において、移動スリ−
ブ(51)の移動と共に上下押圧ロ−ラ−(53)が実線で
示す位置に移動した状態で、後述する前輪操舵機構(2
03)によりピットマンア−ム支点軸(50)を回転する
と、上下押圧ロ−ラ−(53)(53)が押圧ロ−ラ−取付
板(52)と共に揺動して増速切換操作板(54)に当接か
つ押圧すると、増速切換操作板(54)は前方に移動する
ことになる。 【0028】また、(56)は、基端を増速切換操作板
(54)の前部に固着し、先端を増速切換機構(201)に
向けて延出した連結ロッドであり、連結ロッド(56)の
先端は、基端を前述したホ−ク支持軸(35)に固着した
揺動レバ−(57)の先端に連結されている。 【0029】かかる構成によって、増速切換操作板(5
4)の前進移動は、揺動レバ−(57)及びそれと一体を
なすホ−ク支持軸(35)及び揺動ホ−ク(36)を揺動さ
せることになり、この揺動によって、多板クラッチ(3
7)が入り、増速切換機構(201)は増速モ−ドに切り
変えられることになる。なお、連結ロッド(56)には増
速切換操作板(54)側が故障した場合等に、増速切換機
構(201)を破壊するのを防止するための衝撃吸収機構
(204)が取付けられている。 【0030】前記衝撃吸収機構(204)は、本実施例で
は、図6及び図7に示すように、揺動レバ−(57)の先
端に連結ロッド(56)の先端を揺動自在に挿入する貫通
孔を有する駒片(60)を設け、連結ロッド(56)の中途
にストッパ−ナット(61)を固着し、ストッパ−ナット
(61)と駒片(60)との間において、連結ロッド(56)
に同心円的にスリ−ブ(62)を軸線方向に移動自在に装
着し、そのスリ−ブ(62)の先端にスリ−ブ(62)内に
配設したスプリング(63)によって前方向に付勢された
当接筒(64)を設け、当接筒(64)の先端によって駒片
(60)を押圧し、揺動レバ−(57)を揺動可能とするこ
とによって構成している。 【0031】次に、上記操作機構(202)を操作するた
めの操舵機構(203)について、図8〜図10を参照し
て説明する。 【0032】図中、(70)は、運転席において傾斜状態
に設けた操舵ロッドであり、操舵ロッド(70)は、その
上端に操舵ハンドル(71)を取付けると共に、基端をギ
アボックスステイ(72)に取付けたギアボックス(73)
の入力軸に連結している。 【0033】そして、ギアボックス(73)の出力軸に
は、操舵ハンドル(71)の回転に連動して上下揺動する
揺動レバ−(74)の基端が連結されて、揺動レバ−(7
4)の先端は、操舵ハンドル(71)の略直下に配設した
ピットマンア−ム支点軸(50)に固着した揺動レバ−
(75)とドラッグロッド(76)によって連結されてい
る。 【0034】さらに、ピットマンア−ム支持軸(50)に
は、ピットマンア−ム(77)の基端が固着されており、
そのピットマンア−ム(77)の先端は、左側前輪(1)に
取付けた舵取りア−ム(78)とドラッグロッド(79)に
よって連結されている。また、左右前輪(1)に取付けた
舵取りア−ム(78)(78)はタイロッド(80)によって
連結されている。 【0035】かかる構成により、操舵ハンドル(71)を
回転すると、ドラッグロッド(76)と、ピットマンア−
ム(77)、ドラッグロッド(79)、舵取りア−ム(7
8)、タイロッド(80)を介して左右前輪(1)(1)を旋
回操作することができる。 【0036】そして、上記操舵作用において、ピットマ
ンア−ム支持軸(50)も必然的に回転することになり、
その回転により、上記の如く操作機構(202)が作動し
て、増速切換機構(201)を作動させることになる。 【0037】かかる構成において、前記増速切換機構
(201)を、増速切換作動が可能な低速側位置と増速切
換作動が不可の高速側位置とに選択的に切換可能な高低
速切換レバ−(205)に連動連結すると共に、高低速切
換レバ−(205)と増速切換機構(201)との間には、
高低速切換レバ−(205)のレバ−位置にかかわらず増
速切換機構(201)の増速切換作動の入・切を制御する
強制切換リンク機構(207)を介設して、強制切換リン
ク機構(207)が入り状態で、かつ、高低速切換レバ−
(205)が低速側に位置する場合にのみ増速切換機構
(201)が増速作動を行うようにすると共に、高低速切
換レバ−(205)が低速側に位置する場合においても、
強制切換リンク機構(207)を切り状態とすることによ
り、増速切換機構(201)の増速解除を強制的に行える
ようにしている。 【0038】以下、その具体的な構成を、図6、図7、
図11〜図13に基づいて詳述すると、(90)(90)
は、移動スリ−ブ(51)上に軸線方向に間隔を開けて取
付けた規制プレ−トである。 【0039】そして、これらの規制プレ−ト(90)(9
0)の間には、中央部を支軸(91)によって揺動自在に
枢支した揺動レバ−(92)の前端が挿入されており、一
方、揺動レバ−(92)の後端には、一端を座席(95)の
左側方に配置した高低速切換レバ−(205、図1参照)
に結着した切換ワイヤ(93)の他端が結着されている。 【0040】そして、(96)は揺動レバ−(92)とクラ
ッチハウジング(49)との間に介設した付勢スプリング
であり、この付勢スプリング(96)の付勢力によって常
時は移動スリ−ブ(51)及び押圧ロ−ラ−(53)が共に
実線で示す位置に移動し、押圧ロ−ラ−(53)が増速切
換操作板(54)と対応する連係位置にあるので、操舵ハ
ンドル(71)を切ると、それに連動して押圧ロ−ラ−
(53)も揺動し、操作板(54)を押圧して移動すること
ができ、増速切換機構(201)を作動させることができ
るように構成している(以下この状態を「入」の状態と
いう)。従って、低速時には前輪(1)を倍速によって旋
回することができ、急旋回させることができる。 【0041】また、高低速切換レバ−(205、図1参
照)を付勢スプリング(96)の付勢に抗して高速側へ切
換え作動させると、切換ワイヤ(93)を介して揺動レバ
−(92)が揺動し、その揺動によって、移動スリ−ブ
(51)が実線位置から仮想線位置まで移動し、その移動
に伴って、上下押圧ロ−ラ−(53)も増速切換操作板
(54)に連係し得る位置(実線位置)から、連係解除位
置(仮想線位置)に移動することになる(以下この状態
を「切」の状態という)。 【0042】従って、高速時には、ピットマンア−ム支
持軸(50)が回動しても、押圧ロ−ラ−(53)は、増速
切換操作板(54)に対して連係しない位置にあるので、
操作板(54)を押圧してそれを前方へ移動させることは
できず、従って、増速切換機構(201)は働かず、前輪
(1)は、道路上での旋回において誤って倍速旋回するこ
とがなく、安全な走行を確保できる。 【0043】しかも、図11〜図13に示しているよう
に、高低速切換レバ−(205)と切換ワイヤ(93)の基
端との間に強制切換リンク機構(207)を介設して、低
速時においても増速切換機構(201)の増速解除が強制
的に行えるようにしている。すなわち、強制切換リンク
機構(207)は、高低速切換レバ−(205)に連動連結
した第1リンク機構(81)と、切換ワイヤ(93)に直接
連動連結した第2リンク機構(82)と、第2リンク機構
(82)に連動連結した強制切換レバ−(206)とからな
る。 【0044】そして、第1、第2リンク機構(81)(8
2)は、ミッションケ−ス(84a)の左側面より突出し
たレバ−支軸(83)と副変速シフタ軸(84)との間に、
左右平行させて介設しており、第1リンク機構(81)
は、高低速切換レバ−(205)にレバ−リンク(85)を
介して連動連結している。なお、前記レバ−リンク(8
5)は、高低速切換レバ−(205)と共に回動するア−
ム(205a)の先端部に一端を枢着し他方の端部を副変
速シフタ軸(84)に取付けられているア−ム(208)の
先端部に回動自在に枢着した第1リンク板(85a)と、
第1リンク板(85a)の他方端部と同軸で前記ア−ム
(208)に一端部を枢着し、他方の端部をレバ−支軸
(83)に枢着されているア−ム(209)の中途部に枢着
した第2リンク板(85b)とからなる。 【0045】しかも、第1リンク機構(81)は、レバ−
支軸(83)に枢支されたア−ム(209)に基端を枢着す
る第1伸縮リンク(81a)の先端部と、基端を副変速シ
フタ軸(84)に枢支した第1ア−ム(81b)の中途部と
を屈曲自在に連結し、第1伸縮リンク(81a)の先端部
に長手方向に長孔(81c)を設けて、その長孔(81c)
に、第1ア−ム(81b)の中途部に取付けた連結ピン
(81d)を係合させて構成されており、また、これと同
様に、第2リンク機構(82)も、レバ−支軸(83)に枢
支されたア−ムに基端を枢着する第2伸縮リンク(82
a)の先端部と、基端を副変速シフタ軸(84)に枢支し
た第2ア−ム(82b)の中途部とを屈曲自在に連結し
て、第2伸縮リンク(82a)の先端部に長手方向に長孔
(82c)を設け、その長孔(82c)に、第2ア−ム(8
2b)の中途部に取付けた連結ピン(82d)を係合させ
て構成されている。 【0046】さらに、第1ア−ム(81b)の先端には、
後端側が切欠された係止部(81e)を設け、その係止部
(81e)が第2ア−ム(82b)の先端部に設けたワイヤ
連結ピン(86)の伸延端に係わり合うように構成してい
る。 【0047】従って、かかる強制切換リンク機構(20
7)は、以下のように作用する。強制切換レバ−(20
6)を上方(図11の「入」方向)へ回動すると、第2
リンク機構(82)の第2伸縮リンク(82a)が中折れ状
態に伸縮作動し、第2伸縮リンク(82a)の先端に連結
した第2ア−ム(82b)が前方へ回動され、第2ア−ム
(82b)の先端部に連結された切換ワイヤ(93)が前方
へ摺動されて、操作機構(202)の押圧ロ−ラ(53)が
増速切換操作板(54)と対応する連係位置に位置され、
また、高低速切換レバ−(205)は低速側に位置させら
れる。故に、この場合に、操舵ハンドル(71)が切られ
ると、それに連動して押圧ロ−ラ−(53)も揺動し、操
作板(54)を押圧して移動して増速切換機構(201)を
作動させることができるのであり、低速状態で前輪(1)
を倍速駆動して旋回することができる。 【0048】また、強制切換レバ−(206)を下方(図
11の「切」方向)へ回動すると、上記とは反対に、第
2伸縮リンク(82a)が直状に伸長作動すると共に、第
2ア−ム(82b)を後方へ回動させ、第2ア−ム(82
b)の先端部に連結された切換ワイヤ(93)が付勢スプ
リング(96)の付勢力に抗して後方へ引張摺動されて、
操作機構(202)の押圧ロ−ラ−(53)が増速切換操作
板(54)に対応しない非連係位置に移動されるので、こ
の場合には、操舵ハンドル(71)が舵取り操作されても
増速切換機構(201)は「切」状態に保たれ、前後輪
(1)(2)が略等速状態、すなわち、標準状態での機体の
旋回が行われる。 【0049】そして、上記強制切換レバ−(206)を
「入」の状態にすると、上記第2ア−ム(82b)の先端
部に設けたワイヤ連結ピン(86)の伸延端が第1ア−ム
(81b)の係止部(81c)に係止して、第1ア−ム(8
1b)も前方へ回動作動させ、第1ア−ム(81b)に連
動連結した第1伸縮リンク(81a)及びレバ−リンク
(85)を介して高低速切換レバ−(205)を低速切換位
置に前方回動させるものである。 【0050】かかる状態から、高低速切換レバ−(20
5)を高速切換位置に後方回動作動させると、レバ−リ
ンク(85)を介して第1伸縮リンク(81a)が伸長作動
して第1ア−ム(81b)を後方へ回動作動させるととも
に、その第1ア−ム(81b)の係止部(81e)を介して
第2ア−ム(82b)も一緒に後方へ回動させて、増速切
換機構(201)を「切」の状態とするものである。 【0051】次に、強制切換レバ−(206)を「切」の
状態にしておくと、高低速切換レバ−(205)を低速側
又は高速側へ切換操作しても、第1リンク(81a)の伸
縮作動及び第1ア−ム(81b)の前後回動も、何ら第2
ア−ム(82b)と連動することがなく、増速切換機構
(201)は「切」の状態に保たれるのである。 【0052】また、図11中の(87)は警報ランプ又は
警報ブザ−等の警報手段、(88)は強制切換レバ−(2
06)の入り位置を検出する接点スイッチ等の検出手
段、(89)は作動ア−ムであり、強制切換レバ−(20
6)を「入」の状態にすると作動ア−ム(89)が連動し
て検出手段(88)を接続状態とし、警報手段(87)を点
燈させてオペレ−タに注意を喚起するものである。な
お、検出手段(88)は、増速切換操作板(54)の作動に
連動して接続し、警報手段(87)が点燈するようにして
もよい。 【0053】このように、増速切換機構(201)が低速
時に「入」の状態となる場合には、警報手段(87)であ
る警報ランプ、又は警報ブザ−によりオペレ−タ−の注
意を喚起して、操作上の安全を保つことができるように
するとよい。 【0054】 【発明の効果】本発明によれば、道路上等で旋回を行う
場合に、高速走行中であれば、増速切換機構は働かない
ので、前輪は倍速旋回することがなく安全走行を確保で
き、また、強制切換リンク機構を操作して、低速切換時
のみ増速切換機構が増速するようにしておけば、高低速
切換レバ−を操作して低速切換えを行うと共に、旋回操
作を行うと、増速切換機構が増速作動して、本機を急旋
回させることちができる。 【0055】また、傾斜地等においては、強制切換リン
ク機構を操作して、低速切換時にも増速切換機構が増速
作動しないようにしておけば、高低速切換レバ−による
低速切換操作と共に旋回操作を行っても、増速切換機構
が増速作動しないため、本機は急旋回せず、同本機が傾
斜地等にあっても転倒する危険がなくなる。 【0056】しかして、本発明においては、増速切換機
構をフロントアクスルケ−スから後方に延出する筒状ケ
−シング内に設置し、その増速切換機構の伝動体勢切換
具である揺動ホ−クの支持軸を筒状ケ−シングの後方寄
り部位に配設する一方で、前輪操舵機構のピットマンア
−ム支持軸を筒状ケ−シングの後方位に配設し、ピット
マンア−ム支持軸と前記揺動ホ−クの支持軸との間を、
ピットマンア−ム支持軸の軸芯に沿う方向の掛け外し動
作で連係状態と非連係状態とに切り換えられる操作機構
によって連係し、操作機構の前記掛け外し動作を、駆動
機構を低速駆動状態・高速駆動状態に切り換える高低速
切換レバ−及び増速切換機構を強制的に「入」「切」す
る強制切換レバ−の切換動作に連動させて、増速切換機
構の増速駆動が前記駆動機構の低速駆動状態のもとで行
われ、かつ、駆動機構が低速駆動状態にあっても強制切
換レバ−の切換により増速切換機構の増速駆動解除が強
制的に行われるようにしているから、増速切換機構の切
換動作部を作動する操作機構と前輪操舵機構との連係が
簡潔になって機枠の下腹部にコンパクトに纏まり、増速
切換機構とその操作機構との連係部などのメンテナンス
が容易になるとともに、連係部と前記駆動機構の変速操
作機構との連係も容易になる。 【0057】また、上述の連係部と、増速切換機構の切
換動作部との間を連繋する前記操作機構に衝撃吸収機構
を設けることによって、連係部側の故障などに起因し増
速切換機構に無理な力がかかって同機構が損壊するよう
な事態になることが未然に回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る前輪舵取り車両(トラクタ−)の
側面図である。 【図2】同車両の駆動系統図である。 【図3】増速切換機構の配置説明図である。 【図4】増速切換機構の拡大構造説明図である。 【図5】操作機構の構造説明図である。 【図6】同操作機構の拡大説明図である。 【図7】同操作機構の拡大説明図である。 【図8】操舵機構の側面図である。 【図9】同背面図である。 【図10】同平面図である。 【図11】強制切換リンク機構の拡大説明図である。 【図12】同リンク機構の展開説明図である。 【図13】図12の1−1線で切断し矢印方向にみた断
面図である。 【符号の説明】 5 駆動機構(主変速装置) 6 駆動機構(副変速装置) 11 前輪駆動系 21 フロントアクスルケ−ス 50 ピットマンア−ム支点軸84a ミッションケ−ス201 増速切換機構202 操作機構203 前輪操舵機構204 衝撃吸収機構
側面図である。 【図2】同車両の駆動系統図である。 【図3】増速切換機構の配置説明図である。 【図4】増速切換機構の拡大構造説明図である。 【図5】操作機構の構造説明図である。 【図6】同操作機構の拡大説明図である。 【図7】同操作機構の拡大説明図である。 【図8】操舵機構の側面図である。 【図9】同背面図である。 【図10】同平面図である。 【図11】強制切換リンク機構の拡大説明図である。 【図12】同リンク機構の展開説明図である。 【図13】図12の1−1線で切断し矢印方向にみた断
面図である。 【符号の説明】 5 駆動機構(主変速装置) 6 駆動機構(副変速装置) 11 前輪駆動系 21 フロントアクスルケ−ス 50 ピットマンア−ム支点軸84a ミッションケ−ス201 増速切換機構202 操作機構203 前輪操舵機構204 衝撃吸収機構
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.ミッションケ−ス(84a)内の駆動機構(5)(6)か
らフロントアクスルケ−ス(21)側に動力伝達する前輪
駆動系(11)に増速切換機構(201)を設け、この増速
切換機構(201)の伝動体勢切換具を操作機構(202)
によって前輪操舵機構(203)に連係させて、前輪操舵
機構(203)が直進状態から設定角度以上に操向操作さ
れると増速切換機構(201)が増速駆動側に切り換え作
動されるように構成する前輪舵取り車両の前輪変速操作
装置において、前記増速切換機構(201)をフロントア
クスルケ−ス(21)から後方に延出する筒状ケ−シング
(20)内に設置し、その増速切換機構(201)の伝動体
勢切換具である揺動ホ−ク(36)の支持軸(35)を筒状
ケ−シング(20)の後方寄り部位に配設する一方で、前
輪操舵機構(203)のピットマンア−ム支持軸(50)を
筒状ケ−シング(20)の後方位に配設し、ピットマンア
−ム支持軸(50)と前記揺動ホ−ク(36)の支持軸(3
5)との間を、ピットマンア−ム支持軸(50)の軸芯に
沿う方向の掛け外し動作で連係状態と非連係状態とに切
り換えられる操作機構(202)によって連係し、操作機
構(202)の前記掛け外し動作を、駆動機構(5)(6)を
低速駆動状態・高速駆動状態に切り換える高低速切換レ
バ−(205)及び増速切換機構(201)を強制的に
「入」「切」する強制切換レバ−(206)の切換動作に
連動させて、増速切換機構(201)の増速駆動が前記駆
動機構(5)(6)の低速駆動状態のもとで行われ、かつ、
駆動機構(5)(6)が低速駆動状態にあっても強制切換レ
バ−(206)の切換により増速切換機構(201)の増速
駆動解除が強制的に行われるようにしてある前輪舵取り
車両の前輪変速操作装置。 2.ミッションケ−ス(84a)内の駆動機構(5)(6)か
らフロントアクスルケ−ス(21)側に動力伝達する前輪
駆動系(11)に増速切換機構(201)を設け、この増速
切換機構(201)の伝動体勢切換具を操作機構(202)
によって前輪操舵機構(203)に連係させて、前輪操舵
機構(203)が直進状態から設定角度以上に操向操作さ
れると増速切換機構(201)が増速駆動側に切り換え作
動されるように構成する前輪舵取り車両の前輪変速操作
装置であって、前記増速切換機構(201)をフロントア
クスルケ−ス(21)から後方に延出する筒状ケ−シング
(20)内に設置し、その増速切換機構(201)の伝動体
勢切換具である揺動ホ−ク(36)の支持軸(35)を筒状
ケ−シング(20)の後方寄り部位に配設する一方で、前
輪操舵機構(203)のピットマンア−ム支持軸(50)を
筒状ケ−シング(20)の後方位に配設し、ピットマンア
−ム支持軸(50)と前記揺動ホ−ク(36)の支持軸(3
5)との間を、ピットマンア−ム支持軸(50)の軸芯に
沿う方向の掛け外し動作で連係状態と非連係状態とに切
り換えられる操作機構(202)によって連係し、操作機
構(202)の前記掛け外し動作を、駆動機構(5)(6)を
低速駆動状態・高速駆動状態に切り換える高低速切換レ
バ−(205)及び増速切換機構(201)を強制的に
「入」「切」する強制切換レバ−(206)の切換動作に
連動させて、増速切換機構(201)の増速駆動が前記駆
動機構(5)(6)の低速駆動状態のもとで行われ、かつ、
駆動機構(5)(6)が低速駆動状態にあっても強制切換レ
バ−(206)の切換により増速切換機構(201)の増速
駆動解除が強制的に行われるようにしたものにおいて、
前記操作機構(202)に衝撃吸収機構(204)を設けて
ある前輪舵取り車両の前輪変速操作装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25932798A JP3155739B2 (ja) | 1987-06-09 | 1998-08-27 | 前輪舵取り車両の前輪変速操作装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25932798A JP3155739B2 (ja) | 1987-06-09 | 1998-08-27 | 前輪舵取り車両の前輪変速操作装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3117457A Division JPH07100453B2 (ja) | 1991-05-22 | 1991-05-22 | 増速切換機構を具備する前輪舵取り車両における強制切換リンク機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11198673A JPH11198673A (ja) | 1999-07-27 |
JP3155739B2 true JP3155739B2 (ja) | 2001-04-16 |
Family
ID=17332560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25932798A Expired - Fee Related JP3155739B2 (ja) | 1987-06-09 | 1998-08-27 | 前輪舵取り車両の前輪変速操作装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3155739B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4704744B2 (ja) * | 2004-02-26 | 2011-06-22 | ヤンマー株式会社 | トラクタ |
-
1998
- 1998-08-27 JP JP25932798A patent/JP3155739B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11198673A (ja) | 1999-07-27 |
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