JP3155218B2 - 液晶表示板用スペーサー、その製造方法および液晶表示板 - Google Patents

液晶表示板用スペーサー、その製造方法および液晶表示板

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JP3155218B2 JP35164496A JP35164496A JP3155218B2 JP 3155218 B2 JP3155218 B2 JP 3155218B2 JP 35164496 A JP35164496 A JP 35164496A JP 35164496 A JP35164496 A JP 35164496A JP 3155218 B2 JP3155218 B2 JP 3155218B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動や衝撃による
スペーサー周囲の光抜けの増大が起きにくい液晶表示板
用スペーサー、その製造方法および液晶表示板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示板(LCD)は、2枚の対向す
る電極基板、前記電極基板間に介在するスペーサーおよ
び液晶物質から構成されている。スペーサーは、液晶層
の厚みを均一かつ一定に保つために使用され、たとえ
ば、ゾル−ゲル法で製造したシリカ粒子(特開昭62−
269933号公報)、前記シリカ粒子を焼成したもの
(特開平1−234826号公報)、スチレン系単量体
やジビニルベンゼン系単量体等を懸濁重合させて得られ
るスチレン系やジビニルベンゼン系のポリマー粒子(特
開昭61−95016号公報)等がある。
【0003】液晶表示板においては、スペーサー周囲で
光抜けが起こるという現象がある。光抜けは、液晶分子
とスペーサー表面の相互作用により、スペーサー周囲の
液晶の配向が乱れ、スペーサー周囲に一種の光透過空間
が生じることから起こる。近年、テレビ、モニター、ノ
ートパソコン、ワープロ等の用途において、その表示面
積が大きくなったり(たとえば、11インチ以上)、ま
た、自動車積載用のカーナビゲーションやテレビ等の用
途において、その表示面積が大きくなるに従って、液晶
表示板に加わる振動や衝撃によって、スペーサー周囲の
光抜けの面積が大きくなり、液晶表示板の表示品位が低
下する問題がある。したがって、液晶表示板が振動や衝
撃を受けても、スペーサー周囲の光抜け増大を防止する
ことが重要となっている。
【0004】これとは別に、液晶表示板の実用に際して
要求される重要な表示性能として、高速応答性、高コン
トラスト性、広視野角性等が挙げられている。これら諸
性能の実現のためには、液晶層の厚み、つまり、2枚の
電極基板の隙間距離(セルギャップ)を厳密に一定に保
持しなければならない。そのために使用されるスペーサ
ーは、従来、スペーサーを溶媒中に分散させて基板上に
散布する(湿式散布法)ようにしていたが、この湿式散
布法では、スペーサーの分散に用いる溶媒による配向膜
の損傷や汚染、TFT素子への不純物混入が問題となる
ので、これらを防止するために、近年、溶媒を用いない
乾式散布が主流になっている。しかし、乾式散布法で
は、溶媒を用いないため、スペーサーの凝集が生じ易く
高分散性を維持しにくい。そのため、乾式散布法では、
スペーサー同士の凝集を低減させることが重要である。
凝集を防止することで、基板全体に均一な密度で散布す
ることができるようになり、液晶層の厚みを均一かつ一
定に保つことができるようになるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記第1の問題点の解
消、すなわち、振動や衝撃によるスペーサー周囲の光抜
け増大の防止は、乾式散布方法で得られた液晶表示板の
みでなく、湿式散布方法で得られた液晶表示板にも共通
する課題であり、上記第2の問題点、すなわち、スペー
サー同士の凝集を低減させることは乾式散布法に固有の
課題である。
【0006】スペーサー周囲の光抜けを防止する方法と
しては、スペーサーの表面エネルギーを30dyn/c
m以下にする方法(特開平2−297523号公報、特
開平3−293327号公報)、スペーサーの表面をシ
ランカップリング剤等で処理する方法(特開昭64−5
9212号公報、特開平6−11719号公報)、垂直
配向処理剤で処理する方法(特開平2−15847号公
報、特開平4−177324号公報、特開平5−232
478号公報)、スペーサーの表面を表面エネルギーの
小さいシランカップリング剤からなる薄膜で被覆する方
法(特開平6−180456号公報)、粒子表面の表面
張力と比べて、小さい表面張力を有する層と大きい表面
張力を有する層の両方をスペーサーの表面に露出させる
方法(特開平8−190098号公報)等が知られてい
る。以上の方法は、いずれも、スペーサーの表面を改質
して光抜けを防止するものである。
【0007】上記公知技術では、下記1)〜3)に示す
問題があり、振動や衝撃が加わった時のスペーサー周囲
の光抜けの増大を防止するものではない。 1)上記公報に記載の方法で得られたスペーサーは、い
ずれについても、粒子表面に形成された、シランカップ
リング剤、有機変性トリアルコキシシラン等からなる膜
にはシラノール基が多く残存し易い。残存シラノール基
が多すぎると、液晶分子との強い相互作用が生じ、振動
や衝撃が加わった時のスペーサー周囲の光抜けの増大を
防止できにくくなる。しかも、膜中のシラノール基の縮
合や水素結合等によって粒子同士の凝集が生じやすくな
るため、乾式散布法を採用する時には、散布性(分散
性、散布密度等)が劣ることになり、セルギャップが不
均一となってLCDの表示品位が低下したりする。
【0008】2)特開平6−11719号、特開平4−
177324号、特開平5−232478号、特開平6
−180456号の各公報に記載の方法で得られた有機
ポリマー系粒子からなるスペーサーの場合は、表面張力
の小さい化合物からなる膜は粒子表面と強固に結合しな
いため、膜が剥離し易くなり、剥離した膜が不純物とな
って混入する。このため、振動や衝撃が加わった時にス
ペーサー周囲の光抜けが増大し、セルギャップの不均一
性が増えてLCDの表示品位が低下する。乾式散布時に
おいては特に、その装置中の配管やメッシュとの接触や
衝突により、膜の剥離が顕著となる。一方、特開平2−
297523号、特開平3−293327号、特開昭6
4−59212号、特開平2−15847号、特開平5
−232478号の各公報に記載の方法で得られた無機
系粒子からなるスペーサーの場合は、硬いために配向膜
に傷が生じ、光抜けが顕著に増大する。
【0009】3)前記特開平8−190098号公報の
技術でスペーサーを製造するにあたっては、表面張力の
小さい層と大きい層のバランスをすべての粒子に均一に
制御するのが困難であるために、セルギャップが不均一
になったり、振動や衝撃が加わった時のスペーサー周囲
の光抜けの増大を防止できなかったりして、LCDの表
示品位が低下する。また、乾式散布性も安定しない。
【0010】本出願人は、最近、10%圧縮弾性率が6
00〜3000kg/mm2 、10%変形後の残留電位
が0〜5%、コロナ帯電1分後の帯電保持率が65%以
下である粒子を特許出願した(特願平8−20229
号)。この粒子は、スペーサー周囲の光抜けの少ない液
晶表示板用スペーサーとなり得るものである。本出願人
が先に開発したこのスペーサー粒子は、振動や、衝撃が
小さい時はそれなりの光抜け防止効果を有していた。し
かし、たとえば、11インチ以上の表示面積の大型液晶
表示板に、振動や、衝撃が大きくかかった時は、スペー
サー周囲の光抜けが増大し、コントラストの低下等の表
示品位が低下し、表示ディバイスとしては使用できない
という問題を有することがわかった。
【0011】そこで、本発明の課題は、振動や衝撃が加
わっても自身の周囲の光抜けが増大しにくくい液晶表示
板用スペーサーと、その製造方法と、振動や衝撃が加わ
ってもスペーサー周囲の光抜けが増大しにくい液晶表示
板とを提供することを課題とする。なお、本発明のスペ
ーサーは、湿式、乾式のいずれの散布方法であっても使
用することが可能であるが、乾式散布して用いる場合
に、スペーサーの凝集がなく、均一に散布することもで
きるので、乾式散布法に特に適する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、スペーサー表面の状態と光抜けとの
関係について、再度検討してみた。その結果、コロナ帯
電保持率が低いスペーサーでは、振動や衝撃が加わると
スペーサー周囲の光抜けが増大していくのに対して、コ
ロナ帯電保持率が高いスペーサーでは、光抜けの増大が
防止できることがわかり、コロナ帯電保持率と、振動や
衝撃が加わった時のスペーサー周囲の光抜けの増大との
関係について詳しく研究した結果、スペーサーのコロナ
帯電5分後の帯電保持率が特定範囲以上であると、振動
や衝撃が加わっても自身の周囲の光抜けが増大しにくく
なることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の液晶表示板用スペーサ
ーは、コロナ帯電5分後の帯電保持率が0%以上であ
る。本発明の液晶表示板用スペーサーの製造方法は、原
料粒子の表面を、下記一般式(1)で示されるシラン化
合物(1)、および、下記一般式(2)で示されるシラ
ン化合物(2)からなる群の中から選ばれた少なくとも
1種のシリコン化合物で処理する処理工程を含む液晶表
示板用スペーサーの製造方法である
【0014】R12 SiX2 …(1) (但し、R1 は、アルキル基の水素原子の少なくとも1
個がフッ素原子で置換されてなるフルオロアルキル基、
炭素数6〜20のアルキル基、アルケニル基およびアリ
ール基からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の1
価の基であり;R 2 は、炭素数1〜5のアルキル基、ア
ルケニル基および炭素数6〜20のアリール基からなる
群の中から選ばれた少なくとも1種の1価の基であり;
Xは、1価の加水分解性基であり、2つあるXは互いに
同じであってもよく、異なっていてもよい。) R345 SiX …(2) (但し、R3 〜R5 は、アルキル基、アルケニル基、ア
リール基およびこれら基の水素原子の少なくとも1個を
フッ素原子で置換したフルオロアルキル基からなる群の
中から選ばれた少なくとも1種の1価の基であり;X
は、1価の加水分解性基であり、前記一般式(1)中の
Xと同じであってもよく、異なっていてもよい。) 本発明の液晶表示板は、電極基板間に介在させるスペー
サーとして、上記液晶表示板用スペーサーが用いられて
なる。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の液晶表示板用スペ
ーサーについて説明する。液晶表示板用スペーサー :本発明の液晶表示板用スペー
サーは、コロナ帯電5分後の帯電保持率が60%以上で
ある。5分後の帯電保持率が60%以上であると、振動
や衝撃が加わった時におけるスペーサー周囲での光抜け
の増大を防止することができる。振動や衝撃による光抜
けの増大をより防止するためには、上記帯電保持率は、
好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さ
らに好ましくは85%以上である。
【0016】なお、上記帯電保持率の測定方法は、後述
の実施例に記載された装置を用いた方法を採用できる。
本発明の液晶表示板用スペーサーの流動性は、特に限定
はされないが、スペーサーの乾式散布性を向上させるた
めには、たとえば、30%以上、好ましくは40%以
上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは60%
以上である。流動性が30%より小さいと、スペーサー
が凝集しやすくなり、スペーサーの凝集物がそのまま電
極基板上に散布されてしまう傾向がある。また、液晶表
示板に用いる場合、その隙間距離を均一かつ一定に保持
することができなくなる傾向がある。前記のように、一
般に、乾式散布法では、溶媒を使用しないため、スペー
サーの凝集が生じ易くて高分散性を維持しにくい傾向が
あるが、スペーサーを構成する粒子の流動性が30%以
上であれば、スペーサーが凝集しにくく分散性が高くな
り、乾式散布条件におけるわずかな条件調整で容易に乾
式散布性が向上するので、このようなスペーサーを用い
ると、より高表示品位の液晶表示板を得ることができ
る。
【0017】なお、本発明におけるスペーサーの流動性
の定義や、その測定方法は、後述の実施例に記載される
方法が採用される。スペーサーの平均粒子径は、特に限
定はされないが、たとえば、0.5〜25μmであり、
好ましくは1〜22μm、より好ましくは1〜20μ
m、さらに好ましくは1〜18μmである。上記範囲を
外れると、液晶表示板用スペーサーとしては用いられに
くくなる。
【0018】本発明の液晶表示板用スペーサーは、電極
基板の隙間距離の均一性の面から、たとえば、15%以
下、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、
さらに好ましくは6%以下、最も好ましくは5%以下の
粒子径変動係数を有する。粒子径の変動係数が15%を
超えると、液晶表示板に使用した場合、液晶層の厚みを
均一かつ一定に保持することが困難となり、画像ムラを
起こしやすくなる傾向がある。
【0019】なお、本発明における、平均粒子径および
粒子径変動係数の定義や、その測定方法は、後述の実施
例に記載されるものが採用される。本発明の液晶表示板
用スペーサーの形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破
砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子形状で良
く、特に限定されないが、隙間距離を均一に一定とする
上で球状が好ましい。これは、スペーサーが球状である
と、すべてまたはほぼすべての方向について一定または
ほぼ一定の粒径を有するからである。
【0020】本発明の液晶表示板用スペーサーは、特に
乾式散布法で使用すると、凝集しにくいので適している
が、湿式散布法で使用することもできる。本発明の液晶
表示板用スペーサーの構成成分としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、有機架橋重合体;無機系物質;ま
たは有機質および無機質からなる複合体等が挙げられ
る。これらの中でも、有機架橋重合体または複合体が、
電極基板、配向膜またはカラーフィルターの損傷が防止
され、ギャップの均一性が得られやすくなるため好まし
い。
【0021】前記有機架橋重合体としては、特に限定は
されないが、たとえば、ベンゾグアナミン、メラミンお
よび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の
アミノ化合物、または、ベンゾグアナミンとホルムアル
デヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂の硬化
体;ジビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル
単量体と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋体
等が挙げられる。
【0022】前記無機系物質としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ガラス、シリカ、アルミナ等が挙げ
られる。前記複合体は、有機質部分と無機質部分とから
なる複合体である。この複合体において、前記無機質部
分の割合は、特に限定はされないが、たとえば、前記複
合体の重量に対して、無機酸化物換算で、好ましくは1
0〜90wt%、より好ましくは25〜85wt%、よ
り好ましくは30〜80wt%の範囲である。無機質部
分の割合を示す無機酸化物換算とは、複合体を空気中な
どの酸化雰囲気中で高温(たとえば1000℃)で焼成
した前後の重量を測定することにより求めた重量百分率
で示される。複合体の無機質部分の割合が、無機酸化物
換算で前記範囲を下回ると、複合体が軟らかくなり、電
極基板への散布個数が増えることがあり、また、前記範
囲を上回ると、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が
生じやすくなることがある。
【0023】このような複合体としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、有機ポリマー骨格と、前記有機ポ
リマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子
が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポリシ
ロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を構成
するSiO2 の量が25wt%以上からなる複合体等を
挙げることができる。
【0024】本発明の液晶表示板用スペーサーは、必要
に応じて、たとえば、着色剤を含むことで着色されたも
の(着色スペーサー)であってもよい。着色剤は、染料
および顔料からなる群から選ばれる少なくとも1つであ
る。スペーサーの色は、光が透過しにくいか、または、
光が透過しない色が、スペーサー自身の光抜けを防止で
き画質のコントラストを向上できるので好ましい。光が
透過しにくいか、または、光が透過しない色としては、
黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤などの色が挙
げられるが、特に好ましくは、黒、濃青または紺であ
る。なお、染料および/または顔料は、単にスペーサー
に含まれるものでもよく、あるいは、染料および/また
は顔料とスペーサーを構成するマトリックスとが化学結
合によって結び付けられた構造を有するものでもよい。
【0025】また、スペーサーを、基板上に固着させて
移動しにくくすることで液晶表示板の画質を向上させる
ために、必要に応じて、本発明のスペーサーの表面の少
なくとも一部が接着層で被覆されたもの(接着性スペー
サー)であってもよい。また、この接着層の少なくとも
一部がスペーサー表面と化学結合していても良い。接着
層としては特に限定はないが、熱可塑性樹脂を含む層が
好ましい。
【0026】前記接着層の厚みは、特に限定はされない
が、通常、0.01〜2μmの範囲、好ましくは0.0
5〜0.5μmの範囲である。厚みが上記範囲より小さ
いと、接着性が低下するおそれがあり、また、厚みが上
記範囲より大きいと、配向膜やカラーフィルター等を覆
う面積が広くなって、液晶表示板の表示品位が低下する
恐れがある。
【0027】前記接着層に含まれる熱可塑性樹脂として
は、電極基板などに対して接着剤として作用するもので
あれば、特に限定されることはないが、接着性をより向
上させる観点からは、(メタ)アクリル系樹脂および
(メタ)アクリル−スチレン系樹脂からなる群の中から
選ばれた少なくとも1種が最も好ましい。熱可塑性樹脂
は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよ
い。
【0028】熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好まし
くは40〜100℃、より好ましくは45〜90℃、さ
らに好ましくは50〜80℃である。また、熱可塑性樹
脂の融解開始温度は、好ましくは50〜160℃、より
好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜1
40℃である。ガラス転移温度や融解開始温度が低い
と、接着性スペーサーが貯蔵中に融着等を起こしたり、
乾式散布性が悪くなる場合がある。一方、ガラス転移温
度や融解開始温度が高いと、液晶表示板を組み立てる際
の加熱加圧時に、接着層に含まれる熱可塑性樹脂が溶融
しにくく、そのため、電極基板との接着性が不充分とな
る場合がある。
【0029】熱可塑性樹脂は、染料および顔料からなる
群から選ばれる少なくとも1つ等を含むことで着色され
ていてもよい。本発明の液晶表示板用スペーサーを製造
する方法については、特に限定されないが、好ましいも
のとして、以下に詳しく説明する製造方法を挙げること
ができる。液晶表示板用スペーサーの製造方法 :本発明の液晶表示
板用スペーサーの製造方法は、シラン化合物(1)、シ
ラン化合物(2)およびシラザン類からなる群の中から
選ばれた少なくとも1種のシリコン化合物で、原料粒子
の表面を処理する処理工程を含む。
【0030】シラン化合物(1)は、前記一般式(1)
で示される構造を有する。ここで、R1 は、アルキル基
の水素原子の少なくとも1個がフッ素原子で置換されて
なるフルオロアルキル基、炭素数6〜20のアルキル
基、アルケニル基およびアリール基からなる群の中から
選ばれた少なくとも1種の1価の基である。R2 は、炭
素数1〜5のアルキル基、アルケニル基および炭素数6
〜20のアリール基からなる群の中から選ばれた少なく
とも1種の1価の基である。また、Xは1価の加水分解
性基であり、2つあるXは互いに同じであってもよく、
異なっていてもよい。
【0031】前記一般式(1)中、R1 の一例であるフ
ルオロアルキル基としては、特に限定はされないが、た
とえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシ
ル基、トリデシル基、ヘプタデシル基、ヘキサデシル
基、オクタデシル基等のアルキル基の水素原子の1個以
上をフッ素原子で置換したフルオロアルキル基が挙げら
れる。
【0032】R1 の他の例である炭素数6〜20のアル
キル基としては、特に限定はされないが、たとえば、ヘ
キシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル
基、トリデシル基、ヘプタデシル基、ヘキサデシル基、
オクタデシル基等が挙げられる。R1 の他の例である炭
素数6〜20のアルケニル基としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙
げられる。
【0033】R1 の他の例である炭素数炭素数6〜20
のアリール基としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基
等が挙げられる。R1 が、フルオロアルキル基、炭素数
8〜15のアルキル基であると、得られるスペーサーの
コロナ帯電5分後の帯電保持率が高くなるため好まし
く、炭素数3〜18のフルオロアルキル基、炭素数8〜
12のアルキル基であるとより好ましい。さらに、R1
がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル
基であると最も好ましい。
【0034】前記一般式(1)中、R2 の一例である炭
素数1〜5のアルキル基としては、特に限定はされない
が、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基等が挙げられる。R2 の他の例である
炭素数1〜5のアルケニル基としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ビニル基、プロペニル基等が挙げら
れる。
【0035】R2 の他の例である炭素数6〜20のアリ
ール基としては、特に限定はされないが、たとえば、R
1 の一例のアリール基として例示したものが挙げられ
る。R 2 が、メチル基、エチル基であると、後述の原料
粒子が処理され易くなるため好ましい。前記一般式
(1)中、2つあるXは、互いに同じであってもよく、
異なっていてもよい。Xとしては特に限定はされない
が、たとえば、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基お
よびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも1
種の基が挙げられる。中でも、Xが、炭素数1〜5のア
ルコキシ基と炭素数2〜5のアシロキシ基とからなる群
から選ばれる少なくとも1種の基であると、加水分解副
生成物が容易に除去でき、帯電保持率に悪影響を及ぼさ
ないため好ましい。
【0036】シラン化合物(1)の具体例は、上記の基
を有するものであれば、特に限定はされないが、たとえ
ば、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキ
シシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジ
クロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−
テトラヒドロオクチル)メチルジメトキシシラン、n−
オクチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジ
メトキシシラン、n−ドデシルメチルジメトキシシラン
等が挙げられる。
【0037】シラン化合物(2)は、前記一般式(2)
で示される構造を有する。ここで、R3 〜R5 は、アル
キル基、アルケニル基、アリール基およびこれら基の水
素原子の少なくとも1個をフッ素原子で置換したフルオ
ロアルキル基からなる群の中から選ばれた少なくとも1
種の1価の基である。Xは、1価の加水分解性基であ
り、前記一般式(1)中のXと同じであってもよく、異
なっていてもよい。
【0038】前記一般式(2)中、R3 〜R5 の一例で
あるアルキル基としては、特に限定はされないが、たと
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル
基、トリデシル基、ヘプタデシル基、ヘキサデシル基、
オクタデシル基等のアルキル基が挙げられる。R3 〜R
5 の他の例であるアリール基としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、R1 の一例のアリール基として例示
したものが挙げられる。
【0039】R3 〜R5 の他の例であるアルケニル基と
しては、特に限定はされないが、たとえば、R1 や、R
2 の一例のアルケニル基として例示したものが挙げられ
る。前記R3 〜R5 が、炭素数1〜10のアルキル基、
アルケニル基、アリール基およびこれら基の水素原子の
少なくとも1個をフッ素原子で置換したフルオロアルキ
ル基であると、原料粒子表面が処理され易くなるため好
ましい。
【0040】前記一般式(2)中、加水分解性基Xは、
一般式(1)中の2つあるXのいずれかと同じであって
もよく、一般式(1)中のXと異なるものであってもよ
い。加水分解性基Xとしては、特に限定はされないが、
たとえば、前記一般式(1)の加水分解性基Xとして例
示したものが挙げられ、好ましい例示も前記と同様であ
る。
【0041】シラン化合物(2)の具体例は、上記の基
を有するものであれば、特に限定はされないが、たとえ
ば、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシ
ラン、トリフェニルシラノール、トリ−n−ヘキシルク
ロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジ
メチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロ
ピル)ジメチルメトキシシラン、(トリデカフルオロ−
1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルメト
キシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、トリベ
ンジルクロロシラン等が挙げられる。
【0042】シラザン類としては、特に限定はされない
が、たとえば、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,
3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げ
られる。上記シラン化合物(1)および(2)が、フッ
素原子を含むシラン化合物であると、得られるスペーサ
ーのコロナ帯電5分後の帯電保持率が高くなるため好ま
しい。
【0043】原料粒子としては、特に限定はされない
が、たとえば、有機架橋重合体粒子、無機系粒子、有機
質および無機質からなる複合体粒子等が挙げられる。こ
れらの中でも、スペーサーの本体を構成する粒子が、有
機架橋重合体粒子または複合体粒子であると、電極基
板、配向膜またはカラーフィルターの損傷が防止され、
ギャップの均一性が得られやすくなるため好ましく、後
述のシリコン化合物で表面処理されやすい点で複合体粒
子が好ましい。
【0044】前記有機架橋重合体粒子としては、特に限
定はされないが、たとえば、ベンゾグアナミン、メラミ
ンおよび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1
種のアミノ化合物、または、ベンゾグアナミンとホルム
アルデヒドとから縮合反応により得られるアミノ樹脂の
硬化粒子(特開昭62−068811号公報参照);ジ
ビニルベンゼンを単独で重合あるいは他のビニル単量体
と共重合させて得られるジビニルベンゼン架橋樹脂粒子
(特開平1−144429号公報参照)等が挙げられ
る。
【0045】前記無機系粒子としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ガラス、シリカ、アルミナ等の球状
微粒子等が挙げられる。前記複合体粒子は、有機質部分
と無機質部分とからなる複合体粒子である。この複合体
粒子において、前記無機質部分の割合は、特に限定はさ
れないが、たとえば、前記複合体粒子の重量に対して、
無機酸化物換算で、好ましくは10〜90wt%、より
好ましくは25〜85wt%、より好ましくは30〜8
0wt%の範囲である。無機質部分の割合を示す無機酸
化物換算とは、複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気中
で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量を
測定することにより求めた重量百分率で示される。複合
体粒子の無機質部分の割合が、無機酸化物換算で前記範
囲を下回ると、複合体粒子が軟らかくなり、電極基板へ
の散布個数が増えることがあり、また、前記範囲を上回
ると、硬すぎて配向膜の損傷やTFTの断線が生じやす
くなることがある。
【0046】このような複合体粒子としては、特に限定
はされないが、たとえば、有機ポリマー骨格と、前記有
機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素
原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子内に有するポ
リシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロキサン骨格を
構成するSiO2 の量が25wt%以上であり、0.5
μm以上の平均粒子径を有する複合体粒子A等を挙げる
ことができる。複合体粒子Aが、G≧14・Y1.75(こ
こで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子径〔mm〕を
示す)を満足する破壊強度であると好ましく、10%圧
縮弾性率が300〜2000kg/mm2 、10%変形後の
残留変位が0〜5%であるとさらに好ましい。複合体粒
子Aは、以下でも述べるが、染料および/または顔料を
含むことで着色されていてもよい。
【0047】複合体粒子Aの製造方法については、特に
限定されないが、たとえば、下記に示す縮合工程と重合
工程と熱処理工程とを含む製造方法が挙げられる。縮合
工程は、ラジカル重合性基含有第1シリコン化合物を用
いて加水分解・縮合する工程である。 第1シリコン化合物は、次の一般式(3):
【0048】
【化1】
【0049】(ここで、Ra は水素原子またはメチル基
を示し;Rb は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rc は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
と、次の一般式(4):
【0050】
【化2】
【0051】(ここで、Rd は水素原子またはメチル基
を示し;Re は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル
基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの1価基を示す)と、次の一般式
(5):
【0052】
【化3】
【0053】(ここで、Rf は水素原子またはメチル基
を示し;Rg は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rh は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表
される化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる
少なくとも1つである。
【0054】重合工程は、縮合工程中および/または縮
合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させ
る工程である。熱処理工程は、重合工程で生成した重合
体粒子を800℃以下の温度で乾燥および焼成する工程
である。熱処理工程は、たとえば、10容量%以下の酸
素濃度を有する雰囲気中で行われる。
【0055】縮合工程、重合工程および熱処理工程から
選ばれる少なくとも1つの工程中および/または後に、
生成した粒子を着色する着色工程をさらに含んでいても
よい。原料粒子の表面を上述のシリコン化合物で処理す
る方法は、従来公知の方法が採用され、特に限定される
ものではないが、たとえば、以下に示す方法〜が挙
げられる。
【0056】 シリコン化合物を含む処理液中に原料
粒子を浸漬した後、そのまま、または、濾過した後、乾
燥する方法。 シリコン化合物を含む処理液を原料粒子に噴霧また
は混合し乾燥する方法。 シリコン化合物を気化させ、そのガスを原料粒子と
接触させる方法。
【0057】処理工程におけるシリコン化合物の使用量
は、特に限定されないが、原料粒子に対して、好ましく
は0.1〜100wt%、より好ましくは0.2〜50
wt%、さらに好ましくは0.5〜30wt%の範囲で
ある。前記範囲内であると、コロナ帯電5分後の帯電保
持率を60%以上にすることが容易に実現できるため好
ましい。シリコン化合物の量が0.1wt%より少ない
と、シリコン化合物での処理効率が低下し、コロナ帯保
持率が低下するおそれがある。シリコン化合物の量が1
00wt%より多いと、未反応のシリコン化合物が多量
に残存するため、乾式散布性が低下するおそれがある。
【0058】乾燥温度は40〜250℃が好ましく、6
0〜200℃がさらに好ましい。乾燥時間は10分〜1
2時間が好ましく、30分〜5時間がさらに好ましい。
これらの温度または時間が前記範囲を外れると、コロナ
帯電5分後の帯電保持率60%以上を実現できないおそ
れがある。また、減圧または真空乾燥すると、表面処理
が促進されるため好ましい。
【0059】シリコン化合物で表面処理することによっ
て、液晶表示板用スペーサーの表面は、シリコン化合物
の有していたフルオロアルキル基、アルキル基、アリー
ル基、アルケニル基等を有するようになると考えられ、
スペーサーをコロナ帯電させた際の帯電保持率が大きく
なり、振動や衝撃が加わってもスペーサー周囲の光抜け
が増大しにくくなる。さらに、シリコン化合物は、1官
能性または2官能性の有機ケイ素化合物であるため、表
面処理によって生じるシリコン化合物由来のもののシラ
ノール基は少なくなり、コロナ帯電保持率が大きくなる
と共に、シラノール基による凝集が発生しにくくなり、
乾式散布に特に適するようになる。
【0060】このように、シリコン化合物で処理した
後、残存のシリコン化合物や、塩酸、アルコール、カル
ボン酸等の副生成物を除去するため、水や、アルコール
等の溶媒で洗浄後、ろ過や、遠心分離等で分離し、解砕
して単粒子化することにより、液晶表示板用スペーサー
が得られる。原料粒子の表面は、前記処理工程に先立っ
て予め活性化処理されていると、シリコン化合物の表面
処理が促進されるため好ましい。活性化処理の方法とし
ては、特に限定はされないが、たとえば、低濃度の酸性
やアルカリ性の水溶液と接触させる方法や、オゾンや、
電子線、X線等を照射する方法等が挙げられる。特に、
原料粒子が、無機系粒子や、複合体粒子であると、低濃
度の酸性やアルカリ性の水溶液と接触させる方法は、原
料粒子の表面が容易に活性化され、シリコン化合物の表
面処理を効率よく行うことができるため好ましい。原料
粒子がケイ素を含む粒子であると、原料粒子の表面にシ
ラノール基(−SiOH)が生成するようになり、処理
工程をより効率よく行うことができるためさらに好まし
い。
【0061】次に、本発明にかかる液晶表示板について
説明する。液晶表示板 :本発明の液晶表示板は、従来の液晶表示板
において、従来のスペーサーの代わりに、上記で説明し
た本発明の液晶表示板用スペーサーを電極基板間に介在
させたものである。また、本発明の液晶表示板は、上記
で説明した本発明の製造方法で得られた液晶表示板用ス
ペーサーを電極基板間に介在させたものでもよい。
【0062】本発明の液晶表示板は、たとえば、第1電
極基板と第2電極基板と液晶表示板用スペーサーとシー
ル材と液晶とを備えている。第1電極基板は、第1基板
と、第1基板の表面に形成された第1電極とを有する。
第2電極基板は、第2基板と、第2基板の表面に形成さ
れた第2電極とを有し、第1電極基板と対向している。
液晶表示板用スペーサーは、第1電極基板と第2電極基
板との間に介在しており、本発明の液晶表示板用スペー
サーである。シール材は、第1電極基板と第2電極基板
とを周辺部で接着する。液晶は、第1電極基板と第2電
極基板とシール材とで囲まれた空間に充填されている。
【0063】本発明の液晶表示板には、電極基板、シー
ル材、液晶など、スペーサー以外のものは従来と同様の
ものが同様のやり方で使用することができる。電極基板
は、ガラス基板、フィルム基板などの基板と、基板の表
面に形成された電極とを有しており、必要に応じて、基
板の表面に電極を覆うように形成された配向膜をさらに
有する。シール材としては、エポキシ樹脂接着シール材
などが使用される。液晶としては、従来より用いられて
いるものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニルシ
クロヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、
安息香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキシル
カルボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン系、
ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘ
キサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘ
キセン系、フッ素系などの液晶が使用できる。
【0064】本発明の液晶表示板を作製する方法として
は、たとえば、本発明のスペーサーを面内スペーサーと
して2枚の電極基板のうちの一方の電極基板に静電気分
散方式による乾式法により均一に散布したものに、本発
明のスペーサーをシール部スペーサーとしてエポキシ樹
脂等の接着シール材に分散させた後、もう一方の電極基
板の接着シール部分にスクリーン印刷などの手段により
塗布したものを載せ、適度の圧力を加え、100〜18
0℃の温度で1〜60分間の加熱、または、照射量40
〜300mJ/cm2 の紫外線照射により、接着シール材
を加熱硬化させた後、液晶を注入し、注入部を封止し
て、液晶表示板を得る方法を挙げることができるが、液
晶表示板の作製方法によって本発明が限定されるもので
はない。面内スペーサーとしては、本発明のスペーサー
の中でも、前述のように着色されたものがスペーサー自
身の光抜けを生じにくいので好ましい。
【0065】また、スペーサーの移動防止を目的とし
て、本発明のスペーサーの表面の少なくとも一部が、熱
可塑性樹脂で被覆された接着性スペーサーあってもよ
い。本発明の液晶表示板は、従来の液晶表示板と同じ用
途、たとえば、テレビ、モニター、パーソナルコンピュ
ーター、ワードプロセッサー、カーナビゲーションシス
テム、PHS(携帯情報端末)などの画像表示素子とし
て使用され、振動や衝撃を加えてもスペーサー周囲の光
抜けの増大が小さいため、中でも、11インチ以上の大
型表示素子や、自動車積載用の表示素子として特に有用
なものである。
【0066】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例とを示す
が、本発明は下記実施例に限定されない。下記例中、平
均粒子径、粒子径変動係数、流動性およびコロナ放電5
分後の帯電保持率は、以下の方法で測定したものであ
る。平均粒子径と粒子径変動係数 :試料を電子顕微鏡により
観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子径を
実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏差
および粒子径の変動係数を求めた。
【0067】
【数1】
【0068】
【数2】
【0069】
【数3】
【0070】流動性:(株)飯田製作所製ふるい3種類
(直径8cm)を上から開口径が150μm、75μm、
45μmの順番で重ね合わせた。20℃、60%RHの
条件下で16時間放置した試料粉体2.0gを上のふる
い(150μm)上に、表面ができるだけ平坦になるよ
うにふるい全面にわたって均一に載せ、ホソカワミクロ
ン(株)製パウダーテスターPT−Eを用いて、振幅1
mm、60Hzで上下に120秒間振動させた後、一番下
のふるい(45μm)を通過した試料粉体の、最初の試
料粉体(2.0g)に対する重量割合(%)(メッシュ
通過率)を流動性とした。帯電保持率 :図2にみる装置を用い、以下の方法で測定
した。
【0071】図2は、コロナ帯電特性測定装置1を示し
ている。このコロナ帯電特性測定装置1は、被処理粉体
(液晶表示板用スペーサーを構成する粒子)をコロナ放
電によって帯電させ表面電位を検出する測定部と、被処
理粉体を搬送する搬送部と、この装置を制御する制御部
とを備えている。装置1の構成要素は、ケーシング2
A、2B、2C、2Dに取り付けまたは収容されてい
る。
【0072】測定部は、高電圧調整用スライダック1
0、ネオントランス11、高電圧表示用電圧計13、コ
ロナ放電電極30、表面電位検出器31、高電圧用ダイ
オード32を備えている。ネオントランス11の一次側
(入力側)には、高電圧調整用スライダック10が電気
的に接続されている(図2参照)。スライダック10
は、左下側に位置するケーシング2Aの内部に配設され
ている。ネオントランス11は、左上側に位置するケー
シング2Bの内部に配設されている。
【0073】外部電源からの電圧がスライダック10を
通ってネオントランス11の一次側に入力しているとき
には、二次側に、トランス11の変圧比に応じて昇圧さ
れた高電圧(たとえば数kV)が出力する。外部電源か
ら電力が入力しているときには高電圧表示用ランプ14
が点灯し、外部電源からの入力がないときにはランプ1
4が消灯する。トランス11の二次側から電力が出力し
ているときには高電圧表示用ランプ15が点灯し、二次
側からの出力がないときにはランプ15が消灯する。ラ
ンプ14,15と電圧計13とは、ケーシング2Bの前
面壁に設けられている。この前面壁は、内部のトランス
11が見えるように、図示されていない。
【0074】電圧計13は、ネオントランス11の一次
側の電圧値を測定し、この一次側の電圧値に変圧比を乗
じた値を二次側の電圧値として表示するように目盛られ
ている。コロナ放電電圧は、電圧計13の表示値を使っ
て、スライダック10で高精度に調整される。コロナ放
電電極30は、真下に放電するように、装置1の中央の
ケーシング2Dの内部において搬送部の走路中央付近上
部に設置されている。
【0075】ダイオード32は、ケーシング2Dの上面
壁の外側に配備されていて、順方向のダイオード32A
と逆方向のダイオード32Bとを有し、スイッチ(図示
されず)によりいずれか一方のダイオードがコロナ放電
電極30とネオントランス11の二次側との間に電気的
に接続されるようになっている。このスイッチにより、
被処理粉体22の電荷の極性が選択される。ダイオード
32Aが接続されている時には、被処理粉体22が正に
帯電する。ダイオード32Bが接続されている時には、
被処理粉体22が負に帯電する。
【0076】表面電位検出器31は、ケーシング2Dの
内部の、搬送部の走路一端寄り上部に設置されていて、
その下端に振動電極(図示されない)を有する。表面電
位検出器31は、この振動電極を介して被処理粉体22
の表面電位を間接的に測定する。搬送部は、装置1のほ
ぼ中央に設けられた搬送機構20により構成される。搬
送機構20は、図3に示すように、搬送床27と、搬送
台24と、移動用ワイヤ26と、駆動モータ28と、2
本のレール49,50とを備えている。
【0077】搬送床27は、ケーシング2D内の底面上
に設置されている。搬送床27上には、2本のレール4
9,50が平行に敷設されて走路を形成している。搬送
台24は、上面に被処理粉体22を載置するものであ
り、下面に取り付けられた車輪24aがレール49,5
0上を正逆に転がることにより走路を往復移動する。
【0078】移動用ワイヤ26は、搬送床27の上下を
通る閉ループを形成しており、搬送台24に取り付けら
れ、走路上を通り、走路両端に設置された滑車に掛けら
れている。駆動モータ28は、ケーシング2Aの上面壁
に取り付けられており、ワイヤ26を往復移動させる。
駆動モータ28は、本実施例においてはステッピングモ
ータであるが、交流あるいは直流のサーボモータでも適
用可能である。
【0079】走路他端上部のケーシング2D上面壁に
は、被処理粉体22を搬送台24に載置したり、あるい
は、搬送台24から取り出すための開閉可能な取り出し
口3が設けられている。制御部は、図4に示すように、
コントロールボックス40、取り出し口位置検出器5
1、コロナ放電位置検出器52、測定位置検出器53、
搬送制御回路55、放電制御回路56、表面電位検出回
路57を備えている。
【0080】コントロールボックス40は、装置1のほ
ぼ右下部のケーシング2C内部に配設されており、電源
スイッチ41、電源スイッチ41の作動状態を表示する
電源ランプ42、コロナ放電電極30に電圧を印加する
ための高電圧用スイッチ43、高電圧用スイッチ43の
作動状態を表示する表示ランプ44、搬送台24を図示
右方向に移動させる場合に操作する操作スイッチ45、
操作スイッチ45の動作状態を表示する表示ランプ4
6、搬送台24を図示左方向に移動させる場合に操作す
る操作スイッチ47、操作スイッチ47の動作状態を表
示する表示ランプ48を有しており、オペレータにより
操作される。
【0081】取り出し口位置検出器51は、走路他端の
レール49(または50)横に設けられたセンサであ
り、搬送台24が取り出し口3の下(原位置)に位置す
るときに位置検出信号を出力する。コロナ放電位置検出
器52は、走路中央のレール49(または50)横に設
けられたセンサであり、搬送台24がコロナ放電電極3
0の真下に位置するときに位置検出信号を出力する。
【0082】測定位置検出器53は、表面電位検出器3
1下の走路一端寄りでレール49(または50)横に設
けられたセンサであり、搬送台24が表面電位検出器3
1の真下に位置するときに位置検出信号を出力する。制
御部は、搬送制御ブロック59、放電制御ブロック6
0、測定制御ブロック61に分けられる。
【0083】搬送制御ブロック59は搬送制御回路55
を備えている。搬送制御回路55は、コントロールボッ
クス40からの搬送信号により駆動モータ28の回転方
向および回転速度を制御する。搬送信号は、操作スイッ
チ45または操作スイッチ47がON側に操作されたと
きに出力される。駆動モータ28は、搬送信号によりワ
イヤ26を移動させることにより、搬送台24を移動さ
せる。
【0084】放電制御ブロック60は放電制御回路56
を備えている。放電制御回路56は、高電圧用スイッチ
43のON操作によってコロナ放電信号を出力し、トラ
ンス11の一次側に電圧を入力させコロナ放電電極30
よりコロナ放電を出力させる。放電制御回路56には、
取り出し位置検出器51とコロナ放電位置検出器52と
表面電位測定位置検出器53とから位置検出信号が入力
する。コロナ放電信号を出力している放電制御回路56
は、検出器51および検出器53からの位置検出信号が
入力しない場合のみ、検出器52から位置検出信号が入
力した後、検出器52からの位置検出信号が入力しなく
なるとコロナ放電を停止する。このため、コロナ放電し
ているコロナ放電電極30は、この真下を搬送台24が
通過した直後に、コロナ放電を停止する。
【0085】測定制御ブロック61は、表面電位測定位
置検出器53と表面電位検出回路57とレコーダ58と
を備えている。表面電位検出回路57は、検出器53か
らの位置検出信号が入力していることを条件として、表
面電位検出器31からの表面電位信号を検出する。レコ
ーダ58は、検出された表面電位信号を時系列で表面電
位として記録する。この記録は、検出器51および52
からの位置検出信号が入力しておらず、かつ、検出器5
3からの位置検出信号が入力しているとき、つまり、搬
送台24が表面電位検出器31の位置にあるときに行わ
れる。
【0086】以上のようなコロナ帯電特性測定装置を、
次のように動作させて、表面電位と帯電保持率を測定す
る(図5参照)。まず、電源スイッチ41をON操作す
る。高電圧用スイッチ43と搬送スイッチ45・47と
はOFF状態にしておく。取り出し口3をあけて取り出
し口3の下に位置する搬送台24に被処理粉体22を載
置した後、取り出し口3を閉じて操作スイッチ47をO
N側に操作する。搬送制御回路55は、スイッチ47の
ON操作によって出力される搬送信号を受けて駆動モー
タ28を所定の方向に回転させる。これによって移動用
ワイヤ26が駆動されて搬送台24が左側に移動し(図
5の(A)参照)、取り出し位置検出器51が位置検出
信号を出力しなくなる。
【0087】左側に移動した搬送台24が、コロナ放電
していないコロナ放電電極30の下を通過して(図5の
(B)参照)、図5の(C)に示すように表面電位検出
器31の真下に達したときに表面電位測定位置検出器5
3が位置検出信号を出力し、搬送制御回路55には搬送
信号が入力しなくなり、搬送台24が表面電位検出器3
1の真下で自動停止する。このとき、表面電位測定位置
検出器53が位置検出信号を出力し、検出器51および
52が位置検出信号を出力せず、表面電位検出器31は
被処理粉体22の表面電位信号を出力し、表面電位検出
回路57が表面電位信号を検出する。レコーダ58は、
検出された表面電位信号を成形後の表面電位A(V)と
して記録する。搬送台24の取り出し位置から表面電位
測定位置までの移動時間は1秒間以内である。
【0088】この記録が行われた後に、オペレータが操
作スイッチ45をON側に操作する。搬送制御回路55
は、スイッチ45のON操作によって出力される搬送信
号を受けて駆動モータ28を所定の方向に回転させる。
これによって移動用ワイヤ26が駆動されて搬送台24
が右側に移動し、表面電位測定位置検出器53が位置検
出信号を出力しなくなる。右側に移動した搬送台24
が、コロナ放電していないコロナ放電電極30の下を通
過して、図5の(A)に示すように取り出し口3の真下
に達したとき、取り出し位置検出器51が位置検出信号
を出力し、搬送制御回路55には搬送信号が入力しなく
なり、搬送台24が取り出し口3の真下で自動停止す
る。
【0089】次に、ネオントランス11の二次側の出力
電圧が3.6kVになるように、一次側の入力電圧をス
ライダック10で調整する。また、スイッチ(図示され
ず)により、順方向のダイオード32A(または逆方向
のダイオード32B)をコロナ放電電極30とネオント
ランス11の二次側との間に電気的に接続して、被処理
粉体22の電荷の極性を選択し、高電圧用スイッチ43
をON側に操作する。この操作が行われた後に、オペレ
ータが操作スイッチ47をON側に操作することによ
り、搬送台24が左側へ移動し始める。搬送台24がコ
ロナ放電しているコロナ放電電極30の真下を通過する
(図5の(B)参照)とき、被処理粉体22がコロナ放
電の中を通り、選択された極性に瞬時に帯電する。搬送
台24がコロナ放電電極30の真下を通過したときだ
け、コロナ放電位置検出器52だけが位置検出信号を出
力する。この後、高電圧用スイッチ43は自動的にOF
Fになり、コロナ放電が終了する。
【0090】コロナ放電電極30の真下を通過した搬送
台24が、図5の(C)に示すように表面電位検出器3
1の真下に達したときには、取り出し位置検出器51と
コロナ放電位置検出器52とが位置検出信号を出力せず
表面電位測定位置検出器53だけが位置検出信号を出力
する。この位置検出信号の出力により、搬送制御回路5
5に搬送信号が入力しなくなって表面電位検出器31の
真下で自動停止するとともに、表面電位検出器31が振
動電極を介して検出した被処理粉体22の表面電位信号
を出力し、表面電位検出回路57が表面電位信号を検出
し、レコーダ58はこの検出される表面電位信号を被処
理粉体22の表面電位として時系列で記録する。最初に
検出された表面電位信号がコロナ帯電直後の実測表面電
位B1 (V)、5分後に検出された表面電位信号がコロ
ナ帯電5分後の実測表面電位B2(V)である。取り出
し位置から表面電位測定位置までの搬送台24の移動時
間は1秒間以内である。
【0091】なお、以上の一連の操作が終了し、搬送台
24を取り出し位置まで移動させるには、操作スイッチ
45をON側に操作すれば良い。被処理粉体に対しては
正負いずれの帯電をも行えるようにしてあり、コロナ放
電電極と表面電位検出器とは所定の距離離隔して設け、
また、これらは同時に動作することがないので、被処理
粉体の帯電特性(表面電位の経時変化状態、減衰特性)
をノイズなどによる外乱に影響されることなく正確に測
定することができる。
【0092】本発明ではスペーサー粒子を、20℃、6
0%RHで16時間放置後、直径7.6cm、高さ0.5
cmの金属製セル(図6、(a)平面図および(b)断面
図)に空いている直径5cm・深さ0.3cmの円筒状の穴
にスペーサー粒子を入れてその上面をセル上面から出な
いようにできるだけ平坦にし、この金属製セルを搬送台
24に載せ上述の装置および方法(コロナ放電時のコロ
ナ放電電極30への印加電圧3.6kV、コロナ放電電
極30とスペーサー粒子22の間の距離は2cm、被処理
粉体22が負に帯電するようにダイオード32を設定し
た)で測定(測定時の表面電位検出器31と被処理粉体
22の間の距離は2mm)した、成形後16時間放置後の
表面電位(A)・コロナ帯電直後の実測表面電位(B
1 )・コロナ帯電5分後の実測表面電位(B2 )を使っ
て下式によりコロナ帯電5分後の帯電保持率(Ec)を
計算する。測定も20℃、60%RHの雰囲気下で行
う。
【0093】
【数4】
【0094】(ここで、Ecはコロナ帯電5分後の帯電
保持率(%)であり;Q1 は成形後16時間放置後の帯
電量であり;Q2 はコロナ帯電直後の帯電量であり;Q
3 はコロナ帯電5分後の帯電量であり;Cはスペーサー
粒子の静電容量であり;Aは成形後16時間放置後の表
面電位(V)であり;B1 はコロナ帯電直後の実測表面
電位(V)であり;B2 はコロナ帯電5分後の実測表面
電位(V)である。) <実施例1>γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランおよびビニルトリメトキシシラン(55/45重
量比)を使用して、アルコキシシリル基の共加水分解・
重縮合と、二重結合のラジカル重合を行うことにより、
複合体粒子(1)を得た。
【0095】得られた複合体粒子(1)は、平均粒子径
6.0μm、粒子径変動係数3.2%、ポリシロキサン
骨格の割合が、複合体粒子(1)の重量に対して、Si
2換算量で50.5wt%(空気中1000℃で焼成
した場合)であった。得られた複合体粒子(1)5gを
0.1%アンモニア水20gとメタノール25gとの混
合溶媒中に分散させ、一晩放置した(活性化処理)。次
いで、減圧濾過して溶媒を充分除去した後、トルエン4
5g中に分散させ、処理剤として3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルジメトキシシラン1.0gを添加し
て加熱攪拌しながらトルエンを留去した。得られた粉体
を200℃で真空乾燥し、トルエンおよびメタノールで
順次洗浄後、100℃で真空乾燥することにより、表面
処理粒子(1)を得た。
【0096】表面処理粒子(1)の流動性は64%であ
った。また、表面処理粒子(1)のコロナ帯電5分後の
帯電保持率(Ec)は92%であった。この表面処理粒
子(1)を静電気分散方式による乾式散布法により30
0mm×345mm×1.1mm の電極基板上へ散布し、基板上
の同一面積の観察区を25か所選び、粒子が3個以上凝
集した塊のある観察区をカウントしたところ、2か所で
あった。
【0097】次に、表面処理粒子(1)をスペーサーと
して用いて以下の方法により、液晶表示板を作製した。
図1にみるように、まず、下側のガラス基板111上
に、電極(たとえば、透明電極)5およびポリイミド配
向膜4を形成した後、ラビングを行って下側電極基板を
110を得た。この下側電極基板を110に、本発明の
液晶表示板用スペーサー(この場合、面内スペーサー)
8を静電気分散方式による乾式散布法により散布した。
【0098】一方、上側のガラス基板12上に、電極
(たとえば、透明電極)5およびポリイミド配向膜4を
形成した後、ラビングを行って上側電極基板を120を
得た。そして、エポキシ樹脂接着シール材112中に本
発明の液晶表示板用スペーサー(この場合、シール部ス
ペーサー)113が30容量%となるように分散させた
ものを、上側電極基板を120の接着シール部分にスク
リーン印刷した。
【0099】最後に、上下側電極基板を120、110
を、電極5および配向膜4がそれぞれ対向するように、
本発明のスペーサー8を介して貼り合わせ、1kg/c
2の圧力を加え、150℃の温度で30分間加熱し、
接着シール材112を加熱硬化させた。その後、2枚の
電極基板を120、110の隙間を真空とし、さらに、
大気圧に戻すことにより、STN型液晶7を注入し、注
入部を封止した。そして、上下ガラス基板12、111
の外側にPVA(ポリビニルアルコール)系偏光膜6を
貼り付けて13インチの液晶表示板(1)とした。
【0100】上記のような方法により、スペーサーとし
て表面処理粒子(1)を使用した液晶表示板(1)は、
隙間距離が均一化されており、良好な表示品位であっ
た。次に、120℃でアニール後、液晶表示板(1)を
1000回の殴打試験を受けさせた後、透過率5%とな
るように電圧を印加して、殴打試験前後のスペーサー周
囲の光抜け状態を比較したところ、スペーサー周囲の光
抜けの増大は認められず、隙間距離も均一であり、良好
な表示品位を維持していた。
【0101】<実施例2>実施例1において、処理剤を
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオ
クチル)ジメチルメトキシシランに代えたこと以外は実
施例1と同様にして、表面処理粒子(2)を得た。この
表面処理粒子(2)の流動性は61%であり、コロナ帯
電5分後の帯電保持率(Ec)は98%であった。
【0102】表面処理粒子(2)について、実施例1と
同様にして、乾式散布法による凝集塊を観察したとこ
ろ、凝集塊のある観察区は3か所であった。この表面処
理粒子(2)をスペーサーとして用い、実施例1と同様
にして13インチのSTN型液晶表示板(2)を作製し
たところ、実施例1と同様に良好な表示品位が得られ
た。この液晶表示板(2)は、1000回の殴打試験後
もスペーサー周囲の光抜けの増大は認められず、隙間距
離も均一であり、良好な表示品位を維持していた。
【0103】<実施例3、4>実施例1において、処理
剤をn−デシルメチルジメトキシシラン(実施例3)お
よびn−オクテニルジメチルメトキシシラン(実施例
4)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、表面処
理粒子(3)および(4)を得た。表面処理粒子(3)
の流動性は71%、コロナ帯電後5分後の帯電保持率
(Ec)は84%であった。また、表面処理粒子(4)
の流動性は70%、コロナ帯電後5分後の帯電保持率
(Ec)は83%であった。
【0104】表面処理粒子(3)および(4)につい
て、実施例1と同様にして、乾式散布法による凝集塊を
観察したところ、表面処理粒子(3)および(4)のい
ずれについても、凝集塊のある観察区は1か所であっ
た。これらの表面処理粒子(3)および(4)のそれぞ
れをスペーサーとして用い、実施例1と同様にして13
インチのSTN型液晶表示板(3)および(4)を作製
したところ、実施例1と同様に良好な表示品位が得られ
た。また、1000回の殴打試験後のスペーサー周囲の
光抜けの増大は若干増えた程度であり、隙間距離も均一
であり、良好な表示品位を維持していた。
【0105】<実施例5>実施例1において、処理剤を
ヘキサメチルジシラザンに代えたこと以外は実施例1と
同様にして、表面処理粒子(5)を得た。表面処理粒子
(5)の流動性は75%、コロナ帯電後5分後の帯電保
持率(Ec)は77%であった。表面処理粒子(5)に
ついて、実施例1と同様にして、乾式散布法による凝集
塊を観察したところ、凝集塊のある観察区はまったくな
かった。表面処理粒子(5)をスペーサーとして用い、
実施例1と同様にして13インチのSTN型液晶表示板
(5)を作製したところ、実施例1と同様に良好な表示
品位が得られた。また、1000回の殴打試験後のスペ
ーサー周囲の光抜けの増大は若干増えた程度であり、隙
間距離も均一であり、良好な表示品位を維持していた。
【0106】以上の結果を表1および2にまとめて示
す。 <比較例1〜6>実施例1において、処理剤による表面
処理を受ける原料粒子と処理剤を表2に示す通りとした
こと以外は実施例1と同様にして、比較用表面処理粒子
(11)〜(16)を得た。
【0107】比較用表面処理粒子(11)〜(16)の
流動性、コロナ帯電後5分後の帯電保持率、および、乾
式散布性を調べた結果と、比較用表面処理粒子(11)
〜(16)をスペーサーとして用い、実施例1と同様に
して作製した13インチの比較用STN型液晶表示板
(11)〜(16)について、1000回の殴打試験後
のスペーサー周囲の光抜けの増大の程度、および、表示
品位を調べた結果を表3および4に示す。
【0108】<比較例7>2−アセトキシエチルトリク
ロロシラン0.3gをトルエン50gに溶解させてなる
溶液中へジビニルベンゼン/テトラメチロールメタンテ
トラアクリレート(50/50重量比)の共重合体架橋
粒子(平均粒子径6.0μm、粒子径変動係数4.5
%)10gを分散させ、55℃で1時間加熱後、濾過す
ることにより得られた粒子をさらに120℃で1時間加
熱処理した。次に、テトラブトキシチタン0.1gをト
ルエン40gに溶解させてなる溶液中へ、上記で処理さ
れた粒子を分散させ、55℃で1時間加熱後、濾過する
ことにより得られた粒子をさらに120℃で1時間加熱
処理することにより、比較用表面処理粒子(17)を得
た。
【0109】比較用表面処理粒子(17)の流動性、コ
ロナ帯電後5分後の帯電保持率、および、乾式散布性を
調べた結果と、比較用表面処理粒子(17)をスペーサ
ーとして用い、実施例1と同様にして作製した13イン
チの比較用STN型液晶表示板(17)について、10
00回の殴打試験後のスペーサー周囲の光抜けの増大の
程度、および、表示品位を調べた結果を表4に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
【表4】
【0114】なお、上記表中、スペーサーの乾式散布性
と、殴打試験前後の液晶表示板の特性の評価の基準は以
下の通りである。 〔乾式散布性〕 ○:良好。△:普通。×:悪い。 〔隙間距離均一性〕 ○:色ムラなし。△:色ムラ少しあり。×:色ムラ多
い。 〔殴打試験後のスペーサー周囲の光抜けの増大の程度〕 ○:殴打試験前に比べてほとんど変化なし。△:殴打試
験前に比べて少し増加 。×:殴打試験前に比べて大きく増加。 〔殴打試験前後の表示品位〕 ○:良好。△:普通。×:悪い。
【0115】
【発明の効果】本発明の液晶表示板用スペーサーは、そ
のコロナ帯電5分後の帯電保持率が前記所定範囲にある
ので、これを用いて作製された液晶表示板に振動や衝撃
が加わってもスペーサー周囲の光抜けが増大しにくく、
長期間にわたって高表示品位を維持することができる。
また、このスペーサーは、乾式散布に適しており、静電
気分散方式を利用した乾式法で電極基板上に散布する時
には、分散性が良好である。このため、電極基板間の隙
間距離を均一に設定できる。
【0116】本発明の液晶表示板用スペーサーの製造方
法は、上記特性を有するスペーサーを簡便かつ効率よく
製造することができる。本発明の液晶表示板は、電極基
板間に介在させるスペーサーとして、上記特性を有する
スペーサーを用いてなるので、振動や衝撃が加わっても
スペーサー周囲の光抜けが増大しにくく、長期間にわた
って高表示品位を維持することができる。また、電極基
板上にスペーサーを散布する時には、分散性が良好であ
るため、電極基板間の隙間距離は均一に設定されるよう
になる。したがって、表示面積が大きな液晶表示板およ
び自動車積載用のカーナビゲーションやテレビ用の液晶
表示板として、特に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示板の1実施例を表す部分断面
図である。
【図2】本発明におけるコロナ帯電特性を測定する装置
の縦断面概略図である。
【図3】図2に示す装置の搬送機構の平面部分図であ
る。
【図4】図2に示す装置の制御部のブロック図である。
【図5】図2に示す装置の動作説明図である。
【図6】図2に示す装置で、スペーサー粒子を入れるセ
ルの平面図および断面図である。
【符号の説明】
7 液晶 8 面内スペーサー 113 シール部スペーサー 110 下側電極基板 120 上側電極基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−278506(JP,A) 特開 平5−232480(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コロナ帯電5分後の帯電保持率が0%以
    上である液晶表示板用スペーサー。
  2. 【請求項2】流動性が30%以上である請求項1に記載
    の液晶表示板用スペーサー。
  3. 【請求項3】有機質部分と無機質部分とからなる複合体
    であり、前記無機質部分の割合が前記複合体の重量に対
    して無機酸化物換算で10〜90wt%である請求項1
    または2に記載の液晶表示板用スペーサー。
  4. 【請求項4】原料粒子の表面を、下記一般式(1)で示
    されるシラン化合物(1)、および、下記一般式(2)
    で示されるシラン化合物(2)からなる群の中から選ば
    れた少なくとも1種のシリコン化合物で処理する処理工
    程を含む液晶表示板用スペーサーの製造方法。 R12 SiX2 …(1) (但し、R1 は、アルキル基の水素原子の少なくとも1
    個がフッ素原子で置換されてなるフルオロアルキル基、
    炭素数6〜20のアルキル基、アルケニル基およびアリ
    ール基からなる群の中から選ばれた少なくとも1種の1
    価の基であり;R2 は、炭素数1〜5のアルキル基、ア
    ルケニル基および炭素数6〜20のアリール基からなる
    群の中から選ばれた少なくとも1種の1価の基であり;
    Xは、1価の加水分解性基であり、2つあるXは互いに
    同じであってもよく、異なっていてもよい。) R345 SiX …(2) (但し、R3 〜R5 は、アルキル基、アルケニル基、ア
    リール基およびこれら基の水素原子の少なくとも1個を
    フッ素原子で置換したフルオロアルキル基からなる群の
    中から選ばれた少なくとも1種の1価の基であり;X
    は、1価の加水分解性基であり、前記一般式(1)中の
    Xと同じであってもよく、異なっていてもよい。)
  5. 【請求項5】前記原料粒子が有機質部分と無機質部分と
    からなる複合体粒子であり、前記無機質部分の割合が前
    記複合体粒子の重量に対して無機酸化物換算で10〜9
    0wt%である請求項4に記載の液晶表示板用スペーサ
    ーの製造方法。
  6. 【請求項6】前記原料粒子の表面は前記処理工程に先立
    って予め活性化処理されている請求項4または5に記載
    の液晶表示板用スペーサーの製造方法。
  7. 【請求項7】電極基板間に介在させるスペーサーとし
    て、請求項1から3までのいずれかに記載の液晶表示板
    用スペーサーが用いられてなる液晶表示板。
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