JP3406818B2 - 液晶表示板用の接着性スペーサーの製造方法 - Google Patents

液晶表示板用の接着性スペーサーの製造方法

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JP3406818B2
JP3406818B2 JP32894497A JP32894497A JP3406818B2 JP 3406818 B2 JP3406818 B2 JP 3406818B2 JP 32894497 A JP32894497 A JP 32894497A JP 32894497 A JP32894497 A JP 32894497A JP 3406818 B2 JP3406818 B2 JP 3406818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示板に用い
た場合において、液晶に不純物が混入しにくいなど、液
晶表示板に高い信頼性を与える接着性スペーサーを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビ、パーソナルコンピューター、ワ
ードプロセッサー、PHS(携帯情報端末)、カーナビ
ゲーションシステム等の画像表示素子として、液晶表示
板(LCD)が広く用いられている。液晶表示板のうち
でも、TFT−LCDと呼ばれる液晶表示板は、高速応
答や視野角拡大への対応が可能であり、ブラウン管(C
RT)からの置き換えを目指して、13インチ以上の大
画面TFT−LCDの開発が検討されている。
【0003】大画面TFT−LCDを製造する際、液晶
パネルの製造工程において、基板搬送時、基板切断時、
液晶パネルの輸送時に、振動や衝撃が加わって、液晶パ
ネル内部のスペーサーが動いて、下記およびに示す
ような、液晶パネル品位低下の問題がある。 液晶配向の乱れや配向膜の損傷が生じて、光抜けが
増加し、コントラストが低下する。
【0004】 ギャップムラや色ムラが発生する。ス
ペーサーの移動・脱落の防止を目的として、スペーサー
粒子表面に接着剤をコートした接着性スペーサーが開発
されている。接着性スペーサーは、基板上に乾式散布ま
たは湿式散布し、加熱(通常はシール樹脂を溶融させる
位の温度140〜160℃)することによって、基板に
接着、固定される。
【0005】接着性スペーサーの製造は、簡便に実施で
きると言う観点から、衝撃力を用いて粒子表面を熱可塑
性樹脂で被覆する方法が行われている(特開昭63−9
4224号公報、特開平1−154028号公報、特開
平8−328022号公報および特開平9−23552
7号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この方法では、原料粒
子と熱可塑性樹脂粉末に非常に強い衝撃(摩擦)エネル
ギーを与えて、熱可塑性樹脂を溶融しつつ原料粒子に付
着させるのであるが、このとき、熱可塑性樹脂に対し融
解に必要なエネルギー量以上のエネルギーが局部的には
加えられることがあるため、熱可塑性樹脂の分解が生じ
やすい。熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂やスチ
レン系樹脂である場合には、解重合が生じて、モノマー
やオリゴマー等の分解物が生成する。この分解物は、液
晶に溶出して、液晶の電気特性(電圧保持率等)の低下
や配向特性(プレチルト角等)の低下等を引き起こし、
液晶表示板の信頼性を失わせることになる。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、熱可塑
性樹脂の分解や解重合の起きにくい接着性スペーサーを
得させる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる液晶表示
板用の接着性スペーサーの製造方法は、原料粒子と熱可
塑性樹脂粉末を含む混合物に衝撃力を与えて、前記原料
粒子の表面の少なくとも一部を熱可塑性樹脂で被覆し、
接着層を有するスペーサーの製造方法において、前記混
合物の含水率を10wt%以下にしておくことを特徴と
する。
【0009】
【発明の実施の形態】〔原料粒子〕本発明で用いられる
原料粒子は、液晶表示板の隙間距離を決めるものであっ
て、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持する。原料粒子
の平均粒子径は、好ましくは1〜30μm、より好まし
くは1〜20μm、最も好ましくは1〜15μmであ
る。平均粒子径が上記範囲を外れると、接着性スペーサ
ーとして用いられないことがある。
【0010】原料粒子の粒子径の変動係数(CV)は、
好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さら
に好ましくは6%以下である。粒子径変動係数が10%
を超えると、液晶層の厚みを均一かつ一定に保持するこ
とが困難となり、画像ムラを起こしやすくなる。なお、
上記平均粒子径および粒子径変動係数の定義や測定方法
は、後述の実施例で記載されているものが採用される。
【0011】原料粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗
片状、破砕状、俵状、まゆ状、金平糖状等の任意の粒子
形状で良く、特に限定されないが、液晶表示板の隙間距
離を均一に一定とする上では球状が好ましい。これは、
粒子が球状であると、すべてまたはほぼすべての方向に
ついて一定またはほぼ一定の粒径を有することができる
からである。
【0012】原料粒子としては、種々のものがあり、特
に限定はされないが、たとえば、有機架橋重合体粒子、
無機系粒子、有機質無機質複合体粒子等が挙げられる。
これらの中でも、有機架橋重合体粒子および/または有
機質無機質複合体粒子が、電極基板、配向膜またはカラ
ーフィルターの損傷防止や両電極基板間の隙間距離の均
一性を得やすい点で好ましく、有機質無機質複合体粒子
が最も好ましい。
【0013】前記有機架橋重合体粒子としては、特に限
定はされないが、たとえば、ベンゾグアナミン、メラミ
ンおよび尿素からなる群の中から選ばれた少なくとも1
種のアミノ化合物とホルムアルデヒドとから縮合反応に
より得られるアミノ樹脂の硬化粒子(特開昭62−06
8811号公報参照);ジビニルベンゼンを単独で重合
あるいは他のビニル単量体と共重合させて得られるジビ
ニルベンゼン架橋樹脂粒子(特開平1−144429号
公報参照)等が挙げられる。
【0014】前記無機系粒子としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ガラス、シリカ、アルミナ等の球状
微粒子等が挙げられる。前記有機質無機質複合体粒子
は、有機質部分と無機質部分とからなる複合粒子であ
る。この有機質無機質複合体粒子において、前記無機質
部分の割合は、特に限定はされないが、たとえば、前記
有機質無機質複合体粒子の重量に対して、無機酸化物換
算で、好ましくは10〜90wt%、より好ましくは2
5〜85wt%、より好ましくは30〜80wt%の範
囲である。無機質部分の割合を示す無機酸化物換算と
は、有機質無機質複合体粒子を空気中などの酸化雰囲気
中で高温(たとえば1000℃)で焼成した前後の重量
を測定することにより求めた重量百分率で示される。有
機質無機質複合体粒子の無機質部分の割合が、無機酸化
物換算で前記範囲を下回ると、有機質無機質複合体粒子
が軟らかくなり、電極基板への散布個数が増えることが
あり、また、前記範囲を上回ると、硬すぎて配向膜の損
傷やTFTの断線が生じやすくなることがある。
【0015】このような有機質無機質複合体粒子として
は、特に限定はされないが、たとえば、有機ポリマー骨
格と、前記有機ポリマー骨格中の少なくとも1個の炭素
原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素を分子
内に有するポリシロキサン骨格とを含み、前記ポリシロ
キサン骨格を構成するSiO2 の量が25wt%以上で
ある、有機質無機質複合体粒子A等を挙げることができ
る。有機質無機質複合体粒子Aが、G≧14・Y
1.75(ここで、Gは破壊強度〔kg〕を示し;Yは粒子
径〔mm〕を示す)を満足する破壊強度であると好まし
く、10%圧縮弾性率が300〜2000kg/mm
2 、10%変形後の残留変位が0〜5%であるとさらに
好ましい。有機質無機質複合体粒子Aは、染料および/
または顔料を含むことで着色されていてもよい。
【0016】有機質無機質複合体粒子Aの製造方法につ
いては、特に限定されないが、たとえば、下記に示す縮
合工程と重合工程と熱処理工程とを含む製造方法が挙げ
られる。縮合工程は、ラジカル重合性基含有第1シリコ
ン化合物を用いて加水分解・縮合する工程である。
【0017】第1シリコン化合物は、次の一般式
(1):
【0018】
【化1】
【0019】(ここで、Ra は水素原子またはメチル基
を示し;Rb は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rc は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
と、次の一般式(2):
【0020】
【化2】
【0021】(ここで、Rd は水素原子またはメチル基
を示し;Re は、水素原子と、炭素数1〜5のアルキル
基と、炭素数2〜5のアシル基とからなる群から選ばれ
る少なくとも1つの1価基を示す)と、次の一般式
(3):
【0022】
【化3】
【0023】(ここで、Rf は水素原子またはメチル基
を示し;Rg は、置換基を有していても良い炭素数1〜
20の2価の有機基を示し;Rh は、水素原子と、炭素
数1〜5のアルキル基と、炭素数2〜5のアシル基とか
らなる群から選ばれる少なくとも1つの1価基を示す)
とからなる群から選ばれる少なくとも1つの一般式で表
される化合物およびその誘導体からなる群から選ばれる
少なくとも1つである。
【0024】重合工程は、縮合工程中および/または縮
合工程後に、ラジカル重合性基をラジカル重合反応させ
る工程である。熱処理工程は、重合工程で生成した重合
体粒子を800℃以下の温度で乾燥および焼成する工程
である。熱処理工程は、たとえば、10容量%以下の酸
素濃度を有する雰囲気中で行われる。
【0025】縮合工程、重合工程および熱処理工程から
選ばれる少なくとも1つの工程中および/または後に、
生成した粒子を着色する着色工程をさらに含んでいても
よい。原料粒子は、染料および顔料からなる群から選ば
れる少なくとも1つ等を含むことで着色されていてもよ
い。その色は、光が透過しにくいか、または、透過しな
い色が、接着性スペーサー自身の光抜けを防止でき画質
のコントラストを向上できる点で好ましい。光が透過し
にくいか、または、透過しない色としては、たとえば、
黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤等の色が挙げ
られるが、特に好ましくは、黒、濃青、紺色である。
【0026】なお、染料および/または顔料は、単に原
料粒子に含まれるものでもよく、あるいは、染料および
/または顔料と原料粒子を構成するマトリックスとが化
学結合によって結び付けられた構造を有するものでもよ
い。 〔熱可塑性樹脂粉末〕本発明においては、熱可塑性樹脂
粉末は、衝撃力を受けて原料粒子に衝突し、その少なく
とも一部が衝突時に融解することにより、原料粒子の表
面に付着し、原料粒子の少なくとも一部を被覆して、接
着層となる。この接着層は電極基板等に対する接着剤と
して作用する。
【0027】熱可塑性樹脂粉末を構成する熱可塑性樹脂
としては、たとえば、エチレン性不飽和単量体の単独重
合体または共重合体を含む樹脂等を挙げることができ
る。熱可塑性樹脂が、単量体単位として(メタ)アクリ
レートを必須成分とする(メタ)アクリル系重合体を含
む樹脂((メタ)アクリル系樹脂)、単量体単位として
スチレン化合物を必須成分とするスチレン系重合体を含
む樹脂(スチレン系樹脂)、および、単量体単位として
スチレン化合物および(メタ)アクリレートを必須成分
とする(メタ)アクリル−スチレン系重合体を含む樹脂
((メタ)アクリル−スチレン系樹脂)からなる群の中
から選ばれた少なくとも1種であると、基板への接着力
が大きいため好ましい。熱可塑性樹脂としては、(メ
タ)アクリル系樹脂および/またはスチレン系樹脂がさ
らに好ましく、スチレン系樹脂は後述のコロナ放電5分
後の帯電保持率が高くなるため最も好ましい。熱可塑性
樹脂としては、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が
60℃以上となる単量体を必須単位として含有してなる
重合体を含む樹脂が上下両方の基板に強固に接着し易く
なるため好ましい。前記単独重合体のTgは好ましくは
70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。
【0028】上記エチレン性不飽和単量体としては、特
に限定はされないが、たとえば、エチレン、プロピレ
ン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル
(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート等)等を挙げることができ
る。これらのうちでも、エチレン性不飽和単量体が、芳
香族残基(たとえば、フェニル基等)、水素結合可能な
残基(エステル基等)を含有していると、配向膜との分
子間力が大きくなって、基板への接着力が大きくなるた
め好ましく、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレ
ンから選ばれる少なくとも1種以上がさらに好ましい。
エチレン性不飽和単量体がスチレンを必須とすると、後
述のコロナ放電5分後の帯電保持率が高くなるため最も
好ましい。
【0029】特に、(メタ)アクリル酸エステルやスチ
レンを重合して熱可塑性樹脂を製造する場合、ソープフ
リー重合して得られるものが好ましい。これの理由は、
ソープフリー重合では界面活性剤等の導電性不純物を使
用しないため、液晶表示板の信頼性が向上し易く、帯電
保持率が大きくなり易いからである。熱可塑性樹脂は、
上記のものに限定されない。たとえば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル;各種ポリアミド;各種ポリカーボネート;各種
エポキシ樹脂等も熱可塑性樹脂として使用できる。熱可
塑性樹脂は、上記に挙げたものが1種または2種以上使
用される。
【0030】熱可塑性樹脂のコロナ放電5分後の帯電保
持率が60%以上であると、熱可塑性樹脂の分解や解重
合が抑制されて、液晶表示板の信頼性が高くなると共
に、液晶表示板に振動や衝撃が加わった時のスペーサー
周囲の光抜けの増大を防止できるため好ましい。コロナ
放電5分後の帯電保持率は、より好ましくは65%以
上、さらに好ましくは70%以上、最も好ましくは75
%以上である。
【0031】熱可塑性樹脂は、染料および顔料からなる
群から選ばれる少なくとも1種を含むことで着色されて
いてもよい。その好ましい色としては、スペーサーの原
料粒子の好ましい色として前述した色が挙げられる。熱
可塑性樹脂の着色に使用できる染料および顔料として
は、特に限定はなく、たとえば、スペーサーの原料粒子
の着色に使用できる染料および顔料として前述したもの
等を挙げることができる。
【0032】熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径について
は、特に限定はなく、好ましくは2μm以下、さらに好
ましくは1.8μm以下、最も好ましくは1.5μm以
下である。熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径が2μmを超
えると、原料粒子を被覆するのが困難になるおそれがあ
る。 〔混合物〕本発明で用いられる混合物は、原料粒子と熱
可塑性樹脂粉末を必須成分として含む。
【0033】原料粒子と熱可塑性樹脂粉末を含む混合物
の含水率は、熱可塑性樹脂の分解や解重合を抑制するた
めに、10wt%以下であり、好ましくは9wt%以
下、さらに好ましくは8wt%以下、最も好ましくは7
wt%以下である。上記含水率が10wt%を超える
と、原料粒子や熱可塑性樹脂粉末が凝集しやすく、衝撃
力の付与により、大きなエネルギーが熱可塑性樹脂に付
加されるため、熱可塑性樹脂の分解や解重合が促進され
る。
【0034】原料粒子と熱可塑性樹脂粉末の割合〔(熱
可塑性樹脂粉末/原料粒子)×100〕については、特
に限定はないが、好ましくは0.1〜30wt%、さら
に好ましくは1〜25wt%、最も好ましくは2〜20
wt%である。熱可塑性樹脂粉末の割合が30wt%を
超えると、得られる接着性スペーサーの接着層が厚くな
りすぎて、溶融した際に電極基板や配向膜やカラーフィ
ルターを覆う面積が大きくなり、液晶表示板の画質低下
を招く恐れがある。他方、熱可塑性樹脂粉末の割合が1
wt%未満では、接着性が低下するおそれがある。 〔衝撃力の付与〕本発明においては、熱可塑性樹脂粉末
と原料粒子を含む上記混合物に衝撃力を与えて、原料粒
子の表面の少なくとも一部を熱可塑性樹脂で被覆し、接
着層を形成するのであるが、前記混合物に衝撃力を与え
る具体的な方法としては、たとえば、高速気流中衝撃法
によって与える方法等を挙げることができる。
【0035】高速気流中衝撃法は、たとえば、前記混合
物を気相中に分散させ、衝撃力を主体とする機械的熱的
エネルギーを混合物に与える方法であり、原料粒子表面
の被覆を簡便かつ効率よく行うことができる。高速気流
中衝撃法を実施する装置としては、特に限定はされない
が、たとえば、奈良機械製作所(株)製ハイブリダイゼ
ーションシステムや、ホソカワミクロン(株)製メカノ
フュージョンシステム、川崎重工業(株)製クリプトロ
ンシステム等を挙げることができる。
【0036】このようにして得られた接着性スペーサー
の接着層の厚みについては、特に限定はないが、好まし
くは0.02〜0.4μm、さらに好ましくは0.03
〜0.3μmである。接着層の厚みが前記範囲よりも小
さいと、接着性が低下するおそれがある。他方、前記範
囲よりも大きいと、熱可塑性樹脂の分解物が増加する可
能性がある。 〔液晶表示板の製造〕次に、本発明の製造方法で得られ
た接着性スペーサーを用いた液晶表示板について説明す
る。
【0037】液晶表示板は、従来の液晶表示板におい
て、従来のスペーサーの代わりに、上述したような接着
性スペーサーを電極基板間に介在させて電極基板の間隔
を保持させたものであり、同スペーサーの粒子径と同じ
かまたはほぼ同じ隙間距離を有する。液晶表示板は、た
とえば、第1電極基板と、第2電極基板と、スペーサー
と、シール材と、液晶とを備えている。第1電極基板
は、第1基板と、第1基板の表面に形成された第1電極
とを有する。第2電極基板は、第2基板と、第2基板の
表面に形成された第2電極とを有し、第1電極基板と対
向している。スペーサーは、液晶表示板用接着性スペー
サーであり、第1電極基板と第2電極基板との間に介在
してこれら両電極基板間の間隔を保持する役目をする。
シール材は、第1電極基板と第2電極基板とを周辺部で
接着する。液晶は、第1電極基板と第2電極基板との間
に封入されており、第1電極基板と第2電極基板とシー
ル材とで囲まれた空間に充填されている。
【0038】液晶表示板には、電極基板、シール材、液
晶など、スペーサー以外のものは従来と同様のものが同
様のやり方で使用することができる。電極基板は、ガラ
ス基板、フィルム基板などの基板と、基板の表面に形成
された電極とを有しており、必要に応じて、電極基板の
表面に電極を覆うように形成された配向膜をさらに有す
る。シール材としては、エポキシ樹脂接着シール材など
が使用される。液晶としては、従来より用いられている
ものでよく、たとえば、ビフェニル系、フェニルシクロ
ヘキサン系、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息
香酸エステル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカル
ボン酸エステル系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリ
ミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサ
ンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキセ
ン系、フッ素系などの液晶が使用できる。特に、TFT
−LCDの場合、液晶としてはフッ素系のものが好まし
い。
【0039】液晶表示板を作製する方法としては、たと
えば、接着性スペーサーを面内スペーサーとして2枚の
電極基板のうちの一方の電極基板に均一に散布したもの
に、シリカスペーサーをシール部スペーサーとしてエポ
キシ樹脂等の接着シール材に分散させた後、もう一方の
電極基板の接着シール部分にスクリーン印刷などの手段
により塗布したものを載せ、適度の圧力を加え、140
〜160℃の温度で1〜60分間の加熱により、接着シ
ール材を加熱硬化させた後、液晶を注入し、注入部を封
止して、液晶表示板を得る方法を挙げることができる
が、液晶表示板の作製方法によって限定されるものでは
ない。面内スペーサーとしては、接着性スペーサーの中
でも、前述のように着色されたものがスペーサー自身の
光抜けを生じにくいので好ましい。
【0040】この場合、接着性スペーサーの散布方法
は、湿式、乾式のいずれであってもよいが、乾式散布し
た場合に、本発明の製造方法で得られた接着性スペーサ
ーは熱可塑性樹脂の分解が抑制されているために、接着
性スペーサーの凝集が起きにくく、均一に散布しやす
い。その際、接着性スペーサーの流動性が30%以上で
あると好ましく、より好ましくは35%以上、さらに好
ましくは40%以上、最も好ましくは45%以上であ
る。接着性スペーサーの流動性は、たとえば、特願平8
−164719号の実施例に記載された方法で測定され
る。
【0041】本発明の液晶表示板は、上記本発明の方法
で得られた接着性スペーサーを用いたものであるため、
熱可塑性樹脂の分解が抑制されており、信頼性の高いも
のとなり、また、上下両方の基板への接着力が強く、ス
ペーサーの移動が少なくなって、液晶層の厚みが均一化
され、色ムラが発生せず、表示品位が高くなる。したが
って、振動や衝撃のかかり易い用途、たとえばカーナビ
ゲーション等の車載用に好適に使用されるが、従来の液
晶表示板と同じ用途、たとえば、テレビ、パーソナルコ
ンピューター、ワードプロセッサー、PHS(携帯情報
端末)などの画像表示素子として使用してもよい。さら
に、接着性スペーサーの接着層を形成する熱可塑性樹脂
のコロナ放電5分後の帯電保持率が60%以上である
と、熱可塑性樹脂の分解がさらに抑制されて、信頼性に
非常に優れた液晶表示板が得られ、振動や衝撃を加えて
もスペーサー周囲の光抜けの増大が著しく小さいため、
中でも、11インチ以上の大型表示素子や、自動車積載
用の表示素子として特に有用なものである。
【0042】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例とを示す
が、本発明は下記実施例に限定されない。以下の例中、
スペーサーの原料粒子の平均粒子径および粒子径の変動
係数、熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径、スペーサーの電
圧保持率およびコロナ放電5分後の帯電保持率は、以下
の方法で測定したものである。平均粒子径と粒子径の変動係数 :試料を電子顕微鏡によ
り観察して、その撮影像の任意の試料200個の粒子径
を実測し、次式に従って、平均粒子径、粒子径の標準偏
差および粒子径の変動係数を求めた。
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】
【数3】
【0046】電圧保持率:一対のパターン化されたIT
O電極付きガラス基板上にポリイミド配向膜を形成し、
ラビング処理を行った後、TN配向となるように貼りあ
わせ液晶セルを作製した。次に、液晶電圧保持率測定シ
ステムを用いて、25℃において、初期の電圧保持率を
測定して、電圧保持率が90%以上あるのを確認後、5
0℃、500時間後の電圧保持率(測定温度:25℃)
を測定した。コロナ放電5分後の帯電保持率: 図1にみる装置を用
い、以下の方法で測定した。
【0047】図1は、コロナ帯電特性測定装置1を示し
ている。このコロナ帯電特性測定装置1は、被処理粉体
(熱可塑性樹脂粉末)をコロナ放電によって帯電させ表
面電位を検出する測定部と、被処理粉体を搬送する搬送
部と、この装置を制御する制御部とを備えている。装置
1の構成要素は、ケーシング2A、2B、2C、2Dに
取り付けまたは収容されている。
【0048】測定部は、高電圧調整用スライダック1
0、ネオントランス11、高電圧表示用電圧計13、コ
ロナ放電電極30、表面電位検出器31、高電圧用ダイ
オード32を備えている。ネオントランス11の一次側
(入力側)には、高電圧調整用スライダック10が電気
的に接続されている(図1参照)。スライダック10
は、左下側に位置するケーシング2Aの内部に配設され
ている。ネオントランス11は、左上側に位置するケー
シング2Bの内部に配設されている。
【0049】外部電源からの電圧がスライダック10を
通ってネオントランス11の一次側に入力しているとき
には、二次側に、トランス11の変圧比に応じて昇圧さ
れた高電圧(たとえば数kV)が出力する。外部電源か
ら電力が入力しているときには高電圧表示用ランプ14
が点灯し、外部電源からの入力がないときにはランプ1
4が消灯する。トランス11の二次側から電力が出力し
ているときには高電圧表示用ランプ15が点灯し、二次
側からの出力がないときにはランプ15が消灯する。ラ
ンプ14,15と電圧計13とは、ケーシング2Bの前
面壁に設けられている。この前面壁は、内部のトランス
11が見えるように、図示されていない。
【0050】電圧計13は、ネオントランス11の一次
側の電圧値を測定し、この一次側の電圧値に変圧比を乗
じた値を二次側の電圧値として表示するように目盛られ
ている。コロナ放電電圧は、電圧計13の表示値を使っ
て、スライダック10で高精度に調整される。コロナ放
電電極30は、真下に放電するように、装置1の中央の
ケーシング2Dの内部において搬送部の走路中央付近上
部に設置されている。
【0051】ダイオード32は、ケーシング2Dの上面
壁の外側に配備されていて、順方向のダイオード32A
と逆方向のダイオード32Bとを有し、スイッチ(図示
されず)によりいずれか一方のダイオードがコロナ放電
電極30とネオントランス11の二次側との間に電気的
に接続されるようになっている。このスイッチにより、
被処理粉体22の電荷の極性が選択される。ダイオード
32Aが接続されている時には、被処理粉体22が正に
帯電する。ダイオード32Bが接続されている時には、
被処理粉体22が負に帯電する。
【0052】表面電位検出器31は、ケーシング2Dの
内部の、搬送部の走路一端寄り上部に設置されていて、
その下端に振動電極(図示されない)を有する。表面電
位検出器31は、この振動電極を介して被処理粉体22
の表面電位を間接的に測定する。搬送部は、装置1のほ
ぼ中央に設けられた搬送機構20により構成される。搬
送機構20は、図2に示すように、搬送床27と、搬送
台24と、移動用ワイヤ26と、駆動モータ28と、2
本のレール49,50とを備えている。
【0053】搬送床27は、ケーシング2D内の底面上
に設置されている。搬送床27上には、2本のレール4
9,50が平行に敷設されて走路を形成している。搬送
台24は、上面に被処理粉体22を載置するものであ
り、下面に取り付けられた車輪24aがレール49,5
0上を正逆に転がることにより走路を往復移動する。
【0054】移動用ワイヤ26は、搬送床27の上下を
通る閉ループを形成しており、搬送台24に取り付けら
れ、走路上を通り、走路両端に設置された滑車に掛けら
れている。駆動モータ28は、ケーシング2Aの上面壁
に取り付けられており、ワイヤ26を往復移動させる。
駆動モータ28は、本実施例においてはステッピングモ
ータであるが、交流あるいは直流のサーボモータでも適
用可能である。
【0055】走路他端上部のケーシング2D上面壁に
は、被処理粉体22を搬送台24に載置したり、あるい
は、搬送台24から取り出すための開閉可能な取り出し
口3が設けられている。制御部は、図3に示すように、
コントロールボックス40、取り出し口位置検出器5
1、コロナ放電位置検出器52、測定位置検出器53、
搬送制御回路55、放電制御回路56、表面電位検出回
路57を備えている。
【0056】コントロールボックス40は、装置1のほ
ぼ右下部のケーシング2C内部に配設されており、電源
スイッチ41、電源スイッチ41の作動状態を表示する
電源ランプ42、コロナ放電電極30に電圧を印加する
ための高電圧用スイッチ43、高電圧用スイッチ43の
作動状態を表示する表示ランプ44、搬送台24を図示
右方向に移動させる場合に操作する操作スイッチ45、
操作スイッチ45の動作状態を表示する表示ランプ4
6、搬送台24を図示左方向に移動させる場合に操作す
る操作スイッチ47、操作スイッチ47の動作状態を表
示する表示ランプ48を有しており、オペレータにより
操作される。
【0057】取り出し口位置検出器51は、走路他端の
レール49(または50)横に設けられたセンサであ
り、搬送台24が取り出し口3の下(原位置)に位置す
るときに位置検出信号を出力する。コロナ放電位置検出
器52は、走路中央のレール49(または50)横に設
けられたセンサであり、搬送台24がコロナ放電電極3
0の真下に位置するときに位置検出信号を出力する。
【0058】測定位置検出器53は、表面電位検出器3
1下の走路一端寄りでレール49(または50)横に設
けられたセンサであり、搬送台24が表面電位検出器3
1の真下に位置するときに位置検出信号を出力する。制
御部は、搬送制御ブロック59、放電制御ブロック6
0、測定制御ブロック61に分けられる。
【0059】搬送制御ブロック59は搬送制御回路55
を備えている。搬送制御回路55は、コントロールボッ
クス40からの搬送信号により駆動モータ28の回転方
向および回転速度を制御する。搬送信号は、操作スイッ
チ45または操作スイッチ47がON側に操作されたと
きに出力される。駆動モータ28は、搬送信号によりワ
イヤ26を移動させることにより、搬送台24を移動さ
せる。
【0060】放電制御ブロック60は放電制御回路56
を備えている。放電制御回路56は、高電圧用スイッチ
43のON操作によってコロナ放電信号を出力し、トラ
ンス11の一次側に電圧を入力させコロナ放電電極30
よりコロナ放電を出力させる。放電制御回路56には、
取り出し位置検出器51とコロナ放電位置検出器52と
表面電位測定位置検出器53とから位置検出信号が入力
する。コロナ放電信号を出力している放電制御回路56
は、検出器51および検出器53からの位置検出信号が
入力しない場合のみ、検出器52から位置検出信号が入
力した後、検出器52からの位置検出信号が入力しなく
なるとコロナ放電を停止する。このため、コロナ放電し
ているコロナ放電電極30は、この真下を搬送台24が
通過した直後に、コロナ放電を停止する。
【0061】測定制御ブロック61は、表面電位測定位
置検出器53と表面電位検出回路57とレコーダ58と
を備えている。表面電位検出回路57は、検出器53か
らの位置検出信号が入力していることを条件として、表
面電位検出器31からの表面電位信号を検出する。レコ
ーダ58は、検出された表面電位信号を時系列で表面電
位として記録する。この記録は、検出器51および52
からの位置検出信号が入力しておらず、かつ、検出器5
3からの位置検出信号が入力しているとき、つまり、搬
送台24が表面電位検出器31の位置にあるときに行わ
れる。
【0062】以上のようなコロナ帯電特性測定装置を、
次のように動作させて、表面電位と帯電保持率を測定す
る(図4参照)。まず、電源スイッチ41をON操作す
る。高電圧用スイッチ43と搬送スイッチ45・47と
はOFF状態にしておく。取り出し口3をあけて取り出
し口3の下に位置する搬送台24に被処理粉体22を載
置した後、取り出し口3を閉じて操作スイッチ47をO
N側に操作する。搬送制御回路55は、スイッチ47の
ON操作によって出力される搬送信号を受けて駆動モー
タ28を所定の方向に回転させる。これによって移動用
ワイヤ26が駆動されて搬送台24が左側に移動し(図
4の(A)参照)、取り出し位置検出器51が位置検出
信号を出力しなくなる。
【0063】左側に移動した搬送台24が、コロナ放電
していないコロナ放電電極30の下を通過して(図4の
(B)参照)、図4の(C)に示すように表面電位検出
器31の真下に達したときに表面電位測定位置検出器5
3が位置検出信号を出力し、搬送制御回路55には搬送
信号が入力しなくなり、搬送台24が表面電位検出器3
1の真下で自動停止する。このとき、表面電位測定位置
検出器53が位置検出信号を出力し、検出器51および
52が位置検出信号を出力せず、表面電位検出器31は
被処理粉体22の表面電位信号を出力し、表面電位検出
回路57が表面電位信号を検出する。レコーダ58は、
検出された表面電位信号を成形後の表面電位A(V)と
して記録する。搬送台24の取り出し位置から表面電位
測定位置までの移動時間は1秒間以内である。
【0064】この記録が行われた後に、オペレータが操
作スイッチ45をON側に操作する。搬送制御回路55
は、スイッチ45のON操作によって出力される搬送信
号を受けて駆動モータ28を所定の方向に回転させる。
これによって移動用ワイヤ26が駆動されて搬送台24
が右側に移動し、表面電位測定位置検出器53が位置検
出信号を出力しなくなる。右側に移動した搬送台24
が、コロナ放電していないコロナ放電電極30の下を通
過して、図4の(A)に示すように取り出し口3の真下
に達したとき、取り出し位置検出器51が位置検出信号
を出力し、搬送制御回路55には搬送信号が入力しなく
なり、搬送台24が取り出し口3の真下で自動停止す
る。
【0065】次に、ネオントランス11の二次側の出力
電圧が3.6kVになるように、一次側の入力電圧をス
ライダック10で調整する。また、スイッチ(図示され
ず)により、順方向のダイオード32A(または逆方向
のダイオード32B)をコロナ放電電極30とネオント
ランス11の二次側との間に電気的に接続して、被処理
粉体22の電荷の極性を選択し、高電圧用スイッチ43
をON側に操作する。この操作が行われた後に、オペレ
ータが操作スイッチ47をON側に操作することによ
り、搬送台24が左側へ移動し始める。搬送台24がコ
ロナ放電しているコロナ放電電極30の真下を通過する
(図4の(B)参照)とき、被処理粉体22がコロナ放
電の中を通り、選択された極性に瞬時に帯電する。搬送
台24がコロナ放電電極30の真下を通過したときだ
け、コロナ放電位置検出器52だけが位置検出信号を出
力する。この後、高電圧用スイッチ43は自動的にOF
Fになり、コロナ放電が終了する。
【0066】コロナ放電電極30の真下を通過した搬送
台24が、図4の(C)に示すように表面電位検出器3
1の真下に達したときには、取り出し位置検出器51と
コロナ放電位置検出器52とが位置検出信号を出力せず
表面電位測定位置検出器53だけが位置検出信号を出力
する。この位置検出信号の出力により、搬送制御回路5
5に搬送信号が入力しなくなって表面電位検出器31の
真下で自動停止するとともに、表面電位検出器31が振
動電極を介して検出した被処理粉体22の表面電位信号
を出力し、表面電位検出回路57が表面電位信号を検出
し、レコーダ58はこの検出される表面電位信号を被処
理粉体22の表面電位として時系列で記録する。最初に
検出された表面電位信号がコロナ放電直後の実測表面電
位B1 (V)、5分後に検出された表面電位信号がコロ
ナ放電5分後の実測表面電位B2(V)である。取り出
し位置から表面電位測定位置までの搬送台24の移動時
間は1秒間以内である。
【0067】なお、以上の一連の操作が終了し、搬送台
24を取り出し位置まで移動させるには、操作スイッチ
45をON側に操作すれば良い。被処理粉体に対しては
正負いずれの帯電をも行えるようにしてあり、コロナ放
電電極と表面電位検出器とは所定の距離離隔して設け、
また、これらは同時に動作することがないので、被処理
粉体の帯電特性(表面電位の経時変化状態、減衰特性)
をノイズなどによる外乱に影響されることなく正確に測
定することができる。
【0068】本発明では、熱可塑性樹脂粉末を、直径
7.6cm、高さ0.5cmの金属製セル(図5、
(a)平面図および(b)断面図)に空いている直径5
cm・深さ0.3cmの円筒状の穴に入れてその上面を
セル上面から出ないようにできるだけ平坦にし、20
℃、60%RHで16時間放置後、この金属製セルを搬
送台24に載せ上述の装置および方法(コロナ放電時の
コロナ放電電極30への印加電圧3.6kV、コロナ放
電電極30とスペーサー粒子22の間の距離は2cm、
被処理粉体22が負に帯電するようにダイオード32を
設定した)で測定(測定時の表面電位検出器31と被処
理粉体22の間の距離は2mm)した、成形後16時間
放置後の表面電位(A)・コロナ放電直後の実測表面電
位(B1 )・コロナ放電5分後の実測表面電位(B2
を使って下式によりコロナ放電5分後の帯電保持率(E
c)を計算する。測定も20℃、60%RHの雰囲気下
で行う。
【0069】
【数4】
【0070】(ここで、Ecはコロナ放電5分後の帯電
保持率(%)であり;Q1 は成形後16時間放置後の帯
電量であり;Q2 はコロナ放電直後の帯電量であり;Q
3 はコロナ放電5分後の帯電量であり;Cはスペーサー
粒子の静電容量であり;Aは成形後16時間放置後の表
面電位(V)であり;B1 はコロナ放電直後の実測表面
電位(V)であり;B2 はコロナ放電5分後の実測表面
電位(V)である。) <実施例1>γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランおよびビニルトリメトキシシラン(45/55重
量比)を使用して、アルコキシシリル基の共加水分解・
重縮合と、二重結合のラジカル重合を行うことにより、
白色の有機質無機質複合体粒子を得た。
【0071】有機質無機質複合体粒子は、平均粒子径
5.0μm、粒子径変動係数3.2%、ポリシロキサン
骨格の割合が、有機質無機質複合体粒子の重量に対し
て、SiO2 換算量で55wt%(空気中1000℃で
焼成した場合)であった。原料粒子としての有機質無機
質複合体粒子(含水率1.2wt%)35gと、熱可塑
性樹脂粉末としてのメチルメタクリレート−ブチルアク
リレート共重合体(平均粒子径0.6μm、数平均分子
量52,000、ガラス転移温度85℃、含水率1.3
wt%、コロナ放電5分後の帯電保持率98%)7gと
を混合して混合物を得た。得られた混合物(含水率1.
22wt%)について、奈良機械製作所(株)製ハイブ
リダイゼーションシステムNHS−0型を使用して、高
速気流中衝撃法により、有機質無機質複合体粒子の表面
をメチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体
で被覆処理して、接着性スペーサー(熱可塑性樹脂から
なる接着層の厚み:0.14μm)を得た。
【0072】被覆処理後のメチルメタクリレート−ブチ
ルアクリレート共重合体を接着性スペーサーから剥離さ
せ、数平均分子量およびガラス転移温度を測定したとこ
ろ、被覆処理後の共重合体の数平均分子量43,00
0、ガラス転移温度83℃であった。被覆処理後の共重
合体について、GPC分析およびGC分析を行ったとこ
ろ、わずかしか低分子量成分の増加がみられず、共重合
体の分解(解重合)は、ほとんど抑制されていた。
【0073】この接着性スペーサーを用いて、液晶セル
を作製し、50℃、500時間後の電圧保持率を測定し
たところ、98%であり、電圧保持率の低下は認められ
なかった。この液晶セルを用いて13インチのTFT液
晶表示板を作製し、所定電圧を印加したところ、長期間
安定に駆動した。 <実施例2>実施例1で用いた混合物の代わりに、原料
粒子としてのベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアル
デヒドの縮合架橋粒子(濃青色、平均粒子径4.0μ
m、粒子径変動係数5.1%、含水率3.5wt%)3
5gと、熱可塑性樹脂粉末としてのスチレン−エチルア
クリレート共重合体(平均粒子径0.4μm、数平均分
子量90,000、ガラス転移温度70℃、含水率4.
2wt%、コロナ放電5分後の帯電保持率99%)7g
とを混合した混合物(含水率:3.62%)を用いた以
外は、実施例1と同様にして、高速気流中衝撃法により
接着性スペーサー(熱可塑性樹脂からなる接着層の厚
み:0.11μm)を得た。
【0074】被覆処理後のスチレン−エチルアクリレー
ト共重合体を接着性スペーサーから剥離させ、数平均分
子量およびガラス転移温度を測定したところ、被覆処理
後の共重合体の数平均分子量80,000、ガラス転移
温度67℃であった。被覆処理後の共重合体について、
GPC分析およびGC分析を行ったところ、わずかしか
低分子量成分の増加がみられず、共重合体の分解(解重
合)は、ほとんど抑制されていた。
【0075】この接着性スペーサーを用いて、実施例1
と同様にして、液晶セルを作製し、50℃、500時間
後の電圧保持率を測定したところ、97%であり、電圧
保持率の低下は認められなかった。この液晶セルを用い
て13インチのTFT液晶表示板を作製し、所定電圧を
印加したところ、長期間安定に駆動した。 <比較例1>実施例1で用いた混合物の代わりに、原料
粒子としてのジベンジルベンゼン−テトラメチロールメ
タンテトラアクリレート−メタクリルアミドの架橋重合
粒子(白色、平均粒子径5.0μm、粒子径変動係数
3.5%、含水率12.4wt%)35gと、熱可塑性
樹脂粉末としてのメチルメタクリレート−エチルアクリ
レート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(平
均粒子径0.5μm、数平均分子量65,000、ガラ
ス転移温度75℃、含水率6.7wt%、コロナ放電5
分後の帯電保持率50%)7gとを混合した混合物(含
水率:11.45%)を用いた以外は、実施例1と同様
にして、高速気流中衝撃法により比較接着性スペーサー
(熱可塑性樹脂からなる接着層の厚み:0.12μm)
を得た。
【0076】被覆処理後のスチレン−エチルアクリレー
ト共重合体を比較接着性スペーサーから剥離させ、数平
均分子量およびガラス転移温度を測定したところ、被覆
処理後の共重合体の数平均分子量19,000、ガラス
転移温度48℃であった。被覆処理後の共重合体につい
て、GPC分析およびGC分析を行ったところ、低分子
量成分の増加が大きく、共重合体の分解(解重合)は顕
著であった。
【0077】この比較接着性スペーサーを用い、実施例
1と同様にして、液晶セルを作製し、50℃、500時
間後の電圧保持率を測定したところ、74%に低下し
た。この液晶セルを用いて13インチのTFT液晶表示
板を作製し、所定電圧を印加したところ、経時的に表示
されなくなり、液晶のプレチルト角の低下が認められ
た。
【0078】
【発明の効果】本発明にかかる液晶表示板用の接着性ス
ペーサーの製造方法は、熱可塑性樹脂の分解や解重合が
抑制された接着性スペーサーを得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるコロナ帯電特性を測定する装置
の縦断面概略図である。
【図2】図1に示す装置の搬送機構の平面部分図であ
る。
【図3】図1に示す装置の制御部のブロック図である。
【図4】図1に示す装置の動作説明図である。
【図5】図1に示す装置で、熱可塑性樹脂粉末を入れる
セルの平面図および断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若槻 伸治 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平1−154028(JP,A) 特開 平5−303086(JP,A) 特開 平8−278506(JP,A) 特開 平6−273775(JP,A) 特開 平8−194228(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500 G02F 1/13 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料粒子と熱可塑性樹脂粉末を含む混合物
    に衝撃力を与えて、前記原料粒子の表面の少なくとも一
    部を熱可塑性樹脂で被覆し、接着層を有するスペーサー
    の製造方法において、前記混合物の含水率を10wt%
    以下にしておくことを特徴とする、液晶表示板用の接着
    性スペーサーの製造方法。
  2. 【請求項2】前記混合物に高速気流中衝撃法によって衝
    撃を与える、請求項1に記載の接着性スペーサーの製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記原料粒子が有機架橋重合体粒子および
    /または有機質無機質複合体粒子であり、前記熱可塑性
    樹脂が(メタ)アクリル系樹脂および/またはスチレン
    系樹脂である、請求項1または2に記載の接着性スペー
    サーの製造方法。
  4. 【請求項4】前記熱可塑性樹脂粉末のコロナ放電5分後
    の帯電保持率が60%以上である、請求項1から3まで
    のいずれかに記載の接着性スペーサーの製造方法。
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