JP3154724B2 - 下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒の検出方法 - Google Patents

下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒の検出方法

Info

Publication number
JP3154724B2
JP3154724B2 JP50348493A JP50348493A JP3154724B2 JP 3154724 B2 JP3154724 B2 JP 3154724B2 JP 50348493 A JP50348493 A JP 50348493A JP 50348493 A JP50348493 A JP 50348493A JP 3154724 B2 JP3154724 B2 JP 3154724B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
organic solvent
dinophysistoxin
okadaic acid
antigen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP50348493A
Other languages
English (en)
Inventor
司郎 松浦
顕 福士
啓吾 椛沢
寛 喜多
裕 高垣
米一 濱野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Original Assignee
OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT filed Critical OSAKAPREFECTURAL GOVERNMENT
Application granted granted Critical
Publication of JP3154724B2 publication Critical patent/JP3154724B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/44Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material not provided for elsewhere, e.g. haptens, metals, DNA, RNA, amino acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/5308Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for analytes not provided for elsewhere, e.g. nucleic acids, uric acid, worms, mites
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10S436/815Test for named compound or class of compounds

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗
体、そのモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ、及びそのモノクローナル抗体を用いる下痢性貝毒の
検出方法に関する。本発明による前記モノクローナル抗
体は、有機溶媒耐性抗体である。
背景技術 農薬や毒素等の有害物質からホルモン等の重要な生理
活性物質にいたるまでの各種有機化合物の中には、多く
の水難溶性な脂溶性化合物が存在する。従来、これらの
水難溶性脂溶性化合物の定性的及び定量的測定を実施す
る場合には、試料の中から検査対象の水難溶性脂溶性化
合物を適当な有機溶媒で抽出し、更に精製してから、各
種の機器分析等を行なっていた。これらの操作は、定性
的及び定量的測定を直接行うことができる水溶性化合物
の場合と比較して、煩雑で時間のかかるものであった。
例えば、水産物に含まれている毒素の1種であり、特に
ホタテ貝等の二枚貝に含まれている下痢性貝毒であるオ
カダ酸を測定する場合には、アセトン、エーテル、エチ
ルアルコール又はメチルアルコールで抽出操作を行い、
必要に応じてその抽出液を濃縮した後、高速液体クロマ
トグラフィーで測定を行っていた。
また、前記の水難溶性脂溶性化合物を免疫学的な手法
によって測定する場合には、検査に先立ち、検査目的対
象物を含有している可能性のある試料を、目的対象物の
脂溶性の程度に応じて選択した有機溶媒によって抽出す
る必要があった。これらの操作は、水溶性化合物の場合
と比較して、煩雑で時間のかかるものであった。更に、
抽出に用いた有機溶媒が存在すると、その濃度によって
免疫反応が妨害され全く反応を起こさないか、あるいは
極めて不正確な測定結果を招くことがあった。この不正
確な免疫反応を防止するために、脂溶性化合物の有機溶
媒抽出液を水で希釈して、免疫反応が正確に進行する濃
度まで有機溶媒含有量(例えば40%以下)を低下させる
と、免疫反応を正確に進行させることはできても、脂溶
性化合物自体の溶解性が低下して、正確な測定ができな
くなるという問題があった。
ところで、オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び
ジノフィシストキシン−3(即ち、7−O−アシル−ジ
ノフィシストキシン−1)の3種の下痢性貝毒の内、オ
カダ酸は黒磯海綿の一種(Halichondria−okadai及びHa
lichondria−meranodocai)が、ジノフィシストキシン
−1は渦鞭毛藻(Dinophysis fortii)が産生する脂溶
性化合物である。また、ジノフィシストキシン−3は、
前記ジノフィシストキシン−1が貝の体内で変換されて
生成する脂溶性化合物である。これらの化合物は、或る
時期又は地域の食用二枚貝の中腸腺に蓄積し、貝を毒化
する。食中毒の発生件数ではフグに次いで第二位である
が、患者数では第一位であり、食品衛生上、大きな問題
である。
従来、下痢性貝毒の検査法としてはマウスを用いた致
死活性測定法が公定法として用いられているが、動物の
管理、検出感度、精度及び特異性等の面で問題があっ
た。一方、この検査を、高感度で、簡便かつ短時間に行
うことを目的とした手法の開発が試みられている。
例えば特開平1−96199号公報には、オカダ酸群に対
するモノクローナル抗体及びその製法が開示されてい
る。しかしながら、該抗体は、下痢性貝毒のうち、オカ
ダ酸及びジノフィシストキシン−1に対して特異的に反
応する抗体ではあるが、ジノフィシストキシン−3とは
反応しないので、検出・測定することはできない。ま
た、前記特開平1−96199号公報には、有機溶媒存在下
で活性を維持することのできるモノクローナル抗体を得
ることに関して一切記載がなく、それを示唆する記載も
ない。
本発明者は、日本における貝毒による食中毒の主原因
はジノフィシストキシン−3であること、及び、前記の
各貝毒はいずれも脂溶性物質であるので、被検試料から
貝毒成分を抽出するには有機溶媒の使用が避けられず、
操作工程を簡略化するには、有機溶媒存在下で免疫反応
を行うことが望ましいことに鑑み、これらの課題を解決
するべく鋭意研究したところ、前記下痢性貝毒本体のオ
カダ酸、ジノフィシストキシン−1及びジノフィシスト
キシン−3に特異的であり、しかも有機溶媒に耐性を示
すマウスモノクローナル抗体を見出すことに成功し、も
のモノクローナル抗体を用いると、有機溶媒存在下でも
免疫学的に迅速かつ特異的に下痢性貝毒を検出すること
ができることを見出した。従って、本発明は、前記のモ
ノクローナル抗体、そのモノクローナル抗体を分泌する
ハイブリドーマ及びそのモノクローナル抗体を用いる下
痢性貝毒の免疫学的検出方法に関する。
発明の開示 本発明は、オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び
ジノフィシストキシン−3に特異的であって、有機溶媒
に対する耐性を有することを特徴とする、モノクローナ
ル抗体に関する。
更に、本発明は、前記モノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ、及び前記モノクローナル抗体を用いる
ことを特徴とする下痢性貝毒の免疫学的検出方法にも関
する。
図面の簡単な説明 第1図は、各種メチルアルコール水溶液におけるオカ
ダ酸の濃度と吸光度との関係を示すグラフである。
第2図は、メチルアルコールとエタノールとの各種濃
度の混合溶液におけるオカダ酸の濃度と吸光度との関係
を示すグラフである。
第3図は、メチルアルコールとアセトンとの各種濃度
の混合溶液におけるオカダ酸の濃度と吸光度との関係を
示すグラフである。
第4図は、メチルアルコールとジエチルエーテルとの
各種濃度の混合溶液におけるオカダ酸の濃度と吸光度と
の関係を示すグラフである。
第5図は、メチルアルコールとベンゼンとの各種濃度
の混合溶液におけるオカダ酸の濃度と吸光度との関係を
示すグラフである。
第6図は、メチルアルコール濃度0〜40%の溶液中に
てオカダ酸を非競合法により測定した場合の検量線を示
すグラフである。
第7図は、メチルアルコール濃度50〜100%の溶液中
にてオカダ酸を非競合法により測定した場合の検量線を
示すグラフである。
第8図は、メチルアルコール濃度0〜40%の溶液中に
てジノフィシストキシン−1を非競合法により測定した
場合の検量線を示すグラフである。
第9図は、メチルアルコール濃度50〜100%の溶液中
にてジノフィシストキシン−1を非競合法により測定し
た場合の検量線を示すグラフである。
第10図は、メチルアルコール濃度0〜40%の溶液中に
てジノフィシストキシン−3を非競合法により測定した
場合の検量線を示すグラフである。
第11図は、メチルアルコール濃度50〜100%の溶液中
にてジノフィシストキシン−3を非競合法により測定し
た場合の検量線を示すグラフである。
第12図は、オカダ酸を競合法により測定した場合の検
量線を示すグラフである。
第13図は、ジノフィシストキシン−1を競合法により
測定した場合の検量線を示すグラフである。
第14図は、ジノフィシストキシン−3を競合法により
測定した場合の検量線を示すグラフである。
発明を実施する最良の形態 本発明による下痢性貝毒の免疫学的検出方法は、本発
明のモノクローナル抗体、すなわち、オカダ酸とジノフ
ィシストキシン−1とジノフィシストキシン−3とに同
時に特異性を示すと共に有機溶媒に対して耐性を有する
モノクローナル抗体を用いること(従って、有機溶媒の
存在下で抗原抗体反応を実施すること)を除けば、それ
以外の点では従来公知の免疫学的測定方法にそのまま適
用することができる。
従って、前記の下痢性貝毒検出方法は、具体的には例
えば、 (1)試料を有機溶媒で処理して有機溶媒抽出液を調製
する工程、 (2)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及びジノフ
ィシストキシン−3に対して特異性を有すると共に前記
有機溶媒に対する耐性を有する抗体と、前記有機溶媒抽
出液とを接触させる工程、 (3)標識を有する既知量のオカダ酸、ジノフィシスト
キシン−1又はジノフィシストキシン−3を前記工程
(2)と同時又は前記工程(2)の終了後に前記抗体と
接触させる工程、 (4)前記抗体と結合した前記標識化化合物と、前記抗
体と結合していない前記標識化化合物とを分離する工
程、及び (5)前記工程(4)で分離したいずれか一方の標識化
化合物が有する標識からの信号を測定する工程 を含む、下痢性貝毒の免疫学的検出方法からなる。この
測定方法は、通常、競合法及び非競合法と呼ばれている
ものに、本発明を適用したものである。
更に、前記の下痢性貝毒検出方法の具体的態様として
は、例えば、 (1)試料を有機溶媒で処理して有機溶媒抽出液を調製
する工程、 (2)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及びジノフ
ィシストキシン−3に対して特異性を有すると共に前記
有機溶媒に対する耐性を有する第1抗体を、不溶性担体
に固定させる工程、 (3)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び/又は
ジノフィシストキシン−3を含む前記有機溶媒抽出液
を、前記工程(2)の固定化第1抗体に接触させる工
程、 (4)前記オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び/
又はジノフィシストキシン−3に対して前記第1抗体と
は異なる部位で結合すると共に標識を有する第2抗体を
過剰量で添加する工程、及び (5)第1抗体とオカダ酸、ジノフィシストキシン−1
及び/又はジノフィシストキシン−3との複合体に結合
した第2抗体上の標識の信号を測定する工程 を含む、下痢性貝毒の免疫学的検出方法も含まれる。こ
の測定方法は、通常、サンドイッチ法と呼ばれている。
本発明は、その他公知の免疫反応測定方法に広く応用す
ることができる。
本発明による前記の下痢性貝毒検出方法で用いること
のできる有機溶媒は、例えばアルコール類、ケトン類、
エーテル類、ベンゼン若しくはそれらの混合物である。
また、無水の有機溶媒だけでなく、各有機溶媒と水との
混合物、更に前記有機溶媒混合物と水との混合物を用い
ることもできる。なお、水混和性又は水非混和性のいず
れの有機溶媒も用いることができる。
有機溶媒としては検査対象下痢性貝毒の抽出に用いる
溶媒を用いると、有機溶媒で抽出工程を行ってから、そ
のまま直接、抗原抗体反応を有機溶媒中で実施すること
ができるので便利である。また、水混和性の有機溶媒を
用いると、有機水性溶媒で抽出工程を行うか、又は有機
溶媒で抽出して水で希釈してから、抗原抗体反応を有機
水性溶媒中で実施することができるので好ましい。水混
和性有機溶媒としては、例えば、アルコール化合物(例
えば、炭素原子1〜3個の低級アルコール、特には、メ
チルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアル
コール)、ケトン化合物(例えば、炭素原子1〜3個の
低級脂肪族ケトン、特には、メチルエチルケトン又はア
セトン)或いはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明では、検査対象となる下痢性貝毒を含有するお
それのある試料を有機溶媒(適当な場合には有機溶媒と
水との混合物)で処理して、検査対象下痢性貝毒(試料
中に含まれている場合)を抽出する。抽出用の有機溶媒
は、検査対象下痢性貝毒の種類に応じて適当に選ぶこと
ができる。得られた有機抽出液又は有機水系抽出液をそ
のまま又は水で希釈して次の接触工程に用いる。
一方、検査対象下痢性貝毒に対して特異性を有する抗
体であって、その検査対象下痢性貝毒の抽出に用いた有
機溶媒に対する耐性を有する抗体を、前記の方法で予め
調製しておく。この抗体(サンドイッチ法では第1抗
体)と前記有機(又は有機水系)抽出液とを接触させる
と、その有機抽出液中に検査対象下痢性貝毒(抗原)が
存在する場合には、有機溶媒の存在下で抗原抗体反応が
起きる。この抗原抗体反応は、前記の有機溶媒存在下で
実施することを除けば、通常の抗原抗体反応と同様に行
うことができる。例えば、抗体を適当な不溶性支持体
(例えば、ウエル又はラテックス粒子)上に担持させ、
有機抽出液中の抗原と特異的に反応させる。
本発明方法を競合法又は非競合法で実施する場合に
は、既知量の標識化抗原(即ち、検査対象下痢性貝毒)
を用いて検査対象下痢性貝毒の存在の確認又は定量を行
うことができる。また、サンドイッチ法を用いる場合に
は、過剰量の標識化第2抗体を用いる。検査対象下痢性
貝毒の標識には、公知の標識体、例えば、放射性同位体
(例えば、32P、35S、3H)、酵素(例えば、ペルオキシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ)、ビタミン(例え
ば、ビオチン)、蛍光物質(例えば、FITC)、化学発光
物質(例えば、アクリジニウム)を用いることができ
る。
標識化抗原は、前記抗体と有機抽出液との接触工程が
終了してから(即ち、前記抗体と有機抽出液中の抗原と
の抗原抗体反応が終了してから)(非競合法)、あるい
は前記抗体と有機抽出液との接触工程と同時に(即ち、
前記抗体と有機抽出液中の抗原との抗原抗体反応と同時
に)(競合法)、反応系に加えることができる。非競合
法では、有機抽出液中の検査対象下痢性貝毒と結合して
いない抗体が標識化抗原と結合する。一方、競合法で
は、既知量の標識化抗原と前記有機抽出液中の未知量の
抗原とが拮抗的に抗体と結合する。サンドイッチ法で
は、第1抗体を前記有機抽出液と接触させた後に非結合
抗原を洗浄除去してから、標識化第2抗体を加えると、
第1抗体と抗原との複合体に対して標識化第2抗体が結
合する。
前記の抗体と有機溶媒抽出液との接触工程、及び標識
化抗原又は標識化第2抗体の添加工程では、下痢性貝毒
(抗原)の溶解度と標識の不活性化とを考慮して有機溶
媒の濃度を選択する。即ち、有機溶媒の濃度が高ければ
高い程、下痢性貝毒の溶解度は維持されるが、標識の中
には有機溶媒によりその活性が失われるものもある。従
って、下痢性貝毒の種類と標識の種類とによって有機溶
媒の種類及び水中濃度を適宜決定する。なお、非競合法
においては、抗原抗体反応を実施する条件と異なる条件
下(例えば、水を添加して有機溶媒濃度を低下させる
か、あるいは水系に完全に置き換える)で、前記標識化
抗原を添加することもできる。一方、競合法では標識化
抗原を前記抗原抗体反応と同時に行うので、その反応系
に存在する有機溶媒によって標識が不活性化しないよう
にする必要がある。例えば、有機溶媒によって全く影響
を受けない標識(例えば、蛍光標識)を使用するか、あ
るいは有機溶媒の濃度を低くして標識(例えば、酵素、
アビジン)の失活を防止する。
競合法及び非競合法では、標識化抗原と抗体との反応
が終了した後で、抗体と結合した標識化抗原と、抗体と
結合しなかった標識化抗原とを分離する。分離は、例え
ば、過、遠心処理又は緩衝液による洗浄によって行う
ことができる。サンドイッチ法では、第1抗体結合抗原
と標識化第2抗体との反応が終了した後で、第1抗体結
合抗原と結合しなかった標識化第2抗体を除去し、続い
て、第1抗体結合抗原と結合した標識化第2抗体の標識
からの信号を測定する。
こうして分離した標識化抗原のいずれか一方又は両方
の標識に由来する信号(競合法又は非競合法)、或い
は、第1抗体結合抗原と結合した標識化第2抗体の標識
に由来する信号(サンドイッチ法)を測定する。信号を
測定する際には、標識化抗原を含む反応系を信号測定に
好ましい条件に変えるのが好ましい。例えば、標識とし
て酵素、アビジンを用いた場合には、反応系を水系に変
えてから基質を加え、酵素活性を測定する。また、標識
として蛍光又は化学発光物質を用いた場合には、消光が
起こらない条件で信号を測定する。
次に、本発明のモノクローナル抗体及びハイブリドー
マ、並びにより具体的な本発明の下痢性貝毒検出方法に
ついて順に説明する。
本発明によるモノクローナル抗体及びハイブリドーマ
の調製は常法、例えば、続生化学実験講座、免疫生化学
研究法(日本生化学会編)に記載の方法で行うことがで
きる。具体的には、免疫原としては、オカダ酸、ジノフ
ィシストキシン−1及びジノフィシストキシン−3に特
異的なモノクローナル抗体をもたらすものを任意に用い
ることができるが、特には、オカダ酸、ジノフィシスト
キシン−1及びジノフィシストキシン−3、並びに、こ
れらの塩類、更には、これらを生体高分子(例えば、ウ
シ血清アルブミン又は免疫グロブリン)担体に結合させ
たものを用いるのが好ましい。これらの免疫原溶液を用
いて哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ
又はウマ)をイン・ビボ免疫法により免疫する。例え
ば、免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバント
又は不完全アジュバントと乳化混合し、マウスの皮下に
投与する(第1回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同
様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫から数日後に
脾臓を無菌的に取り出し、ステンレスメッシュなどで押
しつぶして脾臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。
細胞融合のもう一方の親細胞であるミエローマ細胞
(骨髄腫細胞)としては、各種の公知の細胞株、例え
ば、p3(p3/×64−Ag8)〔Nature,256,495−497(197
5)〕、p3−U1〔Current Topicsin Micorobiology and
Immunology,81;1−7(1978)〕、NS−1〔Eur.J.Immun
ol.,6;511−519(1976)〕、MPC−11〔Cell,8;405−415
(1976)〕、SP2/0〔Nature,276;269−270(1978)〕、
FO〔J.Immunol.Meth.,35;1−21(1980)〕、×63.6.55.
3〔J.Immunol.,123;1548−1550(1979)〕、S194〔J.Ex
p.Med.,148;313−323(1978)〕、又はラットにおけるR
210〔Nature,277;131−133(1979)〕などを使用するこ
とができる。
細胞融合は通常の方法、例えば、公知の融合促進剤
(ポリエチレングリコールなど)及び場合により補助剤
(ジメチルスルホキシドなど)を用いて行うことがで
き、使用比率も常法と同様に、例えば、ミエローマ細胞
に対して脾臓細胞を約1〜10倍程度の量で用いる。融合
用培地としては、例えば、40%(w/v)ポリエチレング
リコールを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を
用いることができる。融合は、前記の培地内で免疫脾臓
細胞とミエローマ細胞とをよく混合することによって行
う。
続いて、選別用培地(例えば、HAT培地)を用いてハ
イブリドーマ以外の細胞を除去し、ハイブリドーマ培養
上清の抗体(即ち、オカダ酸とジノフィシストキシン−
1とジノフィシストキシン−3とに同時に特異性を示す
モノクローナル抗体)産生の有無を、例えばELISA法に
よって検出・測定し、目的とするハイブリドーマを分離
する。特に、有機溶媒(好ましくは水混和性有機溶媒)
に対して耐性を有するモノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマを選別する場合には、各種の濃度で前記有
機溶媒を含む有機水性溶液ないし無水有機溶媒中に抗体
を入れた後、下痢性貝毒を添加し、抗原抗体反応が正常
に進行することを確認することによって、有機溶媒耐性
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選別す
る。
こうして得られた、目的のモノクローナル抗体を分泌
する本発明のハイブリドーマは、通常の培地で継代培養
することができ、また液体窒素等の中で容易に長期間保
存することができる。ハイブリドーマを培養する培地と
しては、ハイブリドーマの培養に適した任意の培地を用
いることができ、例えばDMEMにウシ胎児血清、L−グル
タミン、L−ピルビン酸及び抗生物質(ペニシリンGと
ストレプトマイシン)を含む培地が用いられる。ハイブ
リドーマの培養は、イン・ビトロの場合には例えば培地
中で5%CO2濃度及び37℃で約3日間、またイン・ビボ
例えばマウスの腹腔中で培養する場合には約14日間実施
するのが好ましい。
前記のハイブリドーマを常法によって培養した培養液
から、あるいはハイブリドーマを投与した適当な哺乳動
物(例えばマウス又はラット)の腹水から、目的とする
モノクローナル抗体を分離し、精製することが可能であ
る。培養液又はマウスの腹水からモノクローナル抗体を
分離、精製する場合にはタンパク質の単離、精製に一般
的に用いられる方法を用いることが可能である。そのよ
うな方法としては硫安塩析、イオン交換クロマトグラフ
ィー、分子篩ゲルを用いる分子節カラムクロマトグラフ
ィー、プロテインA又はプロテインG結合多糖類等を用
いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥
の方法等がある。
本発明による下痢性貝毒検出方法は、前記の本発明の
モノクローナル抗体(即ち、オカダ酸とジノフィシスト
キシン−1とジノフィシストキシン−3とに同時に特異
性を示すと共に有機溶媒耐性を有するモノクローナル抗
体)を用いて実施するので、下痢性貝毒を漏れなく検出
することができる。また、有機溶媒耐性モノクローナル
抗体を用いるので、検査対象の下痢性貝毒を充分に溶解
することのできる量の有機溶媒を含有する有機水性系又
は有機系中で正確な抗原抗体反応を進行させることがで
きる。
本発明の下痢性貝毒検出方法を具体的に実施する際に
は、最初に食用二枚貝の中腸腺検体を前記の有機溶媒で
抽出する。得られた抽出液をそのまま又は水で希釈して
次の接触工程に用いる。次に、例えば、マウスモノクロ
ーナル抗オカダ酸抗体であって、水混和性有機溶媒に対
し耐性を有する抗体を、前記の方法で予め調製してお
く。この抗体(サンドイッチ法では第1抗体)と前記有
機溶媒抽出液とを接触させると、その有機溶媒抽出液中
に下痢性貝毒(抗原)が存在する場合には、有機溶媒存
在下で抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、有
機溶媒存在下で実施することを除けば、通常の抗原抗体
反応と同様に行うことができる。例えば、抗体を適当な
不溶性支持体(ウエル又はラテックス粒子)上に担持さ
せ、有機溶媒抽出液中の抗原と特異的に反応させる。
実施例 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、
これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作成 下痢性貝毒の一種であるオカダ酸(和光純薬)(以
下、OAと称す)2mg、N−ヒドロキシサクシニミド0.31m
g及びN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.57mgをジ
メチルホルムアミド(以下、DMFと称す)120μlに溶か
し、室温で2時間反応させた。得られた反応液を2分割
し、一方の反応液を39μlにヒトIgG1.5mgを加えて溶解
し、他方の反応液81μlにはウシ血清アルブミン(以
下、BSAと称す)1.9mgを加えて溶解し、各々を室温で更
に2時間反応させた。最後に、得られた反応液をゲル
過を、PBS(pH7.4)で平衡させたセファデックスG−25
カラムによって行った。得られたOA−ヒトIgG及びOA−B
SAをそれぞれ0.826mg/ml及び1.04mg/mlの濃度で生理食
塩水に溶かし、OA−ヒトIgGを免疫原、OA−BSAを分析用
抗原として用いた。
OA−IgG溶液300μlに同量のフロインド完全アジュバ
ントを加え、良く混合して均質のゾルを調製した。この
ゾル200μlを雌マウス(4週令;A/J)の腹腔内に投与
した。2ヵ月後に、同様に調製した抗原ゾルを同じ量で
腹腔内に投与した。
血清中の抗OA抗体の力価の高くなったマウスの脾臓を
摘出し、5%ウシ胎児血清を含んだT−2培地によりシ
ャーレ内で摘出脾臓を3回洗浄した後、注射針で傷を付
けてから、絞り出すようにして単細胞の懸濁液を調製し
た。単細胞懸濁液をメッシュで過して大きな固形物を
除いた。得られた液に、マウスのミエローマ細胞P3X
−63−Ag8−6.5.3を細胞数の比で1:5(ミエローマ細
胞:脾臓細胞)になるように混ぜ、遠心(300×g,4分)
して細胞を集めた。次に、血清を含まないT−3培地に
前記の沈殿細胞を再懸濁し、同じ条件で遠心し、遠心管
を指で弾いて沈渣を攪拌してから、37℃に暖めておいた
50%ポリエチレングリコール(分子量1,500)溶液1ml
を、遠心管を回転させながら、60秒かけてゆっくり加え
た。細胞融合の停止は、細胞融合が進行している遠心管
に、血清を含まないT−3培地を3回に分けて添加する
(最初は前記培地3ml、次に前記培地9ml、そして最後に
前記培地38mlをそれぞれ30秒かけて添加する)ことによ
り行った。前記培地の添加が終了した後、37℃で2分
間、及び室温で8分間保持してから遠心し、得られた細
胞を細胞数が2×106/mlになるようにT−2培地に懸濁
した。この細胞懸濁液を96穴のプラスチックプレートに
100μl/ウエルの量で分注して、37℃にて5%二酸化炭
素−95%空気の気相で培養した。24時間後に、T−4培
地を100μl/ウエルの量で添加して、更に10日間から14
日間、同じ条件で培養を続けた。培養液中の抗OA抗体の
活性を調べ、目的とする抗体を産生しているウエルの細
胞について、24穴のプラスチックプレートで、HT培地を
用い、限界希釈法によりハイブリドーマのクローニング
を行った。クローニングした結果、抗OA抗体を産生して
いるハイブリドーマ(融合細胞)14株を得た。
実施例2:モノクローナル抗体の調製 実施例1で選抜したハイブリドーマ14株の各々を、ペ
ニシリン、ストレプトマイシン及びファンギゾンをそれ
ぞれ2.5μg/mlづつ含む組織培養用無血清培地セルグロ
ッサーH(ハイブリドーマ用)(住友製薬)で培養し
た。得られた細胞を同じ培地に懸濁し、抗OA抗体を産生
させる目的でミリポアダイナセルカルチャーシステム
(ミリポア社)を用いて5%二酸化炭素−95%空気の気
相の下で、37℃にて培養した。培養終了後、培養液を硫
安分画し、得られたモノクローナル抗体を0.9%NaCl含
有5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に溶かして透析した。
実施例3:モノクローナル抗体の選定 14株のハイブリドーマが産生した各抗OAモノクローナ
ル抗体を用いてELISA用プレートを作成した。即ち、実
施例2で調製した抗OAモノクローナル抗体を10μg/mlに
なるように、0.083M硼酸含有生理食塩水(pH8.0)(以
下、BBSと称す)に溶かし、96穴プレートに100μl/ウエ
ルの量で分注し、室温で1時間放置して抗体を固定し
た。各ウエルをBBS250μlで3回洗浄した後、BBSに溶
かしたゼラチン溶液(10mg/ml)250μlを各ウエルに分
注し、室温で1時間放置してブロッキングを行った。
一方、水中のメチルアルコール濃度を0%(水)から
100%(無水アルコール)まで10%ずつ徐々に変化させ
て調製したメチルアルコール水溶液のシリーズの各々
に、既知の濃度でOAを溶解してOA標準アルコール性水溶
液を調製した。
前記の各ELISA用プレートに、前記のOA標準アルコー
ル性水溶液100μlを各ウエルに加え、室温に放置して
抗原抗体反応を進行させた。一時間後に各ウエルをBBS2
50μlで5回洗浄した。次に、パーオキシダーゼで標識
したOA(以下、OA−PODと称す)25〜100mg/mlを含む溶
液(1.0%ゼラチンを含むBBS)100μlを各ウエルに加
え、室温で一時間放置した。続いて、BBS250μlで5回
洗浄してから、基質溶液〔3,3′,5,5′−テトラメチル
ベンチジン100mgをDMF10mlに溶かした溶液100μlを0.1
M酢酸ナトリウム溶液(pH5.5)9.9mlで希釈した後、3
%過酸化水素水溶液15μlを加えて調製した;以下、TM
BZ溶液と称す〕100μlを各ウエルに分注し、室温で5
〜40分間反応させ、1N硫酸100μlを加えて反応を止め
た。反応液の吸光度を450nm又は415nmにて分光光度計
(日立分光光度計U−1100)で測定し、検量線を作成し
た。
その結果、ハイブリドーマOA−423株が産生する抗OA
モノクローナル抗体(以下、OA−423抗体と称す)が100
%メチルアルコール中でも正しく抗原を認識して、正常
な抗原抗体反応を行うことが分かった。前記ハイブリド
ーマOA−423は、通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所(あて名:〒305日本国茨城県つくば市東1丁目
1番3号)に1991年10月25日から国内寄託〔微工研菌寄
第12585号(FERM P−12585)〕され、1992年7月27日
から国際寄託〔微工研条寄第3943号(FERM BP−394
3)〕に移管されている。
このハイブリドーマOA−423株が産生する抗OAモノク
ローナル抗体(OA−423抗体)はメチルアルコール量が
0%(0.083M硼酸含有生理食塩水)〜100%中で正しく
抗原を認識して正常な抗原抗体反応を行なう。なお、ハ
イブリドーマOA−127株及び227株が産生する各抗OAモノ
クローナル抗体は50%以下のメチルアルコールを含む水
溶液中で正しく抗原を認識して正常な抗原抗体反応を行
なった。
前記のOA−423抗体の免疫グロブリンクラスをマウスI
gサブクラス識別用ビオチン標識抗体(Ig、IgM、IgG1、
IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、λ型L鎖、κ型L鎖)を用
いてELISA法で調べたところ、IgG1κであった。
実施例4:オカダ酸の検定 50%、60%、70%、80%及び90%メチルアルコール水
溶液並びに100%メチルアルコールに、OAを各種の既知
濃度で溶解して調製したOA標準溶液と、実施例3に記載
した条件で作成したOA−423抗体のELISA用プレートを用
いて、実施例3と同様の手順に従い検量線を作成した。
即ち、OA−423抗体10μl/mlをウエルに固定し、OA−POD
50ng/mlを用い、そして22.5℃〜26.5℃にて8〜20分間
酵素反応を行った。なお、対照試験用にはマウスIgG1
(10μl/ml)を用いた。結果を第1図に示す。
第1図から明らかなとおり、OA−423抗体はOAと100%
メチルアルコール中においても正常な抗原抗体反応を行
う。従って、OAのメチルアルコール抽出液をそのまま用
いて定量を行えることが明らかになった。
実施例5:オカダ酸の検定 100%メチルアルコールに、エタノール、アセトン、
エーテル、ベンゼンを各々、0〜90%、0〜50%、0〜
20%加えた混合液に、OAを各種の既知濃度で溶解して調
製したOA標準溶液と、実施例3に記載した条件で作成し
たOA423抗体のELISA用プレートを用いて、実施例3と同
様の手順に従い検量線を作成した。即ち、OA423抗体10
μg/mlをウェルに固定し、OA−POD50ng/mlを用い、そし
て22〜25℃にて20〜30分間酵素反応を行なった。結果を
第2図〜第5図に示す。
実施例6:非競合法による下痢性貝毒の測定 非競合法により、OA、ジノフィシストキシン−1(以
下、DTX1と称す)及びジノフィシストキシン−3(7−
O−パルミトイル−DTX1)(以下、DTX3と称す)の標準
品を測定した。使用したELISA用プレートはOA−423抗体
を用いて、実施例3に記載した条件下に調製した。標準
試料溶液は、実検体からの抽出操作を考慮し、下痢性貝
毒の100%メチルアルコール溶液を一度乾固させた後、
各々の濃度のメチルアルコールを含むBBSに再溶解する
方法で調製して用いた。
前記OA−423抗体を担持したELISA用プレートを用い
て、実施例3に記載した非競合法によりOA、DTX1及びDT
X3の標準品を測定した。メチルアルコール濃度を10%刻
みで0%から100%までの11段階について調べ、検量線
を作成し、結果を第6図〜第11図に示した。
OAの非競合法による測定結果に対するメチルアルコー
ル濃度の影響は、メチルアルコールの濃度が10%以下の
領域では差がなく、OAの定量範囲は0.1〜3.0ng/mlで感
度良く定量することができる。しかし、メチルアルコー
ル濃度を20%に上げると感度が低下し、定量範囲は0.3
〜10ng/mlになる。メチルアルコール濃度が40%以上に
なると、それ以上の感度の低下はほとんど見られず、定
量範囲は3.0〜1000ng/mlである(以上、第6図参照)。
ただし、メチルアルコール濃度が50%以上になると、バ
ックグラウンドの値が高くなる傾向がある(第7図)。
DTX1の測定結果によれば、DTX1はOAと比較して感度が
低く、メチルアルコール濃度が40%以下でも、定量範囲
は10〜3,000ng/ml、あるいは10〜10,000ng/mlである
(第8図)。メチルアルコール濃度を50%以上にする
と、定量範囲は100〜10,000ng/mlとなり、OAの場合と同
様に、これ以上の感度低下は見られない(第9図)。
DTX3の測定結果によれば、メチルアルコール濃度が20
%以下の領域ではメチルアルコールの影響を殆と受け
ず、DTX3の濃度が1.0〜30ng/mlの範囲で定量が可能であ
る。メチルアルコール濃度が20%を越えると、測定結果
にメチルアルコールの影響が出る。メチルアルコール濃
度が30%になると感度が低下し、定量範囲は10〜300ng/
mlになる(第10図)。更に、メチルアルコール濃度を上
げて40%以上にすると、定量範囲は100〜3,000ng/ml、
あるいは100〜10,000ng/mlになる(第10図及び第11
図)。
以上のOA、DTX1及びDTX3の測定実験の結果より、各メ
チルアルコール濃度におけるOA−423抗体の3種の下痢
性貝毒に対する反応性を第1表にまとめた。メチルアル
コール濃度を20%以下にすると、OA−423抗体がOA及びD
TX3と定量的反応を示す貝毒の低濃度領域で、OA−423抗
体はDTX1と反応しない。従って、メチルアルコール濃度
を選択することにより、OA及びDTX3のみを定量すること
ができる。
実施例7:競合法による下痢性貝毒の測定 実施例6に記載した方法で調製した標準品溶液と、実
施例3の条件で作成したOA−423抗体を担持したELISA用
プレートを用いて、OA、DTX1及びDTX3の競合法による測
定を、メチルアルコール濃度を10%刻みで0%から70%
までの8段階で行い、標準曲線を作成した。その結果を
第12図〜第14図に示す。3種の貝毒では何れも、メチル
アルコール濃度が50%を越えると、定量曲線が描けなく
なる。これは固相化されたOA−423抗体に対するOA、DTX
1及びDTX3の反応性が、OA−PODよりも相対的に弱くな
り、競合反応が独立しないためと考えられる。メチルア
ルコール濃度を30%以下にすると、測定系として満足で
きる結果を得ることができた。
OAの競合法による測定によれば、メチルアルコール濃
度が0〜20%の領域で定量範囲は0.3〜30ng/mlである。
メチルアルコール30%での測定範囲は1.0〜100ng/mlで
あり、非競合法による測定よりは高感度で定量ができる
(第12図)。
DTX1の場合では、メチルアルコール濃度が10%以下の
領域での定量範囲は1.0〜100ng/mlである。メチルアル
コール濃度を30%に上げると、30〜3,000ng/mlに低下す
る(第13図)。
DTX3の場合には、低濃度のメチルアルコールによる影
響が大きい。DTX3の定量範囲は、メチルアルコール濃度
が10%以下で1.0〜300ng/mlである。メチルアルコール
濃度を30%に上げると、10〜1,000ng/mlに低下する(第
14図)。
OA、DTX1及びDTX3のOA−423抗体に対する反応性とメ
チルアルコール濃度の関係を第2表に示した。即ち、メ
チルアルコール濃度が0〜40%の範囲では、いずれの条
件下でも、OA423抗体とOAとDTX1及びDTX3との反応性の
比は、OAを1とした場合に、DTX1及びDTX3はそれぞれ少
なくとも約1/10又はそれ以上となった。
産業上の利用可能性 従来は、水難溶性脂溶性化合物を測定する場合に、試
料の中から検査対象の水難溶性脂溶性化合物を適当な有
機溶媒で抽出し、更に精製してから、各種の機器分析な
どを行なっていた。これに対して、本発明の下痢性貝毒
検出方法では、試料を有機溶媒で処理して得た抽出液を
そのまま直接、又は水で単に希釈しただけで、免疫学的
な測定用試料とすることができ、その抽出液中に含まれ
ている下痢性貝毒と、その下痢性貝毒に対する有機溶媒
耐性抗体との抗原抗体反応を行うことができるので、極
めて簡便に正確で精度の高い測定を実施することができ
る。
また、下痢性貝毒を測定する従来の致死活性測定法に
は、動物の管理、検出感度や精度及び特異性に問題があ
り、従来の競合酵素免疫学的測定法にも、下痢性貝毒の
うちのDTX3を検出・測定することができないという欠点
があった。これに対し、本発明によれば、OA、DTX1及び
DTX3の3種の下痢性貝毒の全てに特異性を有するモノク
ローナル抗体が提供されるので、従来法の欠点を解消す
ることができる。また、前記モノクローナル抗体が有機
溶媒耐性を有するので、試料からの有機溶媒抽出液をそ
のまま又は単に希釈するだけで検出又は測定工程に用い
ることができ、検出又は測定工程が簡便になるだけでな
く、高精度及び高感度を達成することができる。従っ
て、食品衛生等に貢献することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椛沢 啓吾 東京都千代田区東神田1丁目11番4号 株式会社ヤトロン内 (72)発明者 喜多 寛 東京都千代田区東神田1丁目11番4号 株式会社ヤトロン内 (72)発明者 高垣 裕 奈良県奈良市学園中3丁目1542−185 池田ハイツ102 (72)発明者 濱野 米一 大阪府泉佐野市下瓦屋3丁目14−45 (56)参考文献 特開 平1−96199(JP,A) 特開 平1−156666(JP,A) Biochem.Biophys.R es.Commun.,Vol.158, No.1,P.80−85(1989) Analytical Letter s,Vol.23,No.8,P.1465− 1476(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 16/18 C12N 5/10 C12P 21/08 G01N 33/53 G01N 33/577 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び
    ジノフィシストキシン−3に特異的であって、有機溶媒
    に対する耐性を有することを特徴とする、モノクローナ
    ル抗体。
  2. 【請求項2】水性又は完全有機溶媒中で正常な抗原抗体
    反応を行なうことができる、請求項1に記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  3. 【請求項3】受託番号がFERM BP−3943であるハイブリ
    ドーマにより産生される、モノクローナル抗体OA−42
    3。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のモノ
    クローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか一項に記載のモノ
    クローナル抗体を用いる、下痢性貝毒の免疫学的検出方
    法。
  6. 【請求項6】(1)試料を有機溶媒で処理して有機溶媒
    抽出液を調製する工程、 (2)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及びジノフ
    ィシストキシン−3に対して特異性を有すると共に前記
    有機溶媒に対する耐性を有する抗体と、前記有機溶媒抽
    出液とを接触させる工程、 (3)標識を有する既知量のオカダ酸、ジノフィシスト
    キシン−1又はジノフィシストキシン−3を前記工程
    (2)と同時又は前記工程(2)の終了後に前記抗体と
    接触させる工程、 (4)前記抗体と結合した前記標識化化合物と、前記抗
    体と結合していない前記標識化化合物とを分離する工
    程、及び (5)前記工程(4)で分離したいずれか一方の標識化
    化合物が有する標識からの信号を測定する工程 を含む、下痢性貝毒の免疫学的検出方法。
  7. 【請求項7】(1)試料を有機溶媒で処理して有機溶媒
    抽出液を調製する工程、 (2)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及びジノフ
    ィシストキシン−3に対して特異性を有すると共に前記
    有機溶媒に対する耐性を有する第1抗体を、不溶性担体
    に固定させる工程、 (3)オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び/又は
    ジノフィシストキシン−3を含む前記有機溶媒抽出液
    を、前記工程(2)の固定化第1抗体に接触させる工
    程、 (4)前記オカダ酸、ジノフィシストキシン−1及び/
    又はジノフィシストキシン−3に対して前記第1抗体と
    は異なる部位で結合すると共に標識を有する第2抗体を
    過剰量で添加する工程、及び (5)第1抗体とオカダ酸、ジノフィシストキシン−1
    及び/又はジノフィシストキシン−3との複合体に結合
    した第2抗体上の標識の信号を測定する工程 を含む、下痢性貝毒の免疫学的検出方法。
JP50348493A 1991-08-09 1992-08-10 下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒の検出方法 Expired - Lifetime JP3154724B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-224864 1991-08-09
JP22486491 1991-08-09
JP30685991 1991-10-26
JP3-306859 1991-10-26
PCT/JP1992/001021 WO1993003365A1 (fr) 1991-08-09 1992-08-10 Dosage immunologique, anticorps monoclonal et hybridome

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3154724B2 true JP3154724B2 (ja) 2001-04-09

Family

ID=26526301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50348493A Expired - Lifetime JP3154724B2 (ja) 1991-08-09 1992-08-10 下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒の検出方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US5525476A (ja)
EP (1) EP0554458B1 (ja)
JP (1) JP3154724B2 (ja)
CA (1) CA2093521C (ja)
DE (1) DE69228739T2 (ja)
FI (1) FI113205B (ja)
WO (1) WO1993003365A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101921966B1 (ko) * 2017-07-05 2018-11-26 안영수 제작이 간단한 우산

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999040437A1 (en) * 1998-02-06 1999-08-12 Dexall Biomedical Labs, Inc. Improved methods and apparatus for performing determinations of immune reactants in biological fluids
GB9824772D0 (en) * 1998-11-11 1999-01-06 Skeland Stein O D Assay
IT1318605B1 (it) * 2000-06-30 2003-08-27 Uni Degli Studi Di Modena E Re Procedimoento per il dosaggio di tossine dsp del gruppo delledinophysitossine e delle yessottossine.
US8022188B2 (en) * 2006-04-24 2011-09-20 Abbott Laboratories Immunosuppressant binding antibodies and methods of obtaining and using same
US20100279309A1 (en) * 2007-11-19 2010-11-04 Florida Atlantic University Microfluidic chips and systems for analyzing protein expression, and methods of use thereof
RU2666247C1 (ru) * 2017-11-21 2018-09-06 Федеральное Государственное Бюджетное Учреждение "Федеральный Исследовательский Центр Питания, Биотехнологии И Безопасности Пищи" Способ количественного определения окадаиковой кислоты в морепродуктах

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5711986A (en) * 1980-06-25 1982-01-21 Fujisawa Pharmaceut Co Ltd Okadaic acid, its salt, and its ester
JPS5710453A (en) * 1981-04-16 1982-01-20 Toyo Jozo Co Ltd Method for improving immunity determination
CA1302920C (en) * 1987-10-09 1992-06-09 Taizo Uda Monoclonal antibody to okadaic acids, process for producing the monoclonal antibody, assay reagent for assaying okadaic acids using the monoclonal antibody, and assay method
JPH0196199A (ja) * 1987-10-09 1989-04-14 Ube Ind Ltd オカダ酸群に対するモノクローナル抗体およびそのモノクローナル抗体の製法
JPH01156666A (ja) * 1987-12-15 1989-06-20 Ube Ind Ltd オカダ酸群の測定試薬及び測定法
JPH02171187A (ja) * 1988-12-23 1990-07-02 Meidensha Corp 酵素の活性維持方法
AU6725990A (en) * 1989-10-23 1991-05-16 Hawaii Biotechnology Group, Inc. Non-aqueous solvent specific binding protein assays
US5180665A (en) * 1990-11-21 1993-01-19 Her Majesty The Queen In Right Of Canada, As Represented By The National Research Council Of Canada Method for quantitatively assaying the presence of diarrhetic shellfish poisoning toxins in marine samples
US5206141A (en) * 1991-09-24 1993-04-27 Hawaii Chemtect International Okadaic acid testing for ciguatoxin

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Analytical Letters,Vol.23,No.8,P.1465−1476(1990)
Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.158,No.1,P.80−85(1989)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101921966B1 (ko) * 2017-07-05 2018-11-26 안영수 제작이 간단한 우산

Also Published As

Publication number Publication date
FI931581A0 (fi) 1993-04-07
FI113205B (fi) 2004-03-15
US5525476A (en) 1996-06-11
DE69228739T2 (de) 1999-09-02
EP0554458A1 (en) 1993-08-11
WO1993003365A1 (fr) 1993-02-18
CA2093521C (en) 2000-02-22
CA2093521A1 (en) 1993-02-10
EP0554458B1 (en) 1999-03-24
FI931581A (fi) 1993-05-25
DE69228739D1 (de) 1999-04-29
EP0554458A4 (en) 1994-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3673522B2 (ja) 抗アネキシンvモノクローナル抗体並びにその利用及びそれを産生するハイブリドーマ細胞系
JPH01503331A (ja) モノカインの検査法
JP3154724B2 (ja) 下痢性貝毒に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒の検出方法
JPS6057254A (ja) 免疫学的測定法による糖脂質の定量方法
WO1986002364A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
JP4071330B2 (ja) 抗ヒトメダラシンモノクローナル抗体、その製造方法及びそれを用いる免疫学的測定方法
JP4663831B2 (ja) モノクローナル抗体、細胞株及びn1,n12−ジアセチルスペルミンの測定法
US5137807A (en) Method for determining beta-subunit of human prolyl 4-hydroxylase by immunoassay to detect hepatic disease
US5312751A (en) Hybridoma producing a monoclonal antibody specific for an antigen of the stratum corneum of human epidermis
JP3576184B2 (ja) 下痢性貝毒特異的モノクローナル抗体、ハイブリドーマ及び下痢性貝毒検出方法
JP4422291B2 (ja) ヒトメダラシンの免疫学的測定方法
JPH0782015B2 (ja) D型バニリルマンデル酸の測定法およびそれに使用する試薬およびキット
WO1986002355A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
WO1986002365A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
JP3414856B2 (ja) ジフェニルエーテル化合物の免疫学的測定方法
JPH0568584A (ja) モノクローナル抗体、これを用いた測定法、試薬キツト及び検索法
WO1986002360A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
JP4037586B2 (ja) ヒトメダラシンの免疫学的測定方法
JP2896931B2 (ja) モノクローナル抗体、それを用いた測定法、試薬キット、検索法及び薬剤ミサイル
JPH0690784A (ja) モノクローナル抗体及びその利用
EP0425665A1 (en) Method for assaying chondrocalcine
JPH09278800A (ja) メトプレンに特異的なモノクローナル抗体、それを産生するハイブリドーマ、及びメトプレンの測定方法
JPH0799992A (ja) ジフェニルエーテル誘導体に特異的なモノクローナル抗体、ハイブリドーマ、及びジフェニルエーテル誘導体の検出方法
WO1986002356A1 (en) Monoclonal antibodies and their use
JPH05308992A (ja) モノクローナル抗体

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080202

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090202

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 9

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 9

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 12