JP3153575B2 - 船舶の重量貨物搬出入装置 - Google Patents

船舶の重量貨物搬出入装置

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JP3153575B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は船舶に対して重量貨物を
積み込み、陸揚げするための船舶の重量貨物搬出入装置
の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】重量貨物を船舶に積み込み、あるいは陸
揚げ（積み降ろし）するのに、大型のパレットに重量貨
物を積載しておき、パレットごと搬送車により船舶に運
び込むようにしたものがある。搬送車は船舶に乗り移っ
てからパレットを降ろし、あるいはパレットを受け取
り、降船する。（参考文献、特開平３−１５９８９７号
公報）
【０００３】搬送車の船舶に対する乗船、降船は、船舶
の側面の開口と岸壁をつなぐランプを利用する。なお、
ランプは航行時に開口を閉じる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ところで大重量の搬送
車が移動するランプは、一般車両の斜路に比較して、登
坂能力が低いこともあって、傾斜の緩やかなものにする
必要がある。
【０００５】また、重量のある搬送車の移動に伴い船舶
が傾き、ランプの斜度が変動しやすいため、搬送車両の
腹をこすったり、天井が接触するなど、搬送車の進行が
妨げられることもある。さらにはランプ下端面と岸壁と
の当たりも生じる恐れがある。
【０００６】そして実際には船舶の接岸条件により、ラ
ンプの斜度はさまざまに変化し、荷役時間が長引けば、
その間の潮位も変動するため、重量物搬送車にとって常
に安全で最適な斜路を形成することは、きわめて困難な
ことである。
【０００７】また、搬送車から船舶への重量貨物の移し
変えを含めて、能率のよい荷役作業を行うことも、この
種の装置に強く要望される課題でもある。
【０００８】本発明は、広範な接岸条件下において、ラ
ンプの斜度を常に適正状態に維持して、重量物搬送車の
安全かつスムーズな移動を保証し、能率のよい荷役を実
現することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明は、舷側開口より
重量貨物を積載した搬送車をランプを経由して出入りさ
せる船舶において、搬送車を受け入れるリフトテーブル
と、このリフトテーブルを上部デッキから吊り下げて昇
降させるべく、リフトテーブルの四隅にそれぞれ配置さ
れた昇降手段と、前記リフトテーブルに対して基端を選
択的にヒンジ結合され、先端を岸壁に接続するランプと
を備えると共に、ランプの傾斜角度検出するセンサと、
リフトテーブルの水平度を検出するセンサと、上記両セ
ンサに基づいて、最初にランプ側の二隅の昇降手段を作
動させてランプの傾斜角度を所定の範囲に収まるように
修正し、次に残りの二隅の昇降手段を作動させてリフト
テーブルの水平度を所定の範囲に収まるように修正する
制御を、搬送車の出入りが終わるまでフィードバック制
御し続ける制御装置とを設けた。また、ランプサポート
をリフトテーブルに水平方向へ突出自由に設け、ランプ
の基端に設けたヒンジピンを、搬出入時にリフトテーブ
ルから岸壁側へ突出させたランプサポートの先端で支持
してヒンジ結合した。
【００１０】
【作用】搬送車が乗り入れるランプは、リフトテーブル
に選択的にヒンジ結合され、岸壁との斜度が所定の範囲
に収まるように、リフトテーブルの高さが昇降手段によ
って制御される。
【００１１】重量貨物を積載した搬送車の乗り入れ、あ
るいはその他の接岸条件の変化に伴いランプの斜度が変
化すると、ランプ側の２つの昇降手段が作動して角度調
整が行われ、常にランプの斜度を所定の範囲に保つ。ま
た、ランプ斜度の調整によりリフトテーブルの水平度が
変化すると、これを所定の水平範囲に維持するように、
残りの２つの昇降手段が作動し、リフトテーブルを水平
位置に維持する。
【００１２】このようにして、ランプの傾斜度が常に一
定に維持され、ランプから船舶への搬送車の乗り入れ、
退出が安全かつ円滑に行われる。また、岸壁と舷側開口
が離れていても、ランプサポートによりランプをリフト
テーブルに容易にヒンジ結合出来る。
【００１３】
【実施例】以下、図面にしたがって本発明の実施例を説
明する。
【００１４】図１〜図９に示すように、とくに図１〜図
４において、船舶１０の右舷または左舷の舷側１１に
は、重量貨物の積み込み、積み降ろしのための開口１２
が形成される。この開口１２を航行中は閉じる水密ドア
は、重量貨物の荷役時に斜路となるランプ１３として機
能し、ランプ１３は基端に繋がる昇降ワイヤ１４により
開口１２に沿って上下に移動されると共に、その先端に
繋がる傾動ワイヤ１５により基端のガイドローラ１６を
中心に岸壁１７に向けて展開する。
【００１５】なお、昇降ワイヤ１４は図６に示すように
索取りされて、油圧シリンダ１８によって牽引される。
また、傾動ワイヤ１５は同じく図５に示すように索取り
され、油圧ウインチ１９により牽引される。
【００１６】ランプ１３の先端には岸壁１７に着地し
て、ランプ荷重を岸壁に均一に分布させ、さらに岸壁か
らランプへの車両の走行を滑らかに移行させるフラップ
２０が、回動自由に取付けられる。
【００１７】船舶１０には開口１２の内側に位置して、
図１〜図３並びに図７〜図９に示すように、昇降するリ
フトテーブル２１が備えられる。リフトテーブル２１は
ランプ１３を乗り降りする搬送車２２をそのまま受け入
れるもので、リフトテーブル２１の幅と奥行は搬送車２
２の車幅と全長に対応している。
【００１８】ところで、搬送車２２は非常に重量のあ
る、たとえば薄板コイル材２３等をパレット２４に積ん
だまま、ランプ１３を乗り降りするもので、リフトテー
ブル２１のところでパレット２４を降ろしたり、あるい
は受け取ったりする。
【００１９】このため、図示はしないが、搬送車２２の
荷室２６の両側下部にはパレット２４の下面に位置して
上下動する荷室２６と一体に構成された爪が備えてあ
り、運んできたパレット２４をリフトテーブル２１に降
ろすには、パレット２４が着地するまで荷室２６の車輪
に対する設定高さを制御する油圧シリンダを作動させ、
荷室２６を下げることで爪を下げ、そのままリフトテー
ブル２１から搬送車２２を退出させればよく、またリフ
トテーブル２１の上にあるパレット２４を搬送車２２に
積み込むには、爪を下げたまま搬送車２２を進入させて
いき、荷室２６の内部にパレット２４がすっかり入った
後に、荷室２６と同時に爪を上昇させてパレット２４を
引き上げれば、搬送車２２への積み込みを完了する。
【００２０】リフトテーブル２１を昇降させるため、リ
フトテーブル２１の四隅には昇降手段としての油圧シリ
ンダ２７がそれぞれ配置され、船舶１０の上部デッキ２
９からリフトテーブル２１を吊り下げている。なお、油
圧シリンダ２７は上部デッキ２９から上方に突き抜けた
位置において支持され、点検や修理時などに上方へ抜き
出して容易に取り外し、交換ができるようになってい
る。
【００２１】これら油圧シリンダ２７は後述の制御装置
により作動油の供給が制御され、リフトテーブル２１を
昇降するために互いに同期しつつ伸縮したり、ランプ１
３の傾斜角度を所定の範囲に維持するように伸縮ストロ
ーク量が制御される。
【００２２】リフトテーブル２１の中央には前記パレッ
ト２４を通過させるのに必要な大きさの開口部２８が形
成され、この開口部２８の長手方向の両側に位置して、
一対のパレットサポート３０が回動可能に備えられ、搬
送車２２から降ろされたパレット２４を受け取る。パレ
ットサポート３０は駆動リンク３１と起倒シリンダ３２
によってヒンジ３３を中心に水平状態から下方に回動し
（図３参照）、開口部２８を開き、後述する一対のパレ
ット台車４０へのパレット２４の移し換えを行う。パレ
ットサポート３０の支持面は、リフトテーブル２１の搬
送車２２の走行面よりも高く設定されていて、パレット
２４の搬送車２２への積み降ろしを容易にすると共に、
爪がパレット２４と接触するのを防ぐ。
【００２３】なお、パレットサポート３０には、互いに
対向するパレットサポート３０との間において、パレッ
ト台車４０の支持台４１を通過させるのに必要な切欠３
４が形成されている。
【００２４】また、リフトテーブル２１の両側には、搬
送車２２の進入を開口部２８との関係から正しい位置に
規制するために、案内軌道３５Ａが設けられ、また進入
先端位置を規制する車止め３５Ｂも付設される。
【００２５】リフトテーブル２１が開口１２に面する側
部には、一対のランプサポート３６が水平方向に突出自
由に支持され、このランプサポート３６によってランプ
１３の基端に設けたヒンジピン３７を受け、ランプ１３
を傾動自由に支持することができるようになっている。
このため、ランプサポート３６の突出先端の上面に半円
形の係止溝３６Ａが形成され、またランプサポート３６
を突出させるための油圧シリンダ３９がリフトテーブル
２１の下面に設けられる。なお、ヒンジピン３７はラン
プ１３の両側よりも幾分か内側に配設されていて、ラン
プ１３が水密ドアとして舷側１１の開口１２を密閉する
際に干渉することはない。
【００２６】リフトテーブル２１にランプサポート３６
がランプ１３を受けたときに、リフトテーブル２１とラ
ンプ１３との間を橋渡しするために補助フラップ３８が
設けられ、補助フラップ３８は起倒シリンダ４２によ
り、水平位置と起立位置との間を回動する。
【００２７】前記一対で一組のパレット台車４０は、図
１に示すように、船底を長手方向に沿って敷設された各
２組のレール４４に案内されて自走し、この実施例で
は、合計２組のパレット台車４０がレール４４上に配置
される。
【００２８】図１０にも示すように、パレット台車４０
には油圧ジャッキ４３で昇降する支持台４１が備えら
れ、一組のパレット台車４０による２つの支持台４１で
前記パレット２４の左右を支持しながら、パレット２４
を所定の格納位置まで移動させる。このため、油圧モー
タにより回転するピニオン（図示せず）が、レール４４
の間に配設したラック４５に噛み合い、左右のパレット
台車４０の速度を同調させつつ、パレット２４をレール
４４に対して正対したまま移送する。なお、左右のパレ
ット台車４０の移動速度の微妙な同調ずれを吸収するた
め、支持台４１は油圧ジャッキ４３の軸心を中心に水平
回転するようになっていて、パレット２４の運搬姿勢に
わずかな傾きを生じたときなど無理な摩擦力がかからな
いようにしている。
【００２９】次に、図１１に示すように、前記リフトテ
ーブル２１を昇降させたり、ランプ１３の傾斜角度を所
定の範囲に制御するため、油圧シリンダ２７に供給する
作動油を制御する制御弁５５と、この制御弁５５の作動
を制御する制御装置５０が備えられる。
【００３０】この制御装置５０にはランプ１３の傾斜角
度を検出する傾斜角度センサ５１と、リフトテーブル２
１の水平度（傾斜角度）を検出する水平度センサ５２か
らの信号が入力し、また、各油圧シリンダ２７のストロ
ーク量を検出するストロークセンサ５３の信号も入力す
る。さらに、ランプヒンジピン３７の高さを油圧シリン
ダ１８のストローク量から検出するストロークセンサ５
４からの信号も入力させる。
【００３１】リフトテーブル２１からパレット台車４０
へ、あるいはこの逆に重量貨物を積載したパレット２４
を移し換えるときは、リフトテーブル２１からランプ１
３を切り離して、リフトテーブル２１を所定の位置まで
上下させるが、この制御はストロークセンサ５３の信号
を検出しながら行われる。
【００３２】これに対して、リフトテーブル２１に搬送
車２２が乗り入れするときは、切り離されているランプ
１３を乗り込み最適角度の手前で止め、そのときのヒン
ジピン３７の位置をストロークセンサ５４で検出し、こ
れより若干低い高さでランプサポート３６が伸び出され
る位置にリフトテーブル２１を降ろし、次いでランプ１
３をランプサポート３６に降ろす。この後、ランプ１３
の傾斜角度を搬送車２２の乗り入れに最適な所定の角度
範囲に維持し、またリフトテーブル２１を所定の水平状
態に維持するように、傾斜角度センサ５１と水平度セン
サ５２の信号に基づいて、油圧シリンダ２７のストロー
ク量を調整制御する。
【００３３】このランプ１３の傾斜角度維持とリフトテ
ーブル２１の水平度維持制御は、図１２のフローチャー
トに示すようにして行われる。
【００３４】まずステップ１，２でランプ１３の傾斜角
度αを読み込み、これが所定の角度範囲にあるかどう
か、つまり、α1≦α≦α2の範囲にあるか判断する。こ
の角度範囲α1〜α2の範囲は、重量貨物を積載した搬送
車２２が安定してランプ１３を移動することのできる最
小と最大許容角度の範囲である。
【００３５】αがこの範囲にはなく、αがα1よりも小
さいときは、ランプ側の２本の油圧シリンダ２７を収縮
させ、またαがα2よりも大きいときは、逆に２本の油
圧シリンダ２７を伸長させ、許容角度範囲に収まるよう
に修正する（ステップ３，４）。
【００３６】これに対して、ランプ１３の傾斜角度が所
定の範囲に収まっているときは、ステップ５に移り、リ
フトテーブル２１の水平度（ランプ１３と同じ方向の傾
斜角度）θを読み込み、これをステップ６で所定の角度
範囲にあるかどうか、つまりθ1≦θ≦θ2かどうかを判
断する。
【００３７】これはリフトテーブル２１に安定して搬送
車２２が乗り入れられる水平度範囲であり、もし、水平
度がこの範囲になく、θがθ1よりも小さいときは、前
記ランプ側の２本の油圧シリンダ２７ではなく、奥の２
本の油圧シリンダ２７を収縮させ、またθがθ2よりも
大きいときは、同じく油圧シリンダ２７を伸長すること
で、許容水平度の範囲に収まるように修正を行う（ステ
ップ７，８）。
【００３８】ランプ側の２本の油圧シリンダ２７を伸縮
させてランプ１３の傾斜角度を修正することにより、リ
フトテーブル２１の水平度も変化するため、ランプ１３
の傾斜角度を修正したら、こんどは奥の２本の油圧シリ
ンダ２７を伸縮させて、リフトテーブル２１の水平度を
修正するのである。
【００３９】ステップ９にもあるように、これらの修正
動作は搬送車２２の移動が完全に終了するまで繰り返さ
れる。
【００４０】このようにして、ランプ１３に対する搬送
車２２の乗り入れ等に伴う角度変化に対する傾斜角度の
修正が行われ、常にランプ１３は最適な傾斜角度を維持
することができ、また、リフトテーブル２１も所定の範
囲の水平度を維持することができるのである。
【００４１】次に、全体の作用について、船舶１０から
パレット２４を陸揚げする場合を例にして説明する。
【００４２】まず、ドア兼用のランプ１３の開放である
が、ランプ１３の基端ヒンジ点が岸壁１７よりも、たと
えば約１ｍだけ高くなるように、昇降ワイヤ１４を操作
し、かつ傾動ワイヤ１５を操作してランプ１３の先端の
フラップ２０を岸壁１７に接地させる。このときのラン
プ１３の斜度はほぼ所定の角度範囲に近づく。以上は目
視確認、手動操作により行う。
【００４３】次いで、航行中等最上位置にあるリフトテ
ーブル２１を、水平のまま、ランプ１３の船体側高さよ
り規定値だけ下げ、ランプサポート３６を突き出す。そ
して昇降ワイヤ１４を緩めてランプ１３を下げ、ヒンジ
ピン３７をランプサポート３６で受けた後、さらに各ワ
イヤ１４、１５を緩め、ランプ１３の重量を完全にラン
プサポート３６で支持し、このときランプ１３の最大傾
斜角度が約３．５度に設定される。なお、これらは操作
者がスタートボタンを押すことにより、自動シーケンス
制御で進行する。さらに搬送車２２の走行に支障のない
ように、補助ランプ３８を水平に展開して、乗り入れの
準備を完了する。
【００４４】ところで、リフトテーブル２１のパレット
サポート３０には、航行中の有効スペースの確保のため
に、通常は１個のパレット２４が載置されている。
【００４５】岸壁１７で待機していた空の搬送車２２が
ランプ１３に乗り入れると、この重量の負荷により船体
が傾き、ランプ１３の傾斜角度が変動し、この傾斜角度
は搬送車２２の進行位置と共に変動しようとする。しか
し、前記したように、ランプ１３の傾斜角度が所定の範
囲から外れると、ランプ側の２本の油圧シリンダ２７の
ストロークが伸縮制御され、ランプ１３の傾斜角度を所
定の範囲に維持する。このときリフトテーブル２１の水
平度も、所定の範囲に保つように、残りの２本の油圧シ
リンダ２７が伸縮制御される。
【００４６】搬送車２２はリフトテーブル２１のパレッ
ト２４の手前でいったん停止し、パレット２４の下面に
合わせて爪の高さを下げる。その状態で荷室２６に完全
にパレット２４が入るまでリフトテーブル２１に進入す
る。爪を上げてパレット２４を受け取った搬送車２２
は、ランプ１３を逆に降りていき、船舶１０から退出す
る。
【００４７】リフトテーブル２１とランプ１３との間に
は所定の折り曲げ角度があるため、搬送車２２がリフト
テーブル２１に乗り込みながら、パレット２４の下面に
爪を進入させていくときや、あるいはパレット２４を降
ろして退出していくとき、さらにはパレット２４を積み
込んだ状態でリフトテーブル２１からランプ１３に乗り
移るとき等に、その折り曲げ角度が変化すると、パレッ
ト２４に爪が当たったり、搬送車２２の下面がランプ１
３に接触することがあり、搬送車２２の移動やパレット
２４の授受が円滑に行えなくなる。
【００４８】しかし、ランプ１３の傾斜角度やリフトテ
ーブル２１の水平度が常に正確に目標の角度範囲にフィ
ードバック制御されるため、安全で円滑なパレット荷役
が保証される。
【００４９】リフトテーブル２１からパレット２４が運
び出されたことを操作者が確認して、スタートボタンを
押すと次の自動シーケンスが開始される。つまり、こん
どは前記と逆の手順により、いったんランプ１３とリフ
トテーブル２１の連結を解除する。補助フラップ３８を
跳ね上げ、昇降ワイヤ１４によりランプ１３の基端を持
ち上げ、ランプサポート３６を引き込む。そのままラン
プ１３は基端を待機位置まで上昇させて、保持される。
また、からになったリフトテーブル２１はパレット２４
を積載したパレット台車４０がリフトテーブル２１の下
面に進入する際に干渉しない高さ、リフトテーブル２１
のパレット出入り可能待機高さに移動し、待機する。
【００５０】リフトテーブル２１のパレットサポート３
０には、船舶の内部に格納されていた重量貨物を積載し
たパレット２４が、以下の手順によって移される。
【００５１】重量貨物を積載したパレット２４を陸揚げ
するため、パレット台車４０により、リフトテーブル２
１に最も近い位置に格納されているパレット２４がリフ
トテーブル２１の下面にまで運ばれる。なお、走行中は
左右のパレット台車４０の速度が同調されるが、微妙な
同調ずれに対しては、支持台４１が鉛直軸の回りに回転
することにより、パレット２４のわずかな姿勢変化を吸
収する。
【００５２】なお、次のパレット台車４０はパレット２
４を積み込んでリフトテーブル２１の直前の待機位置で
待つ。
【００５３】上昇位置にあるリフトテーブル２１のパレ
ットサポート３０を折り畳み（図３参照）、開口部２８
をパレット２４が通過できるようにする。リフトテーブ
ル２１を下限位置まで下げると、パレット台車４０に乗
っているパレット２４の下面よりもパレットサポート３
０を水平状態に回動したときのパレット支持面が下側に
位置するようになる。
【００５４】そこでパレットサポート３０を水平状態ま
で回動し、パレット台車４０の油圧ジャッキ４３を介し
て支持台４１を下げる。この降下途中でパレット２４は
パレットサポート３０に乗り移る。なお、支持台４１は
パレットサポート３０の切欠３４を通過するので、パレ
ットサポート３０と干渉することはない。
【００５５】リフトテーブル２１はパレット２４を受け
取ると上昇し、パレット台車４０がリフトテーブル２１
の下面から退出可能な高さまで移動し、その後、空のパ
レット台車４０は次のパレット２４を運ぶためにリフト
テーブル２１の真下からレール４４に退出していく。
【００５６】このようにしてパレット２４を受け取った
リフトテーブル２１を、油圧シリンダ２７を収縮させて
所定の荷役位置まで上昇させる。
【００５７】この後、前記したようにして、再びランプ
１３をリフトテーブル２１に連結してから搬送車２２を
乗り込ませ、パレット２４の移し換えを行い、ランプ１
３を通って運び出すのである。
【００５８】以上の操作の繰り返しにより、船舶１０の
内部に格納した重量貨物を積載したパレット２４を順
次、陸揚げすることができる。
【００５９】これに対して、船舶１０に陸上からのパレ
ット２４を積み込むのは、原則として前記と逆の動作に
より行うことができる。
【００６０】つまり、ランプ１３を所定の傾斜角度に展
開して、パレット２４を積んだ搬送車２２を乗り込ま
せ、リフトテーブル２１のパレットサポート３０にパレ
ット２４を降ろし、搬送車２２を退出させる。それから
ランプ１３を切り離し、リフトテーブル２１を下限位置
まで下降させる。
【００６１】この下降途中で、予めリフトテーブル２１
の真下に待機させておいたパレット台車４０の支持台４
１を上昇させておくことにより、パレットサポート３０
から支持台４１にパレット２４を移し換える。次いでパ
レットサポート３０を折り畳んで、空のリフトテーブル
２１を前記待機高さまで上昇させる。搬送車２２の乗り
入れのために再びランプ１３の連結を行い、その一方で
リフトテーブル２１の下面には次のパレット台車４０を
待機させるのであり、このようにして、重量貨物を積載
したパレット２４を船舶１０に積み込むことができる。
【００６２】ところで、上記したランプ１３は開口１２
の水密ドアを兼用し、航行中は船体外板部に垂直に格納
することで、格納高さから決まるランプ１３の有効長さ
の制約が排除されるため、所定の傾斜角度の斜路を形成
するのに、必要十分な長さを取ることができる。
【００６３】また、リフトテーブル２１の開口部２８に
設けるパレットサポート３０は、開口部２８の端部にヒ
ンジ結合し、パレット２４を支持する水平状態と、通過
させる垂直状態との２つの位置に回動し、パレットサポ
ート３０の支持面がリフトテーブル２１の走行面よりも
高くなるように設定したので、パレットサポート３０か
ら搬送車２２へのパレット２４の授受が円滑に行える。
【００６４】ランプ１３の位置は岸壁１７との相対的な
高さ関係により、リフトテーブル２１によって自由に上
下させることができるので、岸壁１７の高さや、船舶の
積載量、あるいは潮位等がさまざまに変化しても、常に
最適なランプ１３の傾斜角度を維持することができる。
【００６５】いちどリフトテーブル２１から切り離され
たランプ１３は、最大傾斜角度が約６度になるまで基端
部を上げて待機するが、この待機中には潮位の変化で岸
壁、船体の相対高さの関係が変化する。しかし、次のラ
ンプ１３とリフトテーブル２１の結合に移行するときに
は、最大傾斜角度が約３．５度の最適傾斜角度にセット
されるため、待機中の変動分は吸収され、新たな高さ位
置に次の荷役高さ位置となる。
【００６６】なお、リフトテーブル２１の駆動装置とし
ては、４本の油圧シリンダ２７だけではなく、ローラチ
ェーン、ロープを介しての駆動手段でもよく、この場
合、リフトテーブル２１の船体開口部側の２つの駆動手
段と、反対の奥側の２つの駆動手段とが互いに独立して
制御可能に設置されればよい。
【００６７】
【発明の効果】以上に記載する本発明により、重量貨物
を積載した搬送車の乗り入れ、あるいはその他の接岸条
件の変化に伴いランプの傾斜度が変化すると、ランプ側
の二隅の昇降手段が作動して角度調整が行われ、常にラ
ンプの傾斜度が所定の範囲に保たれる。また、ランプの
傾斜度の調整によりリフトテーブルの水平度が変化する
と、これを所定の水平範囲に戻すように、残りの二隅の
昇降手段が作動する。このようにして、ランプの傾斜度
が常に一定に維持され、ランプから船舶への搬送車の乗
り入れ、退出が安全かつ円滑に行われ、しかも、リフト
テーブルの水平度も維持される結果、搬送車からリフト
テーブルへの、あるいはこの逆への重量貨物を積載した
パレットの移送を安全かつ速やかに行うことができる。
また、舷側開口のリフトテーブルと岸壁との距離が離れ
ていても、搬出入する時にランプサポートを油圧シリン
ダによってリフトテーブルから岸壁方向に突出させてラ
ンプにヒンジ結合することにより、容易にヒンジ結合す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図２】同じくその横断面図である。
【図３】同じくその縦断面図である。
【図４】ランプの部分の平面図である。
【図５】傾動ワイヤの索取りを示す斜視図である。
【図６】昇降ワイヤの索取りを示す斜視図である。
【図７】リフトテーブルの側面図である。
【図８】同じくその平面図である。
【図９】同じくその断面図である。
【図１０】パレット台車の側面図である。
【図１１】制御装置のブロック図である。
【図１２】ランプとリフトテーブルの傾斜角度制御動作
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
１０ 船舶 １１ 舷側 １２ 開口 １３ ランプ １４ 昇降ワイヤ １５ 傾動ワイヤ ２１ リフトテーブル ２２ 搬送車 ２７ 油圧シリンダ ２８ 開口部 ３０ パレットサポート ３６ ランプサポート ３７ ヒンジピン ３８ 補助フラップ ４０ パレット台車 ５０ 制御装置 ５１ ランプ傾斜角度センサ ５２ リフトテーブル水平度センサ ５３ 油圧シリンダストロークセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−159897（ＪＰ，Ａ) 特開 昭54−77986（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−181991（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B63B 27/00 B63B 25/00 B63B 27/14 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 舷側開口より重量貨物を積載した搬送車
    をランプを経由して出入りさせる船舶において、搬送車
    を受け入れるリフトテーブルと、このリフトテーブルを
    上部デッキから吊り下げて昇降させるべく、リフトテー
    ブルの四隅にそれぞれ配置された昇降手段と、前記リフ
    トテーブルに対して基端を選択的にヒンジ結合され、先
    端を岸壁に接続するランプとを備えると共に、ランプの
    傾斜角度検出するセンサと、リフトテーブルの水平度を
    検出するセンサと、上記両センサに基づいて、最初にラ
    ンプ側の二隅の昇降手段を作動させてランプの傾斜角度
    を所定の範囲に収まるように修正し、次に残りの二隅の
    昇降手段を作動させてリフトテーブルの水平度を所定の
    範囲に収まるように修正する制御を、搬送車の出入りが
    終わるまでフィードバック制御し続ける制御装置とを設
    けたことを特徴とする船舶の重量貨物搬出入装置。
  2. 【請求項２】 ランプサポートをリフトテーブルに水平
    方向へ突出自由に設け、ランプの基端に設けたヒンジピ
    ンを、搬出入時にリフトテーブルから岸壁側へ突出させ
    たランプサポートの先端で支持してヒンジ結合すること
    を特徴とする請求項１に記載の船舶の重量貨物搬出入装
    置。
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