JP3151693B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3151693B2
JP3151693B2 JP15724393A JP15724393A JP3151693B2 JP 3151693 B2 JP3151693 B2 JP 3151693B2 JP 15724393 A JP15724393 A JP 15724393A JP 15724393 A JP15724393 A JP 15724393A JP 3151693 B2 JP3151693 B2 JP 3151693B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは特定のビスアゾ化合物を含有する感光層を有す
る電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体としては、セレ
ン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、シリコン等の無機光導
電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体
が、広く用いられてきた。しかし、これらは感度、熱安
定性、耐湿性、耐久性等において必ずしも満足し得るも
のではない。また一部の無機感光体では、感光体中に人
体に有害な物質を含むため、廃棄に際しての問題があ
る。
【0003】これら無機感光体の持つ欠点を克服する目
的で様々な有機光導電性化合物を主成分とする感光層を
有する有機感光体の研究・開発が近年盛んに行われてい
る。とくにキャリア発生機能とキャリア輸送機能とを異
なる物質にそれぞれ分担させた機能分離型の感光体はそ
れぞれの材料を広い範囲から選択することができ、任意
の性能を有する感光体を比較的容易に作成し得ることか
ら多くの研究がなされており、一部実用に供されている
ものがある。例えばUSP3,871,882のキャリア発生層
としてペリレン誘導体、キャリア輸送層にオキサジアゾ
ール誘導体を用いたもの、また特開昭55-84943号にはキ
ャリア発生物質にジスチリルベンゼン系ビスアゾ化合
物、キャリア輸送物質にヒドラゾン化合物を用いたもの
などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのような感光
体は、感度及び耐久性においてかならずしも満足できる
ものではなく、ほとんどが低感度で耐刷性のあまりいら
ない低速機を中心に用いられてきた。そして高速機に対
応できるような高感度かつ耐久性の高い感光体の開発が
求められていた。
【0005】本発明の目的は、高感度でかつ残留電位が
小さく、更に繰り返し使用してもそれらの特性が変化し
ない耐久性の優れた電子写真感光体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、以上の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のビスアゾ
化合物が電子写真感光体の優れた有効成分として働き得
る事を見いだし、本発明を完成したものである。 すな
わち、本発明の上記目的は、導電性支持体上に下記一般
式〔1〕で表されるビスアゾ化合物を含有する感光層を
有する電子写真感光体を用いることにより達成する事が
できる。
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1及びR4は各々独立にアルキル
基、アリール基を表し、R2及びR5は各々独立に水素原
子、シアノ基、アミド基、エステル基、アシル基を表
し、R3及びR6は各々独立に水素原子、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ
基を表す。但し、同時にR1=R4、R2=R5、R3=R6
となることはない。Aは置換基を有してもよく、直接ま
たは結合基をかいして結合していてもよい芳香族炭化水
素環または芳香族複素環の2価の基を表す。) R1及びR4のアルキル基の具体例としては炭素原子数1
から4のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、t-ブチル基等を挙げることが出
来る。またR1、R4のアリール基の具体例としてはフェ
ニル基、トリル基、メトキシフェニル基、クロロフェニ
ル基などが例示できる。
【0009】R2及びR5の具体例としては水素原子、シ
アノ基、アミノ基、n-メチルアミド基、n,n-ジメチルア
ミド基、メチルエステル、エチルエステル基などのエス
テル基、メチルアシル、ブチルアシル基などのアシル基
が例示できる。
【0010】R3及びR6の具体例としては水素原子、シ
アノ基、ニトリル基、クロル、ブロムなどのハロゲン原
子、アルキル基としては炭素原子数1から4のアルキル
基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基などを挙げる
ことが出来る。又アルコキシ基としてはメトキシ基、エ
トキシ基が例示できる。
【0011】Arの置換基を有してもよく、直接または
結合基をかいして結合していてもよい芳香族炭化水素環
または芳香族複素環の2価の基の具体例としては、以下
のような芳香環の2価の基が挙げられる。ベンゼン、ナ
フタレン、フルオレン、ピレン等の芳香族炭化水素環、
フラン、チオフェン、オキサジアゾール、ベンゾオキサ
ゾール等の芳香族複素環、さらに上記芳香環を直接また
は結合基をかいして結合したもの、例えばビフェニル、
スチルベン、トリフェニルアミン、フルオレノン、アン
トラキノン、ジフェニルオキサジアゾール、フェニルベ
ンゾオキサゾール等が挙げられる。
【0012】次に、本発明の前記一般式〔1〕で示され
るビスアゾ化合物の具体例について述べるがこれによっ
て本発明のビスアゾ化合物が限定されるものではない。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】
【化13】
【0024】本発明の前記一般式〔1〕で表されるビス
アゾ化合物は、種々の方法により合成することができ
る。
【0025】第一の方法は、一般式〔2〕で示されるジ
アミンを常法によりジアゾ化してテトラゾニウム塩を合
成し、次いで一般式〔3〕で示されるカプラー及び一般
式〔4〕で示されるカプラーの混合物と反応させて、前
記一般式〔1〕で示されるカプラーの異なる非対称なビ
スアゾ化合物を合成する方法である。
【0026】
【化14】
【0027】(一般式〔2〕にてAは一般式〔1〕と同
義である。一般式〔3〕、〔4〕にてR1、R2、R3
4、R5、R6は一般式〔1〕と同義である。但し、同
時にR1=R4、R2=R5、R3=R6となることはな
い。) 第二の方法は、以下に記すように逐次2段階に分けてカ
ップリング反応を行い、前記一般式〔1〕で示されるカ
プラーの異なる非対称なビスアゾ化合物を合成する方法
である。
【0028】前記一般式〔2〕で示されるジアミンの一
方のアミノ基をアシル基などの保護基で保護した後、常
法により他方のアミノ基をジアゾ化、次いで第一のカプ
ラーとカップリング反応を行い、一般式〔6〕又は
〔7〕で示されるモノアゾ化合物を合成する。
【0029】
【化15】
【0030】(一般式〔6〕にてR1、R2、R3、Aは
一般式〔1〕と同義であり、R’はアシル基などの保護
基を示す。一般式〔7〕にてR4、R5、R6、Aは一般
式〔1〕と同義であり、R’はアシル基などの保護基を
示す。) 次に保護基を加水分解にてはずし、アミノ基を再生す
る。常法によりアミノ基をジアゾ化し、次いで第2のカ
プラーとカップリング反応を行い、カプラーの異なる非
対称なビスアゾ化合物を合成する。
【0031】第一の方法は、合成工程が短く、コスト的
に有利な方法であるが、カップリング反応の塩基量、2
種のカプラーの混合比などの反応条件等を適正化して、
前記一般式〔1〕で示される非対称なビスアゾ化合物を
純度よく得る必要がある。第二の方法は合成工程は長く
なってしまうが、より高純度に前記一般式〔1〕で示さ
れる非対称なビスアゾ化合物を得ることが出来る。
【0032】本発明の前記ビスアゾ化合物は優れた光導
電性を有し、これをバインダー中に分散した感光層を導
電性支持体上に設けることにより本発明の電子写真感光
体を製造することができる。本発明のビスアゾ化合物
は、その優れたキャリア発生性能を利用して、これをキ
ャリア発生物質として用い、これと組み合わせて有効に
作用し得るキャリア輸送物質を共に用いることにより、
いわゆる機能分離型の感光体とすることができる。前記
機能分離型感光体は前記両物質の混合分散型のものであ
ってもよいが、本発明のビスアゾ化合物からなるキャリ
ア発生物質を含むキャリア発生層と、キャリア輸送層と
を積層した積層型感光体とすることがより好ましい。
【0033】
【作用】本発明の電子写真感光体は、支持体(導電性支
持体またはシート上に導電層を設けたもの)上に、キャ
リア発生物質とバインダー樹脂を含有するキャリア発生
層を下層とし、キャリア輸送物質とバインダー樹脂を含
有するキャリア輸送層を上層とする機能分離型の積層感
光体、支持体上にキャリア輸送層を下層とし、キャリア
発生層を上層とする積層感光体及び支持体上にキャリア
発生物質、キャリア輸送物質及びバインダー樹脂を含有
する単層構成の感光体等が挙げられる。いずれの層構成
においても、支持体と感光層の間にバリア機能と接着性
を持つ下引層(中間層)を設けても良く、感光層の上に
保護層を設けても良い。
【0034】本発明において、キャリア発生層は代表的
には前述の本発明のビスアゾ化合物を適当な分散媒に単
独もしくは適当なバインダー樹脂と共に分散せしめた分
散液を例えばディップ塗布、スプレイ塗布、ブレード塗
布、ロール塗布等によって支持体もしくは下引層上また
はキャリア輸送層上に塗布して乾燥させる方法により設
けることができる。また本発明のビスアゾ化合物の分散
にはボールミル、ホモミキサ、サンドミル、超音波分散
機、アトライタ等が用いられる。
【0035】感光層、保護層、下引層に使用可能なバイ
ンダー樹脂としては、例えばスチレン樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッ
ド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミ
ン樹脂ならびに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの
2つ以上を含む共重合体樹脂。またこれらの絶縁性樹脂
の他、ポリ-N-ビニルカルバゾール等の高分子有機半導
体が挙げられる。
【0036】次に前記感光層を支持する導電性支持体と
しては、アルミニウム、ニッケルなどの金属板、金属ド
ラム、あるいはアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウ
ムなどを蒸着したプラスチックフィルム、あるいは導電
性物質を塗布した紙、プラスチックなどのフィルム又は
ドラムを使用することができる。
【0037】本発明のビスアゾ化合物の分散媒として
は、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素類;ジクロ
ロメタン、1,2-ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水
素;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセ
ルソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこの
誘導体;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエー
テル類;ピリジンやジエチルアミン等のアミン類;N,N-
ジメチルホルムアミド等のアミド類等の窒素化合物、そ
の他脂肪酸及びフェノール類、二硫化炭素や燐酸トリエ
チル等の硫黄、燐化合物等の1種又は2種以上を用いる
ことができる。
【0038】本発明の感光体が積層型の場合、キャリア
発生層中のバインダ:キャリア発生物質の重量比は0−
10:1−50である。
【0039】キャリア発生物質の含有割合がこれより少
ないと感度が低く、残留電位の増加を招き、またこれよ
り多いと暗減衰及び受容電位が低下する。
【0040】以上のようにして形成されるキャリア発生
層の膜厚は、好ましくは0.01−10μm、特に好ましくは
0.1−5.0μmである。
【0041】本発明において用いられるキャリア輸送物
質に特に制限はないが、光照射時発生するホールの支持
体側への輸送能力が優れており、前記本発明のビスアゾ
化合物との組合せに好適なものが好ましくもちいられ
る。かかるキャリア輸送物質として好ましいものは、下
記一般式(A)及び(B)で表されるものが挙げられ
る。
【0042】
【化16】
【0043】但し、Ar1、Ar2、Ar4はそれぞれ置換又
は無置換のアリール基を表し、Ar3は置換又は無置換の
アリーレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基、ア
リール基の置換、無置換の2郡の基を表す。
【0044】このような化合物の具体例は特開昭58-654
40号及び同58-198043号に詳細に記載されている。
【0045】
【化17】
【0046】但し、Ar1、Ar2はそれぞれ置換又は無置
換のアリール基を表し、Ar3は置換又は無置換のアリー
レン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基、アリール
基の置換、無置換の2郡の基を表す。
【0047】このような化合物の具体例は特開昭60-175
052号及び特開平1-93746号に詳細に記載されている。
【0048】本発明のその他の好ましいキャリア輸送物
質としては、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、芳香
族アミン化合物、ポリビニルカルバゾールなどの高分子
有機半導体等を挙げることができる。
【0049】キャリア輸送層はキャリア輸送物質を適当
な分散媒に単独であるいは上述のバインダ樹脂と共に溶
解分散せしめたものを塗布、乾燥して形成することがで
きる。用いられる分散媒としては前記キャリア発生物質
の分散において用いた分散媒を用いることができる。
【0050】キャリア輸送層中のバインダ樹脂100重量
部当りキャリア輸送物質は20〜200重量部が好ましく、
特に好ましくは30〜150重量部である。形成されるキャ
リア輸送層の膜厚は、好ましくは5.0〜30μmである。
【0051】また、本発明のビスアゾ化合物を用いる単
層機能分離型の電子写真感光体の場合のバインダ:本発
明のビスアゾ化合物:キャリア輸送物質の割合は0〜10
0:1〜500:1〜500が好ましく、形成される感光層の
膜厚は5.0〜50μmが好ましく、特に好ましくは5.0〜30
μmである。
【0052】また、本発明の感光層においては、オゾン
劣化防止の目的で以下に示すような酸化防止剤を添加す
ることができる。
【0053】(1)ヒンダードフェノール類 (2)ヒンダードアミン類 (3)パラフェニレンジアミン類 (4)ハイドロキノン類 (5)有機燐化合物類 これらの化合物はゴム、プラスチック、油脂類等の酸化
防止剤として知られており、市販品を容易に入手でき
る。
【0054】また、本発明において感光層には感度の向
上、残留電位乃至反復使用時の疲労低減等を目的とし
て、電子受容性物質を含有せしめることができる。
【0055】また、本発明の感光層中にはキャリア発生
物質のキャリア発生機能を改善する目的で有機アミン類
を添加することができ、特に2級アミンを添加するのが
好ましい。
【0056】また、本発明の感光体には、その他必要に
より感光層を保護する目的で紫外線吸収剤また感色性補
正の染料を含有してもよい。
【0057】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0058】合成例1 (例示化合物No.1の合成) 3,3'-ジクロロベンチジン2.29g(0.01モル)を塩酸20m
l、水80mlに分散し、5℃以下に保ちつつ、亜硝酸ナト
リウム 1.45g(0.021モル)を水10mlに溶解した溶液を
滴下した。同温度でさらに1時間撹拌しつづけた後、尿
素1.2gを水10mlに溶解した溶液を滴下し、さらに1時
間撹拌する。反応後、不溶物をロ過除去し、ロ液に六フ
ッ化燐酸アンモニウム4.6gを水50mlに溶解した溶液を
加えた。析出したテトラゾニウム塩をロ取し、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)400mlに溶解した。5℃以
下に保ちながら、1-ヒドロキシ-3-メチルピリド[1,2-a]
ベンゾイミダゾール-4-カルボニトリル2.34g(0.0105
モル)と1-ヒドロキシ-3-エチル-9-クロロピリド[1,2-
a]ベンゾイミダゾール 2.53g(0.0105モル)をDMF600
mlに溶解した溶液を滴下した。ひきつづき5℃以下に保
ちながら、トリエタノールアミン6g(0.04モル)を、
DMF50mlに溶解したものを滴下し、5℃以下で2時
間、室温で1時間撹拌した。反応後、析出晶をロ取し、
DMF洗浄、水洗して乾燥し、顔料5.3gを得た。
【0059】
【化18】
【0060】合成例2 (例示化合物No.1の合成、
その2) 4'-アセチルアミノ-3,3'-ジクロロビフェニル-4-アミン
2.71g(0.01モル)を塩酸40ml,水160mlに分散し、5
℃以下に保ちつつ、亜硝酸ナトリウム0.73g(0.0105モ
ル)を水10mlに溶解した溶液を滴下した。同温度で、さ
らに1時間撹拌をつづけた後、尿素0.6gを水10mlに溶
解した溶液を滴下し、さらに1時間撹拌する。反応後、
不溶物をロ過除去し、ロ液に六フッ化燐酸アンモニウム
3.4gを水25mlに溶解した溶液を加えた。析出したジア
ゾニウム塩をロ取し、N,N-ジメチルホルムアミド(DM
F)400mlに溶解した。5℃以下に保ちながら、1-ヒド
ロキシ-3-メチルピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール-4-
カルボニトリル2.34g(0.0105モル)をDMF400mlに溶
解した溶液を滴下した。ひきつづき5℃以下に保ちなが
ら、トリエタノールアミン3g(0.02モル)をDMF25
mlに溶解したものを滴下し、5℃以下で2時間、室温で
1時間撹拌した。反応後、析出晶をロ取し、1,4-ジオキ
サン洗浄、水洗して乾燥し、下記構造のモノアゾ化合物
4.8gを得た。
【0061】
【化19】
【0062】得られたモノアゾ化合物を純水40mlに解膠
分散し、40%塩酸160mlを加えて、還流下8時間加熱撹
拌した。生じたアミノモノアゾ化合物のスラリーを放冷
し、沈澱をロ取し、少量の希塩酸で洗浄した。
【0063】ロ取物を再び、塩酸40ml,水160mlに分散
し、5℃以下に保ちつつ、亜硝酸ナトリウム0.73g(0.
0105モル)を水10mlに溶解した溶液を滴下した。同温度
で、さらに1時間撹拌をつづけた後、尿素0.6gを水10m
lに溶解した溶液を滴下し、さらに1時間撹拌する。反
応後、六フッ化燐酸アンモニウム3.4gを水25mlに溶解
した溶液を加えて、1時間撹拌した。析出したジアゾニ
ウム塩をロ取し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
800mlに溶解した。5℃以下に保ちながら、1-ヒドロキ
シ-3-エチル-9-クロロ ピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾー
ル2.53g(0.0105モル)をDMF250mlに溶解した溶液を
滴下した。ひきつづき5℃以下に保ちながら、トリエタ
ノールアミン3g(0.02モル)をDMF25mlに溶解した
ものを滴下し、5℃以下で2時間、室温で1時間撹拌し
た。反応後、析出晶をロ取し、DMF洗浄、水洗して乾
燥し、化18と同一構造の顔料4.2gを得た。
【0064】実施例1 ポリエステルフィルム上にアルミニウム箔をラミネート
して成る導電性支持体上に、アルコール可溶性ポリアミ
ド「CM8000」(東レ社製)よりなる厚さ0.05μmの中
間層を設けた。キャリア発生物質(CGM)として合成
例1で合成した例示顔料No.1を2.5gとポリビニル
ブチラール樹脂「エスレックBH−3」(積水化学工業
社製)1gとをテトラヒドロフラン125mlに加え、サン
ドグラインダーで6時間分散した。この分散液を上記中
間層上に乾燥時の膜厚が、0.5μmになるように塗布し、
キャリア発生層とし、さらにその上に、キャリア輸送層
として、下記構造式のキャリア輸送物質 K−1 7.5
gとポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」(三
菱ガス化学社製)10gを1,2-ジクロルエタン80mlに溶解
した液を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布して、
キャリア輸送層を形成し、本発明の感光体1を作成し
た。
【0065】
【化20】
【0066】実施例2 実施例1の合成例1で合成した例示顔料を合成例2で合
成した例示顔料に替えた他は、実施例1と同様にして感
光体2を作成した。
【0067】比較例 1 実施例1の合成例1で合成した顔料の比較として下記の
顔料を用い、実施例1と同様にして比較感光体1を作成
した。
【0068】
【化21】
【0069】以上のようにして得られた感光体を(株)
川口電機製作所EPA−8100型静電紙試験機を用いて、
以下の特性評価を行なった。帯電圧−6kvで5秒間帯電
した後、5秒間放置し、その時の表面電位(V0)を測
定した。次いで感光体を表面での照度10luxになるよう
にハロゲンランプ光を照射して、表面電位を600Vから1
00Vに減衰させるのに必要な露光量(E6/1)及び10秒
照射後の残留電位(Vr)を求めた。結果を表1に示
す。
【0070】
【表1】
【0071】以上の結果から明らかなように、本発明の
感光体は、対応する対称型のキャリア発生物質を用いた
比較用感光体に比べ、感度において優れたものである。
【0072】またより高純度の合成例2の顔料は合成例
1に比較しても、さらに性能が良いことがわかる。
【0073】合成例3 (例示化合物No.21の合成) 2,7-ジアミノ-4-ブロモ-9-フルオレノン2.89g(0.01モ
ル)を塩酸20ml、水80mlに分散し、5℃以下に保ちつ
つ、亜硝酸ナトリウム 1.45g(0.021モル)を水10mlに
溶解した溶液を滴下した。同温度でさらに1時間撹拌し
つづけた後、尿素1.2gを水10mlに溶解した溶液を滴下
し、さらに1時間撹拌する。反応後、不溶物をロ過除去
し、ロ液に六フッ化燐酸アンモニウム4.6gを水50mlに
溶解した溶液を加えた。析出したテトラゾニウム塩をロ
取し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)400mlに溶
解した。5℃以下に保ちながら、1-ヒドロキシ-3-エチ
ル-9-クロロピリド[1,2-a]ベンゾイミダゾール2.53g
(0.0105モル)と1-ヒドロキシ-3-メチルピリド[1,2-a]
ベンゾイミダゾール-4-カルボニトリル2.34g(0.0105モ
ル)をDMF600mlに溶解した溶液を滴下した。ひきつづ
き5℃以下に保ちながら、トリエタノールアミン6g
(0.04モル)を、DMF50mlに溶解したものを滴下し、
5℃以下で2時間、室温で1時間撹拌した。反応後、析
出晶をロ取し、DMF洗浄、水洗して乾燥し、顔料6.1
gを得た。
【0074】
【化22】
【0075】実施例 3 実施例1の例示顔料No.1を合成例3で合成した例示
顔料No.21に替え、また実施例1のキャリア輸送物質
を下記構造式で示すK−2に替えた他は、実施例1と同
様にして感光体3を作成した。
【0076】
【化23】
【0077】比較例 2 実施例3において合成例3で合成した顔料の比較として
下記の顔料を用い、実施例3と同様にして比較感光体2
を作成した。
【0078】
【化24】
【0079】以上のようにして得られた感光体を実施例
1と同様にしてその電子写真性能を評価した。結果を表
2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】実施例 4 直径108mmのアルミニウムドラム上に、実施例2の感光
体と同じ感光層を形成し、感光体ドラム5を作成した。
【0082】このように作成した感光体をコニカ社製複
写機U−BIX5076改造機に装着し露光量を感光体の感度
に合わせて最適化した後、画像を複写したところ原画に
忠実で鮮明な複写画像を得た。また繰り返しの耐久性に
ついて調べた結果、帯電露光の繰り返しを50,000回行っ
た後でもコントラストが高く、鮮明な複写画像を得られ
た。
【0083】以上の結果から明らかなように、本発明の
感光体は、対応する対称型のキャリア発生物質を用いた
比較用感光体に比べ、感度において優れたものである。
【0084】また繰り返しの耐久性も安定していること
がわかる。
【0085】実施例 5〜10 実施例1において合成例1で合成した例示顔料を各々以
下の例示顔料25、42、58、66、79、92に替えた他は、実
施例1と同様にして感光体5−10を作成した。
【0086】以上のようにして得られた感光体を実施例
1と同様にしてその電子写真性能を評価した。結果を表
3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
【発明の効果】本発明のビスアゾ化合物を有する電子写
真感光体は、高感度で感色性も良好であり、特に繰り返
し使用した時にも感度、帯電性、残留電位の変動が少な
く、耐久性がきわめて優れたものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に下記一般式〔1〕で示
    されるビスアゾ化合物を含有する感光層を有することを
    特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (式中、R1及びR4は各々独立にアルキル基、アリール
    基を表し、R2及びR5は各々独立に水素原子、シアノ
    基、アミド基、エステル基、アシル基を表し、R3及び
    6は各々独立に水素原子、低級アルキル基、低級アル
    コキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基を表す。但
    し、同時にR1=R4、R2=R5、R3=R6となることは
    ない。Aは置換基を有してもよく、直接または結合基を
    かいして結合していてもよい芳香族炭化水素環または芳
    香族複素環の2価の基を表す。)
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