JP3150898B2 - 表面にアモルファス−ニッケル−リンから成る被膜層を形成して成る被加工物の加工方法 - Google Patents

表面にアモルファス−ニッケル−リンから成る被膜層を形成して成る被加工物の加工方法

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JP3150898B2 JP05371196A JP5371196A JP3150898B2 JP 3150898 B2 JP3150898 B2 JP 3150898B2 JP 05371196 A JP05371196 A JP 05371196A JP 5371196 A JP5371196 A JP 5371196A JP 3150898 B2 JP3150898 B2 JP 3150898B2
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  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面にアモルファ
ス-ニッケル-リン(a-Ni-P)から成る被膜層を形成して
成る被加工物の加工方法に関し、特に、アルミニウム基
板の表面にa-Ni-Pから成る被膜層を形成して成る磁気ハ
ードデイスク基板の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、a-Ni-Pは高い力学的強度をもち、耐食性があり、非
磁性であることが知られている。この特性を利用して、
機械部品、金属製タンク等の表面にa-Ni-Pをメッキして
被膜層を形成し、強化膜や耐食膜として使用されてい
る。
【0003】特に、a-Ni-Pは、アルミニウム基板の表面
にメッキされ、磁気ハードデイスク基板の強化膜として
使用されている。
【0004】磁気ハードデイスクは、アルミニウム基板
の表面にa-Ni-Pをメッキしてa-Ni-Pから成る被膜層を形
成した磁気ハードデイスク基板の被膜層表面に強磁性物
質をスパタリング又はその他の方法により付着させて強
磁性物質層を形成して成る磁気記録素子である。
【0005】このような、a-Ni-Pから成る被膜層(以
下、a-Ni-P被膜層という)の表面には強磁性物質が付着
しにくく、そのため、従来は、a-Ni-P被膜層表面を凹凸
にして強磁性物質の付着面積を大きくしたり、また、磁
気ハードデイスク基板に形成したa-Ni-P被膜層を形成し
たアルミニウム基板全体を加熱して強磁性物質を付着さ
せていた。
【0006】しかし、a-Ni-P被膜層表面を凹凸にする
と、磁気ヘッドを介して磁気記録を読み取る際に、凹部
では、十分に強い信号が得られず、また、凸部では、磁
気ヘッドとの衝突の恐れがあり、磁気記録密度を上げる
ことが困難であるという問題があった。
【0007】また、磁気ハードデイスク基板に形成した
a-Ni-P被膜層全体を加熱すると、ニッケル(Ni)粒子と
NixPy化合物結晶とがa-Ni-P被膜層全体にわたって発生
し、このような被膜層全体にわたって発生したNi粒子と
NixPy化合物結晶は力学的強度が小さく、強化膜として
使用できないという問題があった。(ここで、NixPy
合物結晶は、Ni及びPの化合物結晶を表し、x及びyは、
それぞれNi及びPの原子組成比である。) 本発明の目的は、磁気ハードデイスク基板等の被加工物
表面に形成したアモルファス-ニッケル-リンから成る被
膜層の力学的強度及び耐食性を保持しつつ、強磁性物質
との付着性を向上し、被加工物表面上で、強磁性物質を
所望の方向に容易に磁化させることができる、表面にア
モルファス-ニッケル-リンから成る被膜層を形成して成
る被加工物の加工方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題点を解決するた
め、本発明の、表面にa-Ni-P被膜層を形成した被加工物
の加工方法は、a-Ni-P被膜層の表面を研磨する工程から
成り、研磨によりa-Ni-P被膜層の表面付近のみにNi粒子
とNixPy化合物結晶とを発生させることを特徴とする。
【0009】この被加工物としては、表面にa-Ni-P被膜
層を形成した機械部品又は金属製タンク等、又は表面に
a-Ni-P被膜層を形成して成る磁気ハードデイスク基板が
代表例である。
【0010】また、本発明は、アルミニウム等の基板表
面に強化膜としてa-Ni-P被膜層を形成して成る磁気ハー
ドデイスク基板の加工方法であって、a-Ni-P被膜層の表
面を研磨する工程から成り、研磨により形成された溝に
沿ってNi粒子とNixPy化合物結晶とを発生させることを
特徴とする。
【0011】ここで、磁気ハードデイスク基板のa-Ni-P
被膜層の表面は、磁気ハードデイスク基板の円周方向に
研磨されることが磁気ハードデイスクの動作上望まし
い。
【0012】被加工物の表面のa-Ni-P被膜層表面の研磨
は、研磨材粒子を付着した研磨テープをa-Ni-P被膜層表
面に圧接して行う。このとき、研磨テープの圧接面付近
に冷却水を吹き付けて行なう。
【0013】また、被加工物表面のa-Ni-P被膜層表面の
研磨は、a-Ni-P被膜層表面に圧接した織布、不織布又は
セーム皮等のテープに向けて研磨材粒子を混合した冷却
水を吹き付けて行なってもよい。
【0014】被加工物表面のa-Ni-P被膜層表面の研磨
は、研磨材粒子とa-Ni-P被膜層表面との接点部分の圧力
と、冷却水の温度及び流量を調節して行われる。
【0015】被加工物表面のa-Ni-P被膜層表面を研磨す
ると、a-Ni-P被膜層表面が研磨材粒子によって擦られ、
この摩擦熱によってa-Ni-P被膜層表面付近が発熱する。
【0016】この発熱により高温になったa-Ni-P被膜層
表面付近のみが溶融し、a-Ni-Pが、被膜層表面付近での
み局所的にNi粒子とNixPy化合物結晶とに変化し、a-Ni-
P被膜層全体にわたってNi粒子とNixPy化合物結晶に変化
しない。したがって、a-Ni-P被膜層のもつ強化膜として
の力学的強度は保持される。
【0017】上述したa-Ni-P被膜層表面の研磨により、
研磨材粒子がa-Ni-P被膜層表面を削り、大小の溝を研磨
方向に沿って形成するが、上記Ni粒子とNixPy化合物結
晶とはこの溝に沿って並んで発生する。
【0018】以下に、a-Ni-P被膜層表面に形成された溝
に沿ってNi粒子とNixPy化合物結晶とが並んで発生する
理由について説明する。
【0019】電解又は無電解メッキ法により得られたNi
-P(ニッケル-リン)合金の原子数の割合は、Niが約7
5%であり、Pが約25%であり、アモルファスの状態
にある。
【0020】このa-Ni-Pは、上述のように、力学的強度
が高く、耐食性に優れ、非磁性であるが、加熱により、
Ni粒子(磁性体)とNixPy化合物結晶とに変化する。こ
のことは、X線等により確認されている(M.Yamamoto、
K.Shirai及びN.Watanabe著「Process of Structural Tr
ansformation of Electrodeposited Amorphous Ni-P Al
loy by Heating」Journal of The Electrochemical Soc
iety、U.S.A.、vol.138、No.7、1991年7月を参
照)。
【0021】通常の加熱又は研磨による摩擦熱によりa-
Ni-Pを加熱すると、a-Ni-Pの温度が高くなるにつれて、
Ni5P4、NiP、Ni3P、NiP2の順に発生する。
【0022】また、摩擦により物体表面が高温になるこ
とは周知であり(F.P.Bowden及びD.Tabor著「The Frict
ion and Lubrication」1954年、Oxfordを参照)、
研磨材粒子がa-Ni-P被膜層表面を研磨すると、a-Ni-P被
膜層表面付近のみが研磨による摩擦によって発熱し、a-
Ni-Pが溶融していることが顕微鏡により観察できる。
【0023】研磨により形成されたa-Ni-P被膜層表面の
溝は結晶核になり易く、その結晶核を中心として結晶が
成長し、Ni粒子やNi5P4結晶がa-Ni-P被膜層表面の溝に
沿って並んで発生する。
【0024】次に、上記本発明の磁気ハードデイスク基
板の加工方法について説明する。
【0025】磁気ハードデイスクは、アルミニウム等の
基板の表面にa-Ni-Pをメッキしてa-Ni-Pから成る被膜層
を形成した磁気ハードデイスク基板のa-Ni-P被膜層表面
にCr、そしてCoNiCr(強磁性物質)をスパタリング又は
その他の方法により付着させてCoNiCr/Cr層(強磁性物
質層)を形成して成る。
【0026】磁気ハードデイスクとしては、円周方向に
沿ってCoNiCr/Cr層のような強磁性物質層が容易に磁化
することが実用上望ましい。
【0027】一般に、a-Ni-P被膜層表面上に強磁性物質
層を形成すると、a-Ni-P被膜層表面上で等方的に磁化す
る。
【0028】しかし、本発明の加工方法に従った磁気ハ
ードデイスク基板を使用した磁気ハードデイスクでは磁
気異方性が生じ、強磁性物質層が円周方向に容易に磁化
する。
【0029】以下に、このような磁気異方性が生じる理
由について述べる。
【0030】磁気ハードデイスク基板上のa-Ni-P被膜層
表面を円周方向に研磨すると、上述のように、研磨材粒
子によって、a-Ni-P被膜層表面上に円周方向の溝が形成
され、この円周方向の溝に沿って、Ni粒子とNixPy化合
物結晶とが発生する。
【0031】円周方向の溝に沿って発生したNi粒子が強
磁性物質であるため、Ni粒子が並んだ方向の磁気抵抗が
小さくなる。そこで、磁気ヘッドで、磁気ハードデイス
ク基板表面上の強磁性物質を磁化すると、その強磁性物
質層の下地のa-Ni-P被膜層を含む磁気回路において、Ni
粒子が並んだ円周方向に容易に磁化される。
【0032】このようにして、磁気異方性が生じると考
えられている。
【0033】次に、a-Ni-P被膜層と強磁性物質層との間
の付着性について説明する。
【0034】本発明に従って磁気ハードデイスク基板を
加工すると、上述のように、研磨によって形成された溝
に沿って、Ni粒子とNixPy化合物結晶とが発生する。
【0035】磁気ハードデイスクとするために、このよ
うに加工された磁気ハードデイスク基板のa-Ni-P被膜層
表面にCrをスパタリングにより付着してCr層を形成し、
その上に強磁性物質であるCoNiCrをスパタリングしてCo
NiCr層を形成し、磁気ハードデイスク基板表面上にCoNi
Cr/Crの強磁性物質層を形成する。
【0036】このようにNi粒子とNixPy化合物結晶とを
表面付近に発生させたa-Ni-P被膜層表面上に強磁性物質
層を形成すると、a-Ni-P被膜層と強磁性物質層との間に
Ni粒子とNixPy化合物結晶とから成る薄膜が形成され
る。
【0037】この薄膜が、a-Ni-P被膜層及び強磁性物質
層の相互の固溶化や組成の緩やかな変化による内部歪み
を低減し、これにより、a-Ni-P被膜層と強磁性物質層と
の付着性が向上すると考えられる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態について説明する。
【0039】本発明は、被加工物の表面に形成したa-Ni
-P被膜層を研磨する工程から成るもので、この研磨によ
りa-Ni-P被膜層の表面付近のみにNi粒子とNixPy化合物
結晶とを発生させることを特徴とする。
【0040】図示した被加工物は、磁気ハードデイスク
基板10であり、アルミニウム基板11上にはa-Ni-P被膜層
12が形成されている。
【0041】磁気ハードデイスク基板10のa-Ni-P被膜層
12の表面は、磁気ハードデイスク基板10の円周方向(図
1の符号Bで示す方向)に研磨される。この研磨によりa
-Ni-P被膜層12の表面付近に溝17が形成され、図2(a)
及び(b)に示すように、形成された溝17に沿ってNi粒
子13とNixPy化合物結晶14とが発生する。
【0042】a-Ni-P被膜層12表面の研磨は、研磨材粒子
を付着した研磨テープをa-Ni-P被膜層12表面に圧接して
行う。このとき、研磨テープの圧接面付近に冷却水を吹
き付けて行なう。圧接の圧力、冷却水の温度、流量を調
整し、a-Ni-P被膜層12の表面付近のみが発熱するように
する。
【0043】研磨テープには、プラスチックシート、織
布、不織布又は植毛布に研磨材粒子とバインダー接着剤
との混合物をコーテイングしたものが使用される。
【0044】また、a-Ni-P被膜層12表面の研磨は、a-Ni
-P被膜層12表面に圧接した織布、不織布又はセーム皮等
のテープに向けて研磨材粒子を混合した水を吹き付けて
行なってもよい。この場合、研磨テープで研磨した場合
と比較すると、溝の数が多く、溝の深さが浅くなるが、
溝に沿ってNi粒子やNi5P4結晶が並んで発生する点では
同一の結果が得られる。
【0045】研磨材粒子には、ダイヤモンド、酸化アル
ミニウム、シリコンカーバイド、酸化シリコン、酸化ク
ロム、酸化鉄又は酸化セリウム又はこれら混合物が使用
される。
【0046】以下、本発明の実施例について説明する。
【0047】
【実施例】本発明の実施例に使用される研磨装置は、図
4に示すように、ベアリング軸に関して回転可能なゴム
ローラ20と、噴出口を研磨テープ25と磁気ハードデイス
ク基板10表面との接面付近に向けたノズル23とから成
り、研磨テープ25の磁気ハードデイスク基板10表面に対
する圧力が、ベアリング軸に適用される内側圧力21及び
外側圧力22によって調節される。
【0048】磁気ハードデイスク基板10の研磨は、ゴム
ローラ20の内側圧力21及び外側圧力22を調節して、磁気
ハードデイスク基板10表面に研磨テープ25を押しつけ、
矢印Tの方向へ研磨テープ25を送るとともに、磁気ハー
ドデイスク基板10を矢印Rの方向に回転し、研磨テープ2
5と磁気ハードデイスク基板10表面との接面付近に冷却
水等24をノズル23から吹き付けることによって行われ
る。
【0049】本発明の実施例に使用される磁気ハードデ
イスク基板10は、アルミニウム基板11上にa-Ni-Pをメッ
キし、厚さ約20μmのa-Ni-P被膜層12を形成したもの
である。
【0050】[実施例1]実施例1は、図4の研磨装置
に研磨テープを配置し、研磨テープと磁気ハードデイス
ク基板表面との接面付近に冷却水を吹き付けて行われ
た。
【0051】実施例1で使用される研磨テープは、平均
粒径1μmの酸化アルミニウムと、バインダー接着剤と
の混合物を厚さ90μmのポリエステルシートにコーテ
イングして製造された。
【0052】この研磨テープを上述の研磨装置に配置
し、研磨時間、研磨テープ送り速度、磁気ハードデイス
ク基板の回転数、ゴムロール硬度、内側圧力、外側圧
力、冷却水の温度及び流量を以下の表1に示すように設
定して、上述の磁気ハードデイスク基板の研磨を行っ
た。
【表1】 表 1 研磨時間 20秒 研磨テープ送り速度 50cm/分 磁気ハードデイスク基板の回転数 400RPM ゴムロール硬度 40 内側圧力 1.0Kg 外側圧力 1.2Kg 冷却水(温度) 20℃
【0053】研磨後、磁気ハードデイスク基板のエッチ
ングを行った。その表面の拡大写真が図2(a)に示さ
れ、Ni粒子(図2(b)の符号13)と、Ni粒子を中心と
したNi5P4結晶(図2(b)の符号14)とが、研磨によっ
て形成された溝(図2(b)の符号17)に沿って発生し
ていることがわかる。
【0054】[実施例2]実施例2は、実施例1と同様
に、図4の研磨装置に研磨テープを配置し、研磨テープ
と磁気ハードデイスク基板表面との接面付近に冷却水を
吹き付けて行われた。
【0055】実施例2で使用される研磨テープは、平均
粒径3μmの酸化アルミニウムと、バインダー接着剤と
の混合物をポリエステル長繊維から成る厚さ90μmの
不織布に塗布して製造された(特開平5-253850号を参
照)。
【0056】この研磨テープを上述の研磨装置に配置
し、研磨時間、研磨テープ送り速度、磁気ハードデイス
ク基板の回転数、ゴムロール硬度、内側圧力、外側圧
力、冷却水の温度及び流量を上記の表1に示すように設
定して、上述の磁気ハードデイスク基板の研磨を行っ
た。
【0057】研磨後、磁気ハードデイスク基板のエッチ
ングを行った。その表面は、実施例1と同様に、Ni粒子
と、Ni粒子を中心としたNi5P4結晶とが、研磨によって
形成された溝に沿って発生している。
【0058】[実施例3]実施例3は、実施例1と同様
に、図4の研磨装置に研磨テープを配置し、研磨テープ
と磁気ハードデイスク基板表面との接面付近に冷却水を
吹き付けて行われた。
【0059】実施例3で使用される研磨テープは、平均
粒径2μmの酸化アルミニウムと、バインダー接着剤と
の混合物を植毛布に塗布して製造された(国際出願番号
PCT/JP95/00253を参照)。
【0060】この研磨テープを上述の研磨装置に配置
し、研磨時間、研磨テープ送り速度、磁気ハードデイス
ク基板の回転数、ゴムロール硬度、内側圧力、外側圧
力、冷却水の温度及び流量を上記の表1に示すように設
定して、上述の磁気ハードデイスク基板の研磨を行っ
た。
【0061】研磨後、磁気ハードデイスク基板のエッチ
ングを行った。その表面は、実施例1と同様に、Ni粒子
と、Ni粒子を中心としたNi5P4結晶とが、研磨によって
形成された溝に沿って発生している。
【0062】[実施例4]実施例4は、平均粒径2μm
の酸化アルミニウムと、冷却水との混合物を、図4に示
す研磨装置のノズルから、磁気ハードデイスク基板表面
に噴射し、ポリエステル長繊維から成る厚さ100μm
の不織布テープで研磨した。
【0063】ここで、酸化アルミニウムと、冷却水との
混合割合は、水1000cm3に対し酸化アルミニウム2
〜3gであった。
【0064】研磨時間、不織布テープの送り速度、磁気
ハードデイスク基板の回転数、ゴムロール硬度、内側圧
力、外側圧力、冷却水と研磨材粒子との混合物の温度及
び流量は、以下の表2に示すとおりであった。
【表2】 表 2 研磨時間 20秒 不織布テープ送り速度 1cm/分、 磁気ハードデイスク基板の回転数 400RPM ゴムロール硬度 40 内側圧力 1.0Kg 外側圧力 1.2Kg 冷却水及び研磨材粒子(温度) 20℃ 冷却水及び研磨材粒子(流量) 20cm3/分
【0065】研磨後、磁気ハードデイスク基板のエッチ
ングを行った。その表面は、実施例1と同様に、Ni粒子
と、Ni粒子を中心としたNi5P4結晶とが、研磨によって
形成された溝に沿って発生している。
【0066】実施例1、2、3及び4で加工された磁気
ハードデイスク基板表面に強磁性物質層を形成して成る
磁気ハードデイスクの断面図を図3に示す。
【0067】図3に示すように、磁気ハードデイスク
は、アルミニウム基板11に厚さ20μmのa-Ni-P被膜層12
を形成した磁気ハードデイスク基板10と、厚さ500ÅのC
r層15"と厚さ600ÅのCoNiCr層15'から成る強磁性物質層
15と、強磁性物質層15表面に形成された厚さ300Åのカ
ーボン層16とから成り、a-Ni-P被膜層12表面付近には、
Ni粒子13とNixPy化合物結晶14とから成る薄膜13、14が
形成されている。
【0068】
【発明の効果】本発明の加工方法が以上のように構成さ
れているので、以下のような効果を奏する。
【0069】研磨によりa-Ni-P被膜層表面付近のみが局
所的に加熱され(つまり、a-Ni-P被膜層表面付近のみが
局所的に発熱し)、a-Ni-P被膜層全体が加熱されること
がないので、a-Ni-Pのもつ強化膜としての力学的強度、
耐食性を保持することができる。
【0070】また、研磨によりa-Ni-P被膜層表面付近の
みにNi粒子とNixPy化合物結晶とを発生させたa-Ni-P被
膜層12表面上に強磁性物質層を形成すると、a-Ni-P被膜
層と強磁性物質層との間にNi粒子とNixPy化合物結晶と
から成る薄膜が形成され、この薄膜が、a-Ni-P被膜層及
び強磁性物質層の相互の固溶化や組成の緩やかな変化に
よる内部歪みを低減するので、a-Ni-P被膜層と強磁性物
質層との付着性を向上することができる。
【0071】さらに、研磨によりa-Ni-P被膜層表面に形
成された溝に沿ってNi粒子(磁性体)とNixPy化合物結
晶とが並んで発生するので、所望の研磨方向(好適に、
円周方向)に従って磁気異方性を生じさせることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法に従って加工した磁気ハ
ードデイスク基板の平面図である。
【図2】図2(a)は、図1の符号Aで表した部分の磁
気ハードデイスク基板表面の顕微鏡写真(1050倍)
であり、図2(b)は、図2(a)の顕微鏡写真を説明
するための説明図であって、図2(a)の顕微鏡写真の
コピーに符号を付したものである。
【図3】図3は、本発明に従って加工した磁気ハードデ
イスク基板の表面に強磁性物質層を形成して成る磁気ハ
ードデイスクの断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例で使用された、磁気ハ
ードデイスク基板表面を研磨するための研磨装置の概念
図である。
【符号の説明】
10 … 磁気ハードデイスク基板 11 … アルミニウム基板 12 … アモルファス−ニッケル−リン(a−Ni−
P)被膜層 13 … Ni粒子 14 … Ni化合物結晶 15 … CoNiCr/Cr層(強磁性物質層) 15′… CoNiCr層 15″… Cr層 16 … カーボン層 17 … 溝 20 … ゴムロール 21 … 内側圧力 22 … 外側圧力 23 … ノズル 24 … 冷却水、又は冷却水と研磨材粒子との混合物 25 … テープ、又は研磨テープ A … 磁気ハードデイスクの表面の一部分 B … 研磨方向 T … テープ送り方向 R … 磁気ハードデイスク基板の回転方向
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/84 B24B 21/00 G11B 5/82

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にアモルファス−ニッケル−リンから
    成るa−Ni−P被膜層を形成し磁気ハードディスク
    基板の加工方法であって、研磨材粒子を付着した研磨テ
    ープを前記a−Ni−P被膜層の表面に圧接し、前記研
    磨テープと前記a−Ni−P被膜層の表面との圧接面付
    近に冷却水を吹き付け、前記研磨材粒子と前記a−Ni
    −P被膜層の表面との接点部分の圧力と、前記冷却水の
    温度及び流量を調節して、前記a−Ni−P被膜層の表
    面を前記磁気ハードディスク基板の円周方向に研磨
    この研磨により形成された溝に沿った前記a−Ni−P
    被膜層の表面付近のみに、ニッケル粒子と、ニッケル及
    びリンの化合物結晶とを発生させ、前記a−Ni−P被
    膜層と、このa−Ni−P被膜層の表面に形成される強
    磁性物質層との間に、前記ニッケル粒子と、前記ニッケ
    ル及びリンの化合物結晶とを介在させる、加工方法。
  2. 【請求項2】表面にアモルファス−ニッケル−リンから
    成るa−Ni−P被膜層を形成し磁気ハードディスク
    基板の加工方法であって、前記a−Ni−P被膜層の表
    面に圧接したテープに向けて研磨材粒子を混合した冷却
    水を吹き付け、前記研磨材粒子と前記a−Ni−P被膜
    層の表面との接点部分の圧力と、前記冷却水の温度及び
    流量を調節して、前記a−Ni−P被膜層の表面を前記
    磁気ハードディスク基板の円周方向に研磨この研磨
    により形成された溝に沿った前記a−Ni−P被膜層の
    表面付近のみに、ニッケル粒子と、ニッケル及びリンの
    化合物結晶とを発生させ、前記a−Ni−P被膜層と、
    このa−Ni−P被膜層の表面に形成される強磁性物質
    層との間に、前記ニッケル粒子と、前記ニッケル及びリ
    ンの化合物結晶とを介在させる、加工方法。
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