しかし、図9〜図11に示す従来の伸縮式の避難梯子1では、避難梯子1を昇降する避難者の体重を支持するために、それぞれのスライドユニット2に対して補強支持体6を設けているので、これら多数の補強支持体6、6、・・・の分だけ余分に費用が嵩むし重量が増加し、製作するのに手間が掛かる。
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、避難者の体重を支持する力を大きくすることができ、しかも、破損し難く繰り返して使用でき、更に、低廉であって軽量であり、簡単に製作することができる伸縮式避難梯子及び伸縮式避難梯子装置を提供することを目的としている。
本考案に係る伸縮式避難梯子は、一対の摺動柱体と、この一対の摺動柱体を互いに結合する足場用結合体とを有するスライドユニットが複数連結して設けられている伸縮可能な伸縮体を備え、これら互いに連結する一方の前記スライドユニットの第1摺動柱体、及び他方の前記スライドユニットの第2摺動柱体には、これら第1及び第2摺動柱体を前記伸縮体の伸縮方向に摺動自在に連結し、かつ、前記第1摺動柱体と第2摺動柱体との間隔が広がることを係止するための摺動部が設けられている伸縮式避難梯子において、前記第1摺動柱体の摺動方向と平行するように当該第1摺動柱体に形成され、第1凸部及び第2凸部が内側に収容される溝部を備え、前記第1凸部が前記第1摺動柱体に設けられていると共に、前記第2凸部が前記第2摺動柱体に設けられ、前記第1及び第2摺動柱体が伸張状態となったときに、前記第1凸部と前記第2凸部とが互いに当接して、前記第1又は第2摺動柱体の伸張方向の移動を係止することを特徴とするものである。
本考案に係る伸縮式避難梯子によると、使用しないときは、伸縮体を短縮状態にしてこの梯子の収納スペースを小さくすることができ、使用するときは、伸縮体を伸張状態にして梯子として使用することができる。そして、伸縮体を伸張させる方向に力を掛けると、互いに連結する一方のスライドユニットの第1摺動柱体に対して、他方のスライドユニットの第2摺動柱体が相対的に摺動して伸縮体が伸張する。そして、このとき、第1摺動柱体に設けられている第1凸部と、第2摺動柱体に設けられている第2凸部とが互いに当接して、第1又は第2摺動柱体の伸張方向の移動を係止することができる。
このように、第1凸部と第2凸部との当接によって、第1又は第2摺動柱体の伸張方向の移動を係止する係止力は、互いに連結するスライドユニットの連結が切り離されることを防止するために働き、この伸縮式避難梯子を昇降する避難者の体重を支持することができる力となる。
そして、この伸縮式避難梯子に吊下げ力が掛かったときに、第1及び第2凸部どうしの係合が外れる方向に力が掛かったとしても、第1摺動柱体と第2摺動柱体との間隔が広がることを係止するように摺動部が設けられているので、第1及び第2凸部の互いの係合が外れないようにすることができる。そして、第1及び第2凸部の互いの係合が外れる方向に伸縮体が変形することがあっても、第1及び第2凸部が第1摺動柱体に形成されている溝部内に収容されているので、第1及び第2凸部が、互いの係合が外れる方向に移動することを、これら第1及び第2凸部を囲む第1及び第2摺動柱体の内側面によって規制することができ、第1凸部と第2凸部との係合が外れないようにすることができる。これによって、互いに連結するスライドユニットの連結が切り離されることを確実に防止できる。
この考案に係る伸縮式避難梯子において、前記第1凸部及び第2凸部は、前記複数の各スライドユニットが有する一対のそれぞれの前記摺動柱体に設けられているものとすることができる。
このようにすると、複数の各スライドユニットどうしの連結力を、各スライドユニットが有する一対のそれぞれの摺動柱体に設けられている第1凸部及び第2凸部によって確保することができ、強力な連結力を付与することができる。
この考案に係る伸縮式避難梯子において、互いに連結する前記第1及び第2スライドユニットのうち上端側の前記第1スライドユニットが有する一対の前記各第1摺動柱体の横幅方向の外側面に、下端側の前記第2スライドユニットが有する一対の前記各第2摺動柱体が摺動自在に設けられ、前記伸縮体が短縮した状態で、前記複数のスライドユニットの前記各摺動柱体を、前記伸縮体の横幅方向に重ね合わす構成とすることができる。
このように、伸縮体が短縮した状態で、複数のスライドユニットの各摺動柱体を、伸縮体の横幅方向に重ね合わす構成とすると、スライドユニットの数に関係なく、この伸縮体の厚み方向の寸法を、1つのスライドユニットの厚み方向の寸法に近づけることができる。これによって、伸縮体を短縮させた状態でのこの伸縮式避難梯子の厚みを薄くすることができる。よって、例えばベランダの床に形成された収納空間の厚み方向の寸法が小さい場合でも、そのような収納空間にこの伸縮式避難梯子を収納することができる。
この考案に係る伸縮式避難梯子において、互いに連結する前記第1及び第2スライドユニットのうち上端側の前記第1スライドユニットが有する一対の前記各第1摺動柱体と向かい合う状態で、下端側の前記第2スライドユニットが有する一対の前記各第2摺動柱体が前記第1摺動柱体に摺動自在に設けられ、前記伸縮体が短縮した状態で、前記複数のスライドユニットの前記各摺動柱体を、前記伸縮体の厚み方向に重ね合わす構成とすることができる。
このように、伸縮体が短縮した状態で、複数のスライドユニットの各摺動柱体を、伸縮体の厚み方向に重ね合わす構成とすると、スライドユニットの数に関係なく、この伸縮体の横幅方向の寸法を、1つのスライドユニットの横幅方向の寸法に近づけることができる。これによって、伸縮体を短縮させた状態でのこの伸縮式避難梯子の横幅方向の寸法を小さくすることができる。よって、例えばベランダの床に形成された小さい面積の収納空間にこの伸縮式避難梯子を収納することができる。
この考案に係る伸縮式避難梯子において、前記摺動部は、前記第1摺動柱体に設けられ、断面において先端部が膨大部として形成されている突条と、前記第2摺動柱体に形成され、断面において開口部よりも奥側空間が広がりこの奥側空間に前記突条の膨大部が嵌合し、前記突条が摺動自在である案内溝とを有するものとすることができる。
このように摺動部を構成すると、簡単な構造を使用して、第1及び第2摺動柱体を伸縮体の伸縮方向に摺動自在に互いに連結することができる。そして、案内溝の奥側空間に、突条の先端部に形成された膨大部が嵌合しているので、伸縮体に避難者の体重が掛かったときに、摺動部を構成する第1摺動柱体と第2摺動柱体とが互いに引き離されて、摺動部が避難者の体重によって折れ曲がることを防止でき、この伸縮体の直線性を保持することができる。
本考案に係る伸縮式避難梯子装置は、請求項5記載の伸縮式避難梯子と、この伸縮式避難梯子を使用して避難する床面に固定して設けられる揺れ止め凸部とを備え、前記揺れ止め凸部は、伸張状態の前記伸縮体を避難者が昇降する際に、当該伸張状態の伸縮体の下端部前側面と当接して、前記伸縮体が避難者の前方向に揺動することを防止するものであることを特徴とするものである。
本考案に係る伸縮式避難梯子装置によると、例えば伸縮体を吊り下げて伸張状態にして、この伸縮体に対して避難者が体重を掛けると、その体重に基づく力によって、伸張状態の伸縮体が避難者の前方向に揺動しようとする。このとき、伸縮体の下端部前側面が床面に固定して設けられている揺れ止め凸部に当接して、伸縮体が避難者の前方向に揺動することを防止することができる。これによって、伸縮体の揺動を防止できる。そして、スライドユニットどうしを連結している摺動部は、避難者の体重によってこの摺動部の箇所で折れ曲がることを防止できる構成であるので、伸縮体の直線性を保持することができる。よって、避難者は、直線性が保持され、揺動しない伸縮式避難梯子を使用して迅速に避難することができる。
この考案に係る伸縮式避難梯子によると、第1摺動柱体と第2摺動柱体との間隔が広がることを係止するように摺動部が形成されていること、及び第1及び第2凸部が第1摺動柱体に形成されている溝部内に収容されている構成としたので、この伸縮式避難梯子に過剰な吊下げ力が掛かったときに、第1及び第2凸部が変形することがあったとしても、第1凸部と第2凸部との係合が外れないようにすることができる。これによって、互いに連結するスライドユニットの連結が切り離されることを確実に防止でき、避難者を避難させるときの安全性の向上を図ることができる。
そして、第1凸部と第2凸部との係合が外れないようにできるので、破損し難く繰り返して使用でき、更に、部品点数を少なくできるので、低廉であって軽量であり、簡単に製作することができる。
本考案に係る伸縮式避難梯子装置によると、例えば伸縮体を吊り下げて伸張状態にして、この伸縮体の下端部を床面に当接させ、その下端部の前側面を床面に固定して設けられている揺れ止め凸部に当接させると、この伸縮体に対して避難者が体重を掛けて昇降するときに、伸縮体が避難者の前方向に揺動することを防止することができる。そして、スライドユニットどうしを連結している摺動部は、避難者の体重によってこの摺動部の箇所で折れ曲がることを防止できる構成であるので、伸縮体の直線性を保持することができる。よって、避難者は、直線性が保持され、揺動しない伸縮式避難梯子を使用して迅速に避難することができる。
以下、本考案に係る伸縮式避難梯子及び伸縮式避難梯子装置の第1実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。この伸縮式避難梯子装置11は、図1及び図2に示すように、伸縮式避難梯子12と、揺れ止め凸部13とを備えている。
この伸縮式避難梯子12は、例えば図2に二点鎖線で示すように、建物の上の階の床面14に形成された昇降口15(ハッチ)内に短縮した状態で取り付けられ、緊急時において、自重によって昇降口15の下方の下の階側に向かって伸張させて伸張状態にすることができるものである。上の階の避難者は、この伸張状態の避難梯子12を使用して下の階に避難することができる。
伸縮式避難梯子12は、図1及び図2に示すように、伸縮体16と、この伸縮体16の上端部が連結する緩降装置17とを備えている。
伸縮体16は、図1に示すように、その上端部が左右一対の吊下げピン18、18を介して固定金具19に揺動自在に連結している。この固定金具19は、取付け枠20に取り付けられ、この取付け枠20は、建物の上の階の床面14に形成された昇降口15内の内壁面に固定して取り付けられている。そして、この固定金具19に緩降装置17が取り付けられている。
伸縮体16は、図1に示すように、伸縮できるように、互いに摺動自在に連結する複数のスライドユニット21を備えており、これら複数のスライドユニット21のそれぞれは、伸縮体16の上端部から下端部に向かうに従って、横幅の寸法が大きくなっている。そして、下端部に設けられているスライドユニット21は、縦方向の長さが他のものよりも長く形成されている。このように、下端部のスライドユニット21を縦方向に長く形成してあるのは、図1に示すように、伸縮体16の下端部を下の階の床面14に当接させるため、当該下端部のスライドユニット21の調整範囲を大きくするためである。これら複数のスライドユニット21は、上記以外は同等であるので、2つの互いに連結するスライドユニット21、21を説明し、これ以外のスライドユニット21、・・・の説明を省略する。
スライドユニット21は、図1及び図2に示すように、縦方向に配置され、互いに平行する左右一対の摺動柱体22、22を有している。この一対の摺動柱体22、22は、それぞれの下端部が、横方向に配置された足場用結合体23を介して互いに結合している。そして、互いに連結する上端側の第1スライドユニット21の第1摺動柱体22、及び下端側の第2スライドユニット21の第2摺動柱体22には、これら第1及び第2摺動柱体22、22を伸縮体16の伸縮方向に摺動自在に連結し、かつ、第1摺動柱体22と第2摺動柱体22との間隔が広がることを係止するための摺動部24が設けられている。
図3(a)は、伸縮体16が短縮した状態を示す正面図であり、図3(b)は、伸縮体16が短縮した状態を示す側面図である。そして、図4(a)は、伸縮体16が短縮した状態を示す拡大平面図であり、図4(b)は、伸縮体16が取り付けられている緩降装置17を示す拡大正面図である。
図5は、スライドユニット21の連結構造を示す部分拡大断面図であり、図6は、拡大A−A断面図である。
図1に示す左右一対の摺動柱体22、22は、左右いずれも同等のものであるので、右側の摺動柱体22を、図5及び図6を参照して説明し、左側の摺動柱体22の説明を省略する。この図5に示すそれぞれの摺動柱体22は、所定長さに形成された棒状体であり、細長い平板状の柱本体25を有している。そして、図6に示すように、これら各柱本体25の右側面には、突条26が形成されている。この突条26は、断面においてその中央に矩形の溝部27が形成され、先端部が膨大部26aとして形成されている。この膨大部26aは、平板状の柱本体25と平行し、図6において上下外側に突出する断面矩形の突起である。
そして、図6に示すように、柱本体25の左側面に案内溝28が形成されている。この案内溝28は、断面において開口部よりも奥側空間28aが広がり、この奥側空間28aに突条26の膨大部26aが嵌合される形状である。このように形成された突条26及び案内溝28が摺動部24を構成している。
このように摺動部24を構成すると、簡単な構造を使用して、第1及び第2摺動柱体22、22を伸縮体16の伸縮方向に摺動自在に互いに連結することができる。そして、案内溝28の奥側空間28aに、突条26の先端部に形成された膨大部26aが嵌合しているので、第1摺動柱体22と第2摺動柱体22との間隔が広がることを係止することができる。これによって、第1及び第2摺動柱体22、22を互いに連結する摺動部24が、避難者の体重によって折れ曲がることが防止でき、この伸縮体16の直線性を保持することができる。
また、図5及び図6に示すように、突条26に形成された溝部27は、摺動柱体22の摺動方向、即ち、案内溝28及び突条26の伸延方向と平行し、内側に第1凸部29及び第2凸部30が収容される大きさである。
この第1凸部29は、図5に示すように、第1ボルト31の頭部である。この第1ボルト31は、第1スライドユニット21に設けられている一対の第1摺動柱体22、22のそれぞれの下端部を、横方向に配置された第1足場用結合体23の両方の各端部に結合するものである。
つまり、第1ボルト31は、第1摺動柱体22の柱本体25、及び第1足場用結合体23の右端部の内側に収容されている連結金具32にそれぞれ形成された挿通孔に挿通し、この第1ボルト31の先端部にナット33が螺合して締結されている。そして、この連結金具32は、第1足場用結合体23にボルト34で締結されている。このようにして、一対の第1摺動柱体22のそれぞれの下端部に第1足場用結合体23が取り付けられている。
なお、図5に示す第1足場用結合体23は、断面が略矩形である中空の棒状体であり、左右の各端部が各第1摺動柱体22の案内溝28内に嵌合している。
また、第2凸部30は、図5に示すように、第2ボルト35に螺合するナットであり、この第2凸部30は、矩形板状体として形成されている。この第2ボルト35は、第2スライドユニット21に設けられている一対の第2摺動柱体22が有する柱本体25のそれぞれの上端部に形成された挿通孔に挿通し、この第2ボルト35の先端部に第2凸部30が螺合して締結されている。
この第1及び第2凸部29、30によると、図5に示すように、第1及び第2摺動柱体22、22が伸張状態となったときに、第1凸部29と第2凸部30とが互いに当接して、第1又は第2摺動柱体22の伸張方向の移動を係止することができる。
緩降装置17は、図1に示すように、固定金具19に取り付けられている。この緩降装置17が使用される目的は、避難するために伸縮体16を使用するときに、図1及び図2に示すように、伸縮体16をその自重によって下方に向かって伸張させて伸張状態にするが、伸縮体16が自重によって垂下方向に伸張するときの伸張速度を適切な速度となるように減速して、伸縮体16が伸張状態になったときに、伸縮体16の下端部が下の階の床面14に高速で衝突することを防止すると共に、伸縮体16自体に大きな衝撃が掛からないようにするためのものである。
この緩降装置17は、図4(a)、(b)に示すように、緩降機36と係止レバー37とを備えている。緩降機36は、図には示さないが、そのケース36a内に金属製のベルト部38がラチェット部39に巻き付けられており、このラチェット部39は、ケース36a内に回動自在に設けられている。そして、このラチェット部39に摩擦クラッチ部が取り付けられている。この摩擦クラッチ部は、ラチェット部39の半径方向に移動自在であり、この摩擦クラッチ部内に錘が収容されている。
ベルト部38は、その一端が図4(b)に示す緩降機36内のラチェット部39に結合し、他端が図4(a)に示す伸縮体16の下端部に設けられている案内部40に結合している。この案内部40は、支持金具41に取り付けられ、この支持金具41は、伸縮体16の下端部に設けられているスライドユニット21の足場用結合体23に取り付けられている。
なお、伸縮体16を構成する複数のそれぞれの足場用結合体23には、図2に示すように、支持金具41が取り付けられ、各支持金具41には、案内部40が設けられている。そして、各案内部40に形成されている挿通孔には、ベルト部38が挿通されている。
係止レバー37は、図4(a)、(b)に示す係止状態と、図示しない解除状態に切り替えることができるものである。つまり、係止レバー37が係止状態の平常時では、係止レバー37の先端部がラチェット部39と係合しており、このラチェット部39に巻き付けられているベルト部38の先端に結合されている伸縮体16の下端部が自重により下降して、伸縮体16が伸張しないように保持することができる。このように、係止レバー37を係止状態にしておき、伸縮体16を短縮状態に保持した状態で、この伸縮体16を昇降口15内に収容しておくことができる。
そして、緊急時に避難者が係止レバー37を操作して解除状態とすると、係止レバー37の先端部がラチェット部39から外れて、短縮状態の伸縮体16は、自動的に自重によって下方に向かって伸張して伸張状態となる。ただし、このとき、ラチェット部39に巻き付けられているベルト部38の先端は、その先端が結合する伸縮体16の下端部の下降によって緩降機36から繰り出され、これによってラチェット部39、及びこのラチェット部39に対して回転方向に係合する摩擦クラッチ部、並びに錘が同方向に回転する。そして、この錘の回転によって錘に遠心力が発生し、この遠心力によって摩擦クラッチ部の外周面が、ケース36aの内周面に押し付けられて両者の間で摩擦が発生し、この摩擦力によって、伸縮体16が昇降口15の下方に向かって伸張するときの伸張速度を低減させることができる。
そして、このように伸縮体16の伸張速度を低減させることができるので、伸縮体16が伸張状態となって、図5に示すように各スライドユニット21に設けられている第1凸部29と第2凸部30とが互いに衝突するときの衝撃を小さくすることができる。これによって避難梯子12の損傷を防止することができる。そして、避難者は、この伸張状態となった伸縮体16を使用して、上の階から下の階に避難することができる。
また、この伸縮式避難梯子装置11は、図2に示すように、揺れ止め凸部13を備えている。この揺れ止め凸部13は、この伸縮式避難梯子装置11を使用して避難する階下のベランダの床面14に固定して設けられている。そして、この揺れ止め凸部13は、伸張状態の伸縮体16を避難者が昇降する際に、この伸張状態の伸縮体16の下端部の前面と当接して、伸縮体16が避難者の前方向に揺動することを防止するものである。
次に、この伸縮式避難梯子12の収納状態を説明する。この伸縮体16は、収納時では、図3(a)、(b)に示すように短縮状態となっており、図2に二点鎖線で示すように、昇降口15内にその短縮状態で略水平に配置されて収容されている。伸縮体16をこのように略水平状態に保持できるのは、この昇降口15に設けられている上蓋42及び下蓋43を閉位置に移動させることによって、この下蓋43が短縮状態の伸縮体16を、吊下げピン18を中心に上方に揺動させて、略水平位置に保持することができるからである。
そして、これら上蓋42及び下蓋43は、図1に示すリンク44によって互いに連結し、これら上下の各蓋42、43を連動して開閉させることができるようになっている。よって、避難者が上蓋42を開閉することによって、下蓋43をそれに連動させて自動的に開閉することができる。そして、上下の蓋42、43を開放すると、短縮状態の伸縮体16が吊下げピン18を中心にして回動して、この吊下げピン18によって吊り下げられた状態となる。この吊り下げられた状態では、図4に示すように、係止レバー37が係止状態となっており、伸縮体16は、短縮状態で保持されている。そして、避難者が係止レバー37を操作して解除状態にすると、短縮状態の伸縮体16が伸張状態となる。
上記のように構成された伸縮式避難梯子装置11によると、使用しないときは、図2の二点鎖線で示すように、伸縮体16を短縮状態にして略水平状態で昇降口15内に収納することができるので、この伸縮式避難梯子12の収納スペースを小さくすることができる。そして、使用するときは、図2に示すように、伸縮体16を伸張状態にして避難梯子12として使用することができる。
そして、避難するために伸縮体16を伸張状態にするときは、図2に示すように、避難者が上下の各蓋42、43を互いに連動させて開放する。これによって、短縮状態の伸縮体16が吊下げピン18を中心にして回動して、この吊下げピン18によって吊り下げられた状態となる。次に、避難者が、係止状態の係止レバー37を操作して解除状態に切り替える。すると、伸縮体16が自重によって垂下方向に自動的に伸張して、その下端部が下の階のベランダの床面14に当接して伸張状態となる。
そして、このように伸縮体16が伸張状態となるときは、図5に示すように、互いに連結する上端側の第1スライドユニット21の一対の第1摺動柱体22、22に対して、下端側の第2スライドユニット21の一対の第2摺動柱体22、22が相対的に摺動して伸縮体16が伸張する。そして、このとき、一対の各第1摺動柱体22、22に設けられている各第1凸部29、29と、一対の各第2摺動柱体22、22に設けられている各第2凸部30、30とが互いに当接して、第1及び第2摺動柱体22、22の伸張方向の移動を係止することができる。
このように、第1凸部29と第2凸部30との当接によって、第1及び第2摺動柱体22、22の伸張方向の移動を係止する係止力は、互いに連結するスライドユニット21、21の連結が切り離されることを防止するために働き、この伸縮式避難梯子12を昇降する避難者の体重を支持することができる力となる。
そして、この伸縮式避難梯子12に吊下げ力が掛かったときに、第1及び第2凸部29、30どうしの係合が外れる方向に力が掛かったとしても、図6に示すように、突条26の膨大部26aが案内溝28の奥側空間28aに嵌合しているので、その第1及び第2凸部29、30どうしの係合が外れる方向(引き離される方向)の移動を規制することができ、第1凸部29と第2凸部30との係合が外れないようにすることができる。
更に、第1及び第2凸部29、30の互いの係合が外れる方向に伸縮体16が変形することがあっても、図6に示すように、第1及び第2凸部29、30が第1摺動柱体22に形成されている溝部27内に収容されているので、第1及び第2凸部29、30が、互いの係合が外れる方向に移動することを、これら第1及び第2凸部29、30を囲む第1及び第2摺動柱体22、22の内側面(例えば溝部27の底面及び案内溝28の底面)によって規制することができ、第1凸部29と第2凸部30との係合が外れないようにすることができる。これによって、互いに連結するスライドユニット21、21の連結が切り離されることを確実に防止できる。
また、図5及び図6に示す第1凸部29及び第2凸部30は、複数の各スライドユニット21が有する一対の左右それぞれの摺動柱体22、22に設けられているので、複数の各スライドユニット21、21どうしの連結力(引っ張り力)を、各スライドユニット21が有する一対の左右それぞれの摺動柱体22、22に設けられている第1凸部29及び第2凸部30によって確保することができ、強力な連結力を付与することができる。
これによって、互いに連結するスライドユニット21の連結が切り離されることを確実に防止でき、避難者を避難させるときの安全性の向上を図ることができる。
そして、上記のようにして、第1凸部29と第2凸部30との係合が外れないようにできるので、破損し難く繰り返して使用でき、更に、部品点数を少なくできるので、低廉であって軽量であり、簡単に製作することができる。
また、図2に示す伸縮式避難梯子装置11によると、伸縮体16を鉛直下方に吊り下げて伸張状態にして、この伸縮体16の下端部を床面14に当接させ、その下端部の前側面を床面14に固定して設けられている揺れ止め凸部13に当接させることができる。よって、このような使用状態にすることができるように、伸縮体16の長さを設定してあり、揺れ止め凸部13を床面14の所定位置に固定して取り付けてある。
この図2に示すように、伸張状態の伸縮体16の下端部の前側面が揺れ止め凸部13に当接しているので、伸縮体16に対して避難者が体重を掛けて下降(又は上昇)するときは、伸縮体16が避難者の前方向に揺動することを防止することができる。これによって、伸縮体16の揺動を防止することができる。
しかも、スライドユニット21どうしを連結している摺動部24は、案内溝28の奥側空間28aに、突条26の先端部に形成された膨大部26aが嵌合している構成であるので、伸縮体16に避難者の体重が掛かったときに、この摺動部24が設けられている第1摺動柱体22と第2摺動柱体22とが互いに引き離されて、摺動部24が避難者の体重によって折れ曲がることを防止でき、この伸縮体16の直線性を保持することができる。よって、避難者は、直線性が保持され、揺動しない伸縮式避難梯子12(伸縮体16)を使用して迅速に避難することができる。
更に、この伸縮式避難梯子12は、図5及び図6に示すように、互いに連結する上下の第1及び第2スライドユニット21、21のうち上端側の第1スライドユニット21が有する一対の各第1摺動柱体22、22の横幅方向の外側面に、下端側の第2スライドユニット21が有する一対の各第2摺動柱体22、22が摺動自在に設けられ、伸縮体16が短縮した状態で、複数のスライドユニット21の各摺動柱体22を、伸縮体16の横幅方向に重ね合わす構成としてある。
このように構成とすると、スライドユニット21の数に関係なく、この伸縮体16の厚み方向の寸法を、1つのスライドユニット21の厚み方向(図3(b)に示す矢印Dの方向)の寸法に近づけることができる。これによって、伸縮体16を短縮させた状態でのこの伸縮式避難梯子12の厚みを薄くすることができる。よって、例えばベランダの床に形成された収納空間(昇降口15)の厚み方向の寸法が小さい場合でも、そのような収納空間(昇降口15)にこの伸縮式避難梯子12を収納することができる。
次に、本考案に係る伸縮式避難梯子の第2実施形態を、図7及び図8を参照して説明する。この図7及び図8に示す第2実施形態に係る伸縮式避難梯子46と、図3及び図4に示す第1実施形態に係る伸縮式避難梯子12とが相違するところは、以下の通りである。
図3及び図4に示す第1実施形態に係る伸縮式避難梯子12は、互いに連結する第1及び第2スライドユニット21、21のうち上端側の第1スライドユニット21が有する一対の各第1摺動柱体22、22の横幅方向の外側面に、下端側の第2スライドユニット21が有する一対の各第2摺動柱体22、22が摺動自在に設けられ、伸縮体16が短縮した状態で、複数のスライドユニット21の各摺動柱体22を、伸縮体16の横幅方向に重ね合わす構成である。
これに対して、図7及び図8に示す第2実施形態に係る伸縮式避難梯子46は、互いに連結する第1及び第2スライドユニット48、48のうち上端側の第1スライドユニット48が有する一対の各第1摺動柱体22、22と向かい合う状態で、下端側の第2スライドユニット48が有する一対の各第2摺動柱体22、22が第1摺動柱体22、22に摺動自在に設けられ、伸縮体47が短縮した状態で、複数のスライドユニット48の各摺動柱体22を、伸縮体47の厚み方向に重ね合わす構成である。
これ以外は、第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
この伸縮式避難梯子46が備える伸縮体47は、図7に示すように、各スライドユニット48に設けられている足場用結合体23の左右の各端部の後側面(同図における下方に向かう面)に、それぞれの摺動柱体22の下端部が第1ボルト31(図には表れていない)によって固定して取り付けられている。
このように、図7及び図8に示す伸縮式避難梯子46が備える伸縮体47によると、短縮した状態で、複数のスライドユニット48の各摺動柱体22を、伸縮体47の厚み方向に重ね合わす構成であるので、スライドユニット48の数に関係なく、この伸縮体47の横幅方向(図7に示す足場用結合体23の長さ方向W)の寸法を、1つのスライドユニット48の横幅方向の寸法に近づけることができる。これによって、伸縮体47を短縮させた状態でのこの伸縮式避難梯子46の横幅方向の寸法を小さくすることができる。よって、例えばベランダの床に形成された小さい面積の収納空間(昇降口15)にこの伸縮式避難梯子46を収納することができる。
ただし、上記各実施形態では、図4に示すように、緩降装置17を設けたが、これに代えて、これ以外の構成の緩降装置を設けてもよいし、この緩降装置17を省略してもよい。
そして、上記各実施形態では、伸縮式避難梯子12、46及び伸縮式避難梯子装置11をベランダの床に設けたが、これ以外の場所に設けてもよい。