JP3148706U - 足場継ぎ跡用マスキングキャップ - Google Patents
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Abstract
【課題】長さや孔径等の仕様を異にした種々の足場継ぎ用アンカにも互換性を有し、足場継ぎ用アンカのアンカ孔への打込み深さのバラツキにも対応可能であり、足場継ぎ跡を高精度に仕上げ処理することを可能とする。【解決手段】テーパ付き筒状体に形成されてアンカ孔102内に固定された足場継ぎ用アンカ103に圧入されるスリーブ部材2と、このスリーブ部材2に対してねじ込み量を調整されてアンカ孔102の開口を閉塞する化粧キャップ部材3とから構成される。【選択図】図2
Description
本考案は、壁面から躯体に穿孔した多数固のアンカ孔内にそれぞれ足場継ぎ用アンカが固定された足場継ぎ跡において、各アンカ孔から足場継ぎ用アンカに打ち込まれることによりアンカ孔の開口部を閉塞する足場継ぎ跡用マスキングキャップに関する。
ビルの外壁補修等の工事は、一般に作業者が壁面に沿って昇降移動するゴンドラに搭乗して所定の補修作業を行ういわゆるゴンドラ吊り施工法や、壁面に沿って組み立てた作業用足場を利用して所定の補修作業を行う足場施工法により実施されている。足場施工法においては、図10に示すように壁面100から躯体101に対して上下左右に所定の間隔を以って多数個のアンカ孔102を穿孔し、各アンカ孔102内にそれぞれ足場継ぎ用アンカ103が打ち込まれる。足場施工法においては、各足場継ぎ用アンカ103にそれぞれつなぎ金具104が取り付けられ、これらつなぎ金具104を介して詳細を省略する作業用足場105の組立が行われる。
足場継ぎ用アンカ103については、従来様々な仕様のものが提供されていることから詳細については説明を省略するが、図10に示すようにアンカ本体106と、このアンカ本体106を貫通して形成された取付孔106Aに組み合わされたコア体107とを基本形態とした部材である。足場継ぎ用アンカ103は、アンカ本体106が、金属材を素材として、アンカ孔102とほぼ等しい外径を有する円筒部材からなる。足場継ぎ用アンカ103は、長さ方向に貫通する取付孔106Aに内周ネジ106Bを形成するとともに、先端側から複数のすり割り溝106Cを形成し、これらすり割り溝106Cにより複数の短冊状部位106Dを切り残してなる。
足場継ぎ用アンカ103は、コア体107が、一端側をアンカ本体106の取付孔106Aの内径よりもやや小径とされるとともに他端側を取付孔106Aの内径よりもやや大径とした楔栓型の部材からなる。足場継ぎ用アンカ103は、コア体107をアンカ本体106に対して、すり割り溝106Cを形成した先端部側から小径部を嵌合して組み合わせた状態で提供される。
足場継ぎ用アンカ103は、コア体107を組み付けた先端部側から躯体101に穿孔したアンカ孔102内に装填されて、適宜の打込み治具を用いて打ち込みが行われる。足場継ぎ用アンカ103は、コア体107がアンカ孔102の底部に突き当たった状態でさらにアンカ本体106が打ち込まれることにより、コア体107がアンカ本体106に楔作用を奏してすり割り溝106Cにより切り残された短冊状部位106Dを次第に拡径させる。足場継ぎ用アンカ103は、拡径された短冊状部位106Dがアンカ孔102の内壁に食い込むことにより、アンカ孔102内にしっかりと固定される。
なお、足場継ぎ用アンカについては、上述した構造に限定されず、例えばアンカ本体の外周部に微細な凹凸のセレーションやリブ等の回止め構造を形成したものも提供されている。また、足場継ぎ用アンカについては、いわゆるオールアンカ型のようにアンカ本体に対してコア体を打ち込むことによりアンカ孔内においてすり割り溝を形成した先端部位を次第に拡径させて固定するものであってもよい。
足場施工法においては、アンカ孔102内に固定された足場継ぎ用アンカ103に対して一端側に外周ネジを形成したつなぎ金具104が、その外周ネジをアンカ本体106の内周ネジにねじ込むことにより躯体101に対して片持ち状態で取り付けられる。足場施工法においては、足場継ぎ用アンカ103を介して一端側を躯体101に固定されたつなぎ金具104を支持部材として、他端側にクランパ部材や各種ジョイント部材108等を介して足場パイプ109を組み合わせるとともに図示しない踏み板を取り付けて作業用足場105を組み立てる。
足場施工法は、ゴンドラ吊り施工法との比較において、強風等の天候条件による影響が小さく、広範囲の箇所に対して同時かつ効率よく補修作業を施すことが可能である等の様々な利点がある。足場施工法においては、主たる補修工事が終了すると作業用足場105の解体撤去が行われるが、壁面100にはつなぎ金具104を取り付けるために形成した足場継ぎ用アンカ103を打ち込んだ多数個のアンカ孔102が開口した足場継ぎ跡110が残ってしまう。したがって、足場施工法においては、解体途中の不安定な作業用足場105上で、つなぎ金具104を取り外した各足場継ぎ跡110に対する仕上げ作業が施される。
仕上げ作業は、例えば、作業者により数センチ程度の小さなアンカ孔102内に充填剤を充填する作業や、充填剤の表面やその周囲に壁面と略同色の仕上げ塗装を施す作業等の細かで面倒な作業を内容とするものである。仕上げ作業は、かかる作業を上述したように解体途中の不安定な作業用足場105上で行わなければならず、またアンカ孔102内に充填した充填剤が硬化した後に仕上げ塗装を施こし、さらにこの仕上げ塗装に際してアンカ孔102内から溢れ出して硬化した充填剤を削り取る作業も行わなければならず、非効率であった。足場施工法においては、上層階の仕上げ作業が終了した後に、下層階の作業用足場105の解体と仕上げ作業が行われることから仕上げ工程において効率が低下するといった問題があった。
足場施工法においては、壁面に開口するアンカ孔に対して充填剤の充填に代えてキャップ体を装着することにより、つなぎ金具を取り外した各足場継ぎ跡に対する仕上げ作業における上述した問題点を解決する方法が提案されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3を参照)。特許文献1には、弾性を有するプラスチックで形成され、ボルト孔より大径の鍔盤とボルト孔に圧入される嵌合突起とからなるキャップ体が開示されている。特許文献2には、アンカ孔の開口を覆う円盤部と、この円盤部と一体のアンカの雌ネジにねじ込まれる雄ネジ部とからなるキャップ体が開示されている。特許文献3には、アンカ内に嵌合される差し込み軸部と、外周ネジからなるストッパと、フランジ状に突出する防水ストッパ部と、塗装が施される天端とを一体に形成したキャップ体が開示されている。
なお、足場施工法は、外壁補修工事ばかりでなく、例えば吹抜けやホール等の建物内の補修工事に際しても設置される。かかる建物内足場施工法においては、外壁補修の工事よりもさらに各足場継ぎ跡に対する仕上げ作業の精度が要求される。
足場施工法においては、上述したようなキャップ体を用いることにより、各足場継ぎ跡に対する仕上げ作業を効率よくかつ安全に実施することが可能である。しかしながら、従来のキャップ体は、いずれもアンカ孔内に打ち込まれる足場継ぎ用アンカと対をなす部材として提供されるものであった。従来のキャップ体は、例えば足場継ぎ用アンカに組み付けた状態で提供される場合に、作業用足場の組立時には各足場継ぎ用アンカから取り外して保管するとともに足場継ぎ跡に対する仕上げ作業の際に各アンカ孔内に装着しなければならず、着脱の手間や広い現場での保管の面倒があった。従来のキャップ体は、足場継ぎ用アンカと別個に提供される場合に、足場継ぎ用アンカの仕様や使用数に合わせた手配が必要であった
一方、足場施工法においては、補修工事の内容やビルの躯体条件等によって仕様を異にする作業用足場が組み立てられる。足場施工法においては、このために最適な孔径と深さのアンカ孔を穿孔し、各アンカ孔に適合した足場継ぎ用アンカが選択されて打ち込みが行われる。従来のキャップ体は、上述したように所定の足場継ぎ用アンカに対応した部材として構成されることから、作業用足場の仕様によっては足場継ぎ用アンカとともに複数種が用いられる。
また、足場施工法においては、アンカ孔をドリルにより躯体に穿孔するが、作業者の技量や躯体条件等により深さ寸法にやや大きなバラツキが生じる。また、足場施工法においては、深さ寸法のバラツキがある各アンカ孔内にそれぞれ足場継ぎ用アンカを打ち込んで固定するが、打込み力のバラツキも重畳することにより全体としてかなり大きな打込み深さのバラツキが生じる。従来のキャップ体は、打込み深さに大きなバラツキがある足場継ぎ用アンカに装着されることから、壁面からの凹凸が大きくなって仕上がり精度を低下させ、さらにしっかりと保持されないことで脱落するといった問題を生じさせる虞がある。
したがって、本考案は、長さや孔径等の仕様を異にした種々の足場継ぎ用アンカに対する互換性を有し、足場継ぎ用アンカのアンカ孔への打込み深さのバラツキにも対応可能であり、足場継ぎ跡を高精度に仕上げ処理することが可能な足場継ぎ跡用マスキングキャップを提供することを目的に提案されたものである。
上述した目的を達成する本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップは、躯体内に固定した足場継ぎ用アンカが装填されたアンカ孔が壁面に開口する足場継ぎ跡に対して、アンカ孔を介して足場継ぎ用アンカ内に打ち込まれることによりアンカ孔の開口部を閉塞する。足場継ぎ跡用マスキングキャップは、足場継ぎ用アンカに打ち込まれるスリーブ部材と、このスリーブ部材に組み合わされる化粧キャップ部材とから構成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップは、スリーブ部材が、内周ネジが形成されて長さ方向に貫通された内孔を有し、足場継ぎ用アンカの内周ネジが形成された取付孔に対して一端側がやや小径とされて嵌挿部を構成するとともに、他端側が略同径若しくはやや大径とされて圧入部を構成してなるテーパ付き筒状体に形成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップは、化粧キャップ部材が、アンカ孔の開口径と略同径とされ表面に適宜の化粧処理が施される略円盤状のキャップ部と、このキャップ部の裏面側に一体に突設されスリーブ部材の内孔にねじ込まれる外周ネジが形成されたネジ部とからなる。
本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、補修等の主工事を終了して作業用足場を撤去する際に、足場継ぎ用アンカからつなぎ金具を取り外すことにより壁面にアンカ孔が開口した各足場継ぎ跡にそれぞれ取り付けられる。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、スリーブ部材に対して化粧キャップ部材が、圧入部側の開口から内孔にネジ部をねじ込まれて一体化される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、各足場継ぎ跡において、スリーブ部材の嵌挿部側からアンカ孔の開口に嵌挿して全体の打ち込みが行われる。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、打ち込みによりスリーブ部材の圧入部が足場継ぎ用アンカの取付孔内に圧入されて、アンカ孔内において足場継ぎ用アンカと一体化される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、スリーブ部材に対して化粧キャップ部材が、内孔にねじ込むネジ部のねじ込み量を調整することにより、キャップ部が壁面と略同一面を構成してアンカ孔の開口を閉塞する。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、化粧キャップ部材のキャップ部に壁面と略同色の化粧塗装等を施すことにより、足場継ぎ跡の仕上げが行われるようにする。
また、本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップは、スリーブ部材が、やや弾性を有する合成樹脂材、例えばジュラコン樹脂材を素材とし、圧入部側の端部外周に、足場継ぎ用アンカの外径よりもやや大径でかつアンカ孔の内径と略同径若しくはやや大径の外径を有する薄肉のシールド部が一体に形成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、足場継ぎ用アンカの取付孔内に打ち込まれて一体化された状態で、足場継ぎ用アンカの開口から突出したシールド部がアンカ孔の内壁に弾性変形した状態で密着する。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、アンカ孔に対して、その開口を化粧キャップ部材のキャップ部により閉塞するとともに、内部においてスリーブ部材のシールド部により密封する。
さらに、本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップは、化粧キャップ部材のネジ部に形成する外周ネジが、足場継ぎ用アンカの内周ネジとは逆ネジで形成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、足場継ぎ用アンカの取付孔内に打ち込まれと、スリーブ部材の外周部に足場継ぎ用アンカの内周ネジが転写刻印されて疑似外周ネジが形成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、足場継ぎ用アンカ内に圧入されて固定状態にあるスリーブ部材に対して化粧キャップ部材を強くねじ込むことにより、これらが一体の部材としてスリーブ部材の外周部に形成された疑似外周ネジと内周ネジとのねじ合わせにより足場継ぎ用アンカ内から抜け出す方向に回転してアンカ孔からの取り外しが行われる。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、アンカ孔に対して着脱自在とされることで、足場継ぎ用アンカの再利用を可能とする。
さらにまた、本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップは、躯体に対して軸線が傾いた状態で穿孔されたアンカ孔に装填された足場継ぎ用アンカに打ち込まれた際に、化粧キャップ部材のネジ部が、キャップ部に対して塑性変形するように構成される。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、傾いた足場継ぎ用アンカ内に打ち込まれるにしたがって取付孔内においてネジ部に塑性変形が生じるが、キャップ部が壁面と略同一面を構成して壁面の外観を損なうことなくアンカ孔の開口を閉塞する。
また、本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップは、化粧キャップ部材のネジ部が、キャップ部に対してやや細径の塑性変形部を介して一体に形成される。かかる足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいても、躯体に対して軸線が傾いた状態で穿孔されたアンカ孔に装填された足場継ぎ用アンカに打ち込まれた際に、塑性変形部に生じる塑性変形によりキャップ部が壁面と略同一面を構成して壁面の外観を損なうことなくアンカ孔の開口を閉塞する。足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいては、塑性変形部が塑性変形を生じる際に、アンカ孔の開口部等に対する大きな応力集中を緩和することで破損等の発生が防止されるようにする。
本考案にかかる足場継ぎ跡用マスキングキャップによれば、テーパ付き筒状体に形成したスリーブ部材と、このスリーブ部材に対してねじ込み量を調整される化粧キャップ部材とにより構成したことから、長さや孔径等の仕様を異にした種々の足場継ぎ用アンカに対しても共用することが可能である。足場継ぎ跡用マスキングキャップによれば、解体途中の不安定な作業用足場でも簡易かつ安全な作業により足場継ぎ跡に取り付けられ、足場継ぎ用アンカのアンカ孔への打込み深さのバラツキに対しても良好な仕上げ処理が施されるようにする。
以下、本考案の実施の形態として図面に示した足場継ぎ跡用マスキングキャップ(以下、マスキングキャップと略称する)1について、詳細に説明する。マスキングキャップ1は、図1に示すように、足場継ぎ用アンカ103に打ち込まれるスリーブ部材2と、このスリーブ部材2に組み合わされる化粧キャップ部材3とから構成される。マスキングキャップ1は、補修等の主工事を終了して壁面100に沿って組み立てられた作業用足場105を解体撤去する際に、図2に示すように壁面100に残った多数の足場継ぎ跡110にそれぞれ取り付けられる。
マスキングキャップ1は、図2矢印で示すように詳細を後述するように壁面100に開口したアンカ孔102を介して足場継ぎ用アンカ103に打ち込まれることにより、アンカ孔102の開口を閉塞する。マスキングキャップ1は、図3に示すように化粧キャップ部材3の主面が壁面100と略同一面を構成して足場継ぎ跡110に取り付けられ、この化粧キャップ部材3の主面に壁面100と略同色の化粧塗装等を施すことにより、足場継ぎ跡110を目立たなくするとともにアンカ孔102内への雨水等の浸入を防止する仕上げが行われるようにする。
アンカ孔102は、詳細を省略するがドリルピットの先端から冷却剤を噴出させながら穿孔を行う低振動、低騒音特性を有する回転型ドリルを用いて、所定の孔径と深さを以って壁面100から躯体101内に穿孔される。マスキングキャップ1は、躯体101の構造条件や作業者の技量等により深さ寸法に多少のバラツキを以って形成されるアンカ孔102に対して、化粧キャップ部材3の主面が壁面100と略同一面を構成して取り付けることが可能である。
マスキングキャップ1は、スリーブ部材2が、やや弾性を有する合成樹脂材、例えばジュラコン樹脂を素材とし、図1に示すように一端部(先端部)2Aから他端部(基端部)2Bに長さ方向に貫通する内孔4が形成された略円筒形の部材からなる。スリーブ部材2は、足場継ぎ用アンカ103の内周ネジ形成部位よりも短軸であり、先端部2A側が足場継ぎ用アンカ103の取付孔106Aに対してやや小径とされるとともに基端部2B側に向かって次第に大径とされるテーパが付され、基端部2Bが取付孔106Aよりもやや大径に形成される。スリーブ部材2は、小径の先端部2Aが後述するように足場継ぎ用アンカ103に対する嵌挿部として構成され、大径の基端部2Bが足場継ぎ用アンカ103の取付孔106Aに圧入固定される圧入部を構成する。
スリーブ部材2は、内孔4が長さ方向の全長に亘って同一径とされ、内周ネジ5が形成される。スリーブ部材2は、内周ネジ5が足場継ぎ用アンカ103の取付孔106Aに形成した内周ネジに対して逆ネジとなるように形成される。
マスキングキャップ1は、化粧キャップ部材3が、真鍮或いは銅やステンレス等の耐腐食性や耐候性等に優れた金属材により形成され、図1に示すように、表面6Aに適宜の化粧塗装等の仕上げ処理が施されるやや厚みのある略円盤状のキャップ部6と、このキャップ部6の裏面6B側に一体に突設されたネジ部7とからなる。化粧キャップ部材3は、キャップ部6が、アンカ孔102の孔径と略同径とされ、詳細には裏面6B側がアンカ孔102の孔径よりもやや小径の外周縁から次第に大径とされた円錐形状の部位とされ、表面6A側がアンカ孔102の孔径とほぼ同径の円盤状部位とからなる。化粧キャップ部材3は、後述するようにマスキングキャップが足場継ぎ跡110に取り付けられる際に、アンカ孔102の開口寸法に多少のバラツキがあっても円錐形状の部位によりその調整が図られる。
化粧キャップ部材3は、ネジ部7がスリーブ部材2とほぼ同長若しくはやや短軸でありかつその内孔4とほぼ同径の棒状部位からなり、全長に亘って外周ネジ8が形成されている。化粧キャップ部材3は、ネジ部7が、その先端から外周ネジ8を内孔4の内周ネジ5にネジ込むことにより、キャップ部6を基端部2Bから突出させてスリーブ部材2と一体化される。化粧キャップ部材3は、内孔4に対するネジ部7のねじ込み量に応じて、キャップ部6のスリーブ部材2の基端部2Bからの突出量が調整されるようにする。
以上のように構成されたマスキングキャップ1は、図2に示すようにスリーブ部材2に対して化粧キャップ部材3が、基端部2B側の開口から内孔4にネジ部7を嵌挿して外周ネジ8を内周ネジ5にねじ込むことにより一体化した状態で提供される。マスキングキャップ1は、後述するように使用された足場継ぎ用アンカ103の外形仕様にかかわらず共通に用いられて壁面100に穿孔されたアンカ孔102の開口を閉塞する。
マスキングキャップ1は、壁面100の各足場継ぎ跡110において、スリーブ部材2の先端部2Aをアンカ孔102の開口を介して足場継ぎ用アンカ103の取付孔106A内に嵌挿する。マスキングキャップ1は、例えば打撃面がキャップ部6の外形よりも大きくかつフラットなプラスチックヘッドハンマが用いられて、化粧キャップ部材3のキャップ部6が打撃されて足場継ぎ用アンカ103内への打ち込みが行われる。
マスキングキャップ1は、スリーブ部材2の基端部2Bが足場継ぎ用アンカ103の取付孔106A内に圧入するまで打ち込まれることにより、アンカ孔102内において足場継ぎ用アンカ103と一体化される。マスキングキャップ1は、足場継ぎ用アンカ103の取付孔106A内に打ち込まれることにより、スリーブ部材2の外周部がその内周ネジ106Bに食い込んで強固に一体化される。
マスキングキャップ1は、上述したようにプラスチックヘッドハンマを用いて打ち込みを行うことにより、図3に示すように化粧キャップ部材3のキャップ部6の表面6Aが壁面100と略同一面を構成して足場継ぎ用アンカ103を介してアンカ孔102に固定される。マスキングキャップ1は、壁面100と略同色に調合された塗料による化粧塗装が施こされて化粧キャップ部材3のキャップ部6の表面6Aに塗膜層9が形成され、足場継ぎ跡110の仕上げが行われるようにする。
マスキングキャップ1においては、上述したようにアンカ孔102の開口から嵌挿して打ち込む簡易な作業により各足場継ぎ跡110に取り付けられるとともに、化粧キャップ部材3のキャップ部6に仕上げ塗装が施される。マスキングキャップ1においては、解体途中の不安定な作業用足場105でも簡易かつ安全な作業により足場継ぎ跡110に取り付けることが可能である。マスキングキャップ1においては、塗料の乾燥時間を要することなく作業用足場105の解体と仕上げ作業を同時に進めることを可能とすることで、補修工事の効率化が図られるようにする。
ところで、足場継ぎ跡110においては、アンカ孔102の深さ寸法に対して短軸の足場継ぎ用アンカ103が用いられることにより、この足場継ぎ用アンカ103と壁面100との間隔が大きい場合がある。また、足場継ぎ跡110においては、上述したようにアンカ孔102の深さ寸法のバラツキや足場継ぎ用アンカ103の打ち込み量のバラツキ等により、足場継ぎ用アンカ103の壁面100からの間隔にバラツキがある。マスキングキャップ1においては、足場継ぎ用アンカ103がアンカ孔102内において奥まった位置で固定されている場合に、打ち込み量が不足してスリーブ部材2が足場継ぎ用アンカ103に対して充分に圧入されずに脱落してしまう虞がある。
マスキングキャップ1においては、スリーブ部材2に対して化粧キャップ部材3のねじ込み量を調整することにより、全長を変えることが可能である。マスキングキャップ1においては、図4に示すように内周ネジ5に対するネジ部7の外周ネジ8のねじ込み量を小さくすることにより、スリーブ部材2の基端部2Bから化粧キャップ部材3がやや突出した状態で組み合わされる。
マスキングキャップ1においては、上述した理由により足場継ぎ用アンカ103がアンカ孔102内において奥まった位置で固定されている様々な状況の足場継ぎ跡110に用いても、足場継ぎ用アンカ103に対してスリーブ部材2が充分な圧入量を以って打ち込むことが可能であり強固に固定されて脱落することは無い。また、マスキングキャップ1においては、様々な状況の足場継ぎ跡110に用いても、化粧キャップ部材3のキャップ部6がその表面6Aを壁面100と略同一面を構成してアンカ孔102の開口を閉塞することが可能である。
マスキングキャップ1は、従来のネジ型化粧キャップと同様に一度取り付けた足場継ぎ跡110から取り外すことも可能である。マスキングキャップ1には、足場継ぎ用アンカ103の取付孔106Aに打ち込むことにより、図5に示すようにスリーブ部材2の外周部に内周ネジ106Bが部分的に刻印されて部分的ではあるが疑似外周ネジ10が形成される。マスキングキャップ1は、上述したように化粧キャップ部材3のネジ部7に、足場継ぎ用アンカ103の内周ネジ106Bとは逆ネジの外周ネジ8が形成されている。
したがって、マスキングキャップ1においては、足場継ぎ用アンカ103内に圧入されて固定状態にあるスリーブ部材2に対して化粧キャップ部材3を強くねじ込むことで、これらが一体の部材としてスリーブ部材2の外周部に形成された疑似外周ネジ10と内周ネジ106Bとのねじ合わせにより足場継ぎ用アンカ103内から抜け出す方向に回転してアンカ孔102からの取り外しが行われる。マスキングキャップ1においては、このようにして足場継ぎ跡110から取り外すことにより、既存の足場継ぎ跡110を再利用して作業用足場105の組立を行うことを可能とする。
なお、マスキングキャップ1は、例えば化粧キャップ部材3のキャップ部6の主面6Aにドライバの先端部を嵌合するための十字溝やマイナス溝を形成することにより、上述したスリーブ部材2に対する化粧キャップ部材3のねじ込み操作や足場継ぎ用アンカ103からの取り外し操作が容易に行われるようにしてもよい。マスキングキャップ1は、キャップ部6の主面6Aに仕上げの塗膜層9を形成するために、足場継ぎ跡110の外観を損ねることは無い。マスキングキャップ1は、適宜の治具を用いて足場継ぎ跡110に対する着脱操作を行うことも可能である。
第2の実施の形態として図6及び図7に示したマスキングキャップ20は、上述した化粧キャップ部材3にアンカ孔102のシールド特性の向上を図ったスリーブ部材21を組み合わせてなる。マスキングキャップ20は、スリーブ部材21が、その基本的な構成を上述したスリーブ部材2と同等とすることから、対応する部位に同一符号を付すことにより説明を省略する。
スリーブ部材21も、図6に示すように、本体部22が、先端部2A側を足場継ぎ用アンカ103の取付孔106Aに対してやや小径として基端部2B側に向かって次第に大径とするテーパを付して、基端部2Bを取付孔106Aよりもやや大径に形成したテーパ付き円筒部材として形成される。スリーブ部材21には、基端部2Bの外周部に、フランジ状のシールド部23が一体に形成される。シールド部23は、足場継ぎ用アンカ103の外径よりもやや大径でありかつアンカ孔102の内径と略同径若しくはやや大径の外径を有する薄肉の部位からなる。
マスキングキャップ20も、スリーブ部材21に対してその内周ネジ5にネジ部7の外周ネジ8をねじ込んで化粧キャップ部材3を一体化した状態で、スリーブ部材21の先端部2Aをアンカ孔102の開口を介して足場継ぎ用アンカ103の取付孔106A内に嵌挿し、足場継ぎ用アンカ103内への打ち込みが行われる。マスキングキャップ20は、図7に示すようにスリーブ部材21の本体部22が取付孔106Aに圧入されるとともにその開口からシールド部23を突出させて足場継ぎ用アンカ103内に打ち込まれ、化粧キャップ部材3のキャップ部6が壁面100と略同一面を構成してアンカ孔102の開口を閉塞する。
マスキングキャップ20においては、シールド部23が、図7に示すように足場継ぎ用アンカ103から突出してアンカ孔102の内壁に弾性変形した状態で密着する。マスキングキャップ20においては、これにより壁面100の開口からアンカ孔102内に浸入する雨水等を止水してシールド特性が奏されるようにする。
なお、上述した実施の形態として示したマスキングキャップ1、20においては、化粧キャップ部材3のネジ部7に、足場継ぎ用アンカ103の内周ネジ106Bとは逆ネジの外周ネジ8を形成することにより、足場継ぎ跡110に対して着脱可能としたがかかる構成に限定されないことは勿論である。マスキングキャップ1、20は、例えばアンカ孔102のより確実なシールド性を図るためにアンカ孔102内に充填剤を充填した状態で取付を行って足場継ぎ跡110の再利用を行わない場合には、上述した逆ネジ構造を不要とする。
ところで、アンカ孔102は、躯体101に対して作業員により不安定な作業用足場105上でジョイント部材108や足場パイプ109を除けながら、また上向き或いは下向きの姿勢で穿孔される。したがって、アンカ孔102は、熟練の作業員による穿孔作業であっても、図8に示すように壁面100に対して軸線が上下或いは左右にα°傾いた状態で穿孔されることが多い。アンカ孔102には、足場継ぎ用アンカ103が、同図に示すように傾いた状態で打ち込まれている。
マスキングキャップ1は、上述したようにアンカ孔102の開口径よりも大径のヘッドを有するプラスチックハンマ等を用いて足場継ぎ用アンカ103の取付孔106A内に打ち込まれる。マスキングキャップ1においては、化粧キャップ部材3を固い特性を有する金属材、例えば鋼材により形成した場合に、足場継ぎ用アンカ103の傾きに応じてキャップ部6が壁面100に対して傾いて外周部の一部が浮いた状態で打ち込まれて外観を損ねてしまうことがある。また、マスキングキャップ1は、この傾いた状態を補正するためにハンマでより強く打ち込むことによりアンカ孔102の開口に応力集中を生じさせて破損やひび割れ等を生じさせる虞もある。
したがって、マスキングキャップ1は、化粧キャップ部材3を塑性変形を生じやすい金属材、例えば真鍮によりキャップ部6とネジ部7を一体に形成される。また、マスキングキャップ1は、化粧キャップ部材3が、機械的特性を損なわない範囲でネジ部7をやや細径に形成する。かかるマスキングキャップ1においては、上述した傾いた状態の足場継ぎ用アンカ103内に打ち込まれると、図8に示すように化粧キャップ部材3のネジ部7において、スリーブ部材2から突出した部位8Aに足場継ぎ用アンカ103の傾きに倣って塑性変形が生じる。マスキングキャップ1は、この化粧キャップ部材3のネジ部7の部位8Aにおける塑性変形により、図8に示すようにキャップ部6が壁面100と同一面を構成して足場継ぎ用アンカ103内に打ち込まれ、上述した不都合の発生が防止されるようになる。なお、マスキングキャップ1は、化粧キャップ部材3をを、真鍮に限定されず、同等の機械的特性を有する適宜の金属材、例えばアルミ合金材等により形成してもよい。
図9に示した化粧キャップ部材30は、上述した化粧キャップ部材3と基本的な構成を同様とするが、キャップ部31に対してネジ部32が塑性変形部33を介して一体に形成された構成に特徴を有している。化粧キャップ部材30は、ネジ部32と塑性変形部33の全長が上述した化粧キャップ部材3のネジ部7と同長に形成され、またネジ部32がネジ部7と同径に形成される。化粧キャップ部材30は、塑性変形部33が、ネジ部32の歯底と略同径とされることにより、細径部位として構成される。
以上のように形成された化粧キャップ部材30も、上述したスリーブ部材2と組み合わされてマスキングキャップ1を構成する。かかるマスキングキャップ1は、上述した傾いた状態の足場継ぎ用アンカ103内に打ち込まれて足場継ぎ跡110に取り付けられ、この足場継ぎ用アンカ103の傾きに倣って化粧キャップ部材30の塑性変形部33に塑性変形が生じる。マスキングキャップ1は、この塑性変形部33の塑性変形により、キャップ部31が壁面100と同一面を構成して足場継ぎ用アンカ103内に打ち込まれ、上述した不都合の発生が防止されるようになる。
上述した化粧キャップ部材30においては、ネジ部32を機械的強度を保持する外径に形成することが可能であるとともに、ネジ部32を形成する際に非ねじ加工部位として塑性変形部33も同時に形成する。化粧キャップ部材30は、コスト高とはならず、機械的強度を保持しながら塑性変形部33において所定の塑性変形を生じてキャップ部31が壁面100と同一面を構成した状態で足場継ぎ跡110に取り付けられる。
なお、上述した実施の形態は、もっぱら外壁補修工事等に際して設置される作業用足場105の足場継ぎ跡110への適用例を示し、耐腐食性や耐候性等に優れた金属材を素材にして形成した化粧キャップ部材3、30を備えるマスキングキャップ1を用いたが、かかる適用例に限定されないことは勿論である。マスキングキャップは、例えば屋内補修工事等に際して設置される作業用足場105の足場継ぎ跡110等のように耐腐食性や耐候性の条件が緩やかとなり或いは比較的短い期間で補修工事が行われるような場合には、耐腐食性や耐候性を有する適宜の合成樹脂材により形成した化粧キャップ部材を用いるようにしてもよい。
1 マスキングキャップ(足場継ぎ跡用マスキングキャップ)、2 スリーブ部材、3 化粧キャップ部材、4 内孔、5 内周ネジ、6 キャップ部、7 ネジ部、8 外周ネジ、9 塗膜層、10 疑似外周ネジ、20 マスキングキャップ、21 スリーブ部材、22 本体部、23 シールド部、30 化粧キャップ部材、31 キャップ部、32 ネジ部、33 塑性変形部、100 壁面、101 躯体、102 アンカ孔、103 足場継ぎ用アンカ、104 つなぎ金具、105 作業用足場、110 足場継ぎ跡
Claims (5)
- 躯体内に固定した足場継ぎ用アンカが装填されたアンカ孔が壁面に開口する足場継ぎ跡に対して、上記アンカ孔を介して上記足場継ぎ用アンカ内に打ち込まれることにより上記アンカ孔の開口部を閉塞する足場継ぎ跡用マスキングキャップにおいて、
内周ネジが形成されて長さ方向に貫通された内孔を有し、上記足場継ぎ用アンカの内周ネジが形成された取付孔に対して一端側がやや小径とされて嵌挿部を構成するとともに他端側が略同径若しくはやや大径とされて圧入部を構成してなるテーパ付き筒状体に形成されたスリーブ部材と、
上記アンカ孔の開口径と略同径とされ表面に適宜の化粧処理が施される略円盤状のキャップ部と、このキャップ部の裏面側に一体に突設され上記スリーブ部材の内孔にねじ込まれる外周ネジが形成されたネジ部とからなる化粧キャップ部材と
から構成され、
上記足場継ぎ跡において、上記スリーブ部材が上記嵌挿部側から上記アンカ孔の開口を介して上記足場継ぎ用アンカの取付孔内に打ち込まれて上記圧入部を圧入させることにより一体化されるとともに、上記化粧キャップ部材が上記スリーブ部材の内孔に対して上記ネジ部のねじ込み量を調整してねじ込むことにより、上記キャップ部が上記壁面と略同一面を構成して上記アンカ孔の開口を閉塞する
ことを特徴とする足場継ぎ跡用マスキングキャップ。 - 上記スリーブ部材は、合成樹脂材により形成され、上記圧入部側の端部外周に、上記足場継ぎ用アンカの外径よりもやや大径でかつ上記アンカ孔の内径と略同径若しくはやや大径の外径を有する薄肉のシールド部が一体に形成され、
上記足場継ぎ用アンカの取付孔内に打ち込まれた状態で、上記シールド部が上記アンカ孔の内壁に弾性変形した状態で密着することにより上記アンカ孔を密封することを特徴とする請求項1に記載の足場継ぎ跡用マスキングキャップ。 - 上記化粧キャップ部材には、上記ネジ部に、足場継ぎ用アンカの内周ネジとは逆方向の逆ネジが形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の足場継ぎ跡用マスキングキャップ。
- 上記化粧キャップ部材は、躯体に対して軸線が傾いた状態で穿孔された上記アンカ孔に装填された上記足場継ぎ用アンカに打ち込まれた際に、上記ネジ部が上記キャップ部に対して塑性変形することにより上記キャップ部が上記壁面と略同一面を構成して上記アンカ孔の開口を閉塞することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の足場継ぎ跡用マスキングキャップ。
- 上記化粧キャップ部材は、上記ネジ部が、上記キャップ部に対してやや細径の塑性変形部を介して一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の足場継ぎ跡用マスキングキャップ。
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-
2008
- 2008-12-10 JP JP2008008650U patent/JP3148706U/ja not_active Expired - Lifetime
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