JP2005291385A - アンカー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ねじ山2が形成されている軸部3と、この軸部3の基端側に設けられた回転力伝達部と、前記軸部3の先端部31に組み込まれた円柱ピン状の切り込みチップ5とを有し、切り込みチップ5の先端に固定された超硬チップである円錐部5bが、前記軸部側面3aに突出されて、前記ねじ山2の一部を形成していることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
ねじ固定式アンカーは、躯体へのねじ込み用の軸部(軸部側面には螺旋状のねじ山が刻設されている)を有するものであり、前記軸部を、予め躯体に穿孔された孔内にねじ込み、締め付けることによって、アンカー(詳細には軸部)のねじ山が躯体の孔内壁面にねじ溝を形成しながら食い込んで行き、固着力が得られるようになっている(例えば特許文献1)。
ねじ固定式アンカーの長所としては、以下の点が挙げられる。
(1)取り外しが可能(仮設物の取り付け等の一時固定に最適)
(2)インパクトドライバーによる大量施工に適しており、施工効率が良い。
(3)部品点数が少なく、安価。
なお、ねじ固定式アンカーは、上述したように取り付け、取り外しが容易なことから、仮設足場の固定に使用するなど、広い用途に用いられている。
解決手段の第1は、ねじ山が形成されている軸部と、この軸部の基端側に設けられた回転力伝達部とを有し、前記軸部の先端部には、ピン状の切り込みチップが前記軸部先端部に穿設され前記軸部先端部側面に開口する孔内に挿入して固定されており、前記切り込みチップは前記軸部側面に突出する切り刃部を有し、前記切り刃部は前記軸部のねじ山よりも硬い材質で形成されており、前記切り込みチップは前記切り刃部が前記ねじ山の一部を形成するように位置決めされていることを特徴とする。
解決手段の第2は、前記切り刃部が外観円錐状に形成されていることを特徴とする。
解決手段の第3は、前記軸部の側面には、主ねじ山と、この主ねじ山よりも軸部側面からの突出が小さい副ねじ山とが形成されており、前記切り込みチップの前記軸部側面に突出した部分が前記主ねじ山の一部を形成していることを特徴とする。
図1は、本発明のアンカー(ねじ固定式アンカー)を示す側面図、図2は図1に示すアンカーの軸部の先端部を示す断面図、図3は図1のアンカーの軸部の先端部を示す拡大斜視図、図4は図1のアンカーの軸部の先端部から切り込みチップを分離した状態を示す拡大斜視図である。
図示例の軸部3のねじ山2は、前記軸部3の側面3aに、主ねじ山21(高いねじ山)と、この主ねじ山21よりも軸部側面3aからの突出が小さい副ねじ山22とが形成されている2条ねじ形状のものである。図1に例示したような2条ねじ形状のものに限定されず、例えば1条ねじ形状のもの等であっても良い。
また、切り刃部5bとしては、例えば、ねじ山21aの断面形状に対応する三角形板状に形成されたものも採用可能であるが、切り刃部5bの形状が円錐状以外の場合は、シャンク部5aを孔32に挿入した切り込みチップ5を孔32の中心軸線回りに回転させることによって切り刃部5bの向きを調整してから、シャンク部5bを孔32内に固定する。円錐状の切り刃部5b(円錐部5b)であれば、切り刃部5bの向きを調整する作業は不要であるといった利点がある。
なお、本発明に係る切り込みチップ5としては、全体が超硬チップから形成されている1部品になっているものに限定されず、例えば、シャンク部5aに、該シャンク部5aとは別体の切り刃部5bを固定した構成のもの等も採用可能である。切り刃部5bとしては、超硬チップに限定されず、軸部に一体に形成されているねじ山よりも硬度の高い材質のものであれば良く、例えば、汎用の工具鋼、焼き入れ鋼といったものを利用することも可能である。
一方、切り込みチップ5のシャンク部5aの形成材質は、コンクリート躯体等の母材に穿設されている孔(下孔)へのねじ込み施工時に円錐部5bが受ける負荷を負担するのに充分な強度を有し、かつ、円錐部5bの固定強度を充分に確保できるものであれば良く、各種材質を採用できるため、この点、軸部3の材質に対応して、ろう付け、接着剤による接着固定等によって固定力の確保に有利なものを選択するなど、選択の幅を広く確保できる。
なお、軸部3に切り込みチップ5を固定する手法としては、前述のろう付けに限定されず、例えば、前記軸部3に穿設された孔32内に、接着剤による固定、圧入固定のいずれかによって固定するようにしても良い。
円錐状の切り刃部5b(円錐部5b)であれば、三角形板状等の円錐状以外の形状に形成された切り刃部5bに比べて、コンクリート躯体等の母材に穿設されている孔(下孔)へのねじ込み施工時に受ける回転力(切り込みチップ5を孔32の中心軸線回りに回転させようとする力)を軽減できる(さらに言えば、円錐部5bであれば、孔32の中心軸線に対する調心精度が確保されていれば良く、ねじ込み作業中に回転しても構わない)ため、孔32内への固定は、母材の下孔への施工前に軸部3の孔32から切り込みチップ5が抜け出ることを防止できる程度であればよく、接着剤による固定、圧入固定などの簡易なもので済む。
(比較例)
図11は、板状の切り込みチップ71を、アンカー72の軸部73に該軸部73の先端面74から切り込んで軸部73を横断するスリット状に形成された溝75に挿入して、接着剤による接着固定等によって固定し、切り込みチップ71の端部に形成しておいた山形の突部76を、軸部73のねじ山73aに位置決めしたものである。
(1)上述の比較例の場合、軸部73の先端部が溝75によって分断されて、軸部73の先端部以外の部分に比べて、強度を期待できなくなる。溝75の両側の各壁部77は、軸部3からの突出基端部(溝75の軸部先端面74から最も深い底部付近)の曲げ強度が、軸部73の溝75を形成していない部分に比べて半分程度になる。このため、コンクリート躯体(母材)に穿設した下孔にねじ込んでいったときに、母材への切り込みによって切り込みチップ71に突部76から作用する強い力に対して、溝75の両側の壁部77の内の一方又は両方が局所的な曲げ応力の作用などによって変形して、ねじ込み施工での切り込みチップ71の位置ズレ、これによるねじ溝の形成精度の低下等を生じる可能性があり、施工信頼性を充分に担保できない。特に、軸部73が、オーステナイト系ステンレス等、焼き入れによる強度向上などの対策を採れない材質で形成されたものである場合は、ねじ込み施工での壁部77の変形による切り込みチップ71の位置ズレ等を生じる可能性が高くなるため、施工信頼性の低下が避けられない。
これに対して、本発明に係るアンカーでは、切り込みチップ5の固定のために、軸部3には、切り込みチップ5のシャンク部5aを挿入するための小さい孔32を形成するだけで良いので、軸部3に、母材の下孔へのねじ込み施工時に切り込みチップ5が受ける負荷に耐える充分な強度を確保することは容易である。
(2)比較例では、ねじ込み施工による壁部77の変形で、溝75内に接着材等で固定されている切り込みチップ71の固定強度が低下すると、切り込みチップ71が、溝75の軸部先端面74側の開口部から抜け出やすくなる。
これに対して、本発明に係るアンカーは、軸部側面3aに開口する孔32に、切り込みチップ5のシャンク部5aを挿入、固定した構造であり、比較例のように、切り込みチップが軸部から抜け出てしまうといった問題は生じないため、高い施工信頼性が得られる。
(3)比較例では、切り込みチップ71の突部76の位置決め精度の確保のために、軸部73を横断する形状の溝75全体を高精度に形成する必要があり、溝75の形成に手間が掛かる。また、形成した溝75に対する切り込みチップ71の位置合わせも必要である。
これに対して、本発明に係るアンカーでは、切り込みチップ5のシャンク部5aを挿入するための孔32を、ドリル等によって軸部3に穿孔するだけで良く、高精度の形成を容易に実現できる。孔32を穿設するためのドリルの芯出し及び切り込み深さの調整だけで、切り込みチップ5の位置決め精度(円錐部5bの頂点5cが、ねじ山21の稜線の延長上21bに位置決めされるようにする)を簡単かつ充分に確保できる。
(4)比較例では、軸部73の先端面74に開口する溝75に、板状の切り込みチップ71を固定する構造であるため、固定力の確保等に鑑みて切り込みチップ71の小型化が困難である。
これに対して、本発明では、ピン状の切り込みチップを軸部3に形成されている小孔である孔32に固定する構造であることから、切り込みチップは小型のもので良く、コスト面で有利である。
(5)比較例では、軸部73に形成された溝75内に板状の切り込みチップ71を固定するために、接着剤による接着固定やろう材を用いたろう付けを適用する場合、接着剤やろう材によって固定される面積が大きく、接着剤やろう材の使用量も比較的多くなる。このため、接着剤やろう材の硬化(収縮を伴う場合が多い)によって板状の切り込みチップ71に曲げ等の応力が作用して、突部76の位置決め精度の誤差の原因になる可能性がある。
これに対して、本発明では、サイズの小さい切り込みチップを軸部3に形成された小孔である孔32に固定する構造であることから、固定に使用する接着剤やろう材の量が少なくて済み、接着剤やろう材の硬化に伴う応力の影響が非常に小さく、切り刃部の位置決め精度の確保の点で有利である。
図示例では、切り込みチップを挿入、固定する孔32として、軸部3の断面径方向(軸部3の中心軸方向に直交する方向)に穿設したものを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、軸部3の中心軸方向に対して若干傾斜させて形成することも可能である。この場合も、切り込みチップの切り刃部としては、孔に切り込みチップを固定したときに、丁度、軸部側面3aに刻設されているねじ山21aと連続するようにしてねじ山21を形成する断面形状のものを採用することは言うまでも無い。
また、本発明において、「切り込みチップは前記切り刃部が前記ねじ山の一部を形成するように位置決めされている」構成とは、必ずしも、切り刃部として、軸部側面3aに刻設されているねじ山21aの断面形状と高精度に一致する断面形状のものである必要はなく、少なくとも、切り刃部の頂点が、軸部側面3aに刻設されているねじ山21aの稜線に位置決めされるようになっていれば良く、例えば、切り刃部の断面形状が、断面形状が軸部側面3aに刻設されているねじ山21aよりも僅かに小さい場合でも、軸部側面3aに刻設されているねじ山21aの稜線(詳細には稜線の延長線上)に位置決めされていれば、ねじ溝の形成において軸部側面3aに刻設されているねじ山21aを傷めにくくなる効果が得られるため、本発明に含むものとする。
本アンカーの適用対象となる母材としては、コンクリート躯体に限定されず、例えばレンガ躯体や、ALC、樹脂等からなる躯体なども対象となる。
Claims (3)
- ねじ山が形成されている軸部と、この軸部の基端側に設けられた回転力伝達部とを有し、前記軸部の先端部には、ピン状の切り込みチップが前記軸部先端部に穿設され前記軸部先端部側面に開口する孔内に挿入して固定されており、前記切り込みチップは前記軸部側面に突出する切り刃部を有し、前記切り刃部は前記軸部のねじ山よりも硬い材質で形成されており、前記切り込みチップは前記切り刃部が前記ねじ山の一部を形成するように位置決めされていることを特徴とするアンカー。
- 前記切り刃部が外観円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアンカー。
- 前記軸部の側面には、主ねじ山と、この主ねじ山よりも軸部側面からの突出が小さい副ねじ山とが形成されており、前記切り込みチップの前記軸部側面に突出した部分が前記主ねじ山の一部を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカー。
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