JP4147429B2 - 穿孔マスクキャップ、壁面補修装置及び壁面補修工法 - Google Patents

穿孔マスクキャップ、壁面補修装置及び壁面補修工法 Download PDF

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本発明は、コンクリート建物の壁面や屋上等に発生したタイル等の表面部材の浮き上がりやひび割れ箇所等を補修するために穿孔したアンカ孔に装着されてその開口部を閉塞する穿孔マスクキャップ、及びこの穿孔マスクキャップを用いる壁面補修装置並びに壁面補修工法に関する。
コンクリート建物等においては、所定の外観を構成するとともに防水や劣化防止等の対応を図るために、種々の工法によって壁面や屋上等の箇所に、躯体(コンクリート下地)の表面処理が施される。コンクリート建物等においては、例えば図10に示すようにコンクリート躯体100の表面にモルタル等の接合材101を介してタイル等の表面材102を接合して壁面103が構成される。かかる壁面103においては、経時変化による接合材101の強度の低下や地震等の種々の原因によって、コンクリート躯体100から表面材102を浮き上がらせる剥離部104や、コンクリート躯体100に表面に達する亀裂105が発生することがある。
壁面103においては、このために表面材102が落下する虞があるとともに、そのまま放置した場合に雨水が浸入しかつ内部で氷結解凍を繰り返して剥離部104や亀裂105をさらに拡大させるといった問題が発生する。したがって、壁面103においては、剥離部104や亀裂105を補修する壁面補修工事が施工される。
例えばタイルの浮き上がり補修工事としては、浮き上がりが生じたタイル間の目地に樹脂充填孔を穿孔して接着剤樹脂を充填する工法や、目地にアンカボルトを打ち込んでタイルを固定する工法等が実施されている。接着剤樹脂を充填する補修工法は、剥離部104や亀裂105に接着剤樹脂が充分に回り込まなかったり、充分な機械的強度が得られないといった問題がある。アンカボルトを打ち込む工法は、簡易な工程であるが衝撃や応力を周囲へ及ぼすことで浮き上がりやひび割れを拡大させるといった問題がある。
したがって、補修工事においては、タイルや目地にアンカ孔を穿孔し、このアンカ孔内にスリーブ状のアンカ本体を装填するとともに接着剤樹脂によってタイルを固定する工法が採用される。特許文献1や特許文献2には、タイルに穿孔したアンカ孔内に装填されるパイプ状のアンカ本体が用いられ、このアンカ本体の内孔にロックピンを打ち込んで外周壁を拡張させてアンカ孔の内周壁に密着させた状態でシーリング材を充填してタイルを強固に固定する樹脂充填とアンカ部材とを併用する補修工法が開示されている。特許文献1には、アンカ本体の先端部にスリットを形成し、ロックピンによって先端部が拡径してアンカ孔の内周壁に密着させる構成も開示されている。
また、特許文献3には、磁器タイルを貫通してコンクリート下地に達するアンカ孔を穿孔し、このアンカ孔内にシーリング材を充填した状態でパイプ状のアンカ部材を装填する工法が開示されている。特許文献3の工法においては、アンカ部材の開口部にセレーション付きの栓部材を打ち込んで閉塞することによって、内孔に充填したシーリング材の流れ出しを防止する。栓部材は、アンカ孔の開口部とアンカ部材とを結合するアンカ機能を有し、また外周部に開口部の内周壁との結合力を向上させるローレット加工が施されるとともに先端部が先細りのテーパ形状に形成される。
ところで、補修工事においては、アンカ孔に接着剤樹脂を充填した後に棒状のアンカ部材を装填してコンクリート躯体とタイル等の補修箇所との間に跨って固定させることによって補修を行う工法も実施されている。かかる補修工事は、アンカ部材が廉価であり、工程も簡易であることから補修費用の低減や工期の短縮化が図られる。しかしながら、かかる補修工事においては、アンカ部材をアンカ孔に装填する際に、アンカ孔の内部に残留した空気によってアンカ部材が押し出されることがある。補修工事においては、このためにアンカ部材が先端部を壁面等から突出させて接着剤樹脂によって固定されてしまうと、鋼材等によって形成されるアンカ部材の突出部位を切断することが困難である。補修工事においては、例えばアンカ孔の周囲を穿孔してアンカ部材を取り外すといった面倒な対応を図らなければならず、補修箇所を大きく拡げてしまうとともに工数負担も極めて大きいといった問題がある。
特許文献4には、接着剤樹脂の充填圧によってノズル長が可変される注入ノズルを用いて、底部から接着剤樹脂を充填することによってアンカ孔の内部に空気が残留しないようにした接着剤樹脂の充填工法が開示されている。したがって、かかる接着剤樹脂の充填工法は、棒状のアンカ部材を装填した場合でも、アンカ部材のアンカ孔からの押し出されが防止される。
特公平7−39747号公報 特許第2574998号公報 登録実用新案第3038250号公報 特許第3585825号公報
上述した特許文献1や特許文献2に開示された補修工法は、スリーブ状のアンカ本体とその内孔に打ち込まれるロックピンとを組み合わせた大きな強度を有するアンカ部材を用いることから、少ない本数でタイル等をコンクリート躯体に対して強固に固定することが可能である。しかしながら、かかる補修工法は、アンカ部材が高価であり、またアンカ孔内へのアンカ本体の装填、ロックピンの打ち込み、接着剤樹脂の充填等の工程も必要であることから補修費用が高くなるといった問題がある。また、かかる工法は、タイルの表面にアンカ孔が開口することで、仕上がり面の見栄えが悪いといった問題もある。
また、特許文献3に開示された補修工法においても、スリーブ状のアンカ本体とローレットを形成した栓部材が比較的高価であることから補修費用が高くなるといった問題がある。また、かかる補修工法においては、タイルの割れや騒音の発生を抑制する回転ドリルを用いて多数個のアンカ孔を穿孔するが穿孔動作が長くなるにしたがってドリルビットが磨耗してアンカ孔の孔径が小さくなる。さらに、アンカ孔は、回転ドリルによって穿孔されるが、ドリルビットのブレ等によって開口部の孔径が大きく、内部にいくにしたがって次第に安定した孔径となる。かかる補修工法においては、初期のアンカ孔では開口部と栓部材の外周部とに段差や隙間が生じさせ、また終期のアンカ孔では栓部材を強く打ち込むことによって開口部にひび割れを生じさせるといった問題がある。さらに、かかる補修工法においては、孔径が安定していないアンカ孔の内壁に対して栓部材の食い付きが不安定となり、振動等によって脱落する虞もある。
上述した特許文献4に開示された補修工法は、廉価な棒状のアンカ部材を用いた場合でも、このアンカ部材が残留空気によってアンカ孔から押し出されることが防止され極めて有効である。しかしながら、注入ノズルは、可動ノズルに微細なノズル孔を全長に亘って形成した長軸の可動ノズルを有する複雑な構造であり、極めて高価であるとともに塵埃等が多い作業環境や接着剤樹脂の特性からノズル孔の詰まりが多発して作業効率を低下させるといった問題がある。
したがって、本発明は、建物の壁面に接合されたタイルの浮き上がり等を補修施工する際に穿孔されたアンカ孔の開口部から簡易な作業によって装着されてアンカ孔を目隠しするとともに脱落が確実に防止される廉価な穿孔マスクキャップを提供することを目的とする。また、本発明は、簡易な工程によってタイルの浮き上がり等を確実に補修するとともにアンカ孔を目隠しする穿孔マスクキャップの脱落も確実に防止する構造簡易で廉価な壁面補修装置及び壁面補修工法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明にかかる穿孔マスクキャップは、建物の壁面に発生したタイル等の表面部材の浮き上がりやひび割れ箇所等の補修箇所に穿孔されて内部に装填した棒状のアンカ部材を接着剤樹脂によってコンクリート躯体と補修対象箇所との間に跨って固定するアンカ孔に対して、その開口部を閉塞するようにして装着される。穿孔マスクキャップは、アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有してアンカ部材の先端部を嵌合する嵌合孔が形成された筒状基部と、この筒状基部の一端側に嵌合孔を閉塞して一体に形成され筒状基部よりも大径のフランジ部と、筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設された複数個の凸部からなり抜け方向に対してアンカ孔の内周壁に食い込むことによって抜け止め作用を奏する抜止め凸部とから構成される。穿孔マスクキャップは、抜止め凸部が互いに突出量を異にして形成される。穿孔マスクキャップは、アンカ孔内に筒状基部がきつい嵌合状態で装着される際に、収斂動作を行うようにスリ割りを形成したり、各凸部が傾倒したりするように構成するようにしてもよい。穿孔マスクキャップは、フランジ部に壁面と同色調等の塗装を施すようにしてもよい。
本発明にかかる穿孔マスクキャップにおいては、補修箇所に沿って穿孔された多数個のアンカ孔内において硬化した接着剤樹脂によってアンカ部材がコンクリート躯体と表面材とに跨って固定されてこれらコンクリート躯体と表面材とを強固に固定した状態で、アンカ孔の開口部から嵌挿した筒状基部が嵌合孔に先端部を嵌合したアンカ部材に固定されるようにして装着する。穿孔マスクキャップは、フランジ部が開口部を閉塞することによってアンカ孔を目隠しするとともに、抜け方向の力が作用されても抜止め凸部がアンカ孔の内周壁に食い込むことによってアンカ孔からの脱落が防止される。穿孔マスクキャップにおいては、穿孔動作に伴ってドリルビットが磨耗してアンカ孔の孔径が変化した場合や、開口部と内部での孔径のバラツキに対して、突出量を異にする凸部のいずれか1個がアンカ孔の内周壁に食い込むことで抜止め凸部の抜止め作用が保持されるようにする。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる壁面補修装置は、アンカ部材と、接着剤樹脂と、穿孔マスクキャップとを備える。壁面補修装置は、アンカ部材が、建物の補修箇所に穿孔したアンカ孔の深さとほぼ等しい長さと孔径よりもやや小径とされた外径とを有するとともに外周部に全長に亘ってねじ状の抜止め凹凸部が形成された棒状の部材からなり、アンカ孔内に装填される。壁面補修装置は、接着剤樹脂が、充填器によってアンカ孔内に充填される。接着剤樹脂は、例えばアンカ孔の深さに応じてノズル長が選択された所定の注入ノズルを用いてアンカ孔の底部から注入され、硬化することによってアンカ部材をコンクリート躯体と補修対象箇所との間に跨って固定する。壁面補修装置は、穿孔マスクキャップが、アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有するとともにアンカ部材の抜止め凹凸部にねじ合わされる内周ねじを有する嵌合孔が形成された筒状基部と、この筒状基部の一端側にねじ孔を閉塞して一体に形成され筒状基部よりも大径のフランジ部と、筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設された互いに突出量を異にする複数個の凸部からなる抜止め凸部とから構成される。壁面補修装置は、穿孔マスクキャップが、アンカ部材の先端部に固定されて開口部を閉塞してアンカ孔を目隠しするように装着される。
本発明にかかる壁面補修装置においては、補修箇所に沿って穿孔した各アンカ孔内に接着剤樹脂を充填した後に、各アンカ孔の開口部からそれぞれアンカ部材を差し込んで装填する。壁面補修装置においては、アンカ孔の底部から接着剤樹脂を充填することにより装填したアンカ部材が内部の空気によってアンカ孔から押し出されることが抑制されるようにする。壁面補修装置においては、アンカ孔内において硬化した接着剤樹脂によってアンカ部材がコンクリート躯体と補修対象箇所との間に跨って固定され、例えば壁面から浮き上がったタイルをしっかりと固定する等の補修を行う。壁面補修装置においては、穿孔マスクキャップが、アンカ孔の開口部から嵌挿した筒状基部を嵌合孔に先端部が嵌合されてアンカ部材に固定されるようにして装着される。壁面補修装置においては、穿孔マスクキャップが、フランジ部により開口部を閉塞してアンカ孔を目隠しするとともに、抜け方向の力に対して抜止め凸部がアンカ孔の内周壁に食い込んでアンカ孔からの脱落が防止される。壁面補修装置においては、穿孔マスクキャップが、穿孔動作に伴ってドリルビットが磨耗してアンカ孔の孔径が変化した場合や開口部と内部とで孔径にバラツキがある場合でも、突出量を異にする凸部のいずれか1個がアンカ孔の内周壁に食い込むことで抜止め凸部の抜止め作用が保持されるようにする。
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる壁面補修工法は、建物の壁面に接合されたタイル或いは仕入れ材からなる表面部材の浮き上がりやひび割れ箇所等を補修する。壁面補修工法は、アンカ孔穿孔工程と、接着剤樹脂充填工程と、アンカ部材装填工程と、穿孔マスクキャップ装着工程とを有する。壁面補修工法は、アンカ孔穿孔工程において、表面部材やその目地或いはひび割れ箇所等の補修箇所に沿って回転ドリルによりそれぞれ所定の深さを有する多数個のアンカ孔を穿孔する。壁面補修工法は、接着剤樹脂充填工程が、各アンカ孔の深さに応じて選択したノズル長を有する注入ノズルを装着した樹脂充填器を用いて、注入ノズルをそれぞれ各アンカ孔の底部まで差し込んで底部から接着剤樹脂を充填する。壁面補修工法は、アンカ部材装填工程が、アンカ孔の深さとほぼ等しい長さと孔径よりもやや小径とされた外径とを有するとともに外周部にねじ状の抜止め凹凸部が形成された棒状のアンカ部材が用いられ、このアンカ部材を開口部から各アンカ孔内にそれぞれ装填する。壁面補修工法は、穿孔マスクキャップ装着工程に、アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有するとともにアンカ部材の抜止め凹凸部にねじ合わされる内周ねじを有する嵌合孔が形成された筒状基部と、この筒状基部の一端側にねじ孔を閉塞して一体に形成され筒状基部よりも大径のフランジ部と、筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設された互いに突出量を異にする複数個の凸部からなる抜止め凸部とから構成された多数個の穿孔マスクキャップが用いられる。穿孔マスクキャップ装着工程は、穿孔マスクキャップが、アンカ孔の開口部から嵌挿した筒状基部をアンカ部材に対してその抜止め凹凸部に内周ねじをねじ込んで先端部にそれぞれ固定することによって、フランジ部により開口部を閉塞してアンカ孔を目隠しするとともに抜止め凸部がアンカ孔の内周壁に食い込むことによって抜け止めされて装着される。
本発明にかかる穿孔マスクキャップによれば、簡易な構造で廉価であり、廉価なアンカ部材を用いてタイルの浮き上がり等を補修したアンカ孔に対して開口部から装着されて目隠しすることで、補修箇所を違和感の無い仕上がり面が構成されるようにする。穿孔マスクキャップによれば、抜け方向に対してアンカ孔の内周壁に食い込む抜止め凸部の抜止め作用によりアンカ孔からの脱落が確実に防止される。穿孔マスクキャップによれば、穿孔動作に伴ってドリルビットが磨耗してアンカ孔の孔径が変化した場合や開口部と内部とで孔径にバラツキがある場合でも、突出量を異にする凸部のいずれか1個がアンカ孔の内周壁に食い込むことで抜止め凸部の抜止め作用が保持される。
また、本発明にかかる壁面補修装置によれば、廉価なアンカ部材を用いてタイルの浮き上がり等を補修したアンカ孔に対して簡易な構造で廉価な穿孔マスクキャップが装着されて目隠しすることで補修箇所を違和感の無い仕上がり面が構成されるようにする。壁面補修装置によれば、穿孔マスクキャップが、抜止め凸部によって抜け方向に対してアンカ孔の内周壁に食い込むことでアンカ孔からの脱落が確実に防止される。壁面補修装置によれば、穿孔マスクキャップが、穿孔動作に伴ってドリルビットが磨耗してアンカ孔の孔径が変化した場合や開口部と内部とで孔径にバラツキがある場合でも、突出量を異にする凸部のいずれか1個がアンカ孔の内周壁に食い込むことで抜止め凸部の抜止め作用が保持される。
さらに、本発明にかかる壁面補修工法によれば、廉価なアンカ部材を用いてタイルの浮き上がり等を補修したアンカ孔に対して簡易な構造で廉価な穿孔マスクキャップを装着することで、補修箇所を違和感の無い仕上がり面に構成する。壁面補修工法によれば、穿孔マスクキャップが、抜止め凸部によって抜け方向に対してアンカ孔の内周壁に食い込むことでアンカ孔からの脱落が確実に防止されることから、工程の簡易化が図られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として示す壁面補修装置1は、図1に示すように躯体2(コンクリート下地)の表面にモルタル等の接合材3によって磁器タイル等の表面材4を接合して構成された壁面5において表面材4の浮き上がりやひび割れ等の補修箇所6が発生して場合に、この補修箇所6に対して後述する補修工程を施す際に用いられる。壁面補修装置1は、補修工程において回転ドリルによって補修箇所に穿孔したアンカ孔7内に装填されるアンカ部材(アンカピン)8と、アンカ孔7の開口部7Aを閉塞するようにしてアンカピン8に組み付けられる穿孔マスクキャップ9とを備え、アンカ孔7内において接着剤樹脂10によって固定される。
壁面5には、浮き上がりやひび割れ等が生じて表面材4の脱落や漏水の虞が生じた場合に、補修箇所6に沿って所定個数の補修用アンカ孔7が穿孔される。各アンカ孔7は、表面材4に対してその表面側から直接或いは表面材4間の目地に、低振動・低騒音特性を有する回転ドリルを用いて穿孔される。各アンカ孔7は、図1に示すように表面材4を貫通してコンクリート躯体2内に所定の深さに達するようにして穿孔される。
壁面補修装置1は、アンカピン8が、各アンカ孔7の深さとほぼ等しい長さを有するとともに孔径よりもやや小径とされた外径を有して形成される。アンカピン8としては、例えば従来でも補修材或いは汎用材として用いられており、ステンレス丸棒材の外周部に全長に亘ってねじ切りを施すことによって図1及び図2に示すように抜止め凹凸部11を形成し所定の長さに切断したいわゆる全ねじアンカピンが用いられる。なお、アンカピン8は、ステンレス材を用いることが規定されているが、使用場所によってはかかる部材に限定されず、例えばステンレス丸棒材を所定の長さに切断したものや防錆処理を施した丸鋼材や角鋼材を所定の長さに切断したものも用いてもよい。
穿孔マスクキャップ9は、例えば真鍮等の金属材によって形成され、図2乃至図4に示すように筒状基部12と、フランジ部13と、第1抜止め凸部14A乃至第3抜止め凸部14C(なお、以下の説明において、個別に説明する場合を除いて抜止め凸部14と総称する。)とから構成される。穿孔マスクキャップ9は、筒状基部12が、アンカ孔7の孔径とほぼ等しい外径を有するとともに表面材4の厚みよりもやや長軸に形成されている。筒状基部12には、図3及び図4に示すように、一端側に開口してアンカピン8の外径とほぼ等しい内径を有する嵌合孔15が形成されている。筒状基部12には、嵌合孔15にアンカピン8の抜止め凹凸部11とねじ合わされる内周ねじ16が全長に亘って形成されている。
穿孔マスクキャップ9は、フランジ部13が、筒状基部12の一端側に嵌合孔15を閉塞して一体に形成される。フランジ部13は、筒状基部12よりも大径の円板状に形成され、後述するようにアンカ孔7の開口部7Aから装着されてアンカピン8の先端部に固定されることによって、開口部7Aを閉塞して目隠しする。フランジ部13には、例えば表面に表面材4と同色若しくは同系色調の塗装を施すことによって、補修箇所6を違和感の無い仕上がりとする。なお、フランジ部13には、仕上げ処理として表面に刷毛塗り等により適宜の塗装を施すようにしてもよい。また、フランジ部13は、適宜の形状に形成するようにしてもよく、例えば屋内の壁面5に補修を行う場合に飾りとして機能させるようにしてもよい。
穿孔マスクキャップ9は、各抜止め凸部14が、筒状基部12の外周部に軸方向に隣り合ってそれぞれアンカ孔7の孔径よりもやや大きな突出量da〜dcを以って一体に突設されて形成される。各抜止め凸部14は、それぞれフランジ部13側の側面が略垂直面に形成されるるとともに、相対する側面が外径を先端側に向かって次第に小径とするテーパ面として形成された楔状凸部によって構成される。各抜止め凸部14は、図4に示すようにそれぞれの突出量da〜dcが異にして形成されている。各抜止め凸部14は、先端側の第1抜止め凸部14Aが突出量daを最大にして形成され、中央部の第2抜止め凸部14Bの突出量dbとフランジ部13側の第3抜止め凸部14Cの突出量dcの順に次第に小さくなるように形成されている。
穿孔マスクキャップ9は、上述した各抜止め凸部14の楔状の形状によって、後述するように開口部7Aからアンカ孔7内に装着される際に装着方向に対しては比較的容易に装着することが可能である。穿孔マスクキャップ9は、装着した状態において各抜止め凸部14の頂点部位がアンカ孔7の内周壁に食い込むことによって、地震等によって抜け方向の力が作用されてもアンカ孔7からの脱落が防止される。
ところで、回転ドリルは、多数個のアンカ孔7を連続して穿孔することによって次第にドリルビットが磨耗することで孔径が次第に小さくなるようなアンカ孔7を穿孔する。回転ドリルは、壁面5の状態やドリルビットの回転数或いはアンカ孔7の穿孔数等の条件にもよるが、一般に−0.25mm乃至−0.3mm程度の範囲までドリルビットを交換することなくアンカ孔7の穿孔動作が行われる。また、回転ドリルは、ドリルビットが表面材4や目地に突き当てられ、回転しながら押圧力が作用されることによってアンカ孔7を穿孔する。回転ドリルは、ドリルビットが開口部7Aの周辺部位においてブレ等が生じやすく、内部にいくほど安定した姿勢でアンカ孔7を穿孔する。回転ドリルは、このために孔径が開口部7Aの周辺部位においてやや大きく、内方部位にいくほど一定となるアンカ孔7を穿孔する。したがって、アンカ孔7は、回転ドリルによって穿孔されることで、開口部7Aと内方部位とで孔径にバラツキが生じ、また開口部7Aから5mm以上の内方部位において比較的安定した孔径となる。
穿孔マスクキャップ9は、上述した回転ドリルによって穿孔されるアンカ孔7の特性から、最大突出量daを有する第1抜止め凸部14Aが比較的安定した孔径となる開口部7Aから5mm以上の内方部位において内周壁に食い込むようにフランジ部13からの長さが規定されるとともにその外径を使用前のドリルビットの外径とほぼ等しく設定されて形成される。また、穿孔マスクキャップ9は、第3抜止め凸部14Cが、その突出量dcを第1抜止め凸部14Aの突出量daに対して例えば−0.3mm程度小さくなるように形成される。穿孔マスクキャップ9は、アンカ孔7の孔径にバラツキがあっても、上述した構成によっていずれか1個の抜止め凸部14がその頂点部位をアンカ孔7の内周壁に食い込むようにしてアンカ孔7からの脱落が防止されるようにする。
穿孔マスクキャップ9は、上述したようにアンカ孔7に対して比較的孔径の変化が小さい内方部位において第1抜止め凸部14Aの頂点部が内周壁に食い込むことで、安定した状態で装着されるようになる。穿孔マスクキャップ9は、接着剤樹脂10がアンカ孔7内において第1抜止め凸部14Aを越えて開口部7Aへと流れ出ることがあっても、第2抜止め凸部14Bと第3抜止め凸部14Cとによってせき止めるようにする。
穿孔マスクキャップ9は、上述した各抜止め凸部14の外径仕様によって、アンカ孔7内において開口部7A側の第2抜止め凸部14Bや3抜止め凸部14Cの頂点部と内周壁との間に多少のクリアランスが生じる。アンカ孔7は、壁面に対して垂直孔として穿孔することが好ましいが、実際には多少の傾きを有して穿孔される。したがって、穿孔マスクキャップ9は、アンカ孔7に装着された状態でフランジ部13が表面材4に対して全域に亘って密着されないことが多い。穿孔マスクキャップ9は、上述した各抜止め凸部14の外径仕様によってクリアランス量の範囲で傾き調整を行ってフランジ部13を表面材4に対して密着させることが可能である。
壁面補修装置1においては、接着剤樹脂10として、例えば流動性を有するアクリル樹脂系の接着剤樹脂が用いられる。壁面補修装置1においては、詳細を後述するようにアンカ孔7の深さに応じてノズル長が選択された注入ノズル17が用いられて、アンカ孔7に対してその底部から所定量の接着剤樹脂10が充填されるようにして内部に空気溜まりの発生が抑制されるようにする。壁面補修装置1においては、アンカピン8を開口部7Aからアンカ孔7内に装填した際に、アンカピン8が空気溜まりを圧縮して接着剤樹脂10により押し出されることが防止されるようにする。
注入ノズル17は、図示しない充填器の先端部に着脱自在に取り付けられ、押し出された接着剤樹脂10を先端部からアンカ孔7内に充填する。注入ノズル17は、図5に示すように、一端側に大径部位として充填器にねじ込まれる外周ねじ18とグリップ部19とが隣り合って形成され、グリップ部19からロート状の突当て筒部20と細径のノズル部21とが一体に形成されて構成される。注入ノズル17には、詳細を省略するが、一端を外周ねじ18の側面に開口するとともに他端をノズル部21の先端に開口する樹脂充填孔が全長に亘って形成されている。注入ノズル17には、使用時に、図5(A)に示すように突当て筒部20の外周部にゴム等の弾性シートによって形成された漏止めシート22が嵌合される。
注入ノズル17は、壁面5に穿孔されたアンカ孔7に対して、図5(A)に示すように開口部7Aからノズル部21が底部の近傍に位置するようにして差し込まれる。注入ノズル17は、この状態で突当て筒部20がその外周部を開口部7Aに突き当てられるとともに、漏止めシート22の内周部を開口部7Aから内部へと押し込んだ状態とする。注入ノズル17は、充填器から接着剤樹脂10が押し出されると、この接着剤樹脂10を同図矢印で示すようにノズル部21の先端からアンカ孔7の底部へと充填する。注入ノズル17は、アンカ孔7に対して開口部7Aに突当て筒部20が突き当てられるとともにこの突当て筒部20によって漏止めシート22を内部へと押し込んだ状態とすることによって、開口部7Aからの接着剤樹脂10の漏れ出しを防止する。
注入ノズル17は、突当て筒部20が、その先端部の外径を壁面補修に際して一般的に穿孔されるアンカ孔7の孔径よりも小径に形成されるとともに、基端部に向かって次第に大径となるように形成される。注入ノズル17は、かかる形状の突当て筒部20が、孔径を異にするアンカ孔7に対して軸方向の異なる位置で開口部7Aに突き当たって嵌合することによって互換性が図られるようになる。
ところで、アンカ孔7は、所定の機械的強度を得ればよいことからコンクリート躯体2に対して深さをほぼ一定にして穿孔されるが、接合材3や表面材4の厚みの違い等により全長(深さ)を異にして壁面5に穿孔されことになる。アンカ孔7には、深さを異にしても図5に示した第1注入ノズル17A乃至第3注入ノズル17Cが選択されて用いられることで、その底部から所定量の接着剤樹脂10が充填される。
すなわち、注入ノズル17には、壁面補修に際して一般的に穿孔されるアンカ孔7の深さよりもやや深いアンカ孔7が穿孔された場合に、図5(A)に示したノズル部21Aの軸長p1が最長の第1注入ノズル17Aが用いられる。また、注入ノズル17には、壁面補修に際して一般的に穿孔されるアンカ孔7と同等の深さのアンカ孔7が穿孔された場合に、同図(B)に示したノズル部21Bの軸長p2がやや短軸の第2注入ノズル17Bが用いられる。さらに、注入ノズル17には、壁面補修に際して一般的に穿孔されるアンカ孔7よりもやや浅い深さのアンカ孔7が穿孔された場合に、ノズル部21Cの軸長p3が最短の同図(C)に示した第3注入ノズル17Cが用いられる。注入ノズル17は、これら第1注入ノズル17A乃至第3注入ノズル17Cが、標準セットとしてユーザに提供される。
以上のように構成された壁面補修装置1は、壁面5に生じた補修箇所6に対して施される図6に示す壁面補修工程によって補修箇所6に埋め込まれて補修を行う。壁面補修工程は、壁面調査・診断工程s−1と、アンカ孔穿孔工程s−2と、注入ノズル選択工程s−3と、接着剤樹脂充填工程s−4と、アンカピン装填工程s−5と、穿孔マスクキャップ装着工程s−6等を有する。壁面補修工程は、壁面調査・診断工程s−1において、打診等により壁面5に生じた表面材4の浮き上がりやひび割れ等の状態を調査し、補修の必要性や規模等を診断して補修計画を設定する。
壁面補修工程は、アンカ孔穿孔工程s−2において、診断結果に基づいて回転ドリルを用いて表面部材4やその目地或いはひび割れ箇所等の補修箇所6に沿って、それぞれ所定の深さと孔径とを有する必要な個数のアンカ孔7を穿孔する。壁面補修工程は、注入ノズル選択工程s−3において、アンカ孔7の深さと孔径とに応じて標準セットとして提供された第1注入ノズル17A乃至第3注入ノズル17Cが選択され、選択された注入ノズル17を充填器に取り付ける。
壁面補修工程は、接着剤樹脂充填工程s−4において、各アンカ孔7に対してノズル部21が開口部7Aからその先端部を底部の近傍に位置させるようにして内部へと差し込まれ、突当て筒部20と漏止めシート22とによって開口部7Aからの漏れ出しを防止した状態で底部から所定量の接着剤樹脂10を充填する。壁面補修工程は、アンカピン装填工程s−5において、各アンカ孔7に対してアンカピン8がそれぞれ開口部7Aから装填される。壁面補修工程においては、上述したように接着剤樹脂10がアンカ孔7内に底部から充填されて空気溜りの発生が抑制されていることから、アンカピン8がアンカ孔7から押し出されることは無い。
壁面補修工程は、穿孔マスクキャップ装着工程s−6において、穿孔マスクキャップ9がアンカ孔7の開口部7Aから筒状基部12を内部に嵌挿され、アンカピン8に対してその抜止め凹凸部11に内周ねじ16をねじこんで先端部にそれぞれ固定される。穿孔マスクキャップ装着工程s−6においては、上述した抜止め凸部14の形状から、簡易な操作によって各穿孔マスクキャップ9を補修箇所6に取り付けることが可能であるとともに脱落が防止される。壁面補修工程においては、穿孔マスクキャップ9がフランジ部13によって開口部7Aを閉塞してアンカ孔7を目隠して補修箇所6に取り付けられる。なお、壁面補修工程は、必要に応じて穿孔マスクキャップ9の姿勢調整操作やフランジ部13に適宜の塗装を施す処理も行われる。
以上の工程を経て補修箇所6に埋め込まれた壁面補修装置1は、アンカ孔7内において接着剤樹脂10が硬化して、アンカピン8をコンクリート躯体2と表面材4とに跨って固定する。壁面補修装置1においては、アンカピン8の外周部に形成した抜止め凹凸部11に接着剤樹脂10が食い込んで硬化することで、このアンカピン8を介して表面材4をコンクリート躯体2に対して強固に固定する。なお、壁面補修装置1においては、アンカ孔7に充填した接着剤樹脂10が浮き上がり箇所やひび割れ箇所にも流れ込むことにより、コンクリート躯体2に対して接合材3や表面材4を接合する。
壁面補修装置1においては、穿孔マスクキャップ9が、アンカ孔7内に固定されたアンカピン8の先端部に固定されてフランジ部13によって開口部7Aを閉塞してアンカ孔7を目隠しする。壁面補修装置1においては、穿孔マスクキャップ9によって補修箇所6を違和感の無い仕上がり状態とする。壁面補修装置1においては、穿孔マスクキャップ9が内周壁に抜止め凸部14を食い込ませた状態でアンカ孔7に装着される。
したがって、壁面補修装置1においては、地震等によって穿孔マスクキャップ9に対してアンカ孔7からの抜き出し方向に大きな力が作用された場合でも、抜止め凸部14によってアンカ孔7からの脱落が確実に防止される。壁面補修装置1においては、上述したように抜止め凸部14を突出量を異にする第1抜止め凸部14A乃至第3抜止め凸部14Cによって構成したことにより、アンカ孔7の孔径のバラツキに対しても各抜止め凸部14のいずれか一個が内周壁に食い込ませた状態を保持されて抜け止めが確実に奏される。
壁面補修工程においては、上述したように所定個数のアンカ孔7を穿孔した状態で磨耗量が大きくなったドリルピットの交換が行われるが、往々にしてドリルピットの交換を行わずにアンカ孔7の穿孔が継続されることがある。壁面補修工程においては、このような場合に穿孔マスクキャップ9の筒状基部12に対して開口部7Aの孔径が小さなアンカ孔7が穿孔されることになる。
穿孔マスクキャップ9は、上述したように筒状基部12を開口部7Aから嵌合してアンカ孔7に装着され、ある程度の範囲で小さな孔径であっても嵌合可能なクリアランスを設定して形成されている。しかしながら、穿孔マスクキャップ9は、開口部7Aの孔径がある範囲を超えると、アンカ孔7に対して筒状基部12がいわゆる圧入状態で装着されることになる。穿孔マスクキャップ9は、作業効率が低下するとともに、開口部7Aに生じる応力集中によって表面材4に亀裂や破損を生じさせてしまう虞がある。穿孔マスクキャップ9は、抜止め凸部14の最大外径がアンカ孔7の内径に対して0.15mm乃至0.20mm程度の範囲であれば、表面材4に亀裂や破損を生じさせることは無い。
図7に第2の実施の形態として示した穿孔マスクキャップ25は、筒状基部26にスリ割り27を形成することによって収斂習性を付与した構成に特徴を有している。なお、穿孔マスクキャップ25は、その他の部位について上述した穿孔マスクキャップ9と基本的な構成を同等とすることから、対応する部位に同一符号を付すことによって説明を省略する。穿孔マスクキャップ25には、筒状基部26に、同図に示すようにフランジ部13を形成した側面と対向する側面に開口して一個又は数個のスリ割り27が形成される。スリ割り27は、終端が少なくとも最大外径を有する第1抜止め凸部14Aを越えた長さを有して形成される。
穿孔マスクキャップ25は、筒状基部26を開口部7Aに嵌合してアンカ孔7に装着されるが、スリ割り27の作用によって筒状基部26が収斂しながらアンカ孔7内に進入する。したがって、穿孔マスクキャップ25は、軽微な力でアンカ孔7への装着操作を行うことが可能である。また、穿孔マスクキャップ25は、アンカ孔7が孔径を小さくして穿孔されている場合でも、筒状基部26を開口部7Aに嵌合する際に応力集中を緩和させて表面材4に亀裂や破損の発生を防止させる。穿孔マスクキャップ25は、上述したように第1抜止め凸部14Aから第3抜止め凸部14Cに向かって次第に突出量dが小さくなるように形成されるが、アンカ孔7の適当な位置で抜止め凸部14が内周壁に食い込むようになる。
図8に第3の実施の形態として示した穿孔マスクキャップ30は、第1抜止め凸部31A乃至第3抜止め凸部31Cの頂点部位の構成に特徴を有している。穿孔マスクキャップ30は、同図に拡大して示すように各抜止め凸部31が頂点部位32をやや鋭角形状とすることによって、軸方向(頂点部位32の厚み方向)に対してやや弾性変形が可能なように構成する。
したがって、穿孔マスクキャップ30は、筒状基部12を開口部7Aに嵌合してアンカ孔7に装着されるが、頂点部位32が弾性変形しながらアンカ孔7内に進入する。穿孔マスクキャップ30は、軽微な力でアンカ孔7への装着操作を行うことが可能であるとともに、アンカ孔7が孔径を小さくして穿孔されている場合でも、筒状基部12を開口部7Aに嵌合する際に応力集中を生じさせることは無く表面材4に亀裂や破損を生じさせることは無い。
穿孔マスクキャップ9においては、上述したように筒状基部12の外周部にそれぞれ突出量dを異にしてフランジ状に突出する第1抜止め凸部14A乃至第3抜止め凸部14Cを軸方向に隣り合って一体に形成したが、かかる構成に限定されるものでは無い。図9に第4の実施の形態として示した穿孔マスクキャップ35は、筒状基部36の外周部に周回りに互いに等間隔に位置して軸方向の抜止め凸部37を複数個一体に形成した構成に特徴を有している。穿孔マスクキャップ35は、各抜止め凸部37がフランジ部13側を頂点部位38として、他方側面側に向かって次第に突出量を小さくした楔形凸部として筒状基部36の外周部に一体に形成される。
したがって、穿孔マスクキャップ35は、筒状基部36を開口部7Aに嵌合してアンカ孔7に装着される際に、上述した各抜止め凸部37の形状によって軽微な力でアンカ孔7への装着操作を行うことが可能である。穿孔マスクキャップ35は、アンカ孔7に装着された状態において、頂点部位38が内周壁に食い込んで抜け止めされる。
実施の形態として示す壁面補修装置を用いて補修を行った壁面構造を示す要部断面図である。 壁面補修装置を構成するアンカピンと穿孔マスクキャップの斜視図である。 穿孔マスクキャップの一部切り欠き斜視図である。 穿孔マスクキャップの断面図である。 アンカ孔に接着剤樹脂を充填する注入ノズルを示し、同図(A)は長軸ノズル部を有する注入ノズルと接着剤樹脂の充填操作を説明する要部断面図、同図(B)は標準ノズル部を有する注入ノズルの側面図、同図(C)は短軸ノズル部を有する注入ノズルの側面図である。 壁面補修装置を用いた壁面補修工程の工程図である。 第2の実施の形態として示す穿孔マスクキャップの側面図である。 第3の実施の形態として示す穿孔マスクキャップの側面図である。 第4の実施の形態として示す穿孔マスクキャップの側面図である。 補修箇所が生じた壁面の構造を示す要部断面図である。
符号の説明
1 壁面補修装置、2 コンクリート躯体、3 接合材、4 表面材、5 壁面、6 補修箇所、7 アンカ孔、7A 開口部、8 アンカピン、9 穿孔マスクキャップ、10 接着剤樹脂、11 抜止め凹凸部、12 筒状基部、13 フランジ部、14 抜止め凸部、15 嵌合孔、16 内周ねじ、17 注入ノズル、20 突当て筒部、21 ノズル部、22 漏止めシート、25 穿孔マスクキャップ、27 スリ割り、30 穿孔マスクキャップ、32 頂点部位、35 穿孔マスクキャップ、37 抜止め凸部

Claims (3)

  1. 建物の補修箇所に穿孔されて内部に装填した棒状のアンカ部材を接着剤樹脂によってコンクリート躯体と補修対象箇所との間に跨って固定するアンカ孔に対して、その開口部を閉塞するようにして装着され、
    上記アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有して、上記アンカ部材の先端部を嵌合する嵌合孔が形成された筒状基部と、
    上記筒状基部の一端側に上記嵌合孔を閉塞して一体に形成され、上記筒状基部よりも大径とされて上記アンカ孔の開口部を閉塞して目隠しするフランジ部と、
    上記筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設された複数個の凸部からなり、抜け方向に対して上記アンカ孔の内周壁に食い込むことによって抜け止め作用を奏する抜止め凸部とから構成され、
    上記抜止め凸部が、互いに突出量を異にして形成されることによって、上記アンカ孔内において少なくともいずれか1個が内周壁に食い込むことによって抜け止め作用を奏することを特徴とする穿孔マスクキャップ。
  2. 建物の補修箇所に穿孔したアンカ孔の深さとほぼ等しい長さと孔径よりもやや小径とされた外径とを有するとともに外周部に多数条の抜止め凹凸部がねじ状に形成され、上記アンカ孔内に開口部から装填される棒状のアンカ部材と、
    上記アンカ孔内に充填されて上記アンカ部材をコンクリート躯体と補修対象箇所との間に跨って固定する接着剤樹脂と、
    上記アンカ部材の先端部に固定されて上記アンカ孔の開口部を閉塞するようにして装着される穿孔マスクキャップとを備え、
    上記穿孔マスクキャップが、上記アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有するとともに上記アンカ部材の上記抜止め凸部にねじ合わされる内周ねじを有する嵌合孔が形成された筒状基部と、この筒状基部の一端側に上記ねじ孔を閉塞して一体に形成された上記筒状基部よりも大径のフランジ部と、上記筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設された互いに突出量を異にする複数個の凸部からなる抜止め凸部とから構成され、
    上記抜止め凸部に上記内周ねじをねじ込んで上記アンカ部材の先端部に固定されることによって上記フランジ部により上記アンカ孔の開口部を閉塞して目隠しするとともに、上記抜止め凸部が上記アンカ孔の内周壁に食い込むことによって抜け止めされて装着されることを特徴とする壁面補修装置。
  3. 建物の壁面や屋上に接合された表面部材の浮き上がりやひび割れ箇所を補修する壁面補修工法において、
    上記表面部材やその目地或いはひび割れ箇所に沿って回転ドリルによってそれぞれ所定の深さを有する多数個のアンカ孔を穿孔するアンカ孔穿孔工程と、
    上記各アンカ孔の深さに応じて選択したノズル長を有する注入ノズルを装着した樹脂充填器を用いて、上記注入ノズルを上記各アンカ孔の底部まで差し込んでそれぞれ接着剤樹脂を充填する接着剤樹脂充填工程と、
    上記アンカ孔の深さとほぼ等しい長さと孔径よりもやや小径とされた外径とを有するとともに外周部にねじ状の抜止め凹凸部が形成された棒状のアンカ部材を、上記各アンカ孔の開口部から内部にそれぞれ装填するアンカ部材装填工程と、
    上記アンカ孔の孔径とほぼ等しい外径を有するとともに上記アンカ部材の上記抜止め凹凸部にねじ合わされる内周ねじを有する嵌合孔が形成された筒状基部と、この筒状基部の一端側に上記ねじ孔を閉塞して一体に形成された上記筒状基部よりも大径のフランジ部と、上記筒状基部の外周部に軸方向に隣り合って一体に突設され互いに突出量を異にする複数個の凸部からなる抜止め凸部とから構成された多数個の穿孔マスクキャップを用いて、上記抜止め凸部に上記内周ねじをねじ込んで上記各アンカ部材の先端部にそれぞれ固定することによって上記フランジ部により上記各アンカ孔の開口部を閉塞する穿孔マスクキャップ装着工程とを有し、
    上記各穿孔マスクキャップが、上記アンカ部材の先端部に固定されることによって上記フランジ部により上記アンカ孔の開口部を閉塞して目隠しするとともに、上記抜止め凸部が上記アンカ孔の内周壁に食い込むことによって抜け止めされて装着されることを特徴とする壁面補修工法。
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