JP4777199B2 - 注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法 - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆる「浮き」が生じた外壁や内壁等の壁体の補修に使用されるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法に関するものである。
従来、この種の注入ノズルとして、先端部に吐出口を形成した注射針状の内筒と、内周面に内筒をスライド自在に保持すると共に内部を接着剤流路とした外筒とを有し、内筒は外筒に対し、接着剤の注入力を受けて前進するものが知られている(特許文献1参照)。
この注入ノズルを用いたピンニング工法では、仕上げ材(タイルや石材)、モルタルおよびコンクリート躯体から成る外壁の要補修箇所に挿填穴を穿孔した後、この挿填穴に、注入ノズルを装着した樹脂注入器を用いて接着剤(エポキシ樹脂接着剤)の注入が行われる。具体的には、注入ノズルを挿填穴の開口部に押し付けるように宛がって、樹脂注入器をポンピングすると、先ず内筒が接着剤の注入力を受けて前進し、その吐出口が挿填穴の穴底に達する。その後、吐出口から接着剤が吐出しはじめ、接着剤は挿填穴の最深部から徐々に満たされてゆく。
特開2003−147971号公報
このような従来の注入ノズルでは、接着剤を挿填穴の最深部から注入してゆくことができるため、挿填穴の最深部にエアー溜り等が生ずることはないが、モルタルとコンクリート躯体との間隙(「浮き」)が大きいと、この間隙に接着剤が流れ込み、挿填穴の浅い位置まで接着剤が達しないおそれがあった。特に、仕上げ材とモルタルとの間にも「浮き」が生じている場合には、上記の方法ではこの「浮き」に接着剤を十分に注入することができないため、この「浮き」の部分まで注入ノズルを引き抜くようにして注入を行う必要がある。しかし、この場合には、挿填穴の開口部に対する封止が解かれてしまうため、結局、このような部分への十分な接着剤注入が不可能となる。
本発明は、挿填穴の深い部分から浅い部分まで接着剤を十分に注入することができる注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供することを課題としている。
本発明の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴にその開口部を封止しつつ接着剤を注入する、ピンニング工法用の注入ノズルにおいて、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連通する接着剤流路を有するジョイント筒と、ジョイント筒の先端から延び、接着剤流路に連通するノズル本体と、ジョイント筒にスライド自在に装着されたスライド筒と、スライド筒に固定され、先端側内周面にノズル本体を囲繞すると共に開口部を封止するシール部材と、スライド筒に径方向から螺合してジョイント筒に突き当てられ、ジョイント筒に対しスライド筒を任意のスライド位置に位置規制する規制ネジ部材と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、スライド筒に固定したシール部材により挿填穴の開口部を封止した状態で、注入器本体から接着剤が送り出されると、接着剤は、ジョイント筒の接着剤流路を通ってノズル本体から挿填穴に注入される。その際、規制ネジ部材により、スライド筒を後退位置に位置規制し相対的にノズル本体を前進させておけば、接着剤は挿填穴の深い部分に注入され、前進位置に位置規制し相対的にノズル本体を後退させておけば、接着剤は挿填穴の浅い部分に注入される。また、この挿填穴の深い部分への注入および浅い部分への注入を、挿填穴の開口部を封止した状態で行うことができるため、複数の「浮き」にも接着剤を十分に行き渡らせることができる。
この場合、規制ネジ部材は、先端にスライド筒に突き当てられる突当てネジを形成した「L」状の操作レバーで、構成されていることが好ましい。
この構成によれば、操作レバーを六角レンチのように正逆回転操作することで、操作レバーの突当てネジを介して、ジョイント筒にスライド筒を固定および固定解除することができる。このため、ジョイント筒に対しスライド筒を任意のスライド位置に強固に位置規制することができ、封止のためにシール部材を挿填穴の開口部に強く突き当てても、スライド筒がずれてしまうことがない。
これらの場合、シール部材は、基端側でスライド筒に固体され、先端側でノズル本体を囲繞しており、シール部材の先端側には、開口部に密接するテーパ部が形成されていることが、好ましい。
この構成によれば、封止のためにシール部材を挿填穴の開口部に突き当てると、テーパ部が絞り込まれてノズル本体を強く包み込む(囲繞)ため、この点でもスライド筒がずれてしまうことがなく、且つ挿填穴に注入した接着剤が、ノズル本体とシール部材との間隙に浸入することがない。
これらの場合、スライド筒をスライド方向先方に付勢するバネを、更に備えることが好ましい。
この構成によれば、バネにより、ジョイント筒に対しスライド筒を前進させた状態(相対的にノズル本体が後退した状態)から、挿填穴にノズル本体を差し込み、バネに抗してノズル本体を前進(相対的にスライド筒を後退)させることで、挿填穴の深さに合わせて、ノズル本体のシール部材に対する突出寸法を簡単に調整することができる。同様に、バネの力を利用してノズル本体のシール部材に対する突出寸法を簡単に調整することができる。
本発明の他の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴にその開口部を封止しつつ接着剤を注入する、ピンニング工法用の注入ノズルにおいて、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連通する接着剤流路を有すると共に外周面に雄ネジを形成したジョイント筒と、ジョイント筒の先端から延び、接着剤流路に連通するノズル本体と、内周面に雌ネジが形成され、ジョイント筒に螺合する移動筒と、移動筒に固定され、先端側内周面にノズル本体を囲繞すると共に開口部を封止するシール部材と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、移動筒に固定したシール部材により挿填穴の開口部を封止した状態で、注入器本体から接着剤が送り出されると、接着剤は、ジョイント筒の接着剤流路を通ってノズル本体から挿填穴に注入される。その際、移動筒をジョイント筒に深くねじ込み相対的にノズル本体を前進させておけば、接着剤は挿填穴の深い部分に注入され、浅くねじ込み相対的にノズル本体を後退させておけば、接着剤は挿填穴の浅い部分に注入される。また、この挿填穴の深い部分への注入および浅い部分への注入を、挿填穴の開口部を封止した状態で行うことができるため、複数の「浮き」にも接着剤を十分に行き渡らせることができる。
本発明のピンニング工法は、上記した注入ノズルと注入ノズルを装着した注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、接着剤注入器により、開口部を封止しつつ装填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴に、仕上げ材を躯体にアンカリングするためのアンカーピンを装填する装填工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、シール部材に対するノズル本体の突出寸法を自在に調整することができるため、挿填穴の深い部分から浅い部分まで、接着剤を満遍なく注入することができ、壁体の補修を良好に行うことができる。
以上のように、本発明の注入ノズルおよびピンニング工法によれば、躯体に対する仕上げ材の「浮き」が挿填穴の深さ方向に複数箇所あっても、またその位置が区々であっても、シール部材に対するノズル本体の突出寸法を調整することで、挿填穴への接着剤注入を適切且つ十分に行うことができる。したがって、「浮き」が生じた壁体の完璧な補修が可能となる。
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法について説明する。このピンニング工法は、「浮き」が生じた建物の外壁、吹き抜けやホール等の内壁(壁体)の要補修箇所に穿孔した挿填穴に、その開口部から接着剤注入器の注入ノズルを挿入して接着剤を注入し、その後、アンカーピンを挿填して、これを補修するものである。以下、建物の外壁に施工する場合について説明する。
図1は、外壁に対して接着剤注入器を使用する場合の模式図である。同図に示すように、建物の外壁1は、図示左側から、下地となるコンクリート躯体(躯体)2と、その表面に塗着させた仕上げ材3とで構成されており、仕上げ材3は、モルタル4と、これに貼ったタイルや石材などの装飾材5とで、構成されている。この場合、コンクリート躯体2とモルタル4との間には第1浮き部6が、またモルタル4と装飾材5との間には第2浮き部7が生じているものとする。さらに、外壁1には、これを補修すべく、装飾材5およびモルタル4を貫通し且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴8が形成されている。そして、その挿填穴8に対し、接着剤注入器10による接着剤Rの注入とアンカーピン70の挿填(図4および図5参照)とが行われることで、外壁1の補修が行われる。
ここで、図2を参照して、接着剤注入器10について簡単に説明する。接着剤注入器10は、主体を為し接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体11と、注入器本体11の先端部に着脱自在に装着されたピンニング工法用の注入ノズル12と、で構成されている。
注入器本体11は、基端側に延在する筒状のケーシング14と、ケーシング14が着脱自在に取り付けられるポンプ本体15と、ポンプ本体15に保持された略「L」字状のレバー16とを備えている。ケーシング14内には、接着剤Rが充填されており、ポンプ本体15には、図示右側からケーシング14がセットされ、図示左側から注入ノズル12が装着される。そして、注入器本体11は、手動でレバー16を操作(ポンピング)することにより、接着剤Rを一定量ずつ注入ノズル12から吐出させるようになっている。なお、接着剤Rには、エポキシ樹脂接着剤を用いているが、これに限らず、例えば各種有機接着剤は元より、粘性を有する無機接着剤等であってもよい。
図1および図3に示すように、注入ノズル12は、基端部を注入器本体11にネジ式で着脱自在に装着されたジョイント筒21と、ジョイント筒21の先端に一体的に固定されたノズル本体22と、ジョイント筒21にスライド自在に装着されたスライド筒23と、スライド筒23の先端側に固定されたシール部材24と、ジョイント筒21の基部に径方向から螺合した操作レバー25と、を備えている。ポンピングにより注入器本体11から送り出された接着剤Rは、ジョイント筒21からノズル本体22に流れ、ノズル本体22の先端から吐出される。また、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法は、スライド筒23をジョイント筒21に対しスライドさせ、操作レバー25によりスライド筒23をジョイント筒21に固定(位置規制)することにより、調整される。
ジョイント筒21は、丸棒状のステンレスやスチール等で構成され、その軸心(内部)に注入器本体11に連なる接着剤流路31が形成されている。また、ジョイント筒21の基端部には雄ネジで構成した取付用ネジ32が形成されており、この取付用ネジ32を注入器本体11に螺合することにより、ジョイント筒21が注入器本体11に着脱自在に装着され、且つ接着剤流路31が注入器本体11の吐出部15aと連通するようになっている。なお、ジョイント筒21の接着剤流路31は、後述するノズル本体22の注入流路35と同径か、注入流路35より太径とすることが、好ましい。
ノズル本体22は、ジョイント筒21の先端からジョイント筒21と同軸の軸線上に延在しており、例えばジョイント筒21と一体に形成され、或いはジョイント筒21の先端部に圧入またはネジ止めされている。この場合、ノズル本体22は、内部に接着剤の注入流路35を有してストレートの注射針様に形成され、ステンレスやスチール等の金属パイプや樹脂パイプで構成されている。ノズル本体22の先端部には、斜めにカットされた上記注入流路35に連なる接着剤吐出口36が形成されている。ジョイント筒21の接着剤流路31から流れてきた接着剤Rは、この注入流路35を流れ、接着剤吐出口36から挿填穴8に注入される。なお、ノズル本体22の長さは、想定される最も深い挿填穴8に対応すべく、相対的に前進した位置においてシール部材24からの突出寸法が100mm程度となるように形成され、またノズル本体22の径は、例えば2〜4mmに形成されている。
スライド筒23は、ステンレスやスチール等の金属材料で構成され、ジョイント筒21に対し所定の寸法公差をもってスライド自在に装着されている。ジョイント筒21に対しスライド筒23を前進させると、ジョイント筒21の先端に設けたノズル本体22の突出寸法が相対的に短くなり、逆に後退させるとノズル本体22の突出寸法が相対的に長くなる。スライド筒23は、基端側略半部の太径部41と、先端側略半部の細径部42とを有し、細径部42にシール部材24が装着固定されている。また、太径部41の基端側には、操作レバー25が螺合するネジ孔(雌ネジ)43が形成されている。なお、ジョイント筒21およびスライド筒23は円形断面となっているため、スライド自在であると共に回転自在でもあるが、これを多角形断面に形成し或いはスプライン様に形成し、回転不能に構成してもよい。
シール部材24は、フッ素ゴムやブチルゴム等の耐溶剤性の弾性材で構成されており、挿填穴8の開口部8aを封止するテーパ部46と、テーパ部46の基端側に連なる固定筒部47と、で一体に形成されている。固定筒部47は、スライド筒23の細径部42に装着固定されており、装着固定された状態でその外周面がスライド筒23の太径部41の外周面と面一となっている。テーパ部46は、先端側の緩テーパ部位46aとこれに連なる急テーパ部位46bとから成り、主として緩テーパ部位46aにより挿填穴8の開口部8aを封止する。また、テーパ部46の軸心には、上記のノズル本体22がスライド自在に係合しており、テーパ部46は、ノズル本体22を囲繞するように配設されている。
操作レバー25は、丸棒材を「L」字状に折り曲げて形成され、先端部にはスライド筒23のネジ孔43に螺号する突当てネジ部(雄ネジ)49が形成されている。六角レンチ様に形成された操作レバー25をねじ込むと、突当てネジ部49がジョイント筒21に当接し、ジョイント筒21に対するスライド筒23のスライドが規制される。これにより、スライド筒23が、任意のスライド位置でジョイント筒21に固定された状態となる。例えば、ジョイント筒21に対しスライド筒23を前進させた位置で固定すると、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法が相対的に短くなる。逆に、ジョイント筒21に対しスライド筒23を後退させた位置で固定すると、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法が相対的に長くなる。
実際の注入作業では、先ず挿填穴8の深さに対応し最深部に接着剤吐出口36が達するように、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法が調整され、この部分への接着剤Rの注入が行なわれる。続いて、ノズル本体22の突出寸法を第1浮き部6の位置に調整し、この部分に広がるように接着剤Rの注入が行なわれる。そして最後に、ノズル本体22の突出寸法を第2浮き部7の位置に調整し、この部分に広がるように接着剤Rの注入が行なわれる。なお、ジョイント筒21の外周面に突当てネジ部49を受ける円形の浅溝を複数列設するようにしてもよい。但しこの場合には、突出寸法の調整は段階的なものとなる。
次に、図4および図5を参照して、上記の接着剤注入器10を用いた外壁1へのピンニング工法について、施工手順に従って説明する。このピンニング工法は、外壁1を打鍵して挿填穴8の穿孔位置(浮き部)を決定する打鍵工程と、その穿孔位置の外壁1に挿填穴8を穿孔する穿孔工程と、接着剤注入器10を使用して挿填穴8に接着剤Rを注入する接着剤注入工程と、接着剤Rが注入された挿填穴8にアンカーピン70を挿填するピン挿填工程と、を備えている。
打鍵工程では、ハンマー等を用いて外壁1を打鍵し、その打鍵音に基づいて外壁1の要補修箇所、すなわちコンクリート躯体2とモルタル4との第1浮き部6、およびモルタル4と装飾材5との第2浮き部7を探査し、挿填穴8の穿孔位置を決定する。これに続いて、穿孔位置(各タイルの中心位置)に適宜、マーキングが行われる。
穿孔工程では、ダイヤモンドコアドリル等の穿孔工具72を使用して、マーキングした外壁1の各穿孔位置に挿填穴8を穿孔する。すなわち、装飾材5およびモルタル4を貫通するようにしてコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔を行い、挿填穴8を形成する(図4(a)参照)。この際、外壁1に対する穿孔は直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上とする。また、挿填穴8は、アンカーピン70が遊嵌できるように一回り大きな径(1mm〜2mm太径)のストレート穴に形成する。その後、コンクリート躯体2の切粉等が挿填穴8内に残留しているため、切粉等をブロア等で噴気、または真空集塵機等で吸引、清掃し除去する。もっとも、冷却水を用いる穿孔であって、冷却水と共に切粉が流出する場合には、この除去工程は、省略される。
接着剤注入工程では、ノズル本体22の突出寸法を調整した後、ノズル本体22を挿填穴8に挿入する(図4(b)参照)。次に、シール部材24のテーパ部46により開口部8aを封止した(押し付ける)状態で、注入器本体11のレバー16を操作(ポンピング)して、接着剤Rを挿填穴8に注入していく(図4(c)参照)。ポンピングを開始すると、ノズル本体22の接着剤吐出口36から接着剤Rが吐出され、接着剤Rが挿填穴8の最深部から徐々に注入されてゆく。やがて、接着剤Rは第1浮き部6の手前の位置まで達する。ここで、接着剤注入器(注入ノズル12)10の注入姿勢を維持したまま、ノズル本体22の突出寸法を第1浮き部6の位置に合わせるように調整し、再度ポンピングを開始する(図5(a))。ポンピングの重さから第1浮き部6への接着剤R注入を感覚的に察知できたら、続いて上記と同様に、ノズル本体22の突出寸法を第2浮き部7の位置に合わせるように調整する。ここで、再度ポンピングを行い、第2浮き部7へも接着剤Rを十分に注入する(図5(b)参照)。なお、第1浮き部6および第2浮き部7以外に、例えば調整モルタル等による他の浮き部があっても、上記と同様の手順で接着剤Rの注入を行なうようにする。
ピン挿填工程では、接着剤Rが注入された挿填穴8に対し、アンカーピン70のピン胴部を案内させながら挿填していく(図5(c)参照)。アンカーピン70は、挿填穴8内の接着剤Rを押し退けるように最深部に対し挿填されていく。それに伴い、接着剤Rは、ピン胴部となじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴8の開口部8aに向かって押し出されていく。そして、アンカーピン70の先端が最深部に達するところで、アンカーピン70の頭部が開口部8aを閉止する。
この場合、接着剤注入工程において、ノズル本体22を引き抜いた後に生ずる接着剤Rが注入されていない未注入部分の体積と、アンカーピン70の体積とがほぼ同一となるように構成しておけば、挿填穴8にアンカーピン70を挿入したときに、挿填穴8から接着剤Rがほとんど漏れ出ることなく、挿填穴8を接着剤Rでほぼ満たすことができる。なお、装飾材にザグリ穴を形成し、この部分にアンカーピン70の頭部を係止してもよい。かかる場合には、別途開口部8aを閉止する化粧キャップを設けるようにする。また、注入孔付きアンカーピンを用いる場合も、注入孔付きアンカーピンを装填する前に、上記のように接着剤Rを注入することが、好ましい。
以上のように、本実施形態の注入ノズル12によれば、ジョイント筒21に対しスライド筒23をスライドさせることにより、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法を自在に調整することができるので、挿填穴8の最深部(深い部分)から浅い部分まで、所望の部分(浮き部)に接着剤Rを満遍なく行き渡らせることができる。すなわち、第1浮き部6および第2浮き部7にも十分に接着剤Rを注入(挿填穴8を中心にほぼ円形に広がる)することができる。したがって、外壁1に対しアンカーピン70と接着剤Rとを有効に作用させることができ、外壁1の完璧な補修が可能となる。
次に、図6を参照して、本発明の注入ノズル12の第2実施形態について説明する。この実施形態では、ジョイント筒21の基端部に位置してフランジ部51が形成されており、このフランジ部51とスライド筒23の基端との間にコイルバネ52が介設されている。この場合には、自由状態において、コイルバネ52の作用によりジョイント筒21に対しスライド筒23が前進位置にあり、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法は短い状態にある。
上述したように、注入ノズル12の実使用では、ノズル本体22を挿填穴8の最深部から第1浮き部6および第2浮き部7へと、徐々に浅い部分に引き上げてくる動作を行なう。この実施形態の注入ノズル12では、操作レバー25を緩めておいて、ノズル本体22をコイルバネ52に抗して挿填穴8に差し込んで行くと、ノズル本体22が前進しその先端が挿填穴8の穴底に突き当たる。これにより、注入初期の寸法調整が行なわれるため、操作レバー25を締めこんでノズル本体22の突出寸法を確定し、挿填穴8の最深部への接着剤の注入を行なう。次に、ノズル本体22の接着剤吐出口36を第1浮き部6および第2浮き部7に臨ませる場合には、操作レバー25を緩め、コイルバネ52のバネ力を利用して、シール部材24に対しノズル本体22を後退させるようにする。
このように、第2実施形態の注入ノズル12によれば、シール部材24に対するノズル本体22の突出調整を、コイルバネ52を利用して簡単且つ迅速に行なうことができる。
次に、図7を参照して、本発明の注入ノズル12の第3実施形態について説明する。この実施形態では、ノズル本体22を設けたジョイント筒21には、フランジ部51が形成されると共にこのフランジ部51から先方にも雄ネジで構成した移動用ネジ54が螺刻されている。また、上記のスライド筒23に代えて、内周面には雌ネジ55aを形成した移動筒55が設けられている。すなわち、ジョイント筒21の外周面に移動筒55が螺合するようになっている。また、上記のスライド筒23と同様に、移動筒55には、テーパ部46と固定筒部47とで一体に形成されたシール部材24が、装着されている。
このような構成では、ジョイント筒21に対し移動筒55を正逆回転させることにより、ジョイント筒21に対し移動筒55が進退する。これにより、シール部材24に対しノズル本体22を相対的に進退させることができ、シール部材24に対するノズル本体22の突出寸法を自在に調整することができる。したがって、第1浮き部6および第2浮き部7にも十分に接着剤Rを注入(挿填穴8を中心にほぼ円形に広がる)することができる。
本発明の一実施形態に係る接着剤注入器を、外壁の挿填穴に対して使用している状態の断面模式図である。 接着剤注入器の平面図である。 第1実施形態に係る注入ノズルの断面図である。 (a)は本実施形態に係るピンニング工法の穿孔図であり、(b)は注入ノズルの挿入図であり、(c)は接着剤注入図である。 (a)は第1浮き部への接着剤注入図であり、(b)は第2浮き部への接着剤注入であり、(c)はアンカーピンのピン挿填図である。 第2実施形態に係る注入ノズルの断面図である。 第3実施形態に係る注入ノズルの断面図である。
符号の説明
1 外壁 2 コンクリート躯体
3 仕上げ材 4 モルタル
5 装飾材 6 第1浮き部
7 第2浮き部 8 挿填穴
8a 開口部 10 接着剤注入器
11 注入器本体 12 注入ノズル
21 ジョイント筒 22 ノズル本体
23 スライド筒 24 シール部材
25 操作レバー 31 接着剤流路
32 取付用ネジ 36 接着剤吐出口
43 ネジ孔 46 テーパ部
47 固定筒部 49 突当てネジ
52 コイルバネ 54 移動用ネジ
55 移動筒 55a 雌ネジ
70 アンカーピン R 接着剤

Claims (6)

  1. 注入器本体に装着して用いられ、
    仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴にその開口部を封止しつつ接着剤を注入する、ピンニング工法用の注入ノズルにおいて、
    前記注入器本体に装着され、内部に前記注入器本体に連通する接着剤流路を有するジョイント筒と、
    前記ジョイント筒の先端から延び、前記接着剤流路に連通するノズル本体と、
    前記ジョイント筒にスライド自在に装着されたスライド筒と、
    前記スライド筒に固定され、先端側内周面に前記ノズル本体を囲繞すると共に前記開口部を封止するシール部材と、
    前記スライド筒に径方向から螺合して前記ジョイント筒に突き当てられ、前記ジョイント筒に対し前記スライド筒を任意のスライド位置に位置規制する規制ネジ部材と、を備えたことを特徴とする注入ノズル。
  2. 前記規制ネジ部材は、先端に前記スライド筒に突き当てられる突当てネジを形成した「L」状の操作レバーで、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の注入ノズル。
  3. 前記シール部材は、基端側で前記スライド筒に固体され、先端側で前記ノズル本体を囲繞しており、
    前記シール部材の先端側には、前記開口部に密接するテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の注入ノズル。
  4. 前記スライド筒をスライド方向先方に付勢するバネを、更に備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注入ノズル。
  5. 注入器本体に装着して用いられ、
    仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴にその開口部を封止しつつ接着剤を注入する、ピンニング工法用の注入ノズルにおいて、
    前記注入器本体に装着され、内部に前記注入器本体に連通する接着剤流路を有すると共に外周面に雄ネジを形成したジョイント筒と、
    前記ジョイント筒の先端から延び、前記接着剤流路に連通するノズル本体と、
    内周面に雌ネジが形成され、前記ジョイント筒に螺合する移動筒と、
    前記移動筒に固定され、先端側内周面に前記ノズル本体を囲繞すると共に前記開口部を封止するシール部材と、を備えたことを特徴とする注入ノズル。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の注入ノズルと前記注入ノズルを装着した前記注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、
    前記仕上げ材を貫通し且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、
    前記接着剤注入器により、前記開口部を封止しつつ前記装填穴に前記接着剤を注入する接着剤注入工程と、
    前記接着剤が注入された前記挿填穴に、前記仕上げ材を前記躯体にアンカリングするためのアンカーピンを装填する装填工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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