JP5339255B2 - ピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピンニング工法(アンカーピンニング工法)において、積層してなる壁体の壁材間の境界に生じた「浮き」にも、接着剤を注入することができるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法に関するものである。
従来、この種の注入ノズルとして、モルタルおよびコンクリート躯体からなる外壁の要補修箇所に穿孔した挿填穴に対して、樹脂(接着剤)を注入するものが知られている(特許文献1参照)。
この注入ノズルは、樹脂注入器本体に装着され、軸心に樹脂流路が形成されたノズル本体(ノズルボディー)と、基端部がノズル本体に保持され、樹脂流路に連なると共に注入流路(第1注入流路)を形成した注入針(ノズル筒)と、を備えている。
この場合、ノズル本体の先端部は、注入ノズルを挿填穴に挿入し押圧することで、開口部に密接して封止する。そして、樹脂は、この状態で樹脂注入器を操作(ポンピング)することにより、挿填穴の最深部から徐々に注入されて、コンクリート躯体とモルタルとの間の浮き部に行き渡る。さらに所定の回数ポンピングを行うことにより、樹脂の注入が完了する。
特開2003−147971号公報
しかしながら、このような注入ノズルでは、挿填穴廻りにおいて、コンクリート躯体およびモルタルの間のみならず、モルタルおよび装飾材の間にも「浮き」が生じている場合、「浮き」の部分ではエアーが抜けるため、樹脂が先にコンクリート躯体およびモルタルの間の「浮き」のにのみ充填されてしまい、樹脂がモルタルおよび装飾材の間の「浮き」に達しないことがある。かかる場合には、注入ノズルを引き抜きながら、この部分に樹脂を注入せざるを得なかった。但し、注入ノズルを引き抜くと、開口部の封止が解かれてしまうため、モルタルおよび装飾材の間の「浮き」に、樹脂を十分に行き渡らせることができない問題があった。
本発明は、積層してなる壁体の壁材間の境界に生じたすべての「浮き」に十分に接着剤を注入することができるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供することを課題としている。
本発明のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着され、複数の壁材が積層されてなる壁体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その穴開口を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連なる接着剤流路を形成したノズルボディーと、基端側をノズルボディーに保持され、接着剤の注入に際し挿填穴に挿入される複数のノズル筒と、を備え、複数のノズル筒は、それぞれ接着剤流路に連通する吐出口を有すると共に、それぞれ長さが異なることを特徴とする。
この構成によれば、複数のノズル筒の長さがそれぞれ異なるため、ノズルボディーにより穴開口を封止しつつ、挿填穴に接着剤を注入してゆくと、接着剤は、挿填穴に対し、深い位置から浅い位置までの複数箇所に同時に注入される。これにより、挿填穴はもとより、壁材間に生じたすべての浮き部にも十分に接着剤を注入することができる。
この場合、複数のノズル筒には、少なくとも挿填穴の最深部に接着剤を注入するノズル筒と、穴開口の近傍に接着剤を注入するノズル筒と、が含まれることが、好ましい。
この構成によれば、接着剤は、挿填穴の最深部および穴開口側から徐々に満たされる。やがて、接着剤は、壁材間に生じた浮き部に流入する。したがって、挿填穴およびすべての浮き部に接着剤を十分に注入することができる。特に、アンカーピンがアンカリングされるコンクリート躯体の部分(最深部)、およびタイルの浮き部(穴開口の近傍)に、接着剤を十分に行き渡らせることができる。
本発明の他のピンニング工法用の注入ノズルは、注入器本体に装着され、複数の壁材が積層されてなる壁体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その穴開口を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、注入器本体に装着され、内部に注入器本体に連なる接着剤流路を形成したノズルボディーと、基端側をノズルボディーに保持され、接着剤の注入に際し挿填穴に挿入される複数のノズル筒と、を備え、複数のノズル筒は、それぞれ接着剤流路に連通する吐出口を有すると共に、それぞれ切断可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、例えば、挿填穴の最深部および浮き部に合わせて、適宜、複数のノズル筒を切断して接着剤の注入を行うことにより、最深部および浮き部に接着剤を注入することができる。すなわち、複数のノズル筒を適宜切断して用いることにより、接着剤を、挿填穴に対して、深い位置から浅い位置までの複数箇所に同時に注入することができ、挿填穴はもとより、壁材間に生じたすべての浮き部にも十分に接着剤を注入することができる。
この場合、各ノズル筒は、ポリプロピレンで構成されていることが、好ましい。
この構成によれば、各ノズル筒は、耐薬品性を有すると共に、適宜切断することにより、壁体に対する浮き部の位置に合わせて簡単に長さを調整することができる。
本発明のピンニング工法は、上記のピンニング工法用の注入ノズルと、注入ノズルが着脱自在に装着される注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、複数の壁材が積層されてなる壁体を補修するピンニング工法であって、壁体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、接着剤注入器により穴開口を封止しつつ挿填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、壁体の要補修箇所に挿填穴を穿孔した後、接着剤注入器により挿填穴の最深部から接着剤を注入する。この後、接着剤が注入された挿填穴に、複数の壁材に亘るようアンカーピンを最深部まで挿填する。そして、接着剤が硬化することにより、壁体の補修が完了する。この場合、挿填穴の接着剤を介して、アンカーピンにより壁体を強固に押えることができ、且つ浮き部の接着剤により壁材同士を強固に接着することができる。したがって、外壁の補修を良好に行うことができる。
本発明の他のピンニング工法は、上記のピンニング工法用の注入ノズルと、注入ノズルが着脱自在に装着される注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、複数の壁材が積層されてなる壁体を補修するピンニング工法であって、壁体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、探査治具により、挿填穴の深さおよび複数の壁材の境界部分に生じた浮き部を探査する探査工程と、探査した浮き部に合わせて複数のノズル筒を切断する切断工程と、接着剤注入器により穴開口を封止しつつ挿填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、壁体の要補修箇所に挿填穴を穿孔した後、挿填穴に対する浮き部の位置を探査し、浮き部に合わせてノズル筒を切断する。そして、接着剤注入器により接着剤を注入する。この後、接着剤が注入された挿填穴に、複数の壁材に亘るようアンカーピンを最深部まで挿填する。そして、接着剤が硬化することにより、壁体の補修が完了する。この場合、挿填穴の接着剤を介して、アンカーピンにより壁体を強固に押えることができ、且つ浮き部の接着剤により壁材同士を強固に接着することができる。したがって、外壁の補修を良好に行うことができる。
ピンニング工法用の注入ノズルを有する接着剤注入器を、外壁に穿孔した挿填穴に対して使用する断面模式図である。 接着剤注入器の平面図である。 第1実施形態に係る注入ノズルの(a)は断面図であり、(b)は正面図である。 第1実施形態に係るボディー本体およびノズル筒の斜視図である。 本実施形態に係るピンニング工法の工程図(1)である。 本実施形態に係るピンニング工法の工程図(2)である。 第2実施形態に係るボディー本体およびノズル筒の斜視図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るピンニング工法用の注入ノズル(以下、単に「注入ノズル」と言う。)、およびこれを用いたピンニング工法について説明する。このピンニング工法では、注入ノズルを装着した接着剤注入器を用い、「浮き(浮き部)」が生じた建物の外壁、吹き抜けやホール等の内壁の要補修箇所に穿孔した挿填穴に、注入ノズルを挿入して接着剤を注入し、その後、アンカーピンを挿填して、これを補修する。以下、建物の外壁を施工する場合について説明する。
図1に示すように、建物の外壁1は、例えば下地となるコンクリート躯体2と、その表面に塗着させた仕上げ材3と、で構成されている。また、仕上げ材3は、第1モルタル4(下地)と、第2モルタル5(仕上げ)と、第2モルタル5の表面に貼ったタイルや石材などの装飾材6と、で構成されている。この場合、コンクリート躯体2および第1モルタル4の間には第1浮き部7が生じ、第1モルタル4および第2モルタル5の間には第2浮き部8が生じ、さらに第2モルタル5および装飾材6の間には第3浮き部9が生じているものとする。また、外壁1には、装飾材6、浮き部7,8,9を貫通し、且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴10が、装飾材6の中心位置に形成されている。そして、その挿填穴10に対し、接着剤注入器11による接着剤Rの注入とアンカーピン57の挿填(図5および図6参照)とが行われることで、外壁1の補修が行われる。
ここで、図2を参照して、接着剤注入器11について説明する。接着剤注入器11は、主体を為し接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体12と、注入器本体12の先端部に対して、着脱自在に装着された注入ノズル13と、で構成されている。
注入器本体12は、基端側に延在して接着剤Rが充填された筒状のケーシング14と、ケーシング14が着脱自在に取り付けられるポンプ本体15と、ポンプ本体15に保持された略「L」字状のレバー16と、を備えている。注入器本体12は、ポンプ本体15に対して、基端側からケーシング14がセットされることにより組立てられる。そして、接着剤注入器11は、さらに先端側から注入ノズル13が装着されることにより組み立てられる。そして、注入器本体12は、手動でレバー16を操作(ポンピング)することにより、接着剤Rを一定量ずつ注入ノズル13から吐出させるようになっている。なお、接着剤Rは、エポキシ樹脂接着剤のほか、例えば各種有機接着剤や無機接着剤等であってもよい。
図2ないし図4に示すように、注入ノズル13は、注入器本体12に対して着脱自在に装着され、内部に注入器本体12に連なる接着剤流路26が形成されたノズルボディー21と、ノズルボディー21に保持された複数(実施形態のものは4本)のノズル筒22と、を備えている。ノズルボディー21は、複数のノズル筒22を保持するゴム製のボディー本体23と、ボディー本体23の基端側に突き当てられ、内部に接着剤流路26を形成した連結部材24と、連結部材24に螺合し、ボディー本体23を覆うようにして保持する保持部材25と、から構成されている。注入ノズル13は、複数のノズル筒22の基端側をボディー本体23に固定し、ボディー本体23の基端側に連結部材24の先端を差し込むと共に、ボディー本体23に先端側から保持部材25を被せて、保持部材25の基端側を連結部材24に螺合することにより、組み立てられている。
ボディー本体23は、フッ素ゴムやブチルゴム等の弾性材で構成されており、先端側に向かって先細りの円錐台形状(テーパー形状)に形成されたシール部31と、シール部31の基端に連なり筒状に形成された円筒部32と、環状段部を存して円筒部32の基端に連なった太径の太筒部33と、で一体に成形されている。太筒部33の基端側には、連結部材24の先端が嵌合する円形の装着溝34が形成されている。また、ボディー本体23の軸部には、ノズル筒22をそれぞれ保持する複数の貫通孔35が形成されている。
保持部材25は、ステンレスやスチール等の金属材により筒状に形成されており、注入ノズル13において最も太い径となる太径保持部41と、環状段部を存して太径保持部41の先端に連なった細径保持部42と、を有している。太径保持部41は、内径がボディー本体23の太筒部33と同径に形成されており、先端側で太筒部33を囲繞している。また、太径保持部41の基端側内周面には、連結部材24に螺合する雌ねじが螺刻されている。一方、細径保持部42は、内径がボディー本体23の円筒部32と同径に形成されており、円筒部32を囲繞している。ボディー本体23に連結部材24を突き当てた状態で、先方から保持部材25を装着し、その太径保持部41を連結部材24に螺合すると、細径保持部42(環状段部)がボディー本体23を連結部材24側に強く引き付ける。これにより、ボディー本体23と連結部材24とが一体化し、接着剤流路26の先端がボディー本体23の装着溝34にシールされる。
連結部材24は、ステンレスやスチール等の金属材で形成されており、ボディー本体23の装着溝34に嵌入される先端側の差込部43と、差込部43の基端側に連なる太径の太径螺合部44と、太径螺合部44の基端側に連なる細径の細径螺合部45と、により一体に形成されている。また、連結部材24の軸心には、注入器本体12に連なる上述した接着剤流路26が形成されている。そして、接着剤流路26の下流端は、後述するノズル筒22の注入流路53に連通している。太径螺合部44は、差込部43よりも太径の円筒状に形成され、外周面には雄ねじが螺刻されると共に、外周面基端側には、平坦に研削された一対のスパナ掛け部46(図1参照)が形成されている。また、細径螺合部45の外周面にも、雄ねじが螺刻されており注入器本体12と螺合するようになっている。
複数(4本)のノズル筒22は、束ねるように配置され、その基部側をボディー本体23に保持されており、現場合わせで簡単に切断できるように、ポリプロピレン等の樹脂素材で構成されている。この場合、各ノズル筒22の径は、4本のノズル筒22が一体として挿填穴10(最小径の挿填穴10)に挿入されるように設計されている。また、各ノズル筒22の長さは、想定される最大深の挿填穴10の深さより長く形成されている。なお、分解洗浄を考慮し、各ノズル筒22は、ボディー本体23に対し内側から着脱可能に保持されていることが好ましい。
各ノズル筒22は、先端部に開口した吐出口51と、基端部に形成した流入口52と、軸心に形成され、吐出口51および流入口52を連通する注入流路53と、から構成されている。注入流路53は、流入口52を介して接着剤流路26に連通しており、流れてきた接着剤Rを吐出口51から挿填穴10内に吐出する。なお、ノズル筒22の本数は、特に限定されるものではない。
詳細は後述するが、4本のノズル筒22は、挿填穴10の深さおよび浮き部7,8,9の数に合わせて、現場で適宜切断して用いられる。例えば、図1の外壁1では、4本のノズル筒22のうちの、1つ目のノズル筒22はその先端(吐出口51)が挿填穴10の最深部に達するように、2つ目のノズル筒22はその先端が第1浮き部7に臨むように、3つ目のノズル筒22はその先端が第2浮き部8に臨むように、そして4つ目のノズル筒22はその先端が第3浮き部9に臨むように、それぞれ切断される。もっとも、第2モルタル5(仕上げ)および装飾材6の間の第3浮き部9は、他の浮き部7,8に比して発生頻度が高いため、4つ目のノズル筒22に相当する任意の1のノズル筒22は、ボディー本体23のシール部31と面一或いはシール部31から僅かに突出する程度の長さに形成しておいてもよい。またこの場合、このノズル筒22に代えて、シール部31にノズル筒22の内径とほぼ同一径の貫通孔を形成するものであってもよい(共に図示省略)。
上述のように、4本のノズル筒22は、その基端で連結部材24の接着剤流路26にそれぞれ連通されている。そして、接着剤流路26に流入した接着剤Rは、4本のノズル筒22から挿填穴10の適宜の深さ位置に吐出される。なお、接着剤Rが挿填穴10の最深部から穴開口17に向って順に注入されるように、4本のノズル筒22の太さ(内径)を変えるようにしてもよい。すなわち、流路抵抗を考慮して、最深部用のノズル筒22を最も太く成形し、穴開口17に近づくに連れて細く成形する。
次に、図5および図6を参照して、上記の接着剤注入器11を用いて、図1に例示した外壁1へのピンニング工法について説明する。このピンニング工法は、ハンマー等を用いて外壁1を打診し、その打診音に基づいて外壁1の要補修箇所、すなわち、少なくとも1の浮き部7,8,9が生じている領域を特定して、挿填穴10の穿孔位置を決定する。これに続いて、穿孔位置にマーキングが行われた後、装飾材6およびモルタル4,5を貫通し且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔して挿填穴10を形成する穿孔工程と、挿填穴10から浮き部7,8,9の有無とその位置(穴開口17からの深さ)を探査する探査工程と、探査した浮き部7,8,9に合わせて複数のノズル筒22を切断する切断工程と、接着剤注入器11により、穴開口17を封止しつつ挿填穴10に接着剤Rを注入する接着剤注入工程と、接着剤Rが注入された挿填穴10に、アンカーピン57を挿填するピン挿填工程と、が実施される。
穿孔工程では、ダイヤモンドコアドリル等の穿孔工具54を使用して、マーキングした外壁1の各穿孔位置に挿填穴10を穿孔する(図5(a)参照)。すなわち、装飾材6、第1モルタル4および第2モルタル5を貫通するようにしてコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔して、挿填穴10を形成する。この際、穿孔は、外壁1に対して直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さを30mm以上とする。また、挿填穴10は、アンカーピン57が遊嵌できるようにアンカーピン57より一回り大きな径(1mm〜2mm太径)のストレート穴に形成する。
探査工程では、先端にフック部56を有し、挿填穴10より長尺に形成された目盛り付きのスケール等の探査治具55を用い、挿填穴10における穴開口17から最深部までの距離と、挿填穴10に対する浮き部7,8,9の位置を探査する。具体的には、まず探査治具55を挿填穴10の最深部に挿入して、穴開口17から最深部までの深さ(距離)を測定する。続いて挿填穴10の穴壁をなぞるように探査治具55を手前に引いてくる。これにより、浮き部7,8,9が存在した場合、先端のフック部56が浮き部7,8,9に引っ掛かる。フック部56が浮き部7,8,9に引っ掛かったら、穴開口17における目盛りを読み取ることで、穴開口17から浮き部7,8,9までの距離(好ましくは、浮き部7,8,9の間隙寸法も)を測定する(図5(b)参照)。
切断工程では、探査工程の探査結果に基づいて、各ノズル筒22を切断する。具体的には、1つ目のノズル筒22の長さ(実際には、シール部31のシール位置からノズル筒22の先端までの長さ)を挿填穴10における穴開口17から最深部までの距離と同じになるように、且つ1つ目の吐出口51が断面楕円状になるように(斜めに)先端を切断する。同様に、2つ目のノズル筒22を、挿填穴10における穴開口17から第1浮き部7までの距離と同じになるように、また3つ目のノズル筒22を、挿填穴10における穴開口17から第2浮き部8までの距離と同じになるように、さらに4つ目のノズル筒22を、挿填穴10における穴開口17から第3浮き部9までの距離と同じになるように、それぞれ切断する。これにより、1つ目の吐出口51が挿填穴10の最深部に位置に開口し、2つ目の吐出口51が第1浮き部7の位置に開口し、3つ目の吐出口51が第2浮き部8の位置に開口し、4つ目の吐出口51が第3浮き部9の位置に開口する(図6参照)。
なお、例えば第2浮き部8が生じておらず、且つ第3浮き部9が第1浮き部7より大きかった場合には、第3浮き部9に対して接着剤Rを多く注入すべく、第3浮き部9の位置に3つ目の吐出口51が開口するようにノズル筒22を切断する。また、挿填穴10最深部に吐出口51が2つ開口するようにしてもよい(共に図示省略)。さらに、ノズル筒22の切断において、必ずしも斜めでなくてもよい。
接着剤注入工程では、複数のノズル筒22を一体として挿填穴10に挿入し、接着剤注入器11を外壁1に押し付けて、シール部31により穴開口17を封止する。この状態で、注入器本体12のレバー16を操作(ポンピング)して、接着剤Rを挿填穴10に注入していく。ポンピングを開始すると、各吐出口51から接着剤Rが吐出され、接着剤Rが挿填穴10の最深部、第1浮き部7、第2浮き部8および第3浮き部9の近傍に注入されてゆく。その際、接着剤Rは、挿填穴10の最深部から除々に満たされると共に、第1浮き部7、第2浮き部8および第3浮き部9に流入する(図6(b)参照)。
ピン挿填工程では、接着剤Rが注入された挿填穴10に対し、アンカーピン57のピン胴部を案内させながら挿填してゆく(図6(c)参照)。挿填されてゆくアンカーピン57は、挿填穴10内の接着剤Rを押し退けるようにして最深部に達する。これに伴い、接着剤Rは、ピン胴部となじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴10の穴開口17に向かって押し出されていく。そして、アンカーピン57は、先端が最深部に達するところで、頭部が穴開口17を閉止する。
また、接着剤注入工程において、ノズル筒22を引き抜いた後に生ずる接着剤Rが注入されていない未注入部分の体積と、アンカーピン57の体積とがほぼ同一となるように構成しておけば、挿填穴10にアンカーピン57を挿入したと、挿填穴10から接着剤Rがほとんど漏れ出ることなく、挿填穴10を接着剤Rでほぼ満たすことができる。なお、装飾材6にザグリ穴を形成し、この部分にアンカーピン57の頭部を係止してもよい(図示省略)。かかる場合には、別途、穴開口17を閉止する化粧キャップを設けるようにする。また、注入口付アンカーピンを用いる場合も、注入口付アンカーピンを装填する前に、上記のように接着剤Rを注入することが、好ましい。
このように、本実施形態の注入ノズル13では、複数のノズル筒22における吐出口51が、挿填穴10の最深部および浮き部7,8,9に合うように、切断して接着剤Rの注入を行うことにより、挿填穴10はもとより、壁材間に生じたすべての浮き部7,8,9にも十分に接着剤Rを注入することができる。
次に、図7を参照して、本発明の2実施形態に係る注入ノズル13について説明する。なお、重複した記載を避けるべく、第1実施形態と異なる部分を主として説明する。この注入ノズル13は、予め異なる長さに切断された複数のノズル筒22の基端側がノズルボディー21に保持されている。複数のノズル筒22は、第1ノズル筒22aと、第2ノズル筒22bと、第3ノズル筒22cと、第4ノズル筒22dと、から構成されている。
第1ノズル筒22aは、想定される最大深の挿填穴10に挿入したときに、先端が底部に達するように設計されており、第4ノズル筒22dは、ボディー本体23のシール部31から僅かに突出する程度の長さに設計されている。また、第2ノズル筒22bは、第1ノズル筒22aより短く、且つ第4ノズル筒22dより長く形成されており、第3ノズル筒22cは、第2ノズル筒22bより短く、且つ第4ノズル筒22dより長く形成されている。すなわち、第1ノズル筒22a、第2ノズル筒22b、第3ノズル筒22cおよび第4ノズル筒22dは、徐々にその長さが短くなるように形成されている。なお、この場合も、第4ノズル筒22dは、シール部31と面一になるように形成されていてもよい(図示省略)。
この注入ノズル13を用いたピンニング工法は、穿孔工程と、接着剤注入工程と、ピン挿填工程と、により実施される。そして、接着剤注入工程では、吐出口51a,51b,51c,51dが挿填穴10に対して複数開口しているため、挿填穴10に対して複数箇所から同時に接着剤Rを注入することができるようになっている。
このように、本実施形態の注入ノズル13では、複数のノズル筒22a,22b,22c,22dの長さがそれぞれ異なるため、接着剤Rは、挿填穴10の深い位置から浅い位置までの複数箇所に同時に注入され、挿填穴10はもとより、壁材間に生じたすべての浮き部7,8,9にも十分に注入することができる。また、ピンニング工法においては、外壁1の補修を良好に行うことができる。
1…外壁 10…挿填穴 12…注入器本体 13…注入ノズル 17…穴開口 21…ノズルボディー 22…ノズル筒 22a…第1ノズル筒 22b…第2ノズル筒 22c…第3ノズル筒 22d…第4ノズル筒 26…接着剤流路 51…吐出口 51a…第1吐出口 51b…第2吐出口 51c…第3吐出口 51d…第4吐出口 55…探査治具 R…接着剤

Claims (6)

  1. 注入器本体に装着され、複数の壁材が積層されてなる壁体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その穴開口を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
    前記注入器本体に装着され、内部に前記注入器本体に連なる接着剤流路を形成したノズルボディーと、
    基端側を前記ノズルボディーに保持され、前記接着剤の注入に際し前記挿填穴に挿入される複数のノズル筒と、を備え、
    前記複数のノズル筒は、それぞれ前記接着剤流路に連通する吐出口を有すると共に、相互に長さが異なることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。
  2. 前記複数のノズル筒には、少なくとも、前記挿填穴の最深部に前記接着剤を注入するノズル筒と、前記穴開口の近傍に前記接着剤を注入するノズル筒と、が含まれることを特徴とする請求項1に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  3. 注入器本体に装着され、複数の壁材が積層されてなる壁体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その穴開口を封止しながら接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルであって、
    前記注入器本体に装着され、内部に前記注入器本体に連なる接着剤流路を形成したノズルボディーと、
    基端側を前記ノズルボディーに保持され、前記接着剤の注入に際し前記挿填穴に挿入される複数のノズル筒と、を備え、
    前記複数のノズル筒は、それぞれ前記接着剤流路に連通する吐出口を有すると共に、それぞれ切断可能に構成されていることを特徴とするピンニング工法用の注入ノズル。
  4. 前記各ノズル筒は、ポリプロピレンで構成されていることを特徴とする請求項3に記載のピンニング工法用の注入ノズル。
  5. 請求項1または2に記載のピンニング工法用の注入ノズルと、前記注入ノズルが着脱自在に装着される前記注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、複数の壁材が積層されてなる壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記壁体を所定の深さまで穿孔して前記挿填穴を形成する穿孔工程と、
    前記接着剤注入器により、前記穴開口を封止しつつ前記挿填穴に前記接着剤を注入する接着剤注入工程と、
    前記接着剤が注入された前記挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
  6. 請求項3または4に記載のピンニング工法用の注入ノズルと、前記注入ノズルが着脱自在に装着される前記注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、複数の壁材が積層されてなる壁体を補修するピンニング工法であって、
    前記壁体を所定の深さまで穿孔して前記挿填穴を形成する穿孔工程と、
    探査治具により、前記挿填穴の深さおよび複数の壁材の境界部分に生じた浮き部を探査する探査工程と、
    探査した前記浮き部に合わせて前記複数のノズル筒を切断する切断工程と、
    前記接着剤注入器により、前記穴開口を封止しつつ前記挿填穴に前記接着剤を注入する接着剤注入工程と、
    前記接着剤が注入された前記挿填穴に、アンカーピンを挿填するピン挿填工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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