JP5370725B2 - 注入ノズルおよびピンニング工法 - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆる「浮き」が生じた外壁や内壁等の壁体の補修に使用されるピンニング工法用の注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法に関するものである。
従来、この種の注入ノズルとして、先端部に吐出口を形成した注射針状の内筒と、内周面に内筒をスライド自在に保持すると共に内部を接着剤流路とした外筒と、を有するものが知られている(特許文献1参照)。
この注入ノズルを用いたピンニング工法では、仕上げ材(タイルや石材)、モルタルおよびコンクリート躯体から成る外壁の要補修箇所に挿填穴を穿孔した後、この挿填穴に、注入ノズルを装着した樹脂注入器を用いて接着剤(エポキシ樹脂接着剤)の注入が行われる。具体的には、注入ノズルを挿填穴の開口部に押し付けるように宛がって、樹脂注入器をポンピングすると、先ず内筒が接着剤の注入力を受けて前進し、その吐出口が挿填穴の穴底に達する。その後、吐出口から接着剤が吐出しはじめ、接着剤は挿填穴の最深部から徐々に満たされてゆく。
特開2003−147971号公報
このような従来の注入ノズルでは、接着剤を挿填穴の最深部から注入してゆくことができるため、挿填穴の最深部にエアー溜り等が生じることはないが、モルタルとコンクリート躯体との間隙(「浮き」)が大きいと、この間隙に接着剤が流れ込み、挿填穴の浅い位置まで接着剤が達しないおそれがあった。特に、仕上げ材とモルタルとの間にも「浮き」が生じている場合には、上記の方法ではこの「浮き」に接着剤を十分に注入することができないため、この「浮き」の部分まで注入ノズルを引き抜くようにして注入を行う必要がある。しかし、この場合には、挿填穴の開口部に対する封止が解かれてしまうため、結局、このような部分への十分な接着剤注入が不可能となる。
本発明は、挿填穴の深い部分から浅い部分まで接着剤を十分に注入することができる注入ノズルおよびこれを用いたピンニング工法を提供することを課題としている。
本発明の注入ノズルは、注入器本体に装着して用いられ、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その開口部を封止しつつ接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルにおいて、基端側が注入器本体に着脱自在に装着される本体ジョイント部と、基端部が本体ジョイント部の先端側に固定され、先端部に吐出口を有すると共に挿填穴に挿入されるノズルと、ノズルに対してスライド自在に装着され、接着剤注入時に挿填穴の開口部に当接し且つこれを封止する可動シール部材と、可動シール部材を保持すると共にノズルの任意の位置に固定するロック・アンロック機構と、備え、ロック・アンロック機構は、可動シール部材を保持すると共に、ノズルに対してスライド自在に装着された本体保持部と、ノズルが遊挿されるロック孔を有し、ノズルに対し傾くことでロック孔の孔縁部がノズルをかじってこれに固定される固定位置と傾きを解除する固定解除位置との間で、本体保持部に回動自在に支持された操作レバーと、を有することを特徴とする。
この構成によれば、ノズルに装着した可動シール部材により挿填穴の開口部を封止した状態で、注入器本体から接着剤が送出されることで、接着剤が挿填穴に注入される。その際、ロック・アンロック機構により可動シール部材をノズルの基端側に固定しておけば、接着剤は挿填穴の深い部分に注入され、ノズルの先端側に固定しておけば、接着剤は挿填穴の浅い部分に注入される。また、この挿填穴の深い部分への注入および浅い部分への注入を、挿填穴の開口部を封止した状態で行うことができるため、複数の「浮き」にも接着剤を十分に行き渡らせることができる。なお、駆体は、コンクリートや木造等であり、また仕上げ材は、モルタル、タイル、石材等である。さらに、接着剤としては、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。また、ノズルを挿填穴に挿入する深さは、予め計測しておき、計測結果に合わせて可動シール部材をノズルに対して移動させることで調整する。
また、操作レバーをノズルに対して傾かせることでロック孔の孔縁部がノズルにかじって固定位置となる。一方、操作レバーのノズルに対する傾きを解除することで固定解除位置となる。すなわち、操作レバーを固定位置と固定解除位置との間で移動させることで、ノズルに対する可動シール部材を固定およびスライド自在とすることができ、可動シール部材に対するノズルの突出寸法を自在に調整することができる。これにより、挿填穴の深さ方向の任意の位置に接着剤を注入することができる。
この場合、ロック・アンロック機構は、操作レバーを固定位置に向って付勢する付勢部材を、さらに有することが、好ましい。
この構成によれば、操作レバーを自動でノズルに対して傾かせることができる。
この場合、ロック・アンロック機構は、操作レバーの回動を固定解除位置に位置規制するストッパを、さらに備えたことが、好ましい。
この構成によれば、操作レバーが固定解除位置で位置規制されるため、固定解除操作を安定して行うことができ、操作性を向上させることができる。
この場合、操作レバーは、ロック孔を形成したロック板部と、指掛け部分となる操作板部とで板状に形成され、ロック板部と操作板部との境界部分で、本体保持部に回動自在に支持されていることが、好ましい。
また、付勢部材は、本体保持部と操作板部との間に介設されたコイルばねであることが、好ましい。
また、ストッパは、本体保持部に突設され操作板部に向って延びるピン状のもので構成され、コイルばねは、ストッパを囲むようにストッパと同軸上に配設された圧縮コイルばねであることが、好ましい。
さらに、付勢部材は、本体保持部に対する操作レバーの回動軸に巻回したねじりコイルばねであることが、好ましい。
これらの構成によれば、ロック・アンロック機構をシンプルかつコンパクトに構成することができる。
本発明のピンニング工法は、上記に記載の注入ノズルと注入ノズルを装着した注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔して挿填穴を形成する穿孔工程と、接着剤注入器により、開口部を封止しつつ装填穴に接着剤を注入する接着剤注入工程と、接着剤が注入された挿填穴に、仕上げ材を躯体にアンカリングするためのアンカーピンを装填する装填工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、可動シール部材に対するノズルの突出寸法を自在に調整することができるため、挿填穴の深い部分から浅い部分まで、接着剤を満遍なく注入することができ、壁体の補修を良好に行うことができる。
以下、添付した図面を参照して、第1実施形態に係る注入ノズルを装着した接着剤注入器を用いたピンニング方法について説明する。このピンニング工法は、「浮き」が生じた建物の外壁、吹き抜けやホール等の内壁(壁体)の要補修箇所に穿孔した挿填穴に、その開口部から接着剤注入器の注入ノズルを挿入して接着剤を注入し、その後、アンカーピンを挿填して、これを補修するものである。以下、建物の外壁を施工する場合について説明する。
図1に示すように、建物の外壁1は、下地となるコンクリート躯体(躯体)2と、その表面に塗着させた仕上げ材3と、で構成されており、仕上げ材3は、モルタル4と、これに貼ったタイルや石材などの装飾材5と、で、構成されている。この場合、コンクリート躯体2およびモルタル4の間には第1浮き部6が、またモルタル4および装飾材5の間には第2浮き部7が生じているものとする。また、外壁1には、第1浮き部6および第2浮き部7を補修すべく、装飾材5およびモルタル4を貫通し、且つコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔した挿填穴8が形成されている。そして、その挿填穴8に対し、接着剤注入器11による接着剤Rの注入とアンカーピン9の挿填(図6および図7参照)とが行われることで、外壁1の補修が行われる。
ここで、図2を参照して、接着剤注入器11について説明する。接着剤注入器11は、主体を為し接着剤Rを供給するポンプ形式の注入器本体12と、注入器本体12の先端部に着脱自在に装着されたピンニング工法用の注入ノズル13と、で構成されている。注入器本体12は、基端側に延在する筒状のケーシング14と、ケーシング14が着脱自在に取り付けられるポンプ本体15と、ポンプ本体15に保持された略「L」字状のレバー16と、を備えている。ケーシング14内には、接着剤Rが充填されており、ポンプ本体15には、基端側からケーシング14がセットされ、先端側から注入ノズル13が装着される。そして、注入器本体12は、手動でレバー16を操作(ポンピング)することにより、接着剤Rを一定量ずつ注入ノズル13から吐出させるようになっている。なお、本実施形態において接着剤Rには、エポキシ樹脂接着剤を用いているが、これに限らず、例えば各種有機接着剤は元より、粘性を有する無機接着剤等であってもよい。
図2および図3に示すように、注入ノズル13は、基端側を注入器本体12に着脱自在に装着される本体ジョイント部21と、本体ジョイント部21から延在し、先端に吐出口42を有すると共に挿填穴8に挿入されるノズル22と、ノズル22に対してスライド自在に装着され、接着剤R注入時に挿填穴8の開口部10に当接し且つこれを封止する可動シール部材23と、可動シール部材23を保持すると共にノズル22の任意の位置に固定可能に構成されたロック・アンロック機構24と、備えている。
ロック・アンロック機構24は、可動シール部材23と共に一体として、ノズル22にスライド可能に装着されている。ロック・アンロック機構24をアンロックすることで可動シール部材23と共にノズル22に対してスライド可能となり、ロックすることでノズル22に固定される。すなわち、可動シール部材23に対するノズル22の相対的な突出寸法は、ロック・アンロック機構24により調整される(詳細は、後述する)。可動シール部材23を挿填穴8の開口部10に突き当て、注入器本体12をポンピングすると、注入器本体12から送り出された接着剤Rは、本体ジョイント部21からノズル22に流れ、吐出口42から吐出される。
本体ジョイント部21は、ステンレスやスチール等で構成されており、注入器本体12に装着される接続部31と、接続部31の先端に螺合してノズル22を固定するキャップ32と、で構成されている。接続部31は、工具掛け部を形成した接続部本体33と、接続部本体33から注入器本体12側に延在し、注入器本体12に螺合する基端雄ネジ部34と、接続部本体33からノズル22側に延在し、キャップ32に螺合する先端雄ネジ部35と、で一体に形成されている。また、接続部31の軸心(内部)には、上流端が注入器本体12に連なり、下流端がノズル22に連なる接着剤流路37が形成されている。基端雄ネジ部34を注入器本体12に螺合することにより、本体ジョイント部21が注入器本体12に着脱自在に装着され、且つ接着剤流路37が注入器本体12の吐出部と連通するようになっている。
キャップ32は、袋ナット状の部材であり、先端面の中央にはノズル22が挿入されるノズル穴36が形成されると共に、内周面には雌ネジが形成されている。ノズル22の基部を上記の先端雄ネジ部35に宛がった状態で、ノズル22を挿通してキャップ32を先端雄ネジ部35に螺合することにより、ノズル22のフランジ部43(後述する)が先端雄ネジ部35とキャップ32との間に挟持され、ノズル22が接続部31に固定される。また、この状態で接続部31の接着剤流路37とノズル22の注入流路41(後述する)とが連通する。
ノズル22は、ステンレスやスチール等の金属パイプや樹脂パイプで構成されており、内部に接着剤流路37に連通する注入流路41を有してストレートの注射針様に形成されている。ノズル22の先端には、斜めにカットされた注入流路41に連なる吐出口42が形成されており、後端には、上記の先端雄ネジ部35に突き当てられるフランジ部43が形成されている。本体ジョイント部21の接着剤流路37から流れてきた接着剤Rは、注入流路41を流れ、吐出口42から挿填穴8に注入される。なお、ノズル22の長さは、想定される最も深い挿填穴8に対応すべく、相対的に前進した位置において可動シール部材23からの突出寸法が100mm程度となるように形成され、またノズル22の径は、例えば2〜4mmに形成されている。
可動シール部材23は、フッ素ゴムやブチルゴム等の耐溶剤性の弾性材で構成されており、挿填穴8の開口部10を封止するテーパ面44を有するテーパ部45と、テーパ部45の基端側に連なる固定筒部46と、で一体に形成されている。また、可動シール部材23の軸心(内部)には、可動シール部材23がノズル22に対してスライド自在に装着されるように挿通穴47が、形成されている。テーパ部45は、先端に向って狭窄する円錐台形状に形成されており、先端部を開口部10に差し込んで挿填穴8を封止するようになっている。固定筒部46は、円筒状に形成されており、基端面がロック・アンロック機構24に固定されている。
図4および図5に示すように、ロック・アンロック機構24は、可動シール部材23を保持すると共に、断面「T」字状に形成された本体保持部51と、本体保持部51に対してシーソー様に回動自在に支持された操作レバー52と、本体保持部51と操作レバー52との間に介設した圧縮コイルばね(付勢部材:コイルばね)53と、本体保持部51から操作レバー52向って突設したストッパ54と、から構成されている。本体保持部51や操作レバー52は、溶剤による洗浄を考慮し、ステンレスやスチール等の金属材料で構成されている。
本体保持部51は、上記の可動シール部材23を固定するシール固定部61と、シール固定部61の長手方向の中間位置に突設され、操作レバー52を回動自在に支持するレバー支持部62と、により一体に形成されている。シール固定部61には、可動シール部材23に形成された挿通穴47と同軸上に位置して、ノズル22をスライド自在に貫通させるノズル貫通孔57が形成されている。また、シール固定部61の圧縮コイルばね53側の面には、ストッパ54が突設されると共に、ストッパ54と同軸上に位置して、圧縮コイルばね53が位置決めされるようにして係合するばね突起64が突設されている。なお、シール固定部61と可動シール部材23とは、単純に接着する構成でもよいが、シール固定部61側からアンカー突起を延し、これに突き刺すようにして可動シール部材23を接着固定するものであってもよい(図示省略)。レバー支持部62の先端部には、操作レバー52を支持するための「U」字状の切欠き部65が形成されており、この切欠き部65には、操作レバー52を両持ちで回動自在に支持する回動支軸(回動軸)66が取り付けられている。
操作レバー52は、ノズル22が遊挿されるロック孔71が貫通形成したロック板部72と、操作用の指掛け部分となる操作板部73と、により板状に一体に形成されている。そして、このロック板部72と操作板部73との境界部分、すなわち操作レバー52の長手方向の中間部分で、上記のレバー支持部62に対しシーソー様に回動自在に支持されている。操作板部73の裏面中央は、上記のストッパ54および圧縮コイルばね53が当接する部位となっており、図示では省略したが、この部分にもばね突起64を設けることが好ましい。なお、操作板部73は、押込み方向に操作されるため、表面に滑止め加工を施すことが好ましい。もっとも、実際の操作では、親指と人差し指で、操作板部73とシール固定部61とを摘むことになるため、シール固定部61のこの部分にも滑止め加工を施すことが好ましい。
ロック板部72の略中央には、ノズル22が遊挿されるロック孔71が貫通形成されている。このロック孔71は、ノズル貫通孔57と同軸上に位置し、操作レバー52の回動を許容すべくノズル貫通孔57より僅かに太径に形成されている。詳細は後述するが、回動により操作レバー52がノズル22に対し傾くことでロック孔71の孔縁部76がノズル22をかじってこれに固定され(固定位置)、この傾きを解除されることで固定解除となる(固定解除位置)。すなわち、操作レバー52(ロック板部72)は、ロック孔71の孔縁部76がノズル22に対しかしいだ状態となる固定位置と、ストッパ54により位置規制された状態となる固定解除位置との間で、回動自在に構成されている。
圧縮コイルばね53は、ストッパ54を囲うようにストッパ54と同軸上に、且つシール固定部61と操作レバー52の操作板部73との間に介設されている。圧縮コイルばね53は、シール固定部61を受けにして、回動支軸66を中心に回動する操作レバー52の操作板部73をシール固定部61から離間させると同時に、ロック板部72をシール固定部61に近接させる方向に付勢している。圧縮コイルばね53の基端は、上記のばね突起64の外周面に係合することで、シール固定部61に着脱可能に取り付けられている。この場合、圧縮コイルばね53に対し、ストッパ54がガイドとして機能し、圧縮コイルばね53に圧縮力が作用しても折れ曲がったり、外れたりすることがない。なお、圧縮コイルばね53は、なくてもよい。係る場合には、手動で操作レバー52の操作板部73をシール固定部61から離間させると同時に、ロック板部72をシール固定部61に近接させるようにする。
ストッパ54は、円柱状或いは角柱状に形成されており、シール固定部61においてレバー支持部62を挟んでノズル22と逆側に且つ平行に突設されている。ストッパ54の吐出寸法は、これに突き当てた操作レバー52がシール固定部61と略平行になる位置であり、ストッパ54は、操作された操作レバー52をシール固定部61と平行になる位置に位置規制する。なお、ストッパ54の形状は任意である。
ここで、図5を参照して、操作レバー52の操作(回動動作)について説明する。操作レバー52は、上記したように、レバー支持部62に対して回動自在に支持され、また圧縮コイルばね53によって、操作板部73をシール固定部61から離間させ且つロック板部72をシール固定部61に近接させる方向に付勢されている。圧縮コイルばね53に抗して操作板部73をシール固定部61に向って押し込む(実際には、操作レバー52とシール固定部61とを摘む)と、操作レバー52は、シール固定部61と平行になる位置で、ストッパ54に当接し固定解除位置となる(図5(a)参照)。これにより、ロック・アンロック機構24は、アンロック状態になる。すなわち、ノズル22に対し、ロック・アンロック機構24および可動シール部材23がスライド自在となる。これにより、可動シール部材23に対するノズル22の突出寸法が調整可能となる。
一方、操作した指の力を緩めると、圧縮コイルばね53によって操作レバー52が押し戻される。これにより、ロック板部72は、ノズル22に対して傾き、ロック孔71の両孔縁部76,76がノズル22をかじるように接触する(固定位置)。具体的には、ロック孔71において裏側の孔縁部76は先端側がノズル22にかじり、表側の孔縁部76は基端側がノズル22にかじる。これにより、ノズル22には曲げ力(偶力)が作用し、これにより生ずる強い摩擦力により、操作レバー52(ロック孔71)にノズル22が固定される(図5(b)参照)。また、接着剤注入時には、可動シール部材23を挿填穴8の開口部10に突き当てる押圧力が、ノズル22を介してロック孔71に作用する。これにより、ロック孔71がノズル22に強くかじり、ロック・アンロック機構24がノズル22にロックされ、すなわち可動シール部材23がノズル22に強固に固定される。
このように、ノズル22の吐出寸法は、操作レバー52を固定解除位置に移動した状態で、ノズル22に対し、ロック・アンロック機構24と共に可動シール部材23を進退させることで調整される。これにより、可動シール部材23とノズル22の吐出口42との離間寸法が長短調整され、挿填穴8の深さ方向の任意の位置に接着剤Rを注入することが可能になる。
実際の注入作業では、先ず挿填穴8の深さに対応し最深部に吐出口42が達するように、可動シール部材23に対するノズル22の突出寸法が調整され、この部分への接着剤Rの注入が行なわれる。続いて、ノズル22の突出寸法を挿填穴8の第1浮き部6に対応する位置に調整した後、接着剤Rの注入が行なわれることで、第1浮き部6に接着剤Rが広がるように注入される。そして最後に、ノズル22の突出寸法を挿填穴8の第2浮き部7に対応する位置に調整した後、接着剤Rの注入が行なわれることで、第2浮き部7に接着剤Rが広がるように注入される。
次に、図6および図7を参照して、上記の接着剤注入器11を用いた外壁1へのピンニング工法について説明する。このピンニング工法は、ハンマー等を用いて外壁1を打診し、その打診音に基づいて外壁1の要補修箇所、すなわちコンクリート躯体2とモルタル4との第1浮き部6、およびモルタル4と装飾材5との第2浮き部7を探査し、挿填穴8の穿孔位置を決定する。これに続いて、穿孔位置にマーキングが行われた後に行われ、仕上げ材3を貫通し且つ躯体2を所定の深さまで穿孔して挿填穴8を形成する穿孔工程と、接着剤注入器11により、開口部10を封止しつつ挿填穴8に接着剤Rを注入する接着剤注入工程と、接着剤Rが注入された挿填穴8に、仕上げ材3を躯体2にアンカリングするためのアンカーピン9を装填するピン装填工程と、を備えている。
穿孔工程では、ダイヤモンドコアドリル等の穿孔工具74を使用して、マーキングした外壁1の各穿孔位置に挿填穴8を穿孔する。すなわち、装飾材5およびモルタル4を貫通するようにしてコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔を行い、挿填穴8を形成する(図6(a)参照)。この際、外壁1に対する穿孔は直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上とする。また、挿填穴8は、アンカーピン9が遊嵌できるようにアンカーピン9より一回り大きな径(1mm〜2mm太径)のストレート穴に形成する。その後、コンクリート躯体2の切粉等を挿填穴8内から除去すべくブロア等で噴気、または真空集塵機等で吸引、清掃し除去する(図示省略)。もっとも、冷却水を用いる穿孔であって、冷却水と共に切粉が流出する場合には、この除去工程は、省略される。
接着剤注入工程では、ノズル22の突出寸法を十分に長く調整した後、ノズル22を挿填穴8の最深部に挿入する(図6(b)参照)。次に、ロック・アンロック機構24をアンロック状態にして、可動シール部材23のテーパ部45により開口部10を封止(押し付ける)し、ロック・アンロック機構24をロック状態にしてノズル22に対して固定する(図6(c)参照)。そして、注入器本体12のレバー16を操作(ポンピング)して、接着剤Rを挿填穴8に注入していく。ポンピングを開始すると、ノズル22の吐出口42から接着剤Rが吐出され、接着剤Rが挿填穴8の最深部から徐々に注入されてゆく。やがて、接着剤Rは第1浮き部6の手前の位置まで達する。
ここで、接着剤注入器(注入ノズル13)11の注入姿勢を維持したまま、ロック・アンロック機構24をアンロック状態にして、ノズル22の突出寸法を第1浮き部6の位置に合わせ、ロック・アンロック機構24をロック状態にし、再度ポンピングを開始する(図7(a))。ポンピングの重さから第1浮き部6への接着剤R注入を感覚的に察知できたら、続いて上記と同様に、ノズル22の突出寸法を第2浮き部7の位置に合わせるように調整する。ここで、再度ポンピングを行い、第2浮き部7へも接着剤Rを十分に注入する(図7(b)参照)。なお、第1浮き部6および第2浮き部7以外に、例えば調整モルタル等による他の浮き部があっても、上記と同様の手順で接着剤Rの注入を行なうようにする。
ピン挿填工程では、接着剤Rが注入された挿填穴8に対し、アンカーピン9のピン胴部を案内させながら挿填していく(図7(c)参照)。アンカーピン9は、挿填穴8内の接着剤Rを押し退けるように最深部に対し挿填されていく。それに伴い、接着剤Rは、ピン胴部となじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴8の開口部10に向かって押し出されていく。そして、アンカーピン9の先端が最深部に達するところで、アンカーピン9の頭部が開口部10を閉止する。
この場合、接着剤注入工程において、ノズル22を引き抜いた後に生ずる接着剤Rが注入されていない未注入部分の体積と、アンカーピン9の体積とがほぼ同一となるように構成しておけば、挿填穴8にアンカーピン9を挿入したときに、挿填穴8から接着剤Rがほとんど漏れ出ることなく、挿填穴8を接着剤Rでほぼ満たすことができる。なお、装飾材5にザグリ穴を形成し、この部分にアンカーピン9の頭部を係止してもよい(図示省略)。かかる場合には、別途開口部10を閉止する化粧キャップを設けるようにする。また、注入孔付きアンカーピンを用いる場合も、注入孔付きアンカーピンを装填する前に、上記のように接着剤Rを注入することが、好ましい。
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る注入ノズル13について説明する。この注入ノズル13では、付勢部材の構成が第1実施形態と異なっている。この場合、付勢部材は、回動支軸66に巻回されたねじりコイルばね75で構成されている。この場合、ねじりコイルばね75は、上記の圧縮コイルばね53と同様に、操作板部73をシール固定部61から離間させ且つロック板部72をシール固定部61に近接させる方向に付勢している。
以上の構成によれば、ノズル22に対しロック・アンロック機構24をアンロックにした状態でスライドさせ、ロックすることより、可動シール部材23に対するノズル22の突出寸法を自在に調整することができ、挿填穴8の最深部から浅い部分まで、所望の部分(浮き部6,7)に接着剤Rを満遍なく行き渡らせることができる。すなわち、第1浮き部6および第2浮き部7にも満遍なく接着剤Rを注入することができる。したがって、外壁1に対しアンカーピン9と接着剤Rとを有効に作用させることができ、外壁1の完璧な補修が可能となる。
接着剤注入器を、外壁の挿填穴に対して使用している状態の断面模式図である。 接着剤注入器の平面図である。 第1実施形態に係る注入ノズルの断面図である。 ロック・アンロック機構の分解外観斜視図である。 操作レバーの固定位置と固定解除位置を説明するための説明図である。 (a)は本実施形態に係るピンニング工法の穿孔図であり、(b)は注入ノズルの挿入図であり、(c)はロック・アンロック機構を固定した図である。 (a)は第1浮き部への接着剤注入図である。(b)は第2浮き部への接着剤注入図であり、(c)はアンカーピンのピン挿填図である。 第2実施形態に係る注入ノズルの分解斜視図である。
符号の説明
2…コンクリート躯体 3…仕上げ材 6…第1浮き部 7…第2浮き部 8…挿填穴 9…アンカーピン 10…開口部 11…接着剤注入器 12…注入器本体 13…注入ノズル 21…本体ジョイント部 22…ノズル 23…可動シール部材 24…ロック・アンロック機構 42…吐出口 51…本体保持部 52…操作レバー 53…圧縮コイルばね 54…ストッパ 71…ロック孔 75…ねじりコイルばね 76…孔縁部 R…接着剤

Claims (8)

  1. 注入器本体に装着して用いられ、
    仕上げ材を貫通し且つ躯体を所定の深さまで穿孔した挿填穴に、その開口部を封止しつつ接着剤を注入するピンニング工法用の注入ノズルにおいて、
    基端側が前記注入器本体に着脱自在に装着される本体ジョイント部と、
    基端部が前記本体ジョイント部の先端側に固定され、先端部に吐出口を有すると共に前記挿填穴に挿入されるノズルと、
    前記ノズルに対してスライド自在に装着され、前記接着剤注入時に前記挿填穴の前記開口部に当接し且つこれを封止する可動シール部材と、
    前記可動シール部材を保持すると共に前記ノズルの任意の位置に固定するロック・アンロック機構と、備え、
    前記ロック・アンロック機構は、前記可動シール部材を保持すると共に、前記ノズルに対してスライド自在に装着された本体保持部と、
    前記ノズルが遊挿されるロック孔を有し、前記ノズルに対し傾くことで前記ロック孔の孔縁部が前記ノズルをかじってこれに固定される固定位置と前記傾きを解除する固定解除位置との間で、前記本体保持部に回動自在に支持された操作レバーと、を有することを特徴とする注入ノズル。
  2. 前記ロック・アンロック機構は、前記操作レバーを固定位置に向って付勢する付勢部材を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の注入ノズル。
  3. 前記ロック・アンロック機構は、前記操作レバーの回動を前記固定解除位置に位置規制するストッパを、さらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の注入ノズル。
  4. 前記操作レバーは、前記ロック孔を形成したロック板部と、指掛け部分となる操作板部とで板状に形成され、
    前記ロック板部と前記操作板部との境界部分で、前記本体保持部に回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の注入ノズル。
  5. 前記付勢部材は、前記本体保持部と前記操作板部との間に介設されたコイルばねであることを特徴とする請求項4に記載の注入ノズル。
  6. 前記ストッパは、前記本体保持部に突設され前記操作板部に向って延びるピン状のもので構成され、
    前記コイルばねは、前記ストッパを囲むように前記ストッパと同軸上に配設された圧縮コイルばねであることを特徴とする請求項5に記載の注入ノズル。
  7. 前記付勢部材は、前記本体保持部に対する前記操作レバーの回動軸に巻回したねじりコイルばねであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の注入ノズル。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の注入ノズルと前記注入ノズルを装着した前記注入器本体とから成る接着剤注入器を用い、躯体および仕上げ材から成る壁体を補修するピンニング工法において、
    前記仕上げ材を貫通し且つ前記躯体を所定の深さまで穿孔して前記挿填穴を形成する穿孔工程と、
    前記接着剤注入器により、前記開口部を封止しつつ前記装填穴に前記接着剤を注入する接着剤注入工程と、
    前記接着剤が注入された前記挿填穴に、前記仕上げ材を前記躯体にアンカリングするためのアンカーピンを装填する装填工程と、を備えたことを特徴とするピンニング工法。
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