JP3141455B2 - 全自動洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、洗濯兼脱水槽（以下、
洗濯槽という）内に投入された衣類などの洗濯物の質を
検知し、洗濯時の水流の強さを変更可能とする洗濯機に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、全自動洗濯機は洗濯兼脱水槽内の
布量を判定し、布量に応じた給水水位、水流、洗濯時間
などを自動的に設定するものが主流となっている。

【０００３】従来、この種の全自動洗濯機は、洗濯兼脱
水槽に所定水位まで給水した後、パルセータを複数回オ
ン、オフ駆動し、オフ時のモータの逆起電力によりモー
タの回転数を検知して洗濯兼脱水槽内の布量を判定し、
布量に応じた給水水位、水流、洗濯時間などを自動的に
設定すると共に水流は各水位別に一定の強さの水流とし
ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の全自
動洗濯機では、機体の経時変化、たとえばモータとパル
セータとの間のベルトの張力の経時変化などに対して補
正できないという問題と水位別に単一の水流であったた
め、タオルケットなどを洗濯すると、洗濯時の水流が左
右回転方向に強すぎるため、洗濯槽から洗濯水が飛び散
り、床面などに洗濯水が大量に滴下してしまうという問
題も有していた。

【０００５】本発明は、上記課題を解決するもので、洗
濯運転時に複数の水流に分け洗浄効果を損なうことな
く、床面などへの洗濯水の大量滴下を防止することを目
的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、洗濯兼脱水槽に回転自在に配設したパルセ
ータと、前記パルセータを反転駆動し水流を生成するモ
ータと、前記モータの回転角を検知する回転角検知手段
と、前記回転角検知手段の出力により前記洗濯兼脱水槽
内の布量を判定する布量判定手段と、前記モータの駆動
を制御する制御手段と、反転時限が異なる複数の水流の
うち１つを選択する水流選択手段とを備え、前記布量判
定手段は、前記制御手段により前記洗濯兼脱水槽に給水
前に前記モータを所定時間Ｔ１駆動後所定時間Ｔ２休止
する動作を複数回行ったとき、休止期間Ｔ２内の前半に
前記回転角検知手段の出力により布量を判定する布量判
定所定時間Ｔ３と、前記布量判定所定時間Ｔ３経過後か
ら休止期間Ｔ２終了までの後半に、前記回転角検知手段
の出力によりモータ、パルセータ間のベルト張力を検知
するベルト張力判定時間Ｔ４でのベルト張力判定手段を
具備し、前記ベルト張力判定手段の張力で布量判定の出
力を補正する前記布量判定手段とし、前記布量判定手段
により布量に応じた水位まで給水した後、前記水流選択
手段内の少なくとも水流の反転時限の休止時間での前記
回転角検知手段を用いた水流検知手段を具備し、前記水
流検知手段により水流を選択するようにしたことを課題
解決手段としている。

【０００７】

【作用】本発明は上記した課題解決手段により、所定時
間Ｔ３経過後休止期間終了までのＴ４での回転角検知手
段の出力により、ベルト張力などを補正でき、布量判定
精度を向上でき、洗濯槽内に投入された衣類などの洗濯
物の質を検知し、洗濯時の水流の強さを変更可能とし、
タオルケットなどを洗う時の洗濯水の床面大量滴下を防
止できる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１および図２に
基づいて説明する。

【０００９】図に示すように、洗濯兼脱水槽１は中央底
部にパルセータ２を回転自在に配設している。水槽３は
洗濯兼脱水槽１を内包し、外底部に基板４を固着してモ
ータ５、排水弁６、洗濯兼脱水切替機構７などを配設し
ている。基板４の外縁部は防振装置８、吊り棒９を介し
て外枠１０の上部角隅より垂下支持されている。外枠１
０の上部には上部カバー１１を設け、給水弁１２、電源
スイッチ１３、制御装置１４などを配設している。エン
コーダ（回転角検知手段）１５はモータ５の回転角を検
知するもので、モータ５の１回転ごとに６個のパルスを
出力し、その出力を制御装置１４に入力している。制御
装置１４は、エンコーダ１５の出力パルス数をカウント
するパルスカウンタ１６と、このパルスカウンタ１６の
出力により布量を判定する布量判定手段１７と、マイク
ロコンピュータよりなる制御手段１８と、制御手段１８
からの信号によりモータ５、排水弁６、給水弁１２など
を制御するパワースイッチング手段１９と、操作パネル
２０内に配設したキースイッチおよび表示装置などから
なる操作表示手段２１と、水位検知手段２２、記憶手段
２３、汚れ検知手段２４などで構成している。なお、２
５は交流電源、２６はモータ５の進相コンデンサであ
る。

【００１０】上記構成において図３から図７を参照しな
がら動作を説明すると、まず、図３のステップ３０で洗
濯兼脱水槽１に洗濯物を入れ、電源スイッチ１３を投入
し、ステップ３１で操作表示手段２１のスタートスイッ
チ（図示せず）を押すと、ステップ３２へ進み、モータ
５を図４に示すように、右方向に0.1 秒駆動し0.3 秒休
止した後、0.3 秒（所定時間Ｔ１）駆動する。その後、
1.5 秒（所定時間Ｔ２）休止した後、左方向に0.1 秒駆
動し0.3 秒休止した後、0.3 秒（所定時間Ｔ１）駆動
し、その後、1.5 秒（所定時間Ｔ２）休止する。この動
作を複数回くり返す。0.3 秒（所定時間Ｔ１）駆動する
と、モータ５の回転数は、図５に示すように上昇する。
このとき、モータ５の回転数の立ち上がりは電源電圧、
洗濯物の量、ベルト２７の張力などによって異なるが、
この0.3 秒間（所定時間Ｔ１）駆動する間にモータ５の
回転数は所定値まで立ち上がるようにしている。

【００１１】つぎに、図３のステップ３３へ進み、休止
期間の始めから0.4 秒（布量判定所定時間Ｔ３）までの
エンコーダ１５の出力パルス数をパルスカウンタ１６で
カウントし、ステップ３４で布量判定手段１７により布
量（洗濯物の量）を判定する。すなわち、パルスカウン
タ１６の検知パルス数は、図６(b) に示すように、布量
によってことなり、この検知パルス数により布量を判定
できる。なお、図６(b) において、曲線(イ)は布量が少
なく、曲線(ロ)は布量が多い場合を示している。

【００１２】一方、モータ５の回転数、いいかえればパ
ルスカウンタ１６の検知パルス数は、前述のようにベル
ト２７の張力によって影響を受ける。すなわち、図６
(c) に示すように、ベルト張力が小さい場合（曲線
(ハ)）は、検知パルス数が多く、ベルト張力が大きい場
合（曲線(ニ)）は、検知パルス数は少なくなる。ベルト
張力は、洗濯機本体の使用時間とともに低下するため、
布量の検知精度を向上するためには、ベルト張力による
補正が必要となる。本発明者らは、布量判定所定時間Ｔ
３経過後休止期間終了までの期間（ベルト張力判定時間
Ｔ４）での検知パルス数とベルト張力との間に相関があ
ることを見い出し、ベルト張力判定時間Ｔ４の検知パル
ス数によって（表１）に示すように、ベルト張力を判定
するようにしている。

【００１３】

【表１】

【００１４】布量判定手段１７が布量を判定するとき、
この判定したベルト張力に基づいて、補正を行う。すな
わち、（表２）に示すように、布量判定所定期間Ｔ３の
検知パルス数によって布量を判定するとき、ベルト張力
によって判定レベルをシフトして補正する。なお、（表
２）における判定レベルは、布量に応じた給水水位を示
している。たとえば、電源周波数が５０ＨＺで運転して
いるとき、布量判定所定時間Ｔ３での検知パルス数が５
０で、ベルト張力判定時間Ｔ４での検知パルス数が３０
であるとき、ベルト張力は（表１）より３００ｇと判定
し、布量は（表２）より「中」と判定する。つぎに、布
量判定所定時間Ｔ３での検知パルス数が５０で、ベルト
張力判定時間Ｔ４での検知パルス数が６０であるとき、
ベルト張力は（表１）より１００ｇと判定し、布量は
（表２）より「高」と判定する。

【００１５】

【表２】

【００１６】以上のようにして布量を判定した後、図３
のステップ３５へ進み、操作表示手段２１に布量に応じ
た洗剤量と水位を表示して使用者に知らせ、ステップ３
６で所定水位まで給水し、ステップ３７へ進み、撹拌を
開始する。

【００１７】なお、布量を判定した後の水流、洗濯時
間、すすぎ回数、脱水時間などは布量に応じて制御する
ことはいうまでもない。

【００１８】

【表３】

【００１９】さらに、図３のステップ３８へ進み、水流
内で（表３）に示すモータの反転時限にて１０〜３０回
の正逆反転の攪拌を行い回転角検知手段を用いパルスカ
ウンタ１６の検知パルス数による水流検知を実施すると
図７に示すように水位とパルス数の関係により、普通衣
類とタオルケット等を判別可能であり、各水位別水流判
別値はベルト張力によりパルス数差（ａ１，ｂ１，ａ
２，ｂ２，ａ３，ｂ３，ａ４，ｂ４，）があるため、前
記に示した布量判定手段内で布量判定時間Ｔ３経過後休
止期間終了までのベルト張力判定時間Ｔ４での回転角検
知手段の出力によりモータ、パルセータ間のベルト張力
を検知するベルト張力判定手段を用い、ベルト張力別に
水流判別値を設定する。これにより普通衣類とタオルケ
ット等の判別精度を向上でき、判別後は（表３）に示す
洗濯物別水流にて洗濯することにより洗濯運転時に複数
の水流に分け洗浄効果を損なうことなく、床面などへの
洗濯水の大量滴下を防止することが可能となる。

【００２０】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
によれば、洗濯兼脱水槽に回転自在に配設したパルセー
タと、前記パルセータを反転駆動し水流を生成するモー
タと、前記モータの回転角を検知する回転角検知手段
と、前記回転角検知手段の出力により前記洗濯兼脱水槽
内の布量を判定する布量判定手段と、前記モータの駆動
を制御する制御手段と、反転時限が異なる複数の水流の
うち１つを選択する水流選択手段とを備え、前記布量判
定手段は、前記制御手段により前記洗濯兼脱水槽に給水
前に前記モータを所定時間Ｔ１駆動後所定時間Ｔ２休止
する動作を複数回行ったとき、休止期間Ｔ２内の前半に
前記回転角検知手段の出力により布量を判定する布量判
定所定時間Ｔ３と、前記布量判定所定時間Ｔ３経過後か
ら休止期間Ｔ２終了までの後半に、前記回転角検知手段
の出力によりモータ、パルセータ間のベルト張力を検知
するベルト張力判定時間Ｔ４でのベルト張力判定手段を
具備し、前記ベルト張力判定手段の張力で布量判定の出
力を補正する前記布量判定手段とし、前記布量判定手段
により布量に応じた水位まで給水した後、前記水流選択
手段内の少なくとも水流の反転時限の休止時間での前記
回転角検知手段を用いた水流検知手段を具備し、前記水
流検知手段により水流を選択するようにしたことによ
り、回転角検知手段の出力により布量判定レベルを補正
するようにすると共に、所定時間Ｔ３経過後休止期間終
了までの回転角検知手段の出力によりベルト張力などを
補正でき、布量判定精度を向上でき、洗濯槽内に投入さ
れた衣類などの洗濯物の質を検知し、洗濯時の水流の強
さを変更可能とし、洗浄効果を損なうことなく、タオル
ケットなどを洗う時の洗濯水の床面大量滴下を防止でき
るのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の全自動洗濯機のブロック図

【図２】同全自動洗濯機の縦断面図

【図３】同全自動洗濯機の要部動作フローチャート

【図４】同全自動洗濯機の布量判定時にモータに印加す
る電圧波形図

【図５】同全自動洗濯機の布量検知時のモータの回転数
を示す図

【図６】同全自動洗濯機の布量検知時の動作タイムチャ
ート

【図７】同全自動洗濯機の水流判定検知時のパルス数を
示す図

【符号の説明】

１ 洗濯兼脱水槽 ２ パルセータ ５ モータ １５ エンコーダ（回転角検知手段） １７ 布量判定手段 １８ 制御手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−122499（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−137387（ＪＰ，Ａ) 特公 昭63−28602（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平３−27000（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D06F 33/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯兼脱水槽に回転自在に配設したパル
   セータと、前記パルセータを反転駆動し水流を生成する
   モータと、前記モータの回転角を検知する回転角検知手
   段と、前記回転角検知手段の出力により前記洗濯兼脱水
   槽内の布量を判定する布量判定手段と、前記モータの駆
   動を制御する制御手段と、反転時限が異なる複数の水流
   のうち１つを選択する水流選択手段とを備え、前記布量
   判定手段は、前記制御手段により前記洗濯兼脱水槽に給
   水前に前記モータを所定時間Ｔ１駆動後所定時間Ｔ２休
   止する動作を複数回行ったとき、休止期間Ｔ２内の前半
   に前記回転角検知手段の出力により布量を判定する布量
   判定所定時間Ｔ３と、前記布量判定所定時間Ｔ３経過後
   から休止期間Ｔ２終了までの後半に、前記回転角検知手
   段の出力によりモータ、パルセータ間のベルト張力を検
   知するベルト張力判定時間Ｔ４でのベルト張力判定手段
   を具備し、前記ベルト張力判定手段の張力で布量判定の
   出力を補正する前記布量判定手段とし、前記布量判定手
   段により布量に応じた水位まで給水した後、前記水流選
   択手段内の少なくとも水流の反転時限の休止時間での前
   記回転角検知手段を用いた水流検知手段を具備し、前記
   水流検知手段により水流を選択するようにした全自動洗
   濯機。