JP3138084B2 - 織機の空打ち起動方法 - Google Patents

織機の空打ち起動方法

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JP3138084B2 JP04290717A JP29071792A JP3138084B2 JP 3138084 B2 JP3138084 B2 JP 3138084B2 JP 04290717 A JP04290717 A JP 04290717A JP 29071792 A JP29071792 A JP 29071792A JP 3138084 B2 JP3138084 B2 JP 3138084B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、織機を空打ちしながら
起動させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭61−124651号公報は、空
打ち起動に際し、正規の製織運動へ移行したサイクルで
開口位相を実際の織布の織物組織の位相と一致させるた
めに、織機の起動に先立って、空打ち回数と同じ回数だ
け織機を逆転させ、その後に、空打ち起動させることを
開示している。
【0003】ところが上記起動方法では、逆転中に筬打
ち運動を伴うので、逆転筬打ち運動によって、織り前の
状態が変化し、織り段が発生する。この織り段の発生理
由は不明であるが、たて糸が閉じる過程で筬打ちされる
場合と、たて糸が開く過程で筬打ちされる場合とでは、
よこ糸の打ち込み状態が異なるからと推測される。
【0004】
【発明の目的】したがって、本発明の目的は、電子ドビ
ー装置付の織機の起動に際して、開口位相と織物組織の
位相とを一致させ、かつ織り段の発生のない状態で織機
を起動させることである。
【0005】
【発明の解決手段】上記目的の下に、本発明は、織機の
起動に際し、電子ドビー装置のソレノイド選択開口パタ
ーンの選択ステップを所定の空打ち回数に応じた値だけ
戻しておき織機の起動後、所定の空打ち回数の空打ちサ
イクルの期間で開口運動、筬打ち運動を行うが、緯入れ
運動、送り出し運動および巻取り運動を行わないで、空
打ち運転を行い、空打ちサイクルから移行した最初の通
常サイクルにおいて、開口位相と織物組織の位相とを一
致させるようにしている。
【0006】なお、多色織機の場合は、開口位相のみな
らず緯入れの位相をも一致させる必要がある。すなわ
ち、開口位相に対応した緯糸が選択されて緯入れされる
必要がある。一般に、多色織機においては、緯糸の選択
ステップは、電子ドビー装置の開口の選択ステップに連
動している。したがって、この発明を多色織機に適用す
る場合には、この発明の開口位相とは、緯入れ位相と同
義に解釈されるべきものである。
【0007】また本発明では、空打ちサイクルから移行
した最初の通常サイクルにおいて、織物組織の位相と一
致した通常の開口位相が得られれば足りることから、そ
れ以前の空打ち初期のサイクルは、製織用の通常の開口
パターンとは異なる適当な開口パターン例えば平織りパ
ターンで開口運動させ、通常サイクル直前で通常の開口
パターンを実現することも考えられる。しかし、これは
次の理由から好ましくない。すなわち、空打ち運動によ
って、織布として未完成な織り前状態を通常運転時と同
じ状態に復元させるためには、通常運転時と同じ状態の
開口パターンで筬打ちさせたほうが実際に近いという観
点からである。
【0008】
【実施例】図1は、織機1の主要部分と制御装置2との
関係を示している。制御装置2は入力側で、緯入れフィ
ーラなどの緯原因センサ3、ドロッパー装置などの経原
因センサ4、その他の停止原因センサ5、運転釦(スイ
ッチ)6、停止釦(スイッチ)7、レベリング装置10
に対する設定釦(スイッチ)8、復帰釦(スイッチ)
9、主モータ15に連結された回転検出器18の他、電
子ドビー装置19、緯糸自動修復装置22に接続されて
おり、また出力側で、電子ドビー装置19、筬打ち制御
装置11、緯入れ制御装置12、送り出し制御装置1
3、巻取り制御装置14、主軸17に連結された主モー
タ15の回転制御部16、制動装置21、緯糸自動修復
装置22などに接続されている。なお図示しないが、入
力側では、逆転釦や正転釦等の他の操作釦も接続されて
いる。
【0009】上記電子ドビー装置19は、例えば特開平
4−91257号公報に記載されているように、メモリ
や電子回路これらによって駆動される多数のソレノイド
を備えており、予め設定された開口パターンのプログラ
ムにもとづいてソレノイド群を操作し、もって開口装置
20を駆動する。開口装置20は、ソレノイド群の動作
状態に対応してヘルド枠を上下動させ、所望の開口パタ
ーンを実現する。通常電子ドビー装置19の出力は、経
糸の閉口期間の近くで経糸クロスタイミングを中心と
し、実現される実際の開口パターンに対して1サイクル
だけ先行した時期に開口装置20に与えられる。
【0010】次に、図2、3、4は、織機の起動プログ
ラムを示している。なお、これらの実施例は、織機の停
止中に開口装置をレベリング状態で待機させることによ
り、停台中の経糸の伸びを抑え、経糸の伸びによる織段
の発生を防止している。これらの起動プログラムは、制
御装置2の内部に予め格納されており、レベリング状態
をスタートの条件として開始される。
【0011】これらの起動プログラムにおいて、制御装
置2は、運転釦6からの運転指令を入力したとき、主モ
ータ15を回転させ、主軸17を駆動することにより、
これと同期した状態で、筬打ち運動、緯入れ運動、送り
出し運動および巻取り運動を実行し、製織を行ってい
く。
【0012】織機1の運転中に、緯原因として緯入れ不
良、または経原因として経糸切れが発生すると、緯原因
センサ3または経原因センサ4は、停止指令の信号を出
力して、制御装置2に送り込む。もちろん、これ以外の
停止原因が停止原因センサ5によって検出されたとき、
あるいは操作員によって、停止釦7がオンの状態に設定
されたときも、制御装置2に停止指令が与えられる。
【0013】このとき、制御装置2は、停止原因の発生
サイクルの次のサイクルで緯入れ制御装置12によって
緯入れを阻止し、主軸17の制動装置21を働かせて、
260度近くで停止させ、レベリング装置10にレベリ
ング指令を与えた後、織機1(主軸17)を300度近
くまで自動的に逆転させ、その位置でレベリング状態に
設定して待機させる。なお、レベリング状態を実現する
ためには、公知の手法を採用できるが、この起動プログ
ラムにおける具体的な手法は、後述する。
【0014】その後に、作業員が到着すると、起動プロ
グラムに基づいて、緯糸または経糸等の必要な補修が行
われる。なお、緯糸自動修復装置22が付設される場
合、制御装置2は、レベリング装置10を作動させるこ
となく、織機1を緯原因の発生サイクルの180度近く
まで逆転させ、そこで緯糸自動修復装置22を動作させ
る。修復が成功すれば、さらに300度近くまで逆転さ
せた後にそのまま織機1を起動させる。修復が失敗した
場合は、制御装置2は、レベリング装置10にレベリン
グ指令を与えた後、織機1を300度近くまで自動的に
逆転または正転させ、レベリング状態に設定して待機さ
せる。この場合も、その後に作業員が到着すると、起動
プログラムに基づいて、緯糸の補修が行われる。
【0015】図2の起動プログラムにおいて、開口装置
20がレベリング状態に設定されていることを条件とし
て、プログラムが開始され、まず、復帰釦9がオンの状
態に設定操作されているかどうかの判断がなされ、オン
の状態に設定操作されているとき、レベリング装置10
によってレベリング状態が解除される。次に停止原因が
緯原因かそれ以外の原因かの判断がなされ、停止原因に
応じたシーケンスが選択される。なお、レベリング状態
の解除も、公知の手法により実現される。例えば、先に
変更したレベリング用の開口パターン(例えば平織りパ
ターン)を製織用の通常の開口パターンに戻し、織機1
を所定量回転させることにより、実現することができ
る。
【0016】停止原因が緯原因であるとき、織機1を不
良緯糸の存在するサイクルの口出し開口位置(例えば1
80度近く)まで自動的に回転させ、そこで、停止させ
る。作業員により緯補修が行われ、その後に運転釦6が
オン操作されたとき、起動位置(例えば300度近く)
まで織機1を自動的に回転させ、停止させた後に、織機
1を自動的に起動させ、一連の起動操作を終了する。停
止原因=緯?のステップで、停止原因が緯原因以外であ
るとき、織機1を起動位置まで自動的に回転させ、停止
させる。停止原因が経原因の場合には、この停止位置で
作業員により経補修が行われる。その後に、運転釦6が
オンの状態に設定操作されたとき、そのまま織機1を起
動させ、一連の操作を終了する。なお、経補修は、作業
員が到着した直後の織機1がレベリング状態にあるとき
に行うようにしてもよい。一般に経補修は、経糸を閉口
状態に設定して行うものだから、上述の一連の操作の過
程で経糸が閉口状態にある任意の時期に経補修を行うこ
とができるからである。
【0017】この起動プログラムによると、停止原因に
かかわらず、常に復帰釦9の操作後に、運転釦6を操作
するという統一した操作手順で起動操作を行わせるよう
になっているので、作業員の判断ミスによって、織り段
が発生するのを防止することができる。なお、緯原因に
よる停止とは、緯入れ不良による停止の他、緯糸自動修
復装置22が付設されているときには、当該装置の修復
失敗の場合も含む。
【0018】次に図3の起動プログラムでは、停止原因
が緯原因であるとき、図2の動作と全く同じ操作手順に
よって起動動作が行われる。ただ、停止原因=緯?のス
テップで、停止原因が緯原因以外の原因であるとき、図
2のものと異なり、起動位置停止のステップが行われ
ず、すぐに運転釦6のオン状態の判断に移り、以下のプ
ログラムを実行していく。なお、この起動プログラムに
おいて、停止原因が経原因の場合、経補修は、織機1が
レベリング状態にあるときに行うのが好ましい。図2の
起動プログラムと異なり、運転釦6を操作する時点で、
織機1は、口出し開口位置(180度近く)に位置し、
経補修を行うのが困難だからである。
【0019】この起動プログラムでは、図2のものの効
果に加え、運転釦6が操作されたときのシーケンスを停
止原因にかかわらず同一としたので、予期しない動作に
より作業員がとまどうおそれがなく、安全性の点で好ま
しい。
【0020】そして、図4の起動プログラムは、前記の
起動プログラムにおいてレベリング解除のために復帰釦
9を操作していたところを、これに代えて、運転釦6を
操作するように変更したものである。すなわち、復帰釦
9を省略し、この復帰釦9の機能を運転釦6に兼用させ
たものである。運転釦6が操作されると、レベリング状
態が解除され、停止原因=緯?のステップで、停止原因
が緯原因以外であるとき、織機1を起動位置で停止させ
るステップに直接移り、また停止原因が緯原因であると
き、口出し開口位置での停止後に、運転釦6オフの判断
が行われ、運転釦6が一旦オフになったことを確認し、
次に、運転釦6のオンの判断が行われた後、起動位置の
停止へのステップへと移行する。なお、この起動プログ
ラムにおいて、停止原因が経原因の場合、経補修は、織
機1がレベリング状態にあるときに行うことになる。レ
ベリング解除のために運転釦6を操作した後は、織機1
が自動的に起動されるからである。
【0021】この起動プログラムでは、停止原因にかか
わらず、常に運転釦6のみを操作するという統一した操
作手順で、レベリング解除および起動操作を行わせるよ
うになっているのでき、作業員の判断ミスによって、織
り段が発生するのを防止できる。
【0022】以上、図2、図3および図5の起動プログ
ラムにおいて、停止原因=緯?の判断は、いずれもレベ
リング解除実行後に行わせるようにしたが、これに代え
て、レベリング解除のために復帰釦9または運転釦6を
操作したときに行わせるようにしてもよい。
【0023】
【起動シーケンスの具体例】図5、6、7は、上述の図
2の起動プログラムに関して、停止原因に応じた起動シ
ーケンスの具体例を示している。これらの各図で上方部
分の斜め格子状の図形は、経糸の実際の開口パターンを
模写的に示しており、また開口内の記号○、×、△は、
それぞれ正常な緯入れ、緯止めまたは経止め原因発生、
緯入れ禁止の状態を示している。
【0024】これらの起動シーケンスにおいて、織機1
が停止原因の発生によって停止した後、織機1を自動的
にレベリング状態に設定し、このレベリング状態で作業
員の到着を待つ。このため、織機1の停止後、電子ドビ
ー装置19のソレノイド選択出力を反転させ、その後に
織機1を自動的に逆転させることにより、織機1の1回
転以内にレベリング状態となるように設定する。この反
転パターンについては図9で詳述する。レベリング状態
から通常開口状態に戻す復帰動作つまりレベリング状態
の解除は、復帰釦9をオン操作することにより行われ
る。
【0025】緯原因により不良緯糸を抜く必要があると
き、逆転時の停止位置は、180度近くの口出し開口位
置であり、緯原因以外の原因のとき、停止位置は、30
0度近辺の閉口位置である。
【0026】これらのシーケンスにおいては、起動に際
しての筬打ち力不足を補う等の目的で、空打ち運転を採
用している。なお、この空打ち運転方法は、本発明の要
部であり、その具体例は、後に詳細に説明する。運転釦
6がオン操作されたとき、停止角度が180度の時であ
れば、起動角度の300度まで自動逆転後、また停止角
度が300度の時であれば、ただちに電子ドビー装置1
9のステップを起動に際して行う空打ち運転の空打ち回
数N例えば1に応じた値だけ戻す。
【0027】このステップの戻し操作は、制御装置2か
ら電子ドビー装置19に対して、必要な数のパルスを順
次与えるシリアル方式により、あるいは必要なビットパ
ターンをパラレル方式により与えることにより実現され
る。その後、空打ち回数Nに応じた所定ピックだけ、送
り出し、巻取りを停止させ、緯入れをしないで、開口運
動と筬打ち運動のみを動作させてから、通常運転状態に
移る。
【0028】次に各図にもとづいて、具体的に説明す
る。前述の通り、これらの図で上方部分の斜め格子状の
図形は、たて糸の実開口パターンを模写的に示してお
り、また開口内の記号○、×、△は、それぞれ正常な緯
入れ、緯止めまたは経止め原因発生、緯入れ禁止の状態
を示している。そして起動時の空打ち回数(N)は一例
として1回の場合を示す。
【0029】図5の(1)〔経止めのときの起動シーケ
ンス〕 このシーケンスは、経止めの停止原因が発生したときの
例を示している。このときのシーケンスは、下記の通り
である。なお、起動時の空打ち動作は、本発明の要部で
あり、後に詳しく説明されている。
【0030】織機の正常運転中→経停止原因の発生→停
止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ禁止→260
度近くでの停止→レベリング指令→自動逆転(レベリン
グ動作)→300度(起動角度)で停止(待機)→作業
員による手動経補修→作業員による復帰釦操作→自動1
回転正転(レベリング解除動作)→300度で停止→自
動逆転→経不良サイクルでの300度で停止→作業員に
よる運転釦操作→ドビー装置のソレノイド選択開口パタ
ーンの所定ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステッ
プ(1ステップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の継
続+緯入れ・送り出し・巻取り運動の不作動)→経不良
サイクルの0度通過→正常運転再開
【0031】このシーケンスでは、作業員による手動経
補修は、レベリング状態にて行うようにしたが、これに
代えて、レベリング状態解除動作後の起動角度300度
位置にて行うようにしてもよい。
【0032】図5の(2)〔緯止め(自動緯補修なし)
のときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯糸自動修復装置22が付設されて
おらず、緯止めの停止原因が発生したときの例を示して
いる。このときのシーケンスは、下記の通りである。
【0033】織機の正常運転中→緯停止原因の発生→停
止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ禁止→260
度近くでの停止→レベリング指令→自動逆転(レベリン
グ動作)→300度(起動角度)で停止(待機)→作業
員による復帰釦操作→自動1回転正転(レベリング解除
動作)→300度で停止→自動逆転→緯入れ不良サイク
ルでの180度(口出し開口角度)で停止→作業員によ
る手動緯補修→作業員による運転釦操作→自動逆転→停
止原因発生サイクルの1つ前のサイクルでの300度で
停止→ドビー装置のソレノイド選択開口パターンの所定
ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステップ(1ステ
ップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の継続+緯入れ
・送り出し・巻取り運動の不作動)→緯不良サイクルの
0度通過→正常運転再開
【0034】図5の(3)〔緯止め(自動緯補修なし)
+経止めのときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯止めと経止めの停止原因が同じサ
イクルで同時に発生したときの例を示している。このと
きのシーケンスは、下記の通りである。
【0035】織機の正常運転中→緯停止原因・経停止原
因の発生→停止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ
禁止→260度近くでの停止→レベリング指令→自動逆
転(レベリング動作)→300度(起動角度)で停止
(待機)→作業員による手動経補修→作業員による復帰
釦操作→自動1回転正転(レベリング解除動作)→30
0度で停止→自動逆転→緯入れ不良サイクルでの180
度(口出し開口角度)で停止→作業員による手動緯補修
→作業員による運転釦操作→自動逆転→停止原因発生サ
イクルの1つ前のサイクルでの300度で停止→ドビー
装置のソレノイド選択開口パターンの所定ステップ(1
ステップ)の戻し→所定ステップ(1ステップ)の空打
ち起動(開口・筬打ち運動の継続+緯入れ・送り出し・
巻取り運動の不作動)→経・緯不良サイクルの0度通過
→正常運転再開
【0036】このように、緯止めと経止めの停止原因が
同時に発生したときは、緯止めの場合の図5(2)のシ
ーケンスと同一となる。なお、このシーケンスでも、図
5の(1)の例と同様、作業員による手動経補修は、レ
ベリング状態解除動作後に行わせるようにしてもよい。
【0037】図6の(1)〔緯止め(自動緯補修成功)
のときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯糸自動修復装置22が付設されて
おり、緯止めの停止原因が発生し、その自動修復動作が
成功したときの例を示している。このときのシーケンス
は、下記の通りであり、レベリング動作を行っていな
い。
【0038】織機の正常運転中→緯停止原因の発生→停
止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ禁止→260
度近くでの停止→自動逆転→停止原因発生サイクルの1
80度(口出し開口角度)で停止→自動緯補修動作→自
動逆転→停止原因発生サイクルの1つ前のサイクルでの
300度で停止→ドビー装置のソレノイド選択開口パタ
ーンの所定ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステッ
プ(1ステップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の継
続+緯入れ・送り出し・巻取り運動の不作動)→緯不良
サイクルの0度通過→正常運転再開
【0039】図6の(2)〔緯止め(自動緯補修失敗)
のときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯止めの停止原因が発生し、かつ緯
補修が緯糸自動修復装置22によって、失敗したときの
例を示している。このときのシーケンスは、下記の通り
である。
【0040】織機の正常運転中→緯停止原因の発生→停
止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ禁止→260
度近くでの停止→自動逆転→停止原因発生サイクルの1
80度で停止→自動緯補修動作→自動緯補修失敗→自動
正転→300度で停止→レベリング指令→自動逆転(レ
ベリング動作)→300度(起動角度)で停止(待機状
態)→作業員による復帰釦操作→自動1回転正転(レベ
リング解除動作)→300度で停止→自動逆転→緯入れ
不良サイクルでの180度(口出し開口角度)で停止→
作業員による手動緯補修→作業員による運転釦操作→停
止原因発生サイクルの1つ前のサイクルでの300度で
停止→ドビー装置のソレノイド選択開口パターンの所定
ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステップ(1ステ
ップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の継続+緯入れ
・送り出し・巻取り運動の不作動)→緯不良サイクルの
0度通過→正常運転再開
【0041】このシーケンスは、緯補修失敗の結果、緯
糸自動修復装置22が付設されていない場合と等価とな
り、復帰釦9の操作後は、前述の図5(2)のシーケン
スと同一である。
【0042】図6の(3)〔緯止め(自動緯補修成功)
+経止めのときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯止めと経止めの停止原因が同じサ
イクルで同時に発生しかつ緯補修が緯糸自動修復装置2
2によって、成功したときの例を示している。このとき
のシーケンスは、下記の通りである。
【0043】織機の正常運転中→緯停止原因・経停止原
因の発生→停止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ
禁止→260度近くでの停止→自動逆転→停止原因発生
サイクルの180度(口出し開口角度)で停止→自動緯
補修動作→自動正転→300度での停止→レベリング指
令→自動逆転(レベリング動作)→300度(起動角
度)で停止(待機)→作業員による手動経補修→作業員
による復帰釦操作→自動1回転正転(レベリング解除動
作)→300度で停止→自動逆転→停止原因発生サイク
ルの1つ前のサイクルでの300度で停止→作業員によ
る運転釦操作→ドビー装置のソレノイド選択開口パター
ンの所定ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステップ
(1ステップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の継続
+緯入れ・送り出し・巻取り運動の不作動)→経・緯不
良サイクルの0度通過→正常運転再開
【0044】このシーケンスは、緯補修成功の結果、緯
止めが発生しない場合と等価となり復帰釦9の操作後
は、前述の図5(1)のシーケンスと同一である。
【0045】図7の(1)〔緯止め(自動緯補修失敗)
+経止めのときの起動シーケンス〕 このシーケンスは、緯止めと経止めの停止原因が同じサ
イクルで同時に発生しかつ緯補修が緯糸自動修復装置2
2によって、失敗したときの例を示している。このとき
のシーケンスは、下記の通りである。
【0046】織機の正常運転中→緯停止原因・経停止原
因の発生→停止指令→停止原因の次のサイクルの緯入れ
禁止→260度近くでの停止→自動逆転→停止原因発生
サイクルの180度(口出し開口角度)での停止→自動
緯補修動作→自動緯補修失敗→自動正転→300度で停
止→レベリング指令→自動逆転(レベリング動作)→3
00度(起動角度)で停止(待機)→作業員による手動
経補修→作業員による復帰釦操作→自動1回転正転(レ
ベリング解除動作)→300度で停止→自動逆転→緯入
れ不良サイクルでの180度(口出し開口角度)で停止
→作業員による手動緯補修→作業員による運転釦操作→
自動逆転→停止原因発生サイクルの1つ前のサイクルで
の300度で停止→ドビー装置のソレノイド選択開口パ
ターンの所定ステップ(1ステップ)の戻し→所定ステ
ップ(1ステップ)の空打ち起動(開口・筬打ち運動の
継続+緯入れ・送り出し・巻取り運動の不作動)→経・
緯不良サイクルの0度通過→正常運転再開
【0047】このシーケンスは、緯補修失敗の結果、緯
糸自動修復装置22が付設されていない場合と等価とな
り、復帰釦9の操作後は、前述の図5(3)のシーケン
スと同一である。
【0048】次に図8は、レベリング状態を実現するた
めの具体例を示している。すなわちこの例は、電子ドビ
ー装置19が出力している現在のソレノイド選択開口パ
ターンに対して、これを反転した開口パターンを指令す
ることにより、織機1の少ない回転量で、レベリング状
態を実現させるものである。この図で実開口パターン
は、5→6→1→2→3→4→・・として6サイクルつ
まり織機1の6回転毎に1繰り返しの状態として設定さ
れている。ここで電子ドビー装置19では、ソレノイド
選択開口パターンが常に実開口パターンよりも1サイク
ルだけ先行しており、しかもソレノイド選択開口パター
ンの信号が出力される期間は、あるサイクルの閉口動作
から次のサイクルの開口動作に移動する所定の期間つま
り経糸のクロスタイミングの近くにのみ限られている。
【0049】図8では、実開口パターン2で停止原因が
発生し、そのサイクルの後半で停止信号が出力され、そ
こから制動動作が開始し、次の実開口パターン3のサイ
クルの終期近くで織機が停止する例を示している。この
停止位置では、ソレノイド選択開口パターンが5となっ
ている。
【0050】ここで、図9(A)は、製織用の通常開口
パターンの設定状態の一例を6つのヘルド枠H1、H
2、・・H6との関係で示している。同図で、網かけ部
分は、ヘルド枠の上方位置を示しており、また網かけで
ない部分は、ヘルド枠の下方位置の状態を示している。
パターン1からパターン6に変化する過程で、常に2つ
のヘルド枠が下方位置に設定され、他のものが上方位置
に設定されるパターンとなっている。
【0051】制御装置2は、前記の通り、レベリング動
作時に、織機1を1回転だけ逆転させることで、レベリ
ング状態に設定するが、それに先だって現在のソレノイ
ド選択開口パターン5を現在の実開口パターン3の反転
パターン3に変更する。図面中、反転パターン3は、数
字の上にバーを付して表示している。図9(B)は、通
常開口パターンに対する反転パターンを示している。こ
こでいう反転パターンは、通常開口パターンのヘルド枠
の上下の関係を逆に設定することを意味している。
【0052】そこで、制御装置2は、電子ドビー装置1
9のソレノイド選択開口パターンを反転させてから、織
機1を約1回転だけ逆転させる。このときの1回転の逆
転によって、実開口パターン3は、反転パターン3にし
たがって変化する。これによって、全てのヘルド枠H
1、H2、・・H6が上下方向に移動する。すなわち通
常の実開口パターン3では、4つのヘルド枠H1、H
2、H3、H6が上方に設定されており、他の2つのヘ
ルド枠H4、H5が下方に設定されているが、1回転の
逆転過程で、反転パターン3によって、上側のヘルド枠
H1、H2、H3、H6が下側に移動し、また下側のヘ
ルド枠H4、H5が上方に移動するため、上下のヘルド
枠が互いに交錯する織機1の角度位置近辺(例えば30
0度)で、全てのヘルド枠H1、H2、・・H6がレベ
リング位置つまり上下の中間に設定できることになる。
このような機能は、6サイクルで1繰り返しの通常開口
パターンに限らず、図9(C)のような平織り開口パタ
ーンやその他の開口パターンでも同様である。なお、レ
ベリング状態を解除するためには、従来公知の手法と同
様、ソレノイド選択開口パターンをレベリング用の反転
パターンから製織用の所定の通常開口パターンに戻した
後、織機1を所定量回転させることにより実現できる。
【0053】なお、レベリング状態を実現するために、
電子ドビー装置19のソレノイド選択開口パターンを製
織用の通常開口パターンからレベリング用の平織りパタ
ーンに変更し、織機1を閉口角度へ移動させる公知のレ
ベリング方法にあっては、全てのヘルド枠を一線上に揃
えるためには少なくとも1サイクルつまり織機1の1回
転以上の回転操作が必要であった。逆に、レベリング状
態を通常の開口状態に復帰させるためにも、同量の織機
回転が必要であった。そのため、レベリング状態を実現
する過程で、2回以上の筬打ち運動が避けられず、特に
逆転時の筬打ちが通常の正転方向の筬打ち運動と加速度
などの運動特性が異なっているため、この筬打ち運動が
織段の発生原因になっていた。また、このような正転や
逆転に伴って、多くの回転量操作が必要となることか
ら、織機1の稼動率も低下する結果となっていた。これ
に対し、現在の実開口パターンに対応するソレノイド選
択開口パターンを反転させるレベリング方法の場合に
は、最小の筬打ち運動で、かつ少ない回転量で完全なレ
ベリング状態が得られるため、織段の発生を防止でき、
稼動率も低下しない。
【0054】次に図10、11、12は、経止まり、緯
止まり毎に、本発明の空打ち起動方法の一例を示してい
る。これらの図で、実開口パターン2で停止原因として
経切れ・緯入れ不良が発生したとき、停止信号が出力さ
れ、その時点から制動動作が開始され、次の実開口パタ
ーン3で緯入れが阻止され、実開口パターン3のサイク
ルの終期近くで織機1が停止する。なお、これらの図
は、本発明の空打ち起動方法のみを説明するためのもの
であり、説明の都合上、前述の起動プログラム、すなわ
ちレベリングの設定解除に関する手順については図示を
省略してある。
【0055】図10の経止まりの場合、経糸の修復のた
めに織機1が実開口パターン2の300度近くまで逆転
するとき、電子ドビー装置19は、逆転を検出して、ソ
レノイド選択開口パターン5を3ステップだけ前のソレ
ノイド選択開口パターン2に戻し、逆進させる。このあ
と、例えば4回の空打ち後に織機1を起動させるとき
に、現在の停止位置でのソレノイド選択開口パターン1
を1ステップだけ戻すことにより、ソレノイド選択開口
パターン6を設定する。
【0056】織機1に運転指令を与えて、4回の空打ち
サイクルの後に、実開口パターン3から正規の製織運動
が開始されることになる。この4回の空打ち期間中に、
電子ドビー装置19は、主軸17の回転に同期してソレ
ノイド選択開口パターンを、6→1→2→3と変化さ
せ、このソレノイド選択開口パターン3以降の最初の通
常サイクルにおいて正規の実開口パターン3を設定して
いく。これによって、開口位相と織物組織の位相とが空
打ち起動にかかわらず一致することになる。したがっ
て、既に実開口パターン2まで形成されている実際の織
布の織物組織に続いて、その後に実開口パターン3が形
成され、正常な連続した織物組織が形成されていくこと
になる。
【0057】次に図11の緯止まりによる停止の場合
に、織機1の停止位置から緯糸の修復のために1.5回
だけ逆転し、開口状態で緯糸の修復が行われ、さらに半
回転逆転することによって、実開口パターン1のサイク
ルの300度近くで停止する。この間にも、前記と同様
に、ソレノイド選択開口パターンが2→1→6と逆進し
ている。
【0058】ここで、4回の空打ち起動と対応し、ソレ
ノイド選択開口パターンが1ステップだけ逆方向に設定
され、ソレノイド選択開口パターン5に設定される。こ
の後の起動に際し、4回の空打ちの後に、実開口パター
ン2から正規の製織運動が開始される。
【0059】なお、図12のものは、経止まり停止のと
き、空打ち回数を6回として起動させる例である。この
場合、ソレノイド選択開口パターンは、現在の1から4
へと3ステップだけ逆方向に設定される。6回の空打ち
起動の場合に、この空打ち回数が実開口パターンおよび
ソレノイド選択開口パターンの1繰り返しステップ数と
一致しているため、空打ち運転中の実開口パターンを製
織時の通常開口パターンと同一の開口パターンで連続さ
せることができる。ちなみに、図10や図11では、空
打ち運転初期の実開口パターンがそれぞれ、3→6、2
→5と変化し、製織時の通常開口パターンと異なる結果
となり、これが影響して、織段が発生することも予想さ
れるが、これを未然に防止できるという効果がある。
【0060】なお図13は、経止まりの場合で、逆転空
打ちによる起動方法を示している。この逆転空打ちの起
動方法では、織機自体が4回にわたって、空打ち状態で
逆転され、その後の起動時に4回にわたって空打ちが行
われ、その後の実開口パターン3から正規の製織運動が
開始される。この起動方法では、逆転時の空打ちによっ
て、織り前の状況が変化するため、織り段が発生する。
【0061】以上の空打ちの起動方法は、前述の起動プ
ログラムに適用することができる。すなわち、この出願
に係る発明の起動方法において、織機起動に際しての運
転釦6が設定操作されると、現在のソレノイド選択開口
パターンを、空打ち運転の空打ち回数を考慮した値に変
更する。その後に、所定回数の空打ち運転を行わせれ
ば、空打ち運転から正規の製織運転へ移行する過程で、
織物の状態と連続した実開口パターンを実現することが
できる。
【0062】なお、前述の起動プログラムにおいて、停
止原因が緯原因以外の、例えば、経止まりや停止釦7に
よる停止のときには、作業員の釦操作によりレベリング
状態を解除した後に、運転釦6を操作するようにした
が、これに代えて、レベリング状態を解除するための釦
操作を省略し、レベリング状態から直接、運転釦を操作
するようにし、その後の空打ち運転の過程で、レベリン
グ状態を解除させるようにすることも可能である(図1
4参照)。
【0063】
【発明の効果】空打ち起動において、正規の製織運動へ
移行するサイクルにおいて、開口位相と織物組織の位相
とを一致させる必要があるが、本発明では、ソレノイド
選択開口パターンの選択ステップ戻し操作という簡単な
操作で一致させているため、織機に対し多くの逆転運動
が必要とされず、両者の位相合わせが簡単に行える。
【0064】従来、一旦、空打ち回数だけ織機を逆転さ
せることにより、開口位相と織物組織の位相との一致を
図っていたが、逆転中に筬打ち運動を伴うので、逆転筬
打ち運動により、織り段が発生し、織物品質が低下して
いた。これに対し、本発明では、電子ドビー装置側で必
要な処置が行われ、織機の逆転筬打ち運動がなくなるた
め、逆転筬打ち運動に伴う織り段の発生が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】織機および制御装置の全体的なシステムのブロ
ック線図である。
【図2】起動動作のフローチャート図である。
【図3】起動動作のフローチャートである。
【図4】起動動作のフローチャートである。
【図5】起動シーケンスの具体的な説明図である。
【図6】起動シーケンスの具体的な説明図である。
【図7】起動シーケンスの具体的な説明図である。
【図8】反転パターン変更によるレベリング方法の説明
図である。
【図9】通常開口パターンおよびその反転パターンの説
明図である。
【図10】経止まりのときの本発明による空打ち起動方
法の説明図である。
【図11】緯止まりのときの本発明による空打ち起動方
法の説明図である。
【図12】経止まりのときの空打ち起動方法の他の例の
説明図である。
【図13】経止まりのときの従来の逆転空打ち起動方法
の説明図である。
【図14】経止まりのときの空打ち起動方法の説明図で
ある。
【符号の説明】
1 織機 2 制御装置 3 緯原因センサ 4 経原因センサ 5 その他の停止原因センサ 6 運転釦 8 設定釦 9 復帰釦 10 レベリング装置 11 筬打ち制御装置 12 緯入れ制御装置 13 送り出し制御装置 17 主軸 19 電子ドビー装置 20 開口装置 22 緯糸自動修復装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 51/00 D03C 1/00 D03C 1/14 D03D 51/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織機の起動に際し、電子ドビー装置のソ
    レノイド選択開口パターンの選択ステップを所定の空打
    ち回数に応じた値だけ戻して設定しておき、織機の起動
    後、所定の空打ち回数の空打ちサイクルの期間で、開口
    運動、筬打ち運動の各機構を動作させるが、緯入れ運
    動、送り出し運動および巻取り運動の各機構を不作動に
    して、空打ち運転を行い、空打ちサイクルから移行した
    最初の通常サイクルにおいて、織物組織の位相と開口位
    相とを一致させることを特徴とする織機の空打ち起動方
    法。
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