JP3138007B2 - 複合酸化物薄膜の製造方法 - Google Patents

複合酸化物薄膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合酸化物薄膜の製造
方法に関するものであり、詳しくは、水熱処理により基
板上に複合酸化物薄膜を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の複合酸化物薄膜は、耐
熱性、耐蝕性、熱伝導性等を向上せしめる表面処理コー
ト膜として使用され、また、複合酸化物薄膜の中でもペ
ロブスカイト型等の複合酸化物薄膜は、誘電性、強誘電
性、圧電性またはPTCR効果等により各種電子デバイ
ス等の分野において応用されている。そして、近年にお
いては、Ta2 5 等の誘電キャパシター、SRAM、
DRAMメモリー用のBaTiO3 、PZT系強誘電薄
膜等の開発も急速に進められている。そして、従来、基
板上に複合酸化物薄膜を成長させる方法としては、スパ
ッタリング法、CVD法、アルコキシドのゾルーゲル反
応を利用したディップコート法やスピンコート法などが
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしなかがら、スパ
ッタリング法やCVD法で形成される膜厚は、一般的に
10〜数千Åの範囲にあり、PZT等の複合酸化物の結
晶化のためには基板の高温熱処理(一般的に500℃以
上)が必要であり、また、高価で大掛かりな装置系を必
要とする。これに対し、アルコキシドのゾルーゲル反応
を利用したディップコート法やスピンコート法は、比較
的安価な方法ではあるが、塗布後に上記と同様な高温熱
処理をやはり必要とする。
【0004】また、上記の方法は、例えば、ミクロン以
上の薄膜を製造しようとする場合、乾燥や熱処理過程に
おいて、膜にひび割れやマイクロクラックが生じ易いた
めに、成膜の膜厚を薄くし、成膜−乾燥−焼成を繰り返
して行う、いわゆる重ね塗り重ね焼き工程処理を行う必
要がある。従って、製造方法が煩雑であるばかりか、原
理的には、ひび割れ等を発生し易いと言う欠点を有して
いる。そして、斯かる欠点は、実用上、基板との間で剥
離を起こしたり、膜にひびや割れやマイクロクラックが
あってはならないとされる、表面処理コート膜や電子デ
バイス用薄膜においては、特に重大な欠点である。
【0005】本発明の目的は、複雑な装置や高温加熱を
要することなく工業的有利に、基板と強固に結合し且つ
機械的、化学的に安定した複合酸化物薄膜を製造する方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、水熱処理
による薄膜形成法に注目して鋭意検討を行った結果、特
定の水熱処理の採用により、上記の目的を容易に達成し
得るとの知見を得、本発明の完成に到った。すなわち、
本発明の要旨は、水熱処理により基板上に複合酸化物薄
膜を製造する方法であって、最表面層が目的とする複合
酸化物を構成する少なくとも一種類の金属元素を含む酸
化物で構成された基板を使用し、先ず、複合酸化物の全
構成金属元素から基板最表面層の酸化物に含まれる複合
酸化物構成金属元素を実質的に除いた残余の複合酸化物
構成金属元素を含むアルカリ性水溶液を用いて第1の水
熱処理を行い、次いで、複合酸化物の全構成金属元素を
含むアルカリ性水溶液を用いて第2の水熱処理を行うこ
とを特徴とする複合酸化物薄膜の製造方法に存する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明で使用する基板について説明する。本発明で使用す
る基板は、その最表面層が目的とする複合酸化物を構成
する少なくとも一種類の金属元素を含む酸化物で構成さ
れた基板である。そして、斯かる条件を満足する限り、
後述の水熱処理に対して化学的に安定な材料であれば、
如何なる材料より成る基板母体をも使用し得る。具体的
には、セラミックス、金属、プラスチック等が挙げられ
る。
【0008】次に、本発明における水熱処理について説
明する。本発明において、水熱処理は、第1の水熱処理
と第2の水熱処理より成る。そして、各水熱処理は、後
述する条件に従って、目的とする複合酸化物の構成金属
元素含むアルカリ性水溶液と上記の基板とを使用して行
われる。アルカリ性水溶液は、具体的には、複合酸化物
構成金属元素の水酸化物、塩化物、硝酸塩、酸化物等を
NaOHやKOHで溶解して調製される。
【0009】第1の水熱処理においては、目的とする複
合酸化物の全構成金属元素から基板最表面層の酸化物に
含まれる複合酸化物構成金属元素を実質的に除いた残余
の複合酸化物構成金属元素を含むアルカリ性水溶液を用
いて行う必要がある。そして、上記の実質的に除くの意
味は、複合酸化物の全構成金属元素に対する当該金属元
素のモル比とアルカリ水溶液中の当該金属元素のモル比
の割合が約10%以下であることを意味する。例えば、
Pb(Zr0.5 Ti0.5 )O3 が目的組成であり、基板
の最表面層がTiO2 である場合は、目的物中の全金属
元素に対するTi元素のモル比は、0.5÷(1+0.
5+0.5)=0.25であるから、アルカリ水溶液中
で許容されるTi元素の最大の含有率は、他の金属元素
に対するモル比で表すと0.25×10%=0.025
となる。しかしながら、上記の除外すべき金属元素の量
は、可及的に少量とするのが好ましく、従って、上記の
モル比の割合は、5%以下、特には1%以下とするのが
好ましい。
【0010】第1の水熱処理において、アルカリ水溶液
の濃度は、0.1〜10N、好ましくは1〜5N程度と
するのがよく、また、反応温度は、100〜500℃、
好ましくは100〜200℃程度とするのがよい。
【0011】上記の第1の水熱処理においては、基板上
に表面反応層が形成されるが、当該表面反応層は、基板
最表面中にある複合酸化物構成金属元素とアルカリ水溶
液中にある複合酸化物構成金属元素との固相−液相間で
の表面反応によって得られたものである。そして、斯か
る表面反応層は、基板に対して機械的、化学的に極めて
強固に結合しており、また、基板や目的とする複合酸化
物薄膜と化学的に(組成あるいは結晶構造的に)極めて
強い親和性を有する。
【0012】本発明の最大の特徴は、最表面層が目的と
する複合酸化物を構成する少なくとも一種類の金属元素
を含む酸化物で構成された基板を使用し、水熱処理を2
段に分け、先ず、複合酸化物の全構成金属元素から基板
最表面層の酸化物に含まれる複合酸化物構成金属元素を
実質的に除いた残余の複合酸化物構成金属元素を含むア
ルカリ性水溶液を用いて第1の水熱処理を行い、これに
より、上記のような表面反応層を基板上に形成した点に
ある。従って、仮に、本発明で規定する基板を使用しな
かった場合は、上記のような表面反応層は生成せず、ま
た、本発明で規定する基板を使用しても本発明で規定す
る2段水熱処理を行わない場合は、基板一液相間の表面
反応速度よりも表面を介さない液相からの結晶化反応が
容易に起こるために、複合酸化物の粉体として結晶が生
成し易く、基板と十分な結合力をもった薄膜は得ること
ができない。
【0013】第2の水熱処理は、目的とする複合酸化物
の全構成金属元素を含むアルカリ性水溶液と表面反応層
を形成した上記の基板とを使用して行われる。そして、
アルカリ水溶液の濃度、反応温度は、第1の水熱処理の
条件と同様な条件を採用し得る。第2の水熱処理は、結
晶成長工程の意義を有し、膜厚の制御は、例えば、反応
時間等の反応条件により容易に行うことができる。
【0014】本発明の複合酸化物薄膜の製造方法は、特
に有用なPb,Zr,Tiの3つの元素からなるペロブ
スカイト構造を有す複合酸化物薄膜の製造方法として好
適に使用されるが、他の元素、例えば、ペロブスカイト
化合物(ABO3 )のAサイトをBaやCa,Sr,L
a,Biで置換したり、BサイトをZn,Ni,Mg,
Co,W,Nb,Sb,Ta,Fe,W等で置換したペ
ロブスカイト化合物より成る薄膜の製造方法としても好
適である。このような化合物としては、例えば、Pb
(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ,Pb(Ni1/3 Ta2/3
3 ,Pb(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ,Pb(Zn1/3
Ta2/3 )O3 ,Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 ,Pb
(Ni1/3 Nb2/3 )O3 ,Pb(Fe1/2 1/2 )O
3 ,PZT−Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 ,PZT−
Pb(Zn1/3 Ta2/3 )O3 ,PZT−Pb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 ,PZT−Pb(Ni1/3
2/3 )O3 ,PZT−Pb(Fe1/2 1/2 )O3
が挙げられる。また、本発明の複合酸化物薄膜の製造方
法は、耐熱性、耐蝕性、熱伝導性等を向上せしめる表面
処理コート膜の製造にも適する。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例にお
いて、必要な金属源には次のようにして調製した原液を
使用した。すなわち、Pb源には硝酸鉛Pb(NO3
2 ,Zr源にはオキシ塩化ジルコニウムZrOCl2
2 Oを使用し、それぞれ蒸留水に溶解し、1.0mol/
l、1.7mol/lの水溶液を調製して原液とした。ま
た、Ti源には四塩化チタンTiCl4 を使用し、氷で
冷却しながら蒸留水に滴下し、2.38mol/lの水溶液
を調製して原液とした。
【0016】また、以下の諸例において、PZTの合成
は、MPB組成(モロフォトロピックフェイズバウンダ
リー)のPb(Zr0.52Ti0.48)O3 を目的組成と
し、Pb原液の添加量は、PbがTi及びZrイオンに
比べて溶解度が高く、水熱処理後も溶液中に相当量残留
し易いために、目的組成の化学式量よりも30%過剰に
添加することとした。
【0017】実施例1 <基板>5mm×5mm×厚さ0.5mmに切り出した二酸化
チタン単結晶を基板として使用した。
【0018】<第1の水熱処理>先ず、30%のPbの
過剰分を考慮し、Pb:Zrがモル比で1.3:1にな
るようにPb,Zrの各原液を合計で9.5ml秤り取
り、鉱化剤である水酸化カリウム(KOH)2.8N溶
液12.5mlと合わせて撹拌混合し、水熱処理に必要な
アルカリ水溶液を調製した。次いで、内容積30mlのテ
フロン製で内張りしたオートクレーブに基板と上記のア
ルカリ水溶液を入れ、150℃で24時間水熱処理した
後、基板を取り出して水洗した。
【0019】SEM(走査型電子顕微鏡)観察の結果、
第1の水熱処理により、基板上に表面反応層(薄膜)が
形成されていることを確認した。また、基板上の薄膜に
機械的ストレスをくり返し施して薄膜の機械強度(安定
性)を検討した結果、基板からの剥離は全く認められ
ず、薄膜は基板に対して極めて強固に結合していること
が判明した。また、薄膜の結晶状態をX線回折(Cu:
Kα)により分析した結果、ペロブスカイト型の結晶相
であることが確認された。図1(b)は、当該薄膜の分
析結果に基づくX線回折図形の説明図であり、図1
(a)は、未処理の二酸化チタン単結晶基板の分析結果
に基づくX線回折図形の説明図である。
【0020】<第2の水熱処理>先ず、鉛の過剰分を考
慮し、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 の目的組成になる
ように、すなわち、Pb:Zr:Tiがモル比で1.
3:0.52:0.48になるようにPb,Zr,Ti
の各原液を合計で9.5ml秤り取り、4Nの水酸化カリ
ウム溶液12.5mlと合わせて撹拌混合し、水熱処理に
必要なアルカリ水溶液を調製した。次いで、実施例1と
同様のオートクレーブに第1の水熱処理を施した基板と
上記のアルカリ水溶液を入れ、120℃で48時間水熱
処理した後、基板を取り出して水洗、乾燥した。
【0021】<結果>SEM観察の結果、第2の水熱処
理により、基板上に約10μの膜が成長していることを
確認した。また、基板上の薄膜に機械的ストレスをくり
返し施して薄膜の機械強度を検討した結果、基板からの
剥離は全く認められず、薄膜は基板に対して極めて強固
に結合していることが判明した。また、X線回折により
結晶相の同定を行った結果はPZTの結晶相であった。
図1(c)は、当該同定結果に基づくX線回折図形の説
明図である。
【0022】表1は、得られた薄膜の破断面におけるP
b,Zr,Tiの各元素の点分析結果を示し、各元素の
存在割合をモル%の形で示したものである。破断面は平
滑ではないため分析精度に制約があるが、薄膜の表面と
中央のPb,Zr,Ti,O比は、略2:1:1:6で
あり、目標組成物Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 のモル
比とほぼ一致している。また、薄膜の組成は、ほぼ均一
であり、良好な薄膜であることを示している。
【0023】
【表1】 表面 中央 境界(薄膜側) 境界(基板側) 基板 ──────────────────────────────────── Pb 20.55 21.76 0.09 0.15 0.01 Zr 10.07 8.84 0.27 0.00 0.00 Ti 9.56 9.98 33.01 33.23 33.32 O 59.82 59.41 66.64 66.62 66.66 ────────────────────────────────────
【0024】図2は、得られた薄膜の破断面の線分析結
果を示し、縦軸は特性X線の強度(スケール無しのカウ
ント数)を示し、横軸は断面厚み方向に一致する。元素
および測定波長が異なるので強度比から単純に直接存在
比率を比較することができず、また、破断面であり平滑
面でないために、分析精度に制約があるが、図2から明
らかなように、基板から薄膜中の基板側約1/3程度の
厚さの領域でTi濃度の減少とPb,Zrの濃度の増加
があり、この結果は、基板から拡散したTiと液相から
のPb,Zrとの反応によるPZTの形成、すなわち基
板−液相間に生じた表面反応層の存在を支持しているも
のと判断される。また、それ故に、機械的、化学的に強
固で安定な薄膜が生成したものと考えられる。また、膜
厚が厚くなるに従い、Pb,Zr,Tiの各特性X線強
度はほぼ一定であり、このことから、PZT膜は比較的
均質であると判断される。
【0025】実施例2 <基板>金属Tiを基板母体とし、その最表面を酸化処
理により酸化物(TiO2 )に変換した基板を使用した
(10mm×10mm×厚み250μの金属Ti板を700
℃で1時間加熱処理して表面酸化を行い、表面部がTi
2 (ルチル)であることをX線回折により確認し
た)。
【0026】<第1の水熱処理>実施例1と同様に4N
のKOH溶液を同量用い150℃で24時間水熱処理し
た。 <第2の水熱処理>Pb,、Zr,Tiを含有したKO
H水溶液を用い実施例1と同様の反応条件で96時間水
熱処理した後、基板を取り出して水洗、乾燥した。
【0027】<結果>X線回折による結晶相の同定の結
果、PZTの結晶相であることを確認した。次に、Ti
金属基板の両側に生成したPZT薄膜の片面を研摩し、
金属チタンを露出させ電極とした。また、残されたPZ
T薄膜上に金属を蒸着して他方の電極を形成し、LCR
メータで得られたPZT薄膜の誘電率を測定した所、誘
電率は約640であり、セラミックスとして焼成法によ
り得られたPZT(Zr/Ti=52/48)の誘電率
730(岡崎「セラミックス誘電体工学」第3版334
−335,1983年,学献社)とほぼ同等の値を示し
た。本実施例においては、最表面がTiO2 であり金属
母体が金属Tiである基板を使用したが、このような態
様は、基板母体が金属であって導電性を有するために、
誘電性、強誘電性、圧電性を利用した各種デバイスの電
極あるいはシム板としても応用することができる。
【0028】比較例1 <基板>5mm×5mm×厚さ0.5mmに切り出した二酸化
チタン単結晶を基板として使用した。
【0029】<水熱処理>先ず、Pbの過剰分を考慮し
ながらPb(Zr0.52Ti0.48)O3 の組成になるよう
に、Pb,Zr,Tiの各原液を合計で9.5ml秤り取
り、鉱化剤である水酸化カリウム(KOH)溶液12.
5mlと合わせて撹拌混合し、水熱処理に必要なアルカリ
水溶液を調製した。次いで、実施例1と同様のオートク
レーブに基板と上記のアルカリ水溶液を入れ、150℃
で48時間水熱処理した後、基板を取り出して水洗し
た。なお、使用するKOH溶液の濃度を1.6N,2.
0N,2.4N,2.8Nに異ならせて合計4回の水熱
処理を行った。
【0030】<結果>SEMおよびX線回折による観察
測定の結果、いずれの水熱処理においても、基板上への
所望の薄膜の形成、発生は認められず、液相から析出し
たPZT粉子が液中に観測された。
【0031】比較例2 <基板>50mm×10mm×厚み3mmに切り出した電子基
板用Al2 3 セラミックス板およびMgOを基板とし
てそれぞれ使用した。
【0032】<水熱処理>Pbの過剰分を考慮しながら
実施例1の第1の水熱処理と同様に、Pb,Zrの原液
を合計で9.5ml秤り取り、鉱化剤である水酸化カリウ
ム(KOH)溶液12.5mlと合わせて撹拌混合し、水
熱処理に必要なアルカリ水溶液を調製した。 次いで、
実施例1と同様のオートクレーブに基板と上記のアルカ
リ水溶液を入れ、150℃で48時間水熱処理した後、
基板を取り出して水洗した。なお、反応条件は、KOH
の濃度について、1.2N,2.4N,4.0N,5.
6Nの4通り、反応温度は150℃,180℃の2通り
を採用し、合計8回の水熱処理を行った。
【0033】<結果>SEMおよびX線回折による観察
測定の結果、いずれの水熱処理においても、基板上への
薄膜の形成、発生は認められず、4Nを超える濃アルカ
リ水溶液との反応では、基板のアルカリによる腐食、溶
解が顕著に起こった。MgO基板についても上記と同様
の水熱処理を合計8回行ったが、いずれの水熱処理にお
いても、基板上への薄膜の形成、発生は認められなかっ
た。また、オートクレーブ反応容機の内張りに使用され
ているテフロン上にも薄膜の発生、形成は全くなかっ
た。
【0034】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、複雑な装
置や高温加熱を要することなく工業的有利な方法によ
り、基板と強固に結合し且つ機械的、化学的に安定した
複合酸化物薄膜を製造することができる。すなわち、本
発明によれば、高温の加熱処理を必要としない水熱処理
によって直接的に所望の複合酸化物薄膜を製造すること
ができる。そして、本発明は、第1の水熱処理により基
板上に表面反応層を形成し、次いで、第2の水熱処理に
より表面反応層を核として結晶を成長させる方法である
から、得られる複合酸化物薄膜は、基板との結合力が極
めて強く且つ機械的、化学的に安定したものである。従
って、本発明の産業利用上の価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における薄膜生成経過のX線
回折図形の説明図である。
【図2】図2は、実施例1で得られた薄膜の破断面の線
分析結果を示し、縦軸は特性X線の強度(スケール無し
のカウント数)を示し、横軸は断面厚み方向に一致す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−28581(JP,A) K.Shimomura et a l.,”Preparation of Lead Zirconate Ti tanate Thin Film b y Hydrothermal Met hod”,Japanese Jour nal of Applied Phy sics,Vol.30,No.9B,S ep.1991,pp.2174−2177 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水熱処理により基板上に複合酸化物薄膜
    を製造する方法であって、最表面層が目的とする複合酸
    化物を構成する少なくとも一種類の金属元素を含む酸化
    物で構成された基板を使用し、先ず、複合酸化物の全構
    成金属元素から基板最表面層の酸化物に含まれる複合酸
    化物構成金属元素を実質的に除いた残余の複合酸化物構
    成金属元素を含むアルカリ性水溶液を用いて第1の水熱
    処理を行い、次いで、複合酸化物の全構成金属元素を含
    むアルカリ性水溶液を用いて第2の水熱処理を行うこと
    を特徴とする複合酸化物薄膜の製造方法。
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