JP3951359B2 - 圧電結晶膜 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータ、圧電センサー、焦電センサー、誘電体素子等に使用することができる、水熱法によるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系圧電結晶膜に関するものであり、特に基板面に接するPZT系圧電結晶膜の初期結晶層の組成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信機器、情報処理機器、AV、家電製品等の高性能化と小型化が進むのと並行して、それらの機器を構成する電子部品の小型化、軽量化が検討されており、薄膜化による性能向上が試みられている。
【0003】
しかしながら、従来のセラミックス研磨法による薄膜化では、所望の密度や組成は得られるものの、目的とする厚み(3〜50μm)に形成するためには歩留まりが悪く極度のコストアップとなるという課題があり、また、曲面状等の自由な形状に圧電結晶膜を形成するには適していない。
【0004】
また、スパッタリング法やCVD法等の真空プロセス、ゾル−ゲル法などを用いて薄膜化することもできるが、これらの方法の場合、高温での製膜あるいは製膜後の熱処理が必要であり組成の制御が難しく、基板の種類が限られ、さらに膜厚を厚くする場合の量産性に乏しいという課題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記課題を解決する手段として、水熱法によるPZT系圧電結晶膜が開発された。水熱法によるPZT系圧電結晶膜は、大きさや形状の制限が少なく、膜形成時点で分極しており、さらにチタン表面に優先的に結晶成長することを利用したパターニングが可能等の特性を有しており、電子材料として幅広い応用分野を有している。
【0006】
しかし、従来公知の水熱法で得られる膜は、表面粗さがやや大きいため電極の付与が難しい場合があるという点や誘電損失等の特性の点で未だ十分ではなく、その改善が種々検討されている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、さらに各種デバイスに応用可能な優れた特性を有するPZT系圧電結晶膜を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/l、チタン含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/l、ストロンチウムおよび/またはバリウム含有原料化合物が0.01mmol/l〜500mmol/lとなるように調製された混合溶液中に基板を設置固定し、80℃〜200℃で水熱反応させ、基板上に0.05〜2.0μmの初期結晶層を形成する第1工程と、0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lおよびチタン含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lの条件で80℃〜200℃で水熱処理を行い、結晶成長層を形成する第2工程とからなるPZT系圧電結晶膜の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のPZT系圧電結晶膜は以下のような方法により得られる。
まず、0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/l、チタン含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/l、ストロンチウムおよび/またはバリウム含有原料化合物が0.01mmol/l〜500mmol/lとなるように調製された混合溶液中に基板を設置固定し、80℃〜200℃、好ましくは100℃〜160℃、さらに好ましくは120℃〜160℃で1分以上、好ましくは10分以上反応させ、基板上に初期結晶層を形成する第1工程、および、0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lおよびチタン含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lの条件で80℃〜200℃、好ましくは100℃〜160℃、さらに好ましくは120℃〜160℃で1分以上、好ましくは10分以上反応させ、結晶成長層を形成する第2工程とからPZT系圧電結晶膜が製造される。
【0010】
水熱法によるPZT系圧電結晶膜は、上記各原料化合物濃度でまず基板上に水熱法により初期結晶層を形成し、ついで結晶成長を行うことにより得られる。本発明によれば、初期結晶層形成時に鉛成分原料、ジルコニウム成分原料、微量のチタン成分原料、およびストロンチウムおよび/またはバリウム成分原料化合物を存在させて第1工程の水熱反応を行った後、第2工程の成長反応を行う。本発明における第2工程は繰り返し行うことにより成長膜の厚みが制御できる。
【0011】
本発明において水熱法により、ストロンチウムおよび/またはバリウムが0.01mol%〜50mol%、好ましくは1.0mol%〜40mol%、さらに好ましくは10mol%〜40mol%含む初期結晶層の組成に第2工程の結晶成長を行うことにより、表面平滑性が良く、電気特性の高いPZT系圧電結晶膜が得られる。
【0012】
本発明で使用される基板は特に限定されないが、結晶核形成時に基板と溶液中の金属イオンとの反応による初期結晶層と基板との密着力を大きくするためにPZT系圧電結晶膜の構成元素を少なくとも1つ以上含有するような基板が好ましい。また、PZT系圧電結晶膜を構成する元素でコーティングした基板を使用することもできる。
【0013】
本発明において水熱反応に使用される鉛、ジルコニウム、チタン、ストロンチウム、およびバリウムの構成元素を含有する原料化合物としては塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、水酸化物酸化物等が好ましい。
また、水熱反応において使用されるアルカリ化合物として、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を挙げることができる。
【0014】
本発明の製造方法の具体例を以下に詳述する。基板としてチタン基板あるいはチタンをコーティングしたものを用い、前記基板上に水熱法により、表面性、電気特性の改善されたPZT系圧電結晶膜を作製する。
【0015】
まず、Pb(NO3 2 水溶液50mmol/l〜500mmol/l、ZrOCl2 水溶液10mmol/l〜500mmol/l、TiCl4 水溶液0mmol/l〜500mmol/lと、それら以外にSr(NO3 2 および/またはBa(OH)2 0.01mmol/l〜500mmol/lおよびKOH水溶液0.1mol/l〜8.0mol/lの混合溶液中に、前記の基板を任意の場所に設置固定し、80℃〜200℃、好ましくは100℃〜160℃、さらに好ましくは120℃〜160℃で1分以上、好ましくは10分以上反応させ、表面性の高い、緻密な初期結晶層を形成する。このときの初期結晶層の厚みは0.05μm〜2.0μmとなっている。
【0016】
次に結晶を成長させるため、Pb(NO3 2 水溶液50mmol/l〜500mmol/l、ZrOCl2 水溶液10mmol/l〜500mmol/l、TiCl4 水溶液0.02mmol/l〜500mmol/lおよびKOH水溶液0.1mol/l〜8.0mol/lの混合溶液中に、前記の表面性の良好な初期結晶層が形成された基板を任意の場所に設置固定し、80℃〜200℃、好ましくは100℃〜160℃、さらに好ましくは120℃〜160℃で1分以上、好ましくは10分以上水熱処理を行う。これにより基板上にPZT系圧電結晶膜が形成される。水熱処理における加熱方法は油浴や電気炉等による。その後、一般的な洗浄を行う。例えば、純水中で超音波洗浄を行い、100℃〜200℃で2時間以上乾燥させる。洗浄には酢酸等の有機酸、硝酸、硫酸等の使用もできる。
【0017】
こうして形成された圧電結晶膜の組成は第1工程による第1層はチタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウムおよび、またはチタン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウムおよび/またはジルコン酸バリウムの固溶体からなる複合酸化物であり、膜厚は0.05μm〜2.0μmである。初期結晶層の上に成長したPZT系圧電結晶膜の組成はPbZrx Ti1-x 3 (ただし、0<x<1である。)からなっている。
【0018】
本発明で得られるPZT系圧電結晶膜を素子化する場合に使用される電極としては、特に限定されないが、コストや量産性を考慮し、最適なものが選定される。例えば、無電解メッキ法によるニッケル、焼き付けタイプの銀等がある。その他、蒸着によるアルミニウム、スパッタリング法による白金、あるいはスパッタリング法によるニッケル、金等も用いられる。なお、基板に樹脂を用いる場合には、高温に加熱できないので焼き付けタイプの銀電極は温度に注意が必要である。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例についてさらに詳述する。
【0020】
実施例1
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液190mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液10mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液4.2mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)であった。
【0021】
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液330mmol/l、ZrOCl2 水溶液150mmol/l、TiCl4 水溶液150mmol/l、およびKOH水溶液5.06mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を10μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、100℃で12時間乾燥を行った。
【0022】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.5μmと薄く、Pbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が2.0μmで、膜厚10.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約900、誘電損失は約0.009であった。
【0023】
実施例2
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液150mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液30mmol/l、BaCl2 水溶液20mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液4.2mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)であった。
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液330mmol/l、ZrOCl2 水溶液150mmol/l、TiCl4 水溶液150mmol/l、およびKOH水溶液2.06mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で12時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を10μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、150℃で12時間乾燥を行った。
【0024】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.5μmと薄く、Pbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が2.0μmで、膜厚10.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約1000、誘電損失は約0.009であった。
【0025】
実施例3
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液100mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液100mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液4.2mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)であった。
【0026】
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液110mmol/l、ZrOCl2 水溶液75mmol/l、TiCl4 水溶液25mmol/l、およびKOH水溶液3.97mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を8μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、100℃で12時間乾燥を行った。
【0027】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.3μmと薄く、Pbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が1.5μmで、膜厚8.0μmの18.75%であった。得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約950、誘電損失は約0.008であった。
【0028】
実施例4
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液100mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液60mmol/l、BaCl2 水溶液40mmol/l、ZrOCl2 水溶液75mmol/l、TiCl4 水溶液25mmol/l、およびKOH水溶液4.15mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)であった。
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液110mmol/l、ZrOCl2 水溶液60mmol/l、TiCl4 水溶液40mmol/l、およびKOH水溶液4.0mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を9μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、150℃で12時間乾燥を行った。
【0029】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.4μmと薄く、Pbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が1.8μmで、膜厚9.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約1000、誘電損失は約0.009であった。
【0030】
実施例5
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液150mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液50mmol/l、ZrOCl2 水溶液75mmol/l、TiCl4 水溶液25mmol/l、およびKOH水溶液4.15mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で4時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)であった。
【0031】
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液220mmol/l、ZrOCl2 水溶液60mmol/l、TiCl4 水溶液40mmol/l、およびKOH水溶液4.22mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を10μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、100℃で12時間乾燥を行った。
【0032】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.5μmと薄く、Pbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が2.0μmで、膜厚10.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約950、誘電損失は約0.006であった。
【0033】
実施例6
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液150mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液30mmol/l、BaCl2 水溶液20mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液1.7mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)であった。
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液110mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液4.02mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を4回繰り返して膜厚を15μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、150℃で12時間乾燥を行った。
【0034】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.5μmと薄く、Pbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が3.0μmで、膜厚15.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約1000、誘電損失は約0.009であった。
【0035】
実施例7
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液100mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液100mmol/l、ZrOCl2 水溶液50mmol/l、TiCl4 水溶液50mmol/l、およびKOH水溶液4.2mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で5時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)であった。
【0036】
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液220mmol/l、ZrOCl2 水溶液80mmol/l、TiCl4 水溶液20mmol/l、およびKOH水溶液4.18mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で3時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を3回繰り返して膜厚を8μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、100℃で12時間乾燥を行った。
【0037】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.8μmと薄く、Pbx Sr1-x Zry Ti1-y 3 (但し、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が1.6μmで、膜厚8.0μmの20%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約880、誘電損失は約0.008であった。
【0038】
実施例8
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液50mmol/l、Sr(NO3 2 水溶液100mmol/l、BaCl2 水溶液50mmol/l、ZrOCl2 水溶液75mmol/l、TiCl4 水溶液25mmol/l、およびKOH水溶液4.15mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、150℃で6時間の水熱処理を行った。この第1工程で生成した初期結晶層の組成はPbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)であった。
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液110mmol/l、ZrOCl2 水溶液90mmol/l、TiCl4 水溶液10mmol/l、およびKOH水溶液3.94mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、140℃で2時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を4回繰り返して膜厚を9μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、150℃で12時間乾燥を行った。
【0039】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による初期結晶層は0.3μmと薄く、Pbx (Srv Baw 1-x Zry Ti1-y 3 (但し、v+w=1、0<x<1、0<y<1である。)の均一な膜となっていた。また、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が1.5μmで、膜厚9.0μmの17%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認された。この膜の誘電率は約1000、誘電損失は約0.005であった。
【0040】
比較例
第1工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液300mmol/l、ZrOCl2 水溶液100mmol/l、およびKOH水溶液3.8mol/lとし、該混合溶液中にチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、160℃で12時間の水熱処理を行った。この第1工程で精製した膜の組成はPbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)であった。
このようにして得られた第1工程の初期結晶層に結晶成長のための第2工程の反応原料投入量をPb(NO3 2 水溶液330mmol/l、ZrOCl2水溶液150mmol/l、TiCl4 水溶液150mmol/l、およびKOH水溶液5.06mol/lとし、該混合溶液中に結晶核層を形成したチタン基板を設置固定して通常の撹拌操作の下、130℃で4時間の水熱処理を行い、PbZry Ti1-y 3 (但し、0<y<1である。)の膜を形成した。この第2工程を2回繰り返して膜厚を10μmとした。その後、純水中で超音波洗浄を3分間×2回行い、150℃で12時間乾燥を行った。
【0041】
このようにして得られたPZT系圧電結晶膜の第1工程による結晶核層は5.0μmとなっており、基板表面にはチタン酸鉛系の結晶層が存在し、徐々にジルコニウムを多く含む層に変化している。また、第1工程による結晶核層の表面粗さはRmax が3.2μmとなっており、この影響を受けて、得られたPZT系圧電結晶膜の表面粗さはRmax が5.5μmで、膜厚10.0μmの55%であった。
得られたPZT系圧電結晶膜にスパッタリング法により、金電極を付与し、バイモルフ素子の構成で、分極処理を施すことなく電圧を印加したところ変位を示し、分極方向が揃っていることが電気的に確認され、この膜の誘電率は約800を示したが、誘電損失は約0.05であった。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、水熱法によるPZT系圧電結晶膜合成において、第1工程の初期結晶層の形成時にストロンチウムおよび/またはバリウムを添加することにより、アクチュエータ、センサー等に用いた場合、誘電損失の少ない、表面性の良い圧電結晶膜の形成が可能である。

Claims (1)

  1. 0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/l、チタン含有原料化合物が0mmol/l〜500mmol/l、ストロンチウムおよび/またはバリウム含有原料化合物が0.01mmol/l〜500mmol/lとなるように調製された混合溶液中に基板を設置固定し、80℃〜200℃で水熱反応させ、基板上に0.05〜2.0μmの初期結晶層を形成する第1工程と、0.1mol/l〜8.0mol/lのアルカリ溶液中、鉛含有原料化合物が50mmol/l〜500mmol/l、ジルコニウム含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lおよびチタン含有原料化合物が10mmol/l〜500mmol/lの条件で80℃〜200℃で水熱処理を行い、結晶成長層を形成する第2工程とからなるPZT系圧電結晶膜の製造方法。
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