JP3135944U - 被研磨物保持材用リペアシートとそれを用いた被研磨物保持材 - Google Patents

被研磨物保持材用リペアシートとそれを用いた被研磨物保持材 Download PDF

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Abstract

【課題】被研磨物保持材の長寿命化、低コスト化を可能とすること。
【解決手段】研磨加工により摩耗した被研磨物保持材の再使用のためにその主面に貼り付け加工される被研磨物保持材用リペアシートであって、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグからなり、前記被研磨物保持材と同一平面形状に打ち抜き加工されているもの。
【選択図】図1

Description

本考案は、水晶、ガラス、シリコン、フェライト等の被研磨物の研磨加工に用いられる被研磨物保持材(ラッピングキャリア)を再使用するために用いる被研磨物保持材用リペアシートとそれを用いた被研磨物保持材に関する。
被研磨物保持材は、水晶、ガラス、シリコン、フェライト等の各種の被研磨物を平面研磨装置で研磨加工する際、この被研磨物を保持するものとして使用されている。被研磨物保持材は、周囲に歯車を有する円盤状とされており、この円盤状部分に被研磨物を保持するための被研磨物保持穴が設けられている。そして、この被研磨物保持穴に被研磨物を配置した状態で平面研磨装置に装着し、該平面研磨装置に設けられた一対の対向する回転盤を接触させつつ回転させることで、該回転盤の内側表面に設けられた研磨布と研磨剤とによって被研磨物が研磨される。
被研磨物保持材としては、従来はSK鋼等の金属板が多く使用されていたが、金属板は研磨加工中に流出する金属成分が半導体等の性能に悪影響を与えるため、近年では繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させた繊維強化型樹脂シートが広く用いられるようになっている。このような繊維基材としては、例えばガラス繊維が用いられている。
しかし、繊維基材がガラス繊維からなる被研磨物保持材については、平面研磨装置による研磨加工中に摩擦によってガラス繊維が削れてガラス粉が発生し、最終的にこのガラス粉が被研磨物の表面に付着してスクラッチ傷を発生させ、研磨加工の歩留まりを低下させる。
このため、近年では研磨加工におけるガラス粉等の不純物の発生を抑制すべく、被研磨物保持材における繊維基材として、ガラス繊維基材の代わりに耐摩耗性に優れるアラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維基材を使用することが検討されている。
上述したように、繊維基材としてガラス繊維を用いた被研磨物保持材については、研磨加工中に徐々にその表面が磨耗することによってガラス粉が発生し、最終的にこのガラス粉が被研磨物の表面に付着してスクラッチ傷を発生させ、研磨加工の歩留まりを低下させる。このようなスクラッチ傷の発生による研磨加工の歩留まりの低下から、繊維基材としてガラス繊維を用いた被研磨物保持材については比較的短期間で寿命とされ、新規な被研磨物保持材へと交換されている。このため、繊維基材としてガラス繊維を用いた被研磨物保持材については、その長寿命化、低コスト化が求められている。
一方、上述したように被研磨物保持材における繊維基材として、ガラス繊維基材の代わりに耐摩耗性に優れるアラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維基材を使用することが検討されている。しかしながら、このような有機繊維基材を使用した被研磨物保持材は必ずしも十分な強度を有しておらず、またこのような有機繊維基材は比較的高価であることから被研磨物保持材の製造コストが上昇するという問題がある。
本考案は、上記課題を解決するためになされたものであって、被研磨物保持材の長寿命化、低コスト化が可能な被研磨物保持材用リペアシートを提供することを目的としている。また、本考案は、このような被研磨物保持材用リペアシートを利用して再生された低コストな被研磨物保持材を提供することを目的としている。
本考案の被研磨物保持材用リペアシートは、研磨加工により摩耗した被研磨物保持材の再使用のためにその主面に貼り付け加工されるものであって、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグからなり、前記被研磨物保持材と同一平面形状に打ち抜き加工されていることを特徴としている。
本考案の被研磨物保持材用リペアシートにおいては、前記プリプレグがガラス繊維からなる繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものであり、前記熱硬化性樹脂組成物がその硬化物のDMA法による常温での引っ張り弾性率が200MPa以上4000MPa以下となるものであることが好ましい。また、本考案の被研磨物保持材用リペアシートは、前記打ち抜き加工がビク型を用いて行われたものであることが好ましい。
本考案の被研磨物保持材は、研磨加工により摩耗した被研磨物保持材と、前記被研磨物保持材の少なくとも一方の主面に貼り付けられた本考案の被研磨物保持材用リペアシートとを具備することを特徴としている。
本考案によれば、被研磨物保持材の長寿命化あるいは低コスト化が可能な被研磨物保持材用リペアシートを提供することができる。また、本考案によれば、このような被研磨物保持材用リペアシートを利用した低コストな被研磨物保持材を提供することができる。
以下、本考案について説明する。本考案の被研磨物保持材用リペアシート(以下、単にリペアシートと呼ぶ)は、研磨加工により摩耗した被研磨物保持材の再使用のためにその主面に貼り付け加工されるものであって、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグからなり、被研磨物保持材と同一平面形状に打ち抜き加工されていることを特徴としている。
本考案のリペアシートは、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグからなるため、被研磨物保持材の主面に重ね合わせて加熱、加圧等を行うことで容易に接着することができる。そして、本考案のリペアシートは、予め被研磨物保持材と同一平面形状に打ち抜き加工されているため、被研磨物保持材に位置合わせして接着するだけで被研磨物保持材を容易に補修することができる。このため、本考案のリペアシートによれば、被研磨物保持材を容易に長寿命化できると共に、磨耗した被研磨物保持材を再利用して新規な被研磨物保持材とできる点で被研磨物保持材を低コストなものとすることもできる。
以下、本考案のリペアシートについて、図面を参照してさらに詳細に説明する。図1は、本考案のリペアシート1の一例を示した平面図である。リペアシート1は、例えば円盤状の支持部2と、その外周部に設けられた歯車部3と、円盤状の支持部2に設けられた複数の被研磨物保持穴4とを有している。上述したように、リペアシート1は被研磨物保持材、すなわち研磨加工により摩耗した被研磨物保持材(図示せず)と同様な平面形状に打ち抜き加工されたものであり、リペアシート1の円盤状の支持部2、歯車部3および被研磨物保持穴4が、それぞれ被研磨物保持材の円盤状の支持部、歯車部および被研磨物保持穴と重なり合うように同一の位置に同一の形状で形成されている。
図2は、図1に示すリペアシート1のA−A線断面を模式的に示した断面図である。リペアシート1はプリプレグ5からなるものであり、このプリプレグ5は具体的には繊維基材6に熱硬化性樹脂組成物7を含浸させた後、この熱硬化性樹脂組成物7を半硬化状態としたものである。
リペアシート1の厚さは、必ずしも限定されるものではないが、30μm以上200μm以下であることが好ましい。リペアシート1の厚さが30μm未満であると、被研磨物保持材に貼り付けて使用した場合にリペアシート1が磨減しやすく、被研磨物保持材の寿命が短くなるおそれがあるため好ましくなく、一方200μmを超えると、製造時の打ち抜き加工が困難となるおそれがあり、また被研磨物保持材に貼り付けて使用した場合に、その厚さが過度に厚くなるおそれがあるため好ましくない。
リペアシート1は、図2に示されるように単層のプリプレグ5からなるものであってもよいし、図示しないが複数層のプリプレグ5からなるものであってもよい。プリプレグ5は、リペアシート1を単層のプリプレグ5からなるものとするか、また複数層のプリプレグ5からなるものとするかによっても異なるが、10μm以上200μm以下の厚さのものが好適に用いられる。
プリプレグ5を構成する繊維基材6は、織布または不織布のいずれであってもよい。また、繊維基材6は、例えば繊維を平行に引き揃えて一方向性としたものであってもよい。繊維基材6を不織布とすることで、方向性を持たず、全方向にほぼ等しい強度や剛性を備えたものとすることができる。また、繊維基材6を織布または一方向性のものとすることで、高い剛性を得ることができ、特に大型の被研磨物保持材に対して使用する場合に、該被研磨物保持材の形状保持を有利にすることができ、また平面研磨装置の各種歯車からの負荷に対しても高い耐久性を有するものとすることができる。
繊維基材6を構成する繊維としては、ガラス繊維の他、例えば炭素繊維、アラミド繊維、PBO繊維(ポリ−P−フェニレンベンズビスオキサゾール繊維)、全芳香族ポリエステル繊維等が挙げられる。プリプレグ5の加工性、例えば打ち抜き加工性や、製造コストの観点からは、ガラス繊維が好適なものとして挙げられる。ガラス繊維からなる繊維基材6としては、例えばIPC−EG−140に規定される平織りEガラスクロス等が好適なものとして挙げられる。
なお、リペアシート1が複数層のプリプレグ5からなる場合、各プリプレグ5における繊維基材6の繊維の種類や、繊維基材6の形態は必ずしも同様なものである必要はなく、各層毎に繊維基材6の繊維の種類や、繊維基材6の形態が異なっていてもよい。
繊維基材6に含浸させる熱硬化性樹脂組成物7は、例えば(A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤および(C)硬化促進剤からなるものである。(A)成分の熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂およびビスマレイミド樹脂等から選択される少なくとも1種が好適に用いられるが、これらの中でも、接着性、その他の信頼性およびコスト等の観点から、特にエポキシ樹脂が好適に用いられる。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を含有するような多官能のエポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種以上が混合されたものであってもよい。
(B)成分の硬化剤および(C)成分の硬化促進剤としては、(A)成分の各種の熱硬化性樹脂に対して通常用いられている硬化剤、硬化促進剤が挙げられ、(A)成分の熱硬化性樹脂に合わせて適宜選択して用いられる。例えば(A)成分の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、(B)成分の硬化剤としては、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸等の酸無水物硬化剤等が挙げられ、また(C)成分の硬化促進剤としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物7は、必要に応じてその硬化物を可塑化するためのエラストマー等の変性剤を含有することができる。例えばエラストマーとしては、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシ含有アクリロニトリルブタジエンゴム等の各種合成ゴム、ゴム変性の高分子量化合物、高分子エポキシ樹脂、変性ポリイミド、変性ポリアミドイミド等が挙げられ、これらは単独または2種以上が混合されたものであってもよい。これらの中でも、特に合成ゴム、ゴム変性高分子化合物、高分子エポキシ樹脂等が好適なものとして挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物7における各成分の配合割合は、好適には(A)成分の熱硬化性樹脂が60質量%以上90質量%以下、(B)成分の硬化剤が0.5質量%以上35質量%以下、(C)成分の硬化促進剤が0.05質量%以上5質量%以下である。また、熱硬化性樹脂組成物7がエラストマーを含有する場合、エラストマーの含有割合は、熱硬化性樹脂組成物7の全体に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。エラストマーの含有割合が1質量%未満では、硬化物の可塑化に効果が少なく、30質量%を超えると繊維基材6への熱硬化性樹脂組成物7の含浸が困難となるおそれがある。
熱硬化性樹脂組成物7は、その硬化物の常温での引っ張り弾性率が200MPa以上4000MPa以下となるものが好ましい。硬化物の常温での引っ張り弾性率が200MPa未満となるものの場合、または4000MPaを超えるものの場合、後述するリペアシート1への加工のための打ち抜き加工の際に、粉落ち、毛羽立ち等の問題が発生するおそれがある。なお、熱硬化性樹脂組成物7の硬化物の常温での引っ張り弾性率は、該硬化物に対する常温での動的粘弾性試験(DMA)により求められるものであり、例えばセイコーインスツルメンツ社製 DMS6100を用いて、周波数1Hzで測定されるものである。
プリプレグ5における熱硬化性樹脂組成物7の質量比率は30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。プリプレグ5における熱硬化性樹脂組成物7の質量比率が30質量%未満であると、プリプレグ5の表面平滑性が低下するおそれがあり、一方、プリプレグ5は繊維基材6と熱硬化性樹脂組成物7とから構成されているため、熱硬化性樹脂組成物7の質量比率が70質量%を超えると相対的に繊維基材6の質量比率が低下し、強度や剛性が十分でなくなるおそれがある。
さらに、プリプレグ5において半硬化状態とされた熱硬化性樹脂組成物7は、150℃でのゲルタイムが50秒以上150秒以下となっていることが好ましい。熱硬化性樹脂組成物7の150℃でのゲルタイムが50秒未満であると、熱硬化性樹脂組成物7の硬化時間が短く、被研磨物保持材へ加熱、加圧等によって貼り付ける際に被研磨物保持材に熱硬化性樹脂組成物7が十分に接触せず、十分な接着力を得られないおそれがあり、また150秒を超えると被研磨物保持材への加熱、加圧等による貼り付けに時間がかかり、生産性に優れない。
このようなプリプレグ5は、例えば上述した組成を有する熱硬化性樹脂組成物7をメチルエチルケトン、トルエン、アセトン、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、シクロヘキサノン等の好適な有機溶剤で希釈して樹脂溶液とし、これを繊維基材6に含浸、加熱乾燥させ半硬化状態とすることで製造することができる。繊維基材6への樹脂溶液の含浸は、例えば樹脂溶液が収容された浸漬槽内に繊維基材6を通過させるなどの公知の方法によって行うことができる。また、含浸、加熱乾燥させる熱硬化性樹脂組成物7は、例えば50℃以上150℃以下の温度で1分以上30分以下の加熱処理を行うことによって半硬化状態とすることができ、またゲルタイムも調整することができる。
リペアシート1を単層のプリプレグ5からなるものとする場合、このようにして製造されたプリプレグ5を被研磨物保持材と同一の平面形状に打ち抜き加工することで容易に製造することができる。この場合、リペアシート1の厚さは、プリプレグ5の厚さを変更することで容易に調整することができる。
一方、リペアシート1を複数層のプリプレグ5からなるものとする場合、例えば複数枚のプリプレグ5を予め被研磨物保持材と同一の平面形状に打ち抜き加工しておき、これを位置合わせして重ね合わせた後に加熱、加圧等により一体化することによって製造してもよいし、また例えば打ち抜き加工が行われていない複数枚のプリプレグ5を重ね合わせて加熱、加圧等により一体化した後、これを被研磨物保持材と同一の平面形状に打ち抜き加工することによって製造してもよい。この場合、リペアシート1の厚さは、プリプレグ5の厚さを変更することによって、またはプリプレグ5の積層数を変更することによって容易に調整することができる。
打ち抜き加工に関しては、一般的な金型の他、例えばビク型(トムソン型)のような比較的簡便な型を用いて行うことができる。ビク型は、例えばベースとなるベニヤ板や樹脂板(ダイボード)にレーザーで溝加工を施し、その溝と同じ形状に曲げた鋼の刃物を埋め込んだものであり、一般的な金型に比べて構造が簡単で、低コストなものである。本考案では、上述したようにプリプレグ5を構成する繊維基材6としてガラス繊維を用い、また熱硬化性樹脂組成物7としてその硬化物の常温での引っ張り弾性率が特定範囲内となるものを用いることで、上述したビク型のような比較的簡便な型を用いて容易かつ適切に打ち抜き加工することができる。
このようにして得られたリペアシート1は、研磨加工により摩耗した被研磨物保持材を再使用するためにその主面に貼り付け加工されて使用される。そして、本考案の被研磨物保持材は、このようにして被研磨物保持材の少なくとも一方の主面にリペアシート1が貼り付けられてなるものである。以下、リペアシート1の使用方法および本考案の被研磨物保持材の製造方法について併せて説明する。
図3は、リペアシート1が適用される被研磨物保持材10であって、研磨加工に使用される前の状態を示す断面図である。被研磨物保持材10は、リペアシート1と同様、円盤状の支持部12と、その外周に設けられた歯車部13と、支持部12に設けられた複数の被研磨物保持穴(図示せず)とから構成されている。被研磨物保持材10は、例えばガラス繊維からなる繊維基材に熱硬化性樹脂組成物が含浸、硬化されてなるものであり、その厚さは例えば0.3mm以上1.2mm以下である。
このような被研磨物保持材10を研磨加工に使用すると、研磨加工中にその表面が徐々に磨耗し、さらに磨耗が進行することによって繊維基材を構成するガラス繊維が削れ、ガラス粉を発生させる。このガラス粉は、被研磨物の表面にスクラッチ傷を発生させ、研磨加工の歩留まりを低下させる原因となる。このため、ガラス粉が発生し、被研磨物の表面にスクラッチ傷が発生するようになった時点で、その被研磨物保持材10は寿命とされる。図4は、寿命とされた被研磨物保持材10を模式的に示す断面図である。摩耗により、被研磨物保持材10の表面から繊維基材を構成するガラス繊維16が露出するようになっている。
本考案のリペアシート1は、このような被研磨物保持材10の主面に貼り付け加工されて使用される。被研磨物保持材10へのリペアシート1の貼り付けは、まず、図5に示すように被研磨物保持材10のそれぞれの主面にリペアシート1を配置する。このとき、リペアシート1の円盤状の支持部2が被研磨物保持材10の円盤状の支持部12と、リペアシート1の歯車部3が被研磨物保持材10の歯車部13と、リペアシート1の被研磨物保持穴4(図示せず)が被研磨物保持材10の被研磨物保持穴(図示せず)と、それぞれ重なり合うように位置合わせを行って配置する。
その後、両主面にリペアシート1が配置された被研磨物保持材10を金型内に挿入し、加熱、加圧等により、被研磨物保持材10の両主面にリペアシート1を接着して一体化する。このようにすることで被研磨物保持材10が補修され、また本考案の被研磨物保持材が製造される。金型としては、被研磨物保持材10にリペアシート1を接着して一体化できるものであれば特に限定されるものではなく、高精度の大型プレス等を用いることができるのは勿論のこと、汎用フレキシブル基板の製造に用いられる快速プレス等も用いることもできる。加熱、加圧条件は、リペアシート1の厚さ等によっても異なるものの、例えば温度が100℃以上180℃以下、圧力が0.5MPa以上4MPa以下、時間が1分以上120分以下とされる。
図6は、このようにして補修が行われた被研磨物保持材10、すなわち本考案の被研磨物保持材(以下、再生被研磨物保持材と呼ぶ)20を示す平面図である。また、図7は、図6に示される再生被研磨物保持材20のA−A線断面を示す断面図である。図6に示されるように、再生被研磨物保持材20は、円盤状の支持部22と、その外周に設けられた歯車部23と、支持部22に設けられた複数の被研磨物保持穴24とから構成されている。
再生被研磨物保持材20は、図7にも示されるように、研磨加工に使用され、摩耗した被研磨物保持材10と、その両主面に接着されたリペアシート1とから構成されている。そして、再生被研磨物保持材20における円盤状の支持部22はリペアシート1の円盤状の支持部2と被研磨物保持材10の円盤状の支持部12とが重なり合わされて構成されており、同様に歯車部23はリペアシート1の歯車部3と被研磨物保持材10の歯車部13とが重なり合わされて構成されており、また被研磨物保持穴24はリペアシート1の被研磨物保持穴4と被研磨物保持材10の被研磨物保持穴14とが重なり合わされて構成されている。
このような再生被研磨物保持材20は、従来の被研磨物保持材と同様にして研磨加工に使用することができる。図8、9は、再生被研磨物保持材20の被研磨物保持穴24に半導体ウェハー等の被研磨物30を保持した状態で、この被研磨物30の研磨加工のために再生被研磨物保持材20を装着した平面研磨装置40を示したものであり、図8はその平面図を示し、図9は断面図を示したものである。
例えば図9に示されるように、平面研磨装置40は上下に回転盤41、42を有し、その回転盤41、42の内面にそれぞれ研磨布43、44が貼り付けられている。また、研磨布43、44には、不図示のノズルから研磨剤が供給されるようになっている。さらに下側の回転盤42には、内面中心部に太陽歯車45が設けられ、さらに外周部外側にリング47によって固定された内歯歯車46が設けられている。再生被研磨物保持材20は、太陽歯車45と内歯歯車46とに同時に噛み合うように装着され、太陽歯車45の回転駆動により自転と共に太陽歯車45の周りを公転するようになっている。
上記平面研磨装置40により被研磨物30の両面を研磨加工するときは、まず上側の回転盤41を上昇させたのち、再生被研磨物保持材20の被研磨物保持穴24に被研磨物30を嵌め込む。次いで、鎖線で示すように回転盤41を下降させ、内面の研磨布43を被研磨物30の上面に接触させた状態にする。そして、不図示のノズルから研磨剤を吐出しながら太陽歯車45を回転させると共に、回転盤41、42を互いに反対方向に回転させることで、再生被研磨物保持材20に保持された被研磨物30の両面が研磨される。
以上、本考案のリペアシートとそれを用いた被研磨物保持材(再生被研磨物保持材)について説明したが、本考案のリペアシートおよび再生被研磨物保持材は上記実施形態に限定されるものでなく、必要に応じて、かつ本考案の趣旨に反しない限度において適宜その構成を変更することができる。
例えば、リペアシートの平面形状、すなわち支持部、歯車部および被研磨物保持穴の形状、具体的には歯車部の歯数、被研磨物保持穴の個数や配置等は、再生される被研磨物保持材の形状に応じて適宜変更することができる。また、再生される被研磨物保持材についても、上述したような繊維基材がガラス繊維からなるものが特にガラス粉の発生により比較的短期間で寿命とされ、本考案のリペアシートを使用する効果が大きくなるが、その他の繊維からなる繊維基材を用いたものについても本考案のリペアシートを使用することができ、また十分な効果を得ることができる。
本考案のリペアシートの一例を示す平面図。 図1に示されるリペアシートのA−A線断面を模式的に示す断面図。 リペアシートが適用される被研磨物保持材(研磨加工前)を示す断面図。 図3に示される被研磨物保持材の研磨加工後の状態を示す断面図。 図4に示される被研磨物保持材へのリペアシートの貼り付け方法を示す断面図。 本考案の被研磨物保持材の一例を示す平面図。 図6に示される被研磨物保持材のA−A線断面を示す断面図。 本考案の被研磨物保持材が装着された平面研磨装置を示す平面図。 図8に示される平面研磨装置の断面図。
符号の説明
1…リペアシート、2…支持部、3…歯車部、4…被研磨物保持穴、5…プリプレグ、6…繊維基材、7…熱硬化性樹脂組成物、10…被研磨物保持材、12…支持部、13…歯車部、14…被研磨物保持穴、16…露出したガラス繊維、20…被研磨物保持材(再生被研磨物保持材)、22…支持部、23…歯車部、24…被研磨物保持穴、30…被研磨物、40…平面研磨装置、41…上側回転盤、42…下側回転盤、43…上側研磨布、44…下側研磨布、45…太陽歯車、46…内歯歯車、47…リング

Claims (4)

  1. 研磨加工により摩耗した被研磨物保持材の再使用のためにその主面に貼り付け加工される被研磨物保持材用リペアシートであって、
    繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグからなり、前記被研磨物保持材と同一平面形状に打ち抜き加工されていることを特徴とする被研磨物保持材用リペアシート。
  2. 前記プリプレグはガラス繊維からなる繊維基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものであり、かつ前記熱硬化性樹脂組成物はその硬化物のDMA法による常温での引っ張り弾性率が200MPa以上4000MPa以下となるものであることを特徴とする請求項1記載の被研磨物保持材用リペアシート。
  3. 前記打ち抜き加工がビク型を用いて行われたことを特徴とする請求項1または2記載の被研磨物保持材用リペアシート。
  4. 研磨加工により摩耗した被研磨物保持材と、
    前記被研磨物保持材の少なくとも一方の主面に貼り付けられた請求項1乃至3のいずれか1項記載の被研磨物保持材用リペアシートと
    を具備することを特徴とする被研磨物保持材。
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