JP3133476B2 - エンボス版、該エンボス版を用いて製造した化粧材及び該エンボス版の製造方法 - Google Patents

エンボス版、該エンボス版を用いて製造した化粧材及び該エンボス版の製造方法

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JP3133476B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はブラスト処理により部分
的にマット(艶消し)化された表面を有し、部分的に艶
の異なる意匠を基材表面に賦与するために用いるエンボ
ス版、該エンボス版を用いて製造した化粧材、及び該エ
ンボス版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来艶の異なる部分が設けられた化粧材
を製造する方法として、表面に化粧材表面の艶に対応し
た微細な凹凸を形成して艶消し表面を表現したエンボス
版を用いて該版の表面形状を化粧材の基材表面に賦形し
て製造する方法が広く用いられている。
【0003】上記エンボス版の表面に艶消しの微細な凹
凸を形成する方法として、従来、1)所望の部分をエッ
チングにより細かなテクスチャーで金属板の表面を浅く
広く腐食させ艶の差を表現する所謂エッチング方法、
2)全面にサンドブラストする方法等がある。上記2)
の方法は良質なマット感が得られるものの、部分的に艶
消し状にするのは困難であり、3)感光性樹脂等のレジ
スト材料を用いて所望のパターンに保護層を形成して、
該保護層の上から全面にサンドブラスト処理を施して艶
消し部分を形成した後、感光性樹脂を除去して所望の部
分のみがブラスト処理されたものを得る方法等も知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の製造方法は、1)のエッチング法の場合、完全なマッ
ト感を表現することが出来ないと言う問題があった。ま
た、上記3)のブラストによる方法はエンボス版の材質
に樹脂板等の材質を使用した場合には、弱いサンドブラ
ストで艶消し部を形成可能であるため、感光性樹脂等か
らなる保護層でも十分使用可能であるが、金属板のよう
にサンドブラストを強くかける場合には艶消し部を覆っ
ている感光性樹脂等の保護層はサンドブラストに耐えら
れず、従来金属素材のサンドブラストに耐える保護層が
なかった。
【0005】本発明は上記従来技術の欠点を解消しよう
とするもので、ブラスト処理により形成された優れたマ
ット感を有する艶消し部が、所望の部分のみに設けられ
ている優れた意匠性を有するエンボス版、該エンボス版
を用いて製造した化粧材、及び該エンボス版の製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明エンボス版は金属
基材の表面に艶消しの微細な凹凸形状に形成された艶消
し部と、該艶消し部と艶の異なる部分とを有するエンボ
ス版において、金属基材の表面に保護金属層を設け該保
護金属層の表面にレジストにより艶消し部以外に所望の
パターンを形成し、エッチングにより艶消し部の保護金
属層を除去し金属基材表面を露出させ、全体にブラスト
処理を施して金属基材に艶消し部を形成し、残っている
保護金属層を除去して、艶消し部とそれ以外の艶の異な
る部分とが形成されているものである。
【0007】また、上記エンボス版は、ブラスト処理の
前にエッチングにより露出した金属基材表面を更にエッ
チングして腐食させて形成したものや、金属基材の表面
に予め万線模様のミクロエンボスを形成しておくことも
できる。
【0008】本発明化粧材は、上記のエンボス版を用い
て化粧材基材表面に該エンボス版の表面形状を賦形して
なるものである。
【0009】本発明エンボス版の製造方法は、下記の各
工程を順次行うことを特徴とするものである。 (A)金属基材の表面に保護金属層を設ける第1工程 (B)保護金属層表面にレジストにより所望のパターン
を形成する第2工程 (C)エッチングにより艶消しにしたい部分の保護金属
層を除去して金属基材を露出させる第3工程 (D)全面にブラスト加工を施して露出した金属基材の
表面に艶消し部を形成する第4工程 (E)残っている保護金属を除去する第5工程
【0010】また上記製造方法において、第3工程と第
4工程の間にエッチングにより露出した部分の金属基材
を更に腐食させる工程を行ったり、また、金属基材の表
面に予め万線模様のミクロエンボスを形成しておくこと
もできる。
【0011】
【作用】金属基材2の表面の艶消しにする部分以外に保
護金属層5が形成されていることにより、全面にブラス
ト処理を行った際、金属基材2が露出した所望の部分の
みが微細な凹凸を形成して艶消し部3となり、保護金属
層5の部分が金属皮膜により形成されているために、レ
ジストの樹脂皮膜等のようにブラスト処理によって剥離
する虞れがなく、金属基材2の艶消し部3以外がブラス
ト処理されたりするのを防いで、所望の部分のみを正確
にブラスト処理することができる。
【0012】
【実施例】以下、図面に基き本発明を詳細に説明する。
図面は本発明の実施例を示し図1は本発明製造方法の1
例を示す工程図である。
【0013】本発明エンボス版1は図1(e)に示すよ
うに、金属基材2の表面が艶消しの微際な凹凸形状に形
成されている艶消し部3と、光沢部4のように該艶消し
部3と艶の異なる部分を有するものである。このエンボ
ス版1は下記の第1工程〜第5工程を順次行うことで製
造する。
【0014】〔第1工程〕本発明エンボス版の製造方法
は、図1(a)に示すようにまず金属基材2表面の全面
に保護金属層5を設ける。本発明において用いられる金
属基材2の材質は通常エンボス版に用いられるエッチン
グ可能な金属であればよく、例えば亜鉛、銅、真鍮、ア
ルミニウム、鉄、ステンレス、クロム等の金属板が挙げ
られ、なかでも銅が好ましい。金属基材2の厚みは特に
限定されないが1〜2mm程度が好ましい。また金属基材
2は板状体以外にも、例えば鉄芯等の芯材の表面に銅等
の金属をメッキしてロール状に予め形成したものを使用
することもできる。
【0015】本発明において用いられる保護金属層5は
アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、銅、金、
銀、錫、亜鉛、黄銅、ステンレス等の金属を用いること
ができる。保護金属層の形成方法は、金属基材2の表面
に蒸着、溶射、電解メッキ、無電解メッキ、スパッタリ
ング等により形成可能である。保護金属層5は上記金属
基材2と異なるエッチング液による腐食特性を有する材
質が好ましい。また該保護金属層5の厚みは特に限定さ
れないが、後工程のブラスト処理の場合に剥離したり磨
滅せず、且つエッチングを行う場合に容易に剥離できる
程度の厚さが好ましく3〜20μm程度に形成される。
【0016】〔第2工程〕次いで上記保護金属層5の表
面にレジスト層6を全面に設け〔図1(a)〕、該レジ
スト層6を同図(b)に示すように所望のパターンに形
成する。図2はレジスト層パターン形成方法の1例を示
す工程図である。レジスト層6を所望のパターンに形成
するには、図2(ア)に示すようにレジスト層6の表面
に所望のパターンに絵柄を形成した原版フィルム7を重
ね、該原版フィルム7の上からレジスト層6に光8を照
射(露光)してレジスト層6の所望部分のみを硬化させ
る〔図2(イ)〕。次いで現像しレジスト層6の未硬化
の感光性樹脂を除去して、硬化したレジスト層6のみか
らなる所望のパターンが得られる〔同図(ウ)〕。
【0017】原版フィルム7は艶消し部3としたい部分
を黒場とし光沢部4としたい部分を白場としたフィル
ム、又はその反対に艶消し部3としたい部分を白場とし
光沢部4としたい部分を黒場としたフィルムが用いられ
る。
【0018】レジスト層6はネガ型、ポジ型いずれを使
用してもよく原版フィルム7に応じて適宜選定する。例
えば原版フィルムがエンボス版の艶消し部3を白場、光
沢部4を黒場に形成した場合、レジスト層6の材料にポ
ジ型を用いればよく、またその反対に艶消し部4が黒場
に形成されている原版フィルムを用いた場合にはネガ型
のレジスト材料を用いる。上記レジスト材料のポジ型と
は光を照射した部分が分解し現像により未照射の部分の
みが残り原版フィルムの黒場が所望のパターンに形成さ
れるものであり、またネガ型とは照射部分が架橋された
状態になり現像後に照射部分のみが残り原版フィルムの
白場がパターンとして形成されるものである。
【0019】上記ポジ型のレジスト材料は例えばノボラ
ック樹脂−o−キノンアジド化合物をベースとしたもの
等があり、またネガ型のレジスト材料しては、環状ゴム
系、ポリけい皮酸ビニル系等がある。レジスト材料は通
常ネガ型が用いられ、その材質としてポリビニルアルコ
ールをベースとした水溶性のものを用いるのが好まし
く、この場合現像工程において水洗するだけで未硬化の
レジストを除去可能なので現像が容易である。
【0020】〔第3工程〕次に図1(c)に示すよう
に、保護金属層5表面に所望のパターンにレジスト層6
を形成した金属基材2にエッチングを施して、レジスト
層6のない部分の保護金属層5を腐食させて除去する。
尚、レジスト層6はエッチングの前に除去を行っても、
行わなくても何方でも良い。このエッチングに用いるエ
ッチング液は保護金属層5を腐食させるが金属基材2を
腐食させないものが望ましい。表1に保護金属層の材質
と該保護金属層を腐食可能なエッチング液の組み合わせ
の例を示す。
【0021】
【表1】
【0022】〔第4工程〕エンボス版1の艶消し部3と
する箇所の保護金属層をエッチングで除去して、金属基
材2の表面を露出させたならば、次に同図(d)に示す
ように全面にブラスト処理を施して露出部分の表面に微
細な凹凸を設け艶消し部3を形成する。ブラスト処理は
サンドブラスト、ショットブラストの公知のブラスト処
理が利用できる。サンドブラスト処理は粒子径1〜10
0μm程度の鉄、炭化珪素、アルミナ、酸化クロム、酸
化鉄等の無機粒子を用い、圧縮空気等の力でノズルの先
端から金属基材の表面に吹きつけることで行われる。ま
たショットブラストは研削粒子に金属ショットを用い
る。
【0023】艶消し部3は通常1〜10μm程度の深さ
に微細な凹凸を形成したものであり、その艶消し度合い
はブラストの研削粒子の粒径、ブラスト処理の時間、サ
ンドブラストを当てる強さ等により任意に制御可能であ
り、化粧材の必要とする艶消し度合いに応じて適宜選択
する。
【0024】〔第5工程〕ブラスト処理が終了した後、
金属基材2表面に残存している保護金属層5を除去し
て、図1(e)に示すように除去した部分がブラスト処
理されない光沢部4として形成され、ブラスト処理した
部分が艶消し部3が形成されたエンボス版1を得る。保
護金属層5の除去はエッチングにより残存している保護
金属層を腐食させればよく、この場合、エッチング液に
保護金属層5は腐食するが金属基材2は腐食しないエッ
チング液を用いるのが好ましく、保護金属層5のみを選
択的に除去して金属基材に影響を与えないで良好に処理
を行うことができる。
【0025】このような保護金属層の除去に用いるエッ
チング液として、例えば金属基材に銅を用い保護金属層
にクロムを用いた場合は、エッチング液に塩化第2鉄溶
液を用いるとよく、該エッチング液は保護金属層のクロ
ムのみを選択的に腐食して、金属基材の銅を腐食させな
いために、不要の保護金属層のみ除去して、艶消し部3
や光沢部4等には影響を与えずに良好なエンボス版表面
が得られ、エッチングの作業も容易に行うことができ
る。
【0026】本発明において、必要に応じてエンボス版
の表面を保護するためにクロムのような硬い金属の保護
層9をメッキや蒸着により形成してもよい。保護層を形
成することによりエンボス版の耐久性が向上し、またこ
のようなメッキ仕上げにより鏡面部の光沢(グロス)が
更に向上する。保護層9の厚みは10μm前後程度に設
けるのが好ましい。
【0027】本発明においてエンボス版1は枚葉状、ロ
ール状いずれにも形成可能であり、エンボス版1をロー
ル状に形成する場合には平板状に形成したものを鉄製の
芯等に巻きつけて形成できる。また前述したように芯材
等の表面にメッキ等で金属基材の層を形成し、予めロー
ル状の金属基材を用いて上記の工程を行いロール状のエ
ンボス版とすることもできる。
【0028】図3は本発明製造方法の他の例を示す説明
図である。本発明製造方法において、図1に示す上記第
3工程と第4工程との間に、エッチング液をそれまでの
保護金属層のみを腐食するエッチング液から、金属基材
のみを腐食する(保護金属層は腐食させない)エッチン
グ液に変えてエッチングを行うことができる。図3
(a)に示すように前述した方法でエッチングにより金
属基材の表面を露出させ、ブラスト処理を施す前に同図
(b)に示すように、金属基材2を腐食するエッチング
液を用いて露出した金属基材2の表面を腐食させて金属
基材2の表面(艶消し部3となる部分)を凹部31とし
て形成し、同図(c)に示すように全面にブラスト処理
を施して凹部31を艶消し部3として、保護金属層5を
除去して同図(d)に示すように最終的に形成されたエ
ンボス版1の艶消し部3と光沢部4に段差を設けること
もできる。
【0030】図4は本発明製造方法のその他の例を示す
説明図である。本発明では、金属基材2の表面に予め万
線模様のミクロエンボスを設けておくこともできる。図
4(a)に示すように金属基材2の表面の一部(例えば
図1のエンボス版1の光沢部4)に予めミクロエンボス
からなる万線模様等を形成する。そして同図(b)に示
すように保護金属層5、レジスト層6を全面に形成し、
同図(c)に示すように万線模様10の上にレジスト層
6と保護金属層5が形成されるようにレジスト層のパタ
ーンを設けエッチングを行い、ブラスト処理を施し艶消
し部3を形成し保護金属層5を剥離して該保護金属層の
パターン部分に万線模様10が形成されたエンボス版1
が得られる(同図d)。
【0031】ここで万線模様10は、平行な直線群又は
曲線群状の溝を形成する凹部及び凸部の集合体よりなる
もので、凹部の幅、凸部の幅や凹部深さ及び凸部の高さ
は1〜1000μm程度に形成されるものである。この
万線模様を形成することで視線方向の角度、光源の角度
等によって表面の艶が変化する効果が付与される。万線
模様10を形成するには、前述のレジストパターンの形
成と同様に感光性樹脂等からなるレジストパターンを金
属基材2の表面に形成した後に、該レジストパターン以
外の部分をエッチング液で腐食させて金属素材2の表面
に万線模様10のミクロエンボスを形成する。
【0032】図4ではこの万線模様10を光沢部の全部
に形成したが、形成部分は特に限定されず、光沢部の一
部に形成してもよい。
【0033】図5は本発明エンボス版1の態様を示す断
面図であり、前述した段差の形成や万線模様を各種組み
合わせることもできる。図5(a)は光沢部4の一部に
万線模様10を設けたものであり、光沢部4と万線模様
10と艶消し部3の3種類の意匠を有する。
【0034】また、図5(b)は図3に示すエンボス版
の光沢部4を全て万線模様10としてそれ以外の部分の
凹部には艶消し部3が形成されているものである。また
同図(c)は万線模様10、光沢部4、艶消し部3の3
つの意匠に加えて艶消し部3と万線模様10又は光沢部
との間に段差が形成されたものである。
【0035】図6(a)、(b)は上記エンボス版を用
いて製造した化粧材の例を示す断面図である。本発明化
粧材15は例えば図6(a)に示すように図5(b)に
示すエンボス版を用いた場合、該エンボス版1の艶消し
部3に対応する艶消し部32が化粧材基材11に賦形さ
れてなるものである。また、エンボス版1の万線模様1
1も対応する万線模様12となって賦形されている。
【0036】上記化粧材を形成するには、熱可塑性樹
脂シート等を化粧材基材11を用い、該基材11の表面
に加熱加圧したエンボス版1を当接して、エンボス版の
表面形状を化粧材基材11の表面に賦形することで化粧
材15を製造できる。この場合、段差を設けたエンボス
版の場合、エンボス版と化粧材の凹部と凸部は逆に形成
される。
【0037】また、ポリエステル化粧合板のような熱
硬化性樹脂等からなる化粧材を製造する場合は、熱可塑
性樹脂フィルム等にエンボス版1の表面形状を賦形して
得られる所謂賦形フィルムを一度製造して、該賦形フィ
ルムを用い化粧材基材11となる硬化性樹脂の表面に接
触させた状態で硬化させた後、賦形フィルムを剥離する
ことで、図6(b)に示すように化粧材基材11の表面
にエンボス版の表面形状と同じ艶消し部33、万線模様
14を有し、該艶消し部33と万線模様14の段差も同
じように形成された化粧材15が得られる。
【0038】上記化粧材基材11はこの種化粧材の基材
として用いられるものを用いればよく、例えばポリ塩化
ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、アクリル等の厚み10〜300μm程
度の熱可塑性樹脂フィルム、それらの複合フィルムや、
熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を用いることが
できる。ポリエステル樹脂化粧板の賦形フィルムとして
は、酸素透過性のないものが原則的には使用され、酸素
透過性のないフィルムと熱可塑性樹脂フィルムの複合フ
ィルムが用いられる。例えばこのような複合フィルムと
して、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポ
リエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、等の複合
フィルムが挙げられる。
【0039】また、賦形フィルムに用いる基材フィルム
としてはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエチレンテレフタレート、エバール(EVOH)、ビ
ニロン、ポリクリレート、ポリイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、トリアセチルセルロース、ポリカーボネ
ート、ポリアセタール、ポリ4フッ化エチレン、ポリビ
ニルアルコール、セロハン、ポリ塩化ビニリデン等のプ
ラスチックフィルム、グラシン紙、パーチメント紙、ト
レーシングペーパー、謄写版厚紙、硫酸紙、コート紙、
アート紙等の3〜250μm程度のものが使用できる。
あるいはこれらの複合フィルム等も使用できる。尚、メ
ラミン、ダップ(ジアリルフタレート樹脂)化粧板用の
賦形フィルムの基材フィルムとしては、メラミンやダッ
プの熱圧成型に耐えうるものが好ましく、このような基
材フィルムとして例えばポリエチレンテレフタレート/
電離放射線硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート/
ポリプロピレン、紙/ポリプロピレン等の複合フィルム
が挙げられる。
【0040】以上の如く形成した化粧材は図示したよう
に他の基材13に積層して使用してもよい。本発明化粧
材は艶の意匠を適宜変えることで、木目化粧シート、石
目化粧シート、金属(結晶を表現したような)シート、
抽象柄シート等の広範な化粧材とすることができ、非常
に意匠性に富んだ化粧シートが得られる。
【0041】次に本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
を更に詳細に説明する。
【0041】〔実施例1〕先ず、鉄芯のまわりに厚み2
00μmに銅メッキを施したロールの表面全面にクロム
メッキを行いクロム層を10μm厚みに形成し、該クロ
ム層の表面全面にネガ型の感光性樹脂(TPR:東京応
化工業製)を約5μm厚みに形成してレジスト層を全面
に設け、光沢部とする部分を白場としたネガフィルムを
作成し上記レジスト層の表面に重ね露光、現像を行いレ
ジストパターンを形成した後、塩酸を腐食液として艶消
し部の銅表面が露出するまでエッチングを行なった。次
に、クロム層がレジストパターン状に残っている状態で
全面にサンドブラストをかけ(♯150)艶消し部に微
細凹凸を設けた後、全体を腐食液(塩酸)に浸漬して、
残っているクロム層を全部除去し、更に上記エンボス版
表面の全面に10μmに表面保護のためのクロムメッキ
を施してエンボス版を得た。得られたエンボス版を用い
て塩化ビニルシートに賦形したところ、光沢部と艶消し
部が明確に形成された柄となり、しかも艶消し部の風合
いが従来にはない外観を有する化粧シートが得られた。
【0042】〔実施例2〕鉄芯のまわりに厚み200μ
mに銅メッキを施したロールの表面全面にクロムメッキ
を行いクロム層を10μm厚みに形成し、該クロム層の
表面全面にネガ型の感光性樹脂(TPR:東京応化工業
製)を約5μm厚みに形成してレジスト層を全面に設
け、光沢部とする部分を白場としたネガフィルムを作成
し上記レジスト層の表面に重ね露光、現像を行いレジス
トパターンを形成した後、塩酸をエッチング液として艶
消し部の銅表面が露出するまでエッチングを行なった。
次にエッチング液を塩化第2鉄溶液に変えて銅板の艶消
し部とする部分を30μm腐食させ、クロム層がレジス
トパターン状に残っている状態で全面にサンドブラスト
をかけ(♯150)艶消し部に微細凹凸を設けた後、塩
酸を用いて残っているクロム層を全部除去し、更に上記
エンボス版表面の全面に10μmに表面保護のためのク
ロムメッキを施してエンボス版を得た。得られたエンボ
ス版を用いて塩化ビニルシートに賦形したところ、光沢
部が凹み凸部に艶消し部が形成され艶の異なる部分が段
差を有する柄となり、しかも艶消し部の風合いが従来に
はない外観を有する化粧シートが得られた。
【0043】〔実施例3〕鉄芯のまわりに厚み200μ
mに銅メッキを施したロールの表面全面にクロムメッキ
を行いクロム層を10μm厚みに形成し、該クロム層の
表面に部分的に万線模様(万線比30μm:30μm、
版深5μm)のミクロエンボスをレジスト−エッチング
の手法で形成した。次いでネガ型の感光性樹脂(TP
R:東京応化工業製)を約5μm厚みに形成したレジス
ト層を全面に設け、ミクロエンボスの部分を白場とした
ネガフィルムを作成し、上記レジスト層の表面にネガフ
ィルムを重ね露光、現像を行いレジストパターンを形成
した後、塩酸をエッチング液として艶消し部の銅表面が
露出するまでエッチングを行なった。次にクロム層がレ
ジストパターン状に残っている状態で全面にサンドブラ
ストをかけ(♯150)艶消し部に微細凹凸を設けた
後、塩酸を用いて残っているクロム層を全部除去し、更
に上記エンボス版表面の全面に表面保護のためのクロム
メッキを施してエンボス版を得た。得られたエンボス版
を用いて塩化ビニルシートに賦形したところ、万線模様
のミクロエンボス部と艶消し部を明確な柄が得られ、し
かも艶消し部の風合いが従来にはない外観を有する化粧
シートが得られた。
【0044】〔実施例4〕鉄芯のまわりに厚み200μ
mに銅メッキを施したロールの表面全面にクロムメッキ
を行いクロム層を10μm厚みに形成し、該クロム層の
表面に部分的に万線模様(万線比30μm:30μm、
版深5μm)のミクロエンボスをレジスト−エッチング
の手法で形成した。次いでネガ型の感光性樹脂(TP
R:東京応化工業製)を約5μm厚みに形成したレジス
ト層を全面に設け、ミクロエンボスの部分を白場とした
ネガフィルムを作成し、上記レジスト層の表面にネガフ
ィルムを重ね露光、現像を行いレジストパターンを形成
した後、塩酸をエッチング液として艶消し部の銅表面が
露出するまでエッチングを行なった。次にエッチング液
を塩化第2鉄溶液に変えて銅板の艶消し部とする部分を
30μm腐食させ、クロム層がレジストパターン状に残
っている状態で全面にサンドブラストをかけ(♯15
0)艶消し部に微細凹凸を設けた後、塩酸を用いて残っ
ているクロム層を全部除去し、更に上記エンボス版表面
の全面に表面保護のためのクロムメッキを施してエンボ
ス版を得た。得られたエンボス版を用いて塩化ビニルシ
ートに賦形したところ、万線模様のミクロエンボス部、
光沢部及び艶消し部の明確な柄が得られ、しかも艶消し
部の風合いが従来にはない外観を有する化粧シートが得
られた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明エンボス版は
艶消しとしない部分を保護金属層で覆った後にブラスト
処理を行って艶消し部を形成しているために、所望の部
分のみが優れたマット感を有する艶消し部として形成さ
れているエンボス版が得られる。
【0046】本発明エンボス版の製造方法は保護金属層
を設けた後にブラスト処理を行う方法を採用したことに
より、艶消し部以外は保護金属層にマスクされるので、
他の部分がマット化されて艶消しになる虞れが全くな
く、意匠性に優れる上記のエンボス版を確実に効率よく
製造すことが可能である。
【0047】本発明化粧材は、上記エンボス版を用いて
製造するため、優れたマット感を有する艶消し部が明確
に形成され、従来得られなかった風合の意匠性に優れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明エンボス版の製造方法の1例を示す説明
図である。
【図2】露光工程を示す説明図である。
【図3】本発明エンボス版の製造方法の他の例を示す説
明図である。
【図4】本発明エンボス版の製造方法のその他の例を示
す説明図である。
【図5】本発明エンボス版の態様を示す断面図である。
【図6】本発明化粧材を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エンボス版 2 金属基材 3 艶消し部 4 光沢部 5 保護金属層 6 レジスト層 11 化粧材基材 15 化粧材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−83496(JP,A) 特開 昭50−28451(JP,A) 特開 昭55−47392(JP,A) 特開 昭58−96894(JP,A) 特開 昭63−233897(JP,A) 特開 平3−257196(JP,A) 特公 昭52−9553(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B44C 1/22 B29C 59/02 C23F 1/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基材の表面に艶消しの微細な凹凸形状
    に形成された艶消し部と、該艶消し部と艶の異なる部分
    とを有するエンボス版において、金属基材の表面に保護
    金属層を設け該保護金属層の表面にレジストにより艶消
    し部以外に所望のパターンを形成し、エッチングにより
    艶消し部の保護金属層を除去し金属基材表面を露出さ
    せ、全体にブラスト処理を施して金属基材に艶消し部を
    形成し、残っている保護金属層を除去して、艶消し部と
    それ以外の艶の異なる部分とが形成されていることを特
    徴とするエンボス版。
  2. 【請求項2】ブラスト処理の前に、エッチングにより露
    出した金属基材表面を更にエッチングして腐食させてな
    る請求項1記載のエンボス版。
  3. 【請求項3】金属基材の表面に予め万線模様のミクロエ
    ンボスを形成しておく請求項1又は2記載のエンボス
    版。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3記載のエンボス版を用
    いて化粧材基材表面に該エンボス版の表面形状を賦形し
    てなる化粧材。
  5. 【請求項5】下記の各工程を順次行うことを特徴とする
    エンボス版の製造方法。 (A)金属基材の表面に保護金属層を設ける第1工程 (B)保護金属層表面にレジストにより所望のパターン
    を形成する第2工程 (C)エッチングにより艶消しにしたい部分の保護金属
    層を除去して金属基材を露出させる第3工程 (D)全面にブラスト加工を施して露出した金属基材の
    表面に艶消し部を形成する第4工程 (E)残っている保護金属を除去する第5工程
  6. 【請求項6】第3工程と第4工程の間にエッチングによ
    り露出した部分の金属基材を更に腐食させる工程を行う
    請求項5記載のエンボス版の製造方法。
  7. 【請求項7】金属基材の表面に予め万線模様のミクロエ
    ンボスを形成しておく請求項5又は6記載のエンボス版
    の製造方法
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