JP3133305B2 - 好中球活性化因子 - Google Patents

好中球活性化因子

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JP3133305B2
JP3133305B2 JP63509434A JP50943488A JP3133305B2 JP 3133305 B2 JP3133305 B2 JP 3133305B2 JP 63509434 A JP63509434 A JP 63509434A JP 50943488 A JP50943488 A JP 50943488A JP 3133305 B2 JP3133305 B2 JP 3133305B2
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ノバルティス・アクチエンゲゼルシャフト
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、免疫調節物質に関するものである。
さらに詳しくは、この発明は、ヒト中性好性白血球を
活性化し得る免疫刺激因子に関するものである。前記因
子については、以後、好中球活性化因子(NAF)と称す
る。
1.背景 中性好性白血球(好中球)は、最も多く存在する白血
球であり、ヒト血液における白血球の約2/3を占める。
それらは、微生物感染から宿主生物を防御するという一
つの主機能を有する。好中球は移動性であり、感染後に
生ずる走化性刺激に反応を示し、感染組織中へ移動する
ことにより微生物を殺すことができる。この殺微生物作
用は、微生物を包み込み、酸素ラジカルおよび殺菌酵素
を放出するという好中球の能力に依るものである(B.M.
ベイバー、「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ
・メディシン」298[1978]659−668およびM.バッジオ
リーニ、「エクスペリエンチア」40[1984]906−90
9)。それらの生成物の放出は、好中球の活性化による
ものである。すなわち、この明細書に記載されている好
中球活性化因子のような物質を用いることにより、好中
好の活性化、従って、人体の抗菌防御機構を高めること
ができる。
ヒト単核白血球は、ヒト好中球においてエキソサイト
ーシスおよび呼吸バースト(酸素基形成および酵素放
出)を誘発、すなわち抗菌作用において重要な好中球活
性化特性を示す因子を分泌することが見出された。
この因子は刺激されたヒト単核白血球の培養液から得
られ、SDS−ゲル電気泳動において約6000、より正確に
は約6500の見かけ上の分子量を有する。
単核白血球は、好中球と類似した食細胞である。しか
しながら、好中球とは反対に、単核白血球は寿命が長
い。それらは、血液から、それらがマクロファージに形
質転換し得る全ての組織部位に移動する。また単核白血
球からマクロファージへの形質転換は、細胞培養実験に
おいて観察され得る。組織におけるマクロファージは、
様々な機能、主に好ましくない物質の食作用並びに分泌
される非常に多様なペプチドおよび蛋白質の生産機能を
有する。マクロファージは持続的感染部位に集まり、こ
れらの部位においては、これらの細胞がNAFを産生する
ことにより、好中球の宿主防御能が高められ、病態生理
学的に適切な機能が発現され得る。
NAFは、その好中球活性化特性、すなわち酸素ラジカ
ルの生成を伴ういわゆる呼吸バーストの誘発および酵素
放出の誘発を特徴とする。分子という点からみると、NA
Fは次に述べる性質を特徴とする。すなわち、SDS−ゲル
電気泳動における見かけ上の分子量が約6500であり、等
電点が約8.6であり、耐熱性が80℃であり、若干の変性
因子については耐性を示すが、プロテアーゼに対しては
感受性を示す。これはNAFがポリペプチドであることを
示唆している。ヒト好中球に対するNAFの作用は、2種
の公知走化性刺激剤、アナフィラトキシンC5aおよび細
菌性ペプチドのN−ホルミル−L−メチオニル−L−ロ
イシル−L−フェニルアラニン(fMLP)の作用と類似し
ているが、NAFが結合し、ヒト好中球の公知アゴニスト
の受容体とは異なる表面受容体により仲介される。NAF
は、ヒトリンパ球ではなく、ヒト単核白血球により培養
生産される。この生産は、刺激物質、例えば細菌性リポ
多糖類(LPS)、フィトヘマグルチニン(PHA)またはコ
ンカナバリンA(ConA)の存在並びに刺激物質濃度およ
びインキュベーション時間により異なる。前記生産はシ
クロヘキシミドにより阻害されるため、新たに蛋白質の
合成が要求されることを示している。
既に示した通り、単核白血球およびマクロファージ
は、多様な生物活性ペプチドおよび蛋白質の豊富な供給
源である(C.F.ネイサン、「ジャーナル・オブ・クリニ
カル・インベスティゲーション」79[1987]319−32
6)。それらは、3種の異なるサイトカイン(cytokin
e)、インターロイキン1(IL−1)、腫よう壊死因子
(TNF)およびインターフェロン−アルファ(IFN−α)
の生産体として同定されている。また単核白血球および
マクロファージが、前述のものとは異なる好中球に対し
て作用する因子を生産することを示す幾つかの報告が公
表されている。それらは好中球に対して活性を示すた
め、これらの因子についてはある程度詳細に後述する。
肺胞マクロファージが、好中球に対して走化性であり
(J.A.カスミエロフスキー等、「ジャーナル・オブ・ク
リニカル・インベスティゲーション」59[1977]273−2
81、W.W.メリル等、「ジャーナル・オブ・クリニカル・
インベスティゲーション」65[1980]268−270およびG.
W.ハニンゲイク等、「ジャーナル・オブ・クリニカル・
インベスティゲーション」66[1980]473−483)、肺に
おいて抗菌性防御を促進し得る因子を放出することが様
々な出版物において報告された。その後、これらの因子
は好中球の抗菌活性を高めることが示された(J.E.ペニ
ントン等、「ジャーナル・オブ・インフェクシャス・デ
ィジーズ」148[1983]101−109および「ジャーナル・
オブ・クリニカル・インベスティゲーション」75[198
5]1230−1237)。ゲルろ過およびクロマトフォーカシ
ング精製を行うことにより、肺胞マクロファージにより
生産され、分子量が6000および等電点が7.6であるプロ
テアーゼ感受性因子(NAFと称す)が同定された。この
因子は走化性が弱く、好中球により食された細菌の殺菌
性を高めるが、それ自体は酸素基生成も酵素放出も誘導
しないことが報告された。高い抗菌活性の似た機構は他
の研究者により報告されており(A.フェランテ等、「ク
リニカル・アンド・エクスペリメンタル・イムノロジ
ー」56[1984]559−566)、それによると、ヒト好中球
がネイグレリア・フォウレリの殺菌作用を誘導するため
には、単核白血球またはマクロファージ由来の培養培地
の添加を必要とすることが示された。LPS−刺激ヒト単
核白血球により生産されるか粒球活性化伝達物質(GRA
M)は、他の研究者(A.キャップ等、「ジャーナル・オ
ブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー」86[19
86]523−528およびF.E.マリー等、「リンホカイン・リ
サーチ」[1986]21−33)により報告された。2種の
GRAMが記載され、大きい方は見かけ上の分子量が60000
であり、小さい方は見かけ上の分子量が10000であり、
化学光が示すところでは、ヒト好中球において遅い呼吸
バースト応答を誘発するものであった。これらの因子は
熱およびトリプシンに敏感であり、それらの生産は、LP
Sによる単核白血球の刺激および、明らかに、新たな蛋
白質合成に依存している。
幾つかの報告は、好中球に対する走化活性を有する単
核白血球および/またはマクロファージに由来する因子
を記載している。「単核細胞由来ケモタキシン」(MO
C)と称する因子で、明らかにGRAMとは異なる分子量100
00のペプチドが報告された(E.コブナツキー等、「クリ
ニカル・アンド・エクスペリメンタル・イムノロジー」
64[1986]214−222)。また、LPSにより刺激されたヒ
ト血液単核白血球により生産される、分子量約10000で
等電点8−8.5の好中球走化性因子が知られていた(T.
吉村等、「ジャーナル・オブ・イムノロジー」139[198
7]788−793)。最後にまた、LPSにより培養中で刺激さ
れたうさぎ腹膜マクロファージは選択的好中球走化性因
子を放出することが報告された(F.Q.クーナ等、「ジャ
ーナル・オブ・メデイカル・アンド・バイオロジカル・
リサーチ」19[1986]775−777および「ヨーロピアン・
ジャーナル・オブ・ファーマコロジー」129[1986]65
−76)。
これらの報告に含まれる生化学情報は予備的な性質で
あるため、記載されている様々な因子間の構造類似性お
よび相異に関して推測することは不可能である。
この発明に関する優先権主張日(複数もあり得る)の
後に、NAFに対応すると思われるペプチドの精製法が、
バン・デイム等により報告され(J.バン・デイム等、
「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシ
ン」167[1988]1364−1376)、レクチン刺激ヒトリン
パ球の上清から精製されたペプチドに関してNAFの配列
と同一の配列が、グレゴリー等により報告された(H.グ
レゴリー等、「バイオケミカル・アンド・バイオフィジ
カル・リサーチ・コミュニケーションズ」151[1988]8
93−890)。MDNCFをコードするcDNA(T.吉村等、「プロ
シーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステ
ーツ・オブ・アメリカ」84[1987]9233−9237)は、最
近クローン化され(K.松島等、「ジャーナル・オブ・エ
クスペリメンタル・メディシン」167[1988]1883−189
3)、3−10C cDNAに相当することが見出された(J.シ
ュミットおよびC.バイスマン、「ジャーナル・オブ・イ
ムノロジー」139[1987]250−256)。シュミットおよ
びバイスマンは、3−10C cDNAによりコードされたペ
プチドが、血小板第4因子、ベータ−トロンボグロブリ
ン、結合組織活性化ペプチドIII(CTAP−III)およびイ
ンターフェロン−ガンマ−誘導ペプチド(ガンマ−IP−
10)との構造相同性を有することを示した。これらの分
子はまた、メラノーマ成長刺激特性を有する73−残基ペ
プチド(MGSA)と相同性を示し(A.リッチモンド等、EM
BOジャーナル、[1988]2025−2033、その配列は、線
維芽細胞から分離されたgro−cDNAから誘導された配列
と近似している(A.アニソビッツ等、「プロシーディン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ
・アメリカ」84[1987]7188−7192)。また、上記蛋白
質と関連性を有し得るねずみマクロファージ由来の炎症
性蛋白質(MIP)が報告された(G.ダバテリス等、「ジ
ャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン」16
7[1988]1939−1944)。これは、RANTES、すなわちIL
−2依存性の抗原刺激ヒトT細胞クローンから単離され
たcDNAの8kd生成物を含むペプチドの種類の一員である
と思われる(T.J.シャール等、「ジャーナル・オブ・イ
ムノロジー」141[1988]1018−1029)。これらのペプ
チドの機能は概ね未知である。MGSAおよびCTAP−III
(C.W.カスター等、「プロシーディングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ
・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」80
[1983]765−769)は、細胞分裂促進性であることが報
告され、血小板第4因子は、免疫調節作用を有すること
が示された(A.D.バロン等、「ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー」263[1988]8710−871
5)。
得られた結果は、NAFが、走化性アゴニストにより開
始される場合と似た受容体仲介プロセスにより好中球を
選択的に活性化することを示唆している。
2.発明の要旨 この発明のNAFは、先に述べた全ての受容体とは異な
る選択的受容体を介して作用することによりヒト好中球
において酸素基形成および酵素放出を誘発することが見
出された。
LPS刺激ヒト単核白血球から精製されたNAFの総アミノ
酸配列を決定し、主なNAF種をコードする遺伝子を合成
し、その天然相同体と同じ好中球活性化特性を有する組
換えペプチドとして発現させた。
すなわち、この発明は、NAFおよび天然供給源、例え
ばヒト単核白血球からその分離に関するものである。
またこの発明は、合成、特に組換えNAF並びにその製
造および発現に関するものである。
3.詳細な記載 公知配列決定方法により、NAFの完全なアミノ酸配列
を決定した。
SHメチル化およびアミノ−スクシニル化NAFの脱離後
に得られた完全蛋白質並びに定型的フラグメントT7−26
およびT27−47のエドマン分解により、47位までの配列
が得られた。75%ぎ酸による加水分解およびエドマン分
解後、20アミノ酸から成る2つのほぼ等モルの配列、次
いで20位を越えるNAFのアミノ末端配列に対応する単一
パターンが得られた。カルボキシ末端ペプチドA53−72
の配列を消去法により決定し、定型的ペプチドT61−72
の分析により確認した。カルボキシペプチダーゼAおよ
びBは検出可能な開裂生成物を生じないが、カルボキシ
ペプチダーゼYにより1ナノモルNAFを処理した後、120
ピコモルのセリンが放出され、これはカルボキシ末端と
してのセリンを示している。
NAFの様々なバッチの分析により、何等かのアミノ末
端異種性が示された。上記配列は主たる成分に関するも
のである(約70%)、これが生物活性に大きく関与して
いると信じられる。さらに3種の変異型を同定すること
ができた。
すなわち、上記完全配列において、N−末端をさらに
Ala−Val−Leu−Pro−Arg−により延長した(すなわち
完全蛋白質は77アミノ酸を有する)。
すなわち、上記完全配列において、N−末端からSer
−Ala−を省くことにより短縮した(すなわち完全蛋白
質は70アミノ酸を有する)。
すなわち、上記完全配列において、N−末端からSer
−Ala−Lys−を省くことにより短縮した(すなわち完全
蛋白質は69アミノ酸を有する) これらの配列は全て、99アミノ酸から成る3−10C c
DNAから予測された配列に対して一直線に合致し得る
(J.シュミットおよびC.バイスマン、「ジャーナル・オ
ブ・イムノロジー」139[1987]250−254)。主NAFペプ
チドは、3−10Cアミノ酸配列の28〜99位に対応する
が、上記3種の変異型は、その23位(配列1)、30位
(配列2)および31位(配列3)から始まる配列に対応
する。
上記配列データにより3−10C cDNAから誘導された
配列を比較すると、単核食細胞は、細胞内生成されるNA
Fの前駆体を合成することが示される。77残基ペプチド
は、それがcDNA誘導配列から22アミノ酸を有する予測さ
れたシグナルペプチドを除いた配列に相当するため、NA
Fの最大分泌形態を表し得る。主たる72残基NAF種並びに
70および69残基を有する類似体は、さらに翻訳後修飾か
ら形成され得る。
NAFの全形態は、メルカプトエタノールが阻害性であ
ることが見出されたことから活性に重要であると思われ
る鎖内ジスルフィド橋を形成することが予想される4つ
のシステイン残基を有する(P.ペベーリ等、「ジャーナ
ル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン」167[198
8]1547−1560)。ジスルフィド橋は、部分的にNAFと相
同性であるベータ−トロンボグロブリンおよび血小板第
4因子の場合と同様、7−34位および9−50位を結合す
ると思われる。
β−トロンボグロブリンとの相同性に従うと、NAFは
2つの分子内ジスルフィド橋を有する。従って、算出さ
れた分子量は、SDS−電気泳動による見かけ上の分子量
よりも明らかに高い8384.7である。
天然供給源、例えばヒト単核白血球からのNAFの製造
は収率が悪いため、大規模で複雑な精製工程が必要であ
る。
さらに優れた収率で大量にNAFを製造するためには、
合成方法、例えば完全化学合成または組換えDNA技法が
適している。また、原核生物または真核生物発現系、例
えばエシェリヒア・コリにおける発現を含む、例えば組
換えDNA方法による合成NAFの製造はこの発明の一部であ
る。また、合成NAF、すなわち合成方法、例えば組換えD
NA方法により製造されたNAFは、この発明の一部であ
る。合成NAF、例えば細菌から単離された組換えNAFは、
天然NAFと同じアミノ酸配列(複数も可)並びに同じ生
物学的特性および活性を有する。「組換えNAF」は、組
換えDNA技法により得られたNAFを意味する。
組換えDNA方法によるNAFの製造は、公知手順に従い、
すなわち対応するオリゴヌクレオチドの合成、精製およ
び結合、合成NAF遺伝子のクローニング、例えばエシェ
リヒア・コリにおける発現、最後に組換えNAFの回収お
よび精製により行なわれる。例えば、72アミノ酸NAFを
コードする遺伝子を、好ましくはコドンを最大限に活用
して合成し、次いでクローニングし、エシェリヒア・コ
リにおいて発現させる。
天然NAFに対して生じた抗血清を用いる粗細菌抽出物
のウエスタン・ブロット分析は、天然NAFと共に移動す
る単一バンドを示す。均質に精製された組換えNAFは、7
2アミノ酸天然NAFと同一のアミノおよびカルボキシ末端
配列を有する。ヒト好中球に関して試験した場合、それ
は、化学走性、細胞質ゾル遊離Ca2+の急速な上昇、呼
吸バーストの活性化並びに特異か粒およびアズール好性
か粒内容物の放出の誘導において天然NAFと同じ活性お
よび効力を有することが見出された。
第13図は、合成NAF遺伝子の設計を示す。エシェリヒ
ア・コリでの発現を容易にするための3−10C cDNAの
コード配列における改変は明白である。3′−末端にお
いて、天然ターミネーターTAAをトリプル・ターミネー
ターTAATAATGAと置換し、BamH I部位をすぐ下流に加え
る。5′−末端において、Sph IおよびCla I部位を加え
ることにより、各々クローニングおよび発現ベクターー
の挿入を可能にする。塩基34では、ArgコドンをAGAから
CGAに変えることにより、Taq I制限部位を後の5′−末
端操作のために作成する。
ブロック的アニーリング(オリゴヌクレオチド1−
2、3−4および5−6)は、6つのオリゴヌクレオチ
ド全部の同時ライゲーションに有利な点をもたない。全
オリゴヌクレオチドの5′−ホスホリル(燐酸)化の結
果、予想されたサイズよりも大きいライゲーション生成
物が生成されるが、末端オリゴヌクレオチド(1および
6)がホスホリル化されていない場合、高分子量を有す
る生成物は248/240塩基を有する完全な遺伝子である。
この遺伝子をSph I/BamH I−切断pBS M13−中にライゲ
ーションし、エシェリヒア・コリに形質転換する。6つ
の生成したアンピシリン耐性コロニーから単離されたプ
ラスミドDNAをCla I/BamH Iにより切断すると、どの場
合も1.4%アガロース・ゲル上に237bpバンドが形成され
る。DNA配列分析は、正しい配列を含むクローンを示
す。正しいクローンから得られたCla I/BamH Iバンドを
ゲルから除去し、Trpプロモーター・ベクターpIL402(T
erm)にクローン化する。発現を高め得る手段として、
合成転写ターミネーター(実施例17参照)を、BamH I部
位においてヒトGM−CSF遺伝子の3′−末端に結合され
た前記ベクターに組み込み得る。従って、NAF遺伝子
を、プロモーターにおける転写開始部位のこのBamH I部
位およびCla I部位下流間に挿入することにより、GM−C
SF遺伝子を置き換える。生成したNAF発現プラスミド、
p(NAF)−6T3を第14図に示す。
p(NAF)−6T3を含むインドールアクリル酸誘導エシ
ェリヒア・コリ抽出物の銀染色およびウエスタン・ブロ
ット分析は、天然NAFと共に移動し、天然NAFに対する抗
血清と反応するペプチドの時間依存性生産を立証する。
また、上記発現システムを用いることにより、前述の
NAF変異型または他の生物活性NAFフラグメント、例えば
アミノ先端切断NAFフラグメントを製造することができ
る。
NAFの生物特性は種特異性である。ウサギにおける活
性は、ヒトにおける活性を非常に密接に反映したもので
ある。マウス、ラットおよびモルモットにおける予備試
験は明白な活性を全く示さなかった。
NAFは、局所的または全身的に、PMN(多形核細胞−好
中球)の数または活性化状態の修飾に伴うかまたはこれ
を原因とする状態の処置における使用に適している。NA
FはこれらのPMNパラメーターを広範に修飾するため、PM
Nの数または活性化状態が上昇すると臨床的改善が為さ
れる状態、例えば細菌、マイコプラズマ、酵母および真
菌およびウイルス感染症の処置における使用に適してい
る。さらにNAFは、炎症性疾患、例えば乾せん、関節炎
状態およびぜん息、または異常に低い好中球数および/
または全身的に低い好中球レベルの状態、並びにこれら
の適応症に使用されるきっ抗物質の製造での使用に適し
ている。
4.図面の説明 第1図:LPSにより誘導されるNAF産生: 実施例1の記載に従い分離された単核細胞を24ウェル
の培養プレートに播種し(1ml中5×106細胞)、指示濃
度のLPSにより刺激する。様々な時間間隔で培地を集
め、遠心分離(20000rpm、20分間、4℃)により透明に
し、NAF活性を測定する。単一ドナーから得られた細
胞、デュプリケイト培養の平均。これらの結果は、異な
るドナーの細胞を用いた4つの類似実験の代表値であ
る。
第2図:リンパ球ではなく単核食細胞によるNAFの産
生: a)総単核細胞フラクション(●,■,5×106細胞/m
l)およびそこから誘導された付着細胞(○,□)を100
ngのLPSの存在下(●,○)および非存在下(■,□)
に24時間培養する。
b)水ひにより精製された単核白血球(○,106細胞/m
l)およびリンパ球(△,4×106細胞/ml)を100ngのLPS
の存在下で培養する。
グラフは、各々2回繰り返された5(a)および6
(b)独立実験から得られたエラスターゼ放出の平均相
対値を表す。パネルaにおける●およびパネルbにおけ
る○の24時間値を1.0に換算し、それに対応する他の値
(平均±標準偏差)を計算することにより、データを規
格化する。一方ではNAF生産における個々の変動および
他方ではNAFの試験に使用される好中球の応答性におけ
る個々の変動を説明するために、このタイプの表示形式
が選ばれる。
第3図:ホスホセルロース・クロマトグラフィーによ
るNAFの部分精製: 蛋白質 NAF(○)およびIL−1(△)の分布を示す。最高のNAF
活性を有するフラクションを指示通りプールする。
第4図:HPLCゲルろ過によるNAFの精製: a)蛋白質(280nmでの吸光度)の分布および分子量
マーカーの溶離時間(矢印:1=分子量66200、2=分子
量42700、3=分子量21500、4=分子量6500および5=
分子量1255)。
b)NAF活性のプロフィール。
第5図:ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィ
ーによるNAFの精製: 部分精製NAFを低塩濃度でカラムに仕込み、次いで1
モルNaCl含有緩衝液により溶離する。棒線はNAF活性を
示す。
第6図:ヘパリン−セファロース・クロマトグラフィ
ーによるNAFの精製: 部分精製NAFを低塩濃度でカラムに仕込み、次いで1.5
モルNaCl含有緩衝液により溶離する。棒線はNAF活性を
示す。
第7図:C4カラム逆相HPLCによるNAFの精製: a)精製NAFを0.1%トリフルオロ酢酸中RPカラムに充
填する。カラムは、0.1%トリフルオロ酢酸中アセトニ
トリルの一次勾配により展開される。
b)棒線はNAF活性を示す。
第8図:CN−プロピル・カラム逆相HPLCによるNAFの精
製: a)精製NAFを0.1%トリフルオロ酢酸中ベーカーボン
ドCN−プロピル・カラムに充填する。カラムは、0.1%
トリフルオロ酢酸中n−プロパノールの一次勾配により
展開される。
b)棒線はNAFを示す。
第9図:クロマトフォーカシングによるNAFの精製: 部分精製NAFをクロマトフォーカシング・カラムに仕
込む。カラムをポリバファー96−HCl、pH7.0により展開
する。フラクションをNAF活性 について試験する。
第10図:部分精製NAFに対する呼吸バースト応答: a)スーパーオキサイドの生成:好中球(3×106/m
l)を37゜で2分間1μmのPAFの存在下または非存在下
にプレインキュベーションし、次いで増量のNAFにより
刺激する。NAF添加後のチトクロムc還元の記録を示
す。
b)H2O2−依存性化学光:部分精製NAF並びにほぼ等
活性濃度のC5aおよびfMLPによる刺激後のプログレス曲
線を左方に示す。応答の初期相を右方に詳しく示す。刺
激物質を50μのPBS−BSA中で加える。
第11図:NAFおよびC5a間の識別: C5aおよびNAFを新鮮なヒト血清またはPBSと15分間イ
ンキュベーションし、調製物の活性(スーパーオキサイ
ド生成)を測定する。
a)PBS中C5a、 b)血清中C5a、 c)血清単独、 d)PBS中NAF、 e)血清中NAF。
第12図:部分精製NAF、C5aおよびfMLPによる連続刺激
に応じたスーパーオキサイド形成: a)好中球(3×106/ml)を37℃で5分間プレインキ
ュベーションし、次いで(矢印で)示した種々のアゴニ
ストにより刺激する。
b)NAFおよびC5aによる連続または反復刺激。a)の
場合と同様の条件。
矢印は示されたアゴニストの添加を示す。C5aの濃度
は、a)では0.5ナノモルおよびb)では0.2ナノモルで
あり、fMLPの濃度は、両実験共20ナノモルである。アゴ
ニストを50μのPBS−BSA中で加える。
第13図:合成NAF遺伝子のヌクレオチド配列: 遺伝子構築に使用される単一オリゴヌクレオチド、ON
−1〜ON−6を破線で示す。(下線)ヌクレオチド数
は、2本鎖の右側上部に記載されている。主形態の対応
するペプチド配列に、アミノ末端(Ser)から始めて番
号を付す。Cla IおよびBamH I制限部位を2本鎖上部に
示す。また、アルギニン・コドンのAをCで置換するこ
とにより作成されたTaq I部位を示す。
第14図:発現ベクターp(NAF)−6T3: AR=アンピシリン耐性遺伝子 Trp P/O=トリプトファン・プロモーター T=合成転写ターミネーター 第15図:天然および組換えNAFの同定: 上のグラフ:天然(左)および組換え(右)NAFによ
り誘発された細胞質ゾル遊離Ca2+変化。好中球(4×1
06細胞/ml)を0.1ナノモルquin−2/AMと共に負荷し、次
いで3ナノモルNAF(マーク)により刺激する。V.フォ
ン・チャーナー等、「ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー」261(1986)10163−10168頁の記載
に従い、quin−2の飽和度の変化を測定する。
下のグラフ:天然(左)および組換え(右)NAFによ
り誘発された呼吸バースト。好中球(106細胞/ml)を
3、10および30ナノモルのNAFにより0時点で刺激し、
過酸化水素生成を化学発光により測定する(M.P.ワイマ
ン等、「アナリティカル・バイオケミストリー」165[1
987]371−378)。
第16図:皮膚部位への血しょうしん出: NAFまたはエンドトキシンの皮内注射後、 持続時間:4時間、 3匹のウサギの平均±平均応答の標準誤差。
第17図:皮膚部位における好中球蓄積: 第16図でプロットされた応答との同時測定。
第18図:好中球蓄積に対するポリミキシンBの作用: NAF(10−モル/部位)、fMLP(10−モル/部
位)またはエンドトキシン(10−13モル/部位)の皮内
注射後、 ポリミキシンB:40μg/部位、 持続時間:2時間、 3匹のウサギの平均±平均応答の標準誤差。
第19図:好中球蓄積に対するアクチノマイシンDの作
用: NAF(10−モル/部位)、fMLP(10−モル/部
位)またはエンドトキシン(10−13モル/部位)による
皮膚部位の刺激後、 持続時間:2時間、 3匹のウサギの平均±平均応答の標準誤差。
5.実施例 以下、実施例によりこの発明を説明する。温度は全て
摂氏である。次の省略形を用いる。
PHA:フィトヘマグルチニン。
ConA:コンカナバリンA。
LPS:エシェリヒア・コリ・リポ多糖類。
BSA:うし血清アルブミン。
fMLP:N−ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−
L−フェニルアラニン。
PAF:1−O−ヘキサデシル−2−O−アセチル−sn−
グリセロ−3−ホスホコリン(血小板活性化因子)。
MEM:イーグル最小必須培地(ゼローメド・ゲゼルシャ
フト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング、ミュン
ヘン、西ドイツ国)、25μg/mlネオマイシンによる補
足、25ミリモルNaHCO3および20ミリモルHEPESによりpH
7.4に緩衝。
MEM−PPL:上と同様、ただし、さらに1%の低温殺菌
血しょう蛋白質溶液(5%PPL−SRK、スイス・レッド・
クロス・ラボラトリー、ベルン、スイス国)および100I
U/mlペニシリンおよびストレプトマイシン(ギブコ・ア
クチエン・ゲゼルシャフト、バーゼル、スイス国)を含
有。
PBS:Ca2+およびMg2+不含有燐酸緩衝食塩水(137ミ
リモルNaCl、2.7ミリモルKCl、8.1ミリモルNaH2PO4およ
び1.5ミリモルKH2PO4、pH7.4に調節)。
PBS−BSA:0.9ミリモルCaCl2、0.49ミリモルMgCl2およ
び2.5mg/mlBSAにより補足したPBS。
HEPES:N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−
2−エタンスルホン酸。
PPL−SRK:血しょう蛋白質溶液(スイス・レッド・ク
ロス)。
NAF:好中球活性化因子または蛋白質。
CX:シクロヘキシミド。
IL−1:インターロイキン−1。
SOD:スーパーオキサイド。
C5a:アナフィラトキシン。
CPC:制御多孔質ガラス。
PAGE:ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動。
GM−CSF:か粒球−マクロファージ・コロニー−刺激因
子。
CB:サイトカラシンB(5μg/ml)。
MES:2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸。
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム。
第1部:ヒト単核白血球によるNAF産生。
実施例1 LPSにより刺激されたヒト単核白血球によるNAFの産生。
ヒト単核白血球を、ドナー血液(スイス・レッド・ク
ロス・ラボラトリー、ベルン、スイス国)の軟膜からフ
ィコル−パーク勾配による遠心分離により単離する。こ
の方法は、いわゆる単核細胞、すなわち単核白血球(約
20%)およびリンパ球(約80%)の混合物から好中球を
分離するものである。3種の単核白血球調製物、すなわ
ち(i)全単核細胞フラクション、(ii)付着により単
核細胞フラクションから濃化された単核白血球、および
(iii)遠心水はによりリンパ球から分離された90%純
度の単核白血球を使用する(G.ガロッタ等、「バイオケ
ミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュ
ニケーションズ」140[1986]948−954およびK.J.クレ
メッツォン等、「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタ
ル・メディシン」161[1985]972−983)。細胞をMEM−
PPL中で培養し、濃度の高めた(0.1ng〜1μg/ml)LPS
により刺激する。異なる時点で、培養培地のアリコート
試料を採取し、サイトカラシンBにより前処理されたヒ
ト好中球からのエラスターゼ放出誘導能としてNAF活性
を測定する(B.デュウォルド等、「バイオケミカル・フ
ァーマコロジー」36[1987]2505−2510)。
約1:5の比率での単核白血球およびリンパ球から成る
単核細胞培養(5×106細胞/ml)は、LPS(100ng/ml)
により刺激されるとNAFを生産する。NAFは24時間にわた
り培地に蓄積し、生産量は24時間ないし48時間の間に横
這い状態になる。刺激物質の非存在下ではNAFは全く形
成されない。第1図は、既に0.1ng/mlおよび1ng/mlの間
で活性を示しているLPSの時間経過および濃度依存性を
示す。
様々な単核細胞調製物を用いてNAFの供給源を試験す
る。第2a図は、全単核細胞フラクションおよびそこから
付着により選択された単核白血球によるNAFのLPS−依存
生産性を示す。これらの結果は、NAF生成がLPSに依存し
ていることを確認し、NAFが単核白血球により生成され
ることを示す。リンパ球の存在は、NAFの生産量に影響
するとは思われない。水はにより精製された単核白血球
およびリンパ球を用いても同様の結果が得られる。第2b
図に示された通り、NAFはリンパ球ではなく単核白血球
により生成される。
実施例2 PHAまたはConAにより刺激されたヒト単核白血球によるN
AFの産生。
実施例1の記載に従いヒト血液軟膜から分離された単
核細胞フラクションを、実施例1で概略を示した条件下
で培養し、PHA(5μg/ml)またはConA(10μg/ml)に
より刺激する。NAF生産の時間経過は、100ng/mlのLPSに
より刺激された単核細胞により観察された時間経過と類
似している。約24時間後、最大値に到達する。
実施例3 シクロヘキシミドによるNAF生成の阻害。
NAFが、刺激物質濃度により異なるにせよ、単核白血
球の刺激直後には放出されず、数時間内に放出されると
いう事実は、新たな蛋白質合成が要求されること、およ
びNAF産生が現実には刺激物質により誘発されることを
示唆している。蛋白質合成の必要条件は、シクロヘキシ
ミドの添加によりNAF生成が阻害される実験により立証
される。代表的実験の結果を第1表に示す。
シクロヘキシミド(CX、10μg/ml)をLPS(100ng/m
l)の4または8時間後に加える。活性を、エラスター
ゼ放出を表す蛍光単位で示す。
第2部:NAF精製 実施例4 ホスホセルロース・クロマトグラフィーによるNAFおよ
びIL−1の分離。
実施例1の記載に従いドナー血液軟膜から得られた単
核細胞を、撹はん培養瓶中(1.5、5×106細胞/m
l)、100ng/mlのLPSの存在下にMEM−PPL中で48時間培養
する。次いで、培養上清を集め、4゜で20分間20000rpm
で遠心分離することにより、粒状物質を除去し、20ミリ
モルNaClおよび5%グリセリンを含有する20ミリモル燐
酸カリウム緩衝液、pH7.2により平衡状態にした10mlホ
スホセルロース・カラム(ワットマンP11、1.4×6cm)
に負荷する。カラムを上記緩衝液30mlにより洗浄し、次
に同緩衝液中、直線NaCl濃度勾配(0.02モル〜1.5モ
ル)90mlにより溶離する。2mlのフラクションを0.1%ポ
リエチレングリコール中で集め、NAFおよびIL−1活性
について試験する。280nmでの吸光度を蛋白質の尺度と
して継続的にモニターする。
第3図は、蛋白質の分布プロフィール(280nmでの吸
光度)並びに2種の生物活性、すなわち、NAF活性の尺
度としてのエラスターゼ放出およびIL−1活性の尺度と
しての胸腺細胞増殖を示す。大部分の蛋白質およびIL−
1活性は、フルー−スルー容積で回収される。直線NaCl
勾配により溶離すると、低イオン強度でIL−1活性が得
られ、次いでNAFに対応するエラスターゼ放出活性のピ
ークが得られる。これは、0.5モルで溶離し始め、0.8モ
ルNaClでその最大値に到達する。ピークは対称であり、
小さな肩が先行する。UV−吸収材料の中には塩勾配によ
り溶離されるものもある。しかしながら、そのプロフィ
ールは、測定された生物学的活性とは一致しない。第3
図で示す通り、IL−1およびNAFは完全に分離され得
る。IL−1と関連のあるエラスターゼ放出活性も、NAF
と関連のある胸腺細胞増殖誘発活性も存在しない。分画
化後のNAFの収率はほぼ100%であり、培地が阻害剤また
は活性剤を含まないことを示している。
実施例5 ゲルろ過によるNAFの精製。
ホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例4)
により部分精製されたNAF200μの試料を、TSK−GSWP
プレカラム(7.5×75mm)付HPLC TSK−G2000SWカラム
(7.5×600mm)に適用する。100ミリモルNaClを含む100
ミリモルNaHPO4、pH7.0中、カラムから0.5ml/分の速度
で溶出させる。うし血清アルブミン(分子量66200)、
卵アルブミン(分子量42700)、大豆トリプシン阻害剤
(分子量21500)、アプロチニン(分子量6500)および
アクチノマイシンD(分子量1255)を測定標準として使
用する。NAFは、アプロチニンの直後およびアクチノマ
イシンDのかなり上に僅かな非対称ピークを伴って溶離
する。従って、NAFの見かけ上の分子量は約6500であ
る。NAF活性は、記されたピークの前または後には溶離
されない(第4図)。
実施例6 ヒドロキシアパタイトによるNAFの精製。
15mlの総容量(約800mlの非分画化培養上清に相当)
でホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例4)
から得られたフラクションのプールを、充填緩衝剤(0.
1%ポリエチレングリコール6000中10ミリモルの燐酸ナ
トリウム、pH6.9)により1:10に希釈し、充填緩衝液中
平衡状態である3mlヒドロキシアパタイト・カラム(バ
イオゲルHTP)に注入する。カラムを3ml分量の充填緩衝
剤により3回洗浄し、次いで1モルNaClを補った充填緩
衝液により溶離する。この手順により、NAFはカラムか
ら回収される。続いて0.5モル燐酸ナトリウム緩衝液、p
H6.9により溶離してもそれ以上NAF活性は得られない
(第5図)。
実施例7 ヘパリン−セファロースによるNAFの精製。
ホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例4)
により部分精製されたNAF1mlの試料を、0.1%ポリエチ
レングリコール6000および50ミリモルNaClを補った10ミ
リモル燐酸ナトリウム、pH7.3において平衡状態に達し
たヘパリン−セファロース4Bの0.5mlカラムに注入す
る。カラムを同緩衝液で洗浄し、次いで1.5モルNaClを
補った10ミリモル燐酸ナトリウム、pH7.3で溶離する。
カラム洗浄後、少量のNAFがフロー−スルー流体中に検
出されるが、カラムに結合した活性の大部分は、さらに
高いイオン強度の緩衝液により溶離される(第6図)。
実施例8 C4カラム逆相高圧液体クロマトグラフィーによるNAFの
精製。
ホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例
4)、次いでヒドロキシアパタイト精製(実施例6)に
より精製されたNAFの試料を、広孔逆相C4カラム(バイ
オラッドRP304)に適用する。0.66%/分の割合で増加
させながら、0.1%トリフルオロ酢酸中0〜80%アセト
ニトリルの勾配によりカラムを溶離する。流速は0.5ml/
分である。フラクションを集め、真空乾燥する。残留物
を0.1%ポリエチレングリコール6000含有PBS100μに
再懸濁し、NAF活性について試験する。NAFは約60分の保
持時間で溶離し、単一の鋭いピークとして約40%アセト
ニトリルに対応する(第7図)。
実施例9 CN−プロピル・カラム逆相高圧液体クロマトグラフィー
によるNAFの精製。
実施例8記載の逆相クロマトグラフィーにより精製
し、真空乾燥した、0.1%ポリエチレングリコール含有P
BS100μに再懸濁したNAFの試料を、1倍容量の0.1%
トリフルオロ酢酸により希釈し、ベーカーボンド広孔シ
アノ(CN)−プロピル・カラム(ベーカー・リサーチ・
プロダクツ、フィリップスバーグ、ニュージャージー、
アメリカ合衆国)に適用する。0.41%/mlの割合で増加
させながら、0.1%トリフルオロ酢酸中0から50%への
n−プロパノール勾配によりカラムを溶離する。流速は
0.5ml/分である。フラクションを集め、真空乾燥する。
残留物を0.1%ポリエチレングリコール6000含有燐酸緩
衝食塩水100μに再懸濁し、NAF活性について試験す
る。NAFは2つの鋭いピークで溶離する。これらのピー
クの大きい方は、53分の保持時間で22%のn−プロパノ
ールに対応し、全活性の30%に満たない小さい方のピー
クは、66分の保持時間で27.5%のn−プロパノールに対
応する(第8図)。
実施例10 NAFのクロマトフォーカシング。
ホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例4)
により部分精製したNAF4mlの試料を、25ミリモルのエタ
ノールアミン−HCl、pH9.4および0.1%ポリエチレング
リコール6000から成る出発緩衝液に対して透析し、同緩
衝液により平衡状態に達しているPBE94カラム(0.7×19
cm、ファルマシア)に注入する。次に、カラムを200ml
の0.1%ポリエチレングリコール6000含有ポリバファー9
6−HCl(水で1:10に希釈)、pH7.0により溶離する。10
分フラクションを10−14ml/時の流速で集め、NAF活性に
ついて測定する。活性の大部分はpH8.5〜pH8.8の領域で
溶離する(第9図)。
第3部:NAFの物理化学的および生物学的特性検定。
実施例11 NAFの物理化学特性。
ホスホセルロース・クロマトグラフィー(実施例4)
により得られた部分精製NAFをこれらの実験において使
用する。ホスホセルロース・クロマトグラフィー後、最
高のNAF活性を有するフラクションを、分子量カットオ
フが1000ダルトンである膜を用いて4゜で一夜PBSに対
して透析する。次いで、得られた調製物に対し、次の処
理を行う。すなわち、a)トリプシン、キモトリプシン
またはプロテイナーゼK(100μg/ml)の存在下および
非存在下37゜でインキュベーションし、次いで過剰のBS
A(2mg/ml)を添加することによりNAFの蛋白質加水分解
を止める、b)56゜、80゜または95゜に加熱する(対照
の場合の22゜と比較)、c)pH2または10(22゜で)に
暴露し、次いでpH7.4に調節する(対照のpH7.4と比
較)、d)2モルの塩化リチウム、6モルのグアニジウ
ムクロリド、1%の2−メルカプトエタノールまたは0.
5%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)に3時間22゜で暴
露し、次いでPBSに対して4゜で24時間透析する。添加
を行うとき、NAF不含有試料を同様に操作し、NAF検定に
及ぼし得る影響について試験する。
第2表に示す通り、NAFは不活化に著しい抵抗を示
す。その活性は、種々のプロテアーゼとのインキュベー
ション後に破壊され、NAFがポリペプチドであることを
示している。反対に、NAFは、加熱、酸およびアルカリp
H条件またはSDS暴露によって容易には不活化されない。
2−メルカプトエタノール、塩化リチウムおよびグアニ
ジウムクロリドによりある程度不活化は達成される。
実施例12 NAF誘発エキソサイトーシス(ヒト好中球でのNAFによる
か粒放出の誘発)。
PBS/BSAに懸濁した好中球(5×106/ml)を、37゜で
5分間サイトカラシンB(5μg/ml)の存在下または非
存在下にプレインキュベーションする。次いで、刺激物
質、例えばNAFまたは標準刺激物質を加えることにより
か粒放出を開始させる。氷中で急速冷却することにより
15分後に反応を止め、次に遠心分離により細胞を沈澱さ
せる。ビタミンB12結合蛋白質、β−グルクロニダーゼ
および乳酸デヒドロゲナーゼを細胞不含有培地および細
胞沈澱物において測定し、これらの成分の放出を全細胞
成分のパーセントとして計算する(B.デュウォルトおよ
びM.バッジョリーニ、「メソッズ・イン・エンザイモロ
ジー」132[1986]267)。
ビタミンB12結合蛋白質およびβ−グルクロニダーゼ
(各々、特異か粒およびアズール好性か粒の成分であ
る)の放出に対するNAFの作用を第3表に要約する。
正常な好中球において、NAFは特異か粒のみのエキソ
サイトーシスを誘発する。しかしながら、細胞をサイト
カラシンBで前処理すると、両タイプのか粒からの充分
な放出が達成される。後者の条件下において、β−グル
クロニダーゼの放出は、NAF活性の試験に使用されるマ
ーカーである(実施例1)、エラスターゼの放出と平行
している。量的な点では、NAFのエキソサイトーシス誘
発特性は、走化性ペプチドfMLPの場合と類似している。
いずれの刺激物質も細胞質ゾル酵素、乳酸デヒドロゲナ
ーゼの放出を誘発せず、細胞障害がごく僅かであること
を示している。
実施例13 NAF誘発呼吸バースト(ヒト好中球でのNAFによるスーパ
ーオキサイド形成の誘発)。
フェリチトクロムcのSOD感受性還元として、スーパ
ーオキサイド形成を37゜で測定する(M.マーケート等、
「メソッズ・イン・エンザイモロジー」132[1984]26
7)。検定混合物(800μ)は、85マイクロモルのチト
クロムcを含む、0.75×106細胞/mlのPBS−BSAにより構
成される。サーモスタット式7プレート・キュベット交
換器を備えたヒューレット−パッカード8451A二極管配
列分光光度計において、吸光度変化を記録する。第4表
は、ヒト好中球におけるNAFの呼吸バースト誘発能を示
す。
スーパーオキサイド生成の最大速度および合計量の漸
増は、NAF量を増すことにより達成される。比較実験が
示し得る通り、最大レベルのスーパーオキサイド生成を
誘発するNAFの量は、最大エキソサイトーシス誘発量に
対応する。
実施例14 H2O2形成(ヒト好中球における呼吸バーストの刺激物質
としてのNAFとfMLPおよびC5aとの比較)。
刺激された細胞によるスーパーオキサイドまたは過酸
化水素の生成を評価することにより、呼吸バースト刺激
物質としてのNAF、fMLPおよびC5aの特性を比較する。実
施例13の記載に従いスーパーオキサイド生成を測定す
る。化学発光により過酸化水素形成を測定する(M.P.ワ
イマン等、「アナリティカル・バイオケミストリー」16
5[1987]371−378)。0.1Mナトリウムアジド、0.01mM
ルミノール、9U/ml西洋わさびペルオキシダーゼおよび1
06好中球を含むPBS−BSAから成る検定混合物を37゜で10
分間プレインキュベーションし、小型注射器で刺激物質
を加えることにより反応を開始させる。
第10図は、NAFの量を増すことにより誘発されるスー
パーオキサイド形成を示す。その開始が急速で、速度が
高く、早く横這い状態になることから、NAFに対する応
答は、fMLPまたはC5aにより誘発される応答と近似して
いる。NAFに対する応答は、PAFによる細胞の前処理によ
り著しく高められ(第10図)、またこの前処理によって
fMLPまたはC5aにより誘発されるスーパーオキサイド生
成も高められる。NAF、fMLPおよびC5aに対する応答の直
接比較を第9図に示す。H2O2形成速度対時間の化学発光
記録は、応答の類似性を強調している。さらに、これら
の測定および他の測定結果は、fMLP、C5a、PAFおよびロ
イコトリエンB4に関する先の報告によると、刺激物質添
加およびNAF、fMLPおよびC5aによる誘発されるH2O2生成
の開始の間の時間が同一であり、約2秒後に達すること
を示している(M.P.ワイマン等、「ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー」262[1987]12048)。
NAF、fMLPおよびC5aに対する好中球応答の定性的および
定量的類似性は、NAFが表示受容体への結合により好中
球を活性化し、受容体アゴニストのように作用すること
を示す。
実施例15 NAFおよびC5a間の区別。
実施例14で報告した通り、ヒト好中球に対するNAF活
性のプロフィールはC5aの場合と似ている。これら2種
のペプチド間の類似性は、さらに物理化学特性、例えば
熱および酸に対する耐性を識別する場合にも当てはま
る。C5aおよびNAFは好中球に対して似た作用を有するた
め、これら2つを完全に区別するためにはさらに別の実
験を行わなければならない。NAFおよびC5aの試料を新鮮
なヒト血清に暴露する。この処理は、カルボキシペプチ
ダーゼによる開裂によりC5aをその比較的不活性のデス
−アルギニル誘導体に変換することが知られている。第
11図に示す通り、血清処理は完全にC5aの活性を破壊す
るが、NAFの活性には何等影響を与えない。これは、こ
れら2種の薬剤が構造的に異なることを示す。
実施例16 NAFが好中球にそれ自体の特異的受容体を有している証
拠。
同量の同じ受容体アゴニスト(例、fMLP)により好中
球を2回刺激し、スーパーオキサイド生成を好中球応答
の尺度として記録した場合、第2の刺激は事実上不活性
である。他方、異なる受容体に作用するアゴニストを連
続して用いた場合(例、fMLP、次いでC5a)、これらの
刺激により通常の応答が得られる。従って、このタイプ
の実験を用いることにより、NAFがそれ自体の受容体に
より作用するのか、他のアゴニストによっても使用され
る受容体により作用するのかを判断する。
第12a図は、NAFまたはC5aによる初回攻撃後、好中球
がfMLPに対し正常応答することを示す。第12b図では、N
AFおよびC5aによる反復刺激の結果を示す。まず、同量
のスーパーオキサイド生成誘発濃度のNAFおよびC5aによ
り細胞を刺激し、次に、同じかまたは代替的刺激物質に
より刺激する。同じアゴニストを2回適用した場合、細
胞は第2刺激には反応しない。逆に、NAFにより初回攻
撃された細胞ではC5aに対する正常応答が得られ、C5aに
より初回攻撃された細胞ではNAFに対する正常応答が得
られる。好中球はいずれかの刺激に対する完全な脱感作
性は示すが交差脱感作性は示さないことから、NAFおよ
びC5aは、非関連受容体によりそれらの刺激効果を発揮
すると思われ、それらが構造的に異なることを示す。ま
た、NAFとPAF、fMLPおよびロイコトリエンB4との組み合
わせは交差脱感作性を示し得ない。従って、NAFは選択
的で現在まで未知の受容体を介して作用する。
実施例17 ウサギにおけるNAFにより誘発される好中球蓄積および
血しょうしん出。
意識のある2.0〜2.5kgニュージーランド産アルビノ・
ウサギの皮膚において炎症反応を試験する。ドナーのウ
サギから採取した血液中の赤血球を、ヒドロキシエチル
セルロース(ポリサイエンシーズ、ウォーリントン、ペ
ンシルバニア)により沈降させ、生成した白血球濃化血
しょう中の好中球を、パーコール(ファルマシア、ウプ
サラ、スエーデン)密度勾配遠心分離により精製する
(>94%好中球)。10%低血小板血しょうを含むCa2
およびMg2+不含有タイロード溶液に細胞を再懸濁して1
06白血球/mlの濃度とし、106細胞当たり40μCi111イン
ジウム−オキシン(アマーシャム)により室温で15分間
標識する。標識細胞を10%低血小板血しょうによる遠心
分離により洗浄し、1容器当たり約106細胞を10μCi125
ヨウ素標識ヒト血清アルブミン(アマーシャム)と混合
し、試験下の炎症病変部を有するウサギの後部耳静脈に
静脈内注射を行う。次いで、炎症剤の皮内注射を行い、
アクチノマイシンDおよびポリミキシンBによる試験で
は2時間後、および用量応答試験では4時間後に動物を
殺す。放射能標識細胞が循環している期間の中途で、血
液試料を集め、好中球および血しょうの血中比活性を測
定する。各実験の最後に炎症病変部における放射能をマ
ルチチャンネル・ガンマ・カウンターで測定し、対照皮
膚部位の活性を控除し、炎症病変部に蓄積している好中
球の絶対数および血しょうの体積を比活性から算出す
る。チブルスキー等の方法(「アメリカン・ジャーナル
・オブ・パソロジー」124[1986]367)に従い、末梢血
液1mlにつき循環している106好中球当たりの細胞数とし
て結果を表すことにより、炎症病変部の好中球数を動物
間で標準化する。
実施例19の記載に従い得られた組換えNAFを、400μg/
mlの割合で0.45モルNaCl(pH6.5)含有最小必須培地(5
0ミリモル)に溶解する。エンドトキシン(エシェリヒ
ア・コリ血清型O55:B5、シグマ、セントルイス、ミズー
リ)を発熱物質不含有規定食塩水に溶かす。fMLPをジメ
チルスルホキシドに溶かし(10−2モル)、PFS中作業
濃度に希釈する。ポリミキシンBおよびアクチノマイシ
ンDを1mlのエタノールに溶かし、PFS中NAF、エンドト
キシンまたはfMLPと混合することにより20倍に希釈す
る。炎症応答阻害試験では、40μgのポリミキシンBお
よび10−モルのアクチノマイシンDを、皮膚部位当た
り10−モルのエンドトキシンと共に皮膚部位に注射す
る。全実験において、1部位当たり0.2mlの炎症剤を26
ゲージ針により皮内注射し、各動物において各処理を5
回反復する。
NAFは、試験用量範囲(1部位当たり10−11〜10−
モル)において血しょうしん出(第16図)および好中球
蓄積(第17図)における用量依存性増加を誘発する。比
較した場合、エンドトキシンは、1部位当たり10−13
ルで同等の強度の血しょうしん出(第16図)および好中
球蓄積(第17図)を誘発する。5匹のウサギにおいて、
NAFは、血しょうしん出および好中球蓄積に対する刺激
物質としてfMLPよりも3〜10倍効力が強い。NAFを溶か
すのに使用される緩衝液を、1部位当たり10−モルを
送達する溶液中に存在する濃度に希釈することにより誘
発される好中球蓄積は、PFSのみ与えられた部位におけ
る応答とは異ならない。NAF調製物の活性がエンドトキ
シン汚染物質に起因し得るという可能性を、NAF、fMLP
またはエンドトキシンと一緒にポリミキシンB(40μg/
部位)を注射することにより試験する。ポリミキシンB
は、エンドトキシン(10−13モル)に対する応答の84%
阻害を誘発するが、NAF(10−9モル)またはfMLP(10
モル)により誘発される好中球蓄積については影響
を及ぼさない(第18図)。
RNA転写の非可逆的阻害剤、アクチノマイシンD(10
モル/部位)を10−13モルのエンドトキシンと一緒
に注射すると、好中球蓄積の90%阻害が誘発される(第
19図)。反対にアクチノマイシンDは、NAF(10−
ル)またはfMLP(10−モル)により誘発される好中球
蓄積に対して影響を与えない(第19図)。
結果は、NAFがインビボ活性であり、好中球の用量依
存性蓄積および炎症病変部への血しょうのしん出を誘発
することを示している。NAFのモル効力は、古典的走化
性物質C5aおよびLTBと同等であり、fMLPよりも3〜5倍
高い。NAFにより誘発される好中球蓄積は、蛋白質合成
阻害剤(アクチノマイシンD)の同時皮内注射により阻
害されない。すなわち、NAFは、エンドトキシンとは異
なるが、走化性アゴニスト、例えばfMLPと同様に直接作
用する。
実施例18 NAF誘発エキソサイトーシス(ウサギ好中球に対する作
用)。
ウサギ好中球を、デキストラン沈降、次いでハイパー
ク−フィコル密度勾配遠心分離により末梢血液(耳静脈
または動脈から得られた)から分離する。精製天然NAF
を使用する。
エキソサイトーシス条件:37゜で5分間サイトカラシ
ンBにより前処理された0.6×106細胞(0.15mlの全体積
中)をNAF(0.1−100ナノモル)またはfMLP(100ナノモ
ル)により15分間刺激する。N−アセチル−β−グルコ
サミニダーゼ、すなわちアズール好性か粒マーカーを細
胞不含有培地において測定する。結果を第5表に示す。
第4部:組換えNAF 実施例19 エシェリヒア・コリにおけるNAFの合成および発現。
a)オリゴヌクレオチド合成および精製。
オリゴヌクレオチドON−1〜ON−6(第13図参照)
を、固体支持体、例えばフラクトシル・シリカゲルまた
は制御多孔質ガラス(CPG)上、モノマーとして3′−
β−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホアミド
化ヌクレオシドとの標準化学作用を用いた自動式DNAシ
ンセサイザーにおいて合成する(S.L.ビューケージおよ
びM.H.カルサーズ、「テトラヘドロン・レターズ」22
[1981]1859、N.D.ジーナ等、「ヌクレイック・アシッ
ズ・リサーチ」12[1984]4539)。
脱トリチル化材料を、室温で25%アンモニアによる2
時間処理により支持体から分離し、アンモニア含有溶液
を20時間55゜に加熱することにより保護基を全て脱離さ
せ、生成物を凍結乾燥する。20V/cmで12%アクリルアミ
ド、0.3%ビスアクリルアミド。7モル尿素、0.089モル
のトリス−ボラート、0.089モルほう酸、0.002モルEDTE
を用いたポリアクリルアミド−ゲル電気泳動(PAGE)に
より粗材料の分離を行う。蛍光シリカゲル・プレートに
おける紫外線シャドウイングにより完全長のオリゴヌク
レオチドを配置させ、ゲル部分を取り除き、溶離チャン
バにおいて電気溶離する。濃縮溶液を、バイオゲルP2カ
ラム(30×0.9cm)において10%エタノールで溶離する
ことにより脱塩し、凍結乾燥する。ON−1〜ON−6の試
料を32P−γ−ATPおよびポリヌクレオチドキナーゼによ
り放射能標識する。PAGEによる分析およびオートラジオ
グラフィーにより、それらが均一であることが確認され
る。修飾ろ紙上に固定したオリゴヌクレオチドのマクサ
ム−ギルバート配列決定法により正しい配列を確認する
(A.ローゼンタール等、「ヌクレイック・アシッズ・リ
サーチ」13「1985]173−1184)。
b)アニーリングおよびライゲーション。
アニーリングおよびライゲーションするため、250ピ
コモル分量のオリゴヌクレオチドを、20μのキナーゼ
緩衝液中4μCi32P−ATP(5000μCi/ミリモル)および
9単位のポリヌクレオチドキナーゼにより37゜で40分間
ホスホリル化し(T.マニアチス等、「モレキュラー・ク
ローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル[1982]、
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー、ニュ
ーヨーク)、次いで5ミリモルの非標識ATPにより20分
チェースを行う。70゜で1μの0.5モルEDTAにより反
応を止める。ネンソーブ20カートリッジ(デュポン)吸
着および20%エタノールでの溶離によりホスホリル化オ
リゴヌクレオチドを精製すると、収率は約90%である。
等量の30〜100ピコモルの5′−ホスホリル化ON−2〜O
N−5および非ホスホリル化ON−1およびON−6の同時
アニーリングおよびライゲーションを、25ミリモルMgCl
2を含む25μの緩衝液(125ミリモルのトリス−HCl、p
H7.6)中で行う。混合物を4分間90゜に加熱し、3時間
以内で14゜に冷却し、さらに14時間14゜でインキュベー
ションする。50ナノモルのトリス−HCl、pH7.6、10ミリ
モルMgCl2、10ミリモルのジチオトレイトール、1ミリ
モルのATP、1600〜2000単位のT4−リガーゼ含有0.1mg/m
lうし血清アルブミンにより体積を60μに調節する。1
4時間14゜でライゲーションを行い、1μの0.5モルED
TAを加え、70゜に加熱することにより止める。フェノー
ル抽出後、水溶液を0.3モル酢酸ナトリウム、0.01モル
酢酸マグネシウムに導入し、DNAをエタノール沈澱さ
せ、0.5mm厚さのゲルの1.5cmスロット当たり10ピコモル
DANの最大ローディングによるPAGE(8%アクリルアミ
ド、7モル尿素)により生成物を精製する。オートラジ
オグラフィーにより正しい長さの生成物を同定し、ゲル
部分を削り取り、DNAをバイオトラップBT100中200Vで6
時間電気溶離し、エタノール沈澱させると、100ピコモ
ルのオリゴヌクレオチド当たり最終収量5〜8ピコモル
の精製2本鎖DNAが得られる。
c)合成遺伝子のクローニング。
110ngの分離合成NAF遺伝子の試料を、260ngのアガロ
ース・ゲル−精製Sph I/BamH I切断pBS M13−プラスミ
ドDNA(ストラタジーン)とライゲーションする。この
ライゲーション混合物の10分の1を用いることにより、
D.ハナハンの方法(「ジャーナル・オブ・モレキュラー
・バイオロジー」166[1983]557−580)によりコンピ
ーテントにされた200μのエシェリヒア・コリ株5K細
胞の形質転換を行った結果、約320のアンピシリン耐性
コロニーがインプットDNA1ngにつき生成される。6クロ
ーンを抜粋し、L−ブロス/アンピシリン中で一夜生長
させる。プラスミドDNAを製造し(H.C.ビルンボルムお
よびJ.ドリー、「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ」
[1979]1513−1523)、1%アガロース・ゲル上で泳
動させる。バンドを3MMペーパー(ワットマン)に電気
泳動させ、エッペンドルフ管中に遠心分離することによ
り、純粋スーパーコイルDNAを分離する。フェノール抽
出およびエタノール沈澱後、T3およびT7プライマー(ス
トラタジーン)およびシーケナーゼ酵素を用いたアルカ
リ変性プラスミド鎖末端方法によりDNAを配列させる
(E.J.チェン等、DNA[1985]165−170)。
6クローンのうち3クローン、すなわちクローン1、
2および6は、正しいNAF配列を含んでいた。他の3つ
のクローンは誤った配列を有していた。クローン3はAT
G出発コドン後に挿入された余分のG残基を有していた
ため、完全コード配列は位相が異なっている。クローン
5では、34位においてCがTにより置き換えられている
ため、停止コドンは6番アミノ酸の後に形成される。最
後に、クローン4は、13位にGを欠いている。この位置
は、コード配列ではなく、出発コドンおよびリボソーム
結合部位間の領域に存在する。
正しい配列を含むプラスミド(クローン6)を、制限
酵素Cla IおよびBamH Iにより切断し、前述の3MMペーパ
ーへの溶出により、237bpフラグメントをアガロース・
ゲルから分離する。次いで、このフラグメントを、左か
ら右に向かって、 −BamH I制限エンドヌクレアーゼ部位、 −合成転写ターミネーター(CCCGGGCGATGAATCGCCCGGGま
たはCCCGGGCGATTCATCGCCCGGG)、 −ヌクレオチド651番のSal I部位から複製開始点および
アンピシリン耐性遺伝子を通り、ヌクレオチド0番のEc
oR I部位までのプラスミドpAT153の部分、 −エシェリヒア・コリ・トリプトファン・プロモータ
ー、 −プロモーターにおけるリボソーム結合部位の約5塩基
対下流に位置するCla I部位 を含む線状DNAフラグメントにライゲーションする。
作成されたアンピシリン耐性発現プラスミド、すなわ
ちp(NAF)−6T3(第14図)をHB101株のエシェリヒア
・コリ細胞に形質転換する。
転写ターミネーターは、エシェリヒア・コリにおける
NAFの発現に不可欠ではない。それはエシェリヒア・コ
リ・ポリメラーゼにより生成されたNAF−mRNAを有効に
終結させるため、発現の収量を高める。しかしながら、
NAFはまた、転写ターミネーターをもたない同じベクタ
ーにおいて発現され得るが、その場合、収率は30〜50%
未満である。
また、NAFをコードするこの合成遺伝子および同じ塩
基性ペプチド配列をコードするが異なるヌクレオチド配
列を有するかまたは様々な長さのペプチドをコードする
他の遺伝子は、他のプロモーター、例えばラムダPLまた
はエシェリヒア・コリLacもしくはTacプロモーターを用
いてエシェリヒア・コリにおいて発現され得る。またこ
れらの遺伝子は他のベクターを用いて導入され、他の生
物、例えば酵母、真菌、動物細胞、細菌セルライン、植
物およびトランスジェニック高等生物において発現され
得る。
c)発現 エシェリヒア・コリHB101におけるp(NAF)−6T3の
発現は、次の要領で行なわれる。
前培養1:−20゜に保たれたセルラインのグリセリン培
養50μを、100μg/mlアンピシリン含有無菌LB培地(1
0g/トリプトン、5g/酵母抽出物、10g/NaCl)10ml
に加える。この培養を、インキュベーター中37゜で8時
間200rpmで振り混ぜる。
前培養2:前培養1の培地から得た8mlを、0.2%グルコ
ース、0.5%カサミノ酸(ディフコ)、25mg/トリプト
ファンおよび100μg/mlアンピシリンを含むM9培地(J.
H.ミラー、「エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・
ジェネティックス」[1972]コールド・スプリング・ハ
ーバー・ラボラトリー、ニューヨーク、431−433頁)1
中に接種する。この培養をインキュベーター中37゜で
15−16時間200rpmで振り混ぜる。
発酵:70の発酵槽中35の作業体積で主発酵を行
う。前培養2の場合と同じ培地を使用するが、例外とし
て5mg/のみのトリプトファンを加える。前培養2をこ
の培地に接種し、37゜で600nm(OD600)での光学密度が
2.8に達するまで発酵を続行する。OD600が2.8に達する
と、エタノール中インドールアクリル酸を加えて最終濃
度20mg/とする。4時間後、OD600は13.5に増加する。
遠心分離により516gの沈澱物が得られる。
d)組換えNAFの精製 組換え体NAF含有エシェリヒア・コリ細胞を−20゜で
貯蔵する。100gのバッチを、50ミリモルNaClを含む20ミ
リモルのトリス−HCl、pH8.0、100mlにより洗浄し、同
緩衝液250mlに再懸濁し、フレンチ・プレス(アミン
コ)中2500psiで崩壊させる。40分間47000gでの遠心分
離後、沈澱物を同緩衝液に再懸濁し、再遠心分離し、−
20゜で貯蔵する。10g分量を100mlの50ミリモルMES−NaO
H、pH6.5、6Mグアニジン−HClに懸濁し、1時間撹はん
し、0.5%酢酸に対して透析する。透析物を遠心分離に
より透明にし、アリコートに分けてモノ−Sカラム(HR
5/5、ファルマシア)に仕込む。0.2モルNaClを含む50ミ
リモルMES−NaOH、pH6.5によりカラムを洗浄し、同緩衝
液中一次勾配により(0.2〜0.5モルNaCl)0.5ml/分の速
度で溶離する。最高のNAF含有量を有するフラクション
をプールし、1ml/分の流速で20〜60%アセトニトリル勾
配により0.1%トリフルオロ酢酸中、広孔逆相HPLCカラ
ム(0.46×125mmバイダックC4TP)によるクロマトグラ
フィーを行う。
第5部:天然および組換えNAFの同定 実施例20 物理化学的同定。
HPLCから回収されたNAF(実施例19参照)は、2つの
基準に基づき純粋であると考えられる。銀染色SDS−ポ
リアクリルアミドゲルは、天然NAFと一致する単一バン
ドを示し(レーン2におけるHPLCピーク・フラクション
から得た組換えNAF1μg対レーン3における天然NAF1μ
g、分子量標準はレーン1におけるチトクロムc[12.5
kd]およびアプロチニン[6.5kd])、ぎ酸(開裂した
ペプチドはアミノを生ずる)およびカルボキシ末端配列
のエドマン分解法は、72−アミノ酸天然NAFの場合と一
致する。アミノ酸分析は配列から予想される組成と一致
している。メチオニンは見出されず、この残基が恐らく
は細菌により除去されることを示している。
実施例21 生化学的同定。
天然および組換えNAFをヒト好中球において平行して
試験する。それらは細胞質ゾル遊離Ca2+において事実
上同一の変化を引き出し、3ナノモル程度の低濃度で最
大上昇をもたらす(第15図)。化学発光による評価によ
ると、ほぼ同一の濃度依存性呼吸バースト応答が1〜30
ナノモルの範囲で両調製物により得られる。天然および
組換えNAF間の均等性はまた、走化性およびエキソサイ
トーシス測定により表される。走化性移動は0.1ないし1
0ナノモルの間で観察され、最大効果は1ナノモルで得
られる(第6表)。いずれかのぺプチドにより、0.3ナ
ノモルで特異か粒からのビタミンB12−結合蛋白質およ
び1ナノモルでアズール好性か粒からのベータ−グルク
ロニダーゼの顕著な放出が観察される。この効果は、第
7表に示された刺激物質濃度により増加する。
第6表 NAF誘発好中球走化性 NAF(nM) nat rec 0.1 98±6 88±6 1.0 123±6 124±3 10.0 127±3 126±4 値は、リーディング・フロント移動の平均±標準偏差
(μm)を表す(n=3)。走化性刺激物質の非存在下
におけるランダム移動は61±5μmである。nat=天然N
AF、rec=組換えNAF。
天然(nat)または組換え(rec)NAFにより10分間刺
激されたサイトカラシンB前処理好中球(4×106細胞/
ml)からの放出パーセント。対応する非刺激対照からの
放出が誘引される。平均±標準偏差(n=3)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/02 C12N 15/00 A // C12N 1/21 A61K 37/02 (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 8825258 (32)優先日 昭和63年10月28日(1988.10.28) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (72)発明者 リンドレイ、イワン・ジェイムズ・ダル トン オーストリア国アー‐2345 ブルン/ゲ ビルゲ、アントン‐ザイドルガッセ 23 番 (72)発明者 ペベリ、パオラ スイス国ツェハー‐3012 ベルン、ツェ ーリンゲルストラッセ 32番 (72)発明者 ワルツ、アルフレート スイス国ツェハー‐3098 ケニツ、フェ ルトラインストラッセ 7番 (56)参考文献 特表 平2−502097(JP,A) J.Immunology(Jul y,1987)Vol.139,No.1,p. 250−256 Clin.exp.Immunol. (1986)Vol.64,p.214−222 J.Immunology(Aug, 1987)Vol.139,No.3,p.788 −793 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA(Dec,1987)Vol. 84,p.9233−9237 Biochem.Biophys.R es.Commun.(Dec,1987) Vol.149,No.2,p.755−761 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/00 - 14/825 A61K 38/00 A61P 29/00 C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/00 - 21/02 GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq SwissProt/PIR/GeneS eq BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のアミノ酸配列を有する好中球活性化因
    子(NAF):
  2. 【請求項2】次のアミノ酸配列により延長されたアミノ
    末端を有する、請求項1に記載のNAF:Ala−Val−Leu−P
    ro−Arg−。
  3. 【請求項3】2つのアミノ酸、すなわちSer−Ala−を欠
    くことにより短縮されたアミノ末端を有する、請求項1
    に記載のNAF。
  4. 【請求項4】3つのアミノ酸、すなわちSer−Ala−Lys
    −を欠くことにより短縮されたアミノ末端を有する、請
    求項1に記載のNAF。
  5. 【請求項5】ヒト単核白血球培養の上清からクロマトグ
    ラフィーにより精製し、回収することを含む、請求項1
    〜4のいずれかに記載のNAFの製造法。
  6. 【請求項6】対応するオリゴヌクレオチドの合成、精製
    およびライゲーション、生成した合成NAF遺伝子のクロ
    ーニング、発現並びに回収および精製を含む、請求項1
    〜4のいずれかに記載のNAFの製造法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載のNAFのエ
    シェリヒア・コリにおける発現に適した、第13図に示す
    ヌクレオチド配列を有するcDNA。
  8. 【請求項8】請求項1〜4のいずれかに記載のNAFを有
    効成分として含む、炎症関連好中球活性化調節用薬剤。
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