JP3131537B2 - 焼成用アルミナ治具 - Google Patents

焼成用アルミナ治具

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JP3131537B2
JP3131537B2 JP05347197A JP34719793A JP3131537B2 JP 3131537 B2 JP3131537 B2 JP 3131537B2 JP 05347197 A JP05347197 A JP 05347197A JP 34719793 A JP34719793 A JP 34719793A JP 3131537 B2 JP3131537 B2 JP 3131537B2
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裕 岡田
正敏 大崎
昭司 柴田
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東芝セラミックス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被焼成体を保持、積
載する治具に関する。更にいえば、フェライトの焼成工
程で被焼成体を固定、積載する焼成用アルミナ治具に関
する
【0002】
【従来の技術】偏向ヨ−ク、フェライトコアなどのフェ
ライトを焼成する際に、被焼成体を保持、積載する治具
として吸水率が0.1〜1.4%の範囲のアルミナ磁器
が使用されている。
【0003】しかしながら、従来から使用されていたア
ルミナ磁器は吸水率が高いため、繰り返して使用してい
る中に、被焼成体即ちフェライト中の添加物であるZ
n,Ni,Mnなどがフェライト焼成用アルミナ治具に
侵入して組織が劣化し、かけ、割れなどの不具合が発生
し使用できなくなるといった問題があった。
【0004】こうした現象を避けるためにはアルミナ磁
器の吸水率を下げなければならないが、そのためにはか
なりの高温での長時間焼成が必要であり、製品のコスト
を引き上げてしまう問題が存在していた。
【0005】即ち、フェライト焼成用のアルミナ磁器
は、造粒、調整されたアルミナ原料をリング、セッタ−
などの所定の形状にプレス成形し、これで得られた成形
体を所定の温度で焼成して成形される。その際、焼成温
度を高くする或いは焼成時間を長くすることで焼成体の
吸水率は低減できるが、フェライト焼成用に使用される
アルミナ磁器は高純度であることが要求されるので、吸
水率をゼロまたはそれ近くにするには、1800℃以上
のかなりの高温焼成或いは長時間焼成が必要とされてい
る。
【0006】しかし、こうした高温度焼成或いは長時間
焼成では燃料費や焼成に使用する材料費がかさみ、製品
のコスト高を招き市場価格と見合わないものとなってし
まう恐れがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、アルミナ
に少量のイットリウムを含有する物質、例えばイットリ
ア(Y2 3 )等を少量添加した原料を用いることによ
り、比較的低い焼成温度での焼成で吸水率が小さく、し
かも耐用性が高い焼成用治具を得ようとするものであ
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、アルミナお
よびイットリアからなり、イットリアが0.37〜3.
2wt%、残部がアルミナからなる原料を焼成してなる
磁器で、吸水率が0.6%以下、曲げ強さが240Mp
a以上である焼成用アルミナ治具(請求項1)およびア
ルミナおよびイットリアからなり、イットリアが0.3
7〜3.2wt%、残部がアルミナからなる原料を焼成
して、しかもアルミナ粒子の粒界がアルミニウムの酸化
物とイットリウムの酸化物が混在した層である磁器で、
吸水率が0.6%以下、曲げ強さが240Mpa以上で
ある焼成用アルミナ治具(請求項2)である。以下に、
この発明を説明する。 本発明の焼成用治具は、アルミナ
とイットリアからなるもので、イットリアの含有量が
0.37〜3.2wt%で残部をアルミナとする原料を
焼成してなるアルミナ磁器である。イットリアが0.3
7wt%未満であると焼成体の吸水率を十分に下げるこ
とが出来ない。またイットリア添加量は、焼成体の吸水
率の低下、焼成温度の低下のためには3.2%で足り
る。イットリアは高価な原料であり添加量をこれ以上と
するとコスト高となり、また焼結体の強度が低下する。
アルミナ原料に上記の範囲のイットリアを添加してプレ
ス成形しこれを焼成する。この場合の焼成条件は、後記
実施例に示すように好ましくは1640℃〜1720
℃、また焼成時間は10時間である。これによって、吸
水率が0.6%以下、曲げ強さが240Mpaの焼成用
アルミナ治具とする。特に、焼成温度1720℃、10
時間保持という焼成条件では吸水率ゼロ%の焼成体を得
ることができる。請求項2の発明は、請求項1の発明と
同様に、イットリアが0.37〜3.2wt%、残部が
アルミナからなる原料で焼成してなる焼成用治具で、し
かもアルミナ粒子の粒界がアルミニウムの酸化物とイッ
トリウムの酸化物が混在した層で、さらに吸水率が0.
6%以下、曲げ強さが240Mpa以上である焼成用ア
ルミナ治具である。この場合の焼成条件については上記
と同様である。
【0009】
【作用】この発明は、原料としてアルミナとイットリウ
ムを含有する物質、例えばイットリアを0.37〜3.
2wt%の範囲で添加したものを用いるものであるか
ら、従来のように焼成条件を高温、長時間とすることな
くして、得られた焼成体の吸水率を大幅に下げることが
できるようになり、その結果、従来と同様なコストで吸
水率の極めて低いアルミナ磁器からなる焼成用治具を得
ることが出来るようになった。
【0010】
【実施例】(実施例1) 純度99.4%、平均粒径1.5μmのアルミナ粉に対
し、純度99%、平均粒径0.3μmのY2 3 粉を
0.5wt%添加した。これに水を加え混合しスラリー
とした後スプレードライヤーで造粒した。この造粒物を
プレス成形して成形体とし、この成形体をガス炉で17
20℃で10時間保持の条件で焼成を行った。この焼成
体について吸水試験を行ったところ吸水率はゼロ%であ
った。
【0011】この焼成体について3点曲げ試験を行いそ
の強さを測定したところ、310Mpaであった。ま
た、けい光X線で成形体のY量を測定したところ0.3
5%であった。さらにX線回折で定性分析を行ったとこ
ろ、コランダムの外にアルミニウム−イットリウムの酸
化物のピ−クが認められた。また、この焼成体を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、イットリウムがアルミナ
の粒界に存在していることが確認された。
【0012】(実施例2〜6) アルミナ粉末にY2 3 を表1に示す割合で添加し、実
施例1と同様な方法で混合、造粒し成形体を得た。この
成形体を表1に示す焼成温度で10時間保持し焼成を行
った。得られた焼成体の吸水率、曲げ強さ、Y量の測定
を行った。その結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】(比較例1〜3) アルミナ粉末にY2 3 を表1に示す割合で添加し、実
施例1と同様な方法で混合、造粒し成形体を得た。この
成形体を表1に示す焼成温度で10時間保持し焼成を行
った。得られた焼成体の吸水率、曲げ強さ、Y量の測定
を行った。その結果を表1に示す。
【0015】なお、実施例および比較例では、イットリ
ウムを含む物質としてイットリアを用いたが、塩化イッ
トリウム(YCl3 ・6H2 O)、硝酸イットリウム
(Y(NO3 3 ・6H2 O)などのイットリウムが含
まれたものを用いても本願発明の効果は得ることが出来
る。
【0016】
【発明の効果】以上説明した通り、アルミナ原料にイッ
トリアを0.37〜3.2wt%添加することで、高温焼
成、長時間焼成を行なわなくとも吸水率を低減したアル
ミナ治具を得ることが出来るようになった。このため、
低吸水率の焼成用治具を低コストで得ることが出来るよ
うになった。
【0017】吸水率を低減した本発明の焼成用治具を用
いてフェライトの焼成を行った場合は、被焼成体に添加
した各種添加物が磁器内部へ侵入することを抑制するこ
とができ、吸水率の大きい磁器、耐火物に比較して長期
間の使用に耐えるものとすることが出来る。
【0018】従来から、磁器の吸水率を下げるには焼成
温度を高くすることも考えられているが、焼成方法の現
状を考えると本発明の方がコスト的に有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−190753(JP,A) 特開 昭55−166212(JP,A) 特開 昭58−9875(JP,A) 特開 平5−262571(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/64 C04B 35/10 - 35/119 F27D 3/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミナおよびイットリアからなり、イッ
    トリアが0.37〜3.2wt%、残部がアルミナから
    なる原料を焼成してなる磁器で、吸水率が0.6%以
    下、曲げ強さが240Mpa以上である焼成用アルミナ
    治具
  2. 【請求項2】アルミナおよびイットリアからなり、イッ
    トリアが0.37〜3.2wt%、残部がアルミナから
    なる原料を焼成して、しかもアルミナ粒子の粒界がアル
    ミニウムの酸化物とイットリウムの酸化物が混在した層
    である磁器で、吸水率が0.6%以下、曲げ強さが24
    0Mpa以上である焼成用アルミナ治具
JP05347197A 1993-12-27 1993-12-27 焼成用アルミナ治具 Expired - Fee Related JP3131537B2 (ja)

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