JP3130653B2 - 含フッ素無水フタル酸類の製造方法 - Google Patents

含フッ素無水フタル酸類の製造方法

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JP3130653B2 JP04175450A JP17545092A JP3130653B2 JP 3130653 B2 JP3130653 B2 JP 3130653B2 JP 04175450 A JP04175450 A JP 04175450A JP 17545092 A JP17545092 A JP 17545092A JP 3130653 B2 JP3130653 B2 JP 3130653B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は下記一般式(VII):
【0002】
【化13】
【0003】(式中R1、及びR2は、それぞれ独立に、
フッ素原子、炭素原子数1〜12個の直鎖アルコキシ
基、炭素原子数1〜12個の分岐アルコキシ基、炭素原
子数1〜12個のアルキルチオ基、炭素原子数1〜12
個のアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アリールアミノ基又は下記式(VIII)〜(XII)
【0004】
【化14】
【0005】
【化15】
【0006】
【化16】
【0007】
【化17】
【0008】
【化18】
【0009】のいずれかを示す)で表される含フッ素無
水フタル酸類の製造方法に関する。
【0010】本発明にかかる含フッ素無水フタル酸類
は、医薬、農薬、光学材料、配線基盤材料、感光材料、
液晶材料等の中間原料として有用である。
【0011】
【従来の技術】含フッ素無水フタル酸類の合成方法とし
ては、例えば、英国特許番号第986892号公報など
に、下記スキーム(A)に示すように、テトラフルオロ
フタル酸を無水トリフルオロ酢酸により脱水する方法が
記載されている。
【0012】
【化19】
【0013】しかしながら、この方法において使用する
無水トリフルオロ酢酸は、高価であるうえに副生するト
リフルオロ酢酸が腐食性の強い物質であるという問題点
があり、工業的に実施するのは困難である。
【0014】また、特開平2−306945号公報に
は、トルエン、キシレン等不活性な有機溶媒の存在下に
加熱脱水する方法が記載されている。しかしながら、こ
の方法は目的とする無水フタル酸類の収率が低いという
欠点を有している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の有
する前記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、
本発明の目的は、含フッ素フタル酸類から該含フッ素フ
タル酸無水物を安全に収率よく製造でき、しかも純度よ
く製造する方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(I):
【0017】
【化20】
【0018】(式中R1、及びR2は、それぞれ独立に、
フッ素原子、炭素原子数1〜12個の直鎖アルコキシ
基、炭素原子数1〜12個の分岐アルコキシ基、炭素原
子数1〜12個のアルキルチオ基、炭素原子数1〜12
個のアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アリールアミノ基又は下記式(II)〜(VI)
【0019】
【化21】
【0020】
【化22】
【0021】
【化23】
【0022】
【化24】
【0023】
【化25】
【0024】のいずれかを示す)で表される含フッ素フ
タル酸類を塩化チオニル、塩化アセチルおよび塩化ホス
ホリルからなる群から選択される少なくとも1種の溶媒
中40〜105℃で加熱処理することを特徴とする下記
一般式(VII):
【0025】
【化26】
【0026】(式中R1、及びR2は、それぞれ独立に、
フッ素原子、炭素原子数1〜12個の直鎖アルコキシ
基、炭素原子数1〜12個の分岐アルコキシ基、炭素原
子数1〜12個のアルキルチオ基、炭素原子数1〜12
個のアルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチ
オ基、アリールアミノ基又は下記式(VIII)〜(XII)
【0027】
【化27】
【0028】
【化28】
【0029】
【化29】
【0030】
【化30】
【0031】
【化31】
【0032】のいずれかを示す)で表される含フッ素無
水フタル酸類の製造方法が提供される。
【0033】
【発明の具体的な説明】以下に、本願発明について具体
的に説明する。
【0034】本発明における出発原料である上記一般式
(I)で表される含フッ素フタル酸類を具体的に示す
と、3,4,5,6−テトラフルオロフタル酸、4−ブ
トキシ−3,5,6−トリフルオロフタル酸、4−メト
キシ−3,5,6−トリフルオロフタル酸、4−フェノ
キシ−3,5,6−トリフルオロフタル酸、4−オクチ
ルオキシ−3,5,6−トリフルオロフタル酸、4−ド
デシルオキシ−3,5,6−トリフルオロフタル酸、4
−フェニルアミノ−3,5,6−トリフルオロフタル
酸、4−フェニルチオ−3,5,6−トリフルオロフタ
ル酸、4,5−ジドデシルチオ−3,6−ジフルオロフ
タル酸、4,5−ジメトキシ−3,6−ジフルオロフタ
ル酸、4,5−ジブチルアミノ−3,6−ジフルオロフ
タル酸、4,5−ジフェノキシ−3,6−ジフルオロフ
タル酸、4,5−ジフェニルアミノ−3,6−ジフルオ
ロフタル酸、4,5−ジブチルチオ−3,6−ジフルオ
ロフタル酸、4,5−ジオクチルチオ−3,6−ジフル
オロフタル酸、4−フェノキシ−5−フェニルチオ−
3,6−ジフルオロフタル酸、4−フェノキシ−5−ブ
トキシ−3,6−ジフルオロフタル酸、4−ブトキシ−
5−ブチルチオ−3,6−ジフルオロフタル酸、1,4
−ビス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフル
オロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビ
ス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロ
フェニルチオ)テトラフルオロベンゼン、4,4´−ビ
ス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロ
フェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4´−ビ
ス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロ
フェニルチオ)オクタフルオロビフェニル、ビス(3,
5,6−トリフルオロフタル酸)オキシド、ビス(3,
5,6−トリフルオロフタル酸)スルフィドなどが挙げ
られる。
【0035】本発明においては、溶媒として塩化チオニ
ル、塩化アセチル及び塩化ホスホリルからなる群から選
択される少なくとも1種を用いるが、特に塩化チオニル
及び/又は塩化アセチルを用いるのが好ましい。
【0036】含フッ素フタル酸類化合物の溶媒中での濃
度は、3重量%以上60重量%以下で使用するのが好ま
しく、特に5重量%以上30重量%以下で使用するのが
好ましい。
【0037】反応温度は40〜105℃の範囲であり、
特に、塩化チオニルを用いる場合50〜80℃が好まし
く、塩化アセチルを用いる場合40〜50℃が好まし
く、塩化ホスホリルを用いた場合80〜105℃の範囲
が好ましい。反応温度が105℃を越える高温度である
場合には、カルボン酸クロライドが副生成するので好ま
しくない。また、40℃未満の低温度で行った場合には
生産効率が低下するので好ましくない。
【0038】反応時間は、使用する溶媒、反応温度など
により異なるが、通常1〜4時間の範囲で行うのが望ま
しい。
【0039】反応終了後は、例えば、溶媒として塩化チ
オニル、塩化アセチルを用いた場合には、反応溶媒を留
去することにより、上記一般式(VII)で示される含フ
ッ素無水フタル酸類化合物を得ることができる。また、
例えば、溶媒として塩化ホスホリルを用いた場合には、
反応溶媒を留去した後、生成物をイソプロピルエーテル
などの有機溶媒に溶解させ、濾過によりリン酸を濾別
し、濾液を蒸発乾固することにより、上記一般式(VI
I)で示される含フッ素無水フタル酸類化合物を得るこ
とができる。
【0040】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、含フッ素フ
タル酸類から該含フッ素フタル酸無水物を安全に収率よ
く製造でき、しかも純度よく製造することができる。
【0041】以下、本発明を実施例により更に具体的に
説明する。
【0042】
【実施例】実施例1 冷却還流管、温度計及び滴下ロートを備えた100mlの四
ツ口フラスコ中に、テトラフルオロフタル酸30.0g(0.
13mol)を加えた後、滴下ロートより塩化チオニル70.0
g(0.59mol)を加えた。その後70℃で約3時間反応させ
た。反応終了後、塩化チオニルを減圧下留去し、得られ
た結晶を更に60℃にて減圧乾燥することにより、テトラ
フルオロ無水フタル酸26.9g(0.12mol)を得た(対含フッ
素フタル酸収率97mol%)。得られたテトラフルオロ無水
フタル酸の物性値は次の通りである。
【0043】 実施例2 実施例1と同様の装置を用い、テトラフルオロフタル酸
30.0g(0.13mol)を加えた後、滴下ロートより塩化アセチ
ル70g(0.9mol)を加える。その後50℃で約4時間反応させ
た。反応終了後塩化アセチルを減圧下留去し、得られた
結晶をさらに60℃にて乾燥することにより、テトラフル
オロ無水フタル酸25.7g(0.12mol)を得た(対含フッ素フ
タル酸収率93mol%)。
【0044】実施例3 実施例1と同様の装置を用い、テトラフルオロフタル酸
30.0g(0.13mol)を加えた後、滴下ロートより塩化ホスホ
リル70g(0.46mol)を加える。その後100℃で約1時間反応
させた。反応終了後塩化ホスホリルを減圧下留去した
後、生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させろ過に
よりリン酸を除去した。その後減圧下ジイソプロピルエ
ーテルを留去し、得られた結晶をさらに60℃にて減圧乾
燥することにより、テトラフルオロ無水フタル酸26.0g
(0.12mol)を得た(対含フッ素フタル酸収率94mol%)。
【0045】実施例4〜10 実施例1と同様の装置を用い、各種含フッ素フタル酸を
用い、表1に示す該含フッ素フタル酸の仕込量、溶媒量
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行うことによ
って、表1に示す収率の該含フッ素無水フタル酸を得
た。
【0046】実施例11〜15 実施例1と同様の装置を用い、各種含フッ素フタル酸を
用い、表2に示す該含フッ素フタル酸の仕込量、溶媒量
を用いた以外は、実施例2と同様の方法で行うことによ
って、表2に示す収率の該含フッ素無水フタル酸を得
た。
【0047】実施例16〜20 実施例1と同様の装置を用い、各種含フッ素フタル酸を
用い、表3に示す該含フッ素フタル酸の仕込量、溶媒量
を用いた以外は、実施例3と同様の方法で行うことによ
って、表3に示す収率の該含フッ素無水フタル酸を得
た。
【0048】実施例21 冷却還流管、温度計及び滴下ロートを備えた300ml四ツ
口フラスコに1,4-ビス(3,4-ジカルボキシ-2,5,6-トリフ
ルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン10g(0.016mo
l)を加えた後、滴下ロートより塩化チオニル200g(1.72m
ol)を加えた。その後70℃で約4時間反応させた。反応終
了後塩化チオニルを減圧下留去し、得られた結晶を更に
60℃にて減圧乾燥することにより、上記の酸無水物9.0g
(0.016mol)を得た(対フタル酸収率98mol%)。得られた
化合物を昇華精製したものについての物性値は次の通り
である。
【0049】 実施例22〜27 実施例21と同様の装置を用い、各種含フッ素フタル酸
を用い、表4に示す該含フッ素フタル酸の仕込量、溶媒
量を用いた以外は、実施例21と同様の方法で行うこと
によって、表4に示す収率の該含フッ素無水フタル酸を
得た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 307/89 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I): 【化1】 (式中R1、及びR2は、それぞれ独立に、フッ素原子、
    炭素原子数1〜12個の直鎖アルコキシ基、炭素原子数
    1〜12個の分岐アルコキシ基、炭素原子数1〜12個
    のアルキルチオ基、炭素原子数1〜12個のアルキルア
    ミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリール
    アミノ基又は下記式(II)〜(VI) 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 のいずれかを示す)で表される含フッ素フタル酸類を塩
    化チオニル、塩化アセチルおよび塩化ホスホリルからな
    る群から選択される少なくとも1種の溶媒中40〜10
    5℃で加熱処理することを特徴とする下記一般式(VI
    I): 【化7】 (式中R1、及びR2は、それぞれ独立に、フッ素原子、
    炭素原子数1〜12個の直鎖アルコキシ基、炭素原子数
    1〜12個の分岐アルコキシ基、炭素原子数1〜12個
    のアルキルチオ基、炭素原子数1〜12個のアルキルア
    ミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリール
    アミノ基又は下記式(VIII)〜(XII) 【化8】 【化9】 【化10】 【化11】 【化12】 のいずれかを示す)で表される含フッ素無水フタル酸類
    の製造方法。
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