JP3126063B2 - D−パントラクトンの製造法 - Google Patents

D−パントラクトンの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医学上または生理学上重
要なビタミンとして有用なD−パントテン酸やパンテチ
ンの製造における中間体として有用なD−パントラクト
ンの新規な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、D−パントラクトンは化学的に合
成されたD,L−パントラクトンを光学分割することに
より製造されている。しかしながら、この方法は、キニ
ーネ、ブルシン等の高価な分割剤を必要とするものであ
り、D−パントラクトンの回収も容易でない等の欠点を
有している。
【0003】本発明者らは先に、化学的方法の上記欠点
を解消するD−パントラクトンの製造法として、D−パ
ントラクトン加水分解能を有する微生物を用いて、D,
L−パントラクトンよりD−パントラクトンを光学分割
する方法を提供した。(特開平3−65198号参照)
すなわち、この方法は、特定の微生物を用いることによ
り、D,L−パントラクトン中のD−パントラクトンを
選択的に不斉加水分解せしめることにより、D−パント
イン酸を生成せしめ、そのD−パントイン酸をD−パン
トラクトンに変換するという方法であり、それによっ
て、D,L−パントラクトンから効率よくD−パントラ
クトンを取得するというものである。
【0004】本発明者らは、D,L−パントラクトンの
不斉加水分解につき、更に鋭意研究をおこなった結果、
上記のD−パントラクトン加水分解酵素がD−パントイ
ン酸を選択的にラクトン化し、D−パントラクトンを生
成するという逆反応をも触媒することを見出した。した
がって、このD−パントラクトン加水分解酵素を用いる
ことにより、D,L−パントイン酸中のD−体を選択的
に不斉ラクトン化せしめて、D−パントラクトンを生成
せしめ、そのD−パントラクトンを分離することによっ
て、D,L−パントイン酸から効率よくD−パントラク
トンを取得し得ることを見出した。本発明は、かかる知
見に基づいてなされたものである。
【0005】
【発明の開示】本発明は、フサリウム属、シリンドロカ
ルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、ペニシリウ
ム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラディウム
属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフィラム
属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモニウム
属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリクス
属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に属す
る微生物より選ばれたD−パントラクトン加水分解能を
有する微生物またはその微生物より得られるD−パント
ラクトン加水分解酵素を用いて、D,L−パントイン酸
を原料とし、そのD−体を選択的にラクトン化せしめる
ことによりD−パントラクトンに変換した後、これを単
離することを特徴とするD−パントラクトンの製造法を
提供するものである。
【0006】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
方法においては、原料としてD,L−パントイン酸が用
いられるが、このD,L−パントイン酸は、通常、塩の
形で使用される。そのD,L−パントイン酸塩はD,L
−パントラクトンと、カルボン酸と塩を形成する塩基性
物質とから容易に調製することができる。例えば、D,
L−パントイン酸ナトリウムの場合、D,L−パントラ
クトン水溶液に対し、当量の水酸化ナトリウムを加え、
室温で1時間、反応をおこなわせることにより、調製す
ることができる。この場合の塩としては、ナトリウム塩
に限らず、他の塩、例えば、カリウム塩、カルシウム塩
およびアンモニウム塩等、いずれも使用することができ
る。
【0007】本発明に係わる微生物はフサリウム属、シ
リンドロカルポン属、ジベレラ属、アスペルジラス属、
ペニシリウム属、リゾプス属、ボルテラ属、グリオクラ
ディウム属、ユーロティウム属、ネクトリア属、シゾフ
ィラム属、ミロセシウム属、ノイロスポラ属、アクリモ
ニウム属、ツベルクリナ属、アブシジア属、スポロスリ
クス属、バーティシリウム属またはアルスロダーマ属に
属し、D−パントラクトン加水分解能を有するもので、
その例としては、例えば、フサリウム オキシスポルム
(IFO 5942)、フサリウム セミテクタム(I
FO 30200)、シリンドロカルポン トンキネン
ス(IFO 30561)、シリンドロカルポン スク
レロティゲナム(IFO 31855)、ジベレラ フ
ジクロイ(IFO 6349)、アスペルジラス アワ
モリ(IFO 4033)、ペニシリウム クリソゲナ
ム(IFO 4626)、リゾプス オリザエ(IFO
4706)、ボルテラ ブクシ(IFO 6003)、
グリオクラディウム カテヌラタム(IFO 612
1)、ユーロティウム シェバリエリ(IFO 433
4)、ネクトリア エレガンス(IFO 7187)、
シゾフィラム コムネ(IFO 4928)、ミロセシ
ウム ロリダム(IFO 9531)、ノイロスポラ
クラッサ(IFO 6067)、アクリモニウム フシ
ディオイデス(IFO 6813)、ツベルクリナ ペ
ルシシナ(IFO 6464)、アブシジア リヒセイ
ミ(IFO 4009)、スプロスリクス シェンキ
(IFO5983)、バーティシリウム マルトウセイ
(IFO 6624)、アルスロダーマ ウンシナトウ
ム(IFO 7865)をあげることができる。
【0008】また、これらの微生物の培養および上記の
D−パントラクトン加水分解酵素の精製は下記の如くし
ておこなうことができる。すなわち、培養にあたり使用
する培地としては炭素源、窒素源、無機物、その他の栄
養素を適宜含有する培地であれば合成培地または天然培
地のいずれでもよい。
【0009】炭素源としてはグルコース、シュクロース
等の糖質、エタノール、グリセリン等のアルコール類、
オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸およびそのエステ
ル類、菜種油、大豆油等の油類、窒素源として、硫酸ア
ンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸、
コーンスティープリカー、ふすま、酵母エキス等、無機
塩類として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸
カルシウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリ
ウム等、他の栄養素として、麦芽エキス、肉エキス等を
含有する培地を用いる。
【0010】培養は好気的におこない、通常、培養時間
は1〜7日程度、培地のpHは3〜9、培養温度は10
〜50℃でおこなう。本発明方法において、使用する微
生物源としては、液体培地に菌株を培養して得られた培
養物、培養液から分離した菌体、あるいは菌体または培
養物を処理して得られる乾燥菌体、もしくは固定化菌体
等のいずれの形態のものも用いることができる。また、
D−パントラクトン加水分解酵素は、当該微生物の培養
終了後、培養液を濾過または遠心分離して得られる菌体
を機械的破砕により調製した無細胞抽出液から酵素単離
の常法によって採取される。その方法としては、例え
ば、硫安沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー法、ア
フィニティークロマトグラフィー法、ゲル濾過法、限外
濾過法等の方法があげられるが、これらを適宜くみあわ
せて用いる。
【0011】菌体外の培養液中に蓄積する酵素について
は、菌体分離後の培養液を上記の酵素単離の常法を適宜
くみあわせて処理することにより、これを取得すること
ができる。本発明方法において、使用されるD−パント
ラクトン加水分解酵素としては、無細胞抽出液をはじ
め、いずれの精製段階のものも使用でき、あるいは、ま
た、種々の方法で調製した固定化酵素も使用することが
できる。
【0012】操作は回分式、半回分式、または連続式の
いずれでもおこなうことができる。使用するD,L−パ
ントイン酸の濃度は、通常、10〜500g/リットル
である。反応温度は、通常、10〜50℃であり、また
至適反応温度は、通常、30〜50℃である。反応時間
は、回分式の場合、通常、数時間から1日である。反応
系のpHは、通常、3〜6程度であり、また至適pH
は、通常、4〜5である。反応に使用する溶媒は、水以
外に、水と混和する有機溶媒や水と混和しない有機溶媒
等も使用することができる。
【0013】反応は、D,L−パントイン酸のD−体選
択的不斉ラクトン化が進行するにつれ、反応液のpHが
高くなり、反応速度が低下する。反応速度を大きくする
ため、反応液のpHをD−ラクトン加水分解酵素のラク
トン化至適pHに保持することが好ましい。その際、p
Hを保持するための酸としては、酢酸、塩酸、硫酸等が
用いられる。反応終了後、不斉ラクトン化をうけて生成
したD−パントラクトンを有機溶媒による抽出等の操作
により単離することができる。生成したD−パントラク
トンを分離した後、反応液中に残存しているL−パント
イン酸は常法によりラセミ化し、再び本発明方法の原料
として使用することができる。
【0014】したがって、本発明は、前述のD,L−パ
ントラクトン中のD−パントラクトンを選択的に不斉加
水分解する方法に較べ、D,L−パントイン酸から目的
物のD−パントラクトンを直接ラクトンのまま、光学純
度よく取得できることならびに、D−パントラクトンを
分離した反応終了液に残存するL−パントイン酸をその
ままラセミ化し、原料のD,L−パントイン酸として再
使用することが可能であること等、多くの利点を有す
る。以下に実施例を揚げ、本発明を更に具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0015】
【実施例】
実施例1〜3 各例ともに、シュクロース3%、硝酸ナトリウム0.3
%、リン酸二水素カリウム0.1%、塩化カリウム0.
05%、硫酸マグネシウム0.05%、硫酸第一鉄0.
001%、からなる液体培地(pH6.0)を坂口フラ
スコに200ml入れ、115℃で20分、加熱滅菌し
た。各々の坂口フラスコ内の培地に、表1に記載した各
種の菌株をそれぞれ、接種し、28℃で5日間、好気的
に振盪培養した。培養後、濾過により得られた湿菌体に
1M酢酸緩衝液(pH4.5)25ml、5%D,L−
パントイン酸ナトリウム12.5ml、100mM塩化
カルシウム水溶液0.5mlおよび水12mlを加え、
30℃で14時間、反応をおこなった。反応終了後、菌
体を濾過し、濾液を酢酸エチルで抽出した。得られた酢
酸エチル層を濃縮乾固することにより、D−パントラク
トンが得られた。得られたD−パントラクトンの光学純
度はGLC(Analytical Biochemi
stry,112,9−19(1981))にて測定し
た。その結果は表1に示す通りである。
【0016】
【表1】 註:IFO No.は、財団法人醗酵研究所カタログ番
号を示す。
【0017】実施例4 実施例1と同様の操作で得られたフサリウム オキシス
ポルム(IFO 5942)の湿菌体5gに20mMト
リス−塩酸緩衝液(pH7.4)80mlを加え、ダイ
ノミルで摩砕後、遠心分離により無細胞抽出液を得た。
同緩衝液で透析をおこない、DEAE−Sephace
1カラムに負荷し、塩化カリウムの直線濃度勾配(0→
0.3M)で溶離した。溶出した酵素活性画分を上記と
同様の透析をおこない、得られた酵素溶液3.8mlに
1M酢酸緩衝液(pH4.5)4ml、100mM塩化
カルシウム水溶液0.2mlおよび500mM D,L
−パントイン酸ナトリウム12mlを加え、30℃で2
時間反応をおこなった。反応終了後、反応液を酢酸エチ
ルで抽出した。得られた酢酸エチル層を濃縮乾固し、D
−パントラクトン200mg(Y:25.6%、光学純
度:87%e.e.)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 41/00 C12R 1:665) (C12P 41/00 C12R 1:82) (C12P 41/00 C12R 1:845) (C12P 41/00 C12R 1:65) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOSIS(DIALOG) CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 D,L−パントイン酸を原料として用
    い、フサリウム属、シリンドロカルポン属、ジベレラ
    属、アスペルジラス属、ペニシリウム属、リゾプス属、
    ボルテラ属、グリオクラディウム属、ユーロティウム
    属、ネクトリア属、シゾフィラム属、ミロセシウム属、
    ノイロスポラ属、アクリモニウム属、ツベルクリナ属、
    アブシジア属、スポロスリクス属、バーティシリウム属
    またはアルスロダーマ属に属する微生物より選ばれたD
    −パントラクトン加水分解能を有する微生物またはその
    微生物より得られるD−パントラクトン加水分解酵素を
    用いて、D,L−パントイン酸におけるD−体のみを選
    択的にラクトン化せしめることによりD−パントラクト
    ンに変換し、そのD−パントラクトンを単離することを
    特徴とするD−パントラクトンの製造法。
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