JPH04252189A - ベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導体の製造方法 - Google Patents

ベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導体の製造方法

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JPH04252189A
JPH04252189A JP2790391A JP2790391A JPH04252189A JP H04252189 A JPH04252189 A JP H04252189A JP 2790391 A JP2790391 A JP 2790391A JP 2790391 A JP2790391 A JP 2790391A JP H04252189 A JPH04252189 A JP H04252189A
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博 恒川
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和彦 岡村
Rokuro Okamoto
岡本 六郎
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はベンゼンジカルボン酸モ
ノエステルまたはその誘導体の製造方法に関する。更に
詳しくいえば、フタール酸、イソフタール酸あるいはテ
レフタール酸等のベンゼンジカルボン酸のジエステルま
たはその誘導体から、微生物由来または動物臓器由来酵
素含有物を使用してそれぞれの対応するモノエステルま
たはその誘導体を選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】一般にジエステルを基質とし、モノエステ
ルを選択的に製造する方法は医薬品をはじめとする多く
の化学品合成の中で重要な手法の一つであり、数多くの
合成方法が試みられるが、ジエステル基の一方のみを特
異的に変換することは合成反応における問題点となって
いる。
【0003】例えば、ジエチルエステル体に対して等モ
ル量のアルカリを用いて加水分解するシュウェンダー等
の方法(ジャーナル・オブ・メディショナル・ケミスト
リー(J.Med.Chem.),17巻,1112頁
(1974))では強アルカリ性条件下で反応を行なわ
なければならないという欠点を持っている。また、複数
個のエステル基の加水分解速度の差を利用するジェー・
イー・ポルドウィン等の方法(テトラヘドロン(Tet
rahedron),43巻,4217頁(1987)
)ではベンゼンジカルボン酸ジエステル類の選択的加水
分解は困難である。
【0004】以上のような化学的方法によるモノエステ
ル誘導体の製造方法の欠点を解決する方法として、本出
願人は生化学的方法、すなわち酵素を用いる方法(特願
平 2−199616 号)および微生物由来酵素を用
いる方法(特願平 2−285619 号)を提案して
いるが、これらの方法は単一の反応槽を用いる通常のバ
ッチ式反応によるものであり、反応の安定性(特に酵素
の安定性)に問題があること、および生産物の回収が容
易でないという問題があるために、工業的生産方法とし
ては最適なものとはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題はベンゼ
ンジカルボン酸ジエステルまたはその誘導体から相当す
るモノエステルまたはその誘導体を選択性よく効率的に
得ることができる工業的な製造に適した方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはフタール酸
、イソフタール酸あるいはテレフタール酸等のベンゼン
ジカルボン酸ジエステルまたはその誘導体から相当する
モノエステルまたはその誘導体を製造する方法として先
に出願している生化学的方法について更に鋭意研究を続
けた結果、生成物を反応系外に導きながら反応を行なう
方法を採用することにより、反応速度、酵素の安定性、
生成物の純度等の点で優れた効果を導き出せることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明はベンゼンジカルボン酸
ジエステルまたはその誘導体を、対応するモノエステル
またはその誘導体に加水分解し得る酵素含有物の存在下
に、加水分解を行ないベンゼンジカルボン酸モノエステ
ルまたはその誘導体を製造するに際し、該ベンゼンジカ
ルボン酸ジエステルまたはその誘導体、酵素含有物およ
びベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導体
を含む反応系からベンゼンジカルボン酸モノエステルま
たはその誘導体の一部または全部を除去し加水分解反応
を行なうことを特徴とするベンゼンジカルボン酸モノエ
ステルまたはその誘導体の製造方法を提供したものであ
る。
【0008】本発明において、反応原料として用いられ
るベンゼンジカルボン酸ジエステルまたはその誘導体と
しては、フタール酸ジエステル、イソフタール酸ジエス
テル、テレフタール酸ジエステルおよびこれらの各化合
物を構成するベンゼン環に各種の置換基が置換した誘導
体を挙げることができる。これらベンゼンジカルボン酸
ジエステルまたはその誘導体の中では、本発明の方法に
より容易にモノエステルまたはその誘導体とすることが
できるために、特にアルキルエステルが好適である。
【0009】本発明において好適に用い得るベンゼンジ
カルボン酸ジエステルまたはその誘導体を一般式で示す
と次のとおりである。
【0010】
【化1】
【化2】
【化3】 [式中、R1 は炭素数1ないし8個の直鎖もしくは分
枝鎖のアルキル基を表わし、R2 は水素、アミノ基、
ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基またはアルキル基を表
わす。]
【0011】上記式(1)、(2)および(3)中、R
1 で示されるアルキル基としては、公知の炭素原子数
1〜8個の直鎖もしくは分枝鎖のものが特に限定されず
使用できる。好適に使用されるものを具体的に例示すれ
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプ
ロピル基、イソブチル基、タ−シャリブチル基、イソペ
ンチル基、イソヘキシル基、イソオクチル基等であり、
特に炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝鎖のアルキル基が
好適である。
【0012】また上記式(1)、(2)および(3)中
、R2 で示されるアルキル基は特に制限されず公知の
ものが使用できる。一般には上記R1 で例示したアル
キル基が好適に使用できる。
【0013】本発明の製造方法においては、酵素含有物
としてはベンゼンジカルボン酸ジエステルまたはその誘
導体を対応するモノエステルまたはその誘導体に加水分
解しうる酵素であれば、微生物由来のものでも、動物臓
器由来のものでも使用できるが、入手が容易な点から微
生物由来のものが好ましい。微生物由来酵素含有物とし
ては、該酵素を生成する微生物、該酵素を含有する培養
液もしくは菌体またはそれから抽出された該酵素の部分
的精製品、あるいはそれらの固定化物等である。
【0014】本発明においては微生物由来酵素がエステ
ラーゼであればそれを生産する微生物の種類を問わない
。エステラーゼを生産する微生物としては、酵母菌、細
菌、カビ、不完全菌、放線菌等を挙げることができる。 これらの微生物の中から、本発明者らがスクリーニング
したところによると、次に例示する微生物が本発明にお
いて好適に用いられる。
【0015】酵母菌としては、例えば ロドトルラ・ミヌータ(Rhodotorula mi
nuta)  (ATCC10658)、ロドトルラ・
グルチニス(Rhodotorula glutini
s)(ATCC2527)、キャンディダ・ウチリス(
Candida utilis)(ATCC8205)
、キャンディダ・パラプシロシス(Candida p
arapsilosis)(ATCC7330)等が挙
げられる。
【0016】細菌としては、例えば シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomona
s aeruginosa)(ATCC15442)、
シュードモナス・セパシア(Pseudomonas 
cepasia )(ATCC17765)、シュード
モナス・パロナセア(Pseudomonas par
onacea )(ATCC4358)、ロドコッカス
・エキ(Rhodococcus equi)(ATC
C6939)、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhod
ococcusrhodochrous )(ATCC
12974)、コリネバクテリウム・ホアギイ(Cor
ynebacterium hoagii)(ATCC
7005)、グルコノバクター・エスピー(Gluco
nobacter sp. )(ATCC43983)
、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconob
acter oxydans )(ATCC621)等
が挙げられる。
【0017】カビとしては、例えば アスペルギルス・ウスタス(Aspergillus 
ustus)(ATCC1033)、アスペルギルス・
ブレビペス(Aspergillus brevipe
s)(ATCC16899)、アスペルギルス・オリゼ
ー(Aspergillus oryzae)(ATC
C1011)等が挙げられる。
【0018】不完全菌としては、例えばグリオクラディ
ウム・デリケセンス(Gliocladium del
iquescens)(FERM2757)、ヘルミン
トスポリウム・エスピー(Helminthospor
ium sp.)(ATCC38281)等が挙げられ
る。
【0019】放線菌としては、例えば ストレプトマイセス・セレスティス(Streptom
yces caelestis)(ATCC15084
)等が挙げられる。
【0020】さらに、これらを親株として、目的とする
酵素の生産能を、紫外線照射、X線照射法等の物理的方
法、あるいはN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソ
グアニジン、エチルメタンスルホン酸等の化学的処理に
よる変異株として高めることが可能である。
【0021】本発明に使用する微生物は、前述の菌種は
もちろん、それらの変異株、変種等すべてを含む。
【0022】上記微生物を培養する炭素源としては、こ
れらの菌が資化できるものであれば何でもよく、例えば
グルコース、マルトース、シュークロース、でんぷん、
可溶性でんぷん等の炭水化物;酢酸、コハク酸、クエン
酸等の有機酸;エタノール、グリセリン等のアルコール
類;動物油、植物油等を単独もしくは2種以上混合して
用いることができる。
【0023】培地中でのこれらの炭素源の濃度は2g 
〜150g/l であり、好ましくは5g〜100g/
l である。
【0024】窒素源としては、これらの菌が資化できる
ものであれば何でもよく、例えばカゼイン、肉エキス、
ヘプトン等の動物由来の窒素源;大豆、綿実、トウモロ
コシ等植物に由来する窒素源;酵母等微生物に由来する
窒素源;さらにアンモニウム塩、硝酸塩等の無機窒素源
等を単独あるいは2種以上混合して用いることができる
【0025】窒素源の濃度としては種類によって異なる
が、1g 〜100g/l で用いることができ、好ま
しくは5g 〜50g/l である。これら主栄養源に
加えて微量栄養素として、酵母エキス、肉エキス、コー
ンスティープリカー、あるいはビタミン類を用いること
が有効である。培地のpH緩衝剤として、あるいは無機
窒素源としてリン酸塩、マグネシウム塩、その他金属塩
を添加することが望ましい。これらの添加濃度は種類に
よって異なるが、0.1g〜5g/l の範囲が望まし
い。
【0026】上記微生物の培養温度は、一般の微生物の
培養温度である20℃〜37℃であるが、例えばロドト
ルラ・ミヌータ(Rhodotorula minut
a)では20℃〜35℃の範囲で用いられる。培養液の
pHは4.0 〜8.5 、好ましくは5〜8の範囲で
ある。培養中は好気的に保つため、通気、撹拌、振盪等
が行なわれる。目的とする加水分解酵素は微生物の育成
とともに生成されるが、特に培養中期から後期にかけて
生産活性が高い。本発明では、この中期から後期の培養
菌体をそのまま、あるいは分離集菌して反応に用いるの
が望ましい。
【0027】ベンゼンジカルボン酸ジエステルまたはそ
の誘導体からその相当するモノエステル体を生成するに
は、上記の培養菌体、菌体破砕抽出物、またはそれらか
らの精製酵素を用いて行なうことができる。菌体、抽出
物、粗精製、精製酵素等は真空乾燥、凍結乾燥、アセト
ン、エタノール等による処理等、酵素が失活しない条件
で乾燥し、保存することができ、使用に際して適量をバ
ッファーに溶解または懸濁する。
【0028】上記の微生物培養物、微生物菌体あるいは
その破砕物、または生成酵素標品を用いてベンゼンジカ
ルボン酸ジエステルおよびその誘導体から相当するモノ
エステル体を生成させる反応は一般の酵素反応と同様に
行なうことができるが、次のような条件を採用すること
が望ましい。
【0029】すなわち、例えば、原料であるベンゼンジ
カルボン酸ジエステルまたはその誘導体2.2gに対し
て菌体を乾燥重量で2g 〜200g、または酵素標品
105 〜5×106 ユニットを用い、pHを5〜1
0に調整して10〜45℃で0.5 〜24時間反応さ
せる方法が好適である。pHの調整方法としては公知の
緩衝剤がなんら制限なく用いられる。
【0030】本発明のもうひとつの特徴は、反応系中に
少量の有機溶媒、好ましくは水と任意の割合で相溶する
水相溶性の有機溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、メチルアルコール、エチル
アルコール、ジメチルスルホキシドを反応系中の反応液
100重量部に対して0.1 〜20重量部、好ましく
は0.5 〜5重量部共存させることによりジエステル
のジカルボン酸への分解が最小限に押さえられることで
ある。
【0031】また、界面活性剤を反応系中の反応液10
0重量部に対して、0.01〜5重量部添加した場合に
も同様の効果が認められる。界面活性剤としては、トリ
トン−X100(シグマ社)やツィーン80(シグマ社
)、ノニポール55(三洋化成工業)等の非イオン系界
面活性剤や、ダイレックス(日本油脂)、トラックス(
日本油脂)等の陰イオン系界面活性剤が好適に用いられ
る。
【0032】本発明はベンゼンジカルボン酸ジエステル
またはその誘導体、前記誘導体を対応するモノエステル
またはその誘導体に加水分解し得る酵素含有物および反
応生成物であるベンゼンジカルボン酸モノエステルまた
はその誘導体の3成分を含む反応系から反応生成物の一
部または全部を除去して加水分解反応を行なうことを特
徴とするものである。
【0033】一般に単一反応槽による酵素反応において
は、生成したモノカルボン酸体が水溶性であるため、反
応の進行と共にモノカルボン酸体濃度が高くなって酵素
阻害を示すようになる。例えば、ロドトルラ・ミヌータ
(Rhodotorula minuta、ATCC1
0658)の菌体を用いた場合は、生産物阻害の著しい
モノカルボン酸体濃度は2〜4%以上であり、従って実
質上、原料基質濃度は4%以上で用いることはできず、
1バッチ当りの反応量が限定されてしまう。このような
ケースも反応系からモノカルボン酸体の一部または全部
を連続的または半連続的(間歇的)に抜き出して、必要
量の原料基質を反応槽に添加するという方法で行なえば
、酵素の生産物による阻害を避けることができ、長時間
活性を保つことができる。
【0034】反応系から反応生成物であるベンゼンジカ
ルボン酸モノエステルまたはその誘導体の一部または全
部を除去する手段は特に限定されず公知の手段が採用で
きる。一般に好適に採用される代表的な手段を例示すれ
ば、図1に示すフローが好ましい。ベンゼンジカルボン
酸ジエステルまたはその誘導体および酵素含有物は原料
基質溜槽(4)で必要な濃度となるように調整し、反応
槽(1)に導き、該反応槽で加水分解反応を行ない、ベ
ンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導体を生
成する。上記3成分を含む反応系は連続的または間歇的
にポンプ(5)で膜ろ過器(2)に導き、ろ過膜を通過
するベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導
体の一部または全部を透過液受槽(3)に分離し、該反
応生成物の一部または全部を分離した残部は反応槽(1
)に循環供給する。上記反応生成物の一部または全部を
反応系から取り出すことにより反応槽(1)内の反応生
成物濃度は低下し、酵素が阻害をうけるのを避けうるた
め加水分解活性を長時間保つことができる。
【0035】また本発明にあっては、上記膜ろ過器を反
応槽と区別して設ける必要性は絶対的なものではなく、
例えば反応槽から反応液を導き出す出口に膜ろ過設備を
設ける手段、反応槽を透過膜で区切り反応槽と透過液受
槽を一体とする手段もしばしば有効な反応生成物の分離
手段として採用できる。更にまた複数個の反応槽を設け
てバッチ方式の反応を半連続式に行なうこともできる。
【0036】ろ過膜は微生物菌体、酵素組成物、固定化
酵素および反応原料であるジエステル体化合物(これは
水に不溶性である)を透過せず、モノエステル体を透過
する材料からなるものであればもよく、その形状は任意
であり、例えば円筒型、スパイラル型、平膜型、ホロフ
ァイバー型が用いられる。
【0037】これらのろ過器の内部に所望の透過流速が
得られるように適当な圧力(0.5 〜2kg/cm2
 )をかけて反応混合物を流し、再び反応槽に返送する
。ろ過膜を透過した液中には目的のモノエステル体が含
まれる。反応槽中の原料であるジエステル体化合物はほ
とんど水に不溶性であるので、過剰量を反応開始時に入
れておくこともできるし、反応中に減少した分だけを補
給していくこともできる。
【0038】生成物であるモノエステル体は反応液pH
を中性〜アルカリ性(pH7〜9)に保てば、塩となっ
て水に可溶となり、膜を透過することができる。酵素は
一般に反応生産物の阻害を受けやすいが、本発明のよう
に膜を通して生産物を取り除いて反応液中の生産物濃度
を酵素阻害のない程度に低く保てば、酵素活性を安定に
保ち、効率的に反応を行なうことができる。
【0039】さらに有利なことは、ろ過膜を通して出て
きた液中には、菌体、たん白、その他固型分の不純物が
少ないことであり、何よりも原料が実質上混入していな
いことである。得られた透過液は、pHを下げることに
より目的の沈澱が高純度に得られる。
【0040】以上本発明の製造方法を微生物由来酵素含
有物の場合について詳述したが、本発明に用いられる酵
素源としては、微生物の他に、動物内臓由来の酵素(エ
ステラーゼおよびリパーゼ)、例えばブタ肝臓もしくは
膵臓由来のカルボキシルエステラーゼ、該エステラーゼ
をアルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ウレタ
ンなどに不溶化結合、包埋したもの、あるいはポリビニ
ルアルコール、セラミックなどに吸着固定化したものが
使用できる。
【0041】動物由来酵素を用いる場合の反応条件も、
一般の酵素反応の条件がそのまま採用できるが、次のよ
うな条件を採用することが好ましい。すなわち、原料で
あるベンゼンジカルボン酸ジエステルまたはその誘導体
1mgに対して、酵素を100〜5000ユニット用い
、pHを5〜10に調整して10〜55℃で0.5 〜
24時間反応させる方法が好適である。pHの調整方法
としては、公知の緩衝剤がなんら制限なく用い得る。
【0042】反応に際しては、微生物由来酵素の場合で
述べたのと同様に、系中に少量の有機溶媒、あるいは界
面活性剤を共存させることによりジエステルのジカルボ
ン酸への分解を最小限に押えることができる。
【0043】
【効果】本発明によれば、ベンゼンジカルボン酸ジエス
テルからモノエステル体を高い反応速度で、選択性よく
、かつ高純度で連続的に製造することが可能である。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
ない。なお、下記の説明中、%は特にことわらないかぎ
り重量を基準としている。
【0045】実施例1:膜ろ過リサイクルバイオリアク
ターによる5−アミノベンゼン−1,3−ジカルボン酸
−モノメチルエステルの製造方法
【0046】培養:YM斜面培地(酵母エキス0.3 
%、麦芽エキス0.3 %、ヘプトン0.5 %、グル
コース1%、寒天2%)に生育したロドトルラ・ミヌー
タ(Rhodotorula minuta)(ATC
C10658)の1白金耳量をPGY培地(グルコース
1%、酵母エキス1%、ペプトン1%、100ml/5
00ml三角フラスコ)に植菌し、30℃にて70時間
振盪培養した。培養液を遠心分離(1,500 ×G、
15分間)し上清液を捨て、残った菌体沈澱物を乾燥重
量で30g/l となるように0.5 Mリン酸バッフ
ァー(pH8.0 )100mlに懸濁し、原料基質で
ある5−アミノベンゼン−1,3−ジカルボン酸−ジメ
チルエステルを3g 添加し、図1に示す反応槽(1)
 中で35℃において撹拌しながら反応を開始した。
【0047】30分後より反応液の循環を開始し、1時
間後より膜内を加圧(0.4 〜0.6kg/cm2 
)して透過液を1時間当り約100mlの割合で取り出
した。この反応液量の原料速度と同じ速度で、原料基質
1%懸濁液(pH 8.0、0.5 Mリン酸バッファ
ー)を連続的に添加した。反応液を透過させるろ過膜(
2)は、カーボセップM14(Carbosep  M
14、住友重機エンバイロテック(株))で膜面積73
cm2 、円筒型クロスフローろ過機である。反応液の
送液は(5)のチューブポンプで行なった。基質添加は
反応8時間まで行ない、以後2時間はバッファーのみ添
加し、生産物の回収を行なった。また、対照実験として
反応液膜ろ過リサイクルを行なわない単一反応槽のみで
行なった。
【0048】これらの結果を第1表に示す。本発明によ
る膜ろ過リサイクル法によれば、生産物収得量は格段に
高く、酵素安定性にも優れていることが明らかである。
【0049】
【表1】
【0050】実施例2 実施例1と同じ方法で培養、調製したロドトルラ・ミヌ
ータの菌体を用いて、実施例1と同じ装置を用いて原料
基質を各種ベンゼンジカルボン酸ジエステルに代えて行
なった結果を第2表に示す。第2表によっても、本発明
による方法の有利性が明らかである。
【0051】
【表2】
【0052】実施例3 栄養寒天斜面培地(ブイヨン寒天斜面培地)に生育した
シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomona
s aeruginosa)(ATCC15442)の
1白金耳量をブレイン・ハート・インフュージョン培地
(ディフコ社製、100ml/500ml三角フラスコ
)に植菌し、32℃にて24時間振盪した。この培養液
400mlを図1に示す反応槽(1)に入れ、ろ過器に
循環させて液量を100mlにまで濃縮した。これにリ
ン酸二カリウムを1.7g、5−アミノベンゼン−1,
3−ジカルボン酸−ジメチルエステル3g を添加し、
35℃で反応を開始した。その後実施例1と同じ方法で
原料基質を添加、ろ過を行ないながら8時間反応した。 その後2時間バッファーのみを循環し、生産物をろ液中
に回収した。原料基質の総添加量は10.35gであっ
た。その結果を第3表に示す。
【0053】
【表3】
【0054】実施例4 栄養寒天斜面培地(ブイヨン寒天斜面培地)に生育した
グルコノバクター・エスピー(Gluconobact
er sp.) (ATCC43983)の1白金耳量
をマンニトール2.5 %、酵母エキス1.0 %、ペ
プトン1.0 %を含む培地(100ml/500ml
三角フラスコ)に植菌し、35℃にて24時間振盪した
。この培養液400mlを用いて実施例3と同じ方法で
膜ろ過バイオリアクターにて反応を行ない、第4表に示
す結果を得た。
【0055】
【表4】
【0056】実施例5 酵母菌体ロドトルラ・ミヌータを実施例1の方法で培養
し、遠心分離して得られた菌体湿重量10g に蒸留水
10mlを加え、さらに3% (W/V)アルギン酸ナ
トリウム溶液75mlを加え撹拌する。これを内径1m
mのシリコンチューブを通してペリスタポンプにより0
.1 M  CaCl2 溶液中に滴下し、ビーズ状の
菌体固定化物を得た。このビーズ状固定化物を100m
lも0.5 Mリン酸バッファー(pH8.0 )中に
入れ、5−アミノベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジメ
チルエステル3g を添加し、図1に示す反応槽(1)
中で35℃において撹拌しながら反応を開始した。1時
間後より反応液をろ過器に通し、実施例1と同じ方法で
原料基質を添加しつつ、透過液を採取した。8時間反応
後、さらに2時間バッファーのみを添加しながら透過液
を取り、反応生成物を回収した。その結果を第5表に示
す。
【0057】
【表5】
【0058】実施例6 ブタ肝臓エステラーゼ(シグマ社製、E3128)20
ml(12万ユニット)に加熱溶解し、45℃に保った
2%κ−カラギーナンの0.9 %食塩水溶液40ml
を加え混合後、内径1mmのシリコンチューブを通して
0.3 M  KCl溶液(4℃)中に滴下しビーズ状
の酵素固定化物を得た。これを100mlの0.5 M
リン酸バッファー(pH8.0 )中に入れ、5−アミ
ノベンゼン−1,3−ジカルボン酸ジメチルエステル3
g を添加し、図1に示す反応槽(1)中で35℃にお
いて撹拌しながら反応を開始した。反応1時間後より反
応液を膜ろ過器(2)に通し、実施例1と同じ方法で原
料基質を添加しつつ、ろ過液を採取した。8時間反応後
、さらに2時間バッファーのみを添加しながら透過液を
とり反応生成物を回収した。その結果を第6表に示す。
【0059】
【表6】
【0060】固定化酵素を用いると、単一反応槽におい
て、酵素溶液を用いるよりも反応収率、酵素安定性に優
れた結果を与えるが、膜ろ過器バイオリアクター法では
格段に収率、酵素安定性が増すことが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜ろ過バイオリアクターの説明図である。
【符号の説明】
1  反応槽 2  膜ろ過器 3  透過液受槽 4  原料基質溜槽。 5  チューブポンプ 6  冷却器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ベンゼンジカルボン酸ジエステルまた
    はその誘導体を、対応するモノエステルまたはその誘導
    体に加水分解し得る酵素含有物の存在下に、加水分解を
    行ないベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘
    導体を製造するに際し、該ベンゼンジカルボン酸ジエス
    テルまたはその誘導体、酵素含有物およびベンゼンジカ
    ルボン酸モノエステルまたはその誘導体を含む反応系か
    らベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはその誘導体
    の一部または全部を除去し加水分解反応を行なうことを
    特徴とするベンゼンジカルボン酸モノエステルまたはそ
    の誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】  反応系からベンゼンジカルボン酸モノ
    エステルまたはその誘導体をろ過膜を用いて除去する請
    求項1に記載の製造方法。
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