JP3124828B2 - 車両用エンジンの潤滑油供給装置 - Google Patents

車両用エンジンの潤滑油供給装置

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JP3124828B2 JP04156027A JP15602792A JP3124828B2 JP 3124828 B2 JP3124828 B2 JP 3124828B2 JP 04156027 A JP04156027 A JP 04156027A JP 15602792 A JP15602792 A JP 15602792A JP 3124828 B2 JP3124828 B2 JP 3124828B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、オイルポンプからエ
ンジンに至る油通路を開閉可能とする油量調整弁を設け
た車両用エンジンの潤滑油供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記潤滑油供給装置には、従来、次のよ
うに構成されたものがある。
【0003】即ち、エンジンにより駆動されるオイルポ
ンプが設けられ、このオイルポンプから吐出される潤滑
油が電磁式の油量調整弁を介してエンジン内に供給され
る。そして、上記油量調整弁を所定ピッチで繰り返し開
閉させることにより、上記エンジンの各作動状態に見合
う量の潤滑油が精度よく供給されるようになっている。
また、上記オイルタンク内の潤滑油の液面は上記エンジ
ンよりも高位置にされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来構
成においては、次のような問題がある。
【0005】即ち、第1に、エンジンを停止させた状態
で車両を長時間放置すると、エンジンよりも高位置とさ
れたオイルタンク内の潤滑油が、上記油量調整弁内や、
これより上流側にある潤滑油が上記油量調整弁からわず
かづつ洩れて、エンジン内に入り込むおそれがある。
に、上記油量調整弁を常開式にした場合には、上記エン
ジンの停止に伴ない開弁動作させられる上記油量調整弁
を通り、上記オイルタンク内の潤滑油が上記エンジン内
に入り込むこととなる。
【0006】そして、上記したように、エンジン内に潤
滑油が入り込むと、潤滑油の消費が過大となったり、点
火プラグが潤滑油でぬれて始動性が低下するという不都
合を生じる。
【0007】また、第2に、上記の場合、潤滑油がエン
ジン内に入り込むことを防止する手段がコンパクトに得
られるようにすることが望まれる。
【0008】また、第3に、上記の場合、オイルタンク
内の潤滑油の圧力がオイルポンプを介し油量調整弁に加
えられて、この油量調整弁における上記した潤滑油の洩
れが助長されるおそれがある。
【0009】しかも、上記油量調整弁からオイルポンプ
の吸入側に向って延びる油戻し通路を設け、上記油量調
整弁により油通路を閉じたとき、上記オイルポンプから
油量調整弁に供給された潤滑油を上記油戻し通路を通し
上記オイルポンプの吸入側に戻すようにした場合には、
エンジンを停止させたとき、上記油戻し通路を介しても
上記オイルタンク内の潤滑油の圧力が上記油量調整弁に
加えられ、上記した潤滑油の洩れが更に助長されるおそ
れもある。
【0010】
【発明の目的】この発明は、上記のような事情に注目し
てなされたもので、エンジンを停止させた状態で車両を
長時間放置したような場合に、油量調整弁が常開式であ
としても、オイルタンクからの潤滑油がエンジンに入
り込まないようにして、このエンジンの始動性等が良好
に保たれるようにし、かつ、潤滑油がエンジン内に入り
込むことを防止する手段をコンパクトにできるようにす
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の第1の発明の特徴とするところは、エンジンにより駆
動されるオイルポンプを設けると共に、このオイルポン
プに潤滑油を供給するオイルタンクを設け、このオイル
タンク内の潤滑油の液面を上記エンジンよりも高位置に
し、上記オイルポンプから吐出される潤滑油を上記エン
ジン内に導く油通路を設け、この油通路を開閉させるこ
とにより油量を調整する油量調整弁を設けた場合におい
て、上記油量調整弁を常開式とし、この油量調整弁か
ンジンに至る油通路を開閉可能とする開閉弁を設け、
上記エンジンが作動状態にあるとき、上記開閉弁が上記
油通路を開き、同上エンジンが停止状態にあるとき、同
上開閉弁が、この開閉弁よりも上流側における上記油通
路での潤滑油の圧力に対抗してこの油通路を閉じるよう
にした点にある。
【0012】また、第2の発明の特徴とするところは、
第1の発明において、開閉弁を油量調整弁に一体的に設
けた点にある。
【0013】更に、第3の発明の特徴とするところは、
油量調整弁からオイルポンプの吸入側に向って延びる油
戻し通路を設け、上記油量調整弁により油通路を閉じた
とき、上記オイルポンプから油量調整弁に供給された潤
滑油を上記油戻し通路を通し上記オイルポンプの吸入側
に戻すようにした場合において、上記オイルポンプから
油量調整弁に至る油通路を開閉可能とする開閉弁と、上
記油戻し通路を開閉可能とする他の開閉弁とを設け、上
記エンジンが作動状態にあるとき、上記各開閉弁が上記
油通路と油戻し通路とを開き、同上エンジンが停止状態
にあるとき、同上各開閉弁が同上油通路と油戻し通路と
を閉じるようにした点にある。
【0014】
【作 用】上記構成による作用は次の如くである。
【0015】第1の発明によれば、エンジン11により
駆動されるオイルポンプ25を設けると共に、このオイ
ルポンプ25に潤滑油22を供給するオイルタンク26
を設け、このオイルタンク26内の潤滑油22の液面を
上記エンジン11よりも高位置にし、上記オイルポンプ
25から吐出される潤滑油22を上記エンジン11内に
導く油通路30,31を設け、この油通路30,31を
開閉させることにより油量を調整する油量調整弁33,
34を設けた場合において、上記油量調整弁33,34
を常開式とし、この油量調整弁33,34からエンジン
11に至る油通路30,31を開閉可能とする開弁4
6を設け、上記エンジン11が作動状態にあるとき、上
記開弁46が上記油通路30,31を開き、同上エン
ジン11が停止状態にあるとき、同上開弁46が、こ
の開閉弁46よりも上流側における上記油通路30,3
1での潤滑油22の圧力に対抗してこの油通路30,3
1を閉じるようにしてある。
【0016】このため、エンジン11の停止状態で自動
二輪車1を長時間放置した場合に、上記油量調整弁3
3,34が開弁していても、この油量調整弁33,34
を通ったオイルタンク26からの潤滑油22が上記油通
路30,31を通ってエンジン11内に入り込むという
ことは上記開弁46によって阻止される。
【0017】また、第2の発明によれば、開弁46を
油量調整弁33,34に一体的に設けてあり、このた
め、これらがコンパクトに構成されている。
【0018】更に、第3の発明によれば、油量調整弁3
3,34からオイルポンプ25の吸入側に向って延びる
油戻し通路51を設け、上記油量調整弁33,34によ
り油通路30,31を閉じたとき、上記オイルポンプ2
5から油量調整弁33,34に供給された潤滑油22を
上記油戻し通路51を通し上記オイルポンプ25の吸入
側に戻すようにした場合において、上記オイルポンプ2
5から油量調整弁33,34に至る油通路30,31の
上流側管30a,31aを開閉可能とする開弁46′
と、上記油戻し通路51を開閉可能とする他の開弁4
6′とを設け、上記エンジン11が作動状態にあると
き、上記各開弁46′,46′が上記油通路30,3
1と油戻し通路51とを開き、同上エンジン11が停止
状態にあるとき、同上各開弁46′,46′が同上油
通路30,31と油戻し通路51とを閉じるようにして
ある。
【0019】このため、エンジン11の停止状態では、
オイルタンク26内の潤滑油22の圧力が、油通路3
0,31や油戻し通路51を通し油量調整弁33,34
に加えられようとすることが上記開弁46によって阻
止される。
【0020】よって、上記潤滑油22の圧力により、前
記した油量調整弁33,34の洩れが助長されるという
不都合の発生が防止される。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。
【0022】(第1、第2の発明の実施例)
【0023】図1から図4は、第1、第2発明の実施例
を示している。
【0024】図2において、符号1は鞍乗型車両である
自動二輪車で、図中矢印Frはその前方を示し、下記す
る左右とは、この前方に向っての方向をいうものとす
る。
【0025】上記自動二輪車1の車体フレーム2にはそ
の前部にフロントフォーク3を介して前輪4とハンドル
5が支持され、後部にはリヤアーム7を介して後輪8が
支持されている。また、同上車体フレーム2の後部上面
にはシート9が取り付けられている。
【0026】図1から図3において、上記車体フレーム
2にはエンジン11が支持されており、このエンジン1
1は上記後輪8を駆動する。このエンジン11は予圧縮
式の2サイクル2気筒エンジンで、クランクケース12
と、このクランクケース12から前上方に向って突出す
る左シリンダ13と、同上クランクケース12から前下
方に向って突出する右シリンダ14とを備えている。
【0027】上記左シリンダ13に対応して上記クラン
クケース12の後側に吸気ポートが形成され、この吸気
ポートにリード弁、吸気管16a、および左気化器16
が連設されている。一方、上記右シリンダ14に対応し
て同上クランクケース12の上側に吸気ポートが形成さ
れ、この吸気ポートにリード弁、吸気管17a、および
右気化器17が連設されている。また、18は点火プラ
グ、19は燃料タンク、20は排気管、24は上記右シ
リンダ14用のエアクリーナで、このエアクリーナ24
は上記クランクケース12側に取り付けられている。
【0028】そして、上記エンジン11が作動するとき
には、左気化器16と右気化器17、および各リード弁
を順次通して、外気21がクランクケース12内に向っ
て吸入される。上記外気21には燃料タンク19からの
燃料が上記左気化器16と右気化器17を介し混合さ
れ、この混合気がクランクケース12内で予圧縮され、
これは、左シリンダ13や右シリンダ14内での燃焼に
供される。
【0029】図1と図2において、上記エンジン11内
に潤滑油22を供給する潤滑油供給装置23が設けられ
る。
【0030】この潤滑油供給装置23は往復動式のオイ
ルポンプ(オートルーブポンプ)25を有し、このオイ
ルポンプ25はクランクケース12の右側壁に着脱自在
にねじ止めされている。このオイルポンプ25は上記エ
ンジン11の回転数に同期するようこのエンジン11に
より駆動され、つまり、上記オイルポンプ25はエンジ
ン11の回転数に相応する量の潤滑油22を吐出する。
【0031】前記車体フレーム2の後部には、潤滑油2
2を溜めるオイルタンク26が支持されており、この
イルタンク26内の潤滑油22の液面は上記エンジン1
1よりも高位置とされ、上記オイルタンク26内の潤滑
油22は油供給管27を通し上記オイルポンプ25に供
給される。上記油供給管27は可撓性の樹脂製チューブ
で構成され、この油供給管27の中途部にはオイルフィ
ルター28が介設され、このオイルフィルター28は上
記オイルポンプ25へのゴミ等異物の流入を防止する。
【0032】上記オイルポンプ25から吐出される潤滑
油22を上記エンジン11のクランクケース12内に導
く油通路たる第1油管30と第2油管31が設けられ、
これら第1油管30と第2油管31はいずれも可撓性の
樹脂製チューブで構成されている。そして、上記エンジ
ン11側の端部である上記第1油管30の潤滑油供給口
30cは、左シリンダ13に対応する吸気管16a内に
連通し、第2油管31の潤滑油供給口31cは、右シリ
ンダ14に対応する吸気管17a内に連通している。
【0033】上記第1油管30と第2油管31はそれぞ
れオイルポンプ25側である上流側管30a,31a
と、吸気管16a,17a側である下流側管30b,3
1bとに分割されている。そして、これらの分割端間に
それぞれソレノイドバルブである第1油量調整弁33、
第2油量調整弁34が介設され、これら各油量調整弁3
3,34は共にオイルタンク26よりも低位置に配設さ
れている。これら第1油量調整弁33と第2油量調整弁
34は上記第1油管30と第2油管31をそれぞれ開閉
可能とするものである。この場合、図1と図4とで示す
ように、第1油量調整弁33と第2油量調整弁34は、
前記エアクリーナ24のクリーナケースに取り付けられ
たブラケット35にボルト35aにより着脱自在にねじ
止めされている。なお、図示しないが、上記第1、第2
油量調整弁33,34と、エアクリーナ24との間には
ダンパが介設されている。
【0034】図4において、上記第1油量調整弁33と
第2油量調整弁34につき詳しく説明する。なお、これ
ら両者は互いに同形同大であるため、第1油量調整弁3
3についてのみ説明する。
【0035】上記第1油量調整弁33(第2油量調整弁
34)は弁ケース36を有している。この弁ケース36
の上部には潤滑油入口37が形成され、同上弁ケース3
6の下端に潤滑油出口38が形成され、また、同上弁ケ
ース36に上記潤滑油入口37を潤滑油出口38に連通
させる油路39が形成されている。上記油路39の中途
部を開閉可能とするゴム製の弾性弁体40が設けられ、
この弁体40は環状の磁性体41に嵌着されている。ま
た、上記油路39を開く方向に弁体40を付勢するばね
42が設けられている。
【0036】上記磁性体41に対応して弁ケース36内
にソレノイド43が設けられている。そして、このソレ
ノイド43をオフ(OFF)すれば、上記ばね42によ
り弁体40が付勢されて図示するように油路39が開か
れ、つまり、上記第1油量調整弁33(第2油量調整弁
34)が開動作することとされていて、第1油量調整弁
33(第2油量調整弁34)は常開式とされている。
【0037】一方、上記ソレノイド43をオン(ON)
すれば、上記ばね42に抗し磁性体41が弁体40を伴
ってソレノイド43側に引き寄せられ、上記弁体40が
油路39を閉じ、つまり、同上第1油量調整弁33(第
2油量調整弁34)が閉動作する。
【0038】上記弁ケース36の上端部には潤滑油戻し
口45が形成され、この潤滑油戻し口45と上記油路3
9との間に上記弁体40が介在している。そして、前記
したようにソレノイド43をオフして弁体40が油路3
9を開いたときには、図示するようにこの弁体40が上
記潤滑油戻し口45を閉じる。
【0039】一方、前記したようにソレノイド43をオ
ンして弁体40が油路39を閉じたときには、この弁体
40が上記潤滑油戻し口45を開き、この潤滑油戻し口
45に上記潤滑油入口37が連通するようになってい
る。
【0040】上記第1、第2油量調整弁33,34の各
潤滑油出口38には、開閉弁46が、それぞれ直接的に
着脱自在にねじ止めされて、これら各開閉弁46は第
1、第2油量調整弁33,34に一体的に設けられてい
る。
【0041】即ち、この開閉弁46は上記潤滑油出口3
8に着脱自在にねじ止めされる弁本体47を有し、この
弁本体47には上記潤滑油出口38に連なる油路48が
形成されている。また、この油路48を開閉可能とする
ボール49が設けられ、かつ、油路48を閉じる方向に
上記ボール49を付勢するばね50が設けられている。
【0042】そして、潤滑油出口38側の潤滑油22の
油圧が所定値以上になったとき、この潤滑油22がばね
50に抗してボール49を押し、油路48を開くように
なっている。
【0043】図1と図4において、上記潤滑油入口37
に前記第1油管30(第2油管31)の上流側管30a
(上流側管31a)が連結され、上記潤滑油出口38に
上記した開閉弁46を介し同上第1油管30(第2油管
31)の下流側管30b(下流側管31b)が連結され
ている。
【0044】また、上記第1油量調整弁33と第2油量
調整弁34の各潤滑油戻し口45,45から前記オイル
ポンプ25の吸入側に向って延びる油戻し通路51が設
けられている。この油戻し通路51は上記各潤滑油戻し
口45,45から延出する第1戻し管52、第2戻し管
53を有し、これらの各延出端はT形ジョイント55で
合流させられている。また、このT形ジョイント55か
ら合流戻し管56が延び、この延出端である戻し口56
aが前記オイルタンク26の上部に連結されている。
【0045】なお、上記の場合、T形ジョイント55に
代えて、Y形ジョイントを用いてもよい。この場合に
は、Y形ジョイントを倒立させ、その左右各下端に上記
各戻し管52,53の延出端を連結させ、同上Y形ジョ
イントの上端に合流戻し管56を連結させる。このよう
にすれば、上記各戻し管52,53を流れる潤滑油22
の流量が互いにほぼ同じとなり、かつ、Y形ジョイント
で円滑に合流することから、潤滑油22の圧力損失も小
さくて済む。また、上記油戻し通路51には油供給管2
7が含まれる。
【0046】図1と図4において、上記エンジン11の
作動状態において、上記第1油量調整弁33と第2油量
調整弁34の各ソレノイド43をオフにすると、図4で
示したように、前記第1油量調整弁33と第2油量調整
弁34の各油路39が開かれ、一方、各潤滑油戻し口4
5が閉じられる。
【0047】すると、上記エンジン11に連動するオイ
ルポンプ25から吐出された潤滑油22は、第1油管3
0と第2油管31の各上流側管30a,31aを通し、
潤滑油入口37に供給された後、図4中矢印Aで示すよ
うに潤滑油出口38側に流れる。そして、この潤滑油2
2が、その圧力でボール49を押して油路48を開き、
第1油管30や第2油管31の各下流側管30b,31
bを通しエンジン11内に向って流れ、この潤滑油22
は前記混合気と共にエンジン11内に供給される。
【0048】一方、上記各ソレノイド43をオンにする
と、前記したように各油路39が閉じられ、一方、潤滑
油戻し口45が開かれる。すると、上記オイルポンプ2
5から潤滑油入口37に供給された潤滑油22は、図4
中矢印Bで示すように潤滑油戻し口45に流れる。そし
て、この潤滑油22は第1戻し管52と第2戻し管5
3、および合流戻し管56を通してオイルタンク26に
戻される。
【0049】上記第1油量調整弁33と第2油量調整弁
34の開閉動作を制御する電子的な制御手段が設けられ
ている。
【0050】即ち、この制御手段により、上記第1油量
調整弁33と第2油量調整弁34の各ソレノイド43が
互いに同期するよう自動的に繰り返しオフ、オンされ
て、これら第1油量調整弁33と第2油量調整弁34が
上記したように開閉動作し、これにより、オイルポンプ
25から吐出される潤滑油22が、上記エンジン11内
と、油戻し通路51を通しオイルタンク26内とに交互
に導かれるようになっている。
【0051】また、この際、上記第1油量調整弁33と
第2油量調整弁34のソレノイド43の各オフの期間は
一定とされ、その一方、エンジン11の回転数、左気化
器16と右気化器17の各スロットル開度、および潤滑
油22の温度等に基づいて、上記各ソレノイド43の各
オンの期間が長短調整され、これにより、エンジン11
の各作動状態に見合う量の潤滑油22が精度よく供給さ
れるようになっている。
【0052】前記エンジン11を停止状態にしたときに
は、オイルポンプ25も停止状態となる。このときに
は、潤滑油出口38内の潤滑油22の圧力は低下するた
め、開閉弁46におけるボール49は、ばね50に付勢
されて、上記開閉弁46よりも上流側における上記上流
側管30a,31aでの潤滑油22の圧力に対抗して上
油路48を閉じ、つまり、第1油管30と第2油管3
1を閉じる。
【0053】このため、エンジン11の停止状態で自動
二輪車1を長時間放置した場合に、仮に、オイルタンク
26内の潤滑油22が油量調整弁33,34からその下
流側に洩れたとしても、この潤滑油22が上記第1、第
2油管30,31を通ってエンジン11内に入り込むこ
とは上記開閉弁46によって阻止される。
【0054】よって、潤滑油22で点火プラグ18がぬ
れるというようなことが防止されて、潤滑油22の消費
が過大になることが防止され、また、エンジン11の始
動性が良好に保たれる。
【0055】図4において、第1油量調整弁33と第2
油量調整弁34の各弁ケース36の上部には油路39の
上端を上記弁ケース36の上方に開放する空気抜き孔5
8が形成されている。また、この空気抜き孔58を開閉
自在に閉じるボルト状のプラグ59が上記空気抜き孔5
8にねじ付けられている。
【0056】そして、上記第1油量調整弁33と第2油
量調整弁34をエンジン11に組み付けた時や、修理等
において、上記プラグ59を緩めて空気抜き孔58を開
放すれば、上記弁ケース36内の空気抜きが簡単にでき
る。
【0057】図1において、前記したようにオイルポン
プ25、第1油量調整弁33、および第2油量調整弁3
4は共にエンジン11の左右いずれか一側たる右側に設
けられて、互いに接近させられている。
【0058】よって、オイルポンプ25から各油量調整
弁33,34に至る各第1、第2油管30,31が短く
て済むことから、この各第1、第2油管30,31の潤
滑油22内に気泡が存在するとしても、この存在量は少
なく抑えられ、上記各第1、第2油管30,31におけ
る油圧の変動に伴う容積変動が小さく抑えられている。
【0059】また、上記第1、第2油管30,31の容
積が小さいため、この部分における圧力変動で、上記第
1、第2油管30,31が変形して容積変化するとき、
この容積変化が小さく抑えられる。
【0060】このようにして、上記オイルポンプ25の
潤滑油22の吐出に、各油量調整弁33,34の開閉動
作がタイミングよく対応させられており、この結果、エ
ンジン11への潤滑油22の供給量の精度向上が図られ
ている。
【0061】上記の場合、各油量調整弁33,34の潤
滑油出口38,38よりも、エンジン11に対する第1
油管30と第2油管31の各潤滑油供給口30c,31
cの方が高い位置に設けられている。
【0062】このため、エンジン11を停止させた状態
で自動二輪車1を長時間放置した際、各油量調整弁3
3,34から潤滑油22が洩れたとしても、この潤滑油
22が上記第1油管30や第2油管31の各潤滑油供給
口30c,31cを通ってエンジン11内に入り込むこ
とは防止される。
【0063】このようにして、潤滑油22の消費が過大
になることが防止されている。また、潤滑油22で点火
プラグ18がぬれることも防止されて、エンジン11の
始動性が良好に保たれている。
【0064】また、前記したように各油量調整弁33,
34により第1、第2油管30,31を閉じたときに
は、オイルポンプ25から同上各油量調整弁33,34
の潤滑油入口37に供給された潤滑油22が潤滑油戻し
口45を通しオイルタンク26に戻されるようになって
おり、また、上記潤滑油戻し口45は各油量調整弁3
3,34の上端部に配設されている。
【0065】このため、エンジン11に供給されるまで
の潤滑油22内に空気が入り込んだとしても、各油量調
整弁33,34では、上記潤滑油22内の空気はその浮
力で上昇してこれら油量調整弁33,34の上端部の潤
滑油戻し口45に達することとなる。よって、上記潤滑
油22がオイルタンク26に戻されるときには、この潤
滑油22は上記潤滑油戻し口45に達した空気を伴って
上記オイルタンク26に戻り、ここで、上記空気は潤滑
油22から分離される。
【0066】即ち、上記したように潤滑油22に空気が
入り込んだとしても、これはオイルタンク26に戻され
たときに分離され、よって、各油量調整弁33,34を
通してエンジン11に供給される潤滑油22の供給量の
精度は良好に保たれる。
【0067】前記したようにオイルポンプ25と油量調
整弁33,34とは共にエンジン11側に取り付けられ
ている。
【0068】この場合、上記エンジン11は剛性が高い
ものであるため、上記オイルポンプ25、油量調整弁3
3,34、およびこれらを連結させる第1、第2油管3
0,31の互いの組み立て精度が向上する。また、上記
エンジン11にオイルポンプ25と油量調整弁33,3
4とを組み付けた状態でこれらを一体的に自動二輪車1
の車体フレーム2側に取り付けることができることか
ら、潤滑油供給装置23の組み立ての作業性も向上す
る。
【0069】図1において、オイルタンク26に対し開
口する合流戻し管56の戻し口56aはオイルタンク2
6の上部に配設されている。つまり、この戻し口56a
はオイルタンク26内の潤滑油22の液面よりも上方に
位置している。このため、エンジン11の停止に伴いオ
イルポンプ25が停止したときに、オイルタンク26内
の潤滑油22が上記合流戻し管56を通って第1油量調
整弁33や第2油量調整弁34側に逆流しようとするこ
とが防止され、つまり、エンジン11内に入り込もうと
することが防止されている。
【0070】なお、上記オイルポンプ25、第1油量調
整弁33、および第2油量調整弁34はエンジン11の
左側に設けてもよい。
【0071】また、合流戻し管56の戻し口56aはオ
イルタンク26の底部に連結してもよく、図1中、符号
56a′で示すようにオイルフィルター28の中途部に
連結してもよく、同上図1中、符号56a″で示すよう
にオイルフィルター28よりも上流側の油供給管27に
連結してもよい。ただし、各油量調整弁33,34から
戻される潤滑油22はいずれにしてもオイルフィルター
28でろ過された後、オイルポンプ25に送り込まれる
ようになっている。
【0072】また、上記開閉弁46は、ソレノイド等の
アクチュエータによって開閉駆動されるものであっても
よい。
【0073】(第3の発明の実施例)
【0074】図5は、第3の発明の実施例を示してい
る。
【0075】これによれば、第1油量調整弁33と第2
油量調整弁34の各潤滑油出口38には開閉弁46は設
けられていない。一方、第1油管30と第2油管31の
各上流側管30a,31aの上流端には、それぞれ前記
実施例の開閉弁46と同構成の開閉弁46′が設けられ
ている。
【0076】また、上記油戻し通路51を開閉可能とす
る他の開閉弁46′が設けられている。そして、上記エ
ンジン11が作動状態にあるとき、上記各開閉弁
6′,46′が上記第1、第2油管30,31と油戻し
通路51とを開き、同上エンジン11が停止状態にある
とき、同上第1、第2油管30,31と油戻し通路51
とを閉じるようになっている。
【0077】このため、エンジン11の停止状態では、
オイルタンク26内の潤滑油22の圧力が、第1、第2
油管30,31や油戻し通路51を通し油量調整弁3
3,34に加えられようとすることが上記開閉弁46′
によって阻止される。よって、上記潤滑油22の圧力に
よって、前記した油量調整弁33,34の洩れが助長さ
れることはなく、この場合にも、オイルタンク26内や
油戻し通路51内の潤滑油22がエンジン11内に入り
込むことが防止される。
【0078】他の構成や作用は、前記第1、第2発明の
実施例と同様である。このため、図に共通の符号を付し
てその説明を省略する。
【0079】(第3の発明の他の実施例)
【0080】図6は、第3の発明の他の実施例を示して
いる。
【0081】これによれば、第1、第2油量調整弁3
3,34と第1、第2戻し管52,53との間にそれぞ
開閉弁46′,46′が設けられている。
【0082】ところで、前記図5において、第1油量調
整弁33と第2油量調整弁34の各ソレノイド43をオ
ンにして、オイルポンプ25から吐出された潤滑油22
を、第1戻し管52や第2戻し管53などの油戻し通路
51を通してオイルタンク26に戻すときには、通常、
上記第1戻し管52と第2戻し管53における潤滑油2
2に圧力差が生じる。この場合、上記第1、第2戻し管
52,53を通して、第1、第2油量調整弁33,34
の一方側から他方側に圧力が伝えられ、各油量調整弁3
3,34における各流量精度が低下するおそれを生じ
る。
【0083】そこで、前記したように、第1、第2油量
調整弁33,34と第1、第2戻し管52,53との間
にそれぞれ開閉弁46′,46′を設けたのであり、こ
のため、上記第1、第2油量調整弁33,34の一方側
から他方側に圧力が伝わろうとすることが、上記開閉弁
46′,46′によって抑制され、上記第1、第2油量
調整弁に所定の流量精度が確保される。
【0084】また、上記各開閉弁46,46′は、上記
第1、第2油量調整弁33,34における潤滑油戻し口
45の下流側の直後に設けられている。つまり、図4に
おいて、第1、第2油量調整弁33,34に開閉弁46
を一体的に設けたのと同じように各開閉弁46′,4
6′が設けられている。
【0085】このため、上記第1、第2油量調整弁3
3,34から各開閉弁46′,46′に至る間に、樹脂
チューブ製の第1、第2戻し管52,53が存在しない
ため、潤滑油22の圧力によるホース膨張の影響を受け
ずに、所定の流量精度が確保される。
【0086】なお、上記各開閉弁46′,46′の開弁
圧は0.1〜0.5Kgf/cmとすることが好ましい。
【0087】一方、第1、第2油管30,31の各上流
側管30a,31aの中途部には、それぞれ他のオイル
フィルター61,61が介設されている。これら他のオ
イルフィルター61,61は、第1、第2油量調整弁3
3,34へのゴミ等異物の流入を防止し、これにより、
上記第1、第2油量調整弁33,34の正確な作動が確
保される。
【0088】上記各他のオイルフィルター61のエレメ
ントの網目は、前記オイルフィルター28に比べて粗く
されている。
【0089】ところで、上記オイルフィルター28は他
の車両構成部品との関係で広い空間に設けることがで
き、よって、このオイルフィルター28のろ過面積は十
分大きくすることができる。
【0090】一方、上記オイルポンプ25と第1、第2
油量調整弁33,34とは、各機器をコンパクトに配置
する必要上、互いに接近している。このため、これらを
連結させる第1、第2油管30,31の各上流側管30
a,31aの長さを十分に採ることはできない。よっ
て、これら各上流側管30a,31aに介設した上記各
他のオイルフィルター61のろ過面積を十分に大きくは
できないことから、小形のものとされている。
【0091】この結果、上記オイルフィルター28と他
のオイルフィルター61の各エレメントをほぼ同じ寸法
の網目としたときには、各エレメントが目詰りに至る期
間は、上記オイルフィルター28に対し、他のオイルフ
ィルター61の方が短くなる。
【0092】そこで、前記したように、上記各他のオイ
ルフィルター61のエレメントの網目を粗くして目詰り
しにくくすることにより、目詰りに至る期間がオイルフ
ィルター28の場合とほぼ同じとなるようにしてある。
【0093】他の構成や作用は、前記第3の発明の実施
例と同様である。このため、図に共通の符号を付して、
その説明を省略する。
【0094】なお、上記他のオイルフィルター61を設
けたことと、これとオイルフィルター28とのエレメン
トについての関係については、前記第1、第2の発明の
実施例に適用してもよい。
【0095】
【発明の効果】第1の発明によれば、エンジンにより駆
動されるオイルポンプを設けると共に、このオイルポン
プに潤滑油を供給するオイルタンクを設け、このオイル
タンク内の潤滑油の液面を上記エンジンよりも高位置に
し、上記オイルポンプから吐出される潤滑油を上記エン
ジン内に導く油通路を設け、この油通路を開閉させるこ
とにより油量を調整する油量調整弁を設けた場合におい
て、上記油量調整弁を常開式とし、この油量調整弁か
ンジンに至る油通路を開閉可能とする開閉弁を設け、
上記エンジンが作動状態にあるとき、上記開閉弁が上記
油通路を開き、同上エンジンが停止状態にあるとき、同
開閉弁が、この開閉弁よりも上流側における上記油通
路での潤滑油の圧力に対抗してこの油通路を閉じるよう
にしてあるため、エンジンの停止状態で車両を長時間放
置した場合に、上記油量調整弁が開弁していても、この
油量調整弁を通ったオイルタンクからの潤滑油が上記油
通路を通ってエンジン内に入り込むということは上記開
閉弁によって阻止される。
【0096】よって、潤滑油の消費が過大になることが
防止される。また、潤滑油で点火プラグがぬれることも
防止されて、エンジンの始動性が良好に保たれる。
【0097】また、第2の発明によれば、開閉弁を油量
調整弁に一体的に設けたため、これらがコンパクトに構
成され、また、これらを一体物として組み付けられるこ
とから、その組み付けの作業性が向上する。
【0098】更に、第3の発明によれば、油量調整弁か
らオイルポンプの吸入側に向って延びる油戻し通路を設
け、上記油量調整弁により油通路を閉じたとき、上記オ
イルポンプから油量調整弁に供給された潤滑油を上記油
戻し通路を通し上記オイルポンプの吸入側に戻すように
した場合において、上記オイルポンプから油量調整弁に
至る油通路を開閉可能とする開閉弁と、上記油戻し通路
を開閉可能とする他の開閉弁とを設け、上記エンジンが
作動状態にあるとき、上記各開閉弁が上記油通路と油戻
し通路とを開き、同上エンジンが停止状態にあるとき、
同上油通路と油戻し通路とを閉じるようにしたため、エ
ンジンの停止状態では、オイルタンク内の潤滑油の圧力
が油通路や油戻し通路を通し油量調整弁に加えられよう
とすることが上記開閉弁によって阻止される。
【0099】よって、上記潤滑油の圧力により、前記し
た油量調整弁の洩れが助長されることが防止され、この
場合にも、オイルタンク内や油戻し通路内の潤滑油がエ
ンジン内に入り込むことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1、第2の発明の実施例で、図2の部分拡大
図である。
【図2】第1、第2の発明の実施例で、自動二輪車の全
体側面図である。
【図3】第1、第2の発明の実施例で、エンジンの正面
図である。
【図4】第1、第2の発明の実施例で、油量調整弁の縦
断面図である。
【図5】第3の発明の実施例で、図1に相当する図であ
る。
【図6】第3の発明の他の実施例で、図1に相当する図
である。
【符号の説明】
1 自動二輪車(車両) 2 車体フレーム 11 エンジン 12 クランクケース 13 左シリンダ 14 右シリンダ 18 点火プラグ 22 潤滑油 23 潤滑油供給装置 25 オイルポンプ 26 オイルタンク 27 油供給管 30 第1油管(油通路) 30c 潤滑油供給口 31 第2油管(油通路) 31c 潤滑油供給口 33 第1油量調整弁(油量調整弁) 34 第2油量調整弁(油量調整弁) 36 弁ケース 37 潤滑油入口 38 潤滑油出口 45 潤滑油戻し口 46 開閉弁 46′ 開閉弁 51 油戻し通路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンにより駆動されるオイルポンプ
    を設けると共に、このオイルポンプに潤滑油を供給する
    オイルタンクを設け、このオイルタンク内の潤滑油の液
    面を上記エンジンよりも高位置にし、上記オイルポンプ
    から吐出される潤滑油を上記エンジン内に導く油通路を
    設け、この油通路を開閉させることにより油量を調整
    る油量調整弁を設けた車両用エンジンの潤滑油供給装置
    において、 上記油量調整弁を常開式とし、この油量調整弁からエ
    ジンに至る油通路を開閉可能とする開閉弁を設け、上記
    エンジンが作動状態にあるとき、上記開閉弁が上記油通
    路を開き、同上エンジンが停止状態にあるとき、同上開
    閉弁が、この開閉弁よりも上流側における上記油通路で
    の潤滑油の圧力に対抗してこの油通路を閉じるようにし
    た車両用エンジンの潤滑油供給装置。
  2. 【請求項2】 開閉弁を油量調整弁に一体的に設けた請
    求項1に記載の車両用エンジンの潤滑油供給装置。
  3. 【請求項3】 エンジンにより駆動されるオイルポンプ
    を設けると共に、このオイルポンプに潤滑油を供給する
    オイルタンクを設け、上記オイルポンプから吐出される
    潤滑油を上記エンジン内に導く油通路を設け、この油通
    路を開閉させることにより油量を調整する油量調整弁を
    設け、この油量調整弁からオイルポンプの吸入側に向っ
    て延びる油戻し通路を設け、上記油量調整弁により油通
    路を閉じたとき、上記オイルポンプから油量調整弁に供
    給された潤滑油を上記油戻し通路を通し上記オイルポン
    プの吸入側に戻すようにした車両用エンジンの潤滑油供
    給装置において、 上記オイルポンプから油量調整弁に至る油通路を開閉可
    能とする開閉弁と、上記油戻し通路を開閉可能とする他
    の開閉弁とを設け、上記エンジンが作動状態にあると
    き、上記各開閉弁が上記油通路と油戻し通路とを開き、
    同上エンジンが停止状態にあるとき、同上各開閉弁が同
    上油通路と油戻し通路とを閉じるようにした車両用エン
    ジンの潤滑油供給装置。
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