JP3120874U - アスベストの飛散防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築物に吹き付けたアスベストを強制的に剥離、解体することなくアスベストを密閉空間内に閉じ込めて長期的に安定化させ、粉塵の発生を防止する技術を提供する。
【解決手段】壁や屋根、天井等の建築物の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を使用して貼り付け、封じ込める。また、プラスチックシート4には硬質な下地板9を張り合わせて固定するか、下地板9の表面はラス10を介して樹脂モルタル11で塗装処理をし、アスベスト3全体を封じ込め飛散、剥離を防止する。
【選択図】図1
【解決手段】壁や屋根、天井等の建築物の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を使用して貼り付け、封じ込める。また、プラスチックシート4には硬質な下地板9を張り合わせて固定するか、下地板9の表面はラス10を介して樹脂モルタル11で塗装処理をし、アスベスト3全体を封じ込め飛散、剥離を防止する。
【選択図】図1
Description
本考案は、建築物に使用されるアスベストの飛散防止装置に関し、特に、建築物の天井面や壁面等の構築面に吹き付けたアスベストを封じ込めることにより剥離、崩落を防止し、アスベストを長期的に安定化させるためのアスベストの飛散防止装置に関するものである。
天然に産する繊維状ケイ酸塩鉱物を主成分とするアスベストは、耐熱性、耐摩耗性、耐酸性、吸音性、絶縁性等に優れ、かつ、機械的強度を有し、建築物の内装材、外装材、吸音断熱材、耐火被覆材等の建材として広く使用されている。特に、セメント、プラスチック、ゴム等の材料と組み合わせた建材の他に壁面や天井面等の建物構築面にアスベストを吹き付けることが行われている。
アスベストは1970年から1990年にかけて大量に輸入され建築物に使用されているが、建築物の老巧化あるいは経年経過による劣化、更には地震の揺れにともないアスベストの一部あるいは全体が構築面から剥離、崩落し、粉塵として飛散する現象が生じている。アスベストは微小な針状結晶組織のため人が吸引した場合、体内に残留し石綿肺、肺がん、胸膜・腹膜の中皮腫等の健康障害を引き起こし、大きな社会問題となっている。
アスベストは、現在は使用が禁止されているが、古くは体育館、講堂、倉庫、公会堂、駅舎等の不特定多数が集合する大型な建築物に広く使用され、近年では病院や集合住宅、一般住宅にも使用されていることが判明し、使用者や住人の健康問題を考慮して建築物からアスベストを除去する作業が行われている。
前記のようにアスベスト粉塵は健康に悪影響を与えるために、アスベストの除去に際しては除去現場をビニールシートで完全に覆い、外部から隔離してアスベスト粉塵が周辺に飛散することを防止する。その後、アスベスト面に水を噴霧して湿潤させ、防塵マスクや保護衣を着用した作業員がヘラのような工具を使用して削り取っていた。
しかし、この除去手段では作業員の健康問題、多額の経費の必要性、多量のアスベストが排出されることから起きる処理場確保の問題、不法投棄、環境問題等大きな課題が山積している。特に、ビルのボイラー室や機械室等の空間において壁や天井面のアスベストを処理するには、ボイラーや機械装置が使用できず、ビルの空調や運営に支障を生ずるものであった。
効率よく機械的にアスベストを除去する具体的な手段としては特開平11−193643号に示されるアスベスト除去装置を使用する技術が開示されている。この技術は、除去ヘッド12のブラシシール35をアスベスト面に押し当て、泡を噴射しつつ除去ヘッド12を移動させ、回転する切削部材39によりアスベストを削り取るものである。削り取ったアスベストは回収するようになっている。
特開平11−193643号公報
しかし、機械的にアスベストを削り取り、回収するとしても天井面と壁面のような直角状の境界面に切削部材39をあてがうことができず、この部分のアスベストを削り取ることができないものであった。また、天井面に段差がある箇所のアスベストも削り取ることができないものであった。しかも、機械的に処理するために天井面や壁面をも傷つけることがあった
更に、従来、特開2000−79380に示されるアスベストを無害化処理したり、特開2001−317713に示されるアスベストを溶融処理する技術が提供されているが、その前段階としてアスベストを建築物から除去する必要があり、アスベストを周辺に飛散させることなくいかにして建築物から取り去るかに苦慮していた。いずれにしても従来技術ではアスベストを廃棄処分するには剥離、解体することを前提としており、アスベストの飛散を完全に防止することはできないものであった。
本考案は、建築物に吹き付けたアスベストを強制的に剥離、解体することなくアスベストを長期的に封じ込め、アスベスト粉塵が屋内外に飛散することを防止する技術を提供することを目的とするものである。
上記する目的を達成するために本考案アスベストの飛散防止装置は、建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆したものである。
また、本考案アスベストの飛散防止装置は、建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆するとともにプラスチックシート4面を硬質性の下地板9で被覆したものである。
更に、本考案アスベストの飛散防止装置は、建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆するとともにプラスチックシート4面を硬質性の下地板9で被覆し、下地板9にはラス10を介して樹脂モルタル11塗装を施したものである。
本考案によれば建築物の壁や天井、屋根等の構築面1、2に吹き付けられたアスベスト3を吹き付け状態のままで長期間にわたって封じ込めることが可能である。特に、アスベスト3が安定化するのでアスベスト3が構築面1、2から剥離したり崩落して粉塵が飛散することがなく、人の健康を損ねることがない。
特に、アスベスト3全面に張設状態のプラスチックシート4を貼り付けて覆うようにしたので、アスベスト3の被覆作業を簡単に効率よく行うことができ、粉塵の発生を抑制することができる。しかも、プラスチックシート4は透明度が高く、アスベスト3を視認できるので被覆状態を確認できる。その後、硬質の下地板10を張り付けるので、アスベスト3は安定し、崩落することはない。更に、下地板10の表面をモルタル塗装処理するので、室内側を美麗に仕上げることができ、防水、防火対策も完全なものとなる。
また、建築物の視認できる範囲のアスベスト3を完全に被覆することで目につくことがなくなり、建築物の利用者や住人にいたずらに不安感を与えることがない。更には、アスベストを安定化処理することで建築物全体のアスベスト3を安定化でき、安全な生活環境を維持することができる。
本考案の処理技術は、すでにアスベスト3が吹き付けられた構築面1、2を有する既存の建築物に利用可能であるから、劣化して剥離あるいは崩落の危険性を有するアスベスト3に対して封じ込め処理をすることで安心して建築物を利用することができ、また、住まうことができるものである。
総じて本考案のように建築物に吹き付けた既設のアスベストを取り除くことなく安定させ、飛散を防止する特殊な技術は開示されておらず、健康を維持するためには極めて重要性を有するものである。特に、本考案処理技術は、特殊な技術を要することなく建築業者、リフォーム業者が容易に作業することができ、時間を短縮し、少ない費用で既存の多くの建築物に対処することができる有効なものである。
以下図面に従って本考案の実施形態を詳細に説明する。
図1は、建築物に吹き付けたアスベストを飛散防止処理するための本考案の第一の実施形態を示すものである。図において符号1は、既設の建築物の外壁や間仕切り壁等を示す縦構築面、符号2は、既設の建築物の天井や屋根等を示す水平構築面であり、また、符号3は、このような構築面1、2の内面に吹き付けたアスベストを示している。
図1は、建築物に吹き付けたアスベストを飛散防止処理するための本考案の第一の実施形態を示すものである。図において符号1は、既設の建築物の外壁や間仕切り壁等を示す縦構築面、符号2は、既設の建築物の天井や屋根等を示す水平構築面であり、また、符号3は、このような構築面1、2の内面に吹き付けたアスベストを示している。
経年経過による材質の劣化、あるいは地震の揺れ等が原因でアスベスト3が構築面1、2から剥離あるいは崩落する危険があるが、本実施形態の考案はアスベスト3を封じ込めて安定化させ、剥離や崩落を防止するものである。このため、本考案においては、アスベスト3全面にプラスチックシート4を貼り付け、被覆することに特徴を有している。
次に、アスベスト3面の被覆手段について説明する。
プラスチックシート4は、被覆するアスベスト3、例えば、縦構築面1に吹き付けたアスベスト3面の大きさに裁断、形成する。そして、プラスチックシート4の片面両端部には、図2に示すように、両端部の長さ方向にそって平行に押え部材5をあてがい接着テープや接着剤等を使用して両者を一体に接合する。
プラスチックシート4は、被覆するアスベスト3、例えば、縦構築面1に吹き付けたアスベスト3面の大きさに裁断、形成する。そして、プラスチックシート4の片面両端部には、図2に示すように、両端部の長さ方向にそって平行に押え部材5をあてがい接着テープや接着剤等を使用して両者を一体に接合する。
プラスチックシート4としては適度の透明性、柔軟性を有するポリエチレンフィルムが最適であるが、他の材質のプラスチックフィルムを使用することも可能である。また、押え部材6としては公知のスタットや垂木のような軽量長尺材を使用することができる。図2では1本の押え部材5を使用しているが、構築面1の大きさによっては複数本をつなぎ合わせてもよい。
上記のようにしてプラスチックシート4と押え部材5とを一体に接合した後、プラスチックシート4の反対面、即ち、押え部材5を有しない面には接着剤を塗布する。接着剤としては公知のものを使用でき、刷毛を用いて塗布してもよいが、スプレー式接着剤を使用すると全面に均一に効率良く塗布することが可能である。
この状態で一方の押え部材5を水平構築面2に近接して水平に配置するとともに他の押え部材5を床面6に近接して水平に配置すれば上下対称に設置した押え部材5間でプラスチックシート4は張設した状態となり、このままアスベスト3面に接着剤を介して密に貼り付ければよい。
その後、押え部材5を固着具7を使用して縦構築面1に固定し、最終的にプラスチックシート4をアスベスト3に対して貼り付け、アスベスト3を封じ込める。尚、固着具7としてはピン、ビス、スタッド等のコンクリートや金属のような硬質面に打ち込み、固定可能な公知のものが使用できるが、他の適宜固定手段を使用してもよい。
図1では詳細を示していないが、水平構築面2も前記と同様の被覆手段でアスベスト3面にプラスチックシート4を貼り付けて封じ込める。従って、縦、水平両構築面1、2のアスベスト3はプラスチックシート4を使用して封じ込め可能であり、飛散や崩落を防止できる。尚、押え部材5には、図2に示すように、あらかじめ固着具7を挿通可能な孔8を複数形成しておけば固定作業が容易である。
縦構築面1及び水平構築面2のアスベスト3を密に覆うため、前記のように個々のアスベスト3面にプラスチックシート4を各別にあてがい、一対の押え部材5を使用して貼り付け、固定してもよいが、同一の室内において対称位置の縦構築面1と水平構築面2との全面を同時に被覆することも可能である。
即ち、長尺で幅広なプラスチックシート4を使用して水平構築面2を介して両側の縦構築面1にあてがい、前記と同様にして縦構築面1それぞれプラスチックシート4を貼り付け、押え部材5を固着具7で縦構築面1に固定すればよく、同時に水平構築面2にもプラスチックシート4が貼り付けられることになる。
この場合には、水平構築面2のプラスチックシート4が弛まないように、図1に示すように、前記の固着具7を使用するか他の適宜の固定手段でプラスチックシート3を水平構築面2に固定すればよい。もちろん、この場合でも一対の押え部材5を使用して水平構築面2にプラスチックシート4を貼り付けるようにしてもよい。
図3は、本考案の第二の実施形態を示すものであり、前記の実施形態と同じ部分は同じ符号を使用している。
この実施形態においては、図3及び要部を拡大する図4に示すように、アスベスト3面に貼り付けたプラスチックシート4を下地板9で被覆することに特徴を有している。
この実施形態においては、図3及び要部を拡大する図4に示すように、アスベスト3面に貼り付けたプラスチックシート4を下地板9で被覆することに特徴を有している。
即ち、アスベスト3面に接着剤を介してプラスチックシート4を張設して貼り付け、押え部材5を縦構築面1に固定することは前記の実施形態と同様である。この実施形態においては、押え部材5間でプラスチックシート4全面を下地板9で被覆する。
この下地板9は、合板やプラスターボードあるいはパネル状のような耐火性、耐水性を有する硬質性の板体である。プラスチックシート4面に下地板9を張り合わせ、前記の固着具7を使用するか他の固定手段を使用して下地板9を縦構築面1に固定する。
尚、下地板9は、大きな板体に形成した1枚を使用するか、図5に示すように複数枚を使用してプラスチックシート4の全面を覆うようにする。これによってプラスチックシート4は破れることなく保護され、アスベスト3は安定したものとなる。
また、本考案の第三の実施形態は、図4及び図5に示すように、下地板9の全面にラス10を貼りあるいはDラス(薄い鉄板にラスを貼り、モルタル塗りをした板体)を貼り、更に、樹脂モルタル11を塗装処理したことに特徴を有している。このモルタル11塗装は、下地板9の他に前記した押え部材5にも均一に施すことで全体が目地や凹凸のない平面覆いとすることができ、全体の強化に役立つものである。
水平構築面2に対しても同様の手段でプラスチックシート4を下地板9で被覆したり、ラス10貼りをして樹脂モルタル11塗装をする。尚、下地板9を使用する場合でも、プラスチックシート4は個々にアスベスト3面を被覆するか、前記のように対称の縦構築面1と水平構築面2とを同時に全面被覆し、個々の面を下地板9を使用して被覆するようにしてもよい。
以上の処理技術によりアスベスト3表面はプラスチックシート4で直接に被覆され、アスベスト3が飛散したり、崩落することがない。尚、水平構築面2としては、公知の折版構造の金属板を使用した場合が示してあるが、これに限定するものではなく、平板上の金属板を使用し、その内面にアスベスト3を吹き付けた場合にも対応することができる。
上記の説明では、アスベスト3に対して対称に配置した一対の押え部材5を使用してプラスチックシート4を貼り付ける場合であるが、これに限定するものではない。例えば、図5に示すように、上下押え部材5間において両側に縦方向に一対の押え部材5を設け、プラスチックシート4を方形状に囲んで張設してもよい。
尚、押え部材5は一対に限定するものではない。被覆面積が大きい場合には3本以上の押え部材5を使用してもよい。また、上記の説明では縦構築面1や水平構築面2のアスベスト3を被覆する場合であるが、他の構築面の平面状のアスベスト3面にも対応できるものである。
本考案のアスベスト処理技術を使用することで既存の全ての建築物に吹き付け処理されたアスベストを長期間封じ込めて安定化させることができ、かつ、経済的な処理が可能であり、利用価値が高いものである。処理技術は簡単であるから、建築業界やリフォーム業界を活性化することができ、材料も廉価であるからコストダウンを図ることができる。
1 壁の縦構築面
2 天井、屋根の水平構築面
3 アスベスト
4 プラスチックシート
5 押え部材
6 床面
7 固着具
8 孔
9 下地板
10 ラス
11 樹脂モルタル
2 天井、屋根の水平構築面
3 アスベスト
4 プラスチックシート
5 押え部材
6 床面
7 固着具
8 孔
9 下地板
10 ラス
11 樹脂モルタル
Claims (3)
- 建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆することを特徴とするアスベストの飛散防止装置。
- 建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆するとともにプラスチックシート4面を硬質性の下地板9で被覆することを特徴とするアスベストの飛散防止装置。
- 建築物の壁や屋根、天井の構築面1、2に吹き付けたアスベスト3面に、押え部材5間に張設したプラスチックシート4を接着剤を介して貼り付け、アスベスト3を被覆するとともにプラスチックシート4面を硬質性の下地板9で被覆し、下地板9にはラス10を介して樹脂モルタル11塗装を施すことを特徴とするアスベストの飛散防止装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006000702U JP3120874U (ja) | 2006-02-06 | 2006-02-06 | アスベストの飛散防止装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009102912A (ja) * | 2007-10-24 | 2009-05-14 | Kotogawa:Kk | アスベストを含む粉塵の大気飛散防止方法 |
KR101292780B1 (ko) * | 2011-07-26 | 2013-08-02 | 이진호 | 텍스 석면의 비산 방지를 위한 시트 |
KR101889450B1 (ko) * | 2017-09-20 | 2018-08-17 | (주)이니텍 | 에코 패널의 설치 방법 |
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2006
- 2006-02-06 JP JP2006000702U patent/JP3120874U/ja not_active Expired - Fee Related
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