JP3033603U - 住宅用バルコニーの防水工法における脱泡構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 住宅用バルコニー下地面に施工する断熱材に
含有する空気の膨張、下地に含有する水分の蒸発、接着
剤の残留成分の温度上昇による揮発等によって生ずる防
水面の膨れを防止することを目的とする。 【構成】 住宅用バルコニー躯体とその上部に施工する
合成樹脂発泡板材との間に１ｍｍ厚以上の中空孔を有す
る合成樹脂製脱泡シートを折曲げ、その折曲げた脱泡シ
ートの片側を住宅用バルコニーの全周又は部分的又は脱
泡シートの上面に空気流通孔のための切れ目を入れて全
面に貼着し脱泡シートの他の片側端末を立ち上がり部に
固着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は住宅用バルコニーに使用する軽量にして断熱性、防水性に優れた防水 工法において水分の蒸発並びに断熱材に使用する合成樹脂発泡板の含有空気の膨 張により防水面の膨れを防止することを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

従来住宅用バルコニーに合成樹脂発泡板を断熱材として使用する方法に断熱材 を敷設する浮かし張り工法がある。このような工法においては下地の乾燥が必要 であるが、下地の乾燥が充分に行なわれず施工されることが多々あり、施工後の 蒸発並びに合成樹脂発泡板に含まれる空気の熱膨張等によって防水面に膨れを生 ずることがある。又接着タイプを使用した場合接着剤の残留物が温度の上昇と共 に揮発して防水面に膨れを生じさせることもある。

【０００３】 このような膨れは防水施工面の外観を著しく損なうばかりでなく、防水機能を も劣化させることになる。このような問題を解決するため従来防水面に部分的に 同筒形状の脱気塔を設けたり、円盤状の脱気盤を設置して脱気を行なったり、防 水シートと下地との間に通気性を有する脱気用シートを全面に挿入して防水シー トの末端から脱気したりこれに脱気盤を併用させる方法等がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし防水面である住宅用バルコニーに脱気塔を設けることはバルコニー使用 時の歩行障害物となり適したものとは言えず、さらに異物などによる目詰まりに よってその機能が果せなくなる。脱気盤は上蓋部が盤状の厚さ１０ｍｍ前後のも のであるため機能的に固定しこれに水密処理を施さねばならず、耐久性、耐候性 において問題が多いものである。

【０００５】 又、従来の脱気シートは合成樹脂あるいはゴム系のシートに微細な通気孔を多 数穿設したものであり、防水下地面に敷設した上に防水シートを施工するもので 、脱気シートに穿設した通気孔がふさがらないため部分的な接着をしなければな らず施工上はなはだ難しいものであった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は従来の欠点を解消するべく成されたもので、住宅用バルコニーの防水 工法を行なう場合、住宅用バルコニーに１ｍｍ厚以上の中空孔を有する合成樹脂 製脱泡シートを全面又は、全周又は、都分的に貼着し、脱気シートの端部を折曲 げその後端末を住宅用バルコニー周縁立ち上がり部に固定する。脱泡シートを全 面に貼着する場合は表面にスリットを入れ切れ目を作り空気が入るようにする。

【０００７】 脱泡シートを貼着した上に合成樹脂発泡板及び防水シートを積層貼着しさらに その上面に不燃板材の表裏面及ぴ端面の六面に不燃防水被膜層を形成した不燃無 機質防水板を積層貼着して該防水板接合部の目地にシーリング材を充填する。シ ーリング材の上面及び不燃無機質防水板周縁を不燃無機質防水板の全面に塗布し た同じ不燃防水塗材で塗布することによってより防水効果が向上する。

【０００８】

【作用】

現在戸建てあるいは集合住宅においてバルコニーは不可欠のものであり防水施 工方法は現場作業を極力減らす乾式工法が望まれている。本考案における防水構 造は、かかる要請により成されたものであり、住宅用バルコニー躯体のコンクリ ート面や合板下地面に合成樹脂発泡板を貼着しその上に防水シートを積層してさ らにその上面に不燃板材の表裏面と端面の六面に不燃防水塗材を塗布して不燃防 水被膜層を形成した不燃無機質防水板を積層し、不燃無機質防水板の接合部をシ ーリング材で充填しシーリング材の上面及び不燃無機質防水板の接合部周縁を不 燃防水塗材で塗布する。

【０００９】 かかる住宅用バルコニー防水構造において脱泡シートは、１ｍｍ厚以上の中空 孔を有する合成樹脂製を使用する。１ｍｍ厚以上としたのはあまり小さい中空孔 では目詰まり等により充分な機能を発揮できないからである。しかしあまり大き な中空孔にすると逆に水が流れ込むこともあり、このため中空孔の大きさは１ｍ ｍ〜３ｍｍがより好適である。

【００１０】 住宅用バルコニーが小面積の時は幅１０〜５０ｃｍの脱泡シートを部分的に使 用する程度で充分であるが、面積の大きな場合は、住宅用バルコニーの全周、又 は２面となる半周又は３面に使用する。さらに施工条件によっては全面に敷設貼 着する場合もある。住宅用バルコニー全面に使用する場合は中空孔を有する合成 樹脂脱泡シートを敷設する上面にスリットを入れ切れ目を入れて通気孔を形成す る。

【００１１】 中空孔を有する合成樹脂製脱泡シートの材質は特に限定する必要はないが、好 ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニールなどである。又脱泡シー トは端部を折曲げて住宅用バルコニー立ち上がり部分に固定するため、折曲げた 時中空孔がつぶれないものでなければならない。

【００１２】 本考案に使用する無機質板材はスラグ石膏ボード・珪酸カルシウム板・石膏ボ ード・フレキシブルボード・石綿セメントパーライト板・パルプセメント板・Ａ ＬＣ・ＰＣ板・ブロック・セラミック板・ＧＲＣパネル・押出しセメント板等が 用いられる。矩形形状無機質板の寸法は特に限定されるものではないが、ハンド リング並びに施工のし易い寸法であれば良く、縦横寸法共４００〜１０００ｍｍ 程度で厚みは６〜３０ｍｍの範囲が好ましい。

【００１３】 無機質平板の６面に形成せしめる防水被膜層はアスファルト系の材料を用いた 防水層・合成ゴムや合成樹脂製のシートを用いた防水層・合成樹脂製の液状材料 を補強布およびメッシュなどを張り付けながら塗布または吹き付けてつくる防水 層のいずれでもよい。しかし建築基準法に基ずく防火材料としての建築用仕上塗 材でなければならず建設省で認定された基材同等不燃防水材でなければならない 。基材同等不燃防水材を不燃材である無機質平板の６面に塗布することによって 不燃無機質防水板を形成することができるのである。

【００１４】 プラスチック発泡板材に貼着するシート防水材は合成繊維不織布であり、本考 案においてはブチルゴム系、塩ビ樹脂系、Ｅ．Ｖ．Ａ系、ゴムアスファルト系、 Ｅ．Ｐ．Ｔブチルゴム系、ナイロン系などいずれも使用することができる。

【００１５】 中空孔を有する合成樹脂製脱泡シートを住宅用バルコニー躯体に貼着する接着 剤及びプラスチック発泡板材とシート防水材及びシート防水材と不燃無機質防水 板に使用する接着剤は弾性を有するものであってエポキシ変性ゴム系ラテツクス 型、ゴム系ラテツクス型、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン型、ビニル共重合系エ マルジョン型などが使用できる。好ましくはエポキシ変性ゴム系ラテツクス型で ある。

【００１６】 合成樹脂発泡板は押出成形又はビーズ成形できるものであれば特にプラスチッ クの種類を問わないが好ましくは、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリウレタン 、フェノール、ポリイソシアヌレート等である。合成樹脂板の厚みは１０〜５０ ｍｍの範囲であるがより好ましくは１５〜４０ｍｍである。

【００１７】 ６面に防水被膜の形成された不燃無機質防水板間の目地をシールするシーリン グ材はシリコーン系シーリング材１成分形あるいは／または２成分形、変性シリ コーン系シーリング材１成分形あるいは／または２成分形、変性シリコーン系シ ーリング材２成分形が好適である。より好ましくは変性シリコーン系シーリング 材２成分形である。

【００１８】 不燃無機質防水板の接合部にシーリング材を充填しその上面及び不燃無機質防 水板接合部周縁に防水被膜層を形成せしめる場合、その防水被膜層は無機質平板 の表裏面及び端面に塗布する基材同等不燃防水材が望ましい。

【００１９】

【実施例】 以下本考案に係る住宅用バルコニー防水構造における脱泡方法について説明す る。

【００２０】 実施例１ 両面が０．２ｍｍで縦に連続した１．０ｍｍの中空孔を有する縦５ ０ｃｍ、横３０ｃｍのポリプロピレン製脱泡シートを縦４０ｃｍのところで折曲 げ、４０ｃｍの部分を住宅用バルコニー合板下地に１００ｃｍ間隔で貼着し、残 りの１０ｃｍを立ち上がり部分に接着剤で固着した。

【００２１】 この上に９００×９００×３０（ｍｍ）のポリスチレン発泡板を貼着し、その 表面に０．１６ｍｍ厚の防水シート（旭・デュポン製「タイベック」）を積層貼 着し、その上に１１ｍｍ厚のスラグ石膏板の表裏面および端面の六面を合成ゴム アクリル樹脂エマルジョンからなる基材同等不燃防水材（東洋エクステリア（株 ）製「リボールマイティ」）で塗布し被覆した不燃無機質防水板を貼着した。不 燃無機質防水板の寸法は９００×９００×１１（ｍｍ）である。

【００２２】 本実施例で用いた接着剤は、いずれもエポキシ変性ゴム系ラテックス型（三井 東圧化学”製「ストラクトボンドＥ−９００」）である。

【００２３】 不燃無機質防水板の接合部の隙間に変性シリコン系のシーリング材（日立化成 ポリマー（株）製「ハイボン２０００」）を充填した。充填したシーリング材の 上面に合成ゴムアクリル樹脂エマルジョンからなる基材同等不燃防水材（東洋エ クステリア（株）製「リボールマイティ」）を塗布し防水被膜層を形成した。図 １は実施例１の断面図である。

【００２４】 実施例１の住宅用バルコニー平面図を示したものが図２である。幅３０ｃｍの 脱泡シートを１ｍ間隔に都分的に貼着しその端末を住宅用バルコニー周縁立ち上 がり部に固着している。図３は本実施例に使用したポリプロピレン製の中空孔を 有する脱泡シートの断面図である。

【００２５】 実施例２ 実施例１の住宅用バルコニーの脱泡シートをバルコニー全周に使用 した例を示す平面図が図４である。住宅用バルコニー合板下地に貼着されている 脱泡シートの縦寸法は実施例１と同じである。

【００２６】 実施例３ 実施例１の住宅用バルコニーの脱泡シートを全面に使用した例を示 す断面図が図５である。住宅用バルコニー合板下地に貼着されている脱泡シート の上面にスリットを入れ空気の流れる切れ目を形成している。

【００２７】

【考案の効果】

本考案に係る住宅用バルコニーの防水構造における脱泡方法は高度の現場施工 技術が不必要であり、簡便にしてその効果が高く未熟練作業員がおこなっても高 性能の防水性能を確保して防水面の膨れ発生を完全に防止することができさらに 工期を大幅に短縮し、経年変化の極めて低い優れた脱泡方法を可能ならしめるこ とができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の断面図である。

【図２】実施例１の平面図である。

【図３】脱泡シートの断面図である。

【図４】実施例２の平面図である。

【図５】実施例３の断面図である。

【符号の説明】

１．脱泡シート ２．ポリスチレン発泡板 ３．防水シート ４．スラグ石膏板 ５．不燃無機質防水板 ６．シーリング材 ７．不燃防水被膜層 ８．接着剤 ９．合板 １０．バルコニー立ち上がり部 １１．脱泡シート端末の固着部 １２．住宅用バルコニー １３．ポリプロピレン １４．中空孔 １５．脱泡シート端末の固着部 １６．脱泡シートの切れ目

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項 １】 住宅用バルコニーに合成樹脂発泡板と
   防水シートを積層し、その上面に不燃板材の表裏面と端
   面の六面を不燃防水塗材で塗布した不燃無機質防水板を
   積層貼着し、防水板接合部の目地にシーリング材を充填
   する軽量断熱防水工法において、１ｍｍ厚以上の中空孔
   を有する合成樹脂製脱泡シートを折曲げ、折曲げた脱泡
   シートの片側を、住宅用バルコニーの全周又は部分的に
   合成樹脂発泡板材と住宅用バルコニー躯体との間に貼着
   し脱泡シートの他の片側末端を住宅用バルコニー周縁立
   ち上がり部に固定することを特徴とする住宅用バルコニ
   ー防水工法における脱泡構造。
2. 【請求項 ２】 １ｍｍ厚以上の中空合成樹脂製脱泡シ
   ート面にスリットを入れ切り目を作り空気流入孔を穿設
   して住宅用バルコニー全面に貼着しその端部を折曲げ住
   宅用バルコニー周縁立ち上がり部に固定することを特徴
   とする請求項１記載の住宅用バルコニー防水工法におけ
   る脱泡構造。