JP3119795B2 - Lpe法による磁性ガーネット単結晶の製造方法 - Google Patents

Lpe法による磁性ガーネット単結晶の製造方法

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JP3119795B2 JP07234741A JP23474195A JP3119795B2 JP 3119795 B2 JP3119795 B2 JP 3119795B2 JP 07234741 A JP07234741 A JP 07234741A JP 23474195 A JP23474195 A JP 23474195A JP 3119795 B2 JP3119795 B2 JP 3119795B2
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博貴 河合
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LPE法(液相エ
ピタキシャル法)による磁性ガーネット単結晶の製造方
法に関し、更に詳しく述べると、薄い非磁性ガーネット
基板上にNdBi(ネオジム・ビスマス)系の磁性ガー
ネット単結晶を育成することで、単結晶のひび割れを防
止する技術に関するものである。この技術は、光アイソ
レータなどのファラデー素子などの製造に有用である。
【0002】
【従来の技術】磁性ガーネット単結晶はファラデー効果
を持っており、光アイソレータの中心材料である。近
年、この種の磁性ガーネット単結晶としては、LPE法
により非磁性ガーネット基板上に育成するビスマス置換
希土類鉄ガーネットが主になってきている。これは希土
類鉄ガーネット単結晶の中の希土類元素の一部をBi
(ビスマス)で置換したものであり、厚さ〜数百μmの
厚膜である。LPE法を採用する理由は、LPE法が量
産性に優れており、高品質の単結晶膜を低価格で製造で
きるからである。
【0003】従来、非磁性ガーネット基板上にLPE法
により磁性ガーネット単結晶を育成する場合は、厚い基
板を使用し、はじめに原料を完全に溶融し、その後その
液相温度から過冷却状態(結晶の析出が可能な温度状
態)に融液の温度を降下させ、その過冷却状態において
温度一定の条件を維持して育成している。このようなL
PE法による単結晶の育成においては、しばしばひび割
れ(クラック)などの発生により育成が困難となる現象
が生じる。これは、基板と単結晶の格子定数の不一致
(ミスマッチ)によると言われている。そこで、単結晶
を育成する時には基板との間で格子定数が一致するよう
な単結晶及び基板の組成を選択する。
【0004】しかし基板と単結晶は熱膨張率が異なるた
め、室温から結晶育成温度(例えば800℃程度)に至
る全ての温度範囲で両者の格子定数を一致させることは
不可能である。特に、ビスマス置換希土類鉄ガーネット
単結晶の場合、ビスマス含有量に比例して単結晶のファ
ラデー回転係数が大きくなり、その分、必要なファラデ
ー回転角を得るための膜厚を薄くできるので好ましい
が、反面、それに比例して単結晶の熱膨張率が大きくな
るため、育成中にひび割れが入り易くなるのである。
【0005】そこで、格子定数の不一致(ミスマッチ)
により生じる応力を緩和するため、育成方向で格子定数
を変化させる技術が開発されている(例えば特開平6─
92796号公報参照)。具体的には、単結晶の育成中
に温度を変えてビスマス置換量を変えるという手法を採
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところでビスマス置換
希土類鉄ガーネット単結晶の中で、NdBi系の磁性ガ
ーネット単結晶は、950〜1070nm帯でファラデ
ー回転素子として優れた性能を呈することが分かってい
る。しかし、このNdBi系の磁性ガーネット単結晶
は、Bi(ビスマス)とNd(ネオジム)のイオン半径
が非常に近いため、ビスマスの置換量を変えても結晶の
格子定数はほとんど変わらないという性質がある。従っ
て、単結晶育成中に温度を変えてビスマス置換量を変え
るという従来方法では応力を緩和することができず、ひ
び割れが多発する。
【0007】本発明の目的は、NdBi系の磁性ガーネ
ット単結晶をLPE法によって歩留りよく育成できる方
法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は厚さが200〜
450μmの非磁性ガーネット基板を使用し、その基板
上にLPE法によってNdBi系の磁性ガーネット単結
晶を育成する方法である。本発明者は、使用する非磁性
ガーネット基板をある程度以下まで薄くすることによっ
て、LPE法によりNdBi系の磁性ガーネット単結晶
を製造した時に歩留りが著しく向上すること見出した。
本発明は、このような現象の知得に基づき完成したもの
である。
【0009】使用する非磁性ガーネット基板の厚さt
を、200μm≦t≦450μmとしたのは、以下の理
由による。450μmを超えて基板が厚くなると、急激
に育成する単結晶にクラックが入り、歩留りが極度に悪
化する。また基板の厚さが200μm未満の場合には、
そのような薄い基板をインゴットから切り出す際に基板
自体に割れが発生し、基板作製の歩留りが著しく低下し
てしまう。なお実験の結果によれば、基板の厚さは、2
00〜320μm程度が好ましく、なかでも作業性など
の観点からいうと300μm程度が最も好ましい。
【0010】本発明において非磁性ガーネット基板とし
てGd3-y Ndy Sc2 Ga3 12(但し、1.0≦y
≦1.4)を用い、その上にLPE法で育成する磁性ガ
ーネット単結晶はNd3-x Bix Fe5 12(但し、
0.5≦x≦1.9)なる組成を有するものが望まし
い。
【0011】本発明において磁性ガーネット単結晶に希
土類元素としてNd(ネオジム)を用いるのは、Ndが
Bi(ビスマス)と同じ負のファラデー回転を生じ、フ
ァラデー回転係数θF を大きくすることができるためで
ある。なお、Ndは1500nm帯に吸収があり、その
ため波長1550nm帯のファラデー素子材料としては
不適切なものであるが、それより短波長側ではそのよう
な不都合は無い。そして、ビスマスの置換量xを0.5
〜1.9とするのがよい理由は、0.5未満ではファラ
デー回転係数θF が小さく、そのため光アイソレータに
必要な45度回転膜厚が厚くなり、特に短波長側での吸
収が大きくなること、1.9を超えてビスマス置換が多
くなると育成した磁性ガーネット単結晶膜に割れが生じ
易くなることによる。
【0012】(NdBi)3 Fe5 12なる組成の磁性
ガーネット単結晶は、格子定数aがa=12.62Åで
ある。LPE法で結晶を育成する場合、当然のことなが
ら基板とLPE膜との格子定数を合わせなければならな
い制約を受ける。本発明で使用する組成式Gd3-y Nd
y Sc2 Ga3 12(但し、1.0≦y≦1.4)で示
される非磁性ガーネット基板は、格子定数aが、12.
61〜12.63Åであり、上記磁性ガーネット単結晶
のLPE法による成膜に最適なのである。
【0013】
【発明の実施の態様】薄い非磁性ガーネット基板を使用
し、それ以外は従来の一般的なLPE法によってNdB
i系の磁性ガーネット単結晶を育成する。育成温度は、
通常800℃程度であり、育成した単結晶を取り出す温
度は100℃〜室温程度である。育成温度では、基板と
単結晶の格子定数はほぼ一致した状態であり(そのよう
に育成する単結晶の組成に対して使用する基板の組成を
選択している)、所定の膜厚まで育成する。実際には、
膜厚1〜2μmの単結晶薄膜を形成したテストチップを
育成温度を変えて数種類作製し、X線回折装置で測定し
てピークが重なっている(一致している)か否かを判定
する。そしてピークが重なっている、即ち、格子定数の
ミスマッチがほぼゼロであることを確認したテストチッ
プの製作条件に従って製品を製造する。
【0014】その後、単結晶を取り出すために温度を下
げると、基板と単結晶とは熱膨張率が違うため応力が発
生する。しかし本発明では基板が非常に薄いため、発生
した応力によって全体(基板と単結晶の両方)が反るよ
うに変形する。これによって応力が緩和され、単結晶に
クラックなどが入るのを防止している。つまり本発明で
は、基板を薄くすることによって、変形し易く且つ変形
に対する耐久性を向上しているのである。
【0015】
【実施例】Gd1.8 Nd1.2 Sc2 Ga3 12(格子定
数a=12.62Å)の直径1インチ(約25mm)の単
結晶インゴットを薄く切断した基板を用い、その上にL
PE法によりNd1.7 Bi1.3 Fe5 12の単結晶を育
成した。結晶育成の原料として、Nd2 3 ,Fe2
3 ,Bi2 3 ,PbO,B2 3 を用いた。まず95
0℃で10時間溶融し、次いで同じ950℃で3時間攪
拌した。その後、735℃に下げ、LPE法で単結晶を
育成した。基板の厚みを変えて試料番号1〜5の5回の
実験を行った。その結果を表1に示す。同時に図1に基
板の厚みと歩留りの関係を示す。
【0016】
【表1】
【0017】結晶育成時は、テストチップの結果、ミス
マッチがほぼゼロであることから、図2の(a)に示す
ように、基板及び育成中の単結晶膜は平坦と考えられる
が、育成後に単結晶を取り出した時には、図2の(b)
に示すように、すべて球状に反るように変形していた。
そこで、変形は、反りの曲率半径r(mm)を算出し、そ
の逆数を変形度として評価した。従って、1/rが大き
いほど変形が大きいということになる。
【0018】割れの評価には歩留りを用いた。歩留り
(%)は、単結晶育成後、基板の付いた単結晶を3mm角
に切断して、得られる3mm角のチップ全数に対する得ら
れたクラックフリー(割れの無い)の3mm角チップ数の
比率で求めた。即ち、 歩留り(%)=(クラックフリーの3mm角チップ数)/
(得られた3mm角チップ全数)×100
【0019】この結果から、基板の厚みは450μm以
下とすることが適当であることがわかる。本実験では基
板の厚みが200μmの場合までしか行っていない。そ
の理由は、基板の厚みが200μm未満になると、イン
ゴットから切り出す時に割れ易く、基板を製作する歩留
りが極端に悪くなるからである。表1の結果から、基板
の厚みtは、200μm≦t≦450μmの範囲とする
必要があり、なかでも200〜320μmとすることが
望ましいことが分かる。一般に基板が厚くなる方が取り
扱いが容易なため、基板の厚みは300μm程度が最も
好ましい。
【0020】
【発明の効果】本発明は上記のように、LPE法でNd
Bi系磁性ガーネット単結晶を育成する際の非磁性ガー
ネット基板の厚みを薄くしたことにより、ひび割れの発
生を抑制でき、これによって製造の歩留りを著しく向上
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の厚みと歩留りの関係を示すグラフ。
【図2】単結晶育成中と取り出し後の基板と単結晶の断
面形状を示す説明図。
【符号の説明】
10 非磁性ガーネット基板 12 磁性ガーネット単結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性ガーネット基板上に、LPE法に
    よってNdBi系の磁性ガーネット単結晶を育成する方
    法において、 使用する前記基板の厚さtを、200μm≦t≦450
    μmとすることを特徴とするLPE法による磁性ガーネ
    ット単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性ガーネット基板の組成がGd3-y
    Ndy Sc2 Ga312(但し、1.0≦y≦1.4)
    であり、育成する磁性ガーネット単結晶の組成がNd
    3-x Bix Fe5 12(但し、0.5≦x≦1.9)で
    ある請求項1記載のLPE法による磁性ガーネット単結
    晶の製造方法。
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