JPH10139596A - 単結晶基板 - Google Patents

単結晶基板

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JPH10139596A
JPH10139596A JP29602096A JP29602096A JPH10139596A JP H10139596 A JPH10139596 A JP H10139596A JP 29602096 A JP29602096 A JP 29602096A JP 29602096 A JP29602096 A JP 29602096A JP H10139596 A JPH10139596 A JP H10139596A
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single crystal
substrate
bismuth
rare earth
film
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JP29602096A
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Katsumi Kawasaki
克己 川嵜
Atsushi Oido
敦 大井戸
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 割れなどの発生のない厚膜状のビスマス置換
希土類鉄ガーネット単結晶を、液相エピタキシャル成長
により形成させるための単結晶基板を提供する。 【解決手段】 一般式 M1 x2 y3 z12 (式中のM1はCa、Sr、Cd及びMnの中から選ば
れた少なくとも1種の金属、M2はNb、Ta及びSb
の中から選ばれた少なくとも1種の金属、M3はGa、
Al、Fe、Ge、Si及びVの中から選ばれた少なく
とも1種の金属であり、x、y及びzは以下に示す範囲
の数である。 2.9<x<3.1 1.6<y<1.8 3.1<z<3.3) で表わされる組成を有する単結晶基板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスマス置換希土
類鉄ガーネット単結晶を液相エピタキシャル成長させる
ための新規な単結晶基板、さらに詳しくは、ファラデー
回転子などに用いられるビスマス置換希土類鉄ガーネッ
ト単結晶膜を、結晶欠陥及び反りや割れなどの発生を抑
制して、高品質に液相エピタキシャル成長させるために
用いられる単結晶基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバーを用いた通信システ
ムの実用化が急速に進められている。これは、光ファイ
バー通信システムは、従来の電気通信システムに比べ
て、大容量のデータを高速に、かつ低損失で伝送できる
利点を有しているからである。この光ファイバー通信シ
ステムにおいては、光源の半導体レーザーは、外部光に
よって敏感に影響を受け不安定になることが一般に知ら
れているが、光ファイバー通信の低損失化に伴い、近端
だけでなく、遠端からの反射光も半導体レーザーに影響
を及ぼすようになり、したがって、この反射光の影響を
避けるために、光アイソレータの使用が試みられてい
る。この光アイソレータは、一般に偏光子、ファラデー
回転子及び検光子から構成されており、順方向の光を低
損失で通過させるが、逆方向からの入射光の通過を阻止
する機能を有している。
【0003】このような光アイソレータや、光サーキュ
レータや、光磁界センサーなどに用いられるファラデー
回転子の材料としては、一般に、単結晶基板上に磁性ガ
ーネット単結晶膜をエピタキシャル成長させたものが用
いられている。基板上に成長させる磁性ガーネット単結
晶膜には、所要のファラデー効果が得られるように大き
なファラデー回転係数が望まれ、またエピタキシャル成
長によって良質の単結晶膜を成膜するためには、成膜温
度から室温までの温度域において、基板単結晶と成長す
る単結晶膜との間の格子定数差が極力小さいことが必要
条件となる。
【0004】磁性ガーネット単結晶膜のファラデー回転
係数は、希土類成分の一部をビスマスで置換することに
より著しく増加することが知られている。ビスマス置換
量の増加は、同時に磁性ガーネット単結晶膜の格子定数
の増加をもたらすため、成膜に用いる基板材料にもより
大きな格子定数が要求され、例えばCa、Zr、Mgな
どを添加して格子定数を大きくしたガドリニウム・ガリ
ウムガーネット(以下GGGと略記する)が単結晶基板
として用いられている(特公昭60−4583号公
報)。
【0005】しかしながら、このCa、Zr、Mgなど
を添加したGGG単結晶基板上に、ビスマス置換希土類
鉄ガーネット単結晶を厚膜状に(例えば200μm以
上)成長させようとした場合、成膜中及び成膜後の基板
や単結晶膜に反りや割れなどを生じやすく、成膜時及び
加工時の歩留り低下の原因となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶欠陥や
反り、割れなどの発生のない厚膜状のビスマス置換希土
類鉄ガーネット単結晶を、液相エピタキシャル成長によ
り形成させるための単結晶基板を提供することを目的と
してなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、品質の良
好な厚膜状のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を
与える単結晶基板について鋭意研究を重ねた結果、特定
の組成を有する単結晶基板が、室温から850℃までの
温度領域で、結晶方位<111>に直交する面内の線熱
膨張係数がビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶に極
めて近い値をもつこと、そして、特に膜厚200μm以
上の厚膜のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を
成膜する場合、基板厚1.5mm以下の条件で、基板や
単結晶膜に割れなどが生じることなく、結晶品質の良好
なビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の成長を可
能にすることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ビスマス置換希土類
鉄ガーネット単結晶を液相エピタキシャル成長させるた
めの基板であって、一般式 M1 x2 y3 z12 (I) (式中のM1はCa、Sr、Cd及びMnの中から選ば
れた少なくとも1種の金属、M2はNb、Ta及びSb
の中から選ばれた少なくとも1種の金属、M3はGa、
Al、Fe、Ge、Si及びVの中から選ばれた少なく
とも1種の金属であり、x、y及びzは以下に示す範囲
の数である。 2.9<x<3.1 1.6<y<1.8 3.1<z<3.3) で表わされる組成を有することを特徴とし、好ましくは
0.1〜1.5mmの厚さをもつ単結晶基板を提供する
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の単結晶基板は、ビスマス
置換希土類鉄ガーネット単結晶を液相エピタキシャル成
長させる場合に用いるための基板である。したがって、
本発明の単結晶基板は、その上に形成される単結晶との
格子整合性が良く、かつ線熱膨張係数が、単結晶膜のそ
れに近いという特徴を有する。
【0010】前記一般式(I)において、M1はCa、
Sr、Cd及びMnの中から選ばれる金属であるが、価
数2+で安定に存在し、配位数8を取ることができ、こ
の状態でのイオン半径が0.96〜1.26Åの範囲に
あるものが好ましい。次に、M2はNb、Ta及びSb
の中から選ばれる金属であるが、価数5+で安定に存在
し、配位数6を取ることができ、この状態でのイオン半
径が0.60〜0.64Åの範囲にあるものが好まし
い。また、M3はGa、Al、Fe、Ge、Si及びV
の中から選ばれる金属であるが、価数3+、4+又は5
+で安定に存在し、配位数4を取ることができ、この状
態でのイオン半径が0.26〜0.49Åの範囲にある
ものが好ましい。なお、これらのイオン半径は、シャノ
ン(R.D.Shannon)により定められた有効イ
オン半径の値である[「アクタ・クリスタル(Acta
Cryst.),A32」,751,(1976)参
照]。これらのM1、M2及びM3はそれぞれ単独の金属
であってもよいし、また2種以上の金属の組み合せであ
ってもよい。さらに、M1の金属は、価数及び格子定数
を調整するために、必要に応じ、50アトミック%未満
の範囲内でその一部を、その組成においてCa又はSr
と置換可能な金属M4例えばCd、Mn、K、Na、L
i、Pb、Ba、Mg、Fe、Co、希土類金属及びB
iの中から選ばれた少なくとも1種、好ましくは配位数
8を取りうるもので置換することができる。また、M2
は、M1の場合と同じように、50アトミック%未満の
範囲で、その一部を、その組成において、Nb、Ta又
はSbと置換可能な金属M5例えばZn、Mg、Mn、
Ni、Cu、Cr、Co、Ga、Fe、Al、V、S
c、In、Ti、Zr、Si及びSnの中から選ばれた
少なくとも1種、好ましくは配位数6を取りうるもので
置換することができる。このような組成の単結晶基板
は、線熱膨張係数が、その上に形成されるビスマス置換
希土類鉄ガーネット単結晶のそれと近似し、また、この
単結晶との格子整合性が良好である。特にxが2.98
〜3.02、yが1.67〜1.72及びzが3.15
〜3.21の範囲の数であるものが好適である。すなわ
ち、このような組成の単結晶基板の線熱膨張係数は、室
温〜850℃において、1.07×10-5/℃程度であ
り、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の同じ温
度範囲の線熱膨張係数1.08×10-5/℃〜1.10
×10-5/℃に非常に近似している。
【0011】また、この単結晶基板の厚さについては特
に制限はないが、膜厚が200μm以上の厚膜のビスマ
ス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を成膜する場合に
は、成膜時における基板及び単結晶膜の割れや反りなど
の発生が抑制され、品質の良好な単結晶膜が得られる点
で、厚さ1.5mm以下にするのが良い。単結晶基板の
厚さが1.5mmを超えると、厚さの増加に伴い基板と
単結晶膜の界面近傍でクラックの発生が増加する傾向が
みられる。これは、成膜中の成長条件が、成長界面内で
必ずしも常に均一とはならず、面内で局所的な格子定数
の変動が起ることによると思われる。この格子定数変動
に伴う局所的な応力集中に対し、基板厚が薄い場合、部
分的な変位を生じることによって応力の緩和が得られる
が、基板厚を厚くした場合、部分的な変位も抑制され、
極所的な応力緩和が得られず、クラックによって応力が
緩和されると考えられる。また、基板の厚さがあまり薄
すぎると基板の機械的強度が小さくて、取扱い性が悪く
なるので、厚さ0.1mm以上のものが好ましい。
【0012】本発明の単結晶基板の製造方法については
特に制限はなく、従来GGG単結晶基板などの製造にお
いて慣用されている方法を採用することができる。例え
ば、まず、前記一般式(I)におけるM1で示される金
属、M2で示される金属及びM3で示される金属の中か
ら、それぞれ1種又は2種以上選ばれた金属と、場合に
より用いられるM4で示される金属及びM5で示される金
属の中から、それぞれ1種又は2種以上選ばれた金属と
を、それぞれ所定の割合で含有する均質な溶融混合物を
調製する。次いで、この溶融混合物中に、例えば長軸方
向が<111>であるGGG種子結晶などを液面に対し
て垂直に浸せきし、ゆっくり回転させながら引き上げる
ことにより、多結晶体を形成させる。
【0013】この多結晶体にはクラックが多数存在する
ので、その中からクラックのない単結晶部分を選択し、
結晶方位を確認したのち、種子結晶として、再度上記溶
融混合物中に、結晶方位<111>が液面に対して垂直
になるように浸せきし、ゆっくり回転させながら引き上
げることにより、クラックの存在しない単結晶を形成さ
せる。次に、この単結晶を成長方向と垂直に所定の厚さ
に切断し、両面を鏡面研磨したのち、例えば熱リン酸な
どでエッチング処理することにより、本発明の単結晶基
板が得られる。
【0014】このようにして得られた単結晶基板上に設
けられるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶として
は、一般式 Bim3-mFe5-nn12 (II) (式中のRは希土類金属の少なくとも1種、MはGa、
Al、In、Sc、Si、Ti、Ge及びMgの中から
選ばれた少なくとも1種の金属であり、m及びnは以下
に示す範囲の数である。 0<m<3.0 0≦n≦1.5) で表わされる組成のものがある。
【0015】前記一般式(II)においてRで示される
希土類金属としては、例えばY、La、Pr、Nd、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Luなどが挙げられ、これらは1種含まれていても
よいし、2種以上含まれていてもよい。この単結晶にお
いては、前記Rで示される希土類金属の一部はビスマス
で置換されており、このビスマスによる置換の割合はm
で表わされ、このmの値は、0<m<3.0の範囲であ
るが、特に0.5〜1.5の範囲にある場合、単結晶の
線熱膨張係数と単結晶基板の線熱膨張係数とが極めて近
似したものになるので、有利である。また、MはFeと
置換可能な非磁性金属元素で、Ga、Al、In、S
c、Si、Ti、Ge、Mgであり、これらは1種含ま
れていてもよく、2種以上含まれていてもよい。この非
磁性金属元素のFeとの置換の割合nは0〜1.5の範
囲で選ばれる。
【0016】本発明の単結晶基板上に、上記ビスマス置
換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成させる方法として
は、通常液相エピタキシャル成長法が用いられる。この
液相エピタキシャル成長法により、ビスマス置換希土類
鉄ガーネット単結晶膜を形成させるには、例えば、ま
ず、(1)酸化ビスマスと(2)少なくとも1種の希土
類金属酸化物と(3)酸化鉄と場合により用いられる
(4)Ga、Al、In、Sc、Si、Ti、Ge及び
Mgの中から選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物と
を、それぞれ所定の割合で含有する均質な溶融混合物を
調製する。この際、通常析出用媒質として酸化鉛のよう
な構成元素が単結晶中に混入してこない低融点化合物を
用いる。また、所望に応じ結晶成長向上剤として酸化ホ
ウ素などを含有させてもよい。
【0017】次に、この溶融混合物中に、前記単結晶基
板を浸せきすることにより、基板上に該溶融混合物から
単結晶をエピタキシャル成長させる。この際の溶融混合
物の温度は、原料混合物の組成などにより異なるが、通
常は600〜1000℃の範囲で選ばれる。また、基板
は、溶融混合物中に静置してエピタキシャル成長させて
もよいし、適当に回転させながらエピタキシャル成長さ
せてもよい。回転させる場合、その回転数は10〜20
0rpm程度が有利である。また、成膜速度は、通常
0.08〜0.8μm/分程度である。浸せき時間は、
成膜速度及び所望の膜厚などにより異なり、一概に定め
ることはできないが、通常は、10〜100時間程度で
ある。
【0018】エピタキシャル成長終了後、基板を溶融混
合物から引き上げ、付着している溶融混合物を十分に振
り切ったのち、室温まで冷却する。次いで、希硝酸など
の鉱酸水溶液中に浸せきして、形成した単結晶膜表面に
付着している溶融混合物の固化物を取り除いたのち、水
洗、乾燥する。このようにして、基板上に形成された、
前記一般式(II)で表わされる組成のビスマス置換希
土類鉄ガーネット単結晶膜の厚さは通常100〜100
0μmの範囲である。また、その線熱膨張係数は、室温
〜850℃において、1.08×10-5/℃〜1.10
×10-5/℃程度である。
【0019】このようにして、基板上に形成されたビス
マス置換希土類鉄ガーネット単結晶の結晶構造及び組成
は、それぞれX線回折及び蛍光X線による組成分析など
により同定することができる。また、この単結晶の性能
は、これを研磨加工処理したのち、その両面に無反射膜
を設け、ファラデー回転係数、透過損失及び温度特性な
どを求めることにより、評価することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明の単結晶基板を用いて、その上に
ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を液相エピタ
キシャル成長法させると、基板や単結晶膜の割れや反り
などの発生が抑制され、品質の良好な厚膜のビスマス置
換希土類鉄ガーネット単結晶膜が容易に得られる。
【0021】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明は、これらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0022】実施例1 溶融液の組成がCa3.00Nb1.69Ga3.1912となるよ
うに、CaCO3、Nb25及びGa23を秤取してイ
リジウムルツボ中に仕込み、窒素ガス98容量%と酸素
ガス2容量%との混合ガス雰囲気中で、高周波誘導によ
り約1450℃に加熱して溶融させたのち、この溶融液
に長軸方向が<111>である5mm角柱状のGGG種
子結晶を液面に対し垂直に浸せきし、これを20rpm
の回転下に2mm/時の速度で引き上げたところ、全体
にクラックが多数存在する多結晶体が得られた。
【0023】この多結晶体の中からクラックのない透明
な単結晶部分を選択し、ラウェカメラによって結晶方位
を確認したのち、種子結晶として再度上記溶融液に、結
晶方位<111>が液面に対し垂直になるよう浸せきさ
せ、これを40rpmの回転下に3mm/時の速度で引
き上げたところ、今度は全体にクラックの全く存在しな
い透明な単結晶が得られた。次にこの結晶の上部と下部
から各約1gの試料を切出し、高周波結合誘導プラズマ
発光分析装置で各成分金属元素について定量分析を行っ
たところ、結晶上部及び結晶下部共に、Ca3.00Nb
1.69Ga3.1912の組成を有することが確認された。
【0024】得られた単結晶を成長方向と垂直に所定の
厚さに切断し、両面を鏡面研磨したのち、熱リン酸でエ
ッチング処理して、ビスマス置換希土類鉄ガーネット単
結晶成膜用の単結晶基板を作製した。この単結晶基板の
室温〜850℃における線熱膨張係数(α)は1.07
×10-5/℃であった。
【0025】実施例2 白金製ルツボに、Tb23 14.110g、Nd23
1.521g、B2346.45g、Fe23 14
8.82g、PbO 1054.4g及びBi23 96
5.8gを入れ、約1000℃で溶融し、かきまぜて均
質化したのち、120℃/hrの速度で降温して、82
8℃の過飽和状態を保持した。次いで、この溶融液中
に、基板厚0.6mmの実施例1で得られたCa3.00
1.69Ga 3.1912単結晶基板を浸せきし、100rp
mで基板を回転させながら、単結晶膜を35時間液相エ
ピタキシャル成長させ、基板上に膜厚520μmのビス
マス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成させた。
【0026】得られた単結晶膜及び単結晶基板の両方
共、クラックの発生は認められなかった。この単結晶膜
の組成を蛍光X線法により分析したところ、Bi0.9
2.0Nd0.1Fe5.012であった。また、上記単結晶
膜を研磨加工し、両面に無反射膜を付けて波長1.55
μmのファラデー回転角、ファラデー回転角45deg
での透過損失及び温度特性を評価したところ、ファラデ
ー回転係数は0.0982deg/μm、透過損失は
0.14dB、温度特性は0.045deg/℃であっ
た。さらに、この単結晶膜の室温〜850℃における線
熱膨張係数(α)は1.08×10-5/℃であった。
【0027】実施例3 白金製ルツボに、Ho23 5.747g、Gd23
6.724g、B2343.21g、Fe23 12
6.84g、PbO 989.6g、Bi23 826.
4gを入れ、約1000℃で溶融し、かきまぜて均質化
したのち、120℃/hrの速度で降温して、832℃
の過飽和状態を保持した。次いで、この溶融液中に、基
板厚0.6mmの実施例1で得られたCa3.00Nb1.69
Ga3.19 12単結晶基板を浸せきし、100rpmで基
板を回転させながら、単結晶膜を30時間液相エピタキ
シャル成長させ、基板上に膜厚470μmのビスマス置
換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成させた。
【0028】得られた単結晶膜及び単結晶基板の両方
共、クラックの発生は認められなかった。この単結晶膜
の組成を蛍光X線法により分析したところ、Bi1.1
1.1Ho0.8Fe5.012であった。また、上記単結晶
膜を研磨加工し、両面に無反射膜を付けて波長1.55
μmのファラデー回転角、ファラデー回転角45deg
での透過損失及び温度特性を評価したところ、ファラデ
ー回転係数は0.119deg/μm、透過損失は0.
03dB、温度特性は0.065deg/℃であった。
さらに、この単結晶膜の室温〜850℃における線熱膨
張係数(α)は1.10×10-5/℃であった。
【0029】実施例4 実施例2において、基板厚を0.3mmに変更した以外
は、実施例2と同様に実施して、基板上に膜厚535μ
mのビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成さ
せた。得られた単結晶膜及び単結晶基板の両方共、クラ
ックの発生は認められなかった。
【0030】実施例5 実施例2において、基板厚を1.2mmに変更した以外
は、実施例2と同様に実施して、基板上に膜厚530μ
mのビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成さ
せた。得られた単結晶膜及び単結晶基板の両方共、クラ
ックの発生は認められなかった。
【0031】実施例6 実施例2において、基板厚を2.4mmに変更した以外
は、実施例2と同様に実施して、基板上に膜厚520μ
mのビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成さ
せた。単結晶基板側の外周部と得られた単結晶膜側外周
部に計3か所のクラックの発生が認められた。
【0032】比較例1 白金製ルツボに、Tb23 15.059g、Nd23
1.464g、B2347.55g、Fe23 15
7.76g、PbO 1082.6g及びBi2394
0.8gを入れ、約1000℃で溶融し、かきまぜて均
質化したのち、120℃/hrの速度で降温して、83
9℃の過飽和状態を保持した。次いで、この溶融液中
に、基板厚0.6mmのCaMgZr添加GGG(Gd
2.65Ca0.35Ga4.05Mg0.3Zr0.6512)単結晶基
板を浸せきし、100rpmで基板を回転させながら単
結晶膜を35時間液相エピタキシャル成長させ、基板上
に膜厚490μmのビスマス置換希土類鉄ガーネット単
結晶膜を形成させた。単結晶基板側の外周部及び中央部
と、得られた単結晶膜側外周部に、計6か所のクラック
の発生が認められた。
【0033】また、この単結晶膜の組成を蛍光X線法に
より分析したところ、Bi0.7Tb2 .2Nd0.1Fe5.0
12であった。さらに、得られた単結晶膜及び用いた単結
晶基板の室温〜850℃における線熱膨張係数(α)
は、それぞれ1.08×10-5/℃及び0.87×10
-5/℃であった。
【0034】比較例2 白金製ルツボに、Ho23 6.172g、Gd23
7.158g、B2341.58g、Fe23 13
8.59g、PbO 1002.3g及びBi2381
0.1gを入れ、約1000℃で溶融し、かきまぜて均
質化したのち、120℃/hrの速度で降温して、85
0℃の過飽和状態を保持した。次いで、この溶融液中
に、基板厚0.6mmのCaMgZr添加GGG(Gd
2.65Ca0.35Ga4.05Mg0.3Zr0.6512)単結晶基
板を浸せきし、100rpmで基板を回転させながら、
単結晶膜を30時間液相エピタキシャル成長させ、基板
上に膜厚485μmのビスマス置換希土類鉄ガーネット
単結晶膜を形成させた。単結晶基板側の外周部及び中央
部と、得られた単結晶膜側外周部に計7か所のクラック
の発生が認められた。また、この単結晶膜の組成を蛍光
X線法により分析したところ、Bi1.0Gd1.0Ho1.0
Fe5.012であった。さらに、得られた単結晶膜の室
温〜850℃における線熱膨張係数(α)は1.10×
10-5/℃であった。
【0035】比較例3 比較例1において、基板厚を0.3mmに変更した以外
は、比較例1と同様に実施して、基板上に膜厚495μ
mのビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成さ
せた。単結晶基板側の外周部及び中央部と、得られた単
結晶膜側外周部に、計7か所のクラックの発生が認めら
れた。
【0036】比較例4 比較例1において、基板厚を1.2mmに変更した以外
は、比較例1と同様に実施して、基板上に膜厚480μ
mのビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を形成さ
せた。単結晶基板側の外周部及び中央部と、得られた単
結晶膜側外周部に、計8か所のクラックの発生が認めら
れた。以上の結果を表1及び表2にまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】[注] 基板I:Ca3.00Nb1.69Ga
3.1912 基板II:Gd2.65Ca0.35Ga4.05Mg0.30Zr0.65
12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶
    を液相エピタキシャル成長させるための基板であって、
    一般式 M1 x2 y3 z12 (式中のM1はCa、Sr、Cd及びMnの中から選ば
    れた少なくとも1種の金属、M2はNb、Ta及びSb
    の中から選ばれた少なくとも1種の金属、M3はGa、
    Al、Fe、Ge、Si及びVの中から選ばれた少なく
    とも1種の金属であり、x、y及びzは以下に示す範囲
    の数である。 2.9<x<3.1 1.6<y<1.8 3.1<z<3.3) で表わされる組成を有することを特徴とする単結晶基
    板。
  2. 【請求項2】 組成式において、xが2.98〜3.0
    2、yが1.67〜1.72及びzが3.15〜3.2
    1の範囲の数である請求項1記載の単結晶基板。
  3. 【請求項3】 厚さが0.1〜1.5mmである請求項
    1又は2記載の単結晶基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003000963A1 (fr) * 2001-06-22 2003-01-03 Tdk Corporation Substrat permettant de former une couche mince de monocristal de grenat magnetique, dispositif optique et procede de production associe
US6997986B2 (en) 2003-02-05 2006-02-14 Tdk Corporation Method for preparing single crystal
JP2012001381A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 単結晶基板および単結晶基板の製造方法

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