JP3894685B2 - 酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光アイソレータや光スイッチなどの磁気光学素子に用いられる酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液相エピタキシャル法で、膜厚が30μm以上の磁性ガーネット膜を非磁性ガーネット単結晶基板上に成長させると、単結晶基板とガーネットエピタキシャル膜の格子定数が異なるために歪みを生じ、単結晶膜の育成中あるいは育成後の切断加工中にクラックを生じて破損することがあった。また、この歪みは磁性ガーネット膜に複屈折を生じることが知られている。
このような歪みの発生を避けるためにさまざまな提案がなされ、例えば、特開昭57-160105 号公報は、単結晶基板と磁性ガーネット膜との格子定数差Δaを0.001 Å以下とすることを提案している。
【0003】
特開昭62-143893 号公報は、液相エピタキシャル法でガーネット膜を非磁性ガーネット基板上に成長させると、融液の組成変化が生じ、それに伴って育成温度とエピタキシャル結晶の格子定数との関係が変化することから、エピタキシャル結晶の格子定数が基板の格子定数と等しくなるように、育成温度を変化させることを提案している。
しかし、こうしたガーネット膜を液相エピタキシャル法で育成すると、育成中にしばしば基板が破断してしまうという問題があった。
【0004】
こうした問題を解消するため、特公平7-69522 号公報は、ガーネット層を少なくとも第一と第二の層から形成し、第一の層は、この層の格子定数が第一の温度において基板の格子定数とほぼ等しく、かつ第一の温度より高い第二の温度において基板の格子定数より大きくなるように選択した第一の組成を有し、また第二の層は、この層の格子定数が第一の温度において基板の格子定数より小さく、かつ第二の温度において第一の層の格子定数より小さくなるように選択した第二の組成を有する磁気光学アイソレータ装置を提案している。
しかしこの提案では、直径2インチ以上の大口径基板上に、膜厚が 200μm以上のガーネット磁性厚膜の育成中に、基板が破断することなく育成することは困難である。また、第一、第二のガーネット層を複数設けた場合、ガーネット磁性膜に複屈折が生じ、このガーネット膜を磁気光学素子として用いたときに消光比が低下するという問題があった。
【0005】
一方、特開平4-139093号公報には、液相エピタキシャル法によるビスマス(Bi)置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の育成において、単結晶膜の成長方向の格子定数の変動を、育成開始時の格子定数を基準として±0.003 Å以下に制御するよう、単結晶膜の育成中に育成膜を形成する融液温度を降下させながら膜育成を行うビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜の製造方法が開示されている。
【0006】
また、特開平5-330993号公報には、液相エピタキシャル法で育成された膜厚50μm以上のガーネット単結晶膜の格子定数と単結晶基板の格子定数との差Δaの値に着目して、ガーネット単結晶膜内外の全ての点で、 -0.004 Å<Δa< -0.001 Åであるガーネット単結晶膜が開示されている。
さらに、特開平6-92796 号公報には、エピタキシャル成長によって得られる単結晶膜において、基板側から成長方向に向かって、格子定数のずれを増大させた単結晶膜が開示されている。
【0007】
しかしこれらの方法は、単結晶基板とガーネット磁性膜の熱膨張係数が異なるため、ガーネットエピタキシャル膜育成中に膜と基板に歪みが生じる。基板の両面にエピタキシャル膜を形成した場合、エピタキシャル膜成膜後の冷却過程で歪みが解放されることなくエピタキシャル膜内に応力が残存し、複屈折を生じるか、もしくはエピタキシャル膜にクラックが入ることで歪みは解放される。
【0008】
また、エピタキシャル膜を単結晶基板の両面に育成後、磁気光学素子として切り出すには、単結晶基板を横方向からスライスするように切断(以下、スライス切断という)し、分割する必要がある。通常、このスライス切断には内周刃切断機が用いられるが、エピタキシャル膜成膜後の冷却過程で歪みが解放されることなくエピタキシャル膜内に応力が残存していると、切断が進むにつれて内周刃により切断物が微妙に振動して次第に応力が大きくなり、基板の両側に形成されたガーネット膜にクラックが発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直径2インチ以上の大口径単結晶基板の両面に、基板が破断することなく、膜厚が 200μm以上の酸化物ガーネット単結晶膜を育成し、両面にエピタキシャル膜が形成された単結晶基板をスライス切断することなく容易に剥離分割することができ、磁気光学素子用チップの歩留り向上に寄与する酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、育成温度から冷却すると室温付近で、単結晶基板とガーネット単結晶膜との間の格子定数の差△aにより、単結晶基板とガーネット単結晶膜とに応力が蓄積される。蓄積された応力は、単結晶基板を境に基板の両面に育成されたガーネット単結晶膜に向けて対象に分布するため、ガーネット単結晶膜の成長とともに△a値を適切に変化させることにより、基板が破断することなく育成し、基板を横方向に引き裂くように剪断応力が働く条件を見いだし、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明の酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法は、液相エピタキシャル法で単結晶基板の両面に膜厚 200μm以上の酸化物ガーネット単結晶膜を育成するにあたり、育成開始時におけるガーネット単結晶膜の格子定数をaf1、育成につれて該単結晶膜の格子定数が徐々に大きくなる育成初期における該単結晶膜の格子定数の最大値をaf2、育成終了時の単結晶膜の格子定数をaf3とし、単結晶基板の格子定数をaS とすると、
-0.017Å≦af1−aS < -0.006Å、
-0.014Å<a f2 −a S ≦-0.003Å、
-0.014Å≦a f3 −a S < -0.003Å
となるように、液相エピタキシャル条件を制御することを特徴としている。また、af2,af3が、 -0.001Å<af2−af3< 0.002Åを満足する範囲とするのが好ましい。
【0012】
酸化物ガーネットエピタキシャル膜の育成に際しては、エピタキシャル膜のaf1、af2、af3が上記の範囲となるように融液温度、降温速度などのエピタキシャル条件を適宜制御すればよい。
上記エピタキシャル膜と基板との格子定数の差af1−aS 、af2−aS 、af3−aS は、以下、それぞれ順に△a1 、△a2 、△a3 とし、af2−af3を△a23と記す。なお、これらの格子定数は室温での測定値である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、これをさらに詳述する。本発明の製造方法により得られる酸化物ガーネット単結晶膜は、主として、育成開始時のエピタキシャル膜と基板との格子定数差△a1 が、-0.017Å〜 -0.006 Åと大きな第一層と、育成初期のエピタキシャル膜と基板との格子定数差△a 2 、育成初期〜育成終了までのエピタキシャル膜と基板との格子定数差△a2 、△a3 がそれぞれ、△a 2 が -0.014 Åより大きく -0.003 Å以下、△a 3 が -0.014 Å以上〜 -0.003 Åより小さい範囲の第二層との二層構造を有している。エピタキシャル膜の熱膨張係数は、育成温度では基板の熱膨張係数より大きくなるが、第一層の△a1 が大きいため、第一層育成中は基板にかかる引っ張り応力が減じられ、基板が破断することはない。また、第二層についても大きな△a2 、△a3 を有するため、 200μmを超える膜厚の第二層育成中においても基板が破断することはない。一方、第二層の△a2 、△a3 が上記値よりも小さい場合は、 200μm以下の膜厚では基板は破断しないが、 200μmを超える厚膜を育成する場合には、育成中に基板が破断する。
【0014】
さらに、膜厚 200μm以上に成長させたエピタキシャル膜を育成温度から冷却すると、第一層が第二層に比べ、|△a|が遥かに大きいので、室温付近で基板は圧縮応力、エピタキシャル膜の第一層は強い引張り応力、第二層は弱い圧縮応力を受け、基板を横方向に引き裂くように剪断応力が働き、それぞれ基板の付いた2枚のエピタキシャル膜に分割される。このとき、基板をこの側面で保持している爪からクラックが基板内に向かって伸びると、一気に基板の側面から横方向にクラックが伝搬して、基板は剥離されたように横割れし、その結果、剪断応力は解放される。横割れした基板付きのエピタキシャル膜は大きな|△a|を有しているので、やや凹状に変形することにより応力が緩和されるため、エピタキシャル膜自身にクラックが発生することは少ない。
また、このようにして基板に働く剪断応力により、基板が横方向に自然に剥離されるので、エピタキシャル膜が形成された基板を、この側面からスライス切断する必要はない。
【0015】
上記格子定数の差△a1 の値は、基板に横割れを発生させるために、 -0.006Åよりも小さくすることが必要であり、また -0.017 Åよりも小さいと、基板とエピタキシャル膜の界面に細かなクラックの巣ができてしまい、加工時にこの細かなクラックがエピタキシャル膜中に伝搬してエピタキシャル膜が分解するため、 -0.017 Å以上であることが必要である。また上記△a2 、△a3 の値は、膜厚 40 μm程度の育成初期のエピタキシャル膜と結合して基板に横割れを発生させるため、およびエピタキシャル膜育成中の基板にクラックが発生しないようにするために、 -0.003 Å以下とすることが必要で、一方 -0.014 Åよりも小さいと、冷却中に基板が細かな領域に分かれて横割れし、エピタキシャルチップとしての歩留りが低くなるため、 -0.014 Å以上であることが必要である。特に、 -0.001 Å<△a23< 0.002 Åとすると、基板が横割れしたときのエピタキシャル膜に入るクラックが極めて少なく、加工中にエピタキシャル膜が割れることなく、磁気光学素子として使用可能なチップ数が飛躍的に増大するため、好ましい。
【0016】
冷却中、単結晶基板はエピタキシャル膜界面で発生する剪断応力を基板の両面から受けることになり、基板は側面から裂けるように横割れする。このとき育成中に生じた基板とエピタキシャル膜の格子定数の差に起因する応力は解放され、エピタキシャル膜層の歪みも消失する。
この結果、基板の両面に成長させた酸化物ガーネット単結晶膜を切り出すために、基板を横方向にスライス切断する工程は不要となる。
【0017】
出発材として使用される酸化物ガーネット基板は従来公知のものでよく、例えば、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG) 、ネオジム・ガリウム・ガーネット(NGG) 、サマリウム・ガリウム・ガーネット(SGG) 、GGG の陽イオンの一部をCa、Mg、Zrで置換したNOG (信越化学工業社製、商品名)などが挙げられる。
これらの酸化物ガーネット基板上に液相エピタキシャル法で成長させる酸化物ガーネット単結晶膜は、産業上有益とされるものであればどのようなものでも良く、これには (BiEuTb)3(FeGa)5O12、(BiY)3Fe5O12等が例示されるが、これらのエピタキシャル膜の厚さは近赤外波長光で充分なファラデー回転角が得られる 200μm以上のものが好ましい。
【0018】
融液内での基板の深さ位置については、融液表面に近いところでは融液の温度が急激に変化するため、基板の上面と下面とで温度差が生じ、上面と下面とで異なる格子定数のエピタキシャル膜が成長することになって好ましくない。このため融液表面から少なくとも10mm以上離れた深さ位置でエピタキシャル膜を形成させるのがよく、これによって単結晶基板の上面と下面とに同じ格子定数と同じ膜厚を持つエピタキシャル膜を成長させることができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明の実施例、比較例を挙げる。なお、格子定数の測定は精密格子定数測定装置(ボンド法)による。
[実施例1]
単結晶基板として、直径2インチの格子定数が12.496Åの GGG単結晶の陽イオンの一部をCa、Mg、Zrで置換した単結晶 NOG(前出、商品名)の両面を研磨した1.2mm 厚のウエハーを用意した。
酸化物ガーネットエピタキシャル膜を形成させる金属酸化物として、Bi2O3 977.38g、 Eu2O3 31.489 g、Tb4O7 13.929g、 Fe2O3 122.86 g、Ga2O3 35.272gと、フラックス成分としての PbO 936.36 g、B2O3 341.72 gを秤取し、白金ルツボ中で加熱溶融させ、先に用意した単結晶基板を白金製のホルダにセットし、室温において基板格子定数に合致するエピタキシャル膜が成長する温度より15℃高い温度(約 750℃)にて、基板を融液の液面下20mmの位置に浸漬し、基板を回転させながらガーネット単結晶薄膜の育成を開始し、一定の降温速度で約7℃降温したのち、約7時間に付き1℃の降温速度で60時間にわたりエピタキシャル膜を成長させた。
これをエピタキシャル炉から取り出し冷却したところ、単結晶基板は蓄積された応力により横方向に剥れ、各基板上には膜厚 600μmのエピタキシャル膜が形成されていた。
【0020】
次いで、この単結晶基板を10%の硝酸液中で洗浄してエピタキシャル膜中のフラックス成分を洗い落とし、エピタキシャル膜を調べたところ、これは、 (BiEuTb)3(FeGa)5O12で示される酸化物ガーネットであった。エピタキシャル膜の格子定数を膜の成長方向に沿って詳細に調べ、基板の格子定数との差△a値(ミスマッチ)を調べたところ、エピタキシャル膜は両面ともに、図1に示す値を示した。
図1は、膜厚方向におけるミスマッチ量△aの変化を示すグラフである。図に示すように、育成開始時の△a1 は-0.009Åとミスマッチが大きく、育成につれミスマッチは徐々に小さくなり、膜厚40μm程度の育成初期において△a2 は-0.004Åとミスマッチは最小となり、育成終了膜厚に近付くにつれてミスマッチは再び大きくなり、育成終了時の△a3 (ミスマッチ)は -0.0045Åであった。このとき△a23は0.0005Åであった。
【0021】
次に、このエピタキシャル膜を育成させた単結晶基板をGC #600 のグリーンカーボンでラッピングして凹凸をなくし、コロイダルシリカとクロスを用いた研磨機で 425μm厚まで鏡面研磨して得られた酸化物ガーネットエピタキシャル膜を、ダイシングソーで2mm角に切断したところ、530 個の、光アイソレータ用として有用とされる磁気光学素子としてのファラデー回転子が得られた。
【0022】
(実施例2、比較例1〜3)
単結晶基板及びこの表面に育成するエピタキシャル膜の金属酸化物組成は実施例1と同じとした。
エピタキシャル膜の育成に際しては、融液温度、降温速度などのエピタキシャル条件を適宜制御して、エピタキシャル膜と基板との格子定数の差△aの異なるエピタキシャル膜を得た。これらの各エピタキシャル膜について、実施例2、比較例1〜3として以下に示す。
【0023】
[実施例2]
このエピタキシャル膜は (BiEuTb)3(FeGa)5O12で示される酸化物ガーネットであり、膜厚 620μmで、△aは図1と同様な傾向を示し、育成開始時のミスマッチは△a1 =-0.007Åと大きく、育成につれて徐々に小さくなり、膜厚40μm程度の育成初期ではミスマッチが最小の△a2 =-0.003Åとなり、育成終了膜厚に近付くにつれミスマッチは再び大きくなり、△a3 = -0.0053Åであった。このとき△a23=0.0023Åであった。
単結晶基板は横方向に剥れるものの、エピタキシャル膜にも多少クラックが入り、このクラックを境にエピタキシャル膜が複数個に分割されていた。この酸化物ガーネットエピタキシャル膜から、実施例1と同様にファラデー回転子を作製したところ、485 個が得られた。
【0024】
[比較例1]
このエピタキシャル膜は、膜厚 640μmで、(BiEuTb)3(FeGa)5O12 で示される酸化物ガーネットであり、△a値は図1と同様な傾向を示すが、育成開始時のミスマッチは最大の△a1 =-0.005Åで、育成につれ徐々に小さくなり、膜厚40μm程度の育成初期でのミスマッチは最小の△a2 =-0.001Åとなり、育成終了膜厚に近付くにつれミスマッチは再び大きくなり、△a3 = -0.0025Åであった。この時の△a23=0.0015Åであった。
この単結晶基板には横方向の剥れは見られず、この酸化物ガーネットエピタキシャル膜は加工中にぼろぼろに砕けてしまい、実施例1のようなファラデー回転子は得られなかった。
【0025】
[比較例2]
このエピタキシャル膜は、膜厚 630μmで、(BiEuTb)3(FeGa)5O12 で示される酸化物ガーネットであり、△a値は図1と同様な傾向を示すが、育成開始時のミスマッチは最大の△a1 = -0.0055Åで、育成につれ徐々に小さくなり、膜厚40μm程度の育成初期でのミスマッチは最小の△a2 =-0.002Åとなり、育成終了膜厚に近付くにつれミスマッチは再び大きくなり、△a3 =-0.005Åであった。このとき△a23=0.003 Åであった。
この単結晶基板には横方向の剥れは見られなかった。内周刃切断機を用いて単結晶基板を横方向からスライス切断、分割したところ、エピタキシャル膜にクラックが生じ、これから実施例1と同様にしてファラデー回転子を作製したところ、250 個しか得られなかった。
【0026】
[比較例3]
このエピタキシャル膜は (BiEuTb)3(FeGa)5O12で示される酸化物ガーネットであり、膜厚 600μmで、△a値は図1と同様な傾向を示すが、育成開始時のミスマッチは最大の△a1 = -0.019 Åで、育成につれ徐々に小さくなり、膜厚40μm程度の育成初期でのミスマッチは最小の△a2 =-0.014Åとなり、育成終了膜厚に近付くにつれてミスマッチは再び大きくなり、△a3 = -0.0145Åであった。このとき△a23=0.0005Åであった。
この単結晶基板は横方向に剥れているものの、エピタキシャル膜にもクラックが入っており、このクラックを境に細かくエピタキシャル膜が分割されていた。この酸化物ガーネットエピタキシャル膜から、実施例1と同様にファラデー回転子を作製したところ、50個しか得られなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法は、直径2インチ以上の大口径単結晶基板の両面に、育成中基板が破断することなく、膜厚が 200μm以上の酸化物ガーネット単結晶膜を育成することができ、育成温度から室温に冷却すると、基板は横方向から剪断応力により引き裂かれ、基板部分での機械的なスライス切断は不要であり、磁気光学素子用チップの歩留りが飛躍的に向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エピタキシャル膜の膜厚方向に対する格子定数差(△a)の変化を示すグラフである。
Claims (2)
- 液相エピタキシャル法で単結晶基板の両面に膜厚 200μm以上の酸化物ガーネット単結晶膜を育成するにあたり、育成開始時におけるガーネット単結晶膜の格子定数をaf1、育成につれて該単結晶膜の格子定数が徐々に大きくなる育成初期における該単結晶膜の格子定数の最大値をaf2、育成終了時の該単結晶膜の格子定数をaf3とし、該単結晶基板の格子定数をaS とすると、
-0.017Å≦af1−aS < -0.006Å、
-0.014Å<a f2 −a S ≦-0.003Å、
-0.014Å≦a f3 −a S < -0.003Å
となるように、液相エピタキシャル条件を制御することを特徴とする酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法。 - 前記格子定数af2と格子定数af3とが-0.001Å<af2−af3< 0.002Åの関係を有する請求項1に記載の酸化物ガーネット単結晶膜の製造方法。
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